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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】太陽光発電システム及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220412BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220412BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20220412BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02J3/38 130
H02S50/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021031978
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2021177693
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】202010383425.0
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】596039187
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李雷鳴
(72)【発明者】
【氏名】林信晃
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0294877(US,A1)
【文献】特表2017-524323(JP,A)
【文献】特開2014-179397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02J 3/38
H02S 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネル及び直交変換器を含み、前記直交変換器が発電モードにある場合、前記太陽光パネルによる光電気エネルギーは、前記直交変換器を介して外部グリッドに提供される太陽光発電システムを検出するための検出方法であって、
前記発電モードと異なる検出モードにある前記直交変換器を提供する工程と、
前記直交変換器が前記外部グリッドから電気エネルギーを取得するように制御して、検出電力を生成する工程と、
前記検出電力を前記太陽光パネルに提供して、前記太陽光パネルに前記検出電力が通過する場合に検出機器によって前記太陽光パネルの検出結果を取得する工程と、
を備える検出方法。
【請求項2】
前記太陽光発電システムは、前記太陽光パネルと前記直交変換器との間に結合される直流変換器を更に含み、前記直交変換器が前記発電モードにある場合、前記直流変換器は第1直流電圧を第2直流電圧に変換し、前記第2直流電圧は前記直交変換器を介して、前記外部グリッドに提供されるための出力交流電圧に変換され、
前記検出方法は、
前記太陽光パネルと前記直交変換器との間に結合され、且つ前記直流変換器に並列接続されるバイパススイッチ回路を提供する工程と、
前記検出モードで、前記バイパススイッチ回路をオン制御して、前記検出電力を前記直交変換器によって前記バイパススイッチ回路を介して前記太陽光パネルに伝達する工程と、
を更に備える請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記直交変換器は、前記発電モードから前記検出モードへ切り替えることができるように配置され、
前記検出方法は、
前記バイパススイッチ回路をオフ状態からオン状態へ切り替えるように制御して、前記検出電力を前記バイパススイッチ回路によって前記太陽光パネルに提供する工程を更に備える請求項2に記載の検出方法。
【請求項4】
前記直交変換器は、前記検出モードを終了して、前記発電モードに戻すことができるように配置され、
前記検出方法は、
前記検出電力の生成を停止するように前記直交変換器を制御する工程と、
前記直交変換器と前記太陽光パネルとの間の電圧差を検知する工程と、
前記バイパススイッチ回路をオン状態からオフ状態へ切り替えるように制御して、前記検出モードを終了する工程と、
を備える請求項3に記載の検出方法。
【請求項5】
前記検出方法は、
前記検出モードで、前記太陽光パネルに提供される前記検出電力の検出電力値を検知する工程を更に備える請求項1~4の何れか1項に記載の検出方法。
【請求項6】
前記検出方法は、
前記検出電力の検出電力値を検知するための電流センサーを提供する工程と、
前記電流センサーによる検出電流値を基準電流値と比較して、比較結果を生成する工程と、
前記比較結果に基づいて前記直交変換器を制御して、前記検出電力に対応する電圧レベル又は電流の大きさを調整する工程と、
を更に備える請求項1~5の何れか1項に記載の検出方法。
【請求項7】
外部グリッドと太陽光パネルとの間に結合される直交変換器と、
前記直交変換器に結合され、前記直交変換器を発電モードと検出モードとの間で切り替えるように制御するための制御ユニットと、
を含み、
前記直交変換器が前記発電モードにある場合、前記太陽光パネルによる光電気エネルギーは、前記直交変換器を介して外部グリッドに提供され、
前記直交変換器が前記検出モードにある場合、前記制御ユニットは、前記直交変換器が前記外部グリッドから電気エネルギーを取得するように制御して、検出電力を生成し、且つ前記検出電力を前記太陽光パネルに提供して、前記太陽光パネルに前記検出電力が通過する場合に太陽光パネルの検出結果を生成させる太陽光発電システム。
【請求項8】
前記太陽光発電システムは、
前記太陽光パネルと前記直交変換器との間に結合され、前記発電モードで、第1直流電圧を生成し、且つ前記第1直流電圧を第2直流電圧に変換するための直流変換器を更に含み、
前記直交変換器は、前記第2直流電圧を前記外部グリッドに提供される出力交流電圧に変換することに用いられる請求項7に記載の太陽光発電システム。
【請求項9】
前記太陽光発電システムは、
前記直流変換器に並列接続され、且つ前記太陽光パネルと前記直交変換器との間に結合され、更に前記制御ユニットに結合され、前記直交変換器が前記検出モードにある場合、前記制御ユニットによりバイパススイッチ回路をオン制御して、前記検出電力が前記バイパススイッチ回路によって前記直交変換器から前記太陽光パネルに伝達されることを許可するための前記バイパススイッチ回路を更に含む請求項8に記載の太陽光発電システム。
【請求項10】
前記直流変換器は、前記バイパススイッチ回路に並列接続され、且つ前記光電気エネルギーが前記太陽光パネルにより前記直交変換器に伝達されることを許可するためのダイオードを含む請求項9に記載の太陽光発電システム。
【請求項11】
前記直交変換器は、前記発電モードから前記検出モードへ切り替えることができるように配置され、
前記発電モードから前記検出モードへの切り替えは、前記制御ユニットによって前記バイパススイッチ回路をオフ状態からオン状態へ切り替えるように制御すること、及び前記直交変換器が前記外部グリッドから電気エネルギーを取得するように制御して前記検出電力を生成することによって達成される請求項9又は10に記載の太陽光発電システム。
【請求項12】
前記直交変換器は、更に、前記検出モードを終了して、前記発電モードに戻すことができように配置され、前記制御ユニットは、前記検出電力の生成を停止するように前記直交変換器を制御し、前記直交変換器と前記太陽光パネルとの間の電圧差を検知し、また、前記バイパススイッチ回路をオン状態からオフ状態へ切り替えるように制御する請求項11に記載の太陽光発電システム。
【請求項13】
前記検出モードで、前記太陽光パネルに提供される検出電流値を検知するための電流センサーを更に含む請求項7~12の何れか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項14】
前記制御ユニットは、更に、前記検出電流値を基準電流値と比較し、また、比較結果に基づいて前記直交変換器を制御して、前記検出電力に対応する電圧レベル又は電流の大きさを調整することに用いられる請求項13に記載の太陽光発電システム。
【請求項15】
前記直交変換器は、双方向直交変換器である請求項7~14の何れか1項に記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、太陽光発電システム及び検出方法に関し、特に、太陽光パネルが異常であるかを検出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムの動作原理は、電圧又は電流を出力するように、光電半導体製の太陽光パネル(Solar panel)によって太陽光を吸収し、光エネルギーを電気エネルギーに変換することである。しかしながら、太陽光発電システムを長期間動作させた後で、太陽光パネルは、例えば、外部の物体による割れ、内部の素子の損傷等の様々な要因により、性能が低下してしまう。このため、太陽光発電システムの動作の正常を確保するように、定期的に検出する必要がある。例えば、台湾特許第M377596号の特許等のような従来の検出方法は、太陽光パネルに故障があるかを検出することに用いられるが、それは便利ではなく、且つ多くの問題が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本願の一実施形態は、太陽光パネル及び直交変換器を含み、直交変換器が発電モードにある場合、太陽光パネルによる光電気エネルギーは、直交変換器を介して外部グリッドに提供される太陽光発電システムを検出するための検出方法であって、前記発電モードと異なる検出モードにある直交変換器を提供する工程と、直交変換器が外部グリッドから電気エネルギーを取得するように制御して、検出電力を生成する工程と、検出電力を太陽光パネルに提供して、太陽光パネルに検出電力が通過する場合に検出機器によって太陽光パネルの検出結果を取得する工程と、を備える検出方法である。
【0004】
本願の別の実施形態は、外部グリッドと太陽光パネルとの間に結合される直交変換器と、直交変換器に結合され、直交変換器を発電モードと検出モードとの間で切り替えるように制御するための制御ユニットと、を含み、直交変換器が発電モードにある場合、太陽光パネルによる光電気エネルギーは、直交変換器によって変換されて外部グリッドに提供され、直交変換器が検出モードにある場合、制御ユニットは、直交変換器が外部グリッドから電気エネルギーを取得するように制御して、検出電力を生成し、且つ検出電力を太陽光パネルに提供して、太陽光パネルに検出電力が通過する場合に太陽光パネルの検出結果を生成させる太陽光発電システムである。
【0005】
太陽光発電システムが検出電力を太陽光パネルに提供する場合、検出機器は、太陽光パネルが正常であるか又は損壊しているかを簡単で効果的に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一部の実施例による太陽光発電システムを示す模式図である。
図2A】一部の実施例による太陽光発電システムを示す模式図である。
図2B】一部の実施例による太陽光発電システムを示す模式図である。
図3A】一部の実施例による直交変換器を示す模式図である。
図3B】一部の実施例による直交変換器を示す模式図である。
図3C】一部の実施例による直交変換器を示す模式図である。
図3D】一部の実施例による直交変換器を示す模式図である。
図3E】一部の実施例による直交変換器を示す模式図である。
図4】一部の実施例による検出方法を示す工程流れ図である。
図5A】一部の実施例による太陽光発電システムを示す模式図である。
図5B】一部の実施例による太陽光発電システムを示す模式図である。
図6A】一部の実施例による太陽光発電システムを示す模式図である。
図6B】一部の実施例による太陽光発電システムを示す模式図である。
図7A】一部の実施例による太陽光発電システムを示す模式図である。
図7B】一部の実施例による太陽光発電システムを示す模式図である。
図8】一部の実施例による太陽光発電システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面で本発明の複数の実施形態を開示し、多くの実際の細部を下記の叙述で合わせて説明するが、これらの実際の細部は本発明を制限するためのものではない。一部の実施例においては、これらの実際の細部は、必要ないものである。図面を簡略化するために、ある従来慣用の構造と素子は、図面において簡単で模式的に示される。本文では、ある素子は、「接続」又は「結合」と呼ばれる場合、「電気的接続」又は「電気的結合」を指してもよいし、2つ又は複数の素子の間に互いに合わせて操作又は協働することを指してもよい。本文で「第1」、「第2」~等の用語で異なる素子を示すが、当該用語は、同じ技術用語で説明される素子又は操作を区別するためのものだけである。文脈が明確に示さない限り、当該用語は、順序又は順位を特に指示又は暗示するものではなく、本発明を限定することに用いられるものでもない。
【0008】
図1に示すように、一実施例において、太陽光発電システム100は、少なくとも太陽光パネルSP、直交変換器110及び制御ユニット120を含む。直交変換器110は外部グリッドEと太陽光パネルSPとの間に結合され、制御ユニット120は直交変換器110に結合される。太陽光パネルSPは、日光によって照射される場合、光電効果に基づいて電圧又は電流を生成する。開示内容を容易に説明するために、ここで前記発電の状態を太陽光発電システム100又は直交変換器110の「発電モード」と呼ぶ。なお、当業者であれば、太陽光パネルSPの構造や原理を理解することができるため、ここで繰り返して説明しない。前記「発電モード」以外、太陽光パネルSPが日光によって照射されていなく、又は発電するように動作していない場合、太陽光発電システム100は、直交変換器110を介して外部グリッドEからの電気エネルギーを受け取って、直交変換器110が電気エネルギーを太陽光パネルSPに提供するようにすることができる。前記の電気エネルギーを提供する適用により、太陽光パネルSPの状態を検出することができる。ここで、前記検出過程を太陽光発電システム100又は直交変換器110の「検出モード」と呼ぶ。
【0009】
一実施例において、制御ユニット120は、直交変換器110を発電モードと検出モードとの間で切り替えるように制御することに用いられる。つまり、直交変換器110が「発電モード」にある場合、太陽光パネルSPによる光電気エネルギーは、直交変換器110を介して、外部グリッドEに伝達される。逆に、直交変換器110が「検出モード」にある場合、制御ユニット120は、検出電力を提供して太陽光パネルSPを検出するように、直交変換器110が外部グリッドEから取得された電気エネルギーを使用するように制御することができる。これによって、太陽光パネルSPにより検出電力を受け取り、太陽光パネルSPの電気的特性(例えば、電圧、電流、インピーダンス)又は物理的状態(温度)は検出機器Dによって検知されることができ、更に太陽光パネルSPの各部に異常があるかを検出する。一実施例において、制御ユニット120は、様々な計算又は判断を実行することに使用され、且つマイクロコントローラ(microcontroller)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor)、特殊用途の集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)又は論理回路によって達成されることができる。
【0010】
一部の実施例において、検出機器Dは、太陽光パネルSPへ流れる検出電力の大きさ(例えば、検出電流又は電圧)が所望のパラメータと一致しているかを検出し判断することに用いられることができる。検出機器Dは、サーマルイメージャー又はスペクトルアナライザーを含んでもよい。検出モードにある場合、サーマルイメージャー又はスペクトルアナライザーは、検出電流の流れた太陽光パネルSPの検出画像を撮影することに用いられる。次に、検出機器D又は他の分析機器により、検出画像を分析して、太陽光パネルの一部又は複数の部分が正常であるか又は損壊しているかを判断する(例えば、画像の色によって温度を判断し、温度の高低は正常又は異常を示すことができる)。本開示内容の太陽光発電システム100は、太陽光パネルSPに逆給電することができる。前記「逆給電」(即ち、直交変換器110によって外部グリッドEの電気エネルギーを取得し、且つ太陽光パネルSPに給電する)によれば、1つ又は複数の太陽光パネルSPの電気的特性又は物理的状態を変えることができる。複数枚の太陽光パネルSPの検出に使用される場合、検出者は、検出機器Dによって、複数枚の太陽光パネルSPを簡単且つ便利に検出することができ、検出効率を大幅に向上させる。
【0011】
図1に示すように、一部の実施例において、太陽光発電システム100は、直流変換器130を更に含む。直流変換器130は、太陽光パネルSPと直交変換器110との間に結合され(例えば、それぞれバスバーVc及び太陽光パネルSPの接続ノードVsに接続される)、太陽光パネルSPによる電気エネルギーに対して電気エネルギー変換を行うことに用いられる。操作上で、発電モードで動作する場合、太陽光パネルSPによる第1直流電圧は、まず、直流変換器130を介して第2直流電圧に変換される。第2直流電圧は、次に、直交変換器110を介して出力交流電圧に変換され、且つ交流電圧を外部グリッドEに出力する。注意すべきなのは、本開示内容はこれに制限されなく、他の実施例において、直交変換器110は、直流変換器130を使用せずに、太陽光パネルSPに直接結合されてもよい。
【0012】
一部の実施例において、太陽光発電システム100は、太陽光パネルSPと直交変換器110との間に結合されるエネルギー蓄積コンデンサCを含む(異なる実施例において、エネルギー蓄積コンデンサCは、直交変換器110及び直流変換器130に並列に結合されてもよい)。検出モードにおいて、エネルギー蓄積コンデンサCは、検出電力を提供して太陽光パネルSPに伝達するように、直交変換器110と協働して動作する。例えば、直交変換器110は、外部グリッドEから取得された電気エネルギーを直流電圧に変換するが、当該直流電圧に対応する電気エネルギーがエネルギー蓄積コンデンサCに蓄積されることができる。次に、検出電力(全部又は一部)を太陽光パネルSPに提供するように、エネルギー蓄積コンデンサCによって放電する。
【0013】
図2A及び図2Bにおいて、図1の実施例に関する類似の素子と原理については、上記で説明されたため、繰り返して説明しない。図2Aに示すように、一部の実施例において、太陽光発電システム100は、バイパススイッチ回路140を更に含む。バイパススイッチ回路140は、直流変換器130に並列接続され(例えば、図に示す回路構造例)、且つ太陽光パネルSPと直交変換器110との間に結合される。制御ユニット120は、バイパススイッチ回路140に結合される。検出モードで、制御ユニット120は、検出電力がバイパススイッチ回路140によって太陽光パネルSPに提供されるように、バイパススイッチ回路140をオン制御する。図2Bに示すように、一部の実施例において、バイパススイッチ回路140は、バイパススイッチ素子141及び単方向伝導素子142(例えば、ダイオード)を含む。バイパススイッチ素子141は、制御ユニット120に結合され、且つ制御ユニット120によりオン又はオフを制御し、これにより、バイパススイッチ回路140全体のオン又はオフを制御する。単方向伝導素子142は、直交変換器110が発電モードにある場合、バイパススイッチ回路140が誤ってオンにされることを防止することに用いられる。
【0014】
一部の実施例において、直流変換器130は、太陽光パネルSPによる第1直流電圧を第2直流電圧に変換するための単方向直流変換器であり、第2直流電圧が直交変換器110に提供される。図2Aに示すように、一部の実施例において、直流変換器130はダイオード131及びインダクタンス132を含み、且つバイパススイッチ回路140は直流変換器130のダイオード131及びインダクタンス132に並列接続される。光電気エネルギーが太陽光パネルSPから直交変換器110に伝達されることを可能にするように、ダイオード131を通過する電流方向は、太陽光パネルSPから直交変換器110へである。図2Bに示す実施例における直流変換器130は、回路構造が図2Aに示すものと異なるが、単方向コンバーターでもあり、太陽光パネルSPから直交変換器110までの電流経路を提供することに用いられる。
【0015】
図3A図3Eは本開示内容の一部の実施例による直交変換器110A~110Eを示す模式図であり、直交変換器110は双方向直交変換器であってもよい。図3Aにおける直交変換器110Aは、2つのトランジスタスイッチT1、T2を少なくとも含む。前記の制御ユニット120は、直交変換器110の入出力方向を切り替えるように、それぞれトランジスタスイッチT1、T2のオンとオフを制御することができる。図3B図3Eに示す実施例における直交変換器110B~110Eは、回路構造が図3Aに示すものと異なり、双方向直交変換器であり、直交変換器の他の実施例に属する。
【0016】
以下、図4で前記図2A及び図2Bに示す太陽光発電システム100に組み合わせて太陽光発電システム100が異なる動作モード(発電モード及び検出モードを含む)にある場合の工程流れを説明する。図4に示すように、工程S401において、制御ユニット120は、直交変換器110を「発電モード」又は「検出モード」に選択可能に制御する。制御ユニット120が直交変換器110を「発電モード」に制御する場合、工程S402を行なう。工程S402において、制御ユニット120は、バイパススイッチ回路140をオフにする。次に、工程S403において、直流変換器130は、太陽光パネルSPによる第1直流電圧を第2直流電圧に変換する。工程S404において、直交変換器110は、第2直流電圧を交流電圧に変換し、当該交流電圧が外部グリッドEに提供される。
【0017】
制御ユニット120が直交変換器110を「検出モード」に制御する場合、工程S405を行なう。工程S405において、制御ユニット120は、バイパススイッチ回路140をオンにする。次に、工程S406において、制御ユニット120は、直交変換器110が外部グリッドEによる電気エネルギーを使用して検出電力を提供するように制御する。工程S407において、直交変換器110は、バイパススイッチ回路140によって検出電力を太陽光パネルSPに提供する。工程S408において、検出機器Dは、太陽光パネルSPが検出電力により影響された電気的特性又は物理的状態(例えば、損傷した場所又は異常な場所によって形成された熱領域)をテスト/検知して、検出結果(例えば、検出画像)を取得し、且つ太陽光パネルSPが正常であるか又は損壊しているかを分析する。
【0018】
一部の実施例において、図2A及び図2Bに示すように、制御ユニット120は、直交変換器110と太陽光パネルSPとの間の電圧差を検出し、また電圧差に基づいて、バイパススイッチ回路140のオン又はオフ状態を制御する。一実施例において、制御ユニット120は、残留電圧が太陽光発電システム100の内部回路を損壊しないように、直交変換器110と直流変換器130との間のバスバー電圧Vcがセロに戻ったかを検出する(即ち、エネルギー蓄積コンデンサCのクロス電圧がゼロに戻ったか検出する)ことに使用される。別の実施例において、制御ユニット120は、バスバー電圧Vcと太陽光パネルSPの接続ノードVsの電圧がゼロであるか又はゼロに近づくかを検出し(即ち、エネルギー蓄積コンデンサCのクロス電圧がゼロであるか又はゼロに近づくかを検知する)、太陽光発電システム100の内部回路の残留電圧による損壊を避ける。他の実施例において、制御ユニット120は、太陽光発電システム100の内部回路に残留電圧があるかを判断するように、バスバー電圧Vcが太陽光パネルSPの接続ノードVsの電圧と等しいか(又は等しく近づく)を検知する。
【0019】
例としては、直交変換器110が検出モードを終了して発電モードに戻る場合、制御ユニット120は、直交変換器110による検出電力の生成を停止するように制御する。制御ユニット120は、直交変換器110と直流変換器130との間のバスバー電圧Vcがセロに戻っているかを検出し、又はバスバー電圧Vcと太陽光パネルSPの接続ノードVsの電圧が等電位であるかを検知する。バスバー電圧Vcがゼロ(又はゼロに近づく)であり、又はバスバー電圧Vcと接続ノードVsの電圧が等電位(又は等しく近づく)であると、制御ユニット120は、バイパススイッチ回路140をオン状態からオフ状態へ切り替える制御する。同様に、発電モードで一定時間経過した後で、使用者が直交変換器110を検出モードへ切り替える場合、制御ユニット120は、バイパススイッチ回路140をオフ状態からオン状態へ切り替えるように制御する。これによって、制御ユニット120は、直交変換器110が外部グリッドEから電気エネルギーを取得するように制御して、検出電力を生成して直交変換器110からバイパススイッチ回路140を介して当該太陽光パネルSPに伝達するようにする。
【0020】
検出モードにある場合、制御ユニット120は、検出電力の電圧レベル又は電流の大きさを調整することができる。図2Aを参照されたく、一部の実施例において、太陽光発電システム100は、電流センサー121を更に含む。電流センサー121は、制御ユニット120に結合され、太陽光パネルSPへ流れる電流の大きさを検知し、且つ検知された電流値を制御ユニット120に提供し、検知された電流値に基づいて太陽光パネルSPへ流れる電流を調整することに用いられる。
【0021】
一部の実施例において、太陽光発電システム100は、基準電流値を含む。当該基準電流値を設定することで、太陽光パネルSPへ流れる電流が高過ぎて太陽光パネルSPを損壊するのを防ぐことができる。基準電流値は、予め設定されてもよいし、使用者により自分で入力して設定し又はいつでも調整してもよい。電流センサー121は検知された検出電流値を制御ユニット120に提供し、制御ユニット120は検出電流値を基準電流値と比較し、且つ比較結果に基づいて直交変換器110を制御して、直交変換器110によって出力された検出電力の大きさを変える。例えば、検出電流値が基準電流値より大きい場合、検出電力の電圧レベル又は電流の大きさを低下させるが、検出電流値が基準電流値より小さい場合、検出電力の電圧レベル又は電流の大きさを向上させる。一部の実施例において、基準電流値は、直交変換器110が「検出モード」にある場合の理想的な電流範囲である。基準電流値の数値又は範囲は、使用者により設定されてもよいし、タイムリに調整されてもよい。
【0022】
検出モード/検出方法は、複数組の太陽光パネルの同時検出に適用されることもできる。図5A及び図5Bにおいて、図1の実施例に関する類似の素子と原理を以上に説明したため、繰り返して説明しない。図5Aに示すように、太陽光発電システム500は、複数のスイッチ素子W51~W55を含む。バイパススイッチ回路140は、スイッチ素子W51、W52、W53によって太陽光パネルSP1に結合され、且つスイッチ素子W51、W54、W55によって別の太陽光パネルSP2に結合される。2つの太陽光パネルSP1、SP2は、互いに並列に結合される。検出モードで、スイッチ素子W51~W55が何れもオンにされると、太陽光発電システム500は、検出電力を太陽光パネルSP1、SP2に同時に提供することができる。検出機器D(例えば、サーマルイメージャー又はスペクトルアナライザー)は、太陽光パネルSP1、SP2の電気的特性又は物理的状態を同時に検出することができる。
【0023】
スイッチ素子W51、W52、W53がオンにされ、且つスイッチ素子W54、W55がオフにされると、太陽光発電システム500は、検出電力を太陽光パネルSP1のみに提供する。同様に、スイッチ素子W51、W54、W55がオンにされ、且つスイッチ素子W52、W53がオフにされると、太陽光発電システム500は、検出電力を太陽光パネルSP2のみに提供する。制御ユニット120は、直交変換器110と太陽光パネルSPとの間の電圧差がゼロである場合、またバイパススイッチ回路140を制御して、モードの切り替えを行なってよい。他の実施例において、図5Bに示すように、太陽光発電システム500は、スイッチ素子W51、W52、W54によって太陽光パネルSP1、SP2に結合されることができ(即ち、スイッチ素子W53、W55を設ける必要はない)、異なる太陽光パネルSP1、SP2を選択可能に検出することもできる。スイッチ素子W51、W52、W54の操作は、以上の通りである。一部の実施例において、図5A及び図5Bに示すバイパススイッチ回路140は、双方向スイッチ素子、例えば、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ切替スイッチ541(Insulated Gate Bipolar Transistor;IGBT)又はリレー542を含んでもよいが、それらに制限されない。
【0024】
一実施例において、図5Aに示すように、太陽光発電システム500は、電流センサー521a、521bによって、スイッチ素子W52、W54に流れる電流の大きさをそれぞれ検出し、且つスイッチ素子W51に流れる電流の大きさを算出することができる。電流センサー521a、521bの動作方法は、図2Aに記載の実施例と同じであり、検出されたデータを制御ユニット120に送り返すことができるように、制御ユニット120に電気的に接続される。一実施例において、図5Bに示すように、太陽光発電システム500は、電流センサー521c、521dによって、スイッチ素子W51、W54に流れる電流の大きさをそれぞれ検出し、またそれに基づいてスイッチ素子W52に流れる電流の大きさを算出する。
【0025】
一部の実施例において、制御ユニット120は、全ての電流センサー521a、521bによって取得された検出電流値を使用することができる。制御ユニット120は、全ての検出電流値を基準電流値と比較して、比較結果に基づいて直交変換器110を制御し、且つ検出電力に対応する電圧レベル又は電流の大きさを変化することができる。一部の実施例において、検出電流値の1つが基準電流値より大きい(又は最大の検出電流値が基準電流値より大きい)限り、制御ユニット120は、検出電力を低減させる直交変換器110を制御する。この制御方法は、検出される太陽光パネルを損壊することを避けることができる。
【0026】
膨大な数の太陽光パネルを検出する場合、太陽光発電システムの直交変換器は、複数の直流変換器に並列接続され、更に、複数の直流変換器を複数の太陽光パネルに並列接続させることで、直交変換器の発電モードでの効率を向上させることができる。図6A及び図6Bにおいて、図1の実施例に関する類似の素子と原理を以上に説明したため、繰り返して説明しない。
【0027】
図6Aに示すように、直交変換器110は、2つの直流変換器130A、130Bに結合される。バイパススイッチ回路140は、それぞれ2つの経路を介してスイッチ素子WA1、WB1に接続される。スイッチ素子WA1は、またスイッチ素子WA2、WA4によってそれぞれ太陽光パネルSP1、SP2に接続され、且つスイッチ素子WA3、WA5に接続される。スイッチ素子WB1は、スイッチ素子WB2、WA4によって太陽光パネルSP3、SP4にそれぞれ接続され、且つスイッチ素子WB3、WB5に接続される。バイパススイッチ回路140は、バイパススイッチ素子641(例えば、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ切替スイッチ)及び2つの単方向伝導素子142を含む。バイパススイッチ素子641は、制御ユニット120によってオン制御される場合、前記のように太陽光パネルSP1~SP4を検出することができる。同様に、図6Bのバイパススイッチ回路140は、互いに結合される2つのバイパススイッチ素子641、642(例えば、IGBT)及び単方向伝導素子142を含む。バイパススイッチ素子641及び対応するスイッチ素子WA1~WA5がオンにされる場合、太陽光発電システム600は、太陽光パネルSP1~SP2を検出する。逆に、バイパススイッチ素子642及び対応するスイッチ素子WB1~WB5がオンにされる場合、太陽光発電システム600は、太陽光パネルSP3~SP4を検出する。他の一部の実施例において、太陽光発電システム600は、太陽光パネルSP1、SP2を検出モード又は発電モードに個別へ切り替えるように、各太陽光パネルSP1、SP2のそれぞれに対して、独立した1組のバイパススイッチ素子641、642をそれぞれ設けてよい。
【0028】
一実施例において、図6A及び図6Bに示すように、太陽光発電システム100は、電流センサー621a、621bによって、太陽光パネルSP2に接続されるスイッチ素子WA2、WA4に流れる電流の大きさをそれぞれ検出し、且つそれに基づいてスイッチ素子WA1に流れる電流の大きさを算出することができる。同様に、太陽光発電システム100は、電流センサー621c、621dによって、太陽光パネルSP4に接続されるスイッチ素子WB2、WB4に流れる電流の大きさをそれぞれ検出し、それに基づいてスイッチ素子WB1に流れる電流の大きさを算出することができる。なお、電流センサーは、スイッチ素子WA1、WA4の間に装着され、それに基づいてスイッチ素子WA2に流れる電流を計算してもよい。
【0029】
本開示内容における「バイパススイッチ回路」及びその「バイパススイッチ素子」の特徴は、図1図6Bに示すものに制限されなく、検出モードで直交変換器と太陽光パネルとの間に検出電力経路を伝達する回路を形成することができれば、何れも「バイパススイッチ回路」及びその「バイパススイッチ素子」として使用されることができる。図7Aでは、図5Aの実施例に関する類似の素子と原理を以上に説明したため、繰り返して説明しない。図に示すように、一部の実施例において、バイパススイッチ回路740は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ切替スイッチを含み、又は絶縁ゲート型バイポーラトランジスタによってスイッチを切り替えることができる。検出モードで、制御ユニット120は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ切替スイッチをオン制御して、検出電力をバイパススイッチ回路740を介して太陽光パネルSP1又はSP2に伝達する。一部の実施例において、太陽光発電システム700における直流変換器130は、ダイオード131を含む。この場合、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ切替スイッチ内の寄生ダイオードは、ダイオードとして使用されることができる。例としては、直流変換器130は、バイパススイッチ回路740における絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ切替スイッチの寄生ダイオードによって達成されることのできるダイオード131を含む。ダイオード131は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ切替スイッチに並列に結合される(図5Aの回路と類似する)。図7Bは本開示内容の異なる実施例による太陽光発電システム700の模式図であり、図6Bの実施例に関する類似の素子と原理を以上に説明したため、繰り返して説明しない。図におけるバイパススイッチ回路は、バイパススイッチ素子741、742を含み、素子における寄生ダイオードは、それぞれ直流変換器130A、130Bにおけるダイオード131A、131Bとして使用されることができる。
【0030】
図8に示すように、この実施例において、太陽能発電系800のバイパススイッチ回路840及び直流変換器130は、被制御スイッチ850、スイッチ素子WA、WB、WCに結合される。なお、直流変換器130は、2つの切替スイッチTa、Tbを更に含む。切替スイッチTa、Tbの制御側は、制御ユニット120に結合され、オン又はオフになるように制御ユニット120によって制御される。発電モードで、スイッチ素子WA、WB、WC、切替スイッチTa、Tbは、オン制御され、バイパススイッチ回路840及び被制御スイッチ850はオフにされる。この場合、バイパススイッチ回路840における寄生ダイオードは、直流変換器130内のダイオード131として使用される。太陽光パネルSP1、SP2による光電気エネルギーは、被制御スイッチ850の寄生ダイオードによって、直流変換器130及び直交変換器110で処理されて、外部グリッドEに出力されることができる。つまり、ダイオード131は、光電気エネルギーを太陽光パネルSP1、SP2から直交変換器110に伝達することに用いられる。
【0031】
検知モードで、バイパススイッチ回路840、被制御スイッチ850、スイッチ素子WA、WB、WCがオンにされ、切替スイッチTa、Tbがオフにされることで、直流変換器130はオフにされる。直交変換器110は、外部グリッドEから電気エネルギーを取得して、バイパススイッチ回路840及びオンにされた被制御スイッチ850によって、検出電力を太陽光パネルSP1、SP2に提供する。
【0032】
前記の実施例と同様に、一実施例において、図8に示すように、太陽光発電システム100は、電流センサー821a、821bによって、太陽光パネルSP2に接続されるスイッチ素子WA、WBに流れる電流の大きさをそれぞれ検出し、またそれに基づいて、スイッチ素子WCに流れる電流の大きさを算出する。
【符号の説明】
【0033】
100 太陽光発電システム
110、110A-110E 直交変換器
120 制御ユニット
121 電流センサー
130、130A、130B 直流変換器
131、131A、131B ダイオード
132 インダクタンス
140、740 バイパススイッチ回路
141、641、741、742 バイパススイッチ素子
142 単方向伝導素子
521a-521d 電流センサー
541 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ切替スイッチ
542 リレー
621a-621d 電流センサー
821a、821b 電流センサー
840 バイパススイッチ回路
Vs 接続ノード
Vc バスバー電圧
C エネルギー蓄積コンデンサ
D 検出機器
E 外部グリッド
SP、SP1-SP4 太陽光パネル
T1、T2 トランジスタスイッチ
Ta、Ta 切替スイッチ
W51-W55、WA1-WA5、WB1-WB5 スイッチ素子
S401-S408 工程
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8