(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】封緘装置、封筒搬送装置及び封止装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20220412BHJP
B65H 29/60 20060101ALI20220412BHJP
B65B 51/02 20060101ALI20220412BHJP
B65B 7/02 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B65H9/00 B
B65H29/60
B65B51/02 D
B65B51/02 F
B65B51/02 A
B65B7/02 Z
(21)【出願番号】P 2018013983
(22)【出願日】2018-01-30
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】松下 健
(72)【発明者】
【氏名】萬 秀紀
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-161314(JP,A)
【文献】特開平06-297897(JP,A)
【文献】特開2013-006380(JP,A)
【文献】特開2000-118805(JP,A)
【文献】特開2005-022767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 7/00- 7/20
B65H 9/00 -9/20
B65H 29/54-29/70
B65H 45/00-45/30
B65B 51/00-51/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される封筒に封緘剤を付与する封緘剤付与部と、封筒のフラップを封止する封止部とを備えた封緘装置であって、封筒の斜行を補正する斜行補正部が設けられ、前記斜行補正部には、
前記フラップに折線が形成される位置に位置する前記封筒の側辺が突き当てられる突き当て板が前記封止部
に隣接して設置される封緘装置。
【請求項2】
前記突き当て板は、前記封筒の搬送路の下方に設置された搬送部により搬送される前記封筒の側辺が突き当てられる請求項1に記載の封緘装置。
【請求項3】
突き当て板は、搬送路における封筒の搬送を遮断可能に構成される請求項1または請求項2に記載の封緘装置。
【請求項4】
突き当て板を、封筒を通過させる待機位置と、封筒の搬送を遮断する斜行補正位置との間で移動させる突き当て板移動部を備えた請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の封緘装置。
【請求項5】
封止後の封筒を積載する積載部及び前記積載部へ封筒を排出する排出経路が、複数設けられた請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の封緘装置。
【請求項6】
封筒を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される封筒に封緘剤を付与する封緘剤付与部と、封筒のフラップを封止する封止部とを備えた封緘装置であって、封筒の斜行を補正する斜行補正部が設けられ、前記斜行補正部には、封筒の側辺を突き当てる突き当て板が設置され、前記封止部には、フラップを封筒胴部とともに挟持する一対の封止ローラと、前記一対の封止ローラの間にフラップの折線形成位置を案内する案内部材と、一対の封止ローラの少なくとも一方を所定方向に移動させる封止ローラ移動部とが設けられる封緘装置。
【請求項7】
封止ローラ移動部は、フラップを封筒胴部とともに挟持する際に封止ローラを移動する請求項
6に記載の封緘装置。
【請求項8】
封止ローラ移動部は、封筒の曲率半径が大きくなる方向へ封止ローラを移動する請求項
6または請求項
7に記載の封緘装置。
【請求項9】
封筒のフラップを封筒胴部とともに挟持する一対の封止ローラと、前記一対の封止ローラの間にフラップの折線形成位置を案内する案内部材と、一対の封止ローラの少なくとも一方を所定方向に移動させる封止ローラ移動部とを備えた封止装置。
【請求項10】
封筒を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される封筒に封緘剤を付与する封緘剤付与部と、封筒のフラップを封止する封止部とを備えた封緘装置であって、封止後の封筒を積載する積載部及び前記積載部へ封筒を排出する排出経路が複数設けられ、前記積載部は、封筒の厚さが所定値より薄い封筒を積載する第1積載部を備えた
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の封緘装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封緘装置、封筒搬送装置及び封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手作業による封緘作業に対し、自動的に糊を塗布し、フラップに折り目を形成し、フラップを折り畳んで封筒胴部側に貼着する封緘装置が開発されている(特許文献1)。
【0003】
上記封緘装置は、たとえば、封筒を供給する封筒供給部と、フラップに折り目を形成する折り目形成部と、フラップに糊を塗布する糊塗布部と、フラップを折り畳んで封筒胴部に貼着する封止部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の封緘装置では、封筒の斜行を補正することが困難であった。また、封緘後の封筒を、封筒の厚さに応じて分けることはなかった。更に、フラップに折線を形成し、封筒を封止する際に、封止ローラを移動することはなかった。
【0006】
本発明の目的は、封筒の斜行を容易に補正することが可能な封緘装置、封筒搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の封緘装置は、封筒を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される封筒に封緘剤を付与する封緘剤付与部と、封筒のフラップを封止する封止部とを備えた封緘装置であって、封筒の斜行を補正する斜行補正部が設けられ、前記斜行補正部には、前記フラップに折線が形成される位置に位置する前記封筒の側辺が突き当てられる突き当て板が前記封止部に隣接して設置される。また、前記構成において、前記突き当て板は、前記封筒の下方に設置された搬送部により搬送される前記封筒の側辺が突き当てられる。
【0008】
更に、前記構成において、突き当て板は、搬送路における封筒の搬送を遮断可能に構成される。
【0009】
更に、前記各構成において、突き当て板を、封筒を通過させる待機位置と、封筒の搬送を遮断する斜行補正位置との間で移動させる突き当て板移動部を備えた。
【0010】
更に、前記各構成において、封止後の封筒を積載する積載部及び前記積載部へ封筒を排出する排出経路が、複数設けられた。
【0011】
更に、前記各構成において封止部には、フラップを封筒胴部とともに挟持する一対の封止ローラと、前記一対の封止ローラの間にフラップの折線形成位置を案内する案内部材と、一対の封止ローラの少なくとも一方を所定方向に移動させる封止ローラ移動部とが設けられる。
【0012】
更に、前記構成において、封止ローラ移動部は、フラップを封筒胴部とともに挟持する際に封止ローラを移動する。
【0013】
更に、前記各構成において、封止ローラ移動部は、封筒の曲率半径が大きくなる方向へ封止ローラを移動する。
【0015】
更に、前記各構成において、封筒を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される封筒に封緘剤を付与する封緘剤付与部と、封筒のフラップを封止する封止部とを備えた封緘装置であって、封止後の封筒を積載する積載部及び前記積載部へ封筒を排出する排出経路が複数設けられ、前記積載部は、封筒の厚さが所定値より薄い封筒を積載する第1積載部を備えた。
【0016】
更に、本発明の封止装置は、封筒のフラップを封筒胴部とともに挟持する一対の封止ローラと、前記一対の封止ローラの間にフラップの折線形成位置を案内する案内部材と、一対の封止ローラの少なくとも一方を所定方向に移動させる封止ローラ移動部とを備えた。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、封筒を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される封筒に封緘剤を付与する封緘剤付与部と、封筒のフラップを封止する封止部とを備えた封緘装置であって、封筒の斜行を補正する斜行補正部が設けられ、前記斜行補正部には、前記フラップに折線が形成される位置に位置する前記封筒の側辺が突き当てられる突き当て板が前記封止部に隣接して設置されるので、フラップに折線を形成するときに、封筒の斜行を補正することができる。また、前記突き当て板は、前記封筒の下方に設置された搬送部により搬送される前記封筒の側辺が突き当てられるので、封筒の斜行を容易に補正することができる。
【0018】
また、突き当て板は、搬送路における封筒の搬送を遮断可能に構成される場合は、封筒の搬送を停止する際に、封筒の斜行を補正することができる。
【0019】
そして、突き当て板を、封筒を通過させる待機位置と、封筒の搬送を遮断する斜行補正位置との間で移動させる突き当て板移動部を備えた場合は、容易に封筒の斜行を補正することができる。
【0020】
更に、封止後の封筒を積載する積載部及び前記積載部へ封筒を排出する排出経路が、複数設けられた場合は、封筒の厚さに応じて積載部を分けることができる。
【0021】
更に、封止部には、フラップを封筒胴部とともに挟持する一対の封止ローラと、前記一対の封止ローラの間にフラップの折線形成位置を案内する案内部材と、一対の封止ローラの少なくとも一方を所定方向に移動させる封止ローラ移動部とが設けられる場合は、フラップに折線を形成し、封筒を封止する際に、封止ローラを移動することができる。
【0022】
更に、封止ローラ移動部は、フラップを封筒胴部とともに挟持する際に封止ローラを移動する場合は、封筒を封止ローラで挟持する際に封筒が湾曲するのを抑制することができる。
【0023】
更に、封止ローラ移動部は、封筒の曲率半径が大きくなる方向へ封止ローラを移動する場合は、封筒Eを封止ローラで挟持する際に封筒Eが湾曲する量を少なくすることができる。
【0025】
更に、封筒を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される封筒に封緘剤を付与する封緘剤付与部と、封筒のフラップを封止する封止部とを備えた封緘装置であって、封止後の封筒を積載する積載部及び前記積載部へ封筒を排出する排出経路が複数設けられ、前記積載部は、封筒の厚さが所定値より薄い封筒を積載する第1積載部を備えた場合は、封筒の厚さに応じて積載部を分けることができる。
【0026】
更に、本発明の封止装置は、封筒のフラップを封筒胴部とともに挟持する一対の封止ローラと、前記一対の封止ローラの間にフラップの折線形成位置を案内する案内部材と、一対の封止ローラの少なくとも一方を所定方向に移動させる封止ローラ移動部とを備えたので、フラップに折線を形成し、封筒を封止する際に、封止ローラを移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る封緘装置の概略構成を示す縦断面図である。
【
図5】他の実施形態に係る封緘装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施形態)
図1、2は、本発明に係る封緘装置の全体の構成を示している。
図1は、封緘装置1の概略構成を示す縦断面図である。
図2は封緘装置1の内部構成を示す平面図である。各図において、封緘装置1は、封筒を搬送する搬送部3を備える。搬送部3は、略水平な搬送路4を有する。搬送路4の上流側に封筒Eの供給部2が設けられる。搬送路4の下流側に積載部6が設けられる。搬送路4には、封緘剤付与部7、封止部8、斜行補正部9が設けられる。また、搬送路4には、複数の封筒検出部11が設置される。封筒搬送装置は、封緘装置1により構成される。
【0029】
(搬送部3)
搬送部3は、供給部2から供給された封筒Eを積載部6へ搬送する。搬送部3は、搬送ローラ31、搬送ベルト32、搬送駆動部35を備える。搬送ローラ31は、封筒Eの搬送面の上下に対向して一対設置される。
搬送ベルト32は、前後に所定量離間して設置された一対のベルト用ローラ33に掛け渡される。
【0030】
(供給部2)
供給部2は未封緘状態の封筒Eを搬送路4へ供給する。供給部2は、供給台21、供給ベルト22と、捌き部23とを備える。供給台21の上面には、複数の未封緘の封筒Eが積載される。供給台21には、封筒Eの大きさに応じた載置位置が印付けされている。封筒Eの載置位置は、フラップFの折線形成位置が、搬送部3による搬送方向Hに直交する幅方向Wで、後述する案内部材82の設置位置と同じとなる位置である。
【0031】
供給ベルト22は、供給台21の下流側位置に埋設される。供給ベルト22は封筒Eの供給方向に直交する幅方向Wに複数並設される。供給ベルト22は、前後一対の供給ローラ24に掛け渡される。供給ローラ24は、封筒Eの載置面の下方に設置される。供給ローラ24は封筒Eの供給方向に所定距離離間して設置される。供給ベルト22が掛け渡された一対の供給ローラ24のうち、一方の供給ローラ24は、幅方向Wの一端部に設けられた駆動伝達機構25を介して供給駆動部26に連結される。供給駆動部26の駆動により、供給ローラ24が回転され、供給ベルト22が走行される。
【0032】
捌き部23は、封筒Eの重送を防止する。捌き部23は、捌きローラ28及び当接板29を備える。
図2では、一個の捌きローラ28を備える場合を示す。この捌きローラ28は、封筒Eの供給方向に直交する幅方向W中央近傍に設置された供給ベルト22aの下流側端部の上方に対向設置されている。尚、捌きローラ28は、幅方向Wに複数並設してもよい。捌きローラ28は図示しない付勢手段によって下方に向けて付勢されている。当接板29は、捌きローラ28の上流側に設置される。当接板29は封筒Eの側辺が当接される。当接板29は供給ベルト22の上方に、所定距離離間して立設される。
【0033】
(封緘剤付与部7)
封緘剤付与部7は、封筒Eに封緘剤を付与する。封緘剤としては、糊、接着剤、水等が挙げられる。水は、封筒Eの封止位置に予め接着成分が塗布された封筒Eを封緘する際に用いられる。封緘剤は、液体、固体、ゲル状のいずれの形態でもよい。また、封緘剤は、テープに保持されたものでもよく、霧状に噴射されるものでもよい。
【0034】
図1に示す封緘剤付与部7では、封緘剤が糊カセット71に保持された糊である場合を示している。糊カセット71には、糊を保持するテープが収容される。糊カセット71の下端部には、糊を封筒Eへ転写する転写部72が設けられる。転写部72は転写ローラ721を備える。転写部72では、テープの糊保持面が下方の受けローラ722に対向する。転写ローラ721は受けローラ722との間で封筒EのフラップFを挟持する。
【0035】
糊カセット71は、カセット保持部74に保持される。カセット保持部74は、糊カセット71を着脱自在に保持する。カセット保持部74は昇降部75により昇降させる。昇降部75は、糊カセット71を待機位置と封緘剤付与位置との間で昇降する。
【0036】
(封止部8)
封止部8は、封筒EのフラップFを封止する。封止部8は封止装置を構成する。封止部8は、一対の封止ローラ81、案内部材82、搬送ベルト32を備える。封止ローラ81は、フラップFを封筒胴部Tとともに挟持する。一対の封止ローラ81は、第1封止ローラ41及び第2封止ローラ42によって構成される。第1封止ローラ41及び第2封止ローラ42は、搬送ベルト32による封筒Eの搬送方向Hに沿って延在される。第1封止ローラ41は図示しない駆動連結機構を介して封止駆動部86に連結される。
【0037】
一対の封止ローラ81の少なくとも一方は、封止ローラ移動部87によって所定方向に移動させる。
図3は、封止部8を下流側から見た拡大図である。封止ローラ移動部87は、封筒Eの曲率半径が大きくなる方向へ封止ローラ81を移動する。その際例えば、
図4に示すように、封止ローラ移動部87は、一対の封止ローラ81による封筒EのニップNを鉛直方向から傾斜させるよう一方の封止ローラ81を揺動することができる。
【0038】
封止ローラ移動部87は、揺動部51、ソレノイド52、リンク部材53、第1付勢部材55及び第2付勢部材56を備える。揺動部51は、一対の封止ローラ81を回動自在に軸支する軸支部材58を備える。軸支部材58は、第1封止ローラ41の回転軸61を軸心に、第2封止ローラ42を揺動させる。軸支部材58の
図3において左側に示す一方の端部に設けられた付勢部59は、第1付勢部材55によって左下に向けて付勢される。軸支部材58の
図3において右側に示す被係止部60は、リンク部材53に係止される。
【0039】
リンク部材53は、下流側から見て2か所で屈曲した形状を有する。リンク部材53には、係止部62、係支軸63、連結部64、付勢部65が設けられる。係止部62は、リンク部材53の
図3において上端部に示す一方の端部に設けられる。係止部62は、軸支部材58の被係止部60を係止する。係支軸63は、リンク部材53の中ほどに設けられる。リンク部材53は係支軸63を軸心に回動される。連結部64は、
図3において係支軸63の下方位置に示される。連結部64は、ソレノイド52に連結される。付勢部65はリンク部材53の
図3において下端部に示される他方の端部に設けられる。付勢部65は、第2付勢部材56に結合される。付勢部65は、第2付勢部材56によって、
図3において右方に付勢される。
【0040】
リンク部材53は、ソレノイド52の駆動により、連結部64が
図3において左方に引かれると、係支軸63を軸心に
図3において時計回りC2に所定角度回動される。これより、リンク部材53上端部の係止部62が軸支部材58の被係止部60を係止した状態が解除される。すると、軸支部材58は、第1封止ローラ41の回転軸61を軸心に下方へ向けてC1揺動される。このとき軸支部材58は、第1付勢部材55の付勢力に抗して揺動する。第2封止ローラ42は下方へ向けて揺動される。第1封止ローラ401と第2封止ローラ42の間に形成される封筒EのニップNを含む平面は
図4に示すように、鉛直方向から傾斜位置に移動される。
【0041】
一方、
図4に示すニップNを含む平面が傾斜した位置において、封止駆動部86の駆動によって第1封止ローラ41が同図において反時計回りR1に回転されると、ニップNにおいて接触する第1封止ローラ41の回転によって第2封止ローラ42が、
図4における上方へ向けて移動される。
【0042】
これらより、第2封止ローラ42は上方へ移動する。一対の封止ローラ81による封筒EのニップNは、傾斜位置から鉛直方向へ復帰する。その後、ソレノイド52の駆動が解除され、第2付勢部材56の付勢力によって、付勢部65を
図4において右方へ移動する。リンク部材53は、係支軸63を軸心に
図4において反時計回りR2に回動する。リンク部材53の係止部62は軸支部材58を係止する係止位置に移動される。
【0043】
案内部材82は、第1封止ローラ41と第2封止ローラ42の間にフラップFの折線形成位置を案内する。案内部材82は、封筒Eの搬送面の上方に設置される。案内部材82は、略水平な搬送面の下方に設置された一対の封止ローラ81のニップNに対向して配置される。案内部材82は、一体形成された支持部83によって揺動自在に支持される。案内部材82は、支持部83が揺動部85によって所定のタイミングで揺動軸84を軸心に揺動されることで上下方向に移動する。揺動部85は、揺動駆動部851、揺動カム852及び図示しない付勢部材を備える。
図3に示すように、揺動駆動部851の駆動により揺動カム852が支持部83を押圧することで、付勢部材の付勢力に抗して案内部材82がニップNに向けて揺動される。
【0044】
(斜行補正部9)斜行補正部9は、封筒Eの斜行を補正する。斜行補正部9は、突き当て板91、支持軸92及び突き当て板移動部94を備える。突き当て板91は、搬送ベルト32による封筒Eの搬送方向Hに直交する向きに延在される。突き当て板91には、封筒Eの側辺が突き当たる。
【0045】
突き当て板91は、封筒Eの搬送を遮断可能に構成される。突き当て板91の上端部は搬送面の上方位置で支持軸92に固定される。支持軸92は、側板13,14に回動自在に軸支される。突き当て板91は、突き当て板移動部94によって待機位置と斜行補正位置との間で移動される。
図1では、突き当て板91が待機位置にある場合を実線で、斜行補正位置にあるときを二点鎖線で示す。待機位置では、突き当て板91が所定角度傾斜した姿勢となる。待機位置では、封筒Eが搬送路上を積載部6へ向けて通過可能とされる。斜行補正位置では、突き当て板91が鉛直方向に延在され、封筒Eの搬送が遮断される。
【0046】
突き当て板移動部94は、突き当て板91を待機位置から鉛直方向へ揺動し、封筒E搬送路を閉塞させる。突き当て板移動部94は、ソレノイド95、リンク部材96、付勢部材97を備える。
図1では、リンク部材96は矩形状板材により形成される場合を示す。リンク部材96の長手方向中央部はソレノイド95に連結される。リンク部材96の一方の端部は支持軸92に固定される。リンク部材96の他方の端部は付勢部材97により下方に向けて付勢される。
【0047】
ソレノイド95が駆動されると、付勢部材97の付勢力に抗してリンク部材96が支持軸92を軸心に
図1において二点鎖線で示す斜行補正位置へ反時計回りに揺動される。これより、突き当て板91は傾斜姿勢から鉛直方向に延在する姿勢へ揺動され、搬送路4を閉止する。
【0048】
尚、突き当て板移動部94は、突き当て板91を支持軸92を軸心に揺動させる構成に替えて、突き当て板91を上下、水平方向または傾斜方向に移動させる構成としてもよい。
【0049】
(積載部6)
積載部6は封緘後の封筒Eが積載される。積載部6は複数設けられる。積載部6は、第1積載部68及び第2積載部69により構成される。第1積載部68は、搬送路4の側方に設置される。第2積載部69は搬送ベルト32による搬送方向H下流側に設置される。第1積載部68及び第2積載部69へ封筒Eを排出する排出経路がそれぞれ設けられる。
【0050】
封筒検出部11は、発光素子と受光素子が封筒搬送面を挟み上下に設置される。封筒検出部11は、封筒Eの下流側の側辺及び上流側の側辺を検出する。封筒検出部11の検出信号は、制御部10に送られる。
【0051】
(制御部10)
制御部10は、封緘装置1全体の動作を制御する。制御部10は、封筒検出部11からの検出信号を受信し、駆動部を所定のタイミングで駆動する。制御部10は、封筒検出部11からの検出信号を基に、各部における動作タイミングを決めるためのカウントを開始する。
【0052】
(封緘作業)
封緘作業の際、封筒Eが供給台21上に積載される。封筒Eの下流側の側辺は、当接板29に当接される。フラップFの折線形成位置が、幅方向Wで案内部材82の設置位置と同じ位置となるよう位置合わせされる。封筒EのフラップFは、開いた状態で載置される。供給駆動部26が駆動されると、駆動伝達機構25、供給ローラ24を介して供給ベルト22が走行される。封筒Eは、最下位から順に下流側へ供給され、捌きローラ28により、一枚ずつに分離される。
【0053】
制御部10は、封筒検出部11の検出信号を受信する。制御部10は、封筒Eが封緘剤付与部7へ至る所定のタイミングで、昇降部75を駆動し、糊カセット71を封緘剤付与位置まで降下する。封緘剤付与位置において転写ローラ721がテープに保持された糊をフラップFの上面に押し付ける。封筒Eは搬送部3により下流側へ搬送されると、転写ローラ721が封筒Eとの摩擦により回転され、糊が封筒EのフラップFに付与される。転写ローラ721設置位置に、封筒Eの上流側の側辺が至るタイミングで、昇降部75は糊カセット71の上昇を開始し、待機位置まで上昇させる。
【0054】
その後、封筒Eは、搬送ローラ31によって封止部8へ搬送される。制御部10は、封筒Eが封止部8へ搬送される所定のタイミングで、ソレノイド95を駆動する。これより、リンク部材96の付勢部材97によって付勢されている
図1における右側の端部が、当該付勢部材97の付勢力に抗して二点鎖線で示すように上方に揺動する。これより、突き当て板91は傾斜姿勢から直立姿勢へ揺動される。突き当て板91は、搬送路4における封筒Eの搬送を遮断する。封筒Eは、搬送ベルト32で搬送され、突き当て板91に突き当たり、停止される。制御部10は、突き当て板91によって封筒Eの搬送が遮断された後、所定時間経過後搬送ベルト32の走行を停止する。
【0055】
封筒Eの側辺が突き当て板91に接触し、この接触時から所定時間経過後に搬送ベルト32の走行が停止されることで、封筒Eの側辺の向きが突き当て板91に平行となる。これより、封筒Eの斜行が矯正される。このように、斜行補正部9には、封筒Eの側辺を突き当てる突き当て板91が設置されるので、封筒Eの斜行を容易に補正することができる。
【0056】
また、突き当て板91は、搬送路4における封筒Eの搬送を遮断可能に構成されるので、封筒EのフラップFに折線を形成するため、搬送部3による封筒Eの搬送を停止するときに、封筒Eの斜行を補正することができる。よって、効率よく斜行補正できる。また、フラップFに折線を形成する直前に封筒Eの斜行を補正でき他のタイミングで斜行を補正する場合に比較してより適正な位置に折線を形成できる。
【0057】
制御部10は、フラップFに折線を形成するために、案内部材82の揺動部を駆動し、案内部材82を
図3において二点鎖線で示す折線形成位置まで下降する。また、制御部10は、封止駆動部86を駆動し、第1封止ローラ41を回転する。第1封止ローラ41が回転されると、第2封止ローラ42が従動回転する。そして、制御部10は、ソレノイド52を駆動する。ソレノイド52の駆動によりリンク部材53は係支軸63を軸心に
図3において時計方向C2に回動される。軸支部材58の被係止部60は、係止部62によって係止されなくなり、第2封止ローラ42は、第1封止ローラ41の回転軸61を軸心として下方へ揺動される。
【0058】
フラップFの折線形成位置は、
図4に示すように、傾斜姿勢となった一対の封止ローラ81のニップNに挟持される。制御部10は、封止駆動部86の駆動により第1封止ローラ41を更に所定量回転することで、フラップFが折り畳まれる。フラップFは、封筒胴部TとともにニップNに挟持され、
図4において左下方へ向けて所定量送られる。これより、フラップFの封緘剤塗布位置が封筒胴部Tに押し付けられ、フラップFが閉じられる。
【0059】
このように、封止ローラ81を所定方向に移動させる封止ローラ移動部87が設けられるので、フラップFに折線を形成し、封筒Eを封止する際に、封止ローラ81を移動することができる。封止ローラ移動部87は、フラップFを封筒胴部Tとともに挟持する際に封止ローラ81を移動するので、封筒Eを封止ローラ81で挟持することで、封筒Eが湾曲するのを抑制することができる。封止ローラ移動部87は、封筒Eの曲率半径が大きくなる方向へ封止ローラ81を移動するので、封筒Eを封止ローラ81で挟持することで、封筒Eが湾曲する量を少なくすることができる。
【0060】
封筒Eの厚さが所定値より薄い場合、封筒Eは、第1積載部68へ排出される。このとき、制御部10は、フラップFの封止後、所定時間に渡り封止駆動部86を駆動し、封止ローラ81の回転を継続する。封筒Eは一対の封止ローラ81によってニップN位置より下方へ送られ、第1積載部68に排出される。
【0061】
封筒Eの厚さが所定値より厚いときや封筒Eの内容物が壊れやすい場合など封止ローラ81によって封筒胴部Tを挟持し、第1積載部68へ排出すべきでないときは、フラップFが封筒胴部Tに接着され、封止された後、封止ローラ81が逆回転される。封止ローラ81の逆回転により封筒Eは、搬送ベルト32上へ戻り、水平姿勢となる。制御部10は、斜行補正部9のソレノイド95をオフにする。突き当て板91は、付勢部材97の付勢力によって、斜行補正位置から待機位置へ移動する。制御部10は、搬送ベルト32を走行させ、封筒Eを第2積載部69へ向けて排出させる。
【0062】
突き当て板91を、封筒Eを通過させる待機位置と、封筒の搬送を遮断する斜行補正位置との間で移動させる突き当て板移動部94を備えたので、容易に封筒Eの斜行を補正することができる。封止後の封筒Eを積載する積載部6及び前記積載部6へ封筒Eを排出する排出経路が、複数設けられたので、封筒Eの厚さに応じて適正に封筒Eを折畳むことができ、必要な積載部6に排出することができる。
【0063】
以上より、本実施形態の封緘装置1は、封筒Eの斜行を補正する斜行補正部9が設けられ、前記斜行補正部9には、封筒Eの側辺を突き当てる突き当て板91が設置されるので、封筒Eの斜行を適正に補正することができる。
【0064】
(第2の実施の形態)
図5は、封緘装置1の変形例を示している。
図5では、封止部8aが、封止ローラ81に替えて、封止板89を備える。封止板89は、封止板移動部88によって移動され、フラップFを封筒胴部Tへ向けて折畳み、封筒Eを封止する。封止板移動部88は、リンク機構67及び図示しない封止駆動部を備える。
【0065】
また、新たに、折線形成ローラ44を設けている。折線形成ローラ44は、封緘剤付与部7と封止部8aとの間に設置される。折線形成ローラ44は折刃ローラ45及び受けローラ46により構成される。折刃ローラ45は、搬送面の上方に設置される。折刃ローラ45の周面には刃先47が設けられる。刃先47は、ローラ周面に突出して形成される。
【0066】
受けローラ46は搬送面の下方に設置される。受けローラ46の周面には凹溝48が形成される。凹溝48には、フラップFを介して刃先47が挿通される。受けローラ46は折刃ローラ45の回転により従動して回転される。尚、受けローラ46の周面は、凹溝48に替えて平坦面に形成されてもよい。
【0067】
また、搬送部3aは搬送ベルト32に替えて、複数の搬送ローラ34を備える。折刃ローラ45は、搬送ローラ34の回転軸36に固定される。折刃ローラ45は、搬送駆動部35aの駆動により搬送ローラ34とともに回転される。また、本第2の実施形態では、厚さ検出部12を備える。厚さ検出部12は、搬送ローラ31と捌きローラ32の間に挟持した封筒Nの厚さ情報を検出する。第2の実施形態に係る封緘装置1aでは、第1積載部68及び案内部材82が設けられていない。
【0068】
本第2の実施形態に係る封緘装置1aでは、折刃ローラ45と受けローラ46の間をフラップFが通過することで、フラップFの所定位置に折線が形成される。その際、折刃ローラ45の刃先47が、受けローラ46の凹溝48にフラップFを挿通しつつ回転されることで、封筒Eが下流側へ搬送されるときにフラップFに折線が形成される。
【0069】
封止部8aに至った封筒Eは、
図6(a)~(c)に示すように、封止板移動部88の駆動により回動する封止板89によって封筒胴部Tに向けて折り畳まれる。その後、封筒Eは、搬送ローラ34によって積載部6aへ搬送される。
【0070】
制御部10aは、厚さ検出部12で検出された厚さ情報に基づいて、封止駆動部の駆動量を調整し、封止板89の支持台90への押圧量を調整する。また、厚さ検出部12の検出値に替えて、操作パネルより入力された封筒の厚さ情報に基づいて当該押圧量を制御してもよい。
【0071】
尚、前記各実施の形態では、突き当て板91は、搬送路4における封筒Eの搬送を遮断可能に構成されたが、封筒の側辺を突き当てつつ封筒の搬送を継続可能な構成としてもよい。また、突き当て板91は、封筒Eを通過させる待機位置と、封筒Eの搬送を遮断する斜行補正位置との間で移動させる突き当て板移動部94を備えたが、突き当て板を移動しない構成としてもよい。
【0072】
また、ガイド板22,22aは、摘み18が設けられ手動により搬送幅方向Wへの移動し、摘み18の回転により所定位置に固定されたが、これに替えて、モータと、モータの駆動によりガイド板を搬送幅方向へ移動する移動手段とを備えることとしてもよい。
【0073】
また、前記実施の形態では、搬送路4が供給部から積載部へ逆走せずに進む場合を示したが、往路と復路とを有する往復式の搬送路であってもよい。また、封筒EのフラップFに糊を塗布したが封筒胴部に糊を塗布する構成としてもよい。また、封筒供給装置は、封緘装置に用いたが、他の処理、例えば、封入機の後処理に用いてもよく、宛名や内容物の確認装置へ封筒を供給する際に用いてもよい。
【符号の説明】
【0074】
E 封筒、F フラップ、T 封筒胴部、1,1a 封緘装置、3 搬送部、6 積載部、7 封緘剤付与部、8 封止部、9 斜行補正部、81 封止ローラ、87 封止ローラ移動部、82 案内部材、91 突き当て板。