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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/28 20060101AFI20220412BHJP
   B65B 5/06 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B65G47/28 B
B65B5/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017053422
(22)【出願日】2017-03-17
(65)【公開番号】P2018154470
(43)【公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-02-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】横田 祐嗣
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 達也
(72)【発明者】
【氏名】野口 健
【合議体】
【審判長】平田 信勝
【審判官】中村 大輔
【審判官】間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-142220(JP,U)
【文献】特公昭49-35385(JP,B1)
【文献】特開平6-329250(JP,A)
【文献】実開昭55-180621(JP,U)
【文献】実公昭50-37639(JP,Y1)
【文献】実開平2-103022(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22-47/32
B65G 47/52-47/62
B65G 47/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状の物品を載置して搬送する搬送面を有し、前記搬送面が水平に対して前記袋状の物品の搬送方向と平行な仮想軸回りに傾斜する傾斜面を含むコンベアと、
前記傾斜面の傾斜方向下側で前記袋状の物品を前記搬送方向に沿って支える支持壁と、
前記支持壁側から突出し、前記傾斜面上を搬送中の前記袋状の物品の一部に当たって前記袋状の物品の平面的な搬送姿勢を変える姿勢変更部と、
を備え、
前記姿勢変更部は、前記袋が当接する箇所が平面であるブロック状、またはL字状の部材であって、搬送中の前記袋状の物品の一部に当たる角部を有する、
搬送装置。
【請求項2】
前記姿勢変更部は、前記角部から前記搬送方向に沿って延びる物品ガイド部をさらに有する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記姿勢変更部は、前記搬送面上で前記袋状の物品の姿勢を変更する必要がないときに、前記搬送面の上から待避する、
請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する途中でその物品の姿勢を変更することができる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベアで搬送されている物品を平面的に90°回転させるには、その先頭の端部にガイド部材を当て、そこを支点に回転させる方法が採られている。また、特許文献1(特許第5889517号公報)に記載の搬送装置では、ガイド部材の上流側に物品を回転方向に押し出す回動板を配置し、物品がガイド部材と当接して回転することを補助している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような搬送装置では、物品が回転している間にガイド部材から離れてしまうことがある。また、物品を回動板で押し出すので、搬送速度に制限があり、高能力に対応できない、というのが現状である。
【0004】
本発明の課題は、回動板を用いることなく、安定した物品の姿勢変更を実現することができる物品の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る搬送装置は、コンベアと、支持壁と、姿勢変更部とを備えている。コンベアは、袋状の物品を載置して搬送する搬送面を有し、搬送面が水平に対して袋状の物品の搬送方向と平行な仮想軸回りに傾斜する傾斜面を含む。支持壁は、傾斜面の傾斜方向下側で袋状の物品を搬送方向に沿って支える。姿勢変更部は、支持壁側から突出し、傾斜面上を搬送中の袋状の物品の一部に当たって袋状の物品の平面的な搬送姿勢を変える。姿勢変更部は、袋が当接する箇所が平面であるブロック状、またはL字状の部材であって、搬送中の袋状の物品の一部に当たる角部を有している。
【0006】
この搬送装置では、袋状の物品は傾斜方向に重力の分力を受けるので傾斜方向に滑り落ちるが、支持壁に支えられた状態で搬送方向に移動し、姿勢変更部と当接する。その際、袋状の物品は回転移動しながら90°回転した姿勢へ移行するが、傾斜面上では傾斜方向下側への分力を受けているので、袋状の物品が回転している間に姿勢変更部から離れてしまうことはない。そして、袋状の物品を別部材で押し出さないので、搬送速度に制限を設ける必要もなく、高能力に対応することができる。
【0007】
また、この搬送装置では、搬送中の袋状の物品への当接は、円弧よりも角の方が搬送される袋状の物品の抵抗になるので、90°回転の推進力を与えやすい。
【0008】
本発明の第2観点に係る搬送装置は、第1観点に係る搬送装置であって、姿勢変更部が、角部から搬送方向に沿って延びる物品ガイド部をさらに有する。
【0009】
この搬送装置では、袋状の物品は、姿勢変更部の角部に当たって90°回転の推進力を与えられるので、角部から搬送方向に沿って延びる物品ガイド部が、90°回転した袋状の物品を受け止めて、90°回転後の姿勢を維持する。
【0010】
本発明の第3観点に係る搬送装置は、第1観点または第2観点のいずれか一つに係る搬送装置であって、姿勢変更部が、搬送面上で袋状の物品の姿勢を変更する必要がないときに、搬送面の上から待避する。
【0011】
この搬送装置では、搬送面上で袋状の物品の姿勢を変更する必要がないときには、姿勢変更部を搬送面の上から待避させることができるので、機種対応が容易で使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る搬送装置では、袋状の物品は傾斜方向に重力の分力を受けるので傾斜方向に滑り落ちるが、支持壁に支えられた状態で搬送方向に移動し、姿勢変更部と当接する。その際、袋状の物品は回転移動しながら90°回転した姿勢へ移行するが、傾斜面上では傾斜方向下側への分力を受けているので、袋状の物品が回転している間に姿勢変更部から離れてしまうことはない。そして、袋状の物品を別部材で押し出さないので、搬送速度に制限を設ける必要もなく、高能力に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置を搭載した箱詰システムのブロック図。
図2】箱詰システムにおける段ボール箱及び物品の流れを示す斜視図。
図3A】整列した一群の袋の搬送方向と直交する水平方向から視た正面図。
図3B図3Aの整列した一群の袋を起立させた状態の正面図。
図4】搬入コンベア、第1整列コンベア及び第2整列コンベアの配置状態を示す斜視図。
図5】搬入コンベア上の袋の搬送方向と対向する位置から視た、搬入コンベア、第1整列コンベア及び第2整列コンベアの配置状態の正面図。
図6A】袋が搬入コンベアから落下するときの姿勢を搬入コンベアの傾斜方向に沿って視たときの正面図。
図6B】搬入コンベアと袋Gとの接触面を瞬時に除いた場合の、袋Gが搬入コンベアから落下するときの姿勢を搬入コンベアの傾斜方向に沿って視たときに正面図。
図7図4の搬入コンベアの袋との接触面を瞬時に除いた状態における搬入コンベア、第1整列コンベア及び第2整列コンベアの斜視図。
図8A】搬入コンベア上の姿勢変更動作前の袋を示す斜視図。
図8B】搬入コンベア上の姿勢変更動作中の袋を示す斜視図。
図8C】搬入コンベア上の姿勢変更動作完了の袋を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
(1)箱詰システム1の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送装置を搭載した箱詰システム1のブロック図である。また、図2は、箱詰システム1における段ボール箱B及び物品の流れを示す斜視図である。図1において、箱詰システム1は、例えば、スナック菓子等の袋入商品(袋G)を段ボール箱Bに、一定個数、整列状態で多段詰めするものである。
【0016】
図1に示すように、箱詰システム1は、製函工程P1、物品整列工程P2、箱詰工程P3という3つの工程が連携している。
【0017】
製函工程P1は、シート状の段ボール箱材Zを段ボール箱Bへ組み立てて箱詰位置まで搬送する工程であり、箱材搬入部11、箱組立部12、及び箱下方搬送部13で構成されている。
【0018】
物品整列工程P2は、上流側工程か供給される袋Gを所定位置に搬入し、一定数の袋Gを隣接するもの同士がお互いに一部重なるように整列させて、箱詰位置まで搬送する工程であり、物品搬入部21、及び物品整列部22で構成されている。
【0019】
箱詰工程P3は、製函工程P1から搬送されてきた段ボール箱Bに物品整列工程P2において整列が完了した一定数量の袋Gを箱詰し、箱を閉じて箱排出位置まで搬送する工程であり、箱詰部31、及び箱搬送部32で構成されている。
【0020】
箱詰システム1は、段ボール箱Bに袋Gの多段詰めを行っており、箱B内における袋Gの姿勢は「立ち姿勢」である。つまり、箱Bの開口を上に向けたとき、袋Gのオモテ面及びウラ面が側方を向き、袋Gの上下の端部が上下を向き、左右の側部が側方を向く姿勢である。
【0021】
(1-1)製函工程P1
図1に示すように、製函工程P1は、段ボール箱材Zを箱詰システム1に導入する箱材搬入部11と、段ボール箱Bを組み立てる箱組立部12と、段ボール箱Bの開口と天フラップZfaとが同一鉛直面上になるように姿勢を変換させて下方へ搬送する箱下方搬送部13とで構成されている。
【0022】
(1-1-1)箱材搬入部11
箱材搬入部11では、図2に示すように、供給位置に積み重ねられた段ボール箱材Zのうちの一番先頭の段ボール箱材Zを1枚ずつ挟んで上方へ送出し、送出された段ボール箱材Zを鉛直軸周りに90°回転させて筒状に広げる。
【0023】
段ボール箱材Zは、作業者によって供給位置に載置される。段ボール箱材Zは、フラップZfが開いた状態で折り畳まれ、そのフラップZfが鉛直方向に位置する姿勢で水平方向に積み重ねられている。なお、説明の便宜上、天面側のフラップZfを天フラップZfa、底面側のフラップZfを底フラップZfbという。
【0024】
段ボール箱材Zの上方への送出は、昇降機構111によって行われ、供給位置の全ての段ボール箱材Zがなくなると、検知センサ(図示せず)の検知信号をコントローラ40(図1参照)へ送信する。
【0025】
また、段ボール箱材Zの鉛直軸周りの回転は、吸着回転機構112によって段ボール箱材Zの側面を吸盤で吸着して保持し、モータ(図示せず)によって吸着回転機構112を鉛直軸回りに90°回転することによって実現される。
【0026】
(1-1-2)箱組立部12
箱組立部12は、筒状に広がった段ボール箱材Zを水平方向に搬送させながら段ボール箱材Zの底フラップZfbを折り込んでテープ張りを行い、天フラップZfaが開いた状態の段ボール箱Bを組み立てる。
【0027】
(1-1-3)箱下方搬送部13
箱下方搬送部13は、段ボール箱Bを搬送方向と直交する水平軸周りに90°回転させ、段ボール箱Bの開口と天フラップZfaと底フラップZfbとが同一鉛直面上になるように姿勢を変換させてから下方へ搬送する。つまり、箱組立部12で形成された段ボール箱Bの立方体の形状を保持したまま下方に移動させる。
【0028】
(1-2)物品整列工程
箱詰システム1の袋Gの流れにおける上流側工程には、図示しない計量装置、及び製袋包装機等が配置されている。そして、箱詰システム1には、上流側工程で重量、シール性、異物混入検査等に合格した袋Gだけが供給される。
【0029】
物品整列工程P2は、袋Gを受け取り所定位置まで搬送する物品搬入部21と、物品搬入部21から供給される袋Gを整列させる物品整列部22とで構成されている。
【0030】
(1-2-1)物品搬入部21
物品搬入部21は、物品導入コンベア211、及び搬入コンベア212を有している。物品導入コンベア211は、重量、シール性、異物混入検査等を行う工程の下流側で、検査に合格した袋Gの供給を受けて、それを搬入コンベア212へ導く。
【0031】
搬入コンベア212は、物品導入コンベア211から搬送されてくる袋Gを物品整列部22へ搬送する。なお、搬入コンベア212については、後半で詳細を説明する。
【0032】
(1-2-2)物品整列部22
物品整列部22は、第1整列コンベア221、第2整列コンベア222、及び第3整列コンベア223を有している。第1整列コンベア221は、搬入コンベア212から落下する袋Gを受けるために、その一端は搬入コンベア212の先端部の高さより低い位置に設定され、他端は第2整列コンベア222の高さ位置に設定されている。
【0033】
なお、搬入コンベア212の先端部は、第1整列コンベア221の物品載置面の直上空間に位置することが好ましい。ここで、物品載置面とは、第1整列コンベア221の搬送面のうち、落下してくる袋Gを待ち受ける面である。
【0034】
そして、第1整列コンベア221は、一つの袋Gを受けとめる毎に一定距離Lだけ当該袋Gを第2整列コンベア222に向けて搬送する。それゆえ、袋Gは落下した位置から一定距離Lだけ第2整列コンベア222に近づく。一方、後に落下してくる袋Gの一部分は第1整列コンベア221に着地し、残り部分は先の袋Gに寄り掛って傾斜する。
【0035】
例えば、後述の図3A及び図3Bに示すようなN=8個の袋Gを一群として整列させる場合、先頭の袋Gは、最後尾の袋Gが着地する位置から7Lの長さ分も進んでいるので、本実施形態では、少なくとも列の先頭から4(N/2)個の袋Gが第2整列コンベア222上に到達する。なお、第2整列コンベア222上に到達する袋Gの個数は、袋Gの大きさ、コンベアの長さなどによって変わるので、本実施形態における「列の先頭から4個」という数値に限定されるものではない。
【0036】
また、第1整列コンベア221及び第2整列コンベア222上の袋Gは、互いに隣接するもの同士が部分的に重なり合うように列を成している。
【0037】
列の最後尾の袋Gが第1整列コンベア221に着地した後、第2整列コンベア222と第3整列コンベア223とが動作を開始し、第1整列コンベア221、第2整列コンベア222、及び第3整列コンベア223が同一方向に搬送動作を行う。それゆえ、第1整列コンベア221及び第2整列コンベア222上で一列に整列したN個の袋Gが、一斉に第3整列コンベア223に移動し、その第3整列コンベア223上を進行する。
【0038】
なお、本実施形態では、搬入コンベア212の搬送方向は、第1整列コンベア221、第2整列コンベア222及び第3整列コンベア223の搬送方向が互いに直交するように配置されている。そのため、搬送方向が同一方向に長くなることを抑制することができ、さらに、第1整列コンベア221、第2整列コンベア222及び第3整列コンベア223による袋Gの搬送を妨げることなく、搬入コンベア212の前方に壁を設けることができるので、その壁に袋Gを当てて第1整列コンベア221への着地姿勢を整えることもできる。
【0039】
(1-3)箱詰工程P3
箱詰工程P3は、袋Gを段ボール箱Bに詰める箱詰部31と、袋Gの箱詰が完了した段ボール箱Bを搬送する箱搬送部32とを有している。
【0040】
(1-3-1)箱詰部31
箱詰部31は、第3整列コンベア223で一列に整列した一群の袋Gの先頭と最後尾とを挟んで一群の袋Gを丸ごと段ボール箱B内に挿入する。図2に示すように、箱詰部31は、整列した一群の袋Gを挟むために、阻止板311と、押寄板313と、挿入板315とを有している。
【0041】
阻止板311は、第3整列コンベア223の下流端上に設けられ、列を成して搬送されて来る袋Gの進行を阻止する。阻止板311は、平面部が常に袋Gの搬送方向と直交するように配置されている。
【0042】
図3Aは、整列した一群の袋Gの搬送方向と直交する水平方向から視た正面図である。また、図3Bは、図3Aの整列した一群の袋Gを起立させた状態の正面図である。図3A及び図3Bにおいて、押寄板313は、一列に整列したN個の袋Gの最後尾を押して、阻止板311とで挟んで起立させる。
【0043】
押寄板313は、第3整列コンベア223の上流端上に設けられているが、袋Gの列が第2整列コンベア222から第3整列コンベア223へ移動している間は、平面部が袋Gの搬送方向と平行になるように第3整列コンベア223の脇に収容されている。また、押寄板313は、列の最後尾の袋Gが第2整列コンベアから第3整列コンベア223へ完全に移った際に、平面部が袋Gの搬送方向と直交するように回動する。さらに、押寄板313は、列の最後尾の袋Gを押して列全体を阻止板311側へ寄せる。
【0044】
このとき、阻止板311は固定されているので、列の先頭の袋Gは阻止板311の平面部に沿って起立し、次の袋Gは起立した先頭の袋に沿って起立する。後続の袋Gも同様の動作で連鎖して起立するので、N個の袋Gは起立状態で整列する。
【0045】
また、箱詰部31は、挿入板315を介して、起立状態のN個の袋Gを一括して段ボール箱B内に押し込む。挿入板315は、第3整列コンベア223を挟んで段ボール箱Bの位置と反対側に位置している。第2整列コンベア222側から視たととき、第3整列コンベア223の右側に段ボール箱Bの開口面が位置し、第3整列コンベア223の左側に位置する。
【0046】
挿入板315は、平面部を段ボール箱Bの開口に対向させて待機しており、N個の袋Gは起立状態になった後、それらを段ボール箱Bに開口面に向かって押し、N個の袋Gを段ボール箱Bに開口から底に向かって一挙に挿入する。挿入板315は、阻止板311と押寄板313との間を横切って段ボール箱Bに開口面まで進行する。
【0047】
(1-3-2)箱搬送部32
箱搬送部32は、袋Gの詰められた段ボール箱Bの姿勢を変換する姿勢変換機構321と、段ボール箱Bを搬送する排出コンベア322とを有している。
【0048】
姿勢変換機構321は、それまで鉛直にしていた開口面を水平にして、すなわち、開口面が上を向くように段ボール箱Bを回転させる。姿勢変換機構321は、段ボール箱Bの側面及び底面を同時に吸着する吸着盤付きのL字状部材で保持し、L字状部材が90°回転することで、段ボール箱Bが回転する。
【0049】
姿勢変換機構321は、段ボール箱Bを90°回転させた際に、開口面を上に向けた状態で排出コンベア322に載せる。排出コンベア322は、段ボール箱Bを所定位置まで搬送するが、所定位置に到達する前に、天フラップZfaを折り込んで開口面を閉じ、テープ貼りを完了する。
【0050】
(2)袋Gの姿勢調整
物品整列工程P2で説明したように、第1整列コンベア221は、一つの袋Gを受けとめる毎に一定距離Lだけ当該袋Gを第2整列コンベア222に向けて搬送するので、袋Gの一部分は第1整列コンベア221に着地し、残り部分は先の袋Gに寄り掛って傾斜し、互いに隣接するもの同士が部分的に重なり合うように列を成すようになる。
【0051】
従来、搬入コンベア212から落下した袋Gは第1整列コンベア221に着地する直前に既に投下されている物品と接触して滑り移動し、姿勢が乱れることがあった。これは、水平に搬送されてくる袋Gがそのまま水平姿勢で落下すると、待機している袋Gの上面に後続の袋Gが直に落下するため、狙った位置とは異なる方向に弾むことが原因である。
【0052】
(2-1)搬入コンベア212及び第1整列コンベア221の傾斜
そこで、本実施形態では、袋Gを搬入コンベア212で搬送されている段階から、第1整列コンベア221への着地に適した姿勢となるように、搬入コンベア212を傾斜させている。
【0053】
図4は、搬入コンベア212、第1整列コンベア221及び第2整列コンベア222の配置状態を示す斜視図である。また、図5は、搬入コンベア212上の袋Gの搬送方向と対向する位置から視た、搬入コンベア212、第1整列コンベア221及び第2整列コンベア222の配置状態の正面図である。
【0054】
図4及び図5において、搬入コンベア212の搬送面は水平面に対して傾斜しており、搬送面の傾斜方向下側端には、袋Gを支えて脱落を防止し、且つ、袋Gを搬送方向に案内する支持壁213が設けられている。搬送面の傾斜方向上側を移動する袋Gは、傾斜方向に沿った重力の分力を受けるので、移動しながら支持壁213側へ滑り降下し、その後は支持壁213に沿って移動する。
【0055】
また、搬入コンベア212の搬送面は、図5正面視において搬送方向と平行な仮想軸周りに、且つ水平面に対して反時計方向に角度θaだけ傾斜している。さらに、第1整列コンベア221の搬送面は、当該仮想軸周りに、且つ水平面に対して時計方向に角度θbだけ傾斜している。
【0056】
搬入コンベア212の搬送面の傾斜角度θaは、袋Gの列の先頭として第1整列コンベア221に最初に落下した袋G1と次に落下した袋G2との相対角度がθcであるならば、[θc=θa+θb]となるように搬入コンベア212の搬送面の傾斜角度θaが設定される。
【0057】
このように角度θaが設定されることによって、搬入コンベア212から第1整列コンベアへ載り移るときの袋G3の姿勢は、第1整列コンベア221に既に載置されている袋G2に着地する部分が上方、第1整列コンベア221に直に着地する部分が下方となるように傾斜しているので、袋G3は先に載置されている袋G2と接触する前に、又は同時に第1整列コンベア221の搬送面に着地する。その際、第1整列コンベア221と袋G3との摩擦力が袋G3と袋G2同士の摩擦力を上回るので、袋G3の着地時の滑りが抑制され、姿勢の乱れが回避される。
【0058】
(2-2)搬入コンベア212の先端部の伸縮
図6Aは、袋Gが搬入コンベア212から落下するときの姿勢を搬入コンベア212の傾斜方向に沿って視たときの正面図である。図6Aにおいて、通常は、落下する袋Gは搬入コンベア212から離れる際に、先に離れた部分と未だ搬入コンベア212に接触している部分との平衡が崩れ、先に離れた部分が先に着地して姿勢が乱れる。理想的な落下は、搬入コンベア212上を搬送されているときの姿勢を維持したまま落下することである。
【0059】
そこで、本実施形態では、袋Gが搬入コンベア212の所定位置に到達したとき、搬入コンベア212と袋Gとの接触面を瞬時に除くことによって、袋Gの姿勢を傾ける機会を奪って、搬送時の姿勢を維持するようにしている。
【0060】
図6Bは、搬入コンベア212と袋Gとの接触面を瞬時に除いた場合の、袋Gが搬入コンベア212から落下するときの姿勢を搬入コンベア212の傾斜方向に沿って視たときに正面図である。
【0061】
また、図7は、図4の搬入コンベア212の袋Gとの接触面を瞬時に除いた状態における搬入コンベア212、第1整列コンベア221及び第2整列コンベア222の斜視図である。
【0062】
図6B及び図7において、搬入コンベア212の下流側へ袋Gが搬送され、袋Gの先端部が搬入コンベア212の先端部に到達したことを物品検知センサ215が検知したとき、搬入コンベア212の先端部ローラR1が矢印D1の方向に移動する。このとき、搬入コンベア212の中間ローラR2が矢印D2の方向に移動することにより、先端部ローラR1が矢印D1の方向に移動した際のコンベア・ベルトの弛みを吸収する。
【0063】
搬入コンベア212の先端部ローラR1が矢印D1の方向に移動した状態における先端部は、第1整列コンベア221の搬送面に載った袋Gの直上空間から外れた空間に位置する。
【0064】
つまり、搬入コンベア212の先端部が瞬間的に袋Gよりも上流側に移動するので、袋Gは搬入コンベア212の搬送面からの抗力を突然失うことになるが、慣性によって搬送時の姿勢を維持するので、図6Aのような袋Gの先端が先に落下するような姿勢にはなり難い。
【0065】
それゆえ、第1整列コンベア221への着地姿勢は搬入コンベア212から離れるときに姿勢が維持されやすく、着地したときの姿勢乱れが抑制される。
【0066】
本実施形態では、搬入コンベア212の先端部ローラR1の移動距離は、コントローラ40によって制御されている。それゆえ、袋Gの大きさに応じて搬入コンベア212の先端部の伸縮距離を調整される。それゆえ、同一設備で多種の製品に対応することが可能となる。
【0067】
(3)袋Gの姿勢変更
箱詰仕様によっては、搬入コンベア212で搬送されている袋Gを平面的に90°回転させる場合がある。
【0068】
本実施形態では、袋Gの先頭の端部に搬送を阻止する部材(姿勢変更部材)を当て、そこを支点に回転させる従来方式を踏襲しているが、搬入コンベア212の搬送面が、図5正面視において搬送方向と平行な仮想軸周りに、且つ水平面に対して反時計方向に角度θaだけ傾斜しているので、「袋Gが回転している間に支点から離れてしまう」という従来の問題点を克服している。
【0069】
図8Aは、搬入コンベア212上の姿勢変更動作前の袋Gを示す斜視図である。また、図8Bは、搬入コンベア212上の姿勢変更動作中の袋Gを示す斜視図である。さらに、図8Bは、搬入コンベア212上の姿勢変更動作完了後の袋Gを示す斜視図である。
【0070】
図8Aにおいて、搬入コンベア212の搬送面は水平面に対して傾斜し、搬送面の傾斜方向下側端には支持壁213が設けられているので、搬送面の傾斜方向上側を移動する袋Gは、傾斜方向に沿った重力の分力を受け、移動しながら支持壁213側へ滑り降下し、その後は支持壁213に沿って移動する。
【0071】
図8Bにおいて、支持壁213に沿って移動するが、支持壁213側から突出する姿勢変更部材214のコーナー部214bに接触し、進行が阻止されるが搬送は継続されるので、その接触点を支点として袋Gは回転する。
【0072】
姿勢変更部材214は、袋Gの姿勢変更を必要としないときは、図4に示すように案内面214aが支持壁213の壁面と同一平面上にあるように、待機している。そして、袋Gの姿勢変更を必要とするときは、支持壁213の壁面よりも搬入コンベア212の搬送面側に突出する。姿勢変更部材214の突出動作は、モータ(図示せず)によって行われる。
【0073】
袋Gが当たる姿勢変更部材214のコーナー部214bは、フィレット又は角のいずれでもよいが、円弧よりも角の方が搬送される物品の抵抗になるので、90°回転の推進力を与えやすい。しかしながら、本実施形態では、フィレットが採用され、当該コーナー部214bが袋Gに楔状に食い込むことを防止している。
【0074】
図8A図8Cでは、姿勢変更部材214はブロック状に成形されているが、L字状に曲げ加工された板金製であってもよい。
【0075】
袋Gには、回転時に支点から離れる方向の遠心力が作用するが、袋Gは傾斜方向に沿った重力の分力を受けているので、支点から離れることなく回転する。
【0076】
図8Cにおいて、袋Gが90°回転したとき、袋Gの横シール側端部が姿勢変更部材214の案内面214aに支持される、そして、袋Gは姿勢変更部材214の案内面214aに沿って移動する。
【0077】
その後の動作は、既に説明したものと同様である。
【0078】
(4)変形例
(4-1)
第1整列コンベア221の傾斜角度θbについては、整列させる対象となる一群の袋Gの先頭が載り移るときに変更することもできる。
【0079】
列の先頭の袋Gは、他の袋Gに寄りかからないので、後続の袋Gとは着地姿勢が異なる。それゆえ、設備上、先頭の袋Gと後続の袋Gとの着地姿勢を異ならせることもある。その場合、先行する列の最後尾が第1整列コンベア221から排出されて、新たな列の先頭の袋Gが第1整列コンベア221に載り移るときが、第1整列コンベア221の傾斜角度変更のタイミングとして最善である。
【0080】
(4-2)
搬入コンベア212の先端部と第1整列コンベア221の物品載置面との相対高さ位置は、袋Gの大きさに応じて変更することができる。搬入コンベア212と第1整列コンベアとの高さ位置の組合せが一つの商品用に固定されると、商品ごとに設備を揃えなければならないので不合理である。しかし、搬入コンベア212と第1整列コンベア221の相対高さ位置が商品(袋G)の大きさに応じて変更することができるので、同一設備で多種の商品に対応することができるので、使い勝手がよい。
【0081】
(5)特徴
(5-1)
搬入コンベア212では、袋Gは傾斜方向に重力の分力を受けるので傾斜方向に滑り落ちるが、支持壁213に支えられた状態で搬送方向に移動し、姿勢変更部材214と当接する。その際、袋Gは回転移動しながら90°回転した姿勢へ移行するが、傾斜面上では傾斜方向下側への分力を受けているので、袋Gが回転している間に姿勢変更部材214から離れてしまうことはない。そして、袋Gを別部材で押し出さないので、搬送速度に制限を設ける必要もなく、高能力に対応することができる。
【0082】
(5-2)
搬入コンベア212では、袋Gは、姿勢変更部材214のコーナー部214bに当たって90°回転の推進力を与えられるので、コーナー部214bから搬送方向に沿って延びる案内面214aが、90°回転した袋Gを受け止めて、90°回転後の姿勢を維持する。
【0083】
(5-3)
搬入コンベア212では、搬送面上で袋Gの姿勢を変更する必要がないときには、姿勢変更部材214を搬送面の上から待避させることができるので、機種対応が容易で使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0084】
1 箱詰システム
212 搬入コンベア(コンベア)
213 支持壁
214 姿勢変更部材(姿勢変更部)
214a 案内面(物品ガイド部)
214b コーナー部(角部)
40 コントローラ(制御部)
G 袋(物品)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【文献】特許第5889517号公報
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C