IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社太陽の特許一覧

<>
  • 特許-髪染め補助具、髪染め用手袋 図1
  • 特許-髪染め補助具、髪染め用手袋 図2
  • 特許-髪染め補助具、髪染め用手袋 図3
  • 特許-髪染め補助具、髪染め用手袋 図4
  • 特許-髪染め補助具、髪染め用手袋 図5
  • 特許-髪染め補助具、髪染め用手袋 図6
  • 特許-髪染め補助具、髪染め用手袋 図7
  • 特許-髪染め補助具、髪染め用手袋 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】髪染め補助具、髪染め用手袋
(51)【国際特許分類】
   A45D 19/00 20060101AFI20220412BHJP
   A45D 24/22 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
A45D19/00 B
A45D24/22 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020059214
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021154005
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-04-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521159034
【氏名又は名称】株式会社太陽
(74)【代理人】
【識別番号】100093816
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】萩原 豊
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-339424(JP,A)
【文献】実開昭62-024735(JP,U)
【文献】特開2005-270539(JP,A)
【文献】特開2014-001465(JP,A)
【文献】実開平03-078421(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 19/00~19/18
A45D 24/22~24/28
A46B 9/00~ 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手袋に貼付されるシート部と、
前記シート部の表面に立設する軸と前記軸の先端に位置する前記軸より大径の拡張部で形成される、前記拡張部と前記軸が別体で端部が頭皮へ当接する突起と、
前記軸に嵌められ、染色剤を貯留する液溜空間を有し、前記突起の端部より前記手袋側に位置する布であって、前記布が、前記突起の端部の頭皮への当接を阻害しない部材と、
又は、
前記軸に嵌められ、前記突起の周囲に染色剤を貯留する液溜空間を有し、先端が前記突起の端部より前記突起の根元側に位置し、前記突起の端部の頭皮への当接を阻害しない部材と、
からなり、前記拡張部が、前記部材の脱落防止ストッパーでもあることを特徴とする髪染め補助具
【請求項2】
手袋に貼付されるシート部と、
前記シート部の表面に立設する突起と、
前記突起に掛止され、前記突起の周囲に染色剤を貯留する液溜空間を有し、先端が前記突起の端部より前記突起の根元側に位置し、前記突起の端部の頭皮への当接を阻害しない部材と、からなることを特徴とする髪染め補助具。
【請求項3】
前記シート部において、指の関節位置に相当する位置に、
前記シート部による指の屈折抵抗を軽減するためのノッチを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の髪染め補助具。
【請求項4】
手袋と、前記手袋に貼付された請求項1~請求項のいずれか1項に記載の髪染め補助具と、からなることを特徴とする髪染め用手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容、理容用のカラー剤、白髪染剤などの髪染剤を、髪の根元にまでも効率的かつ頭皮への付着を少量に抑えて髪に塗布する髪染め補助具、及びそれを用いた髪染め用手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の髪染めには、髪に直接髪染剤を塗布してコームで塗り拡げる方式、ブラシ、コームに二液タイムの染色剤を付着させて髪に塗布、すき込む方式が一般的である。他方、歯から染色剤が湧き出て髪に塗る装置もある。
【0003】
髪染めに特化したクシが、など、いくつか開発されている。しかし、いずれも、染色剤を多量に使用し、頭皮にも多量に染色剤が付着する。例えば、定期的に髪染めする者は、髪の根元だけに染色剤を塗布すれだけでもよいが、理髪店等では、染色剤を髪全体に塗り広げられ、多量に使用されることもある。
【0004】
他方、特許文献1には、
「毛髪に染毛液を塗布するときに染毛液を頭皮、顔、額、首筋等に付けずに、さらには衣服等を汚さずに毛髪をむらなく綺麗に手軽に染めることができる染毛用具であって、
不透液性の手袋または指サックに、連続した空隙を有するシートに穴およびまたは溝が複数配置された塗布部材を貼付したことを特徴とする染毛用具。さらに、穴または溝は、一般的に粘度の高い染毛液を充分な量付着保持でき、更に毛髪への塗布に際しては付着保持した染毛液を手袋または指サック越しに手または指を使って毛髪に押付けて擦りつけたり指と指で毛髪を挟んで摺り込むようにして付けたりする時にスムーズに染毛液を毛髪に移行できる大きさである染毛用具。」
が開示されている。
【0005】
しかしながら、指を使って毛髪に押付けて擦りつける際に、頭皮側に押しつけたならば髪染剤が頭皮に多量に塗布されることとなる。また、指と指で毛髪を挟んで摺り込むだけでは、髪の根元への染色が十分にできない。さらに、染色に指先だけを使用したならば、一度に染色できる部分は狭い領域で、頭髪全体の染色には長時間を要し、とても効率的ではない。
【0006】
なお、特許文献2には、ストレートのピンを複数立設したブラシを手袋に熱融着、接着した、髪の染色を行うブラシ付き手袋が開示されている。しかしながら、ストレートのピンでは、従来の染色に使用する一般流通の枝付きブラシと違いがなく、頭皮への染色剤の付着量の抑制にはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-270539号公報
【文献】特開実願平1-137287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、美容、理容用のカラー剤、白髪染剤などの髪染剤を、髪の根元にまでも効率的かつ頭皮への付着を少量に抑えて髪に塗布する髪染め補助具、及びそれを用いた髪染め用手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、
(1)
手袋の表面に配置され、
染色剤を貯留する液溜空間を有する布と、前記布又は前記手袋に固定された突起と、
からなり、
前記布が、前記突起の頭皮への当接を阻害しないことを特徴とする髪染め補助具。
(2)
手袋と、前記手袋の表面に固定、配置された(1)に記載の髪染め補助具と、からなることを特徴とする髪染め用手袋。
(3)
手袋の表面に立設された突起に配置され、染色剤を貯留する液溜空間を有し、前記突起の端部より前記手袋側に位置する布であって、
前記突起の端部の頭皮への当接を阻害しないことを特徴とする髪染め補助具。
(4)
手袋と、前記手袋の表面に立設された前記突起に掛止、配置された(3)に記載の髪染め補助具と、からなることを特徴とする髪染め用手袋。
(5)
前記布は、ギャザー折りされていることを特徴とする(1)又は(3)に記載の髪染め補助具。
(6)
手袋と、前記手袋の表面に立設する軸と前記軸の先端に位置する前記軸より大径の拡張部で形成される突起と、前記突起に掛止、配置した(3)に記載の髪染め補助具とからなり、
前記拡張部と前記手袋の間の軸周辺にも染色剤を貯留する液溜空間を有することを特徴とする髪染め用手袋。
(7)
手袋の表面に立設された突起に掛止され、前記突起の周囲に染色剤を貯留する液溜空間を有し、先端が前記突起の端部より前記突起の根元側に位置し、前記突起の端部の頭皮への当接を阻害しないことを特徴とする髪染め補助具。
(8)
前記突起を囲む輪部と、前記突起の先側に向け前記輪部から放射状に突設された複数の枝とかなり、
前記液溜空間が、前記複数の枝で囲まれた空間であることを特徴とする(7)に記載の髪染め補助具。
(9)
(8)に記載の髪染め補助具と、(8)に記載の髪染め補助具の前記液溜空間内に位置する、(8)に記載の髪染め補助具の前記枝より枝が短い第二の髪染め補助具と、からなることを特徴とする髪染め補助具。
(10)
前記突起を囲む輪部と、前記突起の先側に向け前記輪部から弧状に突設された複数の柵と、前記複数の柵の端部を連結し前記突起を囲む第二輪部とかなる袋状であって、
前記液溜空間が、前記複数の柵で囲まれた空間であることを特徴とする(7)に記載の髪染め補助具。
(11)
(7)~(10)のいずれかの髪染め補助具を、前記手袋の表面の前記突起に取り付けた髪染め用手袋であって、
前記髪染め補助具の先端を、前記突起の端部より前記突起の根元側に位置し、前記突起の端部が頭皮に当接することを特徴とする髪染め用手袋。
(12)
前記突起が、前記手袋の表面に立設する軸と前記軸の先端に位置する前記軸より大径の拡張部で形成されてなり、
前記拡張部により、前記髪染め補助具の脱落を防ぐことを特徴とする(11)に記載の髪染め用手袋。
(13)
手袋に貼付されるシート部と、
前記シート部の表面に立設する突起と、
前記突起に配置され、染色剤を貯留する液溜空間を有し、前記突起の端部より前記手袋側に位置する布とからなり、
前記布が、前記突起の端部の頭皮への当接を阻害しないことを特徴とする髪染め補助具。
(14)
手袋に貼付されるシート部と、
前記シート部の表面に立設する軸と前記軸の先端に位置する前記軸より大径の拡張部で形成される突起とからなり、
前記拡張部と前記シート部の間の前記軸周辺に染色剤を貯留する液溜空間を有し、前記突起の端部が頭皮へ当接することを特徴とする髪染め補助具。
(15)
手袋に貼付されるシート部と、
前記シート部の表面に立設する軸と前記軸の先端に位置する前記軸より大径の拡張部で形成される突起とからなり、
前記突起を、前記拡張部と前記軸が別体の突起としたことを特徴とする(14)に記載の髪染め補助具。
(16)
手袋に貼付されるシート部と、
前記シート部の表面に立設する軸と前記軸の先端に位置する前記軸より大径の拡張部で形成される、前記拡張部と前記軸が別体の突起と、
前記軸に嵌められ、染色剤を貯留する液溜空間を有し、前記突起の端部より前記手袋側に位置する布であって、前記布が、前記突起の端部の頭皮への当接を阻害しない部材と、
又は、
前記軸に嵌められ、前記突起の周囲に染色剤を貯留する液溜空間を有し、先端が前記突起の端部より前記突起の根元側に位置し、前記突起の端部の頭皮への当接を阻害しない部材と、
からなり、
前記拡張部が、前記部材の脱落防止ストッパーでもあることを特徴とする(15)に記載の髪染め補助具。
(17)
手袋に貼付されるシート部と、
前記シート部の表面に立設する突起と、
前記突起に掛止され、前記突起の周囲に染色剤を貯留する液溜空間を有し、先端が前記突起の端部より前記突起の根元側に位置し、前記突起の端部の頭皮への当接を阻害しない部材と、からなることを特徴とする髪染め補助具。
(18)
前記シート部において、指の関節位置に相当する位置に、前記シート部による指の屈折抵抗を軽減するためのノッチを設けたことを特徴とする(13)~(7)のいずれかに記載の髪染め補助具。
(19)
手袋と、前記手袋に貼付された(13)~(18)のいずれかに記載の髪染め補助具と、からなることを特徴とする髪染め用手袋。
の構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上の構成であるから、美容、理容用のカラー剤、白髪染剤などの髪染剤を、髪の根元にまでも効率的かつ頭皮への付着を少量に抑えて髪に塗布する髪染め補助具、及びそれを用いた髪染め用手袋を提供する。特に、白髪染めにおいて、髪が伸びたとき、頭皮への付着を少量に抑え、髪の根元部分を集中的に染色するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明である髪染め用手袋の第一の例の腕14に着用時の斜視図である。
図2】本発明である髪染め用手袋の第二の例の着用時の斜視図である。
図3】本発明である髪染め補助具の説明図である。図3(A)第一の例の髪染め補助具を構成する布の平面図である。図3(B)は手袋に髪染め補助具の第一の例を固定、配置した髪染め用手袋の第一の例の指部の縦面図である。図3(C)は手袋の突起に髪染め補助具の第一の例を構成する布(髪染め補助具)を掛止、配置した髪染め用手袋の第三の例の指部の縦面図である。
図4】本発明である髪染め用手袋の第四の例(髪染め補助具の第二の例)の縦部分断面・透視図である。髪染め用手袋(一部分表示)の1本の突起に取り付けた状態を示している。図6及び図7においても同じである。
図5】髪染め用手袋の第四の例(髪染め補助具の第二の例)の使用状態を示す模式図である。図5(A)は使用前の部分断面図、図5(B)は染色剤12に髪染め補助具3を浸漬している様子を示している。図5(C)は、先の染色後に伸びた部分(白髪)で、染色剤12を塗布する部分(C1)と、染色済み部分(C2)を示している。塗布するときは、突起24bの端部24fを頭皮10に当接することで、染色剤12を貯留する液溜空間3e(染色剤12)に頭皮10が接触せず、染色剤12の頭皮10への付着を少量化することができる。頭皮10の負担が軽減する。
図6】本発明である髪染め用手袋の第五の例(髪染め補助具の第三の例)の縦部分断面・透視図である。
図7】本発明である髪染め用手袋の第六の例(髪染め補助具の第四の例)の縦部分断面・透視図である。
図8】本発明である髪染め用手袋の第七の例の腕14に着用時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものはない。
【実施例1】
【0013】
図1に示すように、本発明である髪染め用手袋21は、手袋22と、髪染め補助具8とからなる。髪染め補助具8は、布8aと突起8bからなる。
【0014】
手袋22としては、染色作業中において、薬品が手袋を通過して手袋内部の手に付着しないような、薬品非浸透性(非透過性、水密性)、繰り返し使用可能な染色剤に対する耐薬品・耐溶剤性、耐劣化性を備えた、天然・合成ゴム、樹脂或いはプラスチック製手袋が好適である。
【0015】
手袋22の素材としては、例えば、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ニトリルゴム、ポリウレタンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン製などが例示できる。
【0016】
布8aは、手袋22の手の平側22aに配置され、毛髪を染める染色剤を貯留する液溜空間を有する。液溜空間は、布の編み目の間、糸の間の空間である。従って、布8aは、糸を用いて、規則的に編んだもの、或いは不織布であってもよい。そして、後述するように、布8aは、突起8bの頭皮10への当接を阻害しない。
【0017】
突起8bは、布8a又は手袋22に固定される、例えば、ビーズ、疑似真珠などが例示できる。突起8bの頭皮10への当接、洗浄を考慮すると、球体の接着固定が好適である。
【0018】
髪染め補助具8は、より詳しくは、図1に示すように、手袋22の手の平側22aの指部に複数配置されているが、手の平側22a、指先、指の側面など、配置場所、配置数は任意である。
【0019】
また、布8aは、糸で編まれ、図3(A)に示すように、中央に穴8cが穿設され、中心から縁に向かって縫い縮めたヒダ(穴8cに沿った縁部を糸で縫い縮める)、或いは折りたたみ形成している(ギャザー8d)。布8aにギャザー8dを形成することで、糸の間、縫い目のほかに、さらにギャザーの折り畳み部に、染色剤が充填され、染色剤を1度充填すると、広範囲の髪に染色剤を塗布できて、作業性がよい。布8aの平面形状は、特に限定されるものではなく、円形でも、角形でも構わない。
【0020】
布8aの手袋22への固定は、図3(B)に示すように、接着剤22bなどで布8aに直接接着、或いは突起8bを手袋22に接着剤22bで接着させることで、その間に介在した布8aを固定する方法が例示できる。
【0021】
突起8bの固定は、布8aへの固定、或いは手袋22への固定、いずれであってもよい。突起8bの布8aへの固定では接着剤22bによる接着、或いは糸による縫製などが例示でき、或いは突起8bの手袋22への固定では接着剤22bによる接着などが例示できる。接着剤22bは、染色剤に耐性があれば特に限定されないが、ゼリー状の瞬間接着剤が扱い安い。
【実施例2】
【0022】
図2に示すように、本発明である髪染め用手袋21aは、手袋23と、突起23dからなる。突起23dは、手袋23の手の平側23aに立設する軸23cと軸23cの先端に位置し、軸23cより大径の拡張部23bからなる。その結果、拡張部23bと手袋23の間の軸23cの周辺に染色剤を貯留する液溜空間23eが形成される。従って、突起23dは、髪染め補助具といえる。手袋23は、手袋22に、突起23dを備えるものである。
【0023】
突起23dは、より詳しくは、図2に示すように、手袋23の手の平側23aの指部に複数配置されているが、手の平側23a、指先、指の側面など、配置場所、配置数は任意である。
【実施例3】
【0024】
図3(C)に示すように、本発明である髪染め用手袋21bは、実施例2の髪染め用手袋21aの突起23dに、図3(A)に示す布8aの穴8cを軸23cに位置させ、掛止したものである。すなわち、布8aは突起23dの端部より手袋23側に位置する。布8a(髪染め補助具)は、拡張部23bによって簡単に脱落しない。
【実施例4】
【0025】
図4に示すように、本発明である髪染め用手袋21cは、手袋24(一部分表示)と、髪染め補助具3とからなる。手袋24は、手袋22に突起24bが立設してなる。主に、手の平側24aに立設する。
【0026】
本発明の髪染め補助具は、手袋の表面に立設された突起に掛止され、突起の周囲に染色剤を貯留する液溜空間を有し、先端が前記突起の端部より突起の根元側に位置し、突起の端部の頭皮への当接を阻害しないものである。
【0027】
突起の端部と髪染め補助具の先端との距離が、1mm~3mmの範囲が最も好ましい。突起の端部が頭皮に当接することで、頭皮への染色剤の塗布量を抑えることができるとともに、髪の根元にも十分に染色剤が拡散、浸透、行き渡る。
【0028】
図4に示すように、髪染め補助具3は、突起24bを囲む輪部3aと、突起24bの先側に向け輪部3aから放射状に突設された複数の枝3cとかなり、液溜空間3eが、複数の枝3cで囲まれた空間に形成される。
【0029】
髪染め補助具3の装着数は、突起24bの間隔、髪染め補助具3の大さ、染色剤12を塗布する場所、範囲などにより、適宜選択する。さらに、髪染め補助具3が突起24bに対して、着脱可能式であれば使用の都度、髪染め補助具3の設置位置、数を変更することもできる。
【0030】
ここでは、突起24bは、軸24cとその先端に位置する拡張部24eからなり、段差24dを形成する。軸24cに輪部3aを嵌め、段差24dで輪部3aが掛止されることで、髪染め補助具3は容易に脱落しない。
【0031】
髪染め用手袋21cは、図5に示すように使用される。図5(A)に示す髪染め補助具3を、図5(B)に示すように、容器13などに溜めたペースト状の染色剤12(白髪染め、二液混合するヘアーカラー剤など)と接触させ、髪染め補助具3の液溜空間3eに染色剤12を充填する。染色剤12は、液溜空間3eに、毛細管現象、表面張力、あるいは染色剤12の粘度により充填保持される。
【0032】
そして、液溜空間3eに染色剤12が貯留されることで、髪11に直接的に染色剤12を塗布して、櫛などで塗り拡げる必要がなく、一度の染色剤12の貯留で、髪染め用手袋21cを図5(c)に示すように位置させ、指14aを左右に小刻みに揺らすことで、髪11の根元部分の新たに伸びた染色されていない髪11部分(C1範囲)が染色剤12に接触し、広範囲の髪11の根元部分に短時間で染色剤12を塗布することができる。他方、染色を必要としない染色済み髪11部分(C2)への染色を必要とせず、髪染め作業を容易にすることができる。このようにして、頭皮10への染色剤12の塗布量を抑えることができるとともに、髪11の根元にも十分に染色剤12が拡散、浸透、行き渡る。
【実施例5】
【0033】
図6に示すように、本発明である髪染め用手袋21dは、手袋24(一部分表示)と、髪染め補助具3及び髪染め補助具3の液溜空間内に配置した第二の髪染め補助具4とからなる。髪染め補助具3及び髪染め補助具4のセットで、髪染め補助具7を構成する。
【0034】
髪染め補助具4は、髪染め補助具3において、枝4cが枝3cより短いだけである。すなわち、髪染め補助具4は、輪部3aと突起24bの端部24fとの間に位置し、突起24bを囲む輪部4aと、突起24bの先側に向け輪部4aから放射状に突設された複数の枝4cとかなり、液溜空間4eが、複数の枝4cで囲まれた空間に形成される。先端4dは、突起24bの端部24fより突起24bの根元側に位置する。さらに、枝3cの先端3dより突起24bの根元側に位置するとよい。加えて、図6では、髪染め補助具3,4を二重で使用しているが、ささらに髪染め補助具を加えて、三重、四重にして使用してもよい。
【0035】
この場合、枝4cと枝3cの間も液溜空間3eであるが、髪染め補助具4があることで、髪染め補助具3単品より、液溜空間への染色剤12の充填が容易になり、安定して保持される。毛細管現象、表面張力、あるいは染色剤12の粘度による吸着、絡め取り、或いはそれらが複合的に向上したためと思われます。
【実施例6】
【0036】
図7に示すように、本発明である髪染め用手袋21eは、手袋24(一部分表示)と、髪染め補助具5からなる。髪染め補助具5は、図7に明示するように、突起24bを囲む輪部5aと、突起24bの先側に向け輪部5aから弧状に突設された複数の柵5cと、複数の柵5cの端部を連結し、突起24bを囲む第二輪部5bとかなる袋状である。
【0037】
複数の柵5cで囲まれた空間に液溜空間5eが形成され、図5(B)と同様に操作することで柵5cの隙間から染色剤12が液溜空間5eに充填される。
【0038】
第二輪部5bの先端5dは、突起24bの端部24fより、突起24bの根元側に位置する。突起24bの端部24fの頭皮10への当接を邪魔しない。
【0039】
髪11は、その根元が、柵5cで囲まれ空間の液溜空間5eに充填、保持された染色剤12に触れて、髪11の根元が集中的に染められる。
【実施例7】
【0040】
図8に示すように、本発明である髪染め用手袋31は、手袋23と、髪染め補助具32又は/及び髪染め補助具32aとかなる。手袋23は、手袋22と同様の素材で、一般流通している市販のゴム、薄手のプラスチックフィルム製などの手袋でよい。
【0041】
髪染め補助具32は、手袋23の指、手の平に貼付されるシート部33と、シート部33の表面に立設する軸34aと軸34aの先端に位置する軸34aより大径の拡張部34bで形成される突起34とからなり、拡張部34bとシート部33の間の軸34a周辺に染色剤を貯留する液溜空間32bを有し、突起34の端部が頭皮10へ当接し、染色剤の頭皮10への多量付着を抑制する。
【0042】
シート部33の手袋23への貼付は、ここでは簡易であるので両面テープ35を利用した。その他の貼付手段、接着剤、熱溶融接合なども例示できる。また、指用については、指の関節位置に相当するシート部33の位置にシート部33による指の屈折抵抗を軽減するためのノッチ33a(肉薄部)を設けた髪染め補助具32aとするよい。
【0043】
突起34は、ここでは、2列としたが、1列であっても、3列以上設けてもよい。また、起立密度は、一般流通のブラシ程度の5~7mm前後の間隔での軸34aの起立が好適である。突起34が1列の髪染め補助具を、2つ以上1本の指、或いは手の平に貼付してもよい。軸34aの長さは染色対象によって適時選択すればよい。
【0044】
髪染め補助具32、32aは、樹脂、シリコンなどの素材の金型一体成型が好適で、その硬度、柔軟性としては、一般流通のブラシ程度が好ましい。他方、拡張部34bを軸34aから分離別体に成型し、軸34aと拡張部34bを嵌着させて突起34としてもよい。その際、接着剤を利用して固定してもよい。
【0045】
また、液溜空間32bを形成する他の部材(他の髪染め補助具)を軸34aに嵌めたうえで、拡張部34bを軸34aに嵌着させ、拡張部34aを他の髪染め補助具の脱落防止のストッパーとして機能させることもできる。なお、軸34aに液溜空間32bを形成する他の部材(他の髪染め補助具)を設ける場合には、突起34に拡張部34bを備えない軸34aだけで図4のような突起24bとしてもよい。
【0046】
他の髪染め補助具としては、軸34aに嵌められ、染色剤12を貯留する液溜空間を有し、突起34の端部より手袋23側に位置し、突起34の端部の頭皮10への当接を阻害しない部材、具体的には布8aなどが例示できる。
【0047】
また、他の髪染め補助具のその他の例として、軸34aに嵌められ、突起34の周囲に染色剤12を貯留する液溜空間を有し、先端が突起34の端部より突起34の根元側に位置し、突起34の端部の頭皮10への当接を阻害しない部材、具体的には、髪染め補助具3、髪染め補助具7、髪染め補助具5などが例示できる。なお、髪染め補助具3、髪染め補助具7、髪染め補助具5を軸34aと一体成型してもよい。
【符号の説明】
【0048】
3 髪染め補助具
3a 輪部
3c 枝
3d 先端
3e 液溜空間
4 髪染め補助具
4a 輪部
4c 枝
4d 先端
4e 液溜空間
5 髪染め補助具
5a 輪部
5b 第二輪部
5c 柵
5d 先端
5e 液溜空間
7 髪染め補助具
8 髪染め補助具
8a 布
8b 突起
8c 穴
8d ギャザー
10 頭皮
11 髪
12 染色剤
13 容器
14 腕
14a 指
21 髪染め用手袋
21a 髪染め用手袋
21b 髪染め用手袋
21c 髪染め用手袋
21d 髪染め用手袋
21e 髪染め用手袋
22 手袋
22a 手の平側
22b 接着剤
23 手袋
23a 手の平側
23b 拡張部
23c 軸
23d 突起
23e 液溜空間
24 手袋
24a 手の平側
24b 突起
24c 軸
24d 段差
24e 拡張部
24f 端部
31 髪染め用手袋
32 髪染め補助具
32a 髪染め補助具
32b 液溜空間
33 シート部
33a ノッチ
34 突起
34a 軸
34b 拡張部
35 両面テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8