(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20220412BHJP
H01L 21/308 20060101ALI20220412BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/308 C
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2018065848
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2020-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】新井 盛太
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 昌典
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-008814(JP,A)
【文献】特開平09-181349(JP,A)
【文献】特開2008-192663(JP,A)
【文献】国際公開第2014/188879(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/308
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の第1面に形成された第1半導体層の上に第3半導体層が形成され、
前記第3半導体層の一部を除去する工程と、
前記第3半導体層の一部を除去する工程の後に、前記第1半導体層の外周部を除去する工程と、
前記第1半導体層の外周部を除去する工程の後、粘着剤を用いて、前記半導体基板の第1面を実装基板に貼り付ける工程と、
前記半導体基板を貼り付ける工程の後、前記半導体基板の前記第1面とは反対側の第2面側から前記半導体基板を薄くする工程と、
前記半導体基板を薄くする工程の後、前記粘着剤を溶融させ、前記半導体基板を前記実装基板から分離する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板の第1面と前記第1半導体層との間に第2半導体層が形成され、
前記第1半導体層と前記第2半導体層とは互いに異なる化合物半導体で形成されている請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記半導体基板および前記第2半導体層はインジウムリンで形成され、
前記第1半導体層はインジウムガリウム砒素で形成されている請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1半導体層の外周部を除去する工程において、前記外周部はウェットエッチングにより除去される請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記分離する工程は、前記粘着剤を溶融させた後に、前記半導体基板および前記実装基板の一方を他方に対してスライドさせることで前記半導体基板を分離する工程である請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記外周部を除去する工程において、前記外周部における前記第1半導体層を除去し、前記第1半導体層の下層を露出させる請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記外周部を除去する工程の後、前記外周部に厚さ1μm以下の前記第1半導体層を残存させる請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法では、ウェーハ状態の半導体基板をガラス製の実装基板などに張り付けた後、研磨などを行うことがある(例えば特許文献1)。具体的には、半導体基板をワックスなどの粘着剤を用いて実装基板に貼り付ける。半導体基板の研磨などを行った後、粘着剤を溶融し、半導体基板を実装基板から取り外し、ダイシングなどの後工程を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板と、半導体基板上に成長する半導体層との間の格子不整合などに起因し、半導体層にクロスハッチが形成される。半導体基板の取り外しの際に、クロスハッチが起点となり半導体基板に割れが発生することがある。そこで、半導体基板の割れの抑制が可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の第1面に形成された第1半導体層の外周部を除去する工程と、前記第1半導体層の外周部を除去する工程の後、粘着剤を用いて、前記半導体基板の第1面を実装基板に貼り付ける工程と、前記半導体基板を貼り付ける工程の後、前記半導体基板の前記第1面とは反対側の第2面側から前記半導体基板を薄くする工程と、前記半導体基板を薄くする工程の後、前記粘着剤を溶融させ、前記半導体基板を前記実装基板から分離する工程と、を有するものである。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、半導体基板の割れの抑制が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(a)から
図1(d)は実施例1に係る半導体装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図2】
図2は半導体装置の製造方法を例示する平面図である。
【
図3】
図3(a)から
図3(d)は実施例1に係る半導体装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図4】
図4は変形例に係る半導体装置の製造方法を例示する断面図である。
【0008】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明の一形態は、(1)半導体基板の第1面に形成された第1半導体層の外周部を除去する工程と、前記第1半導体層の外周部を除去する工程の後、粘着剤を用いて、前記半導体基板の第1面を実装基板に貼り付ける工程と、前記半導体基板を貼り付ける工程の後、前記半導体基板の前記第1面とは反対側の第2面側から前記半導体基板を薄くする工程と、前記半導体基板を薄くする工程の後、前記粘着剤を溶融させ、前記半導体基板を前記実装基板から分離する工程と、を有する半導体装置の製造方法である。第1半導体層の外周部を除去することで、第1半導体層に生じるクロスハッチも除去することができる。したがってクロスハッチを起点とする半導体基板の割れを抑制することができる。
(2)前記半導体基板の第1面と前記第1半導体層との間に第2半導体層が形成され、前記第1半導体層と前記第2半導体層とは互いに異なる化合物半導体で形成されてもよい。格子不整合により第1半導体層にクロスハッチが発生するが、外周部のクロスハッチを除去する。これにより割れの抑制が可能である。
(3)前記半導体基板および前記第2半導体層はインジウムリンで形成され、前記第1半導体層はインジウムガリウム砒素で形成されてもよい。格子不整合により第1半導体層にクロスハッチが発生するが、外周部のクロスハッチを除去する。これにより割れの抑制が可能である。またクロスハッチを抑制するように、第2半導体層の厚さおよび組成を調整することができる。
(4)前記第1半導体層の外周部を除去する工程において、前記外周部はウェットエッチングにより除去されてもよい。クロスハッチが多く発生する領域をウェットエッチングで除去することで割れを効果的に抑制することができる。
(5)前記分離する工程は、前記粘着剤を溶融させた後に、前記半導体基板および前記実装基板の一方を他方に対してスライドさせることで前記半導体基板を分離する工程でもよい。分離する工程の際の半導体基板の割れを抑制することができる。
(6)前記外周部を除去する工程において、前記外周部における前記第1半導体層を除去し、前記第1半導体層の下層を露出させてもよい。これにより割れを効果的に抑制することができる。
(7)前記外周部を除去する工程の後、前記外周部に厚さ1μm以下の前記第1半導体層が残存してもよい。残存する第1半導体層に対して、半導体基板を厚くすることで割れを抑制することができる。
(8)前記第1半導体層上に第3半導体層が形成され、前記第3半導体層の一部を除去する工程を有し、前記外周部を除去する工程は、前記第3半導体層の一部を除去する工程の後に実施されてもよい。これにより第3半導体層を精度よく形成することができる。
【0009】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【実施例1】
【0010】
図1(a)から
図1(d)、
図3(a)から
図3(d)は実施例1に係る半導体装置の製造方法を例示する断面図であり、
図2は半導体装置の製造方法を例示する平面図である。
図2のOFはOrientation Flatの略であり、IFはIndex Flatの略である。
図1(a)から
図2はウェーハ20を実装基板30に貼り付ける前の工程(表面プロセス)を図示し、
図3(a)から
図3(d)はウェーハ20を実装基板30に貼り付けた後の工程(裏面プロセス)を図示している。なお、ウェーハ20のサイズは例えば2インチであり、図示した工程の後にウェーハ20から複数の受光素子が切り出される。
【0011】
図1(a)に示すように、ウェーハ状態の半導体基板10の上面(第1面)に、バッファ層12(第2半導体層)、吸収層14(第1半導体層)、インジウムリン(InP)層16およびインジウムガリウム砒素(InGaAs)層18(第3半導体層)をエピタキシャル成長する。半導体基板10にこれらの半導体層を形成したものを総称してウェーハ20とする。半導体層の成長には、例えば有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法または分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法などを用いることができる。
【0012】
半導体基板10は、サイズが2インチであり、例えば厚さ350μmのInPで形成されている。バッファ層12は、例えば厚さ1.5μmのInPで形成されている。吸収層14は光を受光する層であり、例えば厚さ4μmのInGaAsで形成されている。InP層16の厚さは例えば1μmである。InGaAs層18の厚さは例えば0.15μmである。バッファ層12は半導体基板10の表面に接触し、吸収層14はバッファ層12の表面に接触する。InP層16は吸収層14の表面に接触する。
【0013】
図2に示すように、ウェーハ20の外周部24の一部にクロスハッチ25が発生する。外周部24はウェーハ20の端部から内側に幅2mm以内の部分である。クロスハッチ25は、半導体基板10と吸収層14との格子不整合により発生する。InPの格子定数は5.86Åであり、InGaAsの格子定数は組成に応じて5.65Åから6.05Åを取り得る。格子定数が異なるため、半導体基板10と吸収層14との間に格子不整合が生じ、吸収層14はクロスハッチ25を含んだ状態で成長する。吸収層14上のInP層16にもクロスハッチ25は転移する。クロスハッチ25はウェーハ20の表面に格子状の線として現れる。吸収層14が厚くなるとクロスハッチ25も大きくなる。こうしたクロスハッチ25はウェーハ20の割れの原因となる。なお、クロスハッチ25はウェーハ20の外周部24以外にも発生するが、
図2に示すように外周部24で多く発生する傾向がある。また、
図2では外周部24の一部にクロスハッチ25を図示しているが、外周部24の全周にクロスハッチ25が生じる恐れもある。
【0014】
図1(b)に示すように、InGaAs層18をエッチングし、複数の島状のInGaAs層18を残存させる。島状のInGaAs層18はマスクおよびレチクルなどの位置合わせのためのマーカとして用いられる。残存したInGaAs層18を覆うように、InP層16の上面にレジストマスク22を形成する。レジストマスク22の端部はウェーハ20の端部から離間し、ウェーハ20の端部よりも中央側に位置する。端部間の領域を外周部24とし、その幅Wは例えば2mmである。実験結果より、幅Wは、1mm以上2mm以下が好ましい。幅Wが1mm未満ではウェーハ割れの抑制効果が期待できない。また、幅Wが2mmより大きい場合には、ウェーハ割れの抑制効果はあるが、ウェーハ内の半導体素子8チップの収集率が低減してしまう。すなわち、レジストマスク22はウェーハ20の外周部24を覆っておらず、外周部24ではInP層16が露出する。また、
図1(b)に示す工程は、下述する
図1(d)の後に実施することもできる。しかし、島状のInGaAs層18のマーカを精度よく形成するためには、
図1(b)、
図1(c)、
図1(d)の順に実施することが好ましい。それは、マーカは、
図2に示すウェーハ20のOFを基準に位置合わせして形成されるためである。つまり、
図1(b)に示す工程を
図1(d)の後に実施された場合、OFがエッチングにより欠損するため、マーカ形成時の位置合わせが難しくなる。
【0015】
図1(c)に示すように、レジストマスク22をマスクとして、例えばエッチャントして臭化水素(HBr)を用い、外周部24の全周におけるInP層16を60秒エッチングする。これによりレジストマスク22から露出するInP層16が除去され、InGaAs14が露出する。
【0016】
図1(d)に示すように、例えば硫酸、過酸化水素、水を1:1:1で混合したものをエッチャントに用い、レジストマスク22をマスクとして、8分間のエッチングを行う。外周部24の全周において吸収層14がエッチングされ、レジストマスク22から露出する吸収層14が除去される。吸収層14が完全に除去され、吸収層14の下層のバッファ層12が露出してもよいし、厚さ1μm程度の吸収層14が残存してもよい。実験結果より、吸収層14の厚さが3μm以上の場合、厚さ1μm程度残存していても、ウェーハ割れの抑制効果があることが確認されている。外周部24のエッチングにより、外周部24の吸収層14およびInP層16とともにクロスハッチ25も除去される。また、外周部24の全周において吸収層14を除去する以外にも、例えば、外周部24のうち、クロスハッチ25が多く発生するOFおよびIFの領域を除去してもよい。
【0017】
図1(c)および
図1(d)におけるエッチングは、外周部24の全周、つまりウェーハ20を完全に囲む部分に行う。二回のエッチングに用いるマスクは同一のマスクでもよいし、異なるマスクを用いてもよい。また、InPとInGaAsとの間でエッチング選択比が小さいBr系のエッチャントなどを用いると、InP層16および吸収層14の両方を一度にエッチングすることができる。エッチングの後、レジストマスク22は除去し、ウェーハ20の表面に例えば窒化シリコン(SiN)などの絶縁膜(不図示)を形成する。InP層16および吸収層14のエッチングは、
図1に示すように、表面プロセスの初期の工程で実施することが好ましいが、表面プロセスの工程中であれば、初期の工程以外にも実施することが可能である。
【0018】
図3(a)に示すように、ウェーハ20の吸収層14などが設けられている面(
図1(a)~
図1(d)では上面、
図3(a)では下面)にスピンナーでワックス32を塗布する。例えばガラスの実装基板30を、研磨装置のステージ(不図示)に載置し、ステージは例えば150℃に昇温する。ワックス32を用いてウェーハ20を実装基板30に貼り付ける。
【0019】
図3(b)に示すように、研磨装置を用いて、実装基板30に貼り付けた面とは反対側の面(第2面)からウェーハ20を研磨する。研磨により、ウェーハ20の半導体基板10は例えば350μmから150μm程度まで薄くなる。
【0020】
図3(c)に示すように、例えば真空蒸着法により、n型電極34を形成する。n型電極34はウェーハ20の半導体基板10の表面に接触し、金とゲルマニウムとの合金(Au-Ge)、Au、チタン(Ti)を積層したものであり、厚さは例えば0.3μmである。n型電極34の形成後、300℃、2分間の条件で熱処理を行う。
【0021】
不図示の分離装置にパラフィン紙を敷き、その上にウェーハ20を載せる。加熱することでワックス32を溶融させ、パラフィン紙越しにウェーハ20を吸着する。
図3(d)に矢印で示すように、実装基板30をウェーハ20に対してスライドさせることで、ウェーハ20を実装基板30から取り外す。分離後のウェーハ20を例えばイソプロピルアルコール(IPA)などの有機溶剤および水などで洗浄し、ダイシングすることで複数の受光素子(半導体装置)を切り出す。
【0022】
実施例1によれば、ウェーハ20の外周部24の全周にエッチングを行い、外周部24の吸収層14を除去することで、外周部24に形成されたクロスハッチ25も除去する。これにより、クロスハッチ25を起点とするウェーハ20の割れを抑制することができる。実施例1により、50枚のウェーハ20にて割れを確認したところ、割れたものは1枚もなかった。
【0023】
ウェーハ20は、半導体基板10~InP層16の複数の層を含み、これらの間に応力が生じる。ワックス32などの粘着剤が溶融すると、応力が解放され、ウェーハ20に作用する。半導体基板10が研磨により薄くなると、応力によりウェーハ20が反り、外周部24の変形が大きくなる。したがって外周部24にクロスハッチ25が多く存在すると、クロスハッチ25を起点として大きなクラックが生じやすい。実施例1では、ワックス32による貼り付けおよび溶融の前に、クロスハッチ25を除去する。これにより、応力が加わった場合でも半導体基板10が割れにくくなる。反りの影響を受けやすい外周部24のクロスハッチ25を除去することで、半導体基板10の割れを効果的に抑制することができる。
【0024】
吸収層14が厚いと、クロスハッチ25が多く発生し、またワックス32の溶融で発生する応力も大きくなる。吸収層14を薄くすることで、クロスハッチ25および応力を抑制することができる。しかし吸収層14を薄くすることで、半導体装置の特性(例えば受光感度)が変化する恐れがある。実施例1によればエッチングでクロスハッチ25を除去するため、吸収層14を薄くしなくてよい。したがって半導体装置の特性に影響を与えることなく、ウェーハ20の割れの抑制が可能である。
【0025】
一般にクロスハッチ25の抑制のため、バッファ層12の厚さおよび格子定数の調整が行われる。例えばバッファ層12の格子定数が半導体基板10および吸収層14の中間となるように、バッファ層12の組成を選択し、半導体基板10および吸収層14それぞれの格子定数に近づける。したがってバッファ層12を設けることが好ましい。
【0026】
また、吸収層14のIn組成を調整し、格子定数を半導体基板10の格子定数に近づけることもできる。In組成の調整は、半導体装置の特性に影響しない範囲で行う。バッファ層12および吸収層14の組成の調整などとともに、実施例1の外周部24のエッチングを行うことが、割れの抑制には効果的である。
【0027】
ウェーハ20に含まれる半導体は上記のもの以外でもよい。バッファ層12はInP以外に例えばInGaAsなどの化合物半導体でもよい。半導体基板10はInP以外にGaAs基板またはSiC基板などでもよい。また、実施例1はウェーハ20から受光素子を製造する例としたが、受光素子以外の半導体素子が製造されてもよい。
【0028】
外周部24は、ウェーハ20の端部から幅2mm以内の領域である。
図2に示すように端部付近にクロスハッチ25が多く発生するため、幅2mm以内の領域をエッチングすることで、クロスハッチ25を効果的に除去することができる。外周部24の全周をエッチングすることで、クロスハッチ25をさらに効果的に除去することができる。ウェーハ20のサイズなどに応じて外周部24の幅は変更してもよく、例えば幅1mm以内の領域、幅3mm以内の領域でもよい。
【0029】
図3(d)に示すように、ウェーハ20および実装基板30の一方を他方に対してスライドさせることで、ウェーハ20を実装基板30から分離する。図示しないが、ウェーハ20および実装基板30との間には、ワックス32が残存している。クロスハッチ25をエッチングすることで、分離する際のウェーハ20の割れを抑制することができる。ウェーハ20を実装基板30に貼り付けるためにワックス32以外の粘着剤を用いてもよい。
【0030】
図1(d)のように吸収層14を外周部24から完全に除去することで、クロスハッチ25も除去し、半導体基板10の割れを効果的に抑制することができる。
図4は変形例に係る半導体装置の製造方法を例示する断面図である。
図4の例のように、例えば1μm以下の厚さの吸収層14を外周部24に残存させてもよい。研磨後の半導体基板10の厚さは100μm以上であり、残存する吸収層14よりもはるかに厚い。したがって半導体基板10の強度は高く、割れが抑制される。
【0031】
ウェーハ20の強度を高めるために、n型電極34を厚くすることも考えられる。しかしウェーハ20のダイシングが難しくなる。実施例1によれば、n型電極34を厚くすることなく、ウェーハ20の割れを抑制することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 半導体基板
12 バッファ層
14 吸収層
16 InP層
18 InGaAs層
20 ウェーハ
22 レジストマスク
24 外周部
25 クロスハッチ
30 実装基板
32 ワックス
34 n型電極