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特許7056885スズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物
<図1>
  • 特許-スズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物 図1
  • 特許-スズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】スズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/20 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
A01M1/20 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017152993
(22)【出願日】2017-08-08
(65)【公開番号】P2019030247
(43)【公開日】2019-02-28
【審査請求日】2020-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390006596
【氏名又は名称】住友化学園芸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121050
【弁理士】
【氏名又は名称】林 篤史
(72)【発明者】
【氏名】勝本 俊行
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 瞬次
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 穂高
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 志門
(72)【発明者】
【氏名】吉永 勝
(72)【発明者】
【氏名】安西 正人
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-047106(JP,A)
【文献】特開2014-103933(JP,A)
【文献】米国特許第05953854(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スズメバチ科昆虫誘引成分と殺虫成分を含む毒餌を収容する餌収容部と、スズメバチ科昆虫が進入し退出できる開口部と、前記餌収容部からのスズメバチ科昆虫の退出を補助する退出補助構造と、を備え
前記退出補助構造は、前記開口部から前記餌収容部まで届く長さを有し、スズメバチ科昆虫の足場となる構造体である、スズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物。
【請求項2】
ズメバチ科昆虫の足場となる前記構造体は前記開口部から前記毒餌に届く長さとスズメバチ科昆虫が歩行する足場となる凹凸構造を有する請求項1に記載のスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物。
【請求項3】
スズメバチ科昆虫の足場となる前記構造体は、断面が前記開口部に一致する網目筒状体である請求項2に記載のスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物。
【請求項4】
スズメバチ科昆虫がスズメバチ亜科昆虫またはアシナガバチ亜科昆虫である請求項1~3のいずれかに記載のスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物。
【請求項5】
餌を収容可能な餌収容部と、スズメバチ科昆虫が進入し退出できる開口部と、前記餌収容部からのスズメバチ科昆虫の退出を補助する退出補助構造と、を備え
前記退出補助構造は、前記開口部から前記餌収容部まで届く長さを有し、スズメバチ科昆虫の足場となる構造体である、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物に関する。さらに詳しく言えば、スズメバチ科昆虫を巣ごと駆除することを目的とする、スズメバチ科昆虫が出入り可能な構造を備えたスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物及びその構造物に使用する容器に関する。
【0002】
日常生活において飛翔性生物は時として人間生活に害を及ぼす。例えば、マイマイガは各地で異常発生し、サッカーの試合を中断させ、また農作物へ被害を与える。ヒトスジシマカなどの所謂蚊はデング熱原因菌などの病原菌の宿主となり、猛威を振るう。
スズメバチ科昆虫も同様である。針を持ち、攻撃してくる。刺された場合激痛を伴い腫れる場合もある。一部の種では毒を有しており、アナフィラキシーショックによる死亡例も多数報告されている。対策としてはエアゾールで殺虫する方法(特開2008-156235号公報;特許文献1)や捕殺器(登録実用新案第3201021号公報;特許文献2)が知られている。
【0003】
他の昆虫では毒餌を用いた方法も提案され、昆虫を巣ごと駆除することを目的とするベイトステーションが商品化されている。ベイトステーションとは、雨風を避けられることが出来、設置のしやすさ、対象害虫の出入りのしやすさを考慮した容器に害虫誘引成分と殺虫成分を配合した毒餌を収容したものである。
例えば、アリでは殺虫成分を含む毒餌を巣に運ばせて巣を駆除する製品が住友化学園芸株式会社から「アリアトールハウス」という名称で商品化されている。スズメバチについても働き蜂に毒餌を持ち帰らせて巣を駆除するアイデアは古くから知られているが(特開2002-47106号公報;特許文献3)、毒餌が液体の場合、出入りしやすいように容器を工夫しないと容器内で個体が死んでしまい、毒餌を巣に持ち帰れないという問題があった。しかし、出入りしやすいよう出入り口を大きくすると餌が乾燥したり、ゴミが入りやすくなるなどの課題が残されていた。
スズメバチ科昆虫のベイトステーション用の毒餌は、スズメバチ科昆虫に対する公知の誘因成分(例えば、ミルワーム、オキアミ、魚粉など(特許文献3)に遅効性の殺虫成分を混合して調製することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-156235号公報
【文献】登録実用新案第3201021号公報
【文献】特開2002-47106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、スズメバチ科昆虫が殺虫成分を含む毒餌を巣に持ち帰りやすい構造(容器に進入し容器から退出しやすい構造)とした容器を使用したベイトステーション構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スズメバチの出入り口と餌までの間をスズメバチ科昆虫の退出を助ける構造(退出補助構造)とすることにより本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は下記1~5のスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物及び容器を提供する。
[1]スズメバチ科昆虫誘引成分と殺虫成分を含む毒餌を収容し、スズメバチ科昆虫が進入し退出できる開口部と退出を補助する構造(退出補助構造)を備えたスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物。
[2]前記スズメバチ科昆虫の退出補助構造が、開口部から前記毒餌に届く長さとスズメバチ科昆虫が歩行する足場となる構造を有する前項1に記載のスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物。
[3]前記足場となる構造が、断面が開口部に一致(整合)し、長さが前記毒餌に届く網目筒状体である前項2に記載のスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物。
[4]スズメバチ科昆虫がスズメバチ亜科昆虫またはアシナガバチ亜科昆虫である前項1~3のいずれかに記載のスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物。
[5]スズメバチ科昆虫が進入し退出できる開口部と、開口部から餌の収容部に届く長さを有するスズメバチ科昆虫の退出を補助する構造を備えた容器。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、スズメバチ科昆虫誘引成分と殺虫成分を含む毒餌をスズメバチ科昆虫が進入し退出できる開口部と退出補助構造とを有する容器に収容したスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物を提供したものであり、容器に進入したスズメバチ科昆虫が容器内で死ぬことなく退出するため、スズメバチ科昆虫が持ち帰った毒餌によりスズメバチ科昆虫を巣ごと駆除することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物に用いる液状の毒餌を収容した容器例の斜視図である。
図2図1の容器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明はハチ目スズメバチ科に属する昆虫の中で、わが国に生息するスズメバチ亜科及びアシナガバチ亜科に属する昆虫を対象とする。
ハチ目スズメバチ科に属するスズメバチ亜科(Vespinae)に属するものは、スズメバチ属、クロスズメバチ属、ホオナガスズメバチ属、ヤミスズメバチ属の4グループに分かれる。日本には3属16種のスズメバチが生息している。
ハチ目スズメバチ科に属するスズメバチ科アシナガバチ亜科に属するハチは、日本には3属11種が生息し、セグロアシナガバチ、キアシナガバチ、フタモンアシナガバチ及びコアシナガバチがよく見られる。
【0011】
本発明に係るスズメバチ科昆虫用ベイトステーション構造物では、スズメバチ科昆虫が進入し退出できる開口部とスズメバチ科昆虫の退出を補助する構造(「退出補助構造」と略記することがある。)を備えた容器を用い、容器の下部にスズメバチ科昆虫誘引成分と殺虫成分を含む毒餌を収容して使用される。
【0012】
本発明で使用する容器は、スズメバチ科昆虫が進入し退出できる孔(開口部)を備え、前記開口部から餌収容部まで届くスズメバチ科昆虫の退出を助ける構造(退出補助構造)を備えている。
スズメバチ科昆虫が餌を取りに進入し、餌を保持して退出するための孔(開口部)の形状は特に制限されないが、オオスズメバチなどの大型のスズメバチ科昆虫が出入りできるサイズ、例えば直径2cm以上の円形の孔、一辺が2cm以上の四角い孔など大型スズメバチ科昆虫が出入りできる大きさの孔が好ましい。
【0013】
次に、餌を収納する容器について説明する。
容器の材料としては、金属類、プラスチック類、セラミック類等が挙げられるが、加工のし易さ等などを考慮するとプラスチックが好ましい。
容器の色は、特に限定されないが、黄色、黒、茶色、緑、橙色などが挙げられ、黄色や黒が好ましい。
容器の大きさも特に限定されないが、小さすぎると餌を設置するスペースが足らず、大きすぎると設置場所が制限されるなどの問題があるため、例えば内容積が数10~数100mL程度、好ましくは100~500mLである。
【0014】
本発明で使用する容器の特徴は、餌を求めて容器に進入したスズメバチ科昆虫が餌を保持して確実に容器から退出するのを助ける退出補助構造を備えていることにある。
退出補助構造は、開口部から容器底部に収納する毒餌に届く長さとスズメバチ科昆虫が歩行する足場となる構造であれば特に限定されない。以下、好ましい実施態様として断面が開口部に一致(整合)し、長さが容器に収容した餌に届く筒状体の例を図面を参照して説明する。図1は退出補助構造の筒状体2が網状である本実施態様の容器1に液状の餌3を収容した状態の斜視図を示し、図2図1の側面図を示す。本例では、スズメバチ科昆虫は容器内で筒状体の内部のみ上下に移動できるが、筒状体の外部ヘは移動することはできない。
【0015】
筒状体は、その内面を収容部の餌を保持したスズメバチ科昆虫が開口部まで容易に歩行できる足場となるものである。
スズメバチ科昆虫は一般的な昆虫と同様に飛来し、歩きやすい面上を歩行することが出来る。例えば、金属、ガラスなどの平滑な面上は歩きにくいと考えられる。一方、皮革類、布類、木材類、平滑でない樹脂面、あるいはメッシュ(網)などは歩行の足場となる凹凸があり、その面上を容易に歩行できると考えられる。従って、筒状体の材料は、スズメバチが歩行の足場となる凹凸面または凹凸構造を備えた材料であればよく、網目構造に限定されるものではないが、網目筒状体の場合は容器下部に収容した液状の毒餌が自由に筒状体内に移動(流動)できる。筒状体の材料は、製作が容易であることや耐久性を考慮するとプラスチックからなるものが好ましい。
【0016】
容器内にスズメバチ科昆虫が好む餌を入れることによりスズメバチ科昆虫を内部に誘引することが出来る。餌には毒(殺虫剤)を混合しておく。スズメバチ科昆虫は巣帰着時に口移しのような形で餌の交換(餌の分配)を行う習性があるので、この修正を利用して巣を駆除することが期待できる。
【0017】
本発明で容器に収容する毒餌は誘引成分と殺虫成分からなるものである。
誘引成分は特に限定はされないが、例えば精油、糖類、乳製品、香料、アルコール類、酢酸発酵物を含む液体、果汁ジュースなどを1種、または2種以上を混合して使用することが出来る。これらを液体のまま、または例えば寒天、グァーガム、ポリアクリル酸ナトリウムなどのゲル化剤、増粘剤と混合してゲル状または固体として使用することが出来る。
また、肉、魚、キャットフード、昆虫ゼリー、生体(バッタ、コオロギ)などの固形物も誘引成分(餌成分)として使用することが出来る。
【0018】
上記誘引成分に殺虫成分を混合して毒餌にする。
殺虫成分としては、例えば、ペルメトリン((3-フェノキシベンジル=(1RS,3RS)-(1RS,3RS)-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシラート)、シベルメトリン((RS)-α-シアノ-3-フェノキシベンジル=(1RS,3RS)-(1RS,3RS)-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシラート)、フェンバレレエート(α-シアノ-3-フェノキシベンジル-2-(4-クロロフェニル)-3-メチルブタノエート)、ジノテフラン((RS)-1-メチル-2-ニトロ-3-(テトラヒドロ-3-フリルメチル)グアニジン)、バイスロイド(シアノ(4-フルオロ-3-フェノキシフェニルメチル-3-(2,2-ジクロロエテニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、CYAP(O,O-ジメチル-O-p-シアノフェニル=チオホスフェート)、DMTP(O,O-ジメチル-S[5-メトキシ-1,3,4-チアジアゾル-2(3H)オニル-(3)-メチル]ジチオホスフェート)、BRP(ジメチル-1,2-ジブロム-2,2-ジクロロエチルホスフェート)、サリチオン(2-メトキシ-4H-1,3,2-ベンゾジオキサホスホリン-2-スルフィド)、DDVP(ジメチル2,2-ジクロルビニルホスフェート)、スミチオン(MEP)、(O,O-ジメチル-O-(3-メチル-4-ニトロフェニル) チオホスフェート) 、クロチアニジン((E)-1-(2-クロロ-1,3-チアゾール-5-イルメチル)-3-メチル-2-ニトログアニジン)、マラソン(S-〔1,2,-ビス(エトキシカルボニル)エチル〕ジメチルホスホロチオールチオネート)、ジメトエート(ジメチルS-(N-メチルカルバモイルメチル)ジチオホスフェート)、エルサン(S-〔α-(エトキシカルボニル)ベンジル〕ジメチルホスホロチオールチオネート) 、バイジット(O,O-ジメチル-O-(3-メチル-4-メチルチオフェニルチオホスフェート))、バッサ(O-sec-ブチルフェニルメチルカーバメート)、MTMC(m-トリルメチルカーバメート)、メオパール(3,4-ジメチルフェニル-N-メチルカーバメート)、NAC(1-ナフチル-N-メチルカーバメート)、メソミル(Sメチル-N〔(メチルカルバモイル)オキシ〕チオアセトイミド)、カルタップ(1,3-ビス(カルバモイルチオ)-2-(N,N-ジメチルアミノ)プロパンハイドロクロライド)等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
更に所望により殺虫剤などの製剤調製時に用いられる慣用の溶剤、凍結防止剤、消泡剤、防腐剤、酸化防止剤及び増粘剤等を適宜添加することが出来る。
【実施例
【0019】
以下に、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた部材は以下の通りである。
【0020】
(1)クリーンカップ(登録商標)129パイ860B:リスパック(株)製(以下、プラカップと称す。)
(2)ネトロン・プロテクターC-16・黒:大日本プラスチックス(株)製(以下、アミ筒と称す。)
(3)ヤクルト(登録商標)400:(株)ヤクルト本社製
【0021】
実施例1:
プラカップの蓋の中央に直径3.2cmの孔を開け、アミ筒を長さ10cmに切断し、プラカップ蓋の孔に通した。プラカップ内にヤクルト400を餌(誘引成分)として200mL入れて蓋をしたものを実施例1の容器とした。
【0022】
比較例1:
実施例1からアミ筒を除いたもの、即ち足場が無い物を比較例1の容器とした。
【0023】
試験例1:
スズメバチ科昆虫歩行の足場となる退出補助構造を備えた実施例1の容器と足場のない比較例1の容器を比較する試験を以下のように実施した。
実施例1及び比較例1の容器をそれぞれ別の横32cm・奥行17cm・高さ25cmのプラスチック容器に入れた。コガタスズメバチ1頭をプラスチック容器内に放虫し、実施例1または比較例1の容器内に入る回数及び出る回数を確認した。本試験では6時間確認を続け、合計回数を試験結果とした。
【0024】
【表1】
【0025】
試験例1において、実施例1では2反復合計で10回進入が認められ、進入した個体全てが脱出した。なお、脱出した個体はいずれも餌を摂食していることが確認された。
一方、比較例1では合計回数が進入2回、脱出1回と少ないが、反復1では1時間目までに進入し、脱出に5時間かかっているために出入り回数が少なくなっている。また反復2では1時間目までに進入し、脱出できなかった。この個体は翌日容器内での死亡(液体餌で溺死)が確認された。
試験例1から、本発明の容器はスズメバチ亜科昆虫が出入り(進入・退出)し易い構造であることが理解できる。
【0026】
試験例2:
実施例1(足場有)の容器のみで大型のオオスズメバチについて試験例1同様に試験を行った。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
試験例2において、試験例1同様に大型のスズメバチ科昆虫であるオオスズメバチも2反復合計で6回進入が認められ、進入した全てが脱出した。従って、実施例1の容器の足場システム(退出補助構造)は大型のスズメバチ科昆虫にも適合したものであることが確認された。なお、脱出した個体はいずれも摂食していることが確認された。
【0029】
試験例3:
実施例1(足場有)の容器のみでセグロアシナガバチについて試験例1同様に試験を行った。試験例3では頭数を10に増やした。結果を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
試験例3において、アシナガバチ科昆虫であるセグロアシナガバチも合計で31回進入が認められ、進入した全てが脱出した。従って、実施例1の容器の足場システム(退出補助構造)はアシナガバチ亜科昆虫にも適用できることが確認された。なお、脱出した個体はいずれも摂食していることが確認された。
【0032】
試験例4:
実施例1(足場有)の容器のみでキアシナガバチについて試験例3同様に試験を行った。結果を表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】
試験例4において、アシナガバチ科昆虫であるキアシナガバチも合計で17回進入が認められ、進入した全てが脱出した。従って、実施例1の容器の足場システム(退出補助構造)はアシナガバチ亜科昆虫2種にも適用できることが確認された。なお、脱出した個体はいずれも摂食していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0035】
容器にスズメバチ科昆虫が進入し退出できる開口部を設け、餌を保持したスズメバチ科昆虫が開口部まで容易に歩行して移動できる退出補助構造(足場)を設けた容器に毒餌を収容する本発明のスズメバチ科昆虫用ベイトステーションによってスズメバチ科昆虫を巣ごと駆除することが期待できる。
【符号の説明】
【0036】
1 容器
2 筒状体
3 液状の餌
図1
図2