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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】ローカル分析の監視のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20220412BHJP
   G01M 3/00 20060101ALI20220412BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220412BHJP
【FI】
G05B23/02 302V
G01M3/00 D
G06Q50/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019524163
(86)(22)【出願日】2017-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 IB2017056873
(87)【国際公開番号】W WO2018087639
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】62/420,137
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ブルックス,ブライアン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ,ジル ジェイ.
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0113049(US,A1)
【文献】国際公開第2016/011014(WO,A1)
【文献】特開2004-199298(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0148919(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置で使用される分析モデルを更新する方法であって、
ローカル分析モデル及びモデル応答結果のデータベースに基づいて、アクショントリガを含むローカル分析モデルを決定することと、
前記ローカル分析モデルをローカル分析装置に提供することと、
前記ローカル分析装置のセンサ出力が前記アクショントリガを満たすときに、応答を開始することと、
前記開始された応答中に測定された、前記ローカル分析装置での条件に基づいて、アクショントリガ結果を判断することと、
前記アクショントリガ結果を使用して、前記ローカル分析モデル及びモデル応答結果のデータベースを更新することと、
を含み、
前記ローカル分析モデルを決定することが、複数のローカルモデルの各々の、信号検出理論のdプライムについての信頼区間の重複に基づく重み付き無作為化を含む、
方法。
【請求項2】
ガス漏れ現場を評価する方法であって、
メタンセンサの出力を現場条件の評価に変換するためのモデルのパラメータを、モデルパラメータ及び現場条件の変化に関する判断の正確さのデータベースに基づいて選択することと、
複数の遠隔メタン検知ユニットを現場に配備することと、
前記複数の遠隔メタン検知ユニットからセンサ出力を受け取ることと、
前記センサ出力及び前記モデルに基づいて現場条件の変化を判断し、前記現場条件の変化に基づいて前記現場を再訪することと、
前記現場の前記再訪に基づいて、前記モデルパラメータ及び現場条件の変化に関する判断の正確さのデータベースを更新することと、
を含み、
モデルのパラメータを選択することが、前記現場条件の変化に関する判断の正確さについての信頼区間の重複に基づく重み付き無作為化を含む、
方法。
【請求項3】
分析モデルを使用して状況を評価するシステムであって、
1つ以上のセンサ、モデルメモリ、及び、前記モデルメモリに格納されたモデルに基づいて前記1つ以上のセンサの出力を評価するように構成されたローカル分析プロセッサを備えるローカル分析装置と、
ローカル分析モデルを決定するように構成されたプロセッサと、
ローカル分析モデル及び結果のデータベースを記憶するように構成されたメモリと、
前記ローカル分析プロセッサによってトリガされる応答資産と、
を備え
前記ローカル分析モデルを決定するように構成されたプロセッサが、信号検出理論のベータ値とベータ最適値についての信頼区間の重複に基づくローカル分析モデルの重み付き無作為化に基づいて前記ローカル分析モデルを決定する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
「モノのインターネット」が発展するにつれて、センサと処理能力が埋め込まれた装置が増え続けている。このことによってインテリジェントな動作(高度な警報基準、装置内の部品の摩損のインジケータなど)が可能になるが、多くの場合、こうした埋め込み分析は更新が遅く、その一因は、モデルが事前にプログラミングされており、分析方法とパラメータの基礎が事前に計算されたモデルからとられていることである。モデルは、第一原理又は、「ビッグデータ」駆動型の履歴データ集約のいずれかに基づく場合が多く、そのどちらの手法にも仮定に起因する非精密性が伴い、集約データの場合には、第3の変数及び指向性の存在もまた、非精密性の原因となる。また、こうしたモデリング手法は、実験制御が欠如していることと、受動的に収集された集約データを使用していることから、誤りの認識と自己補正の能力に乏しい。また、これらのモデルは、例えば、ジェットエンジンや油田掘削機器のメンテナンスの必要や電気グリッドの故障を診断するための高価な資本設備に適用されたり、メタン漏れ現場などの危険性の高い場所への立ち入りに関する意志決定の指針となる遠隔センサの使用などの安全に関する問題に適用されたりすることから、これらのモデルにおける誤りは、ますます高コストで高リスクなものになってきている。
【0002】
更に、これらのモデルは頻繁には更新されずに製品の新しい世代でのみ更新されることが多く、装置について汎用である傾向があり、大規模な設置では特定の動作条件や環境に合わせて専用に調整されるものもあるが、ローカル分析を備えたその他の多くの装置では、モデルの選択とモデルのパラメータの調整を含めて、分析モジュールの更新と適合の拡張性は不十分である。プロセスの自動化によって、特定の状況又は配備に向けてローカル分析を調整するための、より拡張性の高い方法が提供され得る。
【0003】
信号検出理論は、特定の信号への応答動作の有効性を分析するための枠組みであり、航空交通管制装置の評価、医療、及び法科学に使用されてきた。この枠組みは、あるアクションが行われたか否か、及びそのアクションを必要とする条件が実際に存在したか否かに基づいて、結果を4つのカテゴリに分ける。カテゴリは、ヒット(アクションが行われ、かつ条件が存在する場合)、ミス(アクションは行われないが、条件は存在する場合)、誤警報(アクションが行われるが、条件は存在しない場合)、及び正棄却(アクションが行われず、かつ、条件が存在しない場合)である。4つの結果は全て相互に関連しており、例えば、所与の1組のセンサ特性(すなわち、dプライム)について、ヒット率を引き上げるように判断基準を調節すると、誤警報の発生率もまた必然的に上昇する。信号検出理論では、これらの4つの結果の分布から、センサの感度と、応答基準の正確さとの両方について別々の独立した値を計算することができるので、それぞれの要素を最適化することができる。しかしながら、この最適化には、応答基準を単離して最適化できるようにするために、信号に対する応答動作のこの2つの局面を区別する必要があるが、これらのメトリクスに悪影響を及ぼす混乱要因を、それらの要因の1つを知ることができないか制御できない場合に、相互の影響を含めて制御する能力がなければ、履歴データの分析を通してこの区別を行うことは、不可能ではないとしても困難である。
【0004】
天然ガス施設では多くの場合、例えば、緊急要員が現場を訪れ、手持ち式のメタン検知器を使って現場を進みながら現場が非安全レベルに達するまで現場の排気と検査を行う場合、又は、施設職員が蓋付きの坑口装置を監視する必要のある場合、又は、低レベルの漏れを悪化させないように監視する場合に、臨界点を監視する必要がある。電力施設では、グリッド上の故障の位置を特定して特徴付け、それらの故障に応答する必要がある。ガス施設の緊急応答の例では、ガスは通常、遠隔で遮断され、現場を確認する時期の決定は、緊急要員の、他からの支援のない人間としての判断に任されている。緊急要員が現場を訪れるのが早すぎれば爆発の危険にさらされ、これは信号検出理論では、アクションを促すイベント(すなわち、ガスレベルが危険レベルを下回ったこと)が実際には起こっていないときにアクションを行う、「誤警報」と見なされることになる。しかし、要員の待機時間が長くなればなるほど、工業の現場が待機状態になったり、住人が自宅に立ち入れなくなったりするなど、現場のサービス停止時間が長くなり、これは信号検出理論では、アクションを行うべきときの認識に失敗する、「ミス」と見なされる。遠隔センサでも、緊急要員をサポートするための状況に応じたインテリジェンスはいくらかは補助的に提供されるが、構造物内のガスの挙動及び、ガス漏れ現場に戻るための全体的な安全性とその挙動との関係は単純なものではないので、複数のセンサの出力を評価して、ヒットと正棄却の割合を高め、要員の安全を維持しながらガス漏れ現場の時宜を得た清掃を可能にする、実行可能な推奨を行うための分析ツールが必要である。
【発明の概要】
【0005】
ローカル分析によって提供される判断支援を継続的に更新及び改善する方法であって、この方法は、モデルがヒット、ミス、誤警報及び正棄却をそれぞれの結果のコスト又は利益に基づく適切な比率でもたらす見込みに従ってローカル分析装置の特定のモデル及び/又はモデルパラメータを選択することと、ローカル分析装置によってモデルが適用された結果のアクショントリガに応答することと、応答の結果を、場合によっては他のローカル分析装置に対して選択された他の連結モデルへの参照を通して、ミスと正棄却を判断するために分類することと、モデルパラメータを選択するために使用される、モデル及び結果のデータベースを更新することと、による。
【0006】
ローカル分析の基準を更新及び改善するためのシステムであって、分析用のモデルを決定するように構成されたプロセッサと、ローカル分析ユニットからの通信によって起動されてもよい応答資産と、分析用のモデル及びモデルから得られる結果のデータベースと、ローカル分析ユニットとを備え、ローカル分析ユニットは、少なくともモデルメモリと、1つ以上のセンサと、モデルメモリ内のモデル及び1つ以上のセンサの出力を使用してアクショントリガの発生を判断するように構成されたプロセッサとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ローカル分析を更新するために適用される、本発明の方法例のプロセスフロー図である。
図2】遠隔ガス監視システムで閾値を調整することを特に目的とする、本発明の方法例のプロセスフロー図である。
図3】ローカル分析モジュールのシステム例のシステム図である。
図4】遠隔ガスセンサのシステム例のシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
装置のローカルプロセッサでの、又はクラウドにアップロードされたセンサデータに作用する、センサデータを評価する分析では、多くの場合、別のイベントがトリガされ、それにより、分析で解釈されるセンサデータの範囲を超えたリソースが更に入り込み、分析判断の正確さが強化されたり否定されたりすることがある。このことで、ローカル分析判断の正確さがそのループを通して評価され得るフィードバックループにより、時間につれて装置内と装置間の両方でローカル分析判断が自己補正され、適応されるようになる。例えば、ある装置が一定のパフォーマンス閾値及び/又は運転時間閾値でメンテナンス警告をトリガすることや、遠隔センサが天然ガスのガス漏れ現場が訪問と再検査に対して安全になったことを示すなど、ある条件への応答をトリガすることがあり、そのようなケースの全てにおいて、使用される分析モデルが場合によっては誤警報又はミスを有することがあり、これは高コストであるか、更には危険でもあり得る。
【0009】
ローカル分析装置は埋め込みセンサ、プロセッサ及び通信を備える装置であり、装置内の条件及び、装置における又は装置近傍でのイベントの両方を含めた装置における条件を判断してそれに応答するために使用されてもよい。これには、メンテナンスの必要を示す運転時間又は部品摩耗の測定、及び遠隔センサのアプリケーションが内部の(例えば、進行中の漏れ現場監視を行う1組のメタンセンサなど)状態変化の情報を提供することが含まれ得る。ローカル分析装置によってトリガされる応答又はアクションは、ローカル分析装置と通信状態にある外部の関係者又は装置からのもの(すなわち、メンテナンスを実行すること、又は、資産に監視対象の漏れ現場を訪れて検査を行わせること)であってもよいし、例えば、装置における又は装置近傍での電圧及び電流の測定に基づく力率のローカル判断に基づいてキャパシタバンクが自動的に切り替わることなど、装置自体によって行われるものであってもよい。
【0010】
ローカル分析装置は、応答が必要な特定の条件又はイベントの発生を特定し、それに応答するために、センサ出力を特定のイベント及びアクショントリガ(すなわち、メンテナンス若しくは交換が必要であることをある値が示すとき、又は、ガス漏れが止まったか、ガス漏れが悪化した可能性があるとき)に結び付けるモデルを使用することにより、プロセッサを使用してセンサ出力を解釈する。モデルは、例えば、経過した後にメンテナンスが行われる運転時間などの、一定のセンサ読み取り値に対する閾値を含んでもよく、また、複数のガスセンサからの読み取り値の間の差などの、センサ読み取り値の間の関係、及び、漏れ現場の状態の変化を判断するために使用される、キャパシタがオフからオン若しくはその逆に切り換えられる特定の電力品質範囲などの範囲に基づく比較、又は、その他の、センサ出力及びモデルパラメータに基づいたイベント検出若しくはアクションのトリガのための関数に基づいてもよい。モデルパラメータとしては、それらの解釈に使用される特定の閾値及び範囲などの、センサ結果及び値を解釈するために使用される関数が挙げられる。
【0011】
ローカル装置の分析基準を動的に調整するための方法を図1に示す。この方法は、ステップ100でローカル分析のための雑音及び信号+雑音分布を更新し、ステップ102でローカル分析の装置又は装置の組を選択することから始まる。ステップ104で、選択された装置又は装置の組におけるセンサ出力を評価するためのモデルが、モデル及び、それらのモデルを使用してトリガされたアクションから得られる結果のデータベースに基づいて決定される。決定されたモデルは、ステップ106でローカル分析装置に提供され、ステップ108で、そのモデルに含まれるアクショントリガが満たされたときに応答を開始することを含めて、装置に入って来るセンサデータを評価するために使用される。ステップ108でアクショントリガが満足されることによって、ステップ110でアクションが行われ、これにはまた、アクショントリガがヒット、ミス、誤警報、又は正棄却を提供したか否かの判断も含まれる。ステップ110で取得されたこの結果は、ステップ112で、モデル及びアクショントリガ結果のデータベースに追加され、このデータベースは、その後のローカル分析のためのモデルの決定に、後のステップ104の繰り返しで使用されてもよい。
【0012】
ステップ100で、雑音分布及び信号+雑音分布が結果データに基づいて更新され、それを使用して現在のベータ最適値が計算されてもよい。ベータ最適値は、信号検出理論に従う望ましい判断基準を示し、それら結果の間の関係を与えられると、ヒット(条件が正しく検出され、応答される)、ミス(条件は存在するが検出されない)、誤警報(応答がトリガされるが、実際には条件は存在しない)、及び正棄却(条件が存在せず、応答もトリガされない)の最適な分布が導かれる。これは、それぞれの結果に関連付けられた値及びセンサの感度値から計算されてもよく、この感度値は、信号検出理論ではdプライムと呼ばれる。dプライムには、センサ自体の精度だけでなく、センサの特定の構成又はセンサの配置において準拠される配備プロトコルの感度も考慮される。ローカル分析装置で使用される所与の1組のセンサについてdプライム値が既知であってもよく、その既知の値は、ベータ最適値の計算に使用するために、ユーザインタフェースを介して入力されるかメモリから取得されてもよい。ベータ最適値は、個々のローカル分析装置について固有であってもよいし、又は、検知特性、動作コンテキスト、及び/又はそれぞれの結果の値若しくは帰結が類似するローカル分析装置のクラスに対して共通であってもよい。ベータ最適値は、信号検出理論に従って、それぞれの結果と前回の結果の分布上のデータの相対値に基づいて、例えば、結果の総数で除算した誤警報及び正棄却の数を計算することによって雑音分布p(N)を判断すること、1-p(N)を計算することによって信号+雑音分布p(SN)を判断すること、及び、p(N)をp(SN)で除算した値に(V(CR)-C(FA))/(V(H)-C(M))を乗算することによってベータ最適値を計算すること、によって計算されてもよく、ここで、V(CR)は正棄却の値、C(FA)は誤警報のコスト、V(H)はヒットの値、C(M)はミスのコストである。ベータ最適値は、結果について追加のデータが生成されるたびに、この方法の繰り返しを通して再計算されてもよく、結果に対する値及びコストに関するデータが経時変化するたびに更新されてもよい。
【0013】
ステップ102でのローカル分析装置の選択は、ローカル分析を行うためにモデルが決定されるローカル分析装置のうちの1つ以上を特定することによって行われる。この選択は、ローカル分析装置の配備(すなわち、ガス漏れ現場への遠隔メタンセンサの配置)、ローカル分析装置での前回の方法の繰り返しの完了(すなわち、前回のモデルの元でのローカル分析に基づく要求に続いて装置がメンテナンスを受ける場合)に基づいてもよく、又はスケジュールに基づいてもよい。
【0014】
ステップ104で、装置におけるセンサ出力を評価するためのモデルの決定が行われる。モデルは、1組のモデルからモデルを選択することによって決定される。モデルは、センサ入力に基づいて現場又は装置の条件を判断するための方法であって、ステップ102で選択されたローカル分析装置においてプロセッサによって行われてもよい、アルゴリズム、公式、数学的モデル、又は統計モデルなどである。使用されるモデルの選択元となる1組のモデルは全て、その現場又は装置の条件の同じ判断を行うこと、例えば、装置のメンテナンスが必要なとき、又はメタン漏れの存在する現場にガス濃度に対する状態の変化が生じたときを特定することを目的とする。モデルは、方法論(例えば、メンテナンスの必要性を判断するために純粋な運転時間を使用すること、又は、メンテナンスの必要性を判断するために重要な性能測定基準の変化の一定の閾値レベルを要求すること)及び/又はパラメータ(例えば、それぞれのモデルが異なる重み付け係数若しくはスケーリング係数、遅延期間、又は閾値を使用する)が異なっていてもよい。各モデルは、この方法の前回の繰り返しから得られた1組の結果(ヒット、ミス、正棄却及び誤警報)に関連付けられる。この1組の結果を使用して、モデルの感度を特徴付け、サンプルサイズ(すなわち、ログ記録された結果の総数)に基づいてベータ値周囲の信頼区間を確立するdプライム値が計算される。複数のモデルの中から最も高い感度を有する可能性の最も高いモデルを選択するために、dプライム値、信頼区間、及びそれらの相互の重複に基づいてモデル選択が行われてもよい。この選択は、例えば、それぞれのモデルがdプライムの最も高い値を有する見込みを計算することによって行われてもよい。その計算された最も高いdプライムの見込みから、制約付き無作為化に基づいてモデルが選択され、そこでは、あるモデルが選択される確率は、そのモデルが最も高いdプライムを有する見込みから決定される。例えば、モデル1が最も高いdプライムを有する見込みが信頼区間の重複に基づいて70%、モデル2が最も高いdプライムを有する見込みが20%、モデル3が最も高いdプライムを有する見込みが0%、モデル4が最も高いdプライムを有する見込みが10%であるなら、無作為化はそれに合わせて、センサ配備のために決定される閾値として、モデル1を選択する機会が70%、モデル2を選択する機会が20%、モデル3を選択する機会が0%、モデル4を選択する機会が10%となるように重み付けされる。
【0015】
いくつかの実施形態では、ステップ106でローカル分析装置に割り当てられるモデルは更に、1つ以上の連結コントロールとペアリングされて、(まだ応答が行われていない状況において)モデルを特定の結果に結び付ける能力を更に向上させ、ROC曲線を計算して信号検出分析を実行するために必要な、正棄却とミスの判断を提供してもよい。ローカル分析モデルの配備の間で確率的な等価性を特定し、ローカル分析モデルのうち確率的に等価な2つ以上のローカル分析モデルを互いに関連付けることによって、連結コントロールが互いに関連付けられてもよい。連結コントロール間の確率的な等価性により、可能性のある結果の確率の間に完全ではなくても有意な重複を確保することによって、結果に対する偏りのないグループ平均の判断が可能になる。この確率の重複は、状況の類似性に基づいており、また、おそらく、これらのローカル分析モデルを、後に連結され得るローカル分析装置に割り当てるための結果の確率分布に基づいている。確率的等価性は、例えば、ローカル分析装置の特定のモデル又はクラスの全てが等価であると見なすことによってか、ローカル分析装置の特定の配備プロトコル(すなわち、特定の規則又はヒューリスティクスに従う、ガス漏出現場のメタンセンサの配置)を考慮することによってか、又は、例えば、ローカル分析装置の特定の配備についてそれらの周囲の特性に基づいて計算された類似性スコア(例えば、オイルポンプの摩損、ポンピングされるオイル内の粒子状物質の粘度及び存在の測定が、それらのポンプが連結コントロールとしてペアリングするために十分等価的であるかの計算に使用される)に基づいて、判断されてもよい。判断されると、これらの関連付けは、例えば、ローカル分析装置へのローカル分析モデルのそれぞれの割り当てを伴うフィールドとしてデータベースに格納されてもよい。
【0016】
ステップ106で、ローカル分析装置へのモデルの提供が行われる。ステップ104で決定されたモデルが、Ethernetプロトコル、WiFi通信(例えば、802.11規格)、Bluetooth技術、Zigbee製品、又はその他の、モデルのデータがローカル分析装置に伝達され得るようにする通信などの有線又は無線の通信によって、ローカル分析装置に提供される。モデルは、ローカル分析装置によって受け取られると、ローカル分析装置においてセンサ読み取り値によってモデル内のアクショントリガが満たされたときを判断するためにプロセッサに使用されるように、メモリに格納されてもよい。
【0017】
ステップ108で、モデルでアクショントリガが満たされたことが判明すると、応答を開始する。ローカル分析装置におけるプロセッサがローカル分析装置における又はその付近のセンサの出力を受け取り、ステップ104で決定されてステップ106で装置に提供されたモデルを使用し、センサ出力がモデル内に設定されたトリガを満たしたとき、モデル内のトリガによって定められたアクションをとることにより応答が開始される。この応答の開始は、要求又は状態の変化を伝達すること(すなわち、漏れ現場での条件の変化を示し、職員に現場の調査を要求すること)であってもよいし、又は、いくつかの実施形態では、ローカル分析装置の中で信号を送信してキャパシタバンクのオフ状態からオン状態へ、又はその逆への切り換えを駆動することなどの自動アクションを開始することであってもよい。
【0018】
ステップ110で、トリガされたアクションの行使及び結果の記録が行われる。ステップ108の開始が通信である実施形態では、ステップ110は、例えば、メンテナンス要員をローカル分析装置に派遣してメンテナンスを行うこと、又はガス漏れ現場を訪れて、状態の変化を示す通信に従って調査を行うことなどの、通信によって要求されたアクションをとることによって行われる。これらの実施形態では、ローカル分析装置の判断の結果は、例えば、職員がメンテナンスが必要であったか否かのメンテナンス記録を行うなど、通信に対する応答中に測定される。これらの判断は記録され、ステップ112で、プロセスの今回の繰り返しでのモデルが、センサ出力に基づいて応答をトリガする際に、ヒット、ミス、正棄却、及び/又は誤警報を生成したか否かを判断するために使用される。ステップ108の開始が自動化されたアクションの開始である実施形態では、ステップ110は、キャパシタバンクの状態の物理的な切り換えを完了することなど、その特定のアクションを完了することによって実行される。これらの実施形態では、ローカル分析装置の外部のセンサを使用してヒット、ミス、誤警報、又は正棄却の発生を判断してもよく、例えば、キャパシタバンクスイッチについて、そのキャパシタバンクの切り換えに続いて力率が1に近づいたか離れたかを判断してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、ミスと正棄却の決定は、ステップ110の結果の判断中かその後に、ステップ106中にモデルに関連する1つ以上の連結試行の結果を参照することによって判断されてもよい。この判断は、関連する連結試行がアクショントリガに対して高い標準なのか低い標準なのかを特定することによって行われる。標準が高いか低いかは、連結試行モデルに対するアクション応答のトリガの比率をモデルに対するアクション応答のトリガの比率と比較することによって判断されてもよく、アクション応答の比率が高いことは低い標準を示し、アクション応答の比率が低いことは高い標準を示す。
【0020】
アクション応答によって判断された結果が「ヒット」である場合、より低い標準を有する連結試行もまたヒットを生じる場合には、結果の判断は「ミス」に変更されてもよく、この条件では、より低い標準を有する連結試行がヒットを提供することから、より早期にその条件を検出し応答することができ得たからである。より低い標準の連結試行が誤警報を生じる場合は、「ヒット」は「ヒット」のままとなる。アクション応答によって判断された結果が「ヒット」であり、より低い標準を有する連結試行が「誤警報」を生じる場合には、結果の判断は、追加的に「正棄却」とラベル付けされてもよい。いくつかの例では、外部データを使用して、ミスと正棄却の判断を補完してもよい。例えば、ローカル分析ユニットが検出して応答をトリガすることなく、あるインシデントが発生した(更に、この方法例を実行しているシステムとインタフェースしている別のシステムを通してこのインシデントが検出されログ記録されたか、ユーザインタフェースを通して入力された)場合は、そのデータを使用して、割り当てられたローカル分析モデルのパフォーマンスは「ミス」と定義され得る。
【0021】
ステップ112で、モデル及びアクショントリガ結果のデータベースの更新が行われる。モデルについてヒット、ミス、誤警報、又は正棄却の結果が判断された後、結果がデータベースに追加され、ステップ104で選択されたモデルの結果の組にその結果を追加し、更に、そのモデルがローカル分析装置において適用されたときのヒット、ミス、誤警報及び正棄却の相対頻度の理解を緻密化する。次いで、更新されたデータベースは、この方法の後続の繰り返しにおいて、ステップ104で、モデルパラメータを決定し、及び/又はローカル分析装置のモデルを選択するために参照されてもよい。
【0022】
遠隔ガスセンサでの応答基準を調整することに関する1つの特定の方法例を、図2に示す。この例では、メタンなどのガスの漏れ現場に複数のセンサが残されており、その複数のセンサからの読み取り値を評価して、現場の安全性の見込みが高くなったことに基づいて現場を再検査してもよい時期を判断する。この方法例では、漏れ現場の状態を判断するためのベータ最適値が、ステップ200で計算される。ステップ202でセンサが現場条件を監視するように配備され、ステップ204でセンサの閾値が決定されてもよく、これらのステップは、提示された順序であってもよいし、条件及び運用コンテキストに応じて、センサ配備の前に決定された閾値と並列又はこれとは逆の順序であってもよい。閾値が決定され、センサが現場に配備された後、センサが現場を監視し、この監視中に、ステップ206で閾値がトリガされる。閾値が満たされると、現場は再評価され、その再評価において閾値のトリガが、ヒット、ミス、誤警報、又は正棄却のいずれであったのか、ステップ208で判断される。次に、ステップ208で判断された結果が、ステップ210で、閾値及び応答結果のデータベースに追加され、この結果は、この方法の後の繰り返しにおいて、ステップ204による後続の閾値の判断に使用されてもよい。
【0023】
ステップ200で、ガス検知モデルの雑音及び信号+雑音分布が計算される。ガス漏れ現場に戻るというコンテキストにおける特定の結果の相対的なコスト及び/又は利益についてのデータに加えて、これらの分布からベータ最適値が計算されてもよく、そのコストと利益は、例えば、危険なレベルのガスが依然として存在する現場へ戻るための大きなコスト、早期に現場へ戻って清掃を行う機会を損失することの低いコスト、並びに、現在のところ現場は戻るには適さないと正確に認識すること及び現場に再び入って清掃を行うことができる時期を迅速に認識することの利益である。コスト及び/又は利益のデータは、財務モデル又はリスクモデルなどの他のデータからユーザが判断又は導出してもよい。ベータ最適値が、ステップ100で前述したように、それぞれの結果の値を使用して計算され、また、このプロセスのそれぞれの繰り返しについて計算されてもよい。
【0024】
ステップ202で、場所へのセンサの配備が行われる。漏れの場所に、例えばメタンセンサなどの1つ以上の遠隔ガスセンサユニットが、配備プロトコルに従い、プロトコルに従って可能な範囲及び、排気をトリガし得る量と比較して許容可能なガスレベルまで、配備される。配備プロトコルは、配備するセンサの数及びセンサを配置する位置を、例えば、センサを配置する特定の部屋、又はセンサを設置すべき高さに基づいて、指示することができる。センサを配備した後、いくつかの実施形態では、例えば施設のメンテナンス要員が、設置されたセンサの数及びそれらのセンサが配備プロトコルで定められたとおりに設置されているかを、ユーザインタフェースと対話して確認することによって、配備及び配備が行われた範囲を確認してもよい。
【0025】
ステップ204で、センサの閾値(単数又は複数)の決定が行われる。閾値は、例えば、漏れ現場へのガス流を遮断した後のガスの消散などの、状態の変化を、センサ読み取り値が示し得るときに対応する。閾値は、センサ出力間の関係、センサ値と初期測定値及び/若しくはピーク測定値の関係、又はメタンなどの検知されたガスの絶対レベルなどに関するものであってもよい。閾値は、可能性のある値の組から決定されてもよく、その値の組は、ユーザ定義されてもよいし、又は、ユーザ及び/又は本発明の方法の以前の繰り返しからのデータによって設定された許容範囲及び境界に基づいて手順に沿って生成されてもよい。それぞれの閾値は関連するベータ値を有し、このベータ値は、この方法の以前の繰り返しで発生して、閾値及び結果のデータベースに記憶されている、ヒット、ミス、正棄却、及び誤警報の分布から計算される。これらのベータ値は、それらの周囲に信頼区間を有し、信頼区間は、現在のサンプルサイズ(データポイントの総数、すなわち、ヒット、ミス、正棄却、及び誤警報の合計の累計)に基づいて計算されてもよい。1つ以上の閾値について、各dプライム値周囲の信頼区間の重複を使用して、特定の閾値が最良の感度を提供する見込みを判断してもよい。その見込みから、その閾値が最良の選択肢である見込みに基づく重み付き無作為化を通して、閾値が決定されてもよい。例えば、閾値1が最も高いdプライムを有する見込みが70%、閾値2が最も高いdプライムを有する見込みが20%、閾値3が最も高いdプライムを有する見込みが0%、閾値4が最も高いdプライムを有する見込みが10%であるなら、無作為化はそれに合わせて、センサ配備で使用される決定閾値として、閾値1を選択する機会が70%、閾値2を選択する機会が20%、閾値3を選択する機会が0%、閾値4を選択する機会が10%となるように重み付けされる。
【0026】
いくつかの実施形態では、ステップ204での閾値の決定は、ステップ202でのセンサの配備に基づく。これらの実施形態では、ある特定の配備を、及びいくつかの実施形態ではその配備が完了した範囲を使用して、データベースを参照し、その特定の配備のdプライム値及び/又はアクセス履歴結果データを、ステップ204で閾値を決定する際に使用するために取得する。いくつかの実施形態では、閾値は、ステップ202でのセンサの配備に先立って、又はそれと同時に決定されてもよく、その際には、センサによって定められたセット値、配備場所のタイプ、又は、特定のプロトコルが使用されて完全に実装されているとの仮定が使用される。
【0027】
ステップ206で、閾値が満たされると応答がトリガされる。遠隔ガスセンサは、結果を測定して定期的又は連続的に報告し、その結果は、遠隔ガスセンサに、又はその近傍に位置し、例えばZigbee製品、WiFi通信(802.11プロトコル)などの無線通信によってそれらのガスセンサと通信するユニットにおいて、ステップ204で決定された閾値と比較される。直近に受け取られたセンサ出力が閾値を満たし、漏れ現場での状態の変化を示している(すなわち、ガスの遮断に成功し、漏れ現場の再検査及び清掃の必要が、レベルの低下によって示されている)ことがプロセッサによって判断されると、例えば、Zigbee製品、WiFi通信、Bluetooth技術又はセルラー通信(すなわち、3G、4G LTE)といった無線通信などの通信リンクを介してメッセージが応答資産に送信され、この応答資産は、例えば、漏れ現場に最初に応答してステップ202でセンサを配備した職員などの緊急対応要員によって携行されるモバイル機器であってもよい。
【0028】
ステップ208で、応答がヒット、ミス、誤警報、又は正棄却のいずれであるか判断される。ステップ206のアクショントリガに従って応答資産が漏れ現場を訪れるとき、応答資産は、例えば手持ち式メタンセンサなどを使用して独立に現場のガスレベルを測定し、現場への立ち戻りが実際に安全であるか否かを示す。このことは、例えば、ステップ202のいくつかの実施形態で配備プロトコルを確認するために使用されるユーザインタフェースの拡張などの、装置上のインタフェースを使用して行われてもよい。個別の訪問から得られるこのデータに加えて、現在の応答に関連する連結試行からのデータを使用して、正棄却とミスを特定してもよい。
【0029】
ステップ208で判断した結果をとり、その結果を選択された閾値と関連付け、関連付けた結果と閾値をデータベースに追加することによって、ステップ210で閾値及び応答結果のデータベースを更新することが行われ、このデータベースには任意選択として、その閾値が選択される対象の配備プロトコルもまた含まれてもよい。このデータベースは、ステップ204で閾値を決定する際に使用される。
【0030】
モデル選択を最適化するために動的に更新されるローカル分析ユニットを有するシステム例を図3に示す。このシステムはローカル分析ユニット300を含み、そのユニットの構成要素には、センサ302、ローカル分析プロセッサ304、及びモデルメモリ306が含まれる。ローカル分析装置はモデル判断プロセッサ308に通信可能に接続され、ローカル分析プロセッサ304がアクション応答ユニット312をトリガしてもよい。アクション応答312は結果判断及びログ記録314と相互作用して、ローカル分析がトリガしたアクション応答312による応答をヒット、ミス、正棄却又は誤警報として特徴付け、結果判断及びログ記録314は、センサ応答及び結果のデータベース310を格納するように構成されたメモリにこの情報を提供する。プロセッサとメモリは共に配置されて、直接結合される(例えば、結線される)か、クラウドアーキテクチャ内で単に通信可能に結合されてもよく、インターネット又は他の遠隔通信を介して要素間でデータを送信する。
【0031】
ローカル分析ユニット300は、センサ302、ローカル分析プロセッサ304及びモデルメモリ306を含む装置であり、センサ、プロセッサ及びメモリを使用して、ローカル分析ユニット300での条件を評価する。ローカル分析ユニットは、別の装置の一部であってもよく(例えば、センサ、プロセッサ及びメモリがポンプ、タービン又はエンジンの一部に接続される)、又は、(例えば、ガス漏れ現場用監視システムのための)完全なローカル分析ユニットであってもよい。ローカル分析ユニットの構成要素は、有線又は無線手段によって互いに通信可能に結合されるが、筐体を共有する必要はなく、互いに近接するか(通信可能な結合が、例えば、セルラー、WiFi通信、Bluetooth技術又はZigbee製品を介して無線で行われる)、又は直接接続されてもよい。ローカル分析ユニット300はアクション応答312への有線又は無線の通信を含んでもよく、アクション応答312は、ローカル分析ユニット300を含む装置がメンテナンスを必要とするときなどの一定の条件下で応答をトリガして、軽減又は解決を必要とする故障を検出し、いくつかの例ではそのような故障を特徴付けてもよく、又は、ガス漏れ現場が立ち入りについて安全になったことなどの、ある場所の状態の変化を報告してもよい。
【0032】
ローカル分析ユニット300はセンサ302を含む。センサは、例えば、運転時間のカウンタ、応力サイクルの圧電型モニタ、メタンセンサなどのガスセンサ、電気故障の特定と特徴付けのための電流、電圧及び/若しくは他のセンサ、パイプライン監視のための温度センサや圧力センサなどの環境センサ、又は、アクション応答312による応答の対象となり得る条件に関する情報を提供する他のセンサであってもよい。センサは出力を生成し、この出力は、未処理の電気信号であってもよいし、デジタル値に変換されてもよく、ローカル分析プロセッサ304に提供される。
【0033】
ローカル分析ユニット300はローカル分析プロセッサ304もまた含み、このプロセッサは、センサ出力を受け取り、モデルメモリ306に格納されたモデルを使用して、センサ出力の解釈を通じて、ローカル分析ユニットにおける又はその付近の状態を判断するように構成されている。ローカル分析プロセッサは、どのような標準の、市販の種類のマイクロプロセッサであってもよく、かつ電力消費品質に基づいて選択されてもよく、又は、モデルメモリ306、センサ302からの入力、及び、WiFi通信、Zigbee製品、Bluetooth技術又はセルラー(すなわち、3G又は4G LTE)などの通信アンテナへの出力もまた含み得るマイクロコントローラに組み込まれてもよい。
【0034】
ローカル分析ユニット300はモデルメモリ306もまた含み、このメモリは、ローカル分析プロセッサ304によってセンサ302の出力を解釈する際に使用するためのモデルを格納するように構成されている。モデルメモリ306は、フラッシュメモリ又はハードディスクドライブなどの不揮発性メモリであってもよい。いくつかの実施形態では、モデルメモリ306は、セルラー、WiFi通信、Bluetooth技術又はZigbee製品アンテナなどの通信ユニットに結合されており、その通信ユニットからモデルデータが受け取られてから、モデルメモリ306に格納されている。
【0035】
モデル判断プロセッサ308は、ローカル分析ユニットのローカル分析プロセッサ304に提供されるモデルのパラメータを設定するように構成されている。モデル判断プロセッサは、ローカル分析モデル及びそのモデルの以前の結果のデータベースから情報を受け取り、1つのモデルを選択してローカル分析装置300に割り当てるように構成されたプロセッサである。この判断は、それぞれの可能性のあるモデルの、ヒット、ミス、誤警報、及び正棄却から、あるモデルがローカル分析装置で使用するために最良の利用可能なモデルである見込みを計算することによって行われてもよく、例えば、特定のモデルのベータ値及びその周辺の信頼区間を、サンプルサイズ及び結果の分布に基づいて計算し、それらの値を、判断した最適ベータ値と比較することによって行われてもよい。1つ以上のモデルについて計算した見込みを使用して、例えば、計算した見込みに基づいてそれぞれのモデルの重み付けが決定される、重み付き無作為化を使用することによってモデルが選択されてもよい。
【0036】
センサ応答及び結果のデータベース310は、モデル判断プロセッサ308によって選択された各モデルを使用してローカル分析プロセッサ304においてセンサ302からの出力を評価することにより得られる結果のデータベースを格納するように構成されたメモリである。このメモリからの情報は、ローカル分析ユニット300に提供するモデルを決定する際にモデル決定プロセッサ308によって使用される。センサ応答及び結果のデータベースは、1つ以上のハードディスクドライブ又はフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ上に格納されてもよい。
【0037】
アクション応答312はユニット又は職員であり、ローカル分析装置300とは分かれているが、ローカル分析プロセッサ304による判断に応答するか、又はローカル分析プロセッサ304の出力に従ってアクションをキューイングする。アクション応答の例には、ガス配給網の緊急要員、又は、摩損状態及びメンテナンスの必要を自動的に報告する装置について、訪問、検査、及びメンテナンスを行うように呼び出されたかキューイングされたメンテナンス職員などの、緊急対応要員が含まれる。
【0038】
結果判断及びログ記録のユニット314は、ローカル分析プロセッサ304によって報告された状況の特徴付けを、アクション応答312による知見に基づいて行う。これは、アクション応答職員又は資産が保持するセンサの出力に基づくか、又は、ローカル分析ユニットの近傍又はそのユニットにあるがセンサ302とは別の遠隔センサであって、その出力がローカル分析プロセッサ304によるものではないと見なされる遠隔センサからの出力に基づく、ユーザインタフェースを通した入力であってもよい。このユニットによって判断されてログ記録された結果は、センサ応答及び結果のデータベース308に追加される。いくつかの実施例では、このユニットによって実行される結果判断は、2つ以上の関連する連結試行への参照を含んでもよく、ローカル分析モデルの正確さを判断するために必要な情報の完全なセットを提供するために、2つ以上の関連する連結試行にわたる結果を使用して正棄却とミスの判断ができるようにする。
【0039】
ローカル分析ユニットが、状態を監視して漏れ現場への再立ち入り及び評価をトリガするために使用される1組の遠隔ガスセンサである、特定のシステム例を図4に示す。センサ402は、監視現場400内に配備される。センサ402の出力は、閾値判断プロセッサ406から閾値を受け取る閾値比較プロセッサ404によって評価され、閾値比較プロセッサ404は、第2のセンサ410を含む応答資産に、監視現場400に入るように指示する。応答資産上の第2のセンサ410は、現場条件について、及び応答資産の遭遇した条件がセンサ402及び閾値比較プロセッサ404によるヒット、ミス、誤警報、又は正棄却を示すか否かに関するフィードバックを提供するために、センサ応答及び結果のデータベース408と通信し、その結果が、関連する閾値と共に、センサ応答及び結果のデータベース408に格納される。
【0040】
漏れ現場400は、ガス(典型的にはメタンだが、他の有害ガスであってもよい)が存在し得る領域であり、その現場は監視される。漏れ現場は、例えば、施設の利用者が天然ガスの臭気を感じたときの電話連絡などによって特定されてもよい。漏れ現場は、蓋付きの坑口装置、ガス漏れの連絡元の家屋などの、メタン漏れのあり得る場所であってもよく、構造物を取り巻く土地及び構造物自体を含んでもよく、更には、可能性のある漏れの性質と深刻度、及びその可能性のある漏れへの応答のタイミングに応じて、隣接する構造物を含んでもよい。
【0041】
センサ402は、漏れ現場に配備される。センサは、メタンセンサ又は他の有害ガスセンサなどのガスセンサであってもよい。センサ402は本質的に安全であってもよく、水素炎イオン化型、音響式、又は赤外線式などの、どのような構成又は種類のメタンセンサであってもよい。センサは、有線又は無線の手段(例えば、Zigbee製品、WiFi通信、又は3G若しくは4G LTE接続などのセルラーデータ)を介して相互に、かつ/又は基地局と通信可能に結合された1つ以上の遠隔センサであってもよく、これらは全て漏れ現場400に配備されてもよい。
【0042】
閾値比較プロセッサ404は、センサ402からの読み取り値を受け取り、センサ読み取り値が閾値判断プロセッサ406の提供する閾値を満たし、閾値比較プロセッサ404に結合されたメモリに格納されているか否かを判断するように構成されている。閾値は、例えばセンサ402のいずれかの閾値であってもよく、センサ402のそれぞれの読み取りの閾値に基づいてもよく、又は、センサの配備が特定のプロトコルに従っている(例えば、漏れ現場400の床から4フィート離れて配置されたセンサと、漏れ現場の400の床から8フィート上に配置された別のセンサとを比較する)場合には特定のセンサ402出力の間の関係に基づいてもよい。
【0043】
閾値判断プロセッサ406は、センサ402の出力を評価して漏れ現場400の状態の変化を判断するためにするために使用される閾値を設定するように構成されたプロセッサである。決定される閾値は、例えば、個々のセンサ402でのメタンレベル、又は漏れ現場400に配備された異なるセンサ402でのメタンレベルの間の関係であってもよい。この決定は、センサ及び応答結果のデータベース408からのデータに部分的に基づいて行われ、このデータは、例えば、そこから選択される複数の可能性のある閾値のそれぞれに対して測定されたベータ値の周囲で(その閾値を使用した前回の試行のヒット、ミス、誤警報及び正棄却の相対比率に基づいて)計算された信頼区間、及び、それらの信頼区間と計算されたベータ値の最適値との重複である。
【0044】
センサ応答及び結果のデータベース408は、閾値比較プロセッサ404の以前の出力及びそれらの試行の結果に基づいて漏れ現場400の状態の変化を検出するための閾値に関するデータを格納するように構成された、メモリである。任意選択として、このデータベースは、現場条件の判断(複数)を行うために使用される閾値について最適なベータ値を特定する目的で、それぞれの結果値(ヒット、ミス、正棄却、及び誤警報)に割り当てられた値を含んでもよい。任意選択として、このデータベースに、第1の閾値と、連結試行に関与する1つ以上の他の閾値との関連付けもまた含ませ、それぞれの閾値についての結果を使用して、それらの特定の連結試行についてミス及び正棄却の存在を判断できるようにしてもよい。
【0045】
第2のセンサ410はメタン検出器である。このセンサは、応答資産又は応答職員が携行する手持ち式センサユニットと一体であってもよい。センサは、遠隔センサ又はセンサ網402とは別である。第2のセンサ410は、ガス現場への緊急時第一応答者などが漏れ現場400を訪れたときに、漏れ現場400のメタンレベルを測定するために使用される。第2のセンサ410による読み取り値がセンサ応答及び結果のデータベース408に直接追加されてもよく、又は、第2のセンサ410の出力に基づいて判断された結果がユーザインタフェースを通して(例えば、緊急時第一応答者による、現場が再立ち入りに適していたか、現場が再立ち入りに適していなかったかを確認する判断によって)手動で入力されて、結果が応答及び結果のデータベース408提供されてもよく、又は、第2のセンサ410からの結果がプロセッサに提供されて、そのプロセッサがセンサ出力に基づいて結果を判断して、結果判断を閾値及び結果のデータベース408に提供してもよい。以下、例示的実施形態について述べる。
[1]
装置で使用される分析モデルを更新する方法であって、
ローカル分析モデル及びモデル応答結果のデータベースに基づいて、アクショントリガを含むローカル分析モデルを決定することと、
前記ローカル分析モデルをローカル分析装置に提供することと、
前記ローカル分析装置のセンサ出力が前記アクショントリガを満たすときに、応答を開始することと、
前記開始された応答中に測定された、前記ローカル分析装置での条件に基づいて、アクショントリガ結果を判断することと、
前記アクショントリガ結果を使用して、前記ローカル分析モデル及びモデル応答結果のデータベースを更新することと、
を含む、方法。
[2]
前記ローカル分析装置のベータ最適値を計算することを更に含む、[1]に記載の方法。
[3]
前記ローカル分析モデルを決定することが、複数のローカルモデルの各々のdプライムについての信頼区間の重複に基づく重み付き無作為化を含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]
前記ローカル分析モデルを決定することが、
1つ以上の連結試行を選択することと、
前記1つ以上の連結試行を、選択された前記ローカル分析モデルに関連付けることと、
を含む、[1]から[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記アクショントリガ結果を判断することが、
関連する連結試行の結果データを受け取ることと、
前記関連する連結試行の結果データを、前記アクション応答の結果と比較することと、
を含む、[4]に記載の方法。
[6]
ガス漏れ現場を評価する方法であって、
メタンセンサの出力を現場条件の評価に変換するためのモデルのパラメータを、モデルパラメータ及び現場条件の変化に関する判断の正確さのデータベースに基づいて選択することと、
複数の遠隔メタン検知ユニットを現場に配備することと、
前記複数の遠隔メタン検知ユニットからセンサ出力を受け取ることと、
前記センサ出力及び前記モデルに基づいて現場条件の変化を判断し、前記現場条件の変化に基づいて前記現場を再訪することと、
前記現場の前記再訪に基づいて、前記モデルパラメータ及び現場条件の変化に関する判断の正確さのデータベースを更新することと、
を含む、方法。
[7]
モデルのパラメータを選択することが、前記現場条件の変化に関する判断の正確さについての信頼区間の重複に基づく重み付き無作為化を含む、[6]に記載の方法。
[8]
モデルのパラメータを選択することが、連結コントロールの実験デザインに従って行われる、[6]又は[7]に記載の方法。
[9]
前記現場を再訪することが、前記現場で前記メタンレベルを測定することを更に含む、[6]から[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10]
前記現場条件の変化に関する判断の正確さが、ヒット、ミス、誤警報又は正棄却に分類される、[6]から[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11]
分析モデルを使用して状況を評価するシステムであって、
1つ以上のセンサ、モデルメモリ、及び、前記モデルメモリに格納されたモデルに基づいて前記1つ以上のセンサの出力を評価するように構成されたローカル分析プロセッサを備えるローカル分析装置と、
ローカル分析モデルを決定するように構成されたプロセッサと、
ローカル分析モデル及び結果のデータベースを記憶するように構成されたメモリと、
前記ローカル分析プロセッサによってトリガされる応答資産と、
を備える、システム。
[12]
前記ローカル分析装置についてベータ最適値を決定するように構成されたプロセッサを更に備える、[11]に記載のシステム。
[13]
前記ローカル分析プロセッサによる判断の結果を入力するためのインタフェースを更に備える、[11]又は[12]に記載のシステム。
[14]
前記応答資産がセンサを含む、[11]から[13]のいずれか一項に記載のシステム。
[15]
前記ローカル分析モデルを決定するように構成されたプロセッサが、ベータ値とベータ最適値についての信頼区間の重複に基づくローカル分析モデルの重み付き無作為化に基づいて前記ローカル分析モデルを決定する、[11]から[14]のいずれか一項に記載のシステム。
[16]
ガス漏れ現場を評価するシステムであって、
メタンセンサ及び無線通信アンテナをそれぞれが備える複数の遠隔メタン検知ユニットと、
前記複数の遠隔メタン検知ユニットから読み取り値を受け取り、モデルに基づいて現場条件を判断するように構成された第1のプロセッサと、
携帯型メタンセンサを含む第2のメタン検知ユニットと、
前記第1のプロセッサによって使用される前記モデルのパラメータ、前記現場条件の判断、及び前記現場条件の判断にかかる正確さデータを含む、データベースを記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリに記憶された前記データベースに基づいてモデルパラメータを決定するように構成された第2のプロセッサと
を備える、システム。
[17]
前記第2のプロセッサが、前記現場条件の判断にかかる正確さデータ周囲の信頼区間の重複に基づく制約付き無作為化に基づいてモデルパラメータを決定する、[16]に記載のシステム。
[18]
前記現場条件の判断にかかる前記正確さを前記第2のメタン検知ユニットからの読み取り値に基づいて判断するように構成されたプロセッサを更に備える、[16]又は[17]に記載のシステム。
[19]
前記現場条件の判断にかかる前記正確さデータがユーザインタフェースを介して入力される、[16]から[18]のいずれか1項に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4