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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】スタンプユニット
(51)【国際特許分類】
   B41K 1/02 20060101AFI20220412BHJP
   B41K 1/04 20060101ALN20220412BHJP
   B41K 1/50 20060101ALN20220412BHJP
【FI】
B41K1/02 D
B41K1/04 E
B41K1/50 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018011069
(22)【出願日】2018-01-26
(65)【公開番号】P2019126994
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-11-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日 平成29年10月30日、販売した場所 株式会社明晃社
(73)【特許権者】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】230117259
【弁護士】
【氏名又は名称】綿貫 敬典
(72)【発明者】
【氏名】三矢 貴幸
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-284074(JP,A)
【文献】特開平10-119407(JP,A)
【文献】特開2001-277685(JP,A)
【文献】特開2009-066788(JP,A)
【文献】特開2000-120303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41K 1/02
B41K 1/04
B41K 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット本体が、持ち手部分となるホルダー部と、前記ホルダー部に嵌合により連結され、印字体及びインキ吸収体を保持する保持部材と、前記保持部材に嵌合により連結され、印字体の印面を覆うキャップを備えており、
前記保持部材とホルダー部との嵌合力を、保持部材とキャップとの嵌合力よりも強くなるように構成するとともに、前記保持部材とホルダー部との嵌合部分には、両者の嵌合力を弱めるための離脱用補助シートを介在させたことを特徴とするスタンプユニット。
【請求項2】
離脱用補助シートは、少なくとも端部に粘着層が設けられており、この粘着層を介して離脱用補助シートがホルダー部の内側に貼着固定されている請求項1に記載のスタンプユニット。
【請求項3】
印字体が備えられた前記保持部材を、ユニット本体から取り外し、印面加工機にセットして、印面模様が形成されるものである請求項1または2に記載のスタンプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字体の保持部材とホルダー部との嵌合力が初回の取り外し時のみ弱くて容易に離脱することができ、その後は嵌合力が強くて離脱困難な状態にすることができるスタンプユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホルダー部と、印字体の保持部材と、インキ吸収体と、キャップを備えたスタンプは広く使用されている。このようなスタンプでは、使用の都度キャップを取り外すため保持部材とキャップとの嵌合力は弱くしてあり、ホルダー部は原則として取外し不要のため保持部材とホルダー部との嵌合力は強くしてあるのが普通である。
【0003】
また最近では、各種のイベント会場等で客が印面加工機によりその場でオリジナルスタンプを作成することができるシステムが開発され注目を集めている。この場合は、客がスタンプユニットを購入し、中から印字体を取り出して印面加工機によりオリジナルな印面を作成した後、スタンプユニットを組み立ててスタンプを完成することになる。しかしながら、印字体を取り出すために保持部材をホルダー部から取り外そうとすると、両者の嵌合力が強くて簡単には取り外せないという問題があった。
【0004】
一方、印判の嵌合離脱を簡単に行えるものとして、連結解除手段を設けたスタンプが提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2を参照)。しかしながら、いずれの解除装置も常設されているため、スタンプ全体の機構が大型化するという問題や、誤って作動させた場合は使用者が意図しないところで印判の連結が解除されて不都合が生じるという問題があった。従って、初回のみは保持部材をホルダー部から簡単に取り外すことができ、それ以降は簡単に取り外すことができないという新たな構造のスタンプユニットの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-235603号公報
【文献】実開平3-50462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、保持部材をホルダー部から取り外す場合に初回のみは簡単に行うことができ、2回目以降は保持部材とホルダー部との嵌合力が強くて容易に離脱することがなく、スタンプとして安定した使用感を発揮することができる新たな構造のスタンプユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明のスタンプユニットは、ユニット本体が、持ち手部分となるホルダー部と、前記ホルダー部に嵌合により連結され、印字体及びインキ吸収体を保持する保持部材と、前記保持部材に嵌合により連結され、印字体の印面を覆うキャップを備えており、
前記保持部材とホルダー部との嵌合力を、保持部材とキャップとの嵌合力よりも強くなるように構成するとともに、
前記保持部材とホルダー部との嵌合部分には、両者の嵌合力を弱めるための離脱用補助シートを介在させたことを特徴とするものであり、これを請求項1に係る発明とする。
【0008】
また、その他の好ましい実施形態によれば、前記離脱用補助シートの端部には粘着層が設けられており、この粘着層を介して離脱用補助シートがキャップの内側に貼着固定されているものが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【0009】
また、その他の好ましい実施形態によれば、印字体が備えられた前記保持部材をユニット本体から取り外し、印面加工機にセットして印面模様が形成されるものであるものが好ましく、これを請求項3に係る発明とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明では、ユニット本体が、持ち手部分となるホルダー部と、前記ホルダー部に嵌合により連結され、印字体及びインキ吸収体を保持する保持部材と、前記保持部材に嵌合により連結され、印字体の印面を覆うキャップを備えており、前記保持部材とホルダー部との嵌合力を、保持部材とキャップとの嵌合力よりも強くなるように構成するとともに、前記保持部材とホルダー部との嵌合部分には、両者の嵌合力を弱めるための離脱用補助シートを介在させたものとしたので、前記離脱用補助シートを引っ張ると嵌合部分の嵌合状態が弱い力で即座に解除されてホルダー部を保持部材から簡単に離脱させることができる。一方、離脱用補助シートを除去した後は、保持部材とホルダー部を嵌合すると離脱用補助シートが介在せずに強固な嵌合状態となるため、簡単には離脱しないこととなる。
【0011】
また、請求項2に係る発明では、離脱用補助シートは、少なくともその端部に粘着層が設けられており、この粘着層を介して離脱用補助シートがキャップの内側に貼着固定されているものとしたので、離脱用補助シートが自然に外れることがなく、また、引っ張り上げた場合も一端が貼着固定されているのでホルダー部を確実に持ち上げることでき、ホルダー部の取り外しを容易に行えることとなる。
【0012】
また、請求項3に係る発明では、印字体が備えられた保持部材を、ユニット本体から取り外して印面加工機により印面模様が形成されるものとしたので、印面加工機によりオリジナルな印面を作成する目的で客がスタンプユニットから印字体が備えられた保持部材を取り出す場合、初回のみは離脱用補助シートを引っ張り上げて保持部材をホルダー部から容易に取り外すことができ、印字体が備えられた保持部材を簡単に印面加工機にセットすることができる。また、スタンプユニットを組み立ててスタンプを完成した後は、保持部材とホルダー部の嵌合力が強くて簡単には取り外せないので、安定した状態で押印作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は本発明の実施の形態を示す平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
図2】本発明の実施の形態を示す全体斜視図である。
図3図1におけるA-A断面図である。
図4図1におけるB-B断面図である。
図5】スタンプとして完成した状態を示すA-A断面図である。
図6】ホルダー部に離脱用補助シートを取り付けた状態を示す斜視図である。
図7】離脱用補助シートを引き上げた状態を示す斜視図である。
図8】スタンプとして使用する状態を示す斜視図である。
図9】印面加工機へセットする時のスタンプの状態を示す斜視図である。
図10】本発明の実施形態による印面加工機の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は、本発明に係るスタンプユニットを示す平面図、正面図、側面図であり、図2は全体斜視図である。なお、本明細書でいうスタンプユニットとは、ユニット内から印字体を備える保持部材を取り出して印面加工機等によりオリジナルな印面を作成した後、スタンプユニットを組み立ててスタンプを完成するのに供給される一式のキット商品を意味している。
【0015】
図面において、1はユニット本体であり、このユニット本体1は押印するときの持ち手部分となるホルダー部2と、印字体5を保持するための保持部材3と、インキ吸収体7と、印面を覆うキャップ4を備えている。なお、印字体5とインキ吸収体7については後述する。
【0016】
図3図1におけるA-A断面図、図4はB-B断面図である。
前記保持部材3の下面には、インキ吸収体7が装着されており、また、周壁下部には融着枠6が装着されている。更に、この融着枠6には印字体5が取り付けられている。なお、図3~4はスタンプユニットを示すもので、印面加工時は、図9に示すように、印字体5、融着枠6、インキ吸収体7を備えた保持部材3を加工機にセットし、印面を加工する。印面加工後、スタンプとして使用する場合は、図5に示すように、融着枠6を押し上げて印字体5とインキ吸収体7とが接触した状態で最終嵌合される構造となっている。
【0017】
前記保持部材3は中央部に鍔部3aを有しており、この鍔部3aの上方にある周壁上部には凹部8aが形成され、また、ホルダー部2の内壁下端には凸部8bが形成されており、これらの凹部8aと凸部8bとを係合させることによって、保持部材3とホルダー部2とが連結される構造となっている。一方、前記鍔部3aの下方には凹部9aが形成され、また、キャップ4の内壁下端には凸部9bが形成されており、これらの凹部9aと凸部9bとを係合させることによって、保持部材3とキャップ4とが連結される構造となっている。
なお、前記保持部材3とキャップ4との嵌合力は、押印の際に容易に開けられるよう比較的弱いものとなっているが、保持部材3とホルダー部2の嵌合力は、印字体5の印面作成のために最初1回だけ開けるのみで、後は外れないように強固に連結していることが望ましい。このため、前記嵌合力は保持部材3とキャップ4との嵌合力よりも強くなるように構成されている。
【0018】
また、前記保持部材3とホルダー部2との嵌合部分には、両者の嵌合力を弱めるための離脱用補助シート20が介在されている。
この離脱用補助シート20は、前記凹部8aと凸部8bとの間に介在されるとともに、一端を外部へ突出させて引っ張り部としてある。この離脱用補助シート20が介在していると、前記凹部8aと凸部8bの嵌合力が弱まり、離脱用補助シート20を引っ張ると嵌合部分の嵌合状態が弱い力で即座に解除されてホルダー部2を保持部材3から簡単に離脱させることが可能となる。
【0019】
また、図6に示すように、前記離脱用補助シート20の端部に粘着層を設けておき、この粘着層を介して離脱用補助シート20がホルダー部2の内側に貼着固定させることもできる。この場合は、取扱い性が向上するので好ましい。
なお、離脱用補助シート20は前記凹部8aと凸部8bの嵌合力を弱めるとともに、引っ張り上げたときに嵌合部分を解除するものである。従って、離脱用補助シートは、紙葉類、プラスチックシート、ゲル状の高分子など、上記の嵌合部分に介在し、嵌合力を弱めるものであれば、材質を問わないが、その材質としてはテープが滑り出てこないように若干の摩擦抵抗のある紙や合成樹脂紙等を使用することが好ましい。また、シートの厚みは10~300μm、幅は2~20mmで、帯状のものが適している。
【0020】
次に、以上のように構成したスタンプユニットの完成方法について説明する。
例えば、各種のイベント会場等でスタンプユニットを購入した客は、図1に示されるように、セットされた状態のユニット本体から印字体5を取り出して印面を作成する。この場合、印面加工機には前記印字体5が備えられた保持部材3とともにセットする機構となっているため(図9、10)、保持部材3をホルダー部2から離脱させる必要がある。
【0021】
本発明では、前記保持部材3とホルダー部2との嵌合部分には、両者の嵌合力を弱めるための離脱用補助シート20を介在させた構造となっているので、離脱用補助シート20を上方に向けて引き上げると、図7に示されるように、凹部8aと凸部8bの嵌合部が弱い力で即座に解除されてホルダー部2を保持部材3から簡単に離脱させることができる。次いで、キャップ4を外して印字体5と保持部材3を印面加工機にセットするが、キャップ4の嵌合力は弱いため簡単に取り外しができる。
【0022】
次に、印面加工機30を利用して印面を加工する場合について簡単に説明する。
図10に示すように、印字体5が備えられた保持部材3をカセット31に装着したうえ、このカセット31を印面加工機30の引き出しトレイ32にセットする。その後、ディスプレイ33を見ながら操作キー34を操作して任意のデザインの印面を作成する。印面加工が終了した後は、保持部材3をカセット31から取り出して印面加工機30の操作を終了する。
【0023】
印面加工機によって任意の印面を加工した後は、印字体5と保持部材3を再びホルダー部2にセットする。このときは、前記離脱用補助シート20は取り除いておくので、凹部8aと凸部8bは強い嵌合力で連結されることとなる。なお、印面の加工と同時に、融着枠6が押し上げられ印字体5とインキ吸収体7とが接触した状態で最終嵌合されることとなる(図5を参照)。以上のようにしてスタンプを完成した後は、一般のスタンプと同様にキャップ4を外して押印することができる。
【0024】
以上の説明からも明らかなように、本発明は保持部材をホルダー部から取り外す場合に初回のみは簡単に行うことができ、2回目以降は保持部材とホルダー部との嵌合力が強くて容易に離脱することがなく、スタンプとして安定した使用感を発揮することができることとなる。また、離脱用補助シートが目印となるので、取り外し時に間違いなくホルダー部を取り外すことができ、他の嵌合を外してしまうことがないという利点や、連結解除機構を設けてないので、スタンプ機構を小型化できるという利点もある。
【符号の説明】
【0025】
1 ユニット本体
2 ホルダー部
3 保持部材
3a 鍔部
4 キャップ
5 印字体
6 融着枠
7 インキ吸収体
8a 凹部
8b 凸部
9a 凹部
9b 凸部
20 離脱用補助シート
30 印面加工機
31 カセット
32 引き出しトレイ
33 ディスプレイ
34 操作キー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10