(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】深絞り包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20220412BHJP
B65B 7/28 20060101ALI20220412BHJP
B65B 9/04 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B65B51/10 N
B65B7/28 B
B65B9/04
(21)【出願番号】P 2017076816
(22)【出願日】2017-04-07
【審査請求日】2019-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】前田 悦博
(72)【発明者】
【氏名】山中 幸弘
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0248107(US,A1)
【文献】特開2010-254305(JP,A)
【文献】特開昭57-194905(JP,A)
【文献】特開2007-276813(JP,A)
【文献】実開昭55-050932(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
B65B 7/28
B65B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側縁が爪部材で掴んだ状態で間欠的に搬送される下側フィルムに対し、複数の収納凹部を成型する成型装置と、
その成型装置の下流側に配置され、前記収納凹部内に被包装物が挿入された状態の前記下側フィルムに対して上側フィルムを被覆する手段と、
前記上側フィルム並びに前記下側フィルムの所定部位をシールして前記収納凹部を密封するシール装置と、
前記上側フィルム並びに前記下側フィルムの所定部位をカットして、前記密封された前記収納凹部を有する個々の包装体を製造するカッター手段とを備えた深絞り包装機であって、
前記シール装置は、前記下側フィルムと前記上側フィルムを挟んだ状態で対向配置される下側ボックスと上側ボックスを備え、
前記下側ボックスは、前記下側フィルムに形成された前記複数の収納凹部がそれぞれ挿入される複数の凹部を備えたシールボックスを有し、
前記上側ボック
スは、ベース部材の下面側に設けた凹部内に収納される加熱板を複数有し、その加熱板は矩形状であって、前記上側フィルムの異なるフィルム部位に接触し加熱する
ようにし、
前記収納凹部の外周囲の前記下側フィルムと前記上側フィルムの接触部位を、前記加熱板と前記シールボックスの上面との間で挟み込んで加熱・加圧することで前記下側フィルムと前記上側フィルムを熱シールするようにし、
隣接する前記加熱板の間に所定の間隔を設け、その所定の間隔を、隣接する前記収納凹部の間の前記下側フィルムと前記上側フィルムのフィルム部位に合わせ、フィルム剛性の低下を抑制するための未シール部位を形成するように構成し、
前記複数の加熱板は、フィルム搬送方向に沿った前後に配置し、
前記未シール部位は、前記フィルム搬送方向に対して直交する方向に形成されるようにし、
前記カッター手段は、搬送方向に対して直交する方向にカットする横カッター装置と、前記搬送方向と平行な方向にカットする縦カッター装置とを備え、前記未シール部位が除去されるように前記所定部位のカットをするように構成したことを特徴とする深絞り包装機。
【請求項2】
前記複数の加熱板は、フィルム搬送方向に対して直交する左右に配置し、
前記未シール部位は、前記フィルム搬送方向に沿った方向に形成されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の深絞り包装機。
【請求項3】
前記未シール部位の形成領域の下側に、前記下側フィルムを支えるためのガイドレールを配置し、
前記シールボックスの上面には、前記ガイドレールが進入するガイド溝を備えたことを特徴とする請求項2に記載の深絞り包装機。
【請求項4】
前記シール装置の上流側と下流側の少なくとも一方側に、前記下側フィルムの中央を支えるガイドレールを備えたことを特徴する請求項1から3のいずれか1項に記載の深絞り包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深絞り包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の包装形態の一つとして、深絞り型包装体がある。深絞り型包装体は、被包装物を収納する収納凹部を有する容器本体と、その収納凹部内に被包装物を収納した状態でその容器本体の開口部を閉塞する蓋部材とを備えた構成を採る。係る構成の深絞り型包装体を製造する深絞り包装機は、以下のような構成をとる。
【0003】
原反フィルムから連続して引き出された容器本体を形成するための下側フィルムを、水平方向に搬送する。この水平方向に搬送するフィルム搬送装置は、例えば下側フィルムの両端縁を搬送方向に延びるエンドレスチェーンに取り付けた爪部材により把持・クランプする構成をとる。エンドレスチェーンの回転に伴い爪部材も所定の軌跡で公転移動し、爪部にクランプされた下側フィルムを搬送する。
【0004】
この下側フィルムの搬送途中に配置した成型装置にて、下側フィルムを真空吸引し、下側フィルムの所定位置に下側に突出する収納凹部を成型する。そして、成型装置の下流側の所定位置にて、収納凹部内に被包装物を自動或いは手動にて供給する。
【0005】
一方、下側フィルムの搬送ラインの上方には、別の原反フィルムが設置されており、この原反フィルムから連続して蓋部材を形成するための上側フィルムが引き出され、その引き出された上側フィルムは、上記被包装物の供給地点の下流側所定位置にて下側フィルムの上に重ね合わす。
【0006】
さらにこの両フィルムの重合地点の下流側には、シール装置が配置され、このシール装置にて上側フィルムと下側フィルムの接触部位をシールする。これにより、被包装物が収納凹部内にて密封される。その後、シール装置の下流側に配置されたカッター装置にて、両フィルムのシール部位をカットすることにより、個々の深絞り型包装体ごとに分離製造するようにしている。この種の深絞り包装機は、特許文献1等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
深絞り包装機では、フィルムは両サイドをクランプされた状態で搬送されるため、成型装置やシール装置において上下の型やシーラーが開いた際にフィルムが垂れて干渉するおそれがある。成型装置では未だ被包装物が収納凹部内に入っていないため下側フィルムの垂れは少ないが、特にシール装置では収納凹部内に被包装物が入った状態であるのでその重みでフィルムの垂れが大きくなり、例えば収納凹部が上下で挟み込むシール装置の下側部分との干渉が起こりやすくなる。
【0009】
さらに、下側フィルムは、その左右両側端が爪部材でクランプされていて幅方向の中間はフリー状態のため、フィルム幅が広くなるほど垂れ下がる量は大きくなり、上記の問題がより顕著となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の深絞り包装機の構成要素の1つであるシール装置は、(0)下側フィルムと上側フィルムを挟んだ状態で対向配置される下側ボックスと上側ボックスを備え、前記下側ボックスは、前記下側フィルムに形成された前記複数の収納凹部がそれぞれ挿入される複数の凹部を備えたシールボックスを有し、前記上側ボックスは、ベース部材の下面側に設けた凹部内に収納される加熱板を複数有し、その加熱板は矩形状であって、前記上側フィルムの異なるフィルム部位に接触し加熱するようにし、前記収納凹部の外周囲の前記下側フィルムと前記上側フィルムの接触部位を、前記加熱板と前記シールボックスの上面との間で挟み込んで加熱・加圧することで前記下側フィルムと前記上側フィルムを熱シールするようにし、隣接する前記加熱板の間に所定の間隔を設け、その所定の間隔を、隣接する前記収納凹部の間の前記下側フィルムと前記上側フィルムのフィルム部位に合わせ、フィルム剛性の低下を抑制するための未シール部位を形成するように構成し、前記複数の加熱板は、フィルム搬送方向に沿った前後に配置し、前記未シール部位は、前記フィルム搬送方向に対して直交する方向に形成されるようにした。
【0011】
下側フィルムと上側フィルムは、それらが重なった状態でシール装置の上側ボックスと下側ボックスの間に位置し、下側フィルムに形成した収納凹部が、シールボックスの凹部に対向する位置に至ると一時停止する。次いで、下側ボックスと上側ボックスが接近して両フィルムを挟み込む。このとき、下側フィルムの収納凹部は、シールボックスの凹部内に収納される。この状態で、加熱板が上側フィルムに接触し、両フィルムを加熱・加圧して熱シールする。
【0012】
通常フィルムを加熱すると軟化・溶融して変質してフィルム強度・剛性が低下する。そして、下側フィルムと上側フィルムを挟み込んで加熱・加圧されたフィルム部位は、溶融して互いに接着し合う。このとき、下側フィルムと上側フィルムの熱伸縮率が異なると、接着部位にフィルムにゆがみが生じる。本発明では、通常、一枚の加熱板で構成されるところ、当該一枚の加熱板に比べて小さい複数の加熱板を用い、シール装置の一回の処理領域を複数に分割した小さい領域に対してそれぞれ複数の加熱板が加熱処理するようにした。さらに、複数の加熱板の間に所定の間隔が開くようにしたので、隣接する加熱板の間で、加熱板が接触しないフィルム部位が存在する。当該フィルム部位は、加熱板によって直接加熱されないので、未シール部位となってフィルム剛性の低下が抑制され、ゆがみも生じない。その結果、その未シール部位は、適度な強度が維持され、フィルムが垂れるのを抑制する。これにより、シール処理後に下側ボックス(シールボックス)が下降すると、下側フィルムの収納凹部は、シールボックスの上面よりも上方に位置し、下側ボックス(シールボックス)と下側フィルムが干渉することがなく、フィルムをスムーズに搬送することができる。
【0013】
また、複数の加熱板を分割配置することで、例えば幅広のフィルムであったり、一度に処理する前後長が長くなったりしても、個々の加熱板の面積は小さくなり、加熱板単位でのひずみ等によるシール圧の偏りをなくすことができる。
複数の加熱板は、フィルム搬送方向に沿った前後に配置し、未シール部位は、フィルム搬送方向に対して直交する方向に形成されるようにしたため、フィルムの幅方向(左右方向)に横断するように形成され、梁のように機能し、当該未シール部位を形成した部分は中央部分で下に垂れるようなことがなくなり、ぴんと張った状態を維持することができるので良い。この未シール部位は、実施形態では第一未シール部位50に対応する。
【0014】
(2)前記複数の加熱板は、フィルム搬送方向に対して直交する左右に配置し、前記未シール部位は、前記フィルム搬送方向に沿った方向に形成されるようにするとよい。この未シール部位は、実施形態の第二未シール部位51に対応する。このようにすると、搬送方向に沿った前後方向の垂れが抑制されるのでよい。
【0015】
(3)前記未シール部位の形成領域の下側に、前記下側フィルムを支えるためのガイドレールを配置し、前記シールボックスの上面には、前記ガイドレールが進入するガイド溝を備えるとよい。このようにすると、下側フィルムが、ガイドレールによって支持されるため、フィルムの垂れの発生が抑制されるのでよい。
【0017】
(1)本発明の深絞り包装機は、両側縁が爪部材で掴んだ状態で間欠的に搬送される下側フィルムに対し、複数の収納凹部を成型する成型装置と、その成型装置の下流側に配置され、前記収納凹部内に被包装物が挿入された状態の前記下側フィルムに対して上側フィルムを被覆する手段と、前記上側フィルム並びに前記下側フィルムの所定部位をシールして前記収納凹部を密封するシール装置と、前記上側フィルム並びに前記下側フィルムの所定部位をカットして、前記密封された前記収納凹部を有する個々の包装体を製造するカッター手段とを備えた深絞り包装機であって、前記シール装置が(0)に記載のシール装置とし、前記カッター手段は、搬送方向に対して直交する方向にカットする横カッター装置と、前記搬送方向と平行な方向にカットする縦カッター装置とを備え、前記未シール部位が除去されるように前記所定部位のカットをするように構成した。
【0018】
(4)前記シール装置の上流側と下流側の少なくとも一方側に、前記下側フィルムの下面を支えるガイドレールを備えるとよい。このようにすると、下側フィルム,上側フィルムが垂れるのが抑制されるので良い。そして、より好ましくは、シール装置の上流側や下流側に設けるガイドレールと、シール装置内に設けるガイドレールは、一体になって連続していると良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フィルムに加熱されない所望の幅の未シール部位を積極的に形成し、その未シール部位にてフィルム剛性の低下を抑制し、シール装置の下側ボックスとの干渉を防止することができる。さらに、シーラーを分割したことで、幅広フィルムであっても、シーラーのひずみ等によるシール圧の偏りをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る深絞り包装機の好適な一実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0022】
図1,
図2は、本発明に係る深絞り包装機の好適な一実施形態を示している。本実施形態の深絞り包装機は、上流側に配置される下側フィルム供給装置10と、下側フィルム供給装置10から供給される下側フィルム12を水平方向に搬送するフィルム搬送装置13と、フィルム搬送装置13の搬送途中の上流側に配置した成型装置14と、その成型装置14の下流側に配置する被包装物供給部(図示省略)と、フィルム搬送装置13の上方所定位置に配置される上側フィルム供給装置15と、フィルム搬送装置13の上側フィルム供給装置15から供給される上側フィルム16が下側フィルム12の上にかぶす被覆点Xより下流側に順に配置されるシール装置17、横カッター装置18、縦カッター装置19等を備える。
【0023】
下側フィルム供給装置10は、帯状の下側フィルム12をロール状に巻き取った原反ロール20を支持する回転支持軸21と、その回転支持軸21と一体に回転する原反ロール20から引き出される下側フィルム12を所定の軌跡で繰り出してフィルム搬送装置13に供給する機構を備える。
【0024】
フィルム搬送装置13は、下側フィルム12の両側縁の外側に配置された左右一対のエンドレスチェーン13aと、そのエンドレスチェーン13aに取り付けられた多数の爪部材13bとを備え、その爪部材13bにて下側フィルム12の長手方向の両側縁を掴んだ状態で間欠的に搬送する。
【0025】
このフィルム搬送装置13の搬送途中の上流側には、成型装置14が配置される。この成型装置14は、下側フィルム12の所定位置に下側に突出する収納凹部12aを成型する装置である。この成型装置14は、下側フィルムを挟んで上下に配置された上側ボックス14aと下側ボックス14bを有している。そして、下側ボックス14b内に、下側フィルム12に形成する収納凹部12aの外形状に符合する内形状に加工された雌型を配置する。一方、上側ボックス14a内には、熱板が内蔵され、上側ボックス14aと下側ボックス14b間で挟み込まれた下側フィルム12のフィルム部位を加熱軟化させる。そして、係る挟み込んだ状態で、例えば下側ボックス14b内を真空吸引すると、下側フィルム12の所定のフィルム部位が雌型の内周面に密着し、その内周面の形状に成型されて収納凹部12aが成型される。
【0026】
被包装物供給部は、成型装置14で形成された収納凹部12a内に被包装物を供給するエリアであり、例えば、図示省略する被包装物供給装置が配置される。この被包装物供給装置は、収納凹部12a内に被包装物を自動供給するもので、例えば、移し替えロボットから構成し、移し替えロボットのマニピュレータとして吸着手段を備える。そして、その吸着手段により、フィルム搬送装置13の横に待機する被包装物群から、所定の被包装物を吸着保持するとともに所定軌跡で移動し、被包装物を収納凹部12a内に供給する。なお、被包装物供給装置に替えて、人手による供給としても良い。
【0027】
上側フィルム供給装置15は、帯状の上側フィルム16をロール状に巻き取った原反ロール22を支持する回転支持軸23と、その回転支持軸23と一体に回転する原反ロール22から引き出される上側フィルム16を所定の軌跡で繰り出してフィルム搬送装置13で搬送される下側フィルム12上に重ね合わせるように供給するための複数のローラ24等を備える。上側フィルム16の移動軌跡の途中に、印字装置25が配置される。印字装置25は上側フィルム16の所定位置に、被包装物の製造年月日や賞味期限などを印字するものである。
【0028】
シール装置17は、下側フィルム12と上側フィルム16の所定位置、つまり、収納凹部12aの周囲の両フィルム12,16の接触部位を上下から挟み込むとともに加熱して熱シールする。これにより、被包装物が収納凹部12a内に密封される。なお、このシール装置17に凹部内の空気を吸引除去する機能を設け、両フィルム12,16を熱シールする前に凹部内の空気を吸引除去することで、被包装物が収納凹部12a内にて真空状態で密封する機能を備えても良いし、吸引除去して収納凹部12a内を真空にする機能に替えて、所定のガスを充填する機能を設けることで、収納凹部12a内を窒素等の不活性ガスに置換するようにしてもよい。
【0029】
横カッター装置18は、フィルムを挟んで上下に配置されるカッター刃18aと、受け板18bと、を備える。それらカッター刃18a,受け板18bはそれぞれに連係させたエアシリンダ18cによりタイミングを合わせて昇降移動するように構成される。この横カッター装置18は、押し切りカッターであり、カッター刃18aの刃部の形状に沿って下側,上側フィルム12,16が切断される。そして、カッター刃は、下側,上側フィルムを横方向(搬送方向に対して直交する方向)に切断するための直線状の刃部を備え、また、最終的な包装体における角に丸みを形成するためのRカット用の刃部を備えるようにしてもよい。
【0030】
縦カッター装置19は、フィルムの搬送方向に対して直交する方向に回転軸を有する上下一対の円盤型のカッター19aを複数組備え、上下のカッター19aにて下側,上側フィルム12,16を挟み込むことで搬送方向に対して平行にカットする。縦カッター装置19を通過すると、収納凹部12aの周囲が縦横に切断されて、個々の包装体が製造される。また下側,上側フィルム12,16の左右両側縁は、縦カッター装置19にてカットされて分離される。そして、その分離された両側縁は、巻き取りローラ27に巻き取られるようにしている。
【0031】
さらに本実施形態では、フィルム搬送装置13の搬出端側に搬出コンベア28を配置する。搬出コンベア28は、例えばベルトコンベアから構成され、その搬送面は、フィルム搬送装置13の搬送面よりも一段低く設定している。縦カッター装置19を通過して製造された個々の包装体は、この搬出コンベア28にて搬出される。
【0032】
本実施形態では、下側フィルム12は、比較的硬質なフィルム材を用い、上側フィルム16は比較的軟質なフィルム材を用いる。このように、それぞれに用いるフィルム材は、異なる材質のものを用いており、特に、熱伸縮率等の加熱に伴う変化の度合いが異なるフィルム材を用いている。さらに、下側フィルム12,上側フィルム16は、そのフィルム幅が例えば600mmを超える幅広となっている。
【0033】
また、下側フィルム12に形成する収納凹部12aは、横に4個設ける。そして、間欠的にフィルムを搬送し、一時停止している際に、成型装置14で収納凹部12aを形成し、シール装置17にて下側,上側フィルム12,16をシールし、横カッター装置18でフィルムを横方向にカットする処理を行う。これらの処理を行う一回の単位を、前後6列とした。これにより、一度に24個(横4×縦6)の包装体を製造する。通常の深絞り包装機では、前後は1列或いは2列をまとめて処理するところ、本実施形態では、前後6列をまとめて形成することで、単位時間あたりの製造個数を同じフィルム幅のものに対して2列同時処理に比べて3倍にすることができる。さらに、上述したように、フィルム幅が600mmを超える幅広のものにしたため、横方向でも一度に製造できる個数を多くとることができるので、係る点でも単位時間あたりの製造個数を多くすることができる。
【0034】
一度に製造する個数が多くするため、シール装置17の横幅並びに前後長は従来のものよりも大きくなる。このように大きくしてもフィルムが弛むなどすることなく綺麗な包装体を製造するため、本実施形態では、
図3以降に示すような構成とした。
【0035】
シール装置17は、下側,上側フィルム12,16を挟んで上下に対向配置される下側ボックス31と上側ボックス32とを備え、両ボックスは、フィルムの搬送タイミングに合わせて昇降移動する。下側ボックス31は、上部開放した有底の箱状の外枠33内に、
図3,
図4に示すシールボックス35を挿入配置して構成される。シールボックス35は、上開きの箱状になっていて、上部頂面に受けゴム36を貼着するとともに、その内部に所定数(24個(4×6)を示している)の凹部37を備え、さらに、各凹部37間に仕切壁38を有している。凹部37は、シール処理時において成型装置14で形成された下側フィルム12の収納凹部12aが挿入配置される。また、図示省略するが、外枠33とシールボックス35の間には、収納凹部12a内を真空にするために脱気処理を行うための排気経路等が配置される。
【0036】
上側ボックス32は、ベース部材40の下面側に上下移動可能に配置された加熱板41を備える。より具体的には、ベース部材40の下面所定位置に垂下壁43が形成されるとともに、ベース部材40の下面側の垂下壁43に囲まれる領域に凹部42が形成される。そして、この凹部42内に、加熱板41がベース部材40に配置される。加熱板41は、図示省略するシンダー等の駆動手段によりベース部材40に対して相対的に昇降する。
【0037】
ベース部材40が昇降すると、それと一体になって加熱板41も昇降する。そして、上側ボックス32が最下方位置に位置した状態では、下側ボックス31も最上方位置に至り、両ボックス間で下側,上側フィルム12,16を上下から挟み込む。より具体的には、垂下壁43の下端と、それに対向するシールボックス35に設けた受けゴム36との間でフィルムを挟み込む。また、係る状態で下降した加熱板41と、受けゴム36との間でフィルムを挟み込む。
【0038】
加熱板41は、例えばアルミ等の熱伝導性の良好な材料から構成され、内蔵するヒータ41aにより所定の温度に加熱される。そして、上述したように上側ボックス32と下側ボックス31との間で下側,上側フィルム12,16を挟んだ状態では、下降した加熱板41がフィルムに接触して当該フィルムを加熱する。特に、受けゴム36との間で挟み込んだフィルム部位は加熱・加圧されるため、下側,上側フィルム12,16の当該フィルム部位が熱シールされる。
【0039】
本実施形態では、凹部42内に加熱板41を4つ設けた。すなわち、通常は、一枚の加熱板で構成するが、処理領域を4つに分割し、個々の加熱板41の寸法形状を、小さくしている。これにより、各加熱板41は、6個分(2×3)の包装体に対するシールを行う。本実施形態では、1回で処理する個数・面積は大きくしたが、個々の加熱板41の面積を小さくすることができ、加熱に伴う個々の加熱板41の中央と周縁の上下方向の変位量を小さく抑えることができる。よって、受けゴム36は、弾性変形するため、例えば小さい加熱板41が加熱によって反るように変形したとしても、その変形を受けゴム36の弾性変形で吸収する。よってシール不良やシールムラの発生を可及的に抑制できる。
【0040】
さらに本実施形態では、各加熱板41は、それぞれ独立して駆動するシリンダー等の駆動系に連係されており、ベース部材40に対して、個々に昇降する。よって、各加熱板41がそれぞれ適切にフィルムに接触し、加熱・加圧することができる。
【0041】
さらに本実施形態では、隣接する加熱板41の間の間隔を広くした。すなわち、フィルムの搬送方向に対して直交する方向の左右の加熱板41の対向する周縁間の間隔を広くした。これにより、下側,上側フィルム12,16の中央部分に搬送方向に沿って所定幅の第一未シール部位50を形成する。また、フィルムの搬送方向に沿った方向の前後の加熱板41の対向する周縁間の間隔を広くした。これにより、フィルムの所定位置にフィルムの搬送方向に対して直交する横方向に横断する第二未シール部位51を形成する。
【0042】
下側,上側フィルム12,16を熱シールするためにフィルムが加熱されると、通常それぞれ軟化・溶融して変質するため、フィルム強度・剛性が低下する。さらに、下側,上側フィルム12,16の加熱・加圧されたフィルム部位は、溶融して互いに接着し合う。このとき、下側フィルム12と上側フィルム16は異なる材質で、熱伸縮率は異なるため、接着部位にフィルムにゆがみが生じる。
【0043】
そして本実施形態では、第一未シール部位50と第二未シール部位51を設けることで、加熱に伴い軟化・溶融に伴う変質や、接着し合うことによるフィルムのゆがみ等がなく剛性を持たせ、フィルムが垂れたり歪んだりするのを抑制するようにした。すなわち、 下側フィルム12が幅広にした場合、左右両側を爪部材13bで把持してぴんと張るようにしても、幅方向に見た場合に全体的に湾曲して中央が下に下がり、垂れてしまう。これに対し、本実施形態では、例えば第一未シール部位50は、フィルムの幅方向(左右方向)に横断するように形成されているため、梁のように機能し、第一未シール部位50を形成した部分は中央部分で下に垂れるようなことがなくなり、ぴんと張った状態を維持することができる。
【0044】
さらに、上記の梁のように機能する第一未シール部位50は、前後に所定間隔をおいて形成され、前後の第一未シール部位50の間のフィルム部位では、幅方向の中央部位で垂れが生じるおそれがある。本実施形態では、前後の第一未シール部位50間を渡すようにフィルムの中央部分に前後に伸びる第二未シール部位51を設けたので、その剛性を持った第二未シール部位51により、前後の第一未シール部位50の間も、中央部分が前後の全長に渡りぴんと張った状態になる。そして、第一未シール部位50と第二未シール部位51で区画される領域は小さくなり、その小さい領域の周囲は剛性を持った第一未シール部位50と第二未シール部位51並びに、フィルム側縁を把持する爪部材13bが存在するため、全体的にぴんと張った状態を維持でき、垂れるのを抑制できる。よって、綺麗な包装体を製造することができる。
【0045】
さらに、シール装置17を通過後の所定部位がシールされた下側,上側フィルム12,16は、その左右両側を爪部材13bで把持した状態で搬送し、その搬送途中で冷却される。この冷却に伴い、下側,上側フィルム12,16は縮もうとするが、左右両側は爪部材13bで挟まれて冷却されるまで左右に引っ張った状態にしているとともに、フィルムの左右両側は爪部材13bで挟まれているため、前後方向に伸張しない。そのため、冷却時に収縮すると幅方向の中央部分が前後方向にひずむおそれがある。特に、幅広のフィルムを用いると、両端から中央までの距離が長くなるため、その傾向が顕著に表れる。本実施形態では、剛性のある第二未シール部位51を設けたので、たとえ幅広のフィルムであっても中央部分も含めて冷却時にフィルムがひずむのを抑制する。
【0046】
さらに本実施形態では、フィルムの中央部位の下側に、フィルムの搬送方向に沿って伸びるようにガイドレール55を配置する。このガイドレール55は、下側フィルム12の下面に接触し、支える。このようにガイドレール55を設けることで、本実施形態のように幅広のフィルムを用いたとしても、幅方向の中央部分(第二未シール部位51)がガイドレール55に接触し、下方にたれるのを抑制する。
【0047】
さらに、このガイドレール55は、シール装置17の上流側からシール装置17を通り下流側に至る広範囲に設置している。そして、シールボックス35の上面の左右方向の中央に、フィルムの搬送方向に沿って伸びるようにガイド溝39を備える。下側ボックス31ひいてはシールボックス35が上昇移動すると、ガイドレール55はガイド溝39内に進入し、下側ボックス31はガイドレール55と干渉しないようにしている。本実施形態では、第二未シール部位51を形成するために左右の加熱板41の間の間隔を広くしたため、シールボックス35の上面側にガイドレール55が進入可能なガイド溝39を設けることが可能となる。これにより、ガイドレール55を、シール装置17の上流側のみならず、シール装置17の内部にも配置することが可能となり、熱シール処理時においもガイドレール55にてフィルムを支持することができ、フィルムをできるだけ水平状態に維持しながらシール処理を行うことで、綺麗にシールすることが可能となる。さらに、ガイドレール55は、所定の高さ位置に固定設置されており、シール処理時は下側ボックス31が上昇移動することでガイドレール55がシールボックス35に形成したガイド溝39内に入り込み、シール処理後に下側ボックス31ひいてはシールボックス35が下降移動すると、ガイドレール55はシールボックス35の上面よりも上方に位置する。このシールボックス35の下降移動時にもガイドレール55は、高さが固定されているので、下側フィルム12はガイドレール55に支持されてガイドレール55よりも下に下降しない。よって、係る点に鑑みても、フィルムの垂れを抑制し、下側ボックス31ひいてはシールボックス35と、下側フィルム12,収納凹部12aとの干渉を抑制できる。
【0048】
なお、第一未シール部位50と第二未シール部位51は、最終の包装体には不要な部分となるので、後段の横カッター装置18や縦カッター装置19にて、各未シール部位が除去されるように凹部の周囲のシール部位の適宜位置をカットする。
【0049】
上述したように、本実施形態では、一回の処理を行うフィルム領域を広げつつ、そのフィルム領域を複数(例えば4個)に分け、それぞれに加熱板41を配置することで、個々の加熱板41を小さくした。これにより、加熱板41における加熱時の反りの量を抑制することが可能となる。
【0050】
一方、通常、包装体に使用されずに廃棄することになるフィルム部位ができるだけ生じないように、下側フィルムに形成する凹部の配置レイアウトも、前後左右に位置する包装体の周縁部分が接するように近づけるようにする。その結果、本実施形態のように複数(ここでは4個)の加熱板41を配置する際に、隣接する加熱板41の隙間をなくすか、仮にできたとしてもできるだけ小さくすることになる。これに対し、本実施形態では、隣接する加熱板41の間の間隔を積極的に広くし、所定幅のみシール部分が形成されるようにした。そして、所定幅は、所望の剛性が得られる幅である。所望の剛性は、フィルムの垂れ・歪み等により最終的に製造される包装体に影響を与えないようにすることができるものである。
【0051】
上述した実施形態では、加熱板41を4個設け、左右方向に伸びる第一未シール部位50と、搬送方向に沿った前後方向に伸びる第二未シール部位51を1本ずつ形成するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、加熱板41の設置数並びに配置レイアウトは任意であり、これに伴い第一未シール部位50や第二未シール部位51の設置数が2本以上となっても良いし、片方のみを設けるようにしても良い。また、ガイドレール55を設けない構成を採っても良い。
【0052】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0053】
12 下側フィルム
12a 収納凹部
13 フィルム搬送装置
14 成型装置
16 上側フィルム
17 シール装置
31 下側ボックス
32 上側ボックス
35 シールボックス
37 凹部
39 ガイド溝
41 加熱板
50 第一未シール部位
51 第二未シール部位
55 ガイドレール