(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】電子レンチ及びそのプロンプト方法
(51)【国際特許分類】
B25B 23/14 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
B25B23/14 620J
(21)【出願番号】P 2019171337
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2019-09-20
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504221635
【氏名又は名称】優鋼機械股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(72)【発明者】
【氏名】謝智慶
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-285077(JP,A)
【文献】特開2011-088265(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0249700(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14、23/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークヘッドを含む本体と、
前記本体に設けられ、前記ワークヘッドの作動状態を感知し、少なくとも1つの感知情報値を含む感知信号を発生させるための少なくとも1つの感知素子と、
前記少なくとも1つの感知素子に電気的に接続され、且つ少なくとも1つのプロンプト下限値を含むプロセッサと、
前記プロセッサに電気的に接続され、且つ作動状態プロンプトを発生させることに用いられ、前記少なくとも1つの感知情報値が前記少なくとも1つのプロンプト下限値以下である場合、前記作動状態プロンプトは非数値プロンプトであ
るプロンプトユニットと、
を備え、
前記プロセッサは、作業動作値を更に含み、前記少なくとも1つのプロンプト下限値は前記作業動作値の20%以下であり、
前記プロセッサは、少なくとも1つのプロンプト上限値を更に含み、前記少なくとも1つの感知情報値が前記少なくとも1つのプロンプト下限値よりも大きく且つ前記少なくとも1つのプロンプト上限値よりも小さい場合、前記作動状態プロンプトは数値プロンプトであるが、前記少なくとも1つの感知情報値が前記少なくとも1つのプロンプト上限値以上である場合、前記作動状態プロンプトは別の数値プロンプトである電子レンチ。
【請求項2】
前記プロンプト上限値及び前記プロンプト下限値は、ユーザによって設定可能である請求項1に記載の電子レンチ。
【請求項3】
電子レンチのワークヘッドをワークに操作する工程と、
少なくとも1つの感知素子によって前記ワークヘッドの作動状態を感知し、少なくとも1つの感知情報値を含む感知信号を発生させる工程と、
前記少なくとも1つの感知情報値と少なくとも1つのプロンプト下限値とを比較し、前記少なくとも1つの感知情報値が前記少なくとも1つのプロンプト下限値以下である場合、非数値プロンプトである作動状態プロンプトを提供する工程と、
前記少なくとも1つのプロンプト下限値が作業動作値の20%以下である前記作業動作値を提供する工程と、
前記少なくとも1つの感知情報値と少なくとも1つのプロンプト上限値とを比較し、前記少なくとも1つの感知情報値が前記少なくとも1つのプロンプト下限値よりも大きく且つ前記少なくとも1つのプロンプト上限値よりも小さい場合、前記作動状態プロンプトは数値プロンプトであるが、前記少なくとも1つの感知情報値が前記少なくとも1つのプロンプト上限値以上である場合、前記作動状態プロンプトは別の数値プロンプトである工程と、
を備える電子レンチのプロンプト方法。
【請求項4】
前記プロンプト上限値及び前記プロンプト下限値は、ユーザによって設定可能である請求項3に記載の電子レンチのプロンプト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンチに関し、特に、正確度の保証されない区間での電子レンチの作業時の作動状態プロンプトを提供可能な電子レンチに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市販の電子レンチは、ほとんどトルク及び角度の大きさを感知する機能を持ち、トルク又は角度の設定値を超えると警告を発することができる。しかしながら、法規の規定によると、電子レンチのディスプレイに表示される感知値と電子レンチの実際な作業値との誤差値が2%以下でなければ、電子レンチがトルクや角度の大きさ等の情報を数値で表示することができないため、ユーザは、電子レンチが正確度の保証されない区間で作業する場合、電子レンチに如何なるプロンプトや使用状況も提供されない状況で、動作状態を把握できなく、又は電子レンチが故障していると誤認してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、電子レンチが正確度の保証されない区間で作業する場合、関連の法規規定に合致した上でも、ユーザに作動状態情報を提供可能な電子レンチの研究・開発、今後の業界動向である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に提供される電子レンチ及びそのプロンプト方法は、感知情報値がプロンプト下限値に達していない場合、ユーザが電子レンチの使用状態を判断できるように、非数値の作動状態プロンプトを提供する。
【0005】
本発明の一構造態様の一実施形態によれば、ワークヘッドを含む本体と、本体に設けられ、ワークヘッドの作動状態を感知し、少なくとも1つの感知情報値を含む感知信号を発生させるための少なくとも1つの感知素子と、少なくとも1つの感知素子に電気的に接続され、且つ少なくとも1つのプロンプト下限値を含むプロセッサと、プロセッサに電気的に接続され、且つ作動状態プロンプトを発生させることに用いられ、少なくとも1つの感知情報値が少なくとも1つのプロンプト下限値以下である場合、作動状態プロンプトは非数値プロンプトであるプロンプトユニットと、を備え、プロセッサは、作業動作値を更に含み、少なくとも1つのプロンプト下限値は作業動作値の20%以下であり、プロセッサは、少なくとも1つのプロンプト上限値を更に含み、少なくとも1つの感知情報値が少なくとも1つのプロンプト下限値よりも大きく且つ少なくとも1つのプロンプト上限値よりも小さい場合、作動状態プロンプトは数値プロンプトであるが、少なくとも1つの感知情報値が少なくとも1つのプロンプト上限値以上である場合、作動状態プロンプトは別の数値プロンプトである電子レンチを提供する。これにより、ユーザは、作動状態プロンプトによって、ワークヘッドの作動状態を知ることができる。
【0007】
上記実施形態の電子レンチによると、プロンプト上限値及びプロンプト下限値は、ユーザによって設定可能である。
【0008】
本発明一方法態様の一実施形態によれば、電子レンチのワークヘッドをワークに操作する工程と、少なくとも1つの感知素子によってワークヘッドの作動状態を感知し、少なくとも1つの感知情報値を含む感知信号を発生させる工程と、少なくとも1つの感知情報値と少なくとも1つのプロンプト下限値とを比較し、少なくとも1つの感知情報値が少なくとも1つのプロンプト下限値以下である場合、非数値プロンプトである作動状態プロンプトを提供する工程と、少なくとも1つのプロンプト下限値が作業動作値の20%以下である作業動作値を提供する工程と、少なくとも1つの感知情報値と少なくとも1つのプロンプト上限値とを比較し、少なくとも1つの感知情報値が少なくとも1つのプロンプト下限値よりも大きく且つ少なくとも1つのプロンプト上限値よりも小さい場合、作動状態プロンプトは数値プロンプトであるが、少なくとも1つの感知情報値が少なくとも1つのプロンプト上限値以上である場合、作動状態プロンプトは別の数値プロンプトである工程と、を備える電子レンチのプロンプト方法を提供する。
【0011】
上記実施形態の電子レンチのプロンプト方法によると、プロンプト上限値及びプロンプト下限値は、ユーザによって設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一態様の一実施形態による電子レンチを示すブロック模式図である。
【
図2】本発明の別の態様の一実施形態による電子レンチのプロンプト方法の工程フロー図である。
【
図3】本発明の
図1の実施形態による電子レンチの液晶ディスプレイによる非数値プロンプトを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一態様の一実施形態による電子レンチ100を示すブロック模式図である。
図1から分かるように、電子レンチ100は、本体110、少なくとも1つの感知素子130、プロセッサ160及び少なくとも1つのプロンプトユニット140を含む。少なくとも1つの感知素子130が本体110に設けられる。プロセッサ160が感知素子130に電気的に接続される。少なくとも1つのプロンプトユニット140がプロセッサ160に電気的に接続される。
【0014】
詳しく言えば、本体110はワークヘッド120を含む。感知素子130は、ワークヘッド120の作動状態を感知し、感知情報値を含んでよい感知信号を発生させることに用いられてよい。プロセッサ160は、少なくとも1つのプロンプト下限値を含んでよく、且つ感知情報値とプロンプト下限値とを比較することに用いられてよい。プロンプトユニット140は、ユーザにワークヘッド120の作動状態を指示するための作動状態プロンプトを発生させることに用いられてよい。感知情報値がプロンプト下限値以下である場合、作動状態プロンプトは非数値プロンプトである。これにより、電子レンチ100はユーザ作業前段プロンプトを提供することができる。関連法規規定に合致する前提で、ユーザ作業前段プロンプトの機能によって、ユーザは電子レンチ100が感知の正確度の保証されない区間で作業する場合、電子レンチ100が数値プロンプトを提供できないことでワークヘッド120の作動状態が分からないことを避けることができる。
【0015】
電子レンチ100の選択機能をユーザに提供するために、電子レンチ100は、プロセッサ160に電気的に接続される少なくとも1つの入力素子150を更に含んでよい。入力素子150は、物理的なボタン又はタッチボタンであってよい。具体的に、
図1の実施形態において、入力素子150は、システムファンクションボタン151及び感知ファンクションボタン152を含んでよい。ユーザは、システムファンクションボタン151によって、電源オン、電源オフ、スタンバイ、リセット等の状態のような電子レンチ100の実行機能を選択することができる。システムファンクションボタン151は、ワンボタンであってよく、又は異なる機能によって電源オンボタン(未図示)、電源オフボタン(未図示)、スタンバイボタン(未図示)又はリセットボタン(未図示)のような複数のボタンを設けてよい。ユーザが電源オフボタンを押すと、プロセッサ160は電子レンチ100の全ての電力を切断して、電源オフ状態になるが、ユーザがスタンバイボタンを押すと、プロセッサ160は電子レンチ100の一部の電力を切断して、スタンバイ状態になるが、またユーザがリセットボタンを押すと、プロセッサ160は初期化されて、初期状態に戻る。ユーザは感知ファンクションボタン152によって電子レンチ100の感知機能を選択することができる。それにより、電子レンチ100は、ハードウェア周辺回路の感知を実行し、角度感知又はトルク感知等の感知機能を実行することができる。感知ファンクションボタン152は、ワンボタンであってよく、又は角度感知ボタン(未図示)又はトルク感知ボタン(未図示)のような異なる機能によって複数のボタンを設けてよい。ユーザが角度感知ボタンを押すと、感知素子130はワークヘッド120に対して角度感知を行って、感知信号を発生させるが、ユーザがトルク感知ボタンを押すと、感知素子130はワークヘッド120に対してトルク感知を行って、感知信号を発生させる。
【0016】
感知素子130は、少なくとも角度感知素子131又はトルク感知素子132を含んでよい。少なくとも1つの感知情報値は、少なくとも感知角度値又は感知トルク値であってよい。具体的に、
図1の実施形態において、感知素子130は角度感知素子131及びトルク感知素子132を含み、即ち電子レンチ100は角度感知及びトルク感知を提供することができる。
【0017】
電子レンチ100は、プロセッサ160及び感知素子130に電気的に接続される信号処理モジュール170を更に含んでよい。信号処理モジュール170は、感知素子130からの感知信号を受信し信号処理を行って、また処理された感知信号をプロセッサ160に伝送する。感知信号はアナログ感知信号又はデジタル感知信号であってよく、信号処理モジュール170は信号変換器171及び増幅器(未図示)を含んでよい。つまり、感知信号は、アナログ感知信号である場合、まず信号変換器171によってアナログ感知信号をデジタル感知信号に転換して、またプロセッサ160に伝送し、或いはまず増幅器によって増幅処理を行って、また信号変換器171によってアナログ感知信号をデジタル感知信号に転換して、プロセッサ160に伝送してよい。
【0018】
図3に合わせて参照されたい。
図3は、本発明の
図1の実施形態による電子レンチ100の液晶ディスプレイによる非数値プロンプトを示す模式図である。プロセッサ160は、少なくとも1つのプロンプト上限値及び作業動作値を更に含んでよい。作業動作値は、電子レンチ100の耐えられる最大トルク値又は最大角度値であってよい。プロンプト下限値は、作業動作値の20%であってもよく、ユーザによって設定可能である。つまり、プロンプト下限値は作業動作値の20%、作業動作値の10%又は作業動作値の5%であってよく、プロンプト上限値は作業動作値に等しい又はユーザによって設定可能である。ユーザは、入力素子150によってプロンプト上限値及びプロンプト下限値を設けてよい。設定の方法としては、入力素子150を繰り返して押してよい。また、プロセッサ160は感知情報値とプロンプト上限値とを比較することに用いられてよい。感知情報値がプロンプト下限値よりも大きく且つプロンプト上限値よりも小さい場合、作動状態プロンプトは数値プロンプト又は別の非数値プロンプトであるが、感知情報値がプロンプト上限値以上である場合、作動状態プロンプトは別の数値プロンプト又は別の非数値プロンプトである。プロンプトユニット140は、少なくとも液晶ディスプレイ141、発光ダイオード142、音声プロンプトユニット143及び振動プロンプトユニット144を含んでよい。数値プロンプトは、液晶ディスプレイによるデジタルコンスタントプロンプト又は液晶ディスプレイによるデジタル点滅プロンプトであってよい。つまり、ユーザに異なる数値プロンプトを提供するように、液晶ディスプレイ141により表示されるデジタルを点滅させなくても、点滅させてもよい。非数値プロンプトは液晶ディスプレイによる非数値プロンプト、発光プロンプト、音声プロンプト又は振動プロンプトであってよく、発光プロンプトが発光ダイオードによるコンスタントプロンプト及び発光ダイオード点滅プロンプトであってよい。注意すべきなのは、発光プロンプトは異なる光の色又は異なる点滅頻度によって異なり、音声プロンプトは異なる音声又は音量によって異なり、振動プロンプトは異なる振動頻度又は振動強度によって異なる。注意すべきなのは、ユーザは入力素子150によってその所望の作動状態プロンプトを選択することができる。つまり、電子レンチ100は、ユーザによって選択されるように、多種類の作動状態プロンプトを提供することができ、ユーザはその好みによって設定してよい。簡単に言えば、プロンプト下限値及びプロンプト上限値は、ユーザの好みによって設定されてよい。作業動作値が100Nであり、且つユーザがプロンプト下限値を作業動作値の10%に設定し、プロンプト上限値が作業動作値に等しい場合、プロンプトユニット140は、感知情報値が10Nに未満である時に非数値プロンプトの形態でユーザに指示する。非数値プロンプトは、
図3に示すように、液晶ディスプレイによる非数値プロンプトであってよく、液晶ディスプレイによる非数値プロンプトは、液晶ディスプレイ141による上下に揺れ動くレンチの表示であってよい。感知情報値が10Nよりも大きく且つ100Nよりも小さい場合、プロンプトユニット140は、数値プロンプト又は別の非数値プロンプトを提供することができる。数値プロンプトは液晶ディスプレイによるデジタルコンスタントプロンプトであってよく、別の非数値プロンプトは発光ダイオードによる緑色光コンスタントプロンプトであってよい。感知情報値が100N以上である場合、プロンプトユニット140は、別の数値プロンプト又は別の非数値プロンプトを提供することができる。別の数値プロンプトは液晶ディスプレイによるデジタル点滅プロンプトであってよく、別の非数値プロンプトは振動プロンプトであってよい。
【0019】
プロセッサ160は、メモリ161を更に含んでよい。メモリ161は、電子レンチ100が作業完了後に作動状態プロンプトを維持できるように、少なくとも1つの感知情報値及び少なくとも1つのプロンプト下限値を記憶することに用いられてよい。
【0020】
図2を参照されたい。
図2は、本発明の別の態様の一実施形態による電子レンチのプロンプト方法s200の工程フロー図である。電子レンチのプロンプト方法s200は、上記
図1の実施形態の電子レンチ100に合わせて実行されてよいが、それに限定されない。
図2から分かるように、電子レンチのプロンプト方法s200は、以下の工程を含んでよい。工程s210では、電子レンチ100のワークヘッド120をワークに操作する。工程s220では、少なくとも1つの感知素子130によってワークヘッド120の作動状態を感知し、少なくとも1つの感知情報値を含む感知信号を発生させてよい。なお、工程s230では、感知情報値とプロンプト下限値とを比較し、感知情報値がプロンプト下限値以下である場合、非数値プロンプトである作動状態プロンプトを提供する。詳しく言えば、電子レンチ100のワークヘッド120がワークに操作される場合、少なくとも1つの感知素子130は、ワークヘッド120の作動状態を感知し感知信号を発生させて、また感知信号をプロセッサ160に伝送する。感知信号は、少なくとも1つの感知情報値を含んでよい。プロセッサ160は、少なくとも1つのプロンプト下限値を含んでよい。プロセッサ160は、感知信号を受信した後で、感知情報値とプロンプト下限値の数値の大きさとを比較して比較結果を生じる。プロンプトユニット140は、比較結果に基づいて作動状態プロンプトを発生させて、ユーザにワークヘッド120の作動状態を指示し、比較結果として感知情報値がプロンプト下限値に達していない場合、非数値プロンプトを提供する。これにより、電子レンチ100が感知の正確度の保証されない区間で作業する場合、ユーザがワークヘッド120の作動状態を知ることができないことを避けるために、ユーザに作業前段プロンプトを提供する。
【0021】
少なくとも1つの感知素子130は、少なくとも角度感知素子131又はトルク感知素子132を含んでよい。感知情報値は、感知角度値又は感知トルク値であってよい。プロセッサ160は、対応してそれぞれ角度プロンプト下限値及びトルクプロンプト下限値である少なくとも2つのプロンプト下限値を含んでよい。プロセッサ160は、角度プロンプト下限値と感知角度値とを比較し或いはトルクプロンプト下限値と感知トルク値とを比較して、比較結果を生じることができる。
【0022】
また、感知信号がアナログ感知信号である場合、信号変換器171によってアナログ感知信号をデジタル感知信号に転換して、プロセッサ160に伝送し、或いは感知信号に対してまず増幅器によって増幅処理を行って、増幅処理された感知信号に対して信号変換器171によってアナログ感知信号をデジタル感知信号に転換してから、プロセッサ160に伝送してよい。
【0023】
なお、本発明の電子レンチのプロンプト方法s200は、感知情報値とプロンプト下限値とを比較する工程に加えて、感知情報値とプロンプト上限値とを比較する工程s240を更に含んでよい。プロンプト上限値は、作業動作値に等しく又はユーザによって設定可能であり、且つプロンプト下限値は作業動作値の20%であり且つユーザによって設定可能である。つまり、プロンプト下限値は作業動作値の20%、作業動作値の10%又は作業動作値の5%であってよい。注意すべきなのは、作業動作値は電子レンチ100の耐えられる最大トルク値又は最大角度値であってよく、且つユーザは入力素子150を繰り返して押すことでプロンプト上限値及びプロンプト下限値を設定することができる。感知情報値がプロンプト下限値よりも大きく且つプロンプト上限値よりも小さい場合、作動状態プロンプトは数値プロンプト又は別の非数値プロンプトであるが、感知情報値がプロンプト上限値以上である場合、作動状態プロンプトは別の数値プロンプト又は別の非数値プロンプトである。
【0024】
詳しく言えば、プロセッサ160は、プロンプト上限値及び作業動作値を更に含んでよいので、感知情報値とプロンプト上限値の数値の大きさとを比較し比較結果を生じることができる。プロンプトユニット140が比較結果の差によって異なる作動状態プロンプトを提供することができるので、ユーザは、異なる作動状態プロンプトによってワークヘッド120の作動状態を判断することができる。また、ユーザがワークヘッド120の作動状態を容易に知ることができるために、作動状態プロンプトは、少なくとも1つのプロンプトユニット140によって提供されてよい。プロンプトユニット140は、液晶ディスプレイ141、発光ダイオード142、音声プロンプトユニット143又は振動プロンプトユニット144であってよい。液晶ディスプレイ141は、数値プロンプト及び非数値プロンプトを提供することに用いられてよい。数値プロンプトは、液晶ディスプレイによるデジタルコンスタントプロンプト又は液晶ディスプレイによるデジタル点滅プロンプトであってよい。つまり、ユーザに異なる数値プロンプトを提供するように、数値プロンプトは、液晶ディスプレイ141により表示されるデジタルを点滅させなくても、点滅させてもよい。発光ダイオード142、音声プロンプトユニット143及び振動プロンプトユニット144が非数値プロンプトを提供することができるので、非数値プロンプトは、液晶ディスプレイによる非数値プロンプト、発光プロンプト、音声プロンプト又は振動プロンプトであってよい。発光プロンプトは、発光ダイオードによるコンスタントプロンプト及び発光ダイオード点滅プロンプトであってよい。
【0025】
なお、本発明の電子レンチのプロンプト方法s200は、少なくとも1つの感知情報値及びプロンプト下限値を記憶する工程s250を更に含んでよい。従って、ユーザは、選択的に作動状態プロンプトをしばらく持続させることができる。
【0026】
以上をまとめると、本発明の電子レンチ100及び電子レンチのプロンプト方法s200のメリットは、プロセッサ160が感知情報値と、プロンプト下限値及びプロンプト上限値とを比較することに用いられることができることにある。感知情報値がプロンプト下限値よりも小さい場合、作動状態プロンプトは非数値プロンプトであるが、感知情報値がプロンプト下限値よりも大きく且つプロンプト上限値よりも小さい場合、作動状態プロンプトは数値プロンプト又は別の非数値プロンプトであるが、また感知情報値がプロンプト上限値以上である場合、作動状態プロンプトは別の数値プロンプト又は別の非数値プロンプトである。つまり、電子レンチ100は、感知情報値とプロンプト下限値及びプロンプト上限値との間の関係の差異によって、異なる作動状態プロンプトを有するようになり、ユーザに指示することができる。
【0027】
本発明を実施形態で前記の通りに開示したが、これは、本発明を制限するものではなく、業者であれば、本発明の思想と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修正を加えることができるので、本発明の保護範囲は、下記添付の特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0028】
100:電子レンチ
110:本体
120:ワークヘッド
130:感知素子
131:角度感知素子
132:トルク感知素子
140:プロンプトユニット
141:液晶ディスプレイ
142:発光ダイオード
143:音声プロンプトユニット
144:振動プロンプトユニット
150:入力素子
151:システムファンクションボタン
152:感知ファンクションボタン
160:プロセッサ
161:メモリ
170:信号処理モジュール
171:信号変換器