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特許7056847直径が変化するマルチカメラ手術照明デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】直径が変化するマルチカメラ手術照明デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20220412BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
A61B1/04 530
A61B1/06 530
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020507696
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 IL2018050873
(87)【国際公開番号】W WO2019035118
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-07-28
(31)【優先権主張番号】62/546,581
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519104905
【氏名又は名称】270 サージカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】レビー、エイブラハム
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ、モーセ
(72)【発明者】
【氏名】サルマン、ゴラン
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/079662(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0254424(US,A1)
【文献】特表2015-533300(JP,A)
【文献】国際公開第2016/014581(WO,A1)
【文献】特開昭60-196718(JP,A)
【文献】特開昭63-085520(JP,A)
【文献】特表2013-542467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/04
A61B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の断面直径を有する硬質細長部材と、
前記硬質細長部材に直接的に接続される遠位端であって、前記遠位端の前方平坦面に配置される前方カメラ、および、前記遠位端の第1の側面に配置される第1の側方カメラを含む遠位端と
を備える医療用イメージングデバイスであって、
前記遠位端が、第2の断面直径を有し、
前記第2の断面直径が、前記第1の断面直径よりも少なくとも0.02ミリメートル大きく、
前記遠位端が、硬質のシームラインを維持し、前記第1の断面直径と、前記第2の断面直径との差を徐々になくすための傾斜面を有し、
前記遠位端が、前記遠位端の第2の側面に配置される第2の側方カメラを更に含み、
前記第1の側方カメラの方が、前記第2の側方カメラよりも、前記前方平坦面の近くにあり、
前記前方カメラが、前記第1の側面に対してよりも、前記第2の側面に対して近くに配置され
前記第2の側方カメラの視野が、前記前方カメラの視野から切れ目なく続き、前記第1の側方カメラの視野が、前記前方カメラの視野から切れ目なく続く、
医療用イメージングデバイス。
【請求項2】
前記硬質細長部材と、前記遠位端の前記傾斜面とが、接着剤、はんだ付け、ねじ留め機構、および、これらの組合せを含む群から選択される構造を使用して直接的に接続される、
請求項1に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項3】
前記前方カメラ、前記第2の側方カメラ、および前記第1の側方カメラの各ワーキングディスタンスが、1~15ミリメートルの範囲である、
請求項1または2に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項4】
前記第2の側方カメラおよび前記第1の側方カメラが、60~160°の横方向視野を有する、
請求項1から3の何れか一項に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項5】
前記第1の側方カメラおよび前記第2の側方カメラが、前記遠位端の円筒状面にて、前記遠位端の前記円筒状面の互いに反対側になるように実質的に180°離れて配置される、
請求項1から4の何れか一項に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項6】
前記第1の側方カメラと前記第2の側方カメラとが、前記遠位端の円筒状面にて、90°未満離れて配置される、
請求項1から4の何れか一項に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項7】
前記第2の側方カメラおよび前記第1の側方カメラが、前記遠位端の円筒状面にて、180°未満離れて配置される、
請求項1から4の何れか一項に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項8】
前記第1の側方カメラの視野の一部のエリアと、前方カメラの視野の一部のエリアとが重なる、
請求項1からの何れか一項に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項9】
前記第2の側方カメラの視野の一部のエリアと、前方カメラの視野の一部のエリアとが重なる、
請求項1からの何れか一項に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項10】
前記前方平坦面が、前記硬質細長部材の縦軸から90°未満の角をなす、
請求項1からの何れか一項に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項11】
前記遠位端が、前記前方カメラおよび前記第1の側方カメラを収容および固定するように形作られた少なくとも1つのアパーチャを更に含む、
請求項1から10の何れか一項に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つのアパーチャが不透明壁を更に含み、前記前方カメラおよび前記第1の側方カメラの近くに透明なアパーチャが配置される、
請求項11に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項13】
前記遠位端が、前記前方カメラにより捕捉されるエリアを照明するための前方照明モジュール、および、前記第1の側方カメラにより捕捉されるエリアを照明するための横方向照明モジュールを更に含む、
請求項1から12の何れか一項に記載の医療用イメージングデバイス。
【請求項14】
前記前方照明モジュールが、前記前方カメラの両側に配置される2つの照明モジュールを含み、前記照明モジュールのうちの一方の照明モジュールが、前記照明モジュールのうちの他方の照明モジュールよりも大きい、
請求項13に記載の医療用イメージングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般には、患者の身体の内側から画像を捕捉するように設計された医療器械の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡は、小さな切り口を通してカメラを用いて、腹部または骨盤内で動作を行うのに利用されるデバイスである。腹腔鏡を使用して、状態を検査および診断すること、または、手術を行うことが可能である。いくつかのケースでは、狭いエリアまたは特定の体腔もしくは器官の内側の領域の検査を含む処置が、内視鏡を要することもある。
【0003】
腹腔鏡は、カメラならびにあらゆる電気回路が配置された細長い環状部材内で組み立てられる可能性が高い。一般に、腹腔鏡検査処置は、腹近くに小さな切り口を作ることから始まり、腹部が、COガスで満たされる。COは、腹部を持ち上げて、内臓器官から隔てさせる。次いで、腹腔鏡が、腹部に挿入され、内臓器官の必要な視野を執刀医に提供する。いくつかのケースでは、切り口を通して腹部にトロカールを挿入し、トロカールのカニューレを通して、腹腔鏡を腹部に押し入れる。
【0004】
腹腔鏡は、患者の身体内で腹腔鏡を操作することを可能にする細長部材を有し得る。この細長部材は、回路およびセンサを保護するために硬質であり得る。医療処置では、使用される腹腔鏡が、その前部に配置される2つ以上のカメラを含み得る。したがって、カメラ、光学部品および電気回路を、相対的に広い腹腔鏡に入れることが必要なこともある。こうしたケースでは、切り口を可能な限り狭く維持することが課題である。いくつかのケースでは、独立したトロカールが使用され、このトロカールのカニューレにより、マルチカメラ腹腔鏡の幅が制限されることがある。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特表2013-542467
【発明の概要】
【0005】
本発明は、直接的に接続される2つの区分部材を備える医療用薄型イメージングデバイスを開示する。上記2つの区分部材は、細長の硬質シャフトおよび遠位端であり得る。遠位端は、医療処置に必要な光学機器を含み、硬質シャフトに直接接続される。遠位端内に配置される光学機器は、カメラ、レンズ、およびカメラが機能するのに必要な光源を含むことが可能である。遠位端は直径が変化するように提供することが可能であり、最大直径が約10.0~20ミリメートルで、最小直径が約2.5~15.0ミリメートルである。いくつかのケースでは、硬質シャフトの直径を、遠位端よりも狭くすることができ、これにより、遠位端の最も狭い部分に硬質シャフトを接続することができる。いくつかのケースでは、遠位端の直径が、シャフト径から遠位端の最大直径に徐々に増加する。開示を行う主題のいくつかの実施形態では、遠位端が、自体のうち直径が最も広い部分から延び、自体のうち直径が最も狭い部分へと下に傾く傾斜面を含み得る。いくつかのケースでは、傾斜面を段状端部に置き換えて、遠位端よりも狭い直径を有する硬質シャフトに遠位端を接続することができる。
【0006】
また、遠位端は、自体の前方平坦面に配置される前方カメラ、および、自体の第1の側面に配置される第2の側方カメラを含む。いくつかのケースでは、本医療用イメージングデバイスは、遠位端の第2の側面に配置される第1の側方カメラも含み得る。
【0007】
開示する主題の実行可能な実施形態では、第2の側方カメラのレンズの中心と前方カメラのレンズの中心との距離が、第1の側方カメラのレンズの中心と前方カメラのレンズの中心との距離よりも短いことがある。開示する主題の実行可能な他の実施形態では、第2の側方カメラのレンズの中心と前方カメラのレンズの中心との距離が、第1の側方カメラのレンズの中心と前方カメラのレンズの中心との距離よりも長いことがある。いくつかのケースでは、前方カメラ、第2の側方カメラ、および第1の側方カメラのワーキングディスタンスが、1~150ミリメートルの範囲であり得る。いくつかのケースでは、第2の側方カメラおよび第1の側方カメラが、60~160°の水平方向視野を有する。
【0008】
いくつかのケースでは、遠位端が、第1の側方カメラ、前方カメラ、および第2の側方カメラを固定するように形作られた少なくとも1つのアパーチャを更に含み得る。いくつかのケースでは、各アパーチャが、単一のカメラに関連付く。すなわち、1つのアパーチャが第1の側方カメラに関連付き、1つのアパーチャが前方カメラに関連付き、1つのアパーチャが第2の側方カメラに関連付く。いくつかのケースでは、上記アパーチャが、不透明壁を有することがあり、透明なアパーチャが、前方カメラ、第1の側方カメラ、および第2の側方カメラの近くに配置される。遠位端は、前方カメラにより捕捉されたエリアを照明するための前方照明モジュール、第2の側方カメラにより捕捉されたエリアを照明するための第2の側方照明モジュール、および、第1の側方カメラにより捕捉されたエリアを照明するための第1の側方照明モジュールを更に含み得る。したがって、前方照明モジュールは、前方カメラの両側に2つの照明モジュールを含んでよく、一方の照明モジュールが、他方の照明モジュールよりも大きいこともあり、前方カメラが前方面の中心に位置しないこともある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のいくつかの実施形態を、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書中で説明する。ここでの図面への詳細な具体的言及をもって、図示を行う具体的詳細は、例としてのものであり、本発明の実施形態の説明のための議論を目的とすることを強調する。これに関連して、図面とともに提供される説明により、本発明の実施形態がどのように実行され得るのかが当業者には明らかになる。
【0010】
以下、図面を表示する。
【0011】
図1】開示を行う主題の例示的実施形態による、少なくとも1つのカメラを備え、直径が変化する医療用イメージングデバイスを実証する図である。
【0012】
図2】開示を行う主題の例示的実施形態による、直径が変化し、3つのカメラを備える医療用イメージングデバイスの上部断面を実証する図である。
【0013】
図3】直径が変化し、図2に応じた1つの前方カメラおよび2つの側方カメラを備える医療用イメージングデバイスの上部断面図である。
【0014】
図4】開示を行う主題の例示的実施形態による、直径が変化し、1つの前方カメラおよび2つの側方カメラを備える医療用イメージングデバイスの模式図である。
【0015】
図5】開示を行う主題の例示的実施形態による、段状端部を含む遠位端を有する医療用イメージングデバイスの模式図である。
【0016】
図6】開示を行う主題の例示的実施形態による、直径が変化する医療用イメージングデバイス内の3つのカメラの視野を実証する図であって、医療用イメージングデバイスが、これらの視野間の重なりの対称性を有する様の図である。
【0017】
図7】開示を行う主題の例示的実施形態による、一体型医療用イメージングデバイスを備える医療用イメージングデバイスであって、直径が変化し、その医療用イメージングデバイスの動作に必要な光学機器を備える医療用イメージングデバイスを実証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、医療用薄型イメージングデバイスであって、その医療用イメージングデバイスを、切り口を通して身体に入れ、内臓器官にて医療処置を行うことが必要なケースで利用することが可能な医療用薄型イメージングデバイスを開示する。こうした医療用イメージングデバイスは、小さな切り口を通した腹部または骨盤内での検査処置または外科処置などの医療処置の支援になるように設計された2つ以上のカメラを備える。本医療用イメージングデバイスは、少なくとも2つの直径を有し、この医療用イメージングデバイスのいくつかの区分(遠位端など)は、広い直径を有し得、これにより、光学機器に必要なスペースを与え、この医療用イメージングデバイスの他のいくつかの区分は、狭い直径を有し得、これにより、医療用イメージングデバイスを人の身体の相対的に小さな切り口に(例えば、予め規定された内径を有するトロカール内に少なくとも部分的に搭載した状態で)通すことが可能になる。しかも、医療処置中、遠位端を患者の身体に入れて画像を捕捉する間、硬質シャフトをトロカール内に入れることができる。イメージングデバイスの遠位端は、光学機器を含み、トロカールを通過するのみでよく、トロカールは、より幅の広い先端を貫通させるためにいくらかの弾性を有する。先端の幅がより広ければ、光学機器のためのより多くのスペースがもたらされ、これにより、より優れたセンサおよびレンズが利用可能になるので、イメージングデバイスにより、より良好なデータが捕捉される。トロカールを介してデバイスを挿入すると、人の身体の相対的に小さな切り口を使用することが可能になり、人の身体の体腔をガスで満たすことが必要な場合の医療処置が容易になる。切り口を小さくすることで、切り口からのガスの漏れを阻止するためのシーリング材を作ることを容易にすることができる。直径という用語は、硬質シャフトの断面直径および遠位端の断面直径を指す。
【0019】
図1は、開示を行う主題の例示的実施形態による、少なくとも1つのカメラを備え、直径が変化する医療用イメージングデバイスを実証する。図1は、遠位端115に直接的に接続されるように設計された硬質シャフト155を備える医療用イメージングデバイス105を示す。遠位端115は傾斜面180を含んでよく、これにより、遠位端115よりも直径の狭い硬質シャフト155に遠位端115を接続することが可能になる。
【0020】
遠位端115は、硬質シャフト155と遠位端115の傾斜面180との間の接続線の概形を示すシームライン170も含み得る。いくつかのケースでは、硬質シャフト155と傾斜面180とが、シームライン170での接続部に封をする接着剤により接続され得る。他のいくつかのケースでは、硬質シャフト155と傾斜面180とが、はんだ付けにより接続され得る。開示する主題の実行可能な実施形態では、硬質シャフト155と傾斜面180とを、硬質シャフト155と遠位端115とを固定するねじ留め機構により接続することができる。
【0021】
遠位端115は、少なくとも1つのカメラを収容するように設計されたマルチカメラ区分部材として機能し得る。いくつかのケースでは、カメラが、平坦面110として規定される遠位端115の前方端に位置し得る。更なるカメラが、遠位端115の丸みを帯びた側面に配置され得る。遠位端115は、第2の側方カメラ165を収容し、第2の側方カメラ165の視野のために必要な開口部を提供するように形作られたアパーチャ160も含み得る。いくつかのケースでは、アパーチャ160は、患者の組織から第2の側方カメラ165を分離するために、ガラスまたはプラスチックなどの透明層で覆われ得る。他のいくつかのケースでは、アパーチャ160が、1つまたは複数の光学窓で覆われ得る。
【0022】
開示を行う主題のいくつかの実施形態では、遠位端115が、第1の側方カメラ(図示せず)を含み得る。第1の側方カメラは、第2の側方カメラ165の反対側に配置され得る。また、アパーチャ160は、第2の側方カメラ165の光源を提供する側方照明器モジュール150および145からの光の発射を可能にする。いくつかのケースでは、この光を、LEDとしても知られる発光ダイオードなどの専用照明器により発射することもできる。
【0023】
遠位端115は、前方カメラ130を収容し、前方カメラ130の視野のために必要な開口部を提供することが可能な平坦面110上に位置する前方カメラ130も含み得る。平坦面110は、前方カメラ130に必要な光源を提供する前方照明器120、125、135および140も含む。他の実施形態では、前方照明器の数および位置を変えることもできる。例えば、照明モジュールが4つより少ないまたは4つより多い場合、各照明モジュールは、1つまたは複数のLEDを有し、異なる光スペクトルを発射することができる。
【0024】
図2は、開示を行う主題の例示的実施形態による、直径が変化し、3つのカメラを備える医療用イメージングデバイスの上部断面を実証する。図2は、遠位端280を備える医療用イメージングデバイス205を示す。遠位端280は、3つのカメラ、前方カメラ235、第2の側方カメラ245および第1の側方カメラ215を含む。医療用イメージングデバイス205は、前方カメラ235を収容する先端部分265も備え、ここで、前方カメラ235は、前方視野を捕捉するためのレンズアセンブリを含む。いくつかの例示的ケースでは、前方カメラ235の視野は、少なくとも60°、少なくとも80°、少なくとも100°であり得、ワーキングディスタンスが、約1~30ミリメートル、約15~150ミリメートルであり得る。前方カメラ235は、遠位端280の先端部分265の表面に配置することも可能である。
【0025】
遠位端280は、第2の側方カメラ245であって、上記カメラの中心を、医療用イメージングデバイス205の先端部分265から約5~25ミリメートルにすることができるように、医療用イメージングデバイス205内に配置することが可能な第2の側方カメラ245を更に含む。第2の側方カメラ245の視野は、少なくとも60°、少なくとも80°、少なくとも100°であり得、ワーキングディスタンスが、約1~30ミリメートル、約15~150ミリメートルであり得る。遠位端280は、2つの第2の側方照明モジュール240および250も含むことができ、これらのモジュールは、第2の側方カメラ245の動作に必要な光を発射するLEDであり得る。いくつかのケースでは、照明モジュールの数は2より多くてよく、各照明モジュールが、1つまたは複数のLEDを含み得、異なる光スペクトルを発射することができる。
【0026】
第1の側方カメラ215は、第2の側方カメラ245と反対側に配置することができ、これにより、これらの2つのカメラ、第2の側方カメラ245と第1の側方カメラ215とが、実質的に互いに反対の方向を向くことができる。第1の側方カメラ215の中心は、遠位端280の先端部分265から約5~25ミリメートルであり得る。第1の側方カメラ215の視野は、少なくとも60°、少なくとも80°、少なくとも100°であり得、ワーキングディスタンスが、約1~30ミリメートル、約15~150ミリメートルであり得る。医療用イメージングデバイス205は、2つの第1の側方照明モジュール225および210も備えることができ、これらのモジュールは、第2の側方カメラ215の動作に必要な光を発射するLEDであり得る。いくつかのケースでは、照明モジュールの数は2より多くてよく、各照明モジュールが、1つまたは複数のLEDを含み得、異なる光スペクトルを発射することができる。
【0027】
前方カメラ235は、遠位端280の前方面に位置し得る。前方カメラ235は、少なくとも60°、少なくとも80°、少なくとも100°の前方視野および約1~30ミリメートル、約15~150ミリメートルのワーキングディスタンス提供するレンズアセンブリを含み得る。医療用イメージングデバイス205は、2つ以上の前方照明モジュールも備え得る。図2は、前方カメラ235の動作に必要な光を発射するLEDを含むことが可能な照明器モジュール220および230を示す。開示を行う主題のいくつかの実施形態では、これらのLEDにより発射される光は白色光であり得る。他のいくつかのケースでは、医療用イメージングデバイス205の光源の一部分が、可視光スペクトルのそれぞれ異なる色であり得る。例えば、医療用イメージングデバイス205の光源は、青、赤、黄、緑、またはこれらの色の任意の組合せなどの他の色を発射するLEDを含み得る。いくつかのケースでは、LEDにより発射される光が、非可視光のスペクトルであり得る。例えば、光源が、赤外線スペクトル、紫外線、およびX線などで光を提供することが可能である。照明モジュール220、235、225、240、250および210は、硬質シャフト155内に置かれるケーブルを介して電力を受信し得る。
【0028】
開示を行う主題のいくつかの実施形態では、遠位端280を、直径が異なる2つの部分として提供することができる。したがって、遠位端280の1つの部分を、平坦面285を有し、長さが10~20ミリメートルの円筒状に提供することができる。平坦面285を有する円筒状部分を、軸281と軸282との間に示す。一実施形態では、軸281、282および283が、硬質シャフトおよび遠位端280の縦軸に対して垂直になる。遠位端280の第2の部分は、傾斜面275を有する部分である。第2の部分の長さは、2~30ミリメートルであり得る。傾斜面275を有する第2の部分を、垂直軸282と垂直軸283との間に示す。こうしたケースでは、傾斜面275を有する部分を、幅の範囲が2.5~15ミリメートルであり得る硬質シャフト270に直接的に接続することができる。したがって、こうしたケースでは、遠位端の最大直径を約10.0~20ミリメートルにすることができ、最小直径を約2.5~15.0ミリメートルにすることができる。他の実施形態では、軸281を傾けて、硬質シャフトおよび遠位端280の縦軸から10°未満の角度を形成することができる。
【0029】
図3は、直径が変化し、図2に応じた1つの前方カメラおよび2つの側方カメラを備える医療用イメージングデバイスの上部断面を示す。図3は、遠位端280に配置された3つのカメラを備える医療用イメージングデバイス205を示す。前方カメラ235は、遠位端280の先端部分265に配置された前方平坦面247に位置する。いくつかのケースでは、前方カメラ235が、前方平坦面247の一方の側に偏るように配置され得る。他のケースでは、前方カメラ235が、前方平坦面247の中心に配置され得る。医療用イメージングデバイス205は、第1の側方カメラ215であって、第1の側方カメラ215の中心が先端部分265から約5~15ミリメートルに位置することができるように配置される第1の側方カメラ215も備える。第2の側方カメラ245が、第1の側方カメラ215の中心から点227に延びる想像線に対して、第2の側方カメラ245の中心が、第1の側方カメラ215の中心から約5~15ミリメートルに位置することができるように配置される。
【0030】
開示を行う主題のいくつかの実施形態では、遠位端280を、硬質シャフト270に接続される部分の傾斜面275となるように提供することができる。こうしたケースでは、遠位端280よりも狭い直径を有する硬質シャフトに遠位端280を接続することができる。
【0031】
図4は、開示を行う主題の例示的実施形態による、直径が変化し、1つの前方カメラおよび2つの側方カメラを備える医療用イメージングデバイスの模式図を示す。図4は、3つのカメラを収容するように設計された遠位端440を備える医療用イメージングデバイス405を示す。遠位端440は、前方平坦面450の実質的に中心に位置する前方カメラ410を収容することができる。遠位端440は、遠位端440の側面に配置される第2の側方カメラ425を更に含む。遠位端440は、第1の側方カメラ415を更に含む。第1の側方カメラ415は、第2の側方カメラ425とは反対の側面に配置することができ、これにより、これらの2つのカメラ、第2の側方カメラ425と第1の側方カメラ415とが、実質的に互いに反対の方向を向いてよい。他のいくつかのケースでは、第2の側方カメラ425と第1の側方カメラ415との間の角度が、遠位端440の外周上で、10~180°の範囲の任意の実用的角度になり得る。
【0032】
遠位端440は、約2.5~15ミリメートルの直径で提供され得る。遠位端440の長さは、約6.5~20ミリメートルであり得る。いくつかのケースでは、遠位端440を硬質シャフト420に接続することが可能であり、硬質シャフト420は、約2.5~15ミリメートルの直径を有することが可能である。開示する主題の実行可能な実施形態では、硬質シャフト420の直径が、遠位端440の直径よりも狭くてもよい。したがって、遠位端440は傾斜面435を含むことがあり、これにより、遠位端440を、より狭い直径で提供される硬質シャフト420に接続することが可能になる。
【0033】
開示する主題の実行可能な実施形態では、第2の側方カメラ425の中心と端点430との間の距離が、第1の側方カメラ415の中心と端点465との間の距離と同一であり得る。開示する主題の実行可能な実施形態では、第2の側方カメラ425の中心と第2の端点430との間の距離が、第1の側方カメラ415の中心と端点465との間の距離より短くなり得る。開示する主題の実行可能な実施形態では、第2の側方カメラ425の中心と第1の端点430との間の距離が、第1の側方カメラ415の中心と端点465との間の距離よりも長くなり得る。
【0034】
図5は、開示を行う主題の例示的実施形態による、段状端部を含む遠位端を有する医療用イメージングデバイスの模式図を示す。図5は、カメラを収容するように設計された遠位端530と、遠位端530に接続される硬質シャフト520とを備える医療用イメージングデバイス505を示す。遠位端530は、シームライン515で遠位端530を硬質シャフト520に接続することを可能にする段状端部510を含む。いくつかのケースでは、段状端部510を含む遠位端530を、遠位端であって、この遠位端を直径がより狭い硬質シャフトに接続する目的で利用される傾斜面を含む遠位端と置き換えることができる。段状端部510は、遠位端530と硬質シャフト520との接続のための階段形状を提供する。いくつかのケースでは、硬質シャフト520と段状端部510とが、シームライン515での接続部に封をする接着剤により接続され得る。他のいくつかのケースでは、硬質シャフト520と段状端部510とが、はんだ付けにより接続され得る。開示する主題の実行可能な実施形態では、硬質シャフト520と段状端部510とを、硬質シャフト520と遠位端530とを固定するねじ留め機構により接続することができる。
【0035】
図6は、開示を行う主題の例示的実施形態による、直径が変化する医療用イメージングデバイス内の3つのカメラの視野を実証する図であって、医療用イメージングデバイスが、これらの視野間の重なりの対称性を有する様の図である。図6は、3つのカメラ、前方カメラ610、第2の側方カメラ625および第1の側方カメラ615を含む遠位端670を有する医療用イメージングデバイス605を示す。遠位端670は、遠位端670を硬質シャフト665に接続することを可能する傾斜面680も含む。いくつかのケースでは、遠位端670は、硬質シャフト665に接続可能な段状端部を含み得る。
【0036】
また、遠位端670は、視野640(FOV640と示す)を伴う前方カメラ610を含む。FOV640は、前方カメラ610の観察可能な視野を規定し、前方カメラ610と、点630と、点635とで作られる想像上の三角形により規定することが可能である。また、点635は、第1の側方カメラ615の視野(FOV645と示す)の端部のうちの1つの概形を示す。FOV645は、第1の側方カメラ615の観察可能な視野を規定し、第1の側方カメラ615と、点635と、点655とで作られる想像上の三角形により規定することが可能である。いくつかのケースでは、FOV640が、点635でFOV645に重なり得る。他のいくつかのケースでは、FOV645とFOV640とが全く重なりを有さないこともある。また、点630は、第2の側方カメラ625の視野(FOV650と示す)の端部のうちの1つの概形を示す。FOV650は、第2の側方カメラ625の観察可能な視野を規定し、第2の側方カメラ625と、点630と、点660とで作られる想像上の三角形により規定することが可能である。いくつかのケースでは、FOV640を、点630でFOV650と重ねることができ、3つのFOV640、645および650を、それらの対称性において等しくならないようすることができ、こうすることで、これらFOVの重なりを得ることが可能になる。
【0037】
図7は、開示を行う主題の例示的実施形態による、一体型医療用イメージングデバイスを備える医療用イメージングデバイスであって、直径が変化し、その医療用イメージングデバイスの動作に必要な光学機器を備える医療用イメージングデバイスを実証する。図7は、遠位端を有さない硬質シャフト755を備える一体型医療用イメージングデバイス705を示す。硬質シャフト755は、少なくとも1つのカメラを収容するように設計されたマルチカメライメージングデバイスとして機能し得る。いくつかのケースでは、カメラが、前方で平坦面710に位置する硬質シャフト755の端部に位置してもよい。硬質シャフト755の丸みを帯びた側面にも、カメラが配置され得る。硬質シャフト755は、医療用イメージングデバイスのイメージング機能に必要な光学機器を収容するように設計された幅広区分780を含み得る。硬質シャフト755は、光学機器が機能するのに必要な配線を取り次ぐように設計された幅狭区分770も含み得る。医療処置では、医療処置を行う人物が、一体型医療用イメージングデバイス705を患者の身体に挿入し、こうすることで、幅広区分780を身体の内側に配置することができ、例えば、ガスが広がるのを阻止するために、幅狭区分770を利用して、身体の開いた部分に封をすることができる。いくつかのケースでは、一体型医療用イメージングデバイス705を、トロカールを介して挿入することができる。こうしたケースでは、幅狭区分770は、上記の医療処置で利用されるガスがトロカールのカニューレを介して広がるのを阻止することができる。
【0038】
硬質シャフト755は、幅狭区分770と幅広区分780とをつなぐように設計された傾斜面785も含み得る。いくつかのケースでは、硬質シャフト755が幅狭区分770を含み、幅広区分780が単体として作製されてもよい。例えば、硬質シャフト755は、モールディング工程で作製することができる。いくつかのケースでは、硬質シャフト755の作製工程は、カメラ、丸みを帯びた表面、平坦面、およびカメラの収容部分などにアパーチャを作るためのミリング工程も含んでよい。
【0039】
硬質シャフト755は、第2の側方カメラ765を収容し、第2の側方カメラ765に動作上必要な視野を提供するように形作られたアパーチャ760も含む。開示を行う主題のいくつかの実施形態では、硬質シャフト755が、第2の側方カメラ765の反対側に配置される第1の側方カメラ(図示せず)を含み得る。また、アパーチャ760は、第2の側方カメラ765の光源を提供する側方照明器モジュール750および745を収容する。いくつかのケースでは、この光源を、LEDとしても知られる発光ダイオードなどの専用の内視鏡照明器により発射させることもできる。一実施形態では、各照明モジュールが、1つまたは複数のLEDを有し、異なる光スペクトルを発射し得る。
【0040】
硬質シャフト755は、前方平坦面710の中心に位置する前方カメラ730も含み得、前方平坦面710は、前方カメラ730を収容し、前方カメラ730に動作上必要な視野を提供することが可能である。平坦面710は、前方カメラ730に必要な光源を提供する前方照明器モジュール720、725、735および740も含む。他の実施形態では、前方カメラ730が、前方平坦面710の一方の側に偏るように配置され得る。
【0041】
例示的実施形態を参照して本開示を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができること、本開示の要素を均等物に置き換えることができることが当業者には理解されるであろう。さらに、本教示内容の本質的範囲から逸脱することなく、多くの修正を行って、特定の状況または材料を本教示内容に適用させることもできる。したがって、開示する主題が、本発明を実施するために企図される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
(項目1)
第1の断面直径を有する硬質細長部材と、
第2の断面直径を有する遠位端と
を備える医療用イメージングデバイスであって、
上記第2の断面直径が、上記第1の断面直径よりも少なくとも0.02ミリメートル大きく、
上記遠位端が、上記遠位端の前方平坦面に配置される前方カメラ、および、上記遠位端の第1の側面に配置される第1の側方カメラを含む、
医療用イメージングデバイス。
(項目2)
上記遠位端が、上記遠位端を上記硬質部材に接続することを可能にする段状端部を含む、
項目1に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目3)
上記遠位端の上記段状端部が、上記遠位端の上記直径よりも狭い直径で提供される、
項目2に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目4)
上記第1の断面直径と、上記第2の断面直径との差を徐々になくす傾斜面を更に備える、
項目1に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目5)
上記遠位端の第2の側面に配置される第2の側方カメラを更に備える、
項目1に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目6)
上記第2の側方カメラの方が、上記第1の側方カメラよりも、上記前方平坦面の近くにある、
項目5に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目7)
上記前方カメラが、上記第1の側面に対してよりも、上記第2の側面に対して近くに配置される、
項目5に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目8)
上記前方カメラ、上記第2の側方カメラ、および上記第1の側方カメラのワーキングディスタンスが、1~15ミリメートルの範囲である、
項目5に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目9)
上記第2の側方カメラおよび上記第1の側方カメラが、60~160°の横方向視野を有する、
項目5に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目10)
上記第1の側方カメラおよび上記第2の側方カメラが、互いに垂直になる方向を向くことが可能であり、上記遠位端の円筒状面にて、上記遠位端の上記円筒状面の互いに反対側になるように実質的に180°離れて配置されることが可能である、
項目5に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目11)
上記第1の側方カメラと上記第2の側方カメラとが、上記遠位端の円筒状面にて、90°未満離れて配置され得る、
項目5に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目12)
上記第2の側方カメラおよび上記第1の側方カメラが、上記遠位端の上半分に配置される、
項目5に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目13)
上記第2の側方カメラの視野が、上記前方カメラの視野から切れ目なく続く、
項目5に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目14)
上記第1の側方カメラの視野が、上記前方カメラの視野から切れ目なく続く、
項目5に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目15)
上記第1の側方カメラの視野の一部のエリアと、前方カメラの視野の一部のエリアとが重なる、
項目5に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目16)
上記前方カメラが、上記前方平坦面の中心に配置される、
項目1に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目17)
上記第2の側方カメラの視野の一部のエリアと、前方カメラの視野の一部のエリアとが重なる、
項目1に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目18)
上記前方平坦面が、上記硬質細長部材の縦軸から90°未満の角をなす、
項目1に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目19)
上記遠位端が、上記前方カメラおよび上記第2の側方カメラを収容および固定するように形作られる少なくとも1つのアパーチャを更に含む、
項目1に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目20)
上記少なくとも1つのアパーチャが不透明壁を更に含み、上記前方カメラおよび上記第2の側方カメラの近くに透明なアパーチャが配置される、
項目19に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目21)
上記遠位端が、上記前方カメラにより捕捉されるエリアを照明するための前方照明モジュール、および、上記第2の側方カメラにより捕捉されるエリアを照明するための横方向照明モジュールを更に含む、
項目1に記載の医療用イメージングデバイス。
(項目22)
上記前方照明モジュールが、上記前方カメラの両側に配置される2つの照明モジュールを含み、上記前方カメラが上記前方面の中心に位置しない場合、上記照明モジュールのうちの一方の照明モジュールが、上記照明モジュールのうちの他方の照明モジュールよりも大きい、
項目21に記載の医療用イメージングデバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7