(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】全幅がより短い高トルクかつ高出力密度の駆動システム
(51)【国際特許分類】
B60K 17/32 20060101AFI20220412BHJP
B60K 17/12 20060101ALI20220412BHJP
B60K 17/16 20060101ALI20220412BHJP
F16D 3/223 20110101ALI20220412BHJP
F16H 48/08 20060101ALI20220412BHJP
H02K 1/22 20060101ALI20220412BHJP
H02K 1/2706 20220101ALI20220412BHJP
【FI】
B60K17/32 Z
B60K17/12
B60K17/16 Z
F16D3/223
F16H48/08
H02K1/22 A
H02K1/2706
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019184764
(22)【出願日】2019-10-07
【審査請求日】2019-11-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-06
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515301041
【氏名又は名称】アティエヴァ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】エマド、ドララ
(72)【発明者】
【氏名】シュン-チェン フン
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー メイヤー
(72)【発明者】
【氏名】バラズス パルファイ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル テッベ
【合議体】
【審判長】平田 信勝
【審判官】田村 嘉章
【審判官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-263761(JP,A)
【文献】特開2014-147228(JP,A)
【文献】特開平4-339024(JP,A)
【文献】特開2016-135068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0026868(US,A1)
【文献】米国特許第5685798(US,A)
【文献】特開2012-240599(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0039277(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/32
B60K 17/12
B60K 17/16
F16D 3/223
F16H 48/08
H02K 1/22
H02K 1/2706
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空ロータシャフトと、複数の永久磁石を含むロータラミネーションスタックと、複数のスロットがあり、複数の巻線が前記複数のスロットを占有しているステータとを有する電気モータであって、前記ロータラミネーションスタックは、前記中空ロータシャフトを取り囲み、前記中空ロータシャフトに直接装着されている、電気モータと、
前記中空ロータシャフト内に取り付けられている差動ギアアセンブリであって、前記差動ギアアセンブリに結合されている第1の出力シャフトが、前記中空ロータシャフトの第1の端部から前記中空ロータシャフトを出て、前記差動ギアアセンブリに結合されている第2の出力シャフトが、前記中空ロータシャフトの第2の端部から前記中空ロータシャフトを出て、前記中空ロータシャフトの前記第2の端部は、前記中空ロータシャフトの前記第1の端部から遠位にある、差動ギアアセンブリと、
前記第1の出力シャフトに結合され、前記中空ロータシャフトと同軸に位置合わせされている第1の遊星ギアアセンブリと、
第1のCVジョイントコンポーネントであって、第1のCVジョイントハウジング部材と、前記第1のCVジョイントハウジング部材の裏面から延在する第1の複数の遊星ギアキャリア部材とをさらに有し、
前記第1のCVジョイントハウジング部材は、出力駆動シャフトを受ける第1凹部を有し、前記第1の複数の遊星ギアキャリア部材は、前記第1の遊星ギアアセンブリに対応している、第1のCVジョイントコンポーネントと、
第1のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリであって、前記第1のCVジョイント
ハウジング部材の前記第1凹部の底面が、前記第1のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリにより画定される平面
に対して前記第1の出力シャフト側に位置する、第1のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリと、
前記第2の出力シャフトに結合され、前記中空ロータシャフトと同軸に位置合わせされている第2の遊星ギアアセンブリと、
第2のCVジョイントコンポーネントであって、第2のCVジョイントハウジング部材と、前記第2のCVジョイントハウジング部材の裏面から延在する第2の複数の遊星ギアキャリア部材とをさらに有し、
前記第2のCVジョイントハウジング部材は、出力駆動シャフトを受ける第2凹部を有し、前記第2の複数の遊星ギアキャリア部材は、前記第2の遊星ギアアセンブリに対応している、第2のCVジョイントコンポーネントと、
第2のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリであって、前記第2のCVジョイント
ハウジング部材の前記第2凹部の底面が、前記第2のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリにより画定される平面
に対して前記第2の出力シャフト側に位置する、第2のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリと
を備えるパワートレインアセンブリ。
【請求項2】
前記中空ロータシャフトの第1の部分内に取り付けられている第1のロータキャリアベアリングであって、前記第1のロータキャリアベアリングの外側ベアリングレースが、内側ロータ面に結合され、前記第1のロータキャリアベアリングの内側ベアリングレースが、第1のパワートレインアセンブリハウジング部材に結合され、前記第1のパワートレインアセンブリハウジング部材は、前記中空ロータシャフト内へと延在する、第1のロータキャリアベアリングと、
前記中空ロータシャフトの第2の部分内に取り付けられている第2のロータキャリアベアリングであって、前記第2のロータキャリアベアリングの外側ベアリングレースが、前記内側ロータ面に結合され、前記第2のロータキャリアベアリングの内側ベアリングレースが、第2のパワートレインアセンブリハウジング部材に結合され、前記第2のパワートレインアセンブリハウジング部材は、前記中空ロータシャフトへと延在する、第2のロータキャリアベアリングと
をさらに備える、請求項1に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項3】
前記複数の巻線は、矩形断面があるステータワイヤで構成されている、
請求項1または2項に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項4】
前記ロータラミネーションスタックは、
複数の積層と、
第1のロータアセンブリエンドプレートと、
第2のロータアセンブリエンドプレートと、
複数のリベットと
をさらに含み、
前記複数の積層は、前記第1のロータアセンブリエンドプレートと前記第2のロータアセンブリエンドプレートとの間に挟まれ、
前記複数のリベットは、前記第1のロータアセンブリエンドプレート、前記複数の積層および前記第2のロータアセンブリエンドプレートを共に固定する、
請求項1または2に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項5】
中空ロータシャフトと、複数の永久磁石を含むロータラミネーションスタックとを有する電気モータであって、前記ロータラミネーションスタックは、前記中空ロータシャフトを取り囲み、前記中空ロータシャフトに直接装着されている、電気モータと、
前記中空ロータシャフト内に取り付けられている差動ギアアセンブリであって、前記差動ギアアセンブリに結合されている第1の出力シャフトが、前記中空ロータシャフトの第1の端部から前記中空ロータシャフトを出て、前記差動ギアアセンブリに結合されている第2の出力シャフトが、前記中空ロータシャフトの第2の端部から前記中空ロータシャフトを出て、前記中空ロータシャフトの前記第2の端部は、前記中空ロータシャフトの前記第1の端部から遠位にある、差動ギアアセンブリと、
前記第1の出力シャフトに結合され、前記中空ロータシャフトと同軸に位置合わせされ、第1の遊星ギアキャリアを有する第1の遊星ギアアセンブリと、
第1の等速(CV)ジョイントコンポーネントであって、
出力駆動シャフトを受ける第1凹部を有する第1のCVジョイントハウジング部材をさらに有し、前記第1の遊星ギアキャリアと一体的である、第1のCVジョイントコンポーネントと、
前記第2の出力シャフトに結合され、前記中空ロータシャフトと同軸に位置合わせされ、第2の遊星ギアキャリアを有する第2の遊星ギアアセンブリと、
第2のCVジョイントコンポーネントであって、
出力駆動シャフトを受ける第2凹部を有する第2のCVジョイントハウジング部材をさらに有し、前記第2の遊星ギアキャリアと一体的である、第2のCVジョイントコンポーネントと
、
第1のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリであって、前記第1のCVジョイントハウジング部材の前記第1凹部の底面は、前記第1のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリにより画定される平面に対して前記第1の出力シャフト側に位置する、第1のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリと、
第2のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリであって、前記第2のCVジョイントハウジング部材の前記第2凹部の底面は、前記第2のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリにより画定される平面に対して前記第2の出力シャフト側に位置する、第2のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリと
を備えるパワートレインアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の遊星ギアキャリアは、前記第1のCVジョイントハウジング部材の裏面から延在する第1の複数の遊星ギアキャリア部材を有し、
前記第2の遊星ギアキャリアは、前記第2のCVジョイントハウジング部材の裏面から延在する第2の複数の遊星ギアキャリア部材を有する、
請求項5に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項7】
前記中空ロータシャフトの第1の部分内に取り付けられている第1のロータキャリアベアリングであって、前記第1のロータキャリアベアリングの外側ベアリングレースが、内側ロータ面に取り付けられ、前記第1のロータキャリアベアリングの内側ベアリングレースが、第1のパワートレインアセンブリハウジング部材に取り付けられ、前記第1のパワートレインアセンブリハウジング部材は、前記中空ロータシャフト内へと延在する、第1のロータキャリアベアリングと、
前記中空ロータシャフトの第2の部分内に取り付けられている第2のロータキャリアベアリングであって、前記第2のロータキャリアベアリングの外側ベアリングレースが、前記内側ロータ面に取り付けられ、前記第2のロータキャリアベアリングの内側ベアリングレースが、第2のパワートレインアセンブリハウジング部材に取り付けられ、前記第2のパワートレインアセンブリハウジング部材は、前記中空ロータシャフトへと延在する、第2のロータキャリアベアリングと
をさらに備える、請求項5に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項8】
前記電気モータは、複数のスロットがあるステータをさらに有し、複数の巻線が前記複数のスロットを占有し、前記複数の巻線は、矩形断面があるステータワイヤで構成されている、
請求項5から
7のいずれか一項に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項9】
前記ロータラミネーションスタックは、
複数の積層と、
複数のリベットと
をさらに含み、
前記複数の積層は、前記複数のリベットで共に固定される、
請求項5から
7のいずれか一項に記載のパワートレインアセンブリ。
【請求項10】
前記ロータラミネーションスタックは、第1のロータアセンブリエンドプレートおよび第2のロータアセンブリエンドプレートをさらに含み、前記複数の積層は、前記第1のロータアセンブリエンドプレートと前記第2のロータアセンブリエンドプレートとの間に挟まれ、前記複数のリベットは、前記第1のロータアセンブリエンドプレート、前記複数の積層および前記第2のロータアセンブリエンドプレートを共に固定する、
請求項
9に記載のパワートレインアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電気モータに関し、より具体的には、より低い包絡線内に収まる高出力密度の電気自動車パワートレインに関する。
【背景技術】
【0002】
高騰し続ける燃料価格および地球温暖化の悲惨な結果の両方に突き動かされた消費者の要求に応じて、自動車業界は遅まきながら、超低排出高効率車に対するニーズを受け入れ始めている。業界内のいくつかの企業は、より効果的な内燃エンジンを開発することによりこれらの目標を実現しようと試みているが、他の企業は、ハイブリッドドライブトレインまたは全電気ドライブトレインを自社の車両ラインナップに統合中である。しかしながら、消費者の期待を満たすためには、自動車業界は、より環境に優しいドライブトレインを実現しなければならないだけでなく、妥当な水準の性能、範囲、信頼性、安全性およびコストを維持しつつ、そのようにしなければならない。
【0003】
低排出高効率車を実現するための最も一般的なアプローチは、内燃エンジン(ICE)が1または複数の電気モータと組み合わされているハイブリッドドライブトレインの使用を通じたものである。ハイブリッド車両は、従来のICEベースの自動車より燃費が改善されていて車両の排出量がより少ないが、内燃エンジンを含んでいることに起因して、従来の車両と比較すればより低い水準ではあるものの、有害な汚染物質を依然として排出してしまう。加えて、内燃エンジンおよび付随バッテリパック付き電気モータの両方を含んでいることに起因して、ハイブリッド車両のドライブトレインは典型的に、従来のICEベースの自動車または全電気式自動車のいずれのものより複雑であり、結果的にコストおよび重量が増加する。従って、いくつかの車両製造業者は、ドライブトレインの複雑さを著しく低減しつつ、電気モータを利用することだけにより汚染源の1つをなくす車両を設計している。
【0004】
様々なハイブリッド車および全電気式自動車が知られているが、乗員、カーゴその他車両のコンポーネント/付属品のための利用可能な空間を増やすべく、より低い包絡線内に収まる高出力密度のパワートレインが所望されている。本発明は、そのような改善されたパワートレインを提供する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、(i)電気モータと、(ii)電気モータの中空ロータに取り付けられた差動ギアアセンブリと、(iii)各々が中空ロータと同軸に位置合わせされた遊星ギアアセンブリのペアとで構成されたパワートレインアセンブリを提供する。ロータは、複数の永久磁石を含むロータラミネーションスタックに直接装着されている。パワートレインアセンブリはさらに、CVジョイントハウジング部材を各が含む第1のCVジョイントコンポーネントおよび第2のCVジョイントコンポーネントで構成される。第1の遊星ギアアセンブリに対応する第1の遊星ギアキャリアは、第1のCVジョイントコンポーネントと一体的である。第2の遊星ギアアセンブリに対応する第2の遊星ギアキャリアは、第2のCVジョイントコンポーネントと一体的である。
【0006】
パワートレインアセンブリは、第1のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリおよび第2のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリをさらに含み得る。第1のCVジョイントハウジング部材は、第1のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリにより画定される平面内に位置する。第2のCVジョイントハウジング部材は、第2のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリにより画定される平面内に位置する。第1の遊星ギアキャリアは、第1のCVジョイントハウジング部材の裏面から延在する第1の複数の遊星ギアキャリア部材で構成され得る。第2の遊星ギアキャリアは、第2のCVジョイントハウジング部材の裏面から延在する第2の複数の遊星ギアキャリア部材で構成され得る。
【0007】
パワートレインアセンブリは、中空ロータの第1の部分および第2の部分内に取り付けられている第1のロータキャリアベアリングおよび第2のロータキャリアベアリングをさらに含み得る。第1のロータキャリアベアリングの外側ベアリングレースおよび第2のロータキャリアベアリングの外側ベアリングレースは各々、内側ロータ面に取り付けられている。第1のロータキャリアベアリングの内側ベアリングレースは、中空ロータへと延在する第1のパワートレインアセンブリハウジング部材に取り付けられ、第2のロータキャリアベアリングの内側ベアリングレースは、中空ロータへと延在する第2のパワートレインアセンブリハウジング部材に取り付けられている。
【0008】
パワートレインアセンブリの電気モータは、複数のスロットがあるステータをさらに備える。複数の巻線が複数のステータスロットを占有する。複数の巻線は、矩形断面があるステータワイヤで構成され得る。
【0009】
電気モータのロータラミネーションスタックは、複数のリベットで共に固定されている複数の積層で構成され得る。ロータラミネーションスタックは、第1のロータアセンブリエンドプレートおよび第2のロータアセンブリエンドプレートをさらに含み得る。
【0010】
別の実施形態において、(i)電気モータと、(ii)電気モータの中空ロータに取り付けられた差動ギアアセンブリと、(iii)各々が中空ロータと同軸に位置合わせされた遊星ギアアセンブリのペアとで構成されたパワートレインアセンブリが提供される。ロータは、複数の永久磁石を含むロータラミネーションスタックに直接装着されている。ロータは、複数のスロットを含むステータにより取り囲まれている。複数の巻線がスロットを占有する。好ましくは、巻線は、矩形断面があるステータワイヤで構成される。パワートレインアセンブリはさらに、CVジョイントハウジング部材を各が含む第1のCVジョイントコンポーネントおよび第2のCVジョイントコンポーネントで構成される。第1の遊星ギアアセンブリに対応する第1の複数の遊星ギアキャリア部材が、第1のCVジョイントハウジング部材の裏面から延在する。第2の遊星ギアアセンブリに対応する第2の複数の遊星ギアキャリア部材が、第2のCVジョイントハウジング部材の裏面から延在する。パワートレインアセンブリはさらに、第1のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリおよび第2のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリで構成される。第1のCVジョイントコンポーネントの一部分が、第1のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリにより画定される平面内に位置し、第2のCVジョイントコンポーネントの一部分が、第2のCVジョイントキャリアベアリングアセンブリにより画定される平面内に位置する。本実施形態のパワートレインアセンブリは、中空ロータの第1の部分および第2の部分内に取り付けられている第1のロータキャリアベアリングおよび第2のロータキャリアベアリングをさらに含み得る。第1のロータキャリアベアリングの外側ベアリングレースおよび第2のロータキャリアベアリングの外側ベアリングレースは各々、内側ロータ面に取り付けられている。第1のロータキャリアベアリングの内側ベアリングレースは、中空ロータへと延在する第1のパワートレインアセンブリハウジング部材に取り付けられ、第2のロータキャリアベアリングの内側ベアリングレースは、中空ロータへと延在する第2のパワートレインアセンブリハウジング部材に取り付けられている。電気モータのロータラミネーションスタックは、第1のロータアセンブリエンドプレートと第2のロータアセンブリエンドプレートとの間に挟まれ、かつ、複数のリベットで共に固定されている複数の積層で構成され得る。
【0011】
本発明の性質および利点のさらなる理解が、本明細書の残りの部分および図面を参照することにより実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付図面は、本発明の範囲を例示することだけを意図していて、当該範囲を限定することは意図しておらず、縮尺通りであるとみなされるべきではないことを理解すべきである。加えて、異なる図の同じ参照符号は、同じコンポーネントまたは同様の機能を有するコンポーネントを指すことを理解すべきである。
【0013】
【
図1】従来技術による電気自動車のパワートレインの簡略側面図を提供する。
【0014】
【
図2】本発明によるパワートレインアセンブリの断面図を提供する。
【0015】
【
図3】
図2に示されるステータのより詳細な断面図を提供する。
【0016】
【
図4】当該ステータの一部分の断面図を提供する。
図4により提供される断面図は、
図2および
図3に示される断面図と直交する。
【0017】
【
図5】従来のパワートレインにおける遊星ギアアセンブリに結合されているCVジョイントを示す。
【0018】
【
図6】本発明のパワートレインにおける遊星ギアアセンブリにCVジョイントを結合するために用いられる手段を示す。
【0019】
【
図7】
図6に示されるアセンブリの第2の断面図を提供する。
【0020】
【0021】
【
図9】
図2に示されるパワートレインのロータアセンブリの詳細な斜視図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において用いられるように、単数形を示す「a」、「an」および「the」は、複数形も含むことが意図されている。ただし、そうでないことが文脈上明記されている場合は、この限りでない。本明細書において用いられる「備える」、「有する」および/または「含む」という用語は、述べられている特徴、整数、段階、動作、要素および/またはコンポーネントの存在を指定しているが、1または複数の他の特徴、整数、段階、動作、要素、コンポーネントおよび/またはそれらのグループの存在または追加を除外しない。本明細書において用いられるように、「および/または」という用語および「/」という記号は、列挙された関連項目のうちの1または複数のあらゆる組み合わせを含むことを意図している。加えて、様々な段階または計算を説明するために第1の、第2の等の用語が本明細書において用いられ得るが、これらの段階または計算は、これらの用語により限定されるべきではなく、むしろ、これらの用語は、1つの段階または計算を別のものと区別するためだけに用いられる。例えば、本開示の範囲から全く逸脱することなく、第1の計算は、第2の計算と称され得、同様に、第1の段階は、第2の段階と称され得、同様に、第1のコンポーネントは、第2のコンポーネントと称され得る。
【0023】
図1は、一般的に採用されている電気自動車用パワートレイン100の側面図を提供する。明確にすることを目的として、この図は、ギアの歯を示していない。示されるように、入力ギア101が、アイドラギアアセンブリ105を介して、ディファレンシャルギア103に結合されている。この構成は、設計および製造に対して比較的単純であるが、かなりの体積を必要する。パワートレインの体積を低減すべく、好ましい構成では、トラクションモータを駆動輪軸と同軸に位置合わせしている。この構成は、後輪駆動車両に容易に適合させられているが、ステアリング‐サスペンション連結アセンブリによりパワートレインに課される体積上の制約を仮定すると、これを前輪駆動車両に応用するのは、さらにかなり難しい。
【0024】
遊星-ディファレンシャル-遊星というパワートレイン構成(すなわち、PDP構成)が知られているが、当該構成は現在まで、低速モータの比例設計に用いられてきた。この種類の設計では、ロータラミネーションとロータシャフトとの間にかなりの距離があり、結果的に車両の最高速度が下がる。適切なギアの低減を用いて最高速度の損失を補おうと試みた場合には、加速度が下がる。本設計の発明者らは、十分な車両加速度をなお維持しながら車両速度のより好ましい範囲を実現するために、高速モータの比例設計が低速モータの比例設計に対して好ましいと、広範囲な分析を介して判断している。従って、本発明の目標は、高速モータの比例設計、すなわち、ロータラミネーションがロータシャフトに直接連結されていながらも短い全幅を依然として実現しているものを用いたPDPパワートレインアセンブリを構成することである。
【0025】
図2は、本発明に従って設計されたパワートレインアセンブリ200、すなわち、短い全幅201を実現しているアセンブリ200の断面図を提供する。この幅201は、2つの等速(すなわち、CV)ジョイントコンポーネント205の底面203の間で測定されている。示されるように、所望の高速モータ比例構成を実現すべく、中空ロータシャフト207は、ロータラミネーションスタックに直接連結されている。本発明の要件ではないが、
図2に示される好ましい実施形態において、ラミネーションスタックは、4つの積層209A-209Dで構成される。ロータシャフト207内には、差動ギアアセンブリ211が含まれている。
【0026】
ロータラミネーションスタックを囲んでいるのはステータ213である。この図では、ステータのいずれかの端から延在するステータ巻線215が見える。
図3は、
図2により提供されるものよりさらに詳細なステータ213の断面図を提供する。一方、
図4は、ステータ213の一部分の直交断面図を提供する。
図4に示されるように、ステータ213内のスロット401は、ステータワイヤ403で満たされている。好ましくは、示されるように、ステータワイヤ403は、矩形断面を有する。円形ステータワイヤではなく矩形ステータワイヤを用いることにより、製造許容差のばらつきが低減される。結果として、ステータ巻線がステータのいずれかの端から延在する量、すなわち、寸法301は、ステータワイヤが円形の断面を有する場合に必要とされるものより小さい。この結果として、パワートレインアセンブリの全幅201のさらなる低減を実現することが可能になる。
【0027】
図5に示されるものなど、従来のPDPパワートレイン構成では、CVジョイントの駆動される(すなわち、電力が供給される)部分501は、CVジョイントハウジング503およびマウントカラー505を含む。マウントカラー505は、遊星ギアアセンブリ509の遊星歯車出力シャフト507に結合されている。CVマウントカラー505は、キャリアベアリング511により支持されている。
【0028】
CVジョイントを支持するための従来の手段とは対照的に、また、
図2および
図6に示されるように、本発明は、遊星ギアアセンブリ603に統合されているCVジョイントコンポーネント601を利用する。示されるように、CVジョイントコンポーネント601は、CVジョイントコンポーネントと一体的なCVジョイントハウジング部材605と、遊星ギアアセンブリと一体的な複数の遊星ギアキャリア部材607の両方を含む。遊星ギアキャリアをCVジョイントと一体的なものにすることにより、パワートレインアセンブリの全幅201は、さらに減らされ得る。さらに、この配置の結果として、示されるように、CVジョイントハウジング部材605は、CVジョイントキャリアベアリングアセンブリ611により画定される平面609に属するように構成され得る。故に、この設計は、パワートレイン幅を減らしつつ、同時に、CVジョイントの支持の向上を提供する。
図7は、
図6に示されるアセンブリの第2の断面図を提供する。この断面図は、第2のCVジョイントハウジング部材701と、CVジョイントブート703と、出力駆動シャフト705とを含む。
【0029】
図8に示されるものなどの従来の非アクティブコア電気モータでは、ロータシャフト801は、キャリアベアリング803のペアにより支持される。示されるように、各ベアリング803の内側レース805は、ロータシャフトに固定され、一方で、外側レース807は、ハウジング部材809内で静止状態で保持される。この配置に起因して、ベアリングを収容するための余剰空間が必要になる。この追加の空間は、軸方向、径方向またはその両方のものである。この配置は、アクティブコア、すなわち、ディファレンシャルがロータシャフト内に構築されているものを利用した電気モータにおいて特に問題になり得る(例えば、2を参照されたい)。なぜなら、この種類の配置では、比較的大きい中空ロータシャフトが必要とされるからである。加えて、アクティブコア電気モータでは、シャフトのサイズがより大きいと仮定すると、このベアリング配置により、許容rpm速度が限定される。これらの限定を克服してよりコンパクトなパワートレインを実現するために、本発明は、内側を外側にしたベアリング配置を利用する。
【0030】
図2を参照すると、アセンブリ200は、ロータキャリアベアリング217を、従来のアクティブコアパワートレインでのようにベアリングをロータシャフト207の外側に取り付けるのではなく、ロータシャフト207の内側に取り付けている。これにより、パワートレイン幅201に影響を及ぼす、ベアリングを収容するための追加の体積が必要なくなる。この構成では、これは、ロータシャフトに固定されている外側レース219、およびハウジング部材223に静止状態で固定されている内側レース221である。最小化に加えて、パワートレイン幅に対するロータベアリングの影響を完全になくしはしない場合、この構成により、ベアリングの全体的なサイズも低減し、結果的に許容rpm速度が増す。
【0031】
電気モータが動作するとき、モータがアクティブコアであるか、非アクティブコアであるかどうかにかかわらず、様々な力(例えば、求心力、反応遠心力)がロータに作用する。これらの力は、ディファレンシャルが内部に取り付けられている中空ロータシャフトのサイズに起因して、アクティブコアモータにおいて特に問題になり得る。ロータに対するこれらの力の影響の最小化を支援するために、
図9に示されるように、好ましくは、積層209A-209Dは、ロータアセンブリエンドプレート901のペアの間に保持される。ロータアセンブリ全体、すなわち、積層209A-209Dと、エンドプレート901とは、複数の軸方向に取り付けられたリベット903を用いて、共に固定される。加えて、好ましいロータアセンブリは、熱硬化性接合剤を用いて、ロータマグネット905を対応する積層に接合する。リベット903は、特に、ロータマグネットを積層に接合する処理と組み合わせて用いられる場合、高性能パワートレインに必要とされる回転速度、温度、負荷を操作できる非常に強固かつ硬質なロータアセンブリをもたらす。
【0032】
本発明の詳細を理解するための一助として、システムおよび方法は、一般的な用語で説明されている。いくつかの例において、よく知られている構造、材料および/または動作は、本発明の態様を不明瞭にしないように、詳細については具合的に示されても説明されてもいない。他の例において、本発明の十分な理解を提供すべく、具体的な詳細が与えられている。当業者であれば、本発明が、例えば、特定のシステムまたは装置または状況または材料またはコンポーネントに適合するために、本発明の思想または本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得ることを認識するであろう。従って、本明細書における開示および説明は、本発明の範囲を例示することを意図しており、当該範囲を限定するものではない。