(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】基板めっき用組成物及びこれを用いためっき方法
(51)【国際特許分類】
C25D 3/38 20060101AFI20220412BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20220412BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20220412BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20220412BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20220412BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20220412BHJP
H05K 3/42 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
C25D3/38 101
C25D7/00 J
C25D7/12
H05K1/11 N
H05K3/18 H
H05K3/40 K
H05K3/42 610B
(21)【出願番号】P 2018007275
(22)【出願日】2018-01-19
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】10-2017-0010018
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リ ジン-ウク
(72)【発明者】
【氏名】キム アエ-リム
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒエ-リ
(72)【発明者】
【氏名】オ ハエ-スン
(72)【発明者】
【氏名】リム ウン-ジュン
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105734623(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102286761(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D3/00-3/66,7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルアンモニウムハライドと、
ホルムアルデヒド及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーから選択された1種のみと、
を含み、ポリエチレングリコール
及びポリプロピレングリコールを含まない、
酸性銅電解溶液の組成物であり、
基板めっき用組成物の全重量に対して、0.0003重量%超過、0.01重量%未満のアルキルアンモニウムハライドを含む基板めっき用組成物。
【請求項2】
酸、銅塩、及び塩素イオン化合物を含む請求項1に記載の基板めっき用組成物。
【請求項3】
前記アルキルアンモニウムハライドは、下記化学式1の化合物である請求項1または請求項2に記載の基板めっき用組成物。
[化学式1]
【化3】
【請求項4】
前記アルキルアンモニウムハライドは、10~30個の炭素で構成される請求項3に記載の基板めっき用組成物。
【請求項5】
前記アルキルアンモニウムハライドは、
N(CH
3)
3(C
4H
9)
+X
-、N(CH
3)
3(C
8H
17)
+X
-、N(CH
3)
3(C
12H
25)
+X
-、N(CH
3)
3(C
16H
33)
+X
-、N(CH
3)
3(C
20H
41)
+X
-、N(C
2H
5)
3(C
4H
9)
+X
-、N(C
2H
5)
3(C
8H
17)
+X
-、N(C
2H
5)
3(C
12H
25)
+X
-、N(C
2H
5)
3(C
16H
33)
+X
-、N(CH
3)
4
+X
-、N(C
2H
5)
4
+X
-、N(C
3H
7)
4
+X
-、N(C
4H
9)
4
+X
-、及びN(C
7H
15)
4
+X
-から選択される1種以上であり、Xは、Cl、Br、またはIである請求項3または請求項4に記載の基板めっき用組成物。
【請求項6】
前記アルキルアンモニウムハライドは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(Cetyltrimethylammonium bromide、CTAB)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(Cetyltrimethylammonium chloride、CTAC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(Dodecyltrimethylammonium chloride、DTAC)、及びドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(Dodecyltrimethylammonium bromide、DTAB)から選択された1種以上である請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の基板めっき用組成物。
【請求項7】
前記ホルムアルデヒド及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーから選択された1種以上は、前記基板めっき用組成物の全重量に対して、0.0001~0.5重量%含まれる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の基板めっき用組成物。
【請求項8】
前記基板めっき用組成物が、アルキルアンモニウムハライドと、エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーとを含むとき、
前記エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーは、
分子量が1、000~100、000である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基板めっき用組成物。
【請求項9】
前記基板めっき用組成物が、アルキルアンモニウムハライドと、エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーとを含むとき、
前記エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーは、コポリマー内のエチレンオキシド部分率が1/3以上である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の基板めっき用組成物。
【請求項10】
表面改質剤をさらに含む請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の基板めっき用組成物。
【請求項11】
前記表面改質剤は、分子量が50~1500である請求項10に記載の基板めっき用組成物。
【請求項12】
基板めっき用組成物の全重量に対して、0.0001~1重量%の表面改質剤を含む請求項10または請求項11に記載の基板めっき用組成物。
【請求項13】
基板にビアホールを形成する段階と、
前記ビアホールが形成された基板を、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の基板めっき用組成物に接触させた後に電流を印加してビアホールを充填し、表面めっき成長は抑制してめっきする段階と、を含む基板めっき方法。
【請求項14】
前記ビアホールを充填してめっきする段階の前に、基板表面及びビアホールの上面にシード層を形成する段階をさらに含む請求項13に記載の基板めっき方法。
【請求項15】
前記ビアホールを充填してめっきする段階の後に、
前記基板の表面を第2めっき用組成物によりめっきする段階をさらに含む請求項13または請求項14に記載の基板めっき方法。
【請求項16】
前記基板は、銅張積層板(Copper Clad Laminate、CCL)である請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の基板めっき方法。
【請求項17】
前記表面めっき成長は、表面めっきの厚さが1μm以下に抑制される請求項13から請求項16のいずれか1項に記載の基板めっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板めっき用組成物(Composition for plating of substrate)及びこれを用いた基板めっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板(printed circuit board:PCB)を含んでいる電子機器が軽量化、小型化及び高密度化されることにより、多層プリント回路基板の製造方式としてビルドアップ(build-up)工法が使用されている。ビルドアップ工法において重要なことの一つは、ビアホールを金属により充填し、層間を通電できるようにすることである。ビアフィルめっきに使用される代表的な金属としては、銅があり、通常ビアフィルめっきは、電解めっき方式により行われる。
【0003】
電解めっき方式によりビアフィルめっきする場合、基板の表面にもめっきされるため、表面めっきの厚さが増加することになる。ビアフィルめっきの効率が低いほど、表面めっきの厚さが大きく増加する。ビアフィルめっき用めっき液の場合、通常的にビアフィルめっき効率を調整するために、添加剤として有機物質をめっき液に含ませる。添加された有機物質は、主な機能に応じて、便宜上、抑制剤、平坦剤、加速剤、または光沢剤等と呼ばれている。
【0004】
基板がますます薄型化されることにより、薄い厚さの表面めっきが求められている。薄い厚さの表面めっきが要求される場合、要求される厚さ分だけめっきすると、ビアフィルめっきが不十分となり、プリント回路基板の製造時に欠陷の発生することがある。このため、ビアフィルめっきが完了するまでめっきを施した後に、超過した表面めっきの厚さを再び薄くする方式が使用される。目標する表面めっきの厚さを超過した場合は、通常エッチングまたはグラインディング等の表面めっきの厚さを薄くする工程が必要になる。これにより、プリント回路基板の製造効率性が低くなり、厚さの均一度も悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国登録特許 第10-1072338号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アルキルアンモニウムハライドと、ホルムアルデヒド及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマー(EO-PO copolymer)から選択された1種以上と、を含み、基板表面においての電着抑制の効果を極大化することにより、ビアホールの内部の析出を相対的に活発にさせて、基板表面はめっきされずに、ビアホールのみを効率的に均一にビアフィルめっきされるようにする、基板めっき用組成物及びこれを用いためっき方法に関する。
【0007】
本発明の一側面によれば、アルキルアンモニウムハライドと、ホルムアルデヒド及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーから選択された1種以上と、を含む、基板めっき用組成物が提供される。
【0008】
本発明の一実施例によれば、上記基板めっき用組成物は、酸性銅電解溶液組成物であることができる。
【0009】
本発明の一実施例によれば、上記基板めっき用組成物は、酸、銅塩、及び塩素イオン化合物を含むことができる。
【0010】
本発明の一実施例によれば、上記アルキルアンモニウムハライドは、下記化学式1の化合物であることができる。
【化1】
【0011】
本発明の一実施例によれば、上記アルキルアンモニウムハライドは、10~30個の炭素で構成されることができる。
【0012】
本発明の一実施例によれば、上記アルキルアンモニウムハライドは、N(CH3)3(C4H9)+X-、N(CH3)3(C8H17)+X-、N(CH3)3(C12H25)+X-、N(CH3)3(C16H33)+X-、N(CH3)3(C20H41)+X-、N(C2H5)3(C4H9)+X-、N(C2H5)3(C8H17)+X-、N(C2H5)3(C12H25)+X-、N(C2H5)3(C16H33)+X-、N(CH3)4
+X-、N(C2H5)4
+X-、N(C3H7)4
+X-、N(C4H9)4
+X-、及びN(C7H15)4
+X-から選択される1種以上であることができ、Xは、Cl、Br、またはIである。
【0013】
本発明の一実施例によれば、上記アルキルアンモニウムハライドは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(Cetyltrimethylammonium bromide、CTAB)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(Cetyltrimethylammonium chloride、CTAC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(Dodecyltrimethylammonium chloride、DTAC)、及びドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(Dodecyltrimethylammonium bromide、DTAB)から選択された1種以上であることができる。
【0014】
本発明の一実施例によれば、上記基板めっき用組成物の全重量に対して、0.0003重量部超過、0.01重量部未満のアルキルアンモニウムハライドを含むことができる。
【0015】
本発明の一実施例によれば、上記ホルムアルデヒド及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーから選択された1種以上は、上記基板めっき用組成物の全重量に対して、0.0001~0.5重量部含まれることができる。
【0016】
本発明の一実施例によれば、上記エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーは、1、000~100、000の分子量を有することが好ましい。
【0017】
本発明の一実施例によれば、エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーは、コポリマー内のエチレンオキシド部分率が1/3以上であるコポリマーが好ましい。
【0018】
本発明の一実施例によれば、上記めっき用組成物は、表面改質剤をさらに含むことができる。
【0019】
本発明の一実施例によれば、上記表面改質剤は、50~1500の分子量を有することが好ましい。
【0020】
本発明の一実施例によれば、基板めっき用組成物の全重量に対して、0.0001~1重量部の表面改質剤を含むことができる。
【0021】
本発明の他の側面によれば、第1絶縁層と、上記第1絶縁層の上面に形成された第1銅箔層と、上記第1銅箔層の上面に形成された第2絶縁層と、上記第2絶縁層を貫通し、上記第1銅箔層の上面まで形成されたビアホールと、を含む基板であって、上記ビアホールは、めっきの際に充填されるが、上記ビアホールの周辺の基板表面は、実質的にめっきされない基板が提供される。
【0022】
本発明の一実施例によれば、上記ビアホールに実質的に充填が完了した場合、基板表面には全然めっきされないか、1μm以下の厚さにめっきされることができる。
【0023】
本発明の一実施例によれば、上記ビアホールは、上述した本発明に係る基板めっき用組成物で充填されることを特徴とする。
【0024】
本発明の一実施例によれば、上記基板の表面めっき層の厚さaと、ビアの底から表面めっき層までの厚さbとは、a/b<0.02の関係を有することができる。
【0025】
本発明の一実施例によれば、上記基板の表面めっき層をさらに含むことができる。
【0026】
本発明の一実施例によれば、上記第2絶縁層の上面に形成されたシード層をさらに含むことができる。
【0027】
本発明の一実施例によれば、上記基板は、第1銅箔層と、第2銅箔層と、第1銅箔層と第2銅箔層との間に介在された絶縁層と、上記第2銅箔層と絶縁層とを貫通して第1銅箔層の上面まで形成されたビアと、を含むことができる。
【0028】
本発明のまた他の側面によれば、エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーを含み、酸性銅電解溶液の組成物である基板めっき用組成物が提供される。
【0029】
本発明のまた他の側面によれば、基板にビアホールを形成する段階と、上記ビアホールの形成された基板を上述した本発明の基板めっき用組成物に接触させた後、電流を印加してビアホールを充填し、表面めっき成長は抑制してめっきする段階と、を含む基板めっき方法が提供される。
【0030】
本発明の一実施例によれば、上記ビアホールを充填してめっきする段階の前に、基板表面及びビアホールの上面にシード層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0031】
本発明の一実施例によれば、上記ビアホールを充填してめっきする段階の後に、上記基板表面を第2めっき用組成物によりめっきする段階をさらに含むことができる。
【0032】
本発明の一実施例によれば、上記基板は、銅張積層板(Copper Clad Laminate、CCL)であることができる。
【0033】
本発明の一実施例によれば、上記の表面めっき成長抑制効果により、表面めっきの厚さを1μm以下に抑制することができる。
【0034】
本発明の一実施例によれば、表面めっき成長抑制効果の極大化された基板めっき用組成物を提供し、ビアホールを充填する間に基板表面めっきの厚さがともに増加しないため、めっき厚さのばらつきによる不良を最小化することができる。よって、基板の表面めっきのエッチングまたはグラインディング等の平坦化工程を必要とせず、プリント回路基板を効率的に製作することができる。
【0035】
本発明の一実施例によれば、ビアホールを充填した後に、基板の表面めっきを別に行うことで、基板表面めっきの厚さを自由に調整することができる。基板表面めっき用組成物の選択時にビアフィル特性を考慮しなくても良いので、厚さのばらつきの改善に最も適した組成物を選択すればよく、特別な努力なしで基板の表面めっきの厚さのばらつきを顕著に低減することができる。したがって、基板表面めっきの厚さのばらつきによる、インピーダンスマッチングの不良、テンティング(tenting)製品の未エッチングや過エチングの不良、積層の不良、反り(warpage)の不良等を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施例に係るめっき用組成物を用いて、基板の表面にはめっきされずに、ビアホールのみを充填するめっき(Zero thickness fill(ZTF)plating)を行った後に、基板表面をめっきしたことを概略的に示す基板の断面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るビアフィルめっきのとき、基板の表面めっき層の厚さaと、ビアの底から表面めっき層までの厚さbとの関係を説明するための基板の断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るシード層が含まれた基板めっき方法を概略的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施例において、基板上にドライフィルムパターンの形成された状態での基板めっき方法を概略的に示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施例において、銅張積層板(Copper Clad Laminate、CCL)にビアホールを加工した後に、ビアホールをめっきする方法を概略的に示す断面図である。
【
図6】直径90μm、深み80μmのビアホールを用いて、本発明の一実施例によりビアフィル及び基板の表面めっきを行ったビアの断面と、従来技術によりめっきを行ったビアの断面とを比較した断面写真である。
【
図7】本発明の一実施例に係る直径90μm、深み80μmのビアホールのフィルめっき過程を示すビアホールの断面写真である。
【
図8】本発明の実施例により、直径90μm、深み80μmのビアホールを充填し、基板表面めっきを追加に行って厚さを制御したことを示す断面写真である。
【
図9】本発明の実施例によりビアフィルめっきされた基板の平面写真である。基板の 25箇所の位置を撮影したものであって、全領域にわたって不良なしで均一に充填されたことを示している。
【
図10】本発明の実施例により50ppmのホルムアルデヒドが含まれ、様々な濃度のアルキルアンモニウムハライドが含まれた基板めっき用組成物でビアフィルめっきされた基板の平面写真である。3ppm以下または100ppm以上においては、めっき条件に応じて不良の発生することがある。安定に使用できる濃度の区間が非常に広いことが分かる。
【
図11】本発明の比較例により、酸性銅電解液にアルキルアンモニウムハライドのみが含まれている基板めっき用組成物でめっきした基板の平面写真である。写真に示すように、均一な表面を得にくい。
【
図12】本発明の一実施例により、表面改質剤が添加された基板めっき用組成物でフィルめっきされたビアホールの断面写真である。
【
図13】本発明の一実施例により、表面改質剤が添加された基板めっき用組成物でフィルめっきされたビアホールの断面写真である。
【
図14】本発明の一実施例により、表面改質剤が添加された基板めっき用組成物でフィルめっきされたビアホールの断面写真である。
【
図15】本発明の一実施例により、表面改質剤が添加された基板めっき用組成物でフィルめっきされたビアホールの断面写真である。
【
図16】本発明の一実施例により、CCL基板にビアホールを加工し、化学銅でシード層を形成した後に、ビアフィルめっきを行ったビアの断面写真である。
【
図17】本発明の実施例により、ビアフィルめっきされたビアのエッチング線を示すビアの断面写真である。エッチング線は、ビアフィルめっきと表面めっきとを区分する線である。エッチング線の位置は、ビアフィルめっき量を調整してビア内部の任意の位置に形成させることができる。
【
図18】酸性銅電解液にアルキルアンモニウムハライドが含まれずに、ホルムアルデヒドのみが含まれている基板めっき用組成物でめっきした後の様子(左)と、アルキルアンモニウムハライド及びホルムアルデヒドが含まれている基板めっき用組成物でめっきした後の様子(右)とを比較して示した平面写真である。
【
図19】従来技術であるJCU社のめっき液のVRを使用してビアフィルめっきした様子を示す断面写真である。
【
図20】有機添加剤の含まれていない酸性銅電解溶液によりビアフィルめっきされた様子を示す断面写真である。
【
図21】本発明の一実施例により、アルキルアンモニウムハライド(CTAB)及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーを含む基板めっき用組成物によりビアフィルめっきされた様子を示す平面写真である。
【
図22】本発明の一実施例により、アルキルアンモニウムハライド(DTAB)及びEO-POのコポリマーを含む基板めっき用組成物によりビアフィルめっきされた様子を示す写真である。
【
図23】本発明の実施例により、酸性銅電解溶液にアルキルアンモニウムハライドは含まれずに、様々な濃度のエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーが含まれている基板めっき用組成物を用いてビアフィルめっきした基板の平面写真である。
【
図24】従来技術による表面めっき成長抑制効果の弱い基板めっき用組成物を用いて、めっき時間経過に応ずるめっき成長をシミュレーションした結果を示す図である。
【
図25】本発明の一実施例に係る表面めっき成長抑制効果の強い基板めっき用組成物を用いて、時間経過に応ずるめっき成長をシミュレーションした結果を示す図である。
【
図26】
図25の実施例において、表面めっき抑制剤の量を過度に増加した表面めっき成長抑制効果の強い基板めっき用組成物を用いて、めっき時間経過に応ずるめっき成長をシミュレーションした結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲で使用した用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【0038】
本出願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。
【0039】
本出願において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除するものではないことを理解しなくてはならない。
【0040】
本出願において、ある部分がある構成要素を「含む」とする場合、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書の全般にわたって、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味し、必ず重力方向を基準にして上側に位置することを意味することではない。
【0041】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0042】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0043】
<基板めっき用組成物>
本発明の一側面によれば、アルキルアンモニウムハライドと、ホルムアルデヒド及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマー(EO-PO copolymer)から選択された1種以上とを含む基板めっき用組成物が提供される。
【0044】
上記アルキルアンモニウムハライドは、下記化学式1の化合物であることができる。
【化2】
【0045】
上記アルキルアンモニウムハライドは、アルキル鎖を構成する炭素数が10個以上30個以下であるものが好ましいが、これに限定されない。上記アルキルアンモニウムハライドのアルキル鎖を構成する炭素数が10個未満、または30個を超過する場合は、めっき条件の制約が大きくなる。通常炭素数が10個未満である場合は、表面めっき成長抑制効果が十分ではなく、ビアホールのみを充填する特性が劣り、炭素数が30個を超過する場合は、基板表面に不均一な形態の異常めっきの形成が増加し、めっき条件に制約があり、工程管理も難しくなる問題がある。
【0046】
上記アルキルアンモニウムハライドは、N(CH3)3(C4H9)+X-、N(CH3)3(C8H17)+X-、N(CH3)3(C12H25)+X-、N(CH3)3(C16H33)+X-、N(CH3)3(C20H41)+X-、N(C2H5)3(C4H9)+X-、N(C2H5)3(C8H17)+X-、N(C2H5)3(C12H25)+X-、N(C2H5)3(C16H33)+X-、N(CH3)4
+X-、N(C2H5)4
+X-、N(C3H7)4
+X-、N(C4H9)4
+X-、及びN(C7H15)4
+X-から選択される1種以上であることができ、Xは、Cl、Br、またはIである。しかし、これに限定されない。
【0047】
上記アルキルアンモニウムハライドは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(Cetyltrimethylammonium bromide、CTAB)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(Cetyltrimethylammonium chloride、CTAC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(Dodecyltrimethylammonium chloride、DTAC)、及びドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(Dodecyltrimethylammonium bromide、DTAB)から選択された1種以上であることができ、CTABが最も好ましいが、これに限定されない。
【0048】
上記アルキルアンモニウムハライドは、上記基板めっき用組成物の全重量に対して、0.0003重量部超過0.01重量部未満、0.0003重量部超過0.007重量部以下、0.0003重量部超過0.005重量部以下、0.0005重量部以上0.01重量部未満、0.001重量部以上0.007重量部以下、0.001重量部以上0.01重量部未満、0.001重量部以上0.007重量部以下の範囲に含まれることができ、0.001重量部以上0.005重量部以下に含まれることが好適であるが、これに限定されない。上記アルキルアンモニウムハライドが基板めっき用組成物の全重量に対して、0.0003重量部以下であるか、0.01重量部以上である場合は、基板の表面にもめっきされることがある。本願において、重量部とは、重量%を意味する。
【0049】
上記ホルムアルデヒド及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーから選択された1種以上は、上記基板めっき用組成物の全重量に対して、0.0001~0.5重量部に含まれることが好適であるが、これに限定されない。上記ホルムアルデヒド等が基板めっき用組成物の全重量に対して0.0001重量部未満であるか、0.5重量部超過である場合は、基板の表面にもめっきされることがある。
【0050】
上記エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーの分子量は、1、000~100、000であることができるが、これに限定されない。上記エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーの分子量が1、000未満であるか、100、000超過である場合は、基板表面にもめっきされることがある。
【0051】
上記エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーは、コポリマー内のエチレンオキシド部分率が1/3以上であることが好ましいが、これに限定されない。エチレンオキシド部分率が1/3未満であるエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーを用いる場合は、表面めっきの不良が増加する恐れがある。
【0052】
本発明の基板めっき用組成物は、酸性銅電解溶液の組成物であることができる。
【0053】
上記酸性銅電解溶液の組成物は、酸、銅塩、及び塩素イオン化合物を含むことができる。
【0054】
上記酸は、電解質として電気めっき導電性に必要である。酸としては、硫酸(H2SO4)、塩酸(HCl)、酢酸(CH3COOH)及びフルオロホウ酸(HBF4)から選択される1種以上を用いることができ、硫酸が好適であるが、これに限定されない。硫酸の濃度が高いほど低い液抵抗を提供して電気伝導度は良いが、硫酸銅の含量をともに高める場合は、析出が発生しやすく、硫酸の濃度が低いと均一な電着性が低下することになる。上記酸は、本発明に係る基板めっき用組成物の全重量に対して、0.05重量部~8重量部が好適であるが、これに限定されない。めっき液組成物の主成分である酸は、定期的に分析を行い、補充する必要がある。
【0055】
上記銅塩は、硫酸銅(CuSO4・5H2O)、硝酸銅(Cu(NO3)2)、ホルム酸銅(Cu(HCOO)2)及び塩化第2銅(CuCl2・2H2O)からなる群から1種以上を選択できるが、これに限定されない。
【0056】
上記銅塩の濃度が高いほどフィルめっきには有利であるが、均一な電着性が低下する恐れがある。上記銅塩内の銅の量は、めっき組成物の全重量に対して、0.05~5重量部に含まれることが好適であるが、これに限定されない。上記銅塩内の銅の量がめっき組成物の全重量に対して0.05重量部未満であると、高電流密度部分で燃えることがあり、5重量部を超過すると、析出が発生する傾向にある。
【0057】
上記塩素イオン化合物は、塩化ナトリウム及び塩酸から選択して使用できるが、これに限定されない。塩素イオンの濃度が高い場合は、陽極に不動態被膜が形成され、陽極溶解及び通電性の低下を引き起こし、析出むらが発生する恐れがある。上記塩素イオンは、本発明に係る基板めっき用組成物の全重量に対して、0.0002重量部~0.02重量部が好適であるが、これに限定されない。
【0058】
本発明の基板めっき用組成物は、表面改質剤をさらに含むことができる。
【0059】
上記表面改質剤は、ビアホールのみを充填する必要がある場合に、ビアホールの充填上部の露出面の平坦化及び均一化のためのものである。
【0060】
上記表面改質剤は、分子量が50以上1500以下であるものが好適であるが、これに限定されない。上記表面改質剤の分子量が50未満であるか、1500を超過する場合は、表面改質の効果が低下することがある。好ましくは、上記表面改質剤の分子量は、100~500であることができるが、これに限定されない。
【0061】
上記表面改質剤の濃度は、ビアの大きさ及び電流条件等により本発明の属する技術分野の通常の技術者が適切に調整して使用することができる。上記表面改質剤の濃度は、本発明の基板めっき用組成物の全重量に対して、0.0001重量部から1重量部以下であることができるが、これに限定されない。
【0062】
上記表面改質剤としては、トリアリールメタン染料、アゾール、アゾール誘導体、ピリミジン、ピリミジン誘導体、光沢剤系列から選択される1種以上を用いることができるが、これに限定されない。上記表面改質剤は、本発明の属する技術分野の通常の技術者が、ビアの大きさ及び電流条件等により最適の物質を選択及び組み合わせて用いることができる。
【0063】
上記トリアリールメタン染料は、メチルバイオレット2B、メチルバイオレット6B、メチルバイオレット10B、パラローザニリン、フクシン(ヒドロクロリド塩)、ニューフクシン(New fuchsine、As クロリド)、フクシン酸、フェノールフタレイン、フェノールレッド(Phenol red)、クロロフェノールレッド(Chlorophenol red)、クレゾールレッド(Cresol red)、ブロモクレゾールパープル(Bromocresol purple)、ブロモクレゾールグリーン(Bromocresol green)、マラカイトグリーン(Malachite green)、ブリリアントグリーン(染料)(Brilliant Green(dye))、ブリリアントブルーFCF(Brilliant Blue FCF)、ビクトリアブルーB(Victoria Blue B)、ビクトリアブルーFBR(Victoria Blue FBR)、ビクトリアブルーBO(Victoria blue BO)、ビクトリアブルーFGA(Victoria Blue FGA)、ビクトリアブルー4R(Victoria blue 4 R)、及びビクトリアブルーR(Victoria blue R)から選択できるが、これに限定されない。
【0064】
上記アゾールは、イミダゾール、ピラゾール、1、2、3-トリアゾール、1、2、4-トリアゾール、テトラゾール、ペンタゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1、2、3-オキサジアゾール、1、2、4―オキサジアゾール、プラザン(1、2、5-オキサジアゾール)、1、3、4-オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、1、2、3-チアジアゾール、1、2、4-チアジアゾール、1、2、5-チアジアゾール、及び1、3、4-チアジアゾールから選択できるが、これに限定されない。
【0065】
上記アゾール誘導体は、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、1-イソプロピルイミダゾール、1-ブチルイミダゾール、ベンジイミダゾール、1-ビニルイミダゾール、1、2、4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ピラゾール、ベンゾオキサゾール、及びベンゾチアゾールから選択できるが、これに限定されない。
【0066】
上記ピリミジン誘導体は、シトシン、チアミン、及びウラシルから選択できるが、これに限定されない。
【0067】
上記光沢剤(brightener)は、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸、ビス-(ソジウムスルホプロピル)-ジスルフィド、及びビピリジン等から選択できるが、これに限定されない。
【0068】
<基板>
図1は、本発明の一実施例に係るめっき用組成物を用いて、基板の表面めっきはなされずに、ビアホールのみを充填するめっき(Zero thickness fill(ZTF) plating)を行い、その後、基板の表面をめっきしたことを概略的に示す基板の断面図である(シード層は、図示せず)。
【0069】
図1を参照すると、本発明の他の側面によれば、第1絶縁層10と、上記第1絶縁層10の上面に形成された第1銅箔層20と、上記第1銅箔層20の上面に形成された第2絶縁層12と、上記第2絶縁層12を貫通し、上記第1銅箔層の上面まで形成されたビアホールと、を含む基板であって、上記ビアホールは、めっきのとき充填されるが、上記ビアホール周辺の基板の表面には実質的にめっきされない基板が提供される。
【0070】
本発明において、基板の表面にはめっき用組成物が実質的にめっきされないということは、ビアホールは実質的に充填されるが、基板の表面にはほとんどめっきされないため、基板表面の平坦化及び厚さの調整のためにエッチングまたはグラインディング等が不要となる状態を意味する。これを、本発明では、Zero Thickness Fill(ZTF)と称する。例えば、ビアホールが実質的に充填完了したとき、基板表面にはめっき膜がほとんど形成されていないか、1μm以下の厚さにめっきされた状態を意味するが、これに限定されない。
【0071】
上記ビアホールは、上述した本発明に係る基板めっき用組成物により充填されることを特徴とする。
【0072】
本発明において、上記基板は、プリント回路基板及び半導体基板であることができ、プリント回路基板が好適である。しかし、これに限定されない。
【0073】
本発明において、上記ビアホールは、基板に形成されるブラインドビアホール、トレンチ及び貫通ホールのすべてを含む。
【0074】
図1の(a)を参照すると、第1絶縁層10、第1銅箔層20及び第2絶縁層12が連続して積層されている基板100が示されている。上記プリント回路基板の第2絶縁層12にレーザー等を用いてビアホールを形成する。
【0075】
図1の(b)を参照すると、本発明の一実施例に係る基板めっき用組成物を充填して第2銅箔層22を形成する。
【0076】
上述したように、本発明に係る基板めっき用組成物は、表面めっき成長抑制効果が極大化されて、基板表面にはめっきされずに、ビアホールのみを効率的に均一に充填できるZTFめっきを可能とする。
【0077】
したがって、ビアホールを充填する間に、表面めっきの厚さは増加しないため、増加しためっき厚さによる不良を最小化することができる。また、めっき表面のエッチングまたはグラインディング等の平坦化工程が不要となり、第2銅箔層22を効率的に形成することができる。
【0078】
また、従来の基板めっき用組成物により基板表面にもめっきされる場合は、ビアホールの入口が詰まってボイドが形成されることがあるが、本発明による基板めっき用組成物を用いると、
図1の(b)のように、基板表面にはめっきされないので、ビアホール内にボイドが形成されることはない。
【0079】
さらに、表面めっき成長抑制効果が極大化され、基板表面はめっきされずに、ビアホールのみを効率的に均一に充填できるので、電流が低減され、経済的である。
【0080】
図1の(c)は、本発明の基板めっき用組成物により第2銅箔層22を形成した後に、第2めっき用組成物により表面めっき層24を形成したことを示す図である。上記第2めっき用組成物としては、均一度を向上させられるめっき液組成物を用いることができる。この均一度を向上させられるめっき用組成物としては、通常公知の組成物を用いることができ、これにより、めっき厚さのばらつきを最小化することができる。上記均一度を向上させられる公知のめっき用組成物としては、例えば、Enthone社のST-2000が挙げられる。
【0081】
したがって、追加のエッチングまたはグラインディング工程を行わずに、基板の表面めっきの厚さを自由に調整でき、基板の表面めっきの厚さのばらつきを顕著に改善できる。したがって、基板の表面めっきの厚さのばらつきによる、インピーダンスマッチングの不良、テンティング製品の未エッチングや過エッチング等の不良、積層の不良、反りの不良等を改善できる。
【0082】
図2は、本発明の一実施例に係るビアフィルめっき時の基板の表面めっき層の厚さaと、ビアの底から表面めっき層までの厚さbとの関係を説明するための基板100の断面図である。
【0083】
図2を参照すると、本発明の基板めっき用組成物により基板をめっきすると、基板の表面めっき層の厚さaと、ビアの底から表面めっき層までの厚さbとが、a/b<0.02の関係を有する。このとき、上記厚さa及びbは、シード層を除いた厚さである。
【0084】
上記の関係は、本発明に係る基板めっき用組成物の場合、基板の表面めっき成長抑制効果が極大化されて、基板表面にはめっきされずに、ビアホールのみを効率的に均一に充填できるZTFめっきが可能であることを示すものである。
【0085】
したがって、本発明により形成された基板は、ビアホールを断面加工してエッチングする場合、ビアホールのめっきと基板の表面めっき層との間に横または縦にエッチング線を有することができる(
図16及び
図17参照)。
【0086】
図3は、本発明の一実施例に係るシード層が含まれた基板めっき方法を概略的に示す断面図である。
【0087】
図3の(a)を参照すると、上記基板100は、上記第2絶縁層12の上面に形成されるシード層26をさらに含むことができる。上記シード層26は、ビアホール内の第2銅箔層22及び基板の表面めっき層24のめっきの際に、基板の外部から印加される電流が基板表面の全体及びビアホールの内部まで円滑に流れるようにできる。上記シード層26は、金、銀、銅、及びニッケル等の導電性金属から選択される1種以上を用いて形成できるが、これに限定されない。また、上記シード層26は、無電解めっきまたはスパッタリングにより形成できるが、これに限定されない。
【0088】
図3の(b)及び(c)の工程は、
図1の(b)及び(c)の工程と同じである。
【0089】
図4は、本発明の一実施例に係る基板上にドライフィルムパターンが形成されている状態での基板めっき方法を概略的に示す断面図である。
【0090】
図4の(a)を参照すると、ビアホール及びドライフィルム28のパターンが形成されている状態で本発明の基板めっき用組成物によりビアホールを充填した後に、公知のめっき用組成物によりドライフィルム28の厚さ未満に厚さを制御し、平坦に基板表面めっきを施すことができる。
【0091】
図4の(b)及び(c)の工程は、
図1の(b)及び(c)の工程と同じである。
【0092】
図4の(d)を参照すると、基板の表面めっきが完了した後にドライフィルム28を除去すると、基板上に金属表面めっき層24のパターンが平坦に形成された基板を提供することができる。
【0093】
図5は、本発明の一実施例により、厚い銅張積層板300にビアホールを形成した後に、ビアホールをめっきする方法を概略的に示す断面図である(シード層は、図示せず)。
【0094】
図5の(a)を参照すると、上記CCL300は、第1銅箔層310と、第2銅箔層310'と、第1銅箔層310と第2銅箔層310'との間に介在されている絶縁層312と、上記第2銅箔層310'と絶縁層312とを貫通して第1銅箔層310の上面まで形成されたビアホールと、を含んで構成される。
【0095】
図5の(b)を参照すると、上記ビアホールに本発明に係るめっき用組成物を充填して第3銅箔層322を形成することができる。
【0096】
このとき、本発明に係るめっき用組成物は、表面めっき成長抑制効果が極大化されて、基板表面にはめっきされずに、ビアホールのみを効率的に均一に充填できるので、上記第2銅箔層310'に相対的に厚さの厚い銅箔層を用いることができる。これにより、ビアホール及び表面めっきが同時に行われた構造の従来基板に比べて、基板表面の均一度を画期的に改善することができる。
【0097】
上記
図5の(b)を参照すると、本実施例により製造された基板は、その断面をエッチングするとき、ビアホールめっきと基板の表面めっきとの間に縦にエッチング線が現れることになる。
【0098】
<ビアフィルめっき方法>
本発明のまた他の側面によれば、基板にビアホールを形成する段階と、上記ビアホールの形成された基板を本発明によるめっき用組成物に接触させた後に、電流を印加してビアホールを充填し、表面めっき成長は抑制してめっきする段階と、を含む、基板めっき方法が提供される。
【0099】
より具体的には、本発明に係る基板めっき方法は、本発明に係るめっき用組成物に基板を浸漬させ、0.01~5.0A/dm2の電流密度の作業環境及び20~60℃の温度条件下でめっきすることができる。ここで、作業場の環境が20℃未満である場合は、上記組成物間の溶解性に問題があり、60℃超過である場合は、上記組成物の反応性が大きくなり、危険性がある恐れがある。
【0100】
上記ビアホールを充填してめっきする段階の前に、基板の表面及びビアホールの上面にシード層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0101】
上記ビアホールを充填してめっきする段階の後に、上記基板の表面を第2めっき用組成物によりめっきする段階をさらに含むことができる。
【0102】
上記第2めっき用組成物としては、均一度を向上させられるめっき用組成物を用いることができる。上述したように、均一度を向上させられるめっき用組成物としては、公知の組成物を用いることができ、これにより、めっき厚さのばらつきを最小化することができる。上記の均一度を向上させられる公知のめっき用組成物としては、例えば、Enthone社のST-2000が挙げられる。粗い表面を緩和できるめっき用組成物としては、例えば、JCU社のVRが挙げられる。単純に表面のみを高くする場合であれば、有機添加剤の入っていない無機組成のみで構成されためっき液を使用できる。
【0103】
上述の表面めっき成長は、表面めっきの厚さを1μm以下に抑制できる。
【0104】
本発明を下記の実施例を挙げてより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は本発明を例示するものであって、本発明の内容が下記の実施例により限定されることはない。
【実施例】
【0105】
プリント回路基板に90μmの直径及び80μmの深みを有するビアホールを加工した。その後、化学銅めっきを行い、基板表面とビアホールの内部に通電性を付与した。その後、上記ビアホールを、下記の実施例1から16及び比較例1から6の組成を有する電気銅めっき組成物を含むバスで、室温で0.5A/dm2の電流密度及び22℃の温度条件下でめっきを行った後に、フィルめっきされたビアホールの断面または平面を確認した。
【0106】
実施例1から16及び比較例1から6による基板めっき用組成物の組成は、下記表1に示す。
【表1】
【0107】
図6は、直径90μm、深み80μmのビアホールを用いて、本発明の一実施例によりビアフィル及び基板の表面めっきを行ったビアの断面と、従来技術によりめっきしたビアの断面とを比較した断面写真である。
【0108】
従来技術によれば、表面めっきの厚さが20μmとなるようにめっきした場合、直径90μm、深み80μmのビアホールが完全に充填されなかった。ビアホールを完全に充填するためには、めっきを追加に行う必要があり、表面めっきの厚さはさらに厚くなる。
【0109】
これに対して、本発明の場合は、本発明に係るフィルめっき用組成物によりビアホールのみを充填した後に、2次めっきを施して所望する厚さに表面めっきを行うので、ディンプルのない薄い表面めっき厚さを実現することができる。断面のイメージに、1次めっきと2次めっきとを区分できるエッチング線が現れるため、断面に現れたエッチング線の位置がビアホールの周辺に限られる特徴から、本発明によるめっき方法と従来技術とは区別されるものである。
【0110】
図7は、本発明の一実施例に係る直径90μm、深み80μmのビアホールのフィルめっきの過程を示すビアの断面写真である。
【0111】
図7に示すように、本発明のフィルめっき用組成物は、めっき中にも、表面をめっきすることなく、ビアホール内のみをめっきすることが確認できた。
【0112】
図8は、本発明の実施例により、直径90μm、深み80μmのビアホールを充填し、基板の表面めっきを追加に行って基板の表面めっきの厚さを制御したことを示す断面写真である。
【0113】
本発明は、上記フィルめっき用組成物によりビアホールを充填した後に、通常公知のめっき用組成物を用いてめっきするときにめっきの厚さを制御することができ、薄い表面めっきの厚さを有しながらも、ビアホールを充填できることを、
図8により確認できた。
【0114】
図8は、基板において、8μm 、12μm、16μm、及び20μmの表面めっきの厚さを有するように制御した本発明の実施例を示す写真である。
図8に示すように、本発明によれば、平坦でかつ表面めっきの厚さの制御が容易であるビアホールめっき用組成物を提供することができる。
【0115】
図9は、本発明の実施例により、ビアフィルめっきされた基板の平面写真である。基板において25箇所の位置を撮影したものであって、全領域にわたって不良のなく、均一に充填されたことが分かる。
【0116】
すなわち、
図9を参照すると、本発明のビアフィル特性は、局所的なものではなく、基板の全領域にわたって発生することが分かる。よって、基板の表面上にめっきされずに、ビアホールにのみフィルめっきされたことが確認できた。
【0117】
図10は、本発明の実施例により、50ppmのホルムアルデヒドが含まれており、様々な濃度のアルキルアンモニウムハライドが含まれた基板めっき用組成物を用いてビアホールをフィルめっきした基板の平面写真である。
【0118】
図10を参照すると、アルキルアンモニウムハライドの濃度が3ppm及び100ppmである場合(表1の比較例1及び2参照)は、基板の表面上にもめっきが施されたことが分かる。しかし、アルキルアンモニウムハライドの濃度が10~70ppmである場合(表1の実施例1から4参照)は、基板の表面にはめっきされずに、ビアホールのみがフィルめっきされたことを確認できる。これにより、上記アルキルアンモニウムハライドは、3ppm超過、100ppm未満に含まれることが好ましく、10ppm以上、100ppm未満に含まれることがより好ましい。アルキルアンモニウムハライドの分子量または炭素数により適正濃度が変わり得る。ハライドの種類により、すなわち、Cl
-またはBr
-によっても適正濃度の区間が移動するので、使用されるハライドの種類及びめっき条件に合わせて適正濃度の区間を評価して使用することが好ましい。
【0119】
図11は、本発明の比較例により、酸性銅電解液にアルキルアンモニウムハライドのみ含まれている基板めっき用組成物によりビアフィルめっきされた基板の平面写真である。
【0120】
図11の2番目及び3番目の行を参照すると、アルキルアンモニウムハライドが適正量(例えば、10ppm及び30ppmの場合)に含まれていても、ホルムアルデヒドまたはエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーが全然含まれていない場合(表1の比較例3及び4参照)は、基板の表面上に異常めっきが形成されたことが確認された。しかし、上記のホルムアルデヒド及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーから選択された1種以上を含む場合は、
図9及び
図10に示すように、表面めっき成長を抑制する特性がより優秀に制御されたことを確認できる。
【0121】
図12から15は、本発明の一実施例により表面改質剤が添加された基板めっき用組成物によりフィルめっきされたビアの断面写真である。
【0122】
図12から
図15を参照すると、トリアリールメタン染料、アゾール、ピリミジン誘導体、または光沢剤である表面改質剤を含む場合(表1の実施例5から8参照)は、比較的にフィルめっきの露出面が均一に形成されたことが分かる。
【0123】
結果的に、本発明の実施例は比較例とは異なって、基板の表面はめっきされずに、ビアホールのみを効率的に充填できることが確認できた。また、基板上に不均一なめっき領域の発生を制御できることが確認できた。
【0124】
図16は、本発明の一実施例により、任意の厚さの表面を有するCCL基板にホールを加工し、化学銅によりシード層を形成した後に、ビアフィルめっきしたビアの断面写真である。銅箔とビアフィルめっき層とが別に形成されて、基板の表面に縦のエッチング線が現れたことを特徴とする。
【0125】
図16を参照すると、本発明に係る基板めっき用組成物を用いれば、銅箔表面にはめっきされずに、ビアホールのみを充填めっきすることができ、貫通ホールにも適用可能であることが分かる。
【0126】
ターゲットとするめっき厚さを有する銅箔を積層し、本発明の組成物によりめっきした後に、回路エッチング工程またはテンティング工程を経ると、厚さの均一度の高い回路を形成することができる。
【0127】
図17は、本発明の実施例によりビアフィルめっきされたビアのエッチング線を示すビアの断面写真である。エッチング線は、ビアフィルめっきと表面めっきとを区分できる線である。エッチング線の位置は、ビアフィルめっき量を調整し、ビア内部の任意の位置に形成することができる。
【0128】
図17は、本発明の基板めっき用組成物及び通常公知のめっき用組成物を用いてビアフィルめっき及び表面めっきをそれぞれ別の段階で形成し、めっきが完了した後の基板の断面を観察したものである。本発明の実施例によりビアフィルめっきし、ビアの内部を横切るエッチング線が現れることを特徴とする。エッチング線の位置は、必要によって調整することが可能であり、絶縁層の中間に対応して位置することもできる。ビアの表面が平坦でなくても、表面めっきする間に覆われるので、表面めっきの厚さが別に決まっている場合は、表面の形状管理が容易となる。しかし、ビアフィルめっきが十分ではない場合は、表面めっき時にビアホールが完全に充填されないこともあるので(
図17の右側の下を参照)、製品仕様に合わせて適宜位置を選定する必要があり、できれば表面までめっきすることが好ましい。
【0129】
図18は、酸性銅電解液にアルキルアンモニウムハライドが含まれず、ホルムアルデヒドのみが含まれている基板めっき用組成物によりめっきした後の様子(左)と、アルキルアンモニウムハライド及びホルムアルデヒドが含まれている基板めっき用組成物によりめっきした後の様子(右)と比較した平面写真である。
【0130】
すなわち、
図18の左側の写真は、酸性銅電解基板めっき用組成物にアルキルアンモニウムハライドが含まれず、ホルムアルデヒドのみが単独に含まれている場合(表1の比較例5参照)のビアフィルめっき後の様子であり、右側の写真は、ビアホールが充填されている状態を示す比較用写真である。
【0131】
図18の左側の写真に示すように、酸性銅電解基板めっき用組成物にホルムアルデヒドのみ含まれている場合は、酸性銅電解基板めっき用組成物のみによりめっきした結果と同じく、ビアフィル効果がないことが分かった。これにより、ホルムアルデヒド及びアルキルアンモニウムハライドがともに含まれている基板めっき用組成物である場合に限ってビアフィル効果が奏されることが明らかになった。
【0132】
図19は、従来技術であるJCU社のめっき液VRを用いてビアフィルめっきした様子を示す断面写真である。
図19の左側の写真は、1.5ASD30分間めっきした結果を示し、中間の写真は、1.5ASD45分間めっきした結果を示し、右側の写真は、1.5ASD90分間めっきした結果を示しており、ビアのサイズは、直径90μm、深み80μmであった。
【0133】
図19を参照すると、薄いめっきの厚さの場合には、ビアフィルされず、めっき量を増加すると、ビアフィルになるとともに表面めっきの厚さが増加することになった。また、めっき量が増加すると、ディンプル(Dimple)が減少した。90分間めっきを行った結果、表面めっきの厚さが30μmに増加し、まだディンプルが9μmであることが確認された。
【0134】
図20は、有機添加剤を含まない酸性銅電解溶液によりビアフィルめっきした様子を示す断面写真である(ビアのサイズは、直径50μm、深み25μm)。
【0135】
図20を参照すると、アルキルアンモニウムハライド及びホルムアルデヒドを含まない従来技術による酸性銅電解溶液(表1の比較例6参照)によりビアフィルめっきすると、めっき時間が増加してもビアホールは充填されなかった。
【0136】
図21は、本発明の一実施例によりアルキルアンモニウムハライド(CTAB)及びエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーを含む基板めっき用組成物によりビアフィルめっきした様子を示す平面写真である。
【0137】
図21を参照すると、ホルムアルデヒドをEO-POコポリマーに代替して用いた場合(表1の実施例9参照)にも、表面にはめっきされずに、ビアホールがフィルめっきされた。ここで、エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーは、分子量により多少特性が変わり得るので、通常の技術者は、ビアホールの仕様に合わせて適宜分子量を選択して使用することができる。
【0138】
図22は、本発明の一実施例によりアルキルアンモニウムハライド(DTAB)及びEO-POコポリマーを含む基板めっき用組成物によりビアフィルめっきした様子を示す写真である。
【0139】
図22を参照すると、アルキルアンモニウムハライドとしてCTABをDTABに代替し、ホルムアルデヒドをEO-POコポリマーに代替して用いた場合(表1の実施例10参照)にも、表面にはめっきされずに、ビアホールがフィルめっきされた。
【0140】
図23は、本発明の実施例により酸性銅電解溶液にアルキルアンモニウムハライドが含まれず、様々な濃度のエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーが含まれている基板めっき用組成物を用いてビアホールをフィルめっきした基板の平面写真である。
【0141】
図23を参照すると、酸性銅電解溶液にアルキルアンモニウムハライドが含まれず、エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーのみ含まれている基板めっき用組成物を用いても、表面めっきは増加されずに、ビアホールのみを充填することが確認された。また、エチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーが、2.5ppmから50ppmの様々な濃度で含まれている基板めっき用組成物(表1の実施例11から16参照)を用いてZTFが可能であることが分かる。ただし、アルキルアンモニウムハライドとエチレンオキシド-プロピレンオキシドのコポリマーとがともに含まれている基板めっき用組成物に比べて、相対的に均一度が高くなく、可溶濃度の範囲が広くないことがある。
【0142】
図24は、従来技術による表面めっき成長抑制効果の弱い基板めっき用組成物を用いて、めっき時間経過に応ずるめっき成長をシミュレーションした結果を示す図である。
【0143】
図24を参照すると、めっき成長された銅の内部の明るい点は、表面めっき抑制剤が銅の表面に付いて表面めっきを抑制した箇所を点に表示したものである。表面めっき抑制剤の種類に応じて、埋め込まれたり、反応により表面めっきの機能を失った後に液に出てきたり、表面に沿って移動したりするが、ここでは、基本モデルである埋め込みモデルを用いた。
【0144】
ビアホールの内部には、表面めっき抑制剤が少なく分布することが分かる。表面めっき成長抑制効果はあるが、銅の還元を完全に遮断することはできないため、表面も成長しながらビアホールが充填される様相にめっきされている。これは、既存フィルめっき液の典型的なめっきの特性を示す。
【0145】
図25は、本発明の一実施例に係る表面めっき成長抑制効果の強い基板めっき用組成物を用いて、めっき時間経過に応ずるめっき成長をシミュレーションした結果を示す図である。
【0146】
図25を参照すると、表面めっき成長が抑制されながら、ビアホールの内部が充填されている。表面めっき成長抑制効果が強い場合は、ビア表面が粗く成長されることも確認された。めっき初期には、表面にも少しめっきが施されるが、めっきが行われるうちに表面がめっき抑制剤により完全に覆われるため、表面にはこれ以上めっき成長が起こらなくなり、ビアホール内部でのみめっきが行われる。したがって、表面めっき抑制剤の濃度が十分ではないと、表面の全体を覆うことができなくなり、
図10のアルキルアンモニウムハライドの濃度が3ppmである場合と同じく、表面めっき成長が起こり得る。また、アルキルアンモニウムハライドの濃度が充分に高い場合であっても、カバレッジの均一度が悪いと、
図11のように、表面に異常めっきが形成されることがある。しかし、本発明の実施例は、
図25のように、完全な表面めっき遮断効果を有しながらも、均一なカバレッジを示しており、表面めっき成長を抑制するとともにビアホールを充填するビアフィルめっき用組成物である。したがって、
図25は、表面めっきを抑制しながらビアホールの充填を可能とする組成物を用いることにより、表面めっき成長を完全に抑制し、表面に異常めっきが形成されずに、ビアホールを充填する技術が可能であることを示している。
【0147】
図26は、
図25の実施例において表面めっき抑制剤の量を過度に増加した表面めっき成長抑制効果の強い基板めっき用組成物を用いて、めっき時間経過に応ずるめっき成長をシミュレーションした結果を示す図である。
【0148】
図26を参照すると、表面めっき成長抑制効果が強くて、めっき初期から表面めっき成長が厳しく抑制されている。めっきが行われるうちに、ビアホールの内部も抑制剤により覆われることになり、ビアホールの内部においてもめっき成長が止まった。実際のめっきの場合は、続けて電流が印加される状況であるため、シミュレーションとは異なって、めっきが止まる代わりに、
図10のアルキルアンモニウムハライドの濃度が100ppmである場合と同じく、基板の任意の箇所に異常めっきが形成されることになる。
【0149】
以上では、本発明の特定の部分を詳細に説明したが、当業系の通常の知識を有する者にとって、このような具体的技術は、ただ好ましい実施様態であるだけで、これにより本発明の範囲が限定されることはない。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の特許請求項とそれらの等価物により定義されるであろう。
【符号の説明】
【0150】
10 第1絶縁層
12 第2絶縁層
20、310 第1銅箔層
22、310' 第2銅箔層
24 表面めっき層
26 シード層
28 ドライフィルム
100 基板
300 銅張積層板
322 第3銅箔層