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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】内部建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/32 20060101AFI20220412BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20220412BHJP
   E06B 3/70 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
E06B7/32 B
E06B5/00 E
E06B3/70 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018077771
(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公開番号】P2019183550
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】真木 梨華子
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 那由加
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-1989(JP,A)
【文献】特開2011-84866(JP,A)
【文献】実開昭57-29796(JP,U)
【文献】特開2004-68254(JP,A)
【文献】特開平10-37610(JP,A)
【文献】特開平4-70486(JP,A)
【文献】特開2009-174311(JP,A)
【文献】実開平4-87990(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54- 3/88
5/00- 5/20
7/00- 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状に形成され、建物内部の壁に形成された開口部を開閉する本体部と、
前記本体部の内周縁に嵌合した状態で保持され、上下方向に並列配置されると共に内部建具の厚み方向の一方向から押圧されることにより前記本体部から取り外すことが可能とされた第1面材と、前記第1面材が前記本体部から取り外されることにより、前記第1面材が配置されていた側へ前記本体部に対して摺動し、前記本体部から取り外し可能とされた第2面材と、を有する複数の面材と、
を含む内部建具。
【請求項2】
前記本体部は、前記複数の面材に比べて剛性が低く設定されている、
請求項1に記載の内部建具。
【請求項3】
前記本体部は、前記複数の面材に比べて剛性が高く設定されている、
請求項1に記載の内部建具。
【請求項4】
前記第1面材は、前記第1面材を挟んで一方側の空間から他方側の空間の一部を視認可能に形成されている、
請求項1~3の何れか1項に記載の内部建具。
【請求項5】
前記第1面材の一部は、前記第1面材を挟んで一方側の空間と他方側の空間とを連通する通気部とされる、
請求項4に記載の内部建具。
【請求項6】
前記第1面材は、透かし彫りが施された装飾パネルにより構成される、
請求項4又は請求項5に記載の内部建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部建具に関する。
【背景技術】
【0002】
地震発生などにより建物が歪むと、建物内部の壁に形成された開口部と、当該開口部を開閉する内部建具とが干渉し、内部建具の開閉操作ができないことがある。このような状況においては、居住者が建物内部の居室に閉じ込められて居室の外へ脱出することが出来ないおそれがある。
【0003】
これに対して、下記特許文献1には、建物に形成された開口枠の吊元側の縦枠回りに開閉するドア本体が設置され、当該ドア本体の内周側には、ドア本体の吊元側に縦軸回りに開閉自在に支持される非常脱出扉が収納された非常脱出扉付きドアが開示されている。この先行技術によれば、ドア本体が開閉不能になった時、非常脱出扉をドア本体の吊元側の縦軸回りに回転させて開放させることで、住居者が室外へ脱出可能とされている。
【文献】特開平10-148067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、先行技術による場合、非常脱出扉がドア本体に保持されるために、ヒンジ等の別部材をドア本体に取り付ける必要がある。そのため、ドアの外観の意匠性が損なわれる場合がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、地震等の災害発生時に居住者が室内へ閉じ込められることを防止し、かつ、外観の意匠性を良好に保つことができる内部建具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る内部建具は、枠状に形成され、建物内部の壁に形成された開口部を開閉する本体部と、前記本体部の内周縁に嵌合した状態で保持され、かつ、着脱可能とされる複数の面材と、を含んで構成されている。
【0007】
第1の態様に係る内部建具では、内部建具は、枠状に形成された本体部と、当該本体部の内周縁に嵌合した状態で保持される複数の面材と、を含んで構成されている。これにより、ヒンジ等の別部材を用いることなく本体部に面材を保持させることができる。その結果、内部建具の構成を簡易なものとすることができる。また、ヒンジ等の別部材を用いて面材を保持する構成と比べて、内部建具の外観の意匠性を良好に保つことができる。
【0008】
また、内部建具の本体部に保持された複数の面材は着脱可能とされている。このため、地震等の災害発生時に建物が歪み、内部建具の開閉操作ができない場合には、面材を本体部から取り外して脱出口を形成することができる。
【0009】
さらに、地震等の災害発生時には、例えば、建物内の家具等が横転して内部建具の可動領域を塞ぎ、内部建具の開閉操作ができなくなる場合が想定される。ここで、本態様では、本体部に嵌合された面材を取り外すことで脱出口を形成することができる。このため、本体部に対して開閉操作が可能な面材を設ける場合と比べて、省スペースで脱出口を形成することができ、横転した家具等の障害物によって脱出口の形成が妨げられることを防止することができる。
【0010】
このように、第1の態様に係る内部建具では、地震等の災害発生時に、居住者が室内へ閉じ込められることが防止される。
【0011】
第2の態様に係る内部建具は、第1の態様に係る内部建具において、前記本体部は、前記複数の面材に比べて剛性が低く設定されている。
【0012】
第2の態様に係る内部建具では、本体部の剛性を複数の面材に比べて低く設定することで、地震等の災害発生時に建物が歪み、建物内部に形成された開口部と内部建具の本体部が干渉すると、開口部と干渉する本体部の外周縁が変形される。これにより、建物の歪によって本体部の内周縁と面材が変形することが抑制され、本体部から面材を取り外すことができなくなることが防止される。その結果、地震等の災害発生時における内部建具の脱出機能が担保される。
【0013】
第3の態様に係る内部建具は、第1の態様に係る内部建具において、前記本体部は、前記複数の面材に比べて剛性が高く設定されている。
【0014】
第3の態様に係る内部建具では、本体部の剛性を複数の面材に比べて高く設定することで、地震等の災害発生時に建物が歪み、建物内部に形成された開口部と内部建具の本体部が干渉しても、本体部の内周縁と面材が変形することが抑制される。これにより、本体部から面材を取り外すことができなくなることが防止され、地震等の災害発生時における内部建具の脱出機能が担保される。さらに、内部建具が建物における高強度部となり、地震等の災害発生時に建物が歪むことを抑制することができる。
【0015】
第4の態様に係る内部建具は、第1の態様~第3の態様のいずれか1つに係る内部建具において、前記複数の面材は、建物上下方向に並列配置され、少なくとも、前記本体部の上端部に嵌合された第1面材と、前記第1面材の下方側に並列配置される第2面材と、を含んで構成されている。
【0016】
第4の態様に係る内部建具では、複数の面材は、建物上下方向に並列配置され、少なくとも、前記本体部の上端部に嵌合された第1面材と、前記第1面材の下方側に並列配置される第2面材と、を含んで構成される。このため、横転した家具等の障害物によって内部建具の下端部近傍の領域が塞がれた場合であっても、複数の面材をドア幅方向に並列配置する場合と比べて、横転した家具等影の干渉を避けながら本体部から面材を取り外すことができる。これにより、簡単に脱出口を形成することができる。
【0017】
第5の態様に係る内部建具は、第4の態様に係る内部建具において、前記第1面材は、前記第1面材を挟んで一方側の空間から他方側の空間の一部を視認可能に形成されている。
【0018】
第5の態様に係る内部建具では、前記第1面材を挟んで一方側の空間にいる居住者が、他方側の空間の一部を視認することができる。これにより、地震等の災害発生時に内部建具の開閉操作ができなくなった場合でも、第1面材を通して他方側の様子を即座に把握することができる。また、通常時においても、内部建具を挟んで一方側の空間にいる居住者は、第1面材を介して他方側の空間への広がりを感じながら過ごすことができる。これにより、内部建具を閉止した状態の閉塞感が緩和され、建物内を開放感のある空間とすることができる。
【0019】
第6の態様に係る内部建具は、第4の態様又は第5の態様に係る内部建具において、前記第1面材の一部は、前記第1面材を挟んで一方側の空間と他方側の空間とを連通する通気部とされている。
【0020】
第6の態様に係る内部建具では、第1面材が通気部とされていることにより、内部建具の閉止状態においても内部建具を挟んで隣接した空間との通気性を確保することができる。これにより、建物内部の居住スペースにおけるプライバシー確保と快適性の向上を両立させることができる。また、地震等の災害発生時に、火災が2次災害として発生した場合に、第1面材が火災による煙の流路となることができる。これにより、煙を建物内部の上方側の空間に誘導することが促進され、居住者の生存領域となる下方側の空間を確保しやすくなる。
【0021】
第7の態様に係る内部建具は、第4の態様~第6の態様のいずれか1つに係る内部建具において、前記第1面材は、透かし彫りが施された装飾パネルにより構成されている。
【0022】
第7の態様に係る内部建具では、第1面材が、透かし彫りが施された装飾パネルとされている。これにより、地震等の災害発生時に居住者が室内へ閉じ込められることを防止することができると共に、内部建具の意匠性を更に向上させることができる。
【0023】
第8の態様に係る内部建具は、第4の態様~第7の態様のいずれか1つに係る内部建具において、前記第2面材は、前記第1面材を前記本体部から取り外すことにより、着脱可能とされている。
【0024】
第8の態様に係る内部建具では、横転した家具等の障害物によって内部建具の下端部近傍の領域が塞がれた場合に、本体部の上端部に嵌合された第1面材から確実に取り外すことができ、続いて第2面材の取り外しを行うことで容易に脱出口を形成することができる。
【0025】
第9の態様に係る内部建具は、第4の態様~第8の態様のいずれか1つに係る内部建具において、前記複数の面材は、前記第1面材と、前記第2面材と、前記第2面材の下方側に並列配置される第3面材により構成され、前記第1面材及び第3面材は、内部建具の厚み方向の一方向から押圧されることにより前記本体部から取り外すことが可能とされ、前記第2面材は、前記第1面材と前記第3面材が前記本体部から取り外されることにより前記本体部に対して下方側に摺動可能とされ、かつ、前記本体部から取り外すことが可能とされている。
【0026】
第9の態様に係る内部建具では、 地震等の災害発生時に内部建具の開閉操作ができなくなった場合に、まず、第1面材及び第3面材を内部建具の厚み方向の一方側から押圧して本体部から取り外し、その後、第2面材を本体部に対して下方側に摺動可能とし、本体部から取り外すことができる。このため、簡単な手順により、脱出口を形成することができる。また、複数の面材を上方側へ持ち上げる作業を要しないで本体部から取り外すことができるため、脱出口を形成するための負担を抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、第1の態様に係る内部建具は、地震等の災害発生時に居住者が室内へ閉じ込められることを防止し、かつ、外観の意匠性を良好に保つことができるという優れた効果を有する。
【0028】
第2の態様に係る内部建具は、本体部から面材を取り外すことができなくなることが防止され、地震等の災害発生時における内部建具の脱出機能を担保することができるという優れた効果を有する。
【0029】
第3の態様に係る内部建具は、本体部から面材を取り外すことができなくなることが防止され、地震等の災害発生時における内部建具の脱出機能を担保することができると共に、建物が歪むことを抑制することができるという優れた効果を有する。
【0030】
第4の態様に係る内部建具は、横転した家具等の障害物によって内部建具の下端部近傍の領域が塞がれた場合であっても、複数の面材をドア幅方向に並列配置する場合と比べて、横転した家具等の干渉を避けながら本体部から面材を取り外すことができるという優れた効果を奏する。
【0031】
第5の態様に係る内部建具は、地震等の災害発生時に第1面材を通して他方側の様子を即座に把握することができると共に、通常時においても、建物内を開放感のある空間とすることができるという優れた効果を有する。
【0032】
第6の態様に係る内部建具は、建物内部の居住スペースにおけるプライバシー確保と快適性の向上を両立させることができると共に、火災発生時に、第1面材によって煙を建物内部の上方側の空間に誘導することが促進され、居住者の生存領域となる下方側の空間を確保しやすくなるという優れた効果を有する。
【0033】
第7の態様に係る内部建具は、地震等の災害発生時に居住者が室内に閉じ込められることを防止すると共に、内部建具の意匠性を更に向上させることができるという優れた効果を有する。
【0034】
第8の態様に係る内部建具は、横転した家具等の障害物によって内部建具の下端部近傍の領域が塞がれた場合に、本体部の上端部に嵌合された第1面材から確実に取り外すことができ、続いて第2面材の取り外しを行うことで容易に脱出口を形成することができるという優れた効果を有する。
【0035】
第9の態様に係る内部建具は、簡単な手順により、脱出口を形成することができると共に、脱出口を形成するための負担を抑制することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第一実施形態に係る内部建具を建物内部の壁に形成された開口部に組み付けた状態を概略的に示す概略正面図である。
図2図1に示される内部建具の分解斜視図である。
図3図1に示される内部建具の一部を切り欠いて、内部建具の内部構造を概略的に示す正面図である。
図4】(A)は、図1の4A-4A線に沿って切断した状態を概略的に示す概略断面図であり、(B)は、図1の4B-4B線に沿って切断した状態を概略的に示す概略断面図であり、(C)は、図1の4C-4C線に沿って切断した状態を概略的に示す概略断面図である。
図5図1に示される内部建具の第1面材の変形例を示す図である。
図6】第2実施形態に係る内部建具の一部を切り欠いて、内部建具の内部構造を概略的に示す、図3に対応する正面図である。
図7】第3実施形態に係る内部建具を建物内部の壁に形成された開口部に組み付けた状態を概略的に示す、図1に対応する概略正面図である。
図8図7に示される内部建具の分解斜視図である。
図9】(A)は、図7の9A-9A線に沿って切断した状態を概略的に示す概略断面図であり、(B)は、図7の9B-9B線に沿って切断した状態を概略的に示す概略断面図であり、(C)は、図7の9C-9C線に沿って切断した状態を概略的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(第1実施形態)
以下、図1図5を用いて、第1実施形態に係るドア10について説明する。
【0038】
(全体構成)
【0039】
図1には、ドア10を建物内部の壁2に形成されたドア開口部4に組み付けた状態を廊下8側から見て示す正面図が示されている。一例として、壁2は、建物内部の居室6と廊下8とを間仕切りする間仕切壁とされている。また、壁2には正面視で鉛直方向を長手方向とする略矩形状の開口部5が形成されており、この開口部5にドア枠20が固定されることにより、ドア開口部4が形成されている。
【0040】
ドア枠20は、開口部5の長辺に固定される一対の縦枠20A、20Bと、開口部5の上方側の短辺に固定される横枠20Cと、から構成されている。本実施形態では、縦枠20Bの上端部と下端部に図示しないヒンジが固定されており、当該ヒンジを介して縦枠20Bの長手方向を軸方向としてドア10が回転可能に支持されている。なお、本実施形態では、廊下8側にいる居住者が、ドア10を手前に引いて回転させることで、ドア開口部4を開放可能とされている。
【0041】
ドア10は、枠状に形成された本体部12と、本体部12の内周縁14に嵌合して保持され、かつ、着脱可能とされる第1面材16及び第2面材18と、を備えている。なお、ドア開口部4が本発明における「開口部」に相当し、ドア10が本発明における「内部建具」に相当する。また、第1面材16及び第2面材18が本発明における「複数の面材」に相当する。
【0042】
(本体部12の構成)
【0043】
図2に示されるように、本体部12は、ドア10の外周部を構成しており、正面視で鉛直方向を長手方向とする略矩形枠状に形成されている。この本体部12の内周縁14には、後述する第1面材16と第2面材18とが着脱可能に嵌合されている。
【0044】
図1に示されるように、本体部12のドア幅方向両側部における縦枠20Bと対向して配置された一方側は、図示しない一対のヒンジを介して縦枠20Bに支持されている。また、縦枠20Aと対向して配置された他方側には、長手方向の中間部にドア10の開閉操作を行うレバーハンドル22が取り付けられている。なお、本体部12の長手方向の寸法は、縦枠20A、20Bの長手方向の寸法よりも若干短く設定されている。そして、本体部12の下端部を床面3から若干浮かせた位置に配置させることで、本体部12の下端部と床面3との間に所謂ドアアンダーカットと称される隙間24が形成されている。
【0045】
図3に示されるように、本体部12は、一例として、本体部12の外周縁を構成する矩形枠状の外周フレーム30と、外周フレーム30の内側に配置され、本体部12の内周縁(内周縁14)を構成する矩形枠状の内周フレーム32を備えている。外周フレーム30と内周フレーム32とは、複数の中桟34によって連結されている。また、外周フレーム30と内周フレーム32と中桟34とによって区画される内部空間には、ウレタン製とされた剛性の低い芯材36が収容されている。さらに、本体部12における居室6側に面した側面と、廊下8に面した側面は、薄板状の表面材38で覆われている(図4参照)。なお、上記した外周フレーム30と、内周フレーム32と、中桟34と、表面材38とは、一例として木製とされている。
【0046】
このように、本体部12の構造は、木製のフレーム部材の内部に剛性の低い芯材36が収容された構造とされている。このため、本体部12の剛性は、無垢材により構成される後述する第1面材16及び第2面材18の剛性と比べて低く設定されている。なお、芯材36を、パルプ材等、他の剛性の低い芯材によって構成してもよい。
【0047】
図3に示されるように、内周フレーム32は、正面視で幅方向両側部を構成する縦フレーム32A、32Bと、縦フレーム32A、32Bの長手方向の上端部間を連結する上フレーム32Cと、縦フレーム32A、32Bの長手方向の下端部間を連結する下フレーム32Dと、によって構成されている。
【0048】
図2及び図4(C)に示されるように、縦フレーム32A、32Bには、長手方向の下端部に内周縁14の内側に向かって凸をなす側面突出部40がそれぞれ形成されおり、ドア幅方向に沿って対向するように配置されている。この側面突出部40は平板状とされ、正面視で鉛直方向を長手方向とする長尺形状とされている。
【0049】
一方、図2及び図4(A)に示されるように、上フレーム32Cには、鉛直下方側に凸をなす上突出部42が形成されている。上突出部42は、上フレーム32Cにおけるドアの厚み方向の内側端部(居室6側の端部)に形成されている。従って、上フレーム32Cのドアの厚み方向に沿った断面形状は、廊下8側、かつ、鉛直下方側に開口した略L字形状とされている。換言すると、上フレーム32Cには、廊下8側に面した端部から居室6側に面した端部にかけて鉛直下方側へ降下する段差部が形成されている。
【0050】
一方、下フレーム32Dには、鉛直下方側に凹をなす下溝部44が形成されている。下溝部44は、下フレーム32Dのドア幅方向略中央部に設けられ、平面視でドア幅方向を長手方向とする長尺形状とされている。
【0051】
(第1面材16の構成)
【0052】
図2に示されるように、第1面材16は、板状体として構成され、一例として、無垢材とされている。具体的には、第1面材16は、正面視でドア幅方向を長手方向とする略矩形状の板体からなる平板部16Aを備えている。また、平板部16Aの上端部、かつ、ドア幅方向における外側端部(廊下8側端部)には、鉛直上方側に凸をなす上フランジ部16Bが形成されている。さらに、平板部16Aの下端部、かつ、ドア幅方向における外側端部(廊下8側端部)には、鉛直下方側に凸をなす下フランジ部16Cが形成されている。従って、第1面材16のドアの厚み方向に沿った断面形状は、居室6側に凸をなす略ハット形状とされている。
【0053】
ここで、図4(A)に示されるように、第1面材16をドア10に組み付けた状態では、上フランジ部16Bは、本体部12の上突出部42に嵌合されている。一方、下フランジ部16Cは、後述する第2面材18の中間突出部18Bに嵌合されている。
【0054】
なお、第1面材16は、本体部12に後述する第2面材18を取り付けた後に、本体部12の内周縁14の上方側に形成される略矩形状の開口部に対し、廊下8側から挿入される。ここで、第1面材16の寸法は、当該開口部の寸法より若干大きく設定されている。このため、第1面材16は、第2面材18が嵌合された状態の本体部12に廊下8側から圧入されている。
【0055】
また、第1面材16が本体部12に取り付けられた状態では、第1面材16の上フランジ部16Bと本体部12の上突出部42とが当接し、かつ、第1面材16の下フランジ部16Cと第2面材18の中間突出部18Bとが当接する位置で第1面材16の居室6側への移動が規制される。これにより、第1面材16は、居室6側から押圧荷重を加えない限り、本体部12から取り外すことができない構成とされている。
【0056】
このように、第1面材16は、本体部12の上端部と、本体部12のドア幅方向の両側部と、第2面材18の上端部と、に嵌合され、本体部12に保持されている。
【0057】
なお、第1面材16は無垢材とされる構成に限らず、一例として図5(A)~(C)に示されるように、様々な態様を採用することができる。
【0058】
例えば、図5(A)に示されるように、第1面材16を、正面視で略矩形状のフレーム90と、このフレーム90内側に保持される透明のパネル部材92と、によって構成してもよい。当該構成によれば、第1面材16を挟んで一方側の空間から他方側の空間の一部を視認可能に形成されている。パネル部材92は、一例としてガラス製として構成されている。なお、パネル部材92を樹脂製として構成してもよい。
【0059】
また、図5(B)に示されるように、第1面材16を、所謂ガラリと称される通風部材としてのガラリ94として構成してもよい。一例として、ガラリ94は、正面視で略矩形状のフレーム96と、フレーム96の内側にドア幅方向に沿って長尺形状をなす複数の板体98が架け渡されている。また、複数の板体98は鉛直方向に沿って所定の間隔を空けて配置されているため、隣接する板体98の隙間から、第1面材16を挟んで一方側の空間と他方側の空間とが連通されている。
【0060】
また、図5(C)に示されるように、第1面材16を、格子状に形成された格子網100をして構成してもよい。この場合であっても、第1面材16を挟んで一方側の空間から他方側の空間の一部を視認可能に形成されていると共に、第1面材16を挟んで一方側の空間と他方側の空間とが連通されている。
【0061】
その他、図示はしないが、第1面材16を、正面視略矩形状のパネル部材に透かし彫りを施した装飾パネルにより構成してもよい。当該構成においても、図5(A)~(C)に示される変形例と同様第1面材16を挟んで一方側の空間から他方側の空間の一部を視認可能に形成されていると共に、第1面材16を挟んで一方側の空間と他方側の空間とが連通されている。
【0062】
(第2面材18の構成)
【0063】
図1及び図4(A)に示されるように、第2面材18は、第1面材16の下方側に並列配置されており、本体部12の内周縁14に嵌合されている。なお、本実施形態では、本体部12に第1面材16及び第2面材18が組み付けられた状態では、本体部12と第1面材16及び第2面材18は略面一となるように構成されている。
【0064】
図2に示されるように、第2面材18も第1面材16と同様に板状体として構成され、一例として、無垢材とされている。第2面材18は、正面視で鉛直方向を長手方向とする略矩形状の板体からなる平面部18Aを備えている。また、平面部18Aの上端部には、鉛直上方側に凸をなす中間突出部18Bが形成されている。中間突出部18Bは、第2面材18におけるドアの厚み方向の内側端部(居室6側の端部)に形成されている。従って、第2面材18の上端部は、ドアの厚み方向に沿った側面視で、廊下8側、かつ、鉛直上方側に開口した略L字形状とされている。換言すると、第2面材18の上端部には、廊下8側に面した端部から居室6側に面した端部にかけて鉛直上方側へ上昇する段差部が形成されている。
【0065】
また、上記した通り、第1面材16及び第2面材18をドア10に組み付けた状態では、中間突出部18Bに第1面材16の下フランジ部16Cが嵌合されている(図4(A)参照)。
【0066】
一方、図2及び図4(C)に示されるように、平面部18Aにおけるドア幅方向左右の側部、かつ、下端部には、平面部18Aの内側に向かって凸をなすスリット状の切欠き部18Cがそれぞれ形成されている。切欠き部18Cは、ドアの厚み方向に沿った側面視で、鉛直方向を長手方向とする長尺形状とされている。また、当該側面視において、鉛直下方側に開放された略コ字形状とされている。
【0067】
また、図2に示されるように、上記した一対の切欠き部18C、18Cは、本体部12を構成する内周フレーム32に設けられた一対の側面突出部40、40に対応して配置されている。そして、第2面材18を本体部12に組み付けた状態では、切欠き部18Cの下端部から側面突出部40が挿入されて嵌合する構成とされている。これにより、第2面材18のドア幅方向両側部が、本体部12のドア幅方向両側部に保持される。
【0068】
一方、図2に示されるように、平面部18Aの下端部には、鉛直下方へ向かって凸をなす下突出部18Dが形成されている。下突出部18Dは、平面部18Aのドア幅方向略中央部、かつ、下端部に設けられ、平面視でドア幅方向を長手方向とする長尺形状とされている。
【0069】
図4(A)に示されるように、下突出部18Dは、本体部12を構成する内周フレーム32に設けられた下溝部44に対応しており、第2面材18を本体部12に組み付けた状態では、下溝部44に下突出部18Dが挿入されて、嵌合する構成とされている。これにより、第2面材の下端部が本体部12の下端部に保持される。
【0070】
なお、第2面材18の切欠き部18Cに挿入される側面突出部40は、ドアの厚み方向における寸法が、切欠き部18Cの寸法より若干小さく設定されている。また、本体部12の下溝部44に挿入される下突出部18Dは、ドアの厚み方向における寸法が、下溝部44の寸法より若干小さく設定されている。このため、本体部12から第1面材16を取り外して第2面材18を鉛直上方へ引き上げると、第2面材18は側面突出部40に支持されながら本体部12に対して摺動する構成とされている。そして、第2面材18が所定の高さまで移動されると、切欠き部18Cと側面突出部40との嵌合状態が解除されると共に、下溝部44と下突出部18Dとの嵌合状態が解除される。これにより、第2面材18を本体部12から取り外すことができる構成とされている。
【0071】
(作用・効果)
【0072】
次に、第1実施形態の作用並びに効果について、説明する。
【0073】
本実施形態に係る内部建具としてのドア10は、枠状に形成され、建物内部の壁に形成されたドア開口部4を開閉する本体部12と、本体部12の内周縁14に嵌合して保持され、かつ、着脱可能とされる第1面材16と第2面材18と、を含んで構成されている。
【0074】
図1及び図2に示されるように、第1面材16及び第2面材18は、ヒンジ等の別部材を用いることなく本体部12に保持されている。このため、ドア10の構成を簡易なものとすることができる。また、ヒンジ等の別部材を用いて第1面材16及び第2面材18を保持する構成と比べて、ドア10の外観の意匠性を良好に保つことができる。
【0075】
さらに、地震等の災害発生時にドア10の開閉操作ができなくなった場合には、まず、居室6側から第1面材16を押圧し、本体部12から取り外した後、第2面材18を鉛直上方側に引き上げることにより、本体部12から取り外すことができる。これにより、簡単な手順によって脱出口を形成することができ、居室6内に住居者が閉じ込められることを防ぐことができる。
【0076】
さらに、地震発生時には、建物内の家具等が横転してドア10の可動領域を塞ぎ、内部建具の開閉操作ができなくなる場合が想定される。本実施形態においては、廊下8側で家具等が横転し、ドア10の近傍が塞がれ、ドア10を解放状態にすることができなくなる場合である。この際、例えば、本体部12の内周縁のドア幅方向両側部の一方側を軸として、本体部12に対してドアの厚み方向に回転可能に固定される面材を設ける構成とすると、横転した家具等の障害物によって面材の可動領域も塞がれるため、脱出口を形成することができない。これに対し、本実施形態にでは、第1面材16及び第2面材18は本体部12に嵌合されて保持されているため、嵌合状態を解除することで本体部12から取り外すことができる。このため、第1面材16及び第2面材18の可動域を確保する必要がなく、省スペースで脱出口を形成することができる。その結果、横転した家具等の障害物によって脱出口の形成が妨げられることを防止することができる。
【0077】
また、本実施形態のドア10では、ドア10の外周部を構成する本体部12の剛性が、本体部12の内側に収容される第1面材16及び第2面材18の剛性に比べて低く設定されている。これにより、建物の歪によって本体部12の内周縁14と第1面材16及び第2面材18が変形することが抑制され、本体部12から第1面材16及び第2面材18を取り外すことができなくなることが防止される。
【0078】
すなわち、地震等の災害発生時に建物が歪むと、建物内部に形成されたドア開口部4が変形され、ドア10の本体部12と干渉する状態となる。この際、例えば、本体部12と、第1面材16及び第2面材18の剛性が同一となるように構成すると、建物側からの荷重入力により本体部12が変形すると、本体部12を介して第1面材16及び第2面材18にも荷重が入力される。この場合、第1面材16及び第2面材18も本体部12と同様に変形し、内周縁14から取り外せなくなるおそれがある。これに対し、本実施形態では、本体部12の剛性を第1面材16及び第2面材18の剛性に比べて低く設定しているため、建物側から本体部12に荷重が入力されると、本体部12の外周縁が変形される。これにより、本体部12の内周縁及び第1面材16、第2面材18に荷重が入力されることが抑制される。その結果、第1面材16及び第2面材18の変形を防止し、本体部12から取り外せなくなることが防止される。その結果、地震等の災害発生時におけるドア10の脱出機能が担保される。
【0079】
また、第1面材16、第2面材18は、ドア10の上下方向に並列配置され、本体部12に嵌合されている。具体的には、第1面材16が本体部12の上端部に嵌合されており、第2面材18が第1面材16の下方側に配置されている。このため、横転した家具等の障害物によってドア10の下端部近傍の領域が塞がれた場合であっても、横転した家具等影の干渉を避けながら本体部12から第1面材16及び第2面材18を取り外すことができる。その結果、容易に脱出口を形成することができる。
【0080】
すなわち、横転した家具等の障害物によってドア10の下端部近傍の領域が塞がれた場合に、本体部12の内周縁14に嵌合される複数の面材がドア幅方向に並列配置される構成とすると、各面材がドア10の下方側で家具等の障害物と干渉するおそれがある。このため、各面材を本体部12から取り外す作業に影響を与えかねない。これに対し、本実施形態では、第1面材16、第2面材18が、ドア10の上下方向に並列配置される構成とされる。このため、ドア10の上方側に配置された第1面材16はドア10の下方側の領域を塞ぐ障害物の干渉を受けないため、本体部12から容易に取り外すことができる。これにより、簡単に脱出口を形成することができる。
【0081】
また、本実施形態では、第1面材16のデザインを適宜設定することによりドア10の防災機能を向上させると共にドア10の意匠性を向上させることができる。
【0082】
例えば、図5(A)に示されるように、第1面材16一部を、透明のパネル部材92によって構成することにより、第1面材16を挟んで一方側の空間から他方側の空間の一部を視認可能に形成されている。これにより、地震等の災害発生時にドア10の開閉操作ができなくなった場合でも、第1面材16を通して他方側の様子を即座に把握することができる。また、通常時においても、居室6にいる居住者は、第1面材16を介して廊下8側の空間への広がりを感じながら過ごすことができる。これにより、ドア10を閉止した状態の閉塞感が緩和され、建物内を開放感のある空間とすることができる。
【0083】
さらに、図5(B)に示されるように、第1面材16を、ガラリ94として構成することにより、第1面材16を挟んで一方側の空間と他方側の空間とが連通されている。当該構成によれば、ドア10の閉止状態においても居室6と廊下8との間の通気性を確保することができる。これにより、建物内部の居住スペースにおけるプライバシー確保と快適性の向上を両立させることができる。また、地震等の災害発生時に火災が2次災害として発生した場合に、第1面材16が火災による煙の流路となることができる。これにより、煙を建物内部の上方側の空間に誘導することが促進され、居住者の生存領域となる下方側の空間を確保しやすくなる。
【0084】
さらに、図5(C)に示されるように、第1面材16を、格子状に形成された格子網100とすることにより、第1面材16を挟んで一方側の空間から他方側の空間の一部を視認可能に形成されていると共に、第1面材16を挟んで一方側の空間と他方側の空間とが連通されている。よって、上記した図5(A)及び(B)に示される構成と同様の効果を発揮することができる。
【0085】
さらに、第1面材16を、正面視略矩形状のパネル部材に透かし彫りを施した装飾パネルにより構成することにより、第1面材16を挟んで一方側の空間から他方側の空間の一部を視認可能に形成されていると共に、第1面材16を挟んで一方側の空間と他方側の空間とが連通されている。よって、上記した図5(A)~(C)に示される変形例と同様の効果を発揮することができる。また、ドア10の意匠性を更に向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、第2面材18は、第1面材16を本体部12から取り外すことによって、本体部12に対して鉛直上方へ摺動可能とされ、第2面材18を所定の高さまで引き上げると本体部12から取り外すことができる構成とされている。すなわち、第2面材18は、第1面材16を本体部12から取り外すことにより、着脱可能とされている。これにより、横転した家具等の障害物によってドア10の下端部近傍の領域が塞がれた場合に、本体部12の上端部に嵌合された第1面材16から確実に取り外すことができ、続いて第2面材18の取り外しを行うことで簡単に脱出口を形成することができる。
【0087】
さらに、本実施形態では、第1面材16及び第2面材18が本体部12から容易に着脱可能とされる。これにより、各面材のデザインを容易に変更することができるため、本体部12の汎用性を高めると共に、ドア10の意匠性を向上させることが可能となる。
【0088】
(第2実施形態)
以下、図6に基づいて第2実施形態に係るドア46について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。この第2実施形態においては、ドア46の本体部12の剛性が、第1面材16及び第2面材18と比べて高く設定されている点が第1実施形態と異なる。なお、ドア46が本発明における「内部建具」に相当し、第1面材16及び第2面材18が本発明における「複数の面材」に相当する。
【0089】
この図に示されるように、ドア46の外周部を構成する本体部12は、本体部12の外周縁を構成する矩形枠状の外周フレーム30と、外周フレーム30の内側に配置され、本体部12の内周縁(内周縁14)を構成する矩形枠状の内周フレーム32を備えている。外周フレーム30と内周フレーム32とは、複数の中桟34によって連結されている。また、外周フレーム30と、内周フレーム32と、中桟34と、で区画される内部空間には、鋼板等の金属製とされる剛性の高い芯材48が収容されている。そして、本体部12の内周縁14には、無垢材からなる第1面材16及び第2面材18が嵌合され、保持されている。これにより、本体部12の剛性が、第1面材16及び第2面材18と比べて高く設定されている。
【0090】
(作用・効果)
【0091】
次に、第2実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0092】
本実施形態に係るドア46は、本体部12の剛性が、第1面材16及び第2面材18と比べて高く設定されている。当該構成によれば、本体部12の剛性を複数の面材に比べて高く設定することで、地震等の災害発生時に建物が歪み、建物内部に形成されたドア開口部4とドア46の本体部12が干渉しても、本体部12の内周縁14と第1面材16及び第2面材18が変形することが抑制される。これにより、本体部12から第1面材16及び第2面材18を取り外すことができなくなることが防止される。その結果、地震等の災害発生時におけるドア46の脱出機能が担保される。
【0093】
さらに、当該構成によれば、本体部12が建物における高強度部となり、地震等の災害発生時に建物が歪むことを抑制することができる。
【0094】
(第3実施形態)
以下、図7図9に基づいて第3実施形態に係るドア50について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。この第3実施形態においては、ドア50の本体部12の内周縁14に、上述した第1面材16と、第2面材52と、第3面材54とが嵌合して保持される点が第1実施形態と異なる。なお、ドア50が本発明における「内部建具」に相当し、第1面材16と、第2面材52と、第3面材54が本発明における「複数の面材」に相当する。
【0095】
図7に示されるように、第1面材16、第2面材52、第3面材54は、鉛直上方側から下方側へこの順に並列配置されている。そして、本体部12の内周フレーム32に嵌合されている。
【0096】
図7に示されるように、本体部12の内周フレーム32を構成する縦フレーム32A、32Bの長手方向の中間部には、内周縁14の内側に向かって凸をなす側面突出部56がそれぞれ形成されおり、ドア幅方向に沿って対向するように配置されている。側面突出部56は平板状とされ、正面視で鉛直方向を長手方向とする長尺形状とされている。
【0097】
また、内周フレーム32を構成する下フレーム32Dに、鉛直上方側に凸をなす突出部58が形成されている。突出部58は、下フレーム32Dにおけるドアの厚み方向の内側端部(居室6側の端部)に形成されている。従って、下フレーム32Dのドアの厚み方向に沿った断面形状は、廊下8側、かつ、鉛直上方側に開口した略L字形状とされている。換言すると、下フレーム32Dには、廊下8側に面した端部から居室6側に面した端部にかけて鉛直上方側へ上昇する段差部が形成されている。なお、内周フレーム32を構成する上フレーム32Cは第1実施形態と同様の構成であるため、記載を省略する。
【0098】
図7に示されるように、第2面材52は、板状体として構成され、一例として、無垢材とされている。具体的には、第2面材52は、正面視でドア幅方向を長手方向とする略矩形状の板体からなる平面部52Aを備えている。また、平面部52Aの上端部、かつ、ドア幅方向における内側端部(居室6側端部)には、鉛直上方側に凸をなす突出部52Bが形成されている。さらに、平面部52Aの下端部、かつ、ドア幅方向における内側端部(居室6側端部)には、鉛直下方側に凸をなす突出部52Cが形成されている。従って、第2面材52のドアの厚み方向に沿った断面形状は、廊下8側に凸をなす略ハット形状とされている。
【0099】
また、第2面材52のドア幅方向左右の側部、かつ、上端部には、平面部52Aの内側に向かって凸をなすスリット状の切欠き部52Dがそれぞれ形成されている。切欠き部52Dは、突出部52Bの上端部から鉛直下方側へ形成されており、ドアの厚み方向に沿った側面視で、鉛直方向を長手方向とする長尺形状とされている。また、当該側面視において、鉛直上方側に開放された略コ字形状とされている。
【0100】
図8(C)に示されるように、当該一対の切欠き部52D、52Dは、上記した内周フレーム32の一対の側面突出部56、56に対応して配置されている。そして、第2面材52を本体部12に組み付けた状態では、第2面材52の上端部から一対の側面突出部56、56が一対の切欠き部52D、52Dに挿入されて嵌合する構成とされている。これにより、第2面材52ドア幅方向両側部が、本体部12のドア幅方向両側部に保持されている。なお、第2面材52の切欠き部52Dに挿入される側面突出部56は、ドアの厚み方向における寸法が、切欠き部52Dの寸法より若干小さく設定されている。このため、本体部12から第3面材54を取り外すと、第2面材52は、側面突出部56に支持されながら本体部12に対して鉛直下方へ摺動する構成とされている。そして、第2面材52が所定の高さま降下すると、切欠き部52Dと側面突出部56との嵌合状態が解除される。これにより、第2面材52を本体部12から取り外すことができる構成とされている。
【0101】
なお、第3面材54は上述した第1実施形態の第1面材16と同様に、無垢材からなる板状体として構成され、正面視でドア幅方向を長手方向とする略矩形状の板体からなる平板部54Aを備えている。また、平板部54Aの上端部、かつ、ドア幅方向における外側端部(廊下8側端部)には、鉛直上方側に凸をなす上フランジ部54Bが形成されている。さらに、平板部54Aの下端部、かつ、ドア幅方向における外側端部(廊下8側端部)には、鉛直下方側に凸をなす下フランジ部54Cが形成されている。
【0102】
なお、本体部12に第2面材52が嵌合された状態では、本体部12の内周縁14には、第2面材52を挟んで上下方向の両側に略矩形状の開口部が形成される。そして、第2面材52の上方側の開口部に、廊下8側から第1面材16が圧入されている。一方、第2面材52の下方側の開口部に、廊下8側から第3面材54が圧入されている。
【0103】
上記構成によれば、第1面材16及び第3面材54を上記した各開口部に廊下8側から挿入すると、第1面材16は、上フランジ部16Bと本体部12の上突出部42とが当接し、かつ、下フランジ部16Cと第2面材52の突出部52Bとが当接する位置で第1面材16の居室6側への移動が規制される。一方、第3面材54は、上フランジ部54Bと第2面材52の突出部52Cとが当接し、かつ、下フランジ部54Cと本体部12の突出部58とが当接する位置で第3面材54の居室6側への移動が規制される。これにより、第1面材16及び第3面材54は、居室6側(ドアの厚み方向の一方向)から押圧荷重を与えない限り、本体部12から取り外すことができない構成とされている。
【0104】
さらに、上述した通り、第2面材52は、第2面材52の下方側に配置された第3面材54を本体部12から取り外した状態とすることを条件として、本体部12から取り外すことができる。
【0105】
(作用・効果)
【0106】
次に、第3実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0107】
本実施形態に係るドア50は、本体部12の内周縁14に、第1面材16、第2面材52、第3面材54が本体部12の上端部から下方側へこの順に並列配置されている。また、地震等の災害発生時にドア50の開閉操作ができなくなった場合には、まず、第1面材16及び第3面材54を居室6側から押圧して、本体部12から取り外す。すると、第2面材52が本体部12に対して鉛直下方へ摺動する。そして、第2面材52が所定の高さまで降下すると、切欠き部52Dと側面突出部56との嵌合状態が解除され、第2面材52を本体部12から取り外すことができる。このように、本実施形態では、簡単な手順により、脱出口を形成することができる。また、第1面材16及び第3面材54を居室6側から押圧するという手順は、居住者が自重を利用して行えるものであり、第2面材52を本体部12に対して鉛直下方へ摺動させる手順は第2面材52の自重を利用して行うことができる。このため、本体部12から各面材を取り外す際の作業負担が少ない。そのため、子供や、女性、高齢者であっても容易に脱出口を形成することができる。
【0108】
(上記実施形態の補足説明)
【0109】
上記した第1実施形態~第3実施形態の第1面材16と、第3実施形態の第3面材54は、居室6側から押圧することにより本体部12から取り外すことができる構成としたが本発明はこれに限らない。廊下8側から押圧することにより、本体部12から取り外すことができる構成としてもよい。
【0110】
また、上記した第1実施形態~第3実施形態では、複数の面材がドア10、46、50の上下方向に並列配置される構成としたが本発明はこれに限らない。複数の面材をドア10、46、50の幅方向に並列配置される構成としてもよい。
【0111】
また、上記した第1実施形態~第3実施形態では、ドア10、46、50は建物内部に形成されたドア開口部4の幅方向一側部を吊元側として、当該一側部を軸にドア10、46、50の厚み方向に回転可能とされる構成としたが、本発明はこれに限らない。ドア10、46、50を所謂引き戸として構成してもよい。
【0112】
また、上記した第1実施形態及び第2実施形態では、本体部12を構成する内周フレーム32に一対の側面突出部40、40を設け、平面部18Aのドア幅方向左右の側部に形成される切欠き部18Cに嵌合させる構成としたが、本発明はこれに限らない。当該側面突出部40及び切欠き部18Cを設けない構成としてもよい。
【0113】
また、上記した第1実施形態及では、芯材36をウレタン製としたが、本発明はこれに限らない。芯材36をパイル材として構成し、本体部12の剛性を第1面材16及び第2面材18と比べて低く設定してもよい。
【0114】
また、上記した第2実施形態では、本体部12を内部に金属製の芯材48が収納される構成とし、第1面材16及び第2面材18を無垢材によって構成されるものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、本体部12を無垢材によって構成されるものとし、第1面材16及び第2面材18を内部にウレタン製の芯材が収納される板体として構成することにより、本体部12の剛性を第1面材16及び第2面材18と比べて高く設定してもよい。
【符号の説明】
【0115】
2 壁
4 ドア開口部(開口部)
10 ドア(内部建具)
12 本体部
14 内周縁
16 第1面材(面材)
18 第2面材(面材)
46 ドア(内部建具)
50 ドア(内部建具)
52 第2面材(面材)
54 第3面材(面材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9