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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】搬送装置及び移載機構
(51)【国際特許分類】
   B65G 25/06 20060101AFI20220412BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B65G25/06
B65G47/52 101Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018093290
(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公開番号】P2019199311
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591212408
【氏名又は名称】中洲電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 強
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-271533(JP,A)
【文献】実開昭59-137218(JP,U)
【文献】特開昭57-195015(JP,A)
【文献】実開昭57-126428(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 25/06
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置領域に対して搬送対象を送り出し及び引き込み可能な搬送装置であって、
前記載置領域に対して長手方向に整列するように前記載置領域の上流側に連設された中間領域と、
前記搬送対象を支持するためのカセットと、
搬送元から前記中間領域まで前記カセットを支持して搬送し、前記カセットを長手方向に沿って送り出し及び受け入れ可能に構成された搬送体と、
前記中間領域に併設されるように長手方向に沿って延びる走行経路に沿って双方向に走行するように駆動され、前記カセットを押圧又は牽引するように構成された走行体と、
前記搬送体及び前記走行体の動作を制御する制御部と、を備え、
前記走行体は、走行体本体、前記走行体本体に形成された走行部、前記走行体本体に対して傾動可能に支持された傾動体を有し、前記傾動体は、原姿勢から一方向に傾動した傾動姿勢に変位可能であり、前記傾動体には、前記カセットを下流側に押圧可能な押圧部、及び、前記カセットを上流側に牽引可能な牽引部が設けられ、
前記走行経路上には、前記載置領域の遠位側に配置された第1当接体、及び、前記載置領域の近位側に配置された第2当接体が設けられ、前記第1当接体及び前記第2当接体は、前記走行経路を走行する前記走行体に当接したときに、前記走行体を係止することなく、且つ、前記傾動体を前記走行体の進行方向に応じて選択的に回動するように構成され、
前記傾動体の原姿勢において、前記押圧部が前記カセットを上流側から下流側へと押圧するように前記カセットの被係合部に係合可能であり、且つ、前記牽引部が前記カセットを下流側から上流側へと牽引するように前記カセットの前記被係合部に係合可能であり、
前記傾動体は、前記第2当接体に上流側から当接したとき、及び、前記第1当接体に下流側から当接したときに一時的に傾動姿勢をとり、前記傾動体の傾動姿勢において、前記カセット及び前記走行体が互いに当接せずにすれ違い可能であり、
前記第1当接体の位置は、前記カセットが前記中間領域に配置されたときの前記カセットの被係合部の位置に関連付けられ、且つ、前記第2当接体の位置は、前記カセットが前記載置領域に配置されたときの前記カセットの被係合部の位置に関連付けられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記中間領域の上流側に長手方向に沿って連設され、前記走行体を収容するための収容部をさらに備え、前記傾動体は、前記収容部に収容されたときに一時的に傾動姿勢をとることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記走行経路は、長手方向に沿って延びるレールによって定められ、前記レールには、前記走行体が連結されるとともに、双方向に回転駆動される無端ベルトが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送体が前記カセットを前記中間領域に搬送する工程と、
前記傾動体が原姿勢を維持しつつ、前記走行体が前記カセットに近接するように相対移動し、前記走行体の前記押圧部が前記カセットの前記被係合部に上流側から係合し、前記押圧部が前記搬送体から前記カセットを下流側に押し出す工程と、
前記押圧部が前記被係合部を下流側に押圧して前記カセットを前記載置領域まで移動させる工程とが前記制御部によって実行されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記中間領域には、前記カセットを載置するための移載台が設けられ、前記カセットを下流側に押し出す工程において、前記走行体が所定位置で原姿勢で停止し、前記搬送体が長手方向に沿って上流側に移動することで、前記走行体の前記押圧部が前記カセットの前記被係合部に上流側から係合し、前記押圧部が前記搬送体から前記カセットを下流側に押し出して前記移載台に移載することを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記カセットを下流側に押し出す工程において、前記走行体の前記押圧部が前記カセットの前記被係合部に上流側から係合した状態で前記搬送体が停止し、前記走行体が下流側に移動することで、前記押圧部が前記搬送体から前記カセットを下流側に押し出すことを特徴とする請求項4に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記カセットが前記載置領域に載置された後、
前記傾動体が前記第2当接体に上流側から当接し、且つ、前記傾動体が傾動姿勢に変位する位置まで前記走行体が下流側に移動する工程と、
前記傾動体が傾動姿勢を維持しつつ前記傾動体の少なくとも一部が前記カセットの被係合部を下流側に通過した上で前記傾動体が原姿勢に復帰する位置まで前記走行体が下流側に移動し、前記傾動体の牽引部が前記カセットの被係合部に下流側から係合する工程と、
前記走行体が前記カセットを上流側に牽引して、前記カセットが前記中間領域に移動する工程とが前記制御部によって実行されることを特徴とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記中間領域には、前記カセットを載置するための移載台が設けられ、前記カセットが前記中間領域に移動する工程において、前記カセットが前記移載台に載置されることを特徴とする請求項7に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記カセットが前記中間領域に移動する工程の後、前記牽引部及び前記被係合部が係合した状態で、前記搬送体が前記中間領域に上流側から長手方向に沿って移動することによって前記カセットが前記移載台から前記搬送体に移載される工程と、
前記牽引部及び前被係合部の係合が解除されるように、前記傾動体が前記第1当接体に下流側から当接し、且つ、前記傾動体が傾動姿勢に変位する位置まで前記走行体が上流側に移動する工程と、
前記搬送体が前記カセットを所定の搬送先に搬送する工程とが前記制御部によってさらに実行されることを特徴とする請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記カセットが前記中間領域に移動する工程において、前記搬送体が前記中間領域に停止した状態で前記カセットが前記中間領域に移動することで、前記カセットが前記搬送体に移載されることを特徴とする請求項7に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記カセットが前記中間領域に移動する工程の後、前記牽引部及び前記被係合部の係合が解除されるように、前記傾動体が前記第1当接体に下流側から当接し、且つ、前記傾動体が傾動姿勢に変位する位置まで前記走行体が上流側に移動する工程と、
前記搬送体が前記カセットを所定の搬送先に搬送する工程とが前記制御部によってさらに実行されることを特徴とする請求項10に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記搬送体の搬送経路は、長手方向に対して直交又は傾斜しており、前記中間領域には、前記搬送体の前記カセットの送り出し及び受け入れ方向を長手方向に整列させるように前記搬送体を回転させるための回転手段が設けられていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項13】
前記搬送体には、前記カセットを弾性的に挟持する挟持手段が設けられていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項14】
前記第1当接体及び前記第2当接体は、前記走行路上に回動可能に軸支され、原位置に付勢する弾性体に連結され、且つ、規制手段によって一方への回動が規制されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項15】
載置領域と、前記載置領域に対して長手方向の上流側に連設された中間領域との間でカセットを移載可能な移載機構であって、
前記中間領域に併設されるように長手方向に沿って延びる走行経路を定めるレールと、
前記走行経路に沿って双方向に走行するように駆動され、前記カセットを押圧又は牽引するように構成された走行体と、を備え、
前記走行体は、走行体本体、前記走行体本体に形成された走行部、前記走行体本体に対して傾動可能に支持された傾動体を有し、前記傾動体は、原姿勢から一方向に傾動した傾動姿勢に変位可能であり、前記傾動体には、前記カセットを下流側に押圧可能な押圧部、及び、前記カセットを上流側に牽引可能な牽引部が設けられ、
前記走行経路上には、前記走行経路を走行する前記走行体に当接したときに、前記走行体を係止することなく、且つ、前記傾動体を前記走行体の進行方向に応じて選択的に回動するように構成された当接体が設けられ、
前記傾動体の原姿勢において、前記押圧部が前記カセットを上流側から下流側へと押圧するように前記カセットの被係合部に係合可能であり、且つ、前記牽引部が前記カセットを下流側から上流側へと牽引するように前記カセットの前記被係合部に係合可能であり、
前記傾動体は、前記当接体に上流側から当接したときに一時的に傾動姿勢をとり、前記傾動体の傾動姿勢において、前記カセット及び前記走行体が互いに当接せずにすれ違い可能であり、
前記当接体の位置は、前記カセットが前記載置領域に配置されたときの前記カセットの被係合部の位置に関連付けられていることを特徴とする移載機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象を所定の載置領域まで搬送可能な搬送装置及び移載機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送対象(例えば、ワーク材)に対して複数の工程を施すために、一の工程を施す第1の工程実施場所から他の工程を施す第2の工程実施場所へと搬送対象を搬送する種々の搬送装置が用いられている。
【0003】
特許文献1の搬送ラインシステム(搬送装置)は、複数の主基幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)と、待避レール部材(5a、5b、5c)と、サブ基幹レール部材(6a、6b、6c)と、支持部材(3)と、ベルト部材(103)とを備える。支持部材(3)は、主基幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)、待避レール部材(5a、5b、5c)又はサブ基幹レール部材(6a、6b、6c)に沿って移動可能に配設され、且つ、ワーク材を含有するための容器体(2)を支持する。そして、ベルト部材(103)を電気的に駆動することによって、支持部材(3)が各レールに沿って移動する。また、複数の主基幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)は、所定のワーク材を搬送するために、一の工程実施場所と他の工程実施場所との間に配設されている。そして、待避レール部材(5a、5b、5c)は、複数の主幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)のうちの一の主基幹レール部材と他の主基幹レール部材との間に位置する工程実施場所に配設されており、所定のワーク材を用いて工程を実施する場合に一及び他の主基幹レール部材と連続する位置から断絶する位置へと、移動部材によって移動可能であり、又は、一及び他の主基幹レール部材と断絶する位置から連続する位置へと移動部材によって移動可能である。さらに、サブ基幹レール部材(6a、6b、6c)は、工程実施場所に配設され、待避レール部材(5a、5b、5c)に連結部材(7)で連結されている。該待避レール部材(5a、5b、5c)が一及び他の主基幹レール部材と連続する位置から断絶する位置へと移動すると、これに連動して、別のワーク材が工程実施場所を素通りできるように一及び他の主基幹レール部材と断絶する位置から連続する位置へとサブ基幹レール部材(6a、6b、6c)が移動する。又は、待避レール部材(5a、5b、5c)が一及び他の主基幹レール部材と断絶する位置から連続する位置へと移動すると、これに連動して、一及び他の主基幹レール部材と連続する位置から断絶する位置へとサブ基幹レール部材(6a、6b、6c)が移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5004377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような従来の搬送装置では、作業者は、工程場所において、搬送対象であるワーク材に対して作業を行うために、支持部材に支持された容器体からワーク材を直接取り出して作業台(載置領域)に載置することが求められる。あるいは、作業者は、工程場所において、ワーク材を所定の場所に収納するために、支持部材に支持された容器体からワーク材を直接取り出して収納場所(載置領域)に載置することが求められる。よって、搬送装置において、その構造を出来るだけ煩雑化することなく、また、搬送装置の連続する動作を妨げることなく、搬送対象を載置領域に対して送り出し及び引き込みする作業を自動化することを課題とした。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、載置領域に対して搬送対象を送り出し及び引き込み可能な搬送装置を提供することにある。さらには、本発明は、該搬送装置に組み込み可能である、載置領域と、前記載置領域に対して長手方向の上流側に連設された中間領域との間でカセットを移載可能な移載機構をも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の搬送装置は、載置領域に対して搬送対象を送り出し及び引き込み可能な搬送装置であって、
前記載置領域に対して長手方向に整列するように前記載置領域の上流側に連設された中間領域と、
前記搬送対象を支持するためのカセットと、
搬送元から前記中間領域まで前記カセットを支持して搬送し、前記カセットを長手方向に沿って送り出し及び受け入れ可能に構成された搬送体と、
前記中間領域に併設されるように長手方向に沿って延びる走行経路に沿って双方向に走行するように駆動され、前記カセットを押圧又は牽引するように構成された走行体と、
前記搬送体及び前記走行体の動作を制御する制御部と、を備え、
前記走行体は、走行体本体、前記走行体本体に形成された走行部、前記走行体本体に対して傾動可能に支持された傾動体を有し、前記傾動体は、原姿勢から一方向に傾動した傾動姿勢に変位可能であり、前記傾動体には、前記カセットを下流側に押圧可能な押圧部、及び、前記カセットを上流側に牽引可能な牽引部が設けられ、
前記走行経路上には、前記載置領域の遠位側に配置された第1当接体、及び、前記載置領域の近位側に配置された第2当接体が設けられ、前記第1当接体及び前記第2当接体は、前記走行経路を走行する前記走行体に当接したときに、前記走行体を係止することなく、且つ、前記傾動体を前記走行体の進行方向に応じて選択的に回動するように構成され、
前記傾動体の原姿勢において、前記押圧部が前記カセットを上流側から下流側へと押圧するように前記カセットの被係合部に係合可能であり、且つ、前記牽引部が前記カセットを下流側から上流側へと牽引するように前記カセットの前記被係合部に係合可能であり、
前記傾動体は、前記第2当接体に上流側から当接したとき、及び、前記第1当接体に下流側から当接したときに一時的に傾動姿勢をとり、前記傾動体の傾動姿勢において、前記カセット及び前記走行体が互いに当接せずにすれ違い可能であり、
前記第1当接体の位置は、前記カセットが前記中間領域に配置されたときの前記カセットの被係合部の位置に関連付けられ、且つ、前記第2当接体の位置は、前記カセットが前記載置領域に配置されたときの前記カセットの被係合部の位置に関連付けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態の搬送装置によれば、搬送対象を支持可能なカセットを搬送体によって中間領域に搬送した後、走行体の駆動によって、カセットを搬送体から送り出し、載置領域へと載置することが可能である。特には、カセットを支持する搬送体が中間領域に停止した上で、走行体が下流側(載置領域側)へと走行経路上を走行する。このとき、走行体が第1当接体に上流側から当接するが、傾動姿勢に変位することなく、下流側に移動する。その結果、走行体が搬送体上のカセットを押圧部を介して送り出して、搬送対象とともにカセットを載置領域へと押し込むことが可能である。さらに、本発明の搬送装置は、搬送対象をカセットごと載置領域へと搬送した後、走行体の駆動によって、カセットを載置領域から搬送装置に復帰させるように動作可能である。特には、走行体が下流側に移動して、傾動体が第2当接体に上流側から当接すると、傾動体が一時的に傾動姿勢に変位する。この傾動姿勢のままで走行体が下流側にさらに走行することで、傾動体の少なくとも一部がカセットの被係合部を下流側に越えて、傾動体が原姿勢に復帰する。そして、原姿勢のままで走行体が下流側に駆動される。このとき、走行体が第2当接体に上流側から当接するが、傾動姿勢に変位することなく下流側に移動する。その結果、走行体の牽引部がカセットの被係合部に係合し、走行体が上流側へとカセットを牽引することが可能となる。さらに、カセットが中間領域に移動した後、走行体が上流側にさらに移動すると、傾動体が第1当接体に下流側から当接して、傾動体が一時的に傾動姿勢に変位し、傾動体の牽引部とカセットの被係合部との係合が解除される。これにより、走行体は、再びカセットを押圧可能な状態に復帰し、次の連続する動作に対応することができる。したがって、本発明は、簡易な機構によって、その連続する動作を妨げることなく搬送対象を載置領域に搬送可能な搬送装置を提供するものである。
【0009】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、前記中間領域の上流側に長手方向に沿って連設され、前記走行体を収容するための収容部をさらに備え、前記傾動体は、前記収容部に収容されたときに一時的に傾動姿勢をとることを特徴とする。すなわち、走行体が収容部に収容されることで、走行体に当接することなく、カセットを支持する搬送体が中間領域の上流側を通過することが可能となる。
【0010】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、前記走行経路は、長手方向に沿って延びるレールによって定められ、前記レールには、前記走行体が連結されるとともに、双方向に回転駆動される無端ベルトが設けられていることを特徴とする。すなわち、無端ベルトの回転動作によって走行体を走行経路に沿って効果的に双方向に駆動させることができる。
【0011】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、
前記搬送体が前記カセットを前記中間領域に搬送する工程と、
前記傾動体が原姿勢を維持しつつ、前記走行体が前記カセットに近接するように相対移動し、前記走行体の前記押圧部が前記カセットの前記被係合部に上流側から係合し、前記押圧部が前記搬送体から前記カセットを下流側に押し出す工程と、
前記押圧部が前記被係合部を下流側に押圧して前記カセットを前記載置領域まで移動させる工程とが前記制御部によって実行されることを特徴とする。すなわち、制御部が走行体の動きを制御することによって、効果的にカセットを載置領域まで移動させることが可能である。
【0012】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、前記中間領域には、前記カセットを載置するための移載台が設けられ、前記カセットを下流側に押し出す工程において、前記走行体が所定位置で原姿勢で停止し、前記搬送体が長手方向に沿って上流側に移動することで、前記走行体の前記押圧部が前記カセットの前記被係合部に上流側から係合し、前記押圧部が前記搬送体から前記カセットを下流側に押し出して前記移載台に移載する。すなわち、搬送体を上流側に移動させる動作によって、搬送体の下流側にカセットを送り出すとともにカセットを中間領域の移載台に移載し、移載台上のカセットを載置領域へと効果的に押し込むことができる。
【0013】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、前記カセットを下流側に押し出す工程において、前記走行体の前記押圧部が前記カセットの前記被係合部に上流側から係合した状態で前記搬送体が停止し、前記走行体が下流側に移動することで、前記押圧部が前記搬送体から前記カセットを下流側に押し出すことを特徴とする。すなわち、搬送体を中間領域に待機させたまま、走行体でカセットを載置領域へと押し込むことが可能であり、一連の動作を効率化することができる。
【0014】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、前記カセットが前記載置領域に載置された後、
前記傾動体が前記第2当接体に上流側から当接し、且つ、前記傾動体が傾動姿勢に変位する位置まで前記走行体が下流側に移動する工程と、
前記傾動体が傾動姿勢を維持しつつ前記傾動体の少なくとも一部が前記カセットの被係合部を下流側に通過した上で前記傾動体が原姿勢に復帰する位置まで前記走行体が下流側に移動し、前記傾動体の牽引部が前記カセットの被係合部に下流側から係合する工程と、
前記走行体が前記カセットを上流側に牽引して、前記カセットが前記中間領域に移動する工程とが前記制御部によって実行されることを特徴とすることを特徴とする。すなわち、制御部が走行体の動きを制御することによって、効果的にカセットを中間領域まで移動させることが可能である。
【0015】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、前記中間領域には、前記カセットを載置するための移載台が設けられ、前記カセットが前記中間領域に移動する工程において、前記カセットが前記移載台に載置されることを特徴とする。すなわち、カセットを一旦移載台に載置した上で安定的に次の工程に進むことができる。
【0016】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、
前記カセットが前記中間領域に移動する工程の後、前記牽引部及び前記被係合部が係合した状態で、前記搬送体が前記中間領域に上流側から長手方向に沿って移動することによって前記カセットが前記移載台から前記搬送体に移載される工程と、
前記牽引部及び前被係合部の係合が解除されるように、前記傾動体が前記第1当接体に下流側から当接し、且つ、前記傾動体が傾動姿勢に変位する位置まで前記走行体が上流側に移動する工程と、
前記搬送体が前記カセットを所定の搬送先に搬送する工程とが前記制御部によってさらに実行されることを特徴とする。すなわち、カセットが移載台に停止した状態で搬送体が中間領域に移動することによって、より安定した動作でカセットを移載台から搬送体に移載することができる。
【0017】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、前記カセットが前記中間領域に移動する工程において、前記搬送体が前記中間領域に停止した状態で前記カセットが前記中間領域に移動することで、前記カセットが前記搬送体に移載されることを特徴とする。すなわち、走行体による牽引動作と同時に、カセットを迅速に搬送体に移載することができる。
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、
前記カセットが前記中間領域に移動する工程の後、前記牽引部及び前記被係合部の係合が解除されるように、前記傾動体が前記第1当接体に下流側から当接し、且つ、前記傾動体が傾動姿勢に変位する位置まで前記走行体が上流側に移動する工程と、
前記搬送体が前記カセットを所定の搬送先に搬送する工程とが前記制御部によってされに実行されることを特徴とする。すなわち、制御部が走行体の動きを制御することによって、走行体とカセットとの係合を効果的に解除し、カセットを所定の搬送先に搬送することが可能である。
【0018】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、前記搬送体の搬送経路は、長手方向に対して直交又は傾斜しており、前記中間領域には、前記搬送体の前記カセットの送り出し及び受け入れ方向を長手方向に整列させるように前記搬送体を回転させるための回転手段が設けられていることを特徴とする。すなわち、回転手段を設けることにより、搬送体の搬送路を様々に設定することができる。
【0019】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、前記搬送体には、前記カセットを弾性的に挟持する挟持手段が設けられていることを特徴とする。すなわち、挟持手段によって、カセットを弾性的に挟持することで、搬送体にカセットを一時的にロックすることができる。
【0020】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、前記第1当接体及び前記第2当接体は、前記走行路上に回動可能に軸支され、原位置に付勢する弾性体に連結され、且つ、規制手段によって一方への回動が規制されていることを特徴とする。すなわち、第1及び第2当接体は、いずれか一方側から走行体が当接すると自身が回動し、他方側から走行体が当接すると傾動体を回動させるように動作する。よって、第1及び第2当接体は、簡易な構造でもって、走行体を係止せずに傾動体を走行体の進行方向に応じて選択的に回動させることができる。
【0021】
本発明の移載装置は、載置領域と、前記載置領域に対して長手方向の上流側に連設された中間領域との間でカセットを移載可能な移載機構であって、
前記中間領域に併設されるように長手方向に沿って延びる走行経路を定めるレールと、
前記走行経路に沿って双方向に走行するように駆動され、前記カセットを押圧又は牽引するように構成された走行体と、を備え、
前記走行体は、走行体本体、前記走行体本体に形成された走行部、前記走行体本体に対して傾動可能に支持された傾動体を有し、前記傾動体は、原姿勢から一方向に傾動した傾動姿勢に変位可能であり、前記傾動体には、前記カセットを下流側に押圧可能な押圧部、及び、前記カセットを上流側に牽引可能な牽引部が設けられ、
前記走行経路上には、前記走行経路を走行する前記走行体に当接したときに、前記走行体を係止することなく、且つ、前記傾動体を前記走行体の進行方向に応じて選択的に回動するように構成された当接体が設けられ、
前記傾動体の原姿勢において、前記押圧部が前記カセットを上流側から下流側へと押圧するように前記カセットの被係合部に係合可能であり、且つ、前記牽引部が前記カセットを下流側から上流側へと牽引するように前記カセットの前記被係合部に係合可能であり、
前記傾動体は、前記当接体に上流側から当接したときに一時的に傾動姿勢をとり、前記傾動体の傾動姿勢において、前記カセット及び前記走行体が互いに当接せずにすれ違い可能であり、
前記当接体の位置は、前記カセットが前記載置領域に配置されたときの前記カセットの被係合部の位置に関連付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の搬送装置は、簡易な機構によって、その連続する動作を妨げることなく搬送対象を少なくとも載置領域に搬送することができる。。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態の搬送装置の概略側面図。
図2図1の搬送装置の平面図。
図3図1の搬送装置の走行体の(a)平面図及び(b)側面図。
図4図1の搬送装置のレールの斜視図。
図5図4のレールの(a)平面図、(b)正面図及び(c)A-A断面図。
図6図1の搬送装置の(a)第1当接体の部分拡大図及び(b)第2当接体の部分拡大図。
図7図1の搬送装置のカセットの斜視図。
図8図7の搬送装置のカセットの(a)平面図、及び(b)側面図。
図9図1の搬送装置の搬送体の斜視図。
図10図9の搬送体においてカセットを支持した状態を示す斜視図。
図11】カセットを搬送元から載置領域へと搬送する方法の第1工程を示す模式図。
図12】カセットを搬送元から載置領域へと搬送する方法の第2工程を示す模式図。
図13】カセットを搬送元から載置領域へと搬送する方法の第3工程を示す模式図。
図14】カセットを搬送元から載置領域へと搬送する方法の第4工程を示す模式図。
図15】カセットを載置領域から搬送体へと回収する方法の第1工程を示す模式図。
図16】カセットを載置領域から搬送体へと回収する方法の第2工程を示す模式図。
図17】カセットを載置領域から搬送体へと回収する方法の第3工程を示す模式図。
図18】カセットを載置領域から搬送体へと回収する方法の第4工程を示す模式図。
図19】カセットを載置領域から搬送体へと回収する方法の第5工程を示す模式図。
図20】カセットを載置領域から搬送体へと回収する方法の第6工程を示す模式図。
図21】本発明の別実施形態の搬送装置の概略側面図。
図22】カセットを搬送元から載置領域へと搬送する方法の第1工程を示す模式図。
図23】カセットを搬送元から載置領域へと搬送する方法の第2工程を示す模式図。
図24】カセットを載置領域から搬送体へと回収する方法の第1工程を示す模式図。
図25】カセットを載置領域から搬送体へと回収する方法の第2工程を示す模式図。
図26】カセットを載置領域から搬送体へと回収する方法の第3工程を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、上下左右方向は、相互に入れ替えて解釈されてもよい。
【0025】
[第1実施形態]
本実施形態の搬送装置100は、所定の搬送路に従って搬送対象(ワーク材W)を所定の載置領域Tまで搬送可能であり、且つ、載置領域Tに対して搬送対象を自動的に送り出し及び引き込み可能であるように構成されている。載置領域Tは、例えば、作業台や収納庫などの任意の搬送先である。図1は、本実施形態の搬送装置100の全体を示す概略側面図である。図2は、搬送装置100の全体を示す概略平面図である。なお、説明の便宜上、各構成要素が簡略化して示されている。図1及び図2に示すように、搬送装置100は、載置領域Tに隣接して設けられ、搬送対象を載置領域Tに載置するように構成されている。さらに言えば、搬送装置100は、載置領域Tと、該載置領域Tに対して長手方向の上流側に連設された中間領域との間でカセット130を移載可能な移載機構を備える。
【0026】
搬送装置100は、載置領域Tに隣接して配置される装置本体110と、搬送対象であるワーク材Wを支持するためのカセット130と、ワーク材Wを保持するカセット130を支持して搬送元から装置本体110へと搬送する搬送体140と、該搬送装置100の動作を制御する制御部(図示略)とを備えてなる。そして、載置領域T及び装置本体110の整列する方向が長手方向と定められる。また、載置領域T側が下流側、その反対側が上流側として定められる。
【0027】
装置本体110は、載置領域Tに対して長手方向に整列するように載置領域Tの上流側に連設された中間領域を定める移載台111と、中間領域に併設されるように長手方向に沿って延びる走行経路に沿って双方向に走行するように駆動され、カセット130を押圧又は牽引するように構成された走行体120と、移載台111の(図面上の)下方に走行経路を定めるレール113と、該レール113の上流端に設けられ、走行体120を収容するための収容部115とを備える。
【0028】
移載台111は、中間領域においてカセット130を支持又は載置可能な台表面を有し、その形状は任意に選択される。移載台111の台表面は、載置領域Tの表面高さと同じであることが好ましい。本実施形態では、移載台111は、幅方向中央にレール113を挟むように長手方向に延びる一対の長尺体として形成されている。該移載台111は、上方から吊下げられても、又は、下方から支持されてもよい。
【0029】
走行体120は、走行経路を長手方向に沿って直線的に走行するように構成されている。該走行体120は、上流側から下流側への順方向及び下流側から上流側への逆方向の双方向に駆動される。走行体120は、図3に示すように、ブロック状の走行体本体121、該走行体本体121の下側に形成された走行部122、該走行部122よりも下方に位置する圧接部123、及び、走行体本体112aに対して傾動可能に支持された傾動体125を有する。走行部122は複数の車輪又はベアリングからなり、レール113のフランジ部113aを走行可能である。圧接部123は、走行方向に延びるブレード123a、該ブレード123aが先端に連結されるとともに、走行体本体121を貫通して貫通方向に遊動可能なシャフト123b、ブレード123aを下方に付勢するバネ123c、及び、ブレード123aを走行体本体121側に後退操作するための解除レバー123dを備える。すなわち、当該走行体120では、バネ123cが弾性収縮することにより、ブレード123aがシャフト123bとともに走行体本体121側に後退するように動作可能である。
【0030】
傾動体125は、頭部及び脚部を有する長尺体であり、その脚部近傍で走行体本体121に対して回動軸125aを介して回動式に軸支されている。傾動体125は、実線で示した頭部が相対的に高い位置にある原姿勢から、仮想線で示した頭部が相対的に低い位置にある傾動姿勢へと変位可能である。なお、本明細書において、傾動姿勢とは、カセット130(具体的には、被係合部132)及び走行体120(具体的には、傾動体125頭部)が互いに当接又は係止せずにすれ違い可能である姿勢と定められる。また、傾動体125は、弾性部材129によって原姿勢に付勢されている。そして、傾動体125は、原姿勢から一方向のみに十分に傾動可能であり、他方向への傾動が係止されるように構成されている。本実施形態の傾動体125では、走行体本体121に係止されることで他方向への傾動が規制されている。
【0031】
また、傾動体125の頭部には、カセット130(被係合部132)を下流側に押圧可能な面を有する押圧部126、及び、カセット130(被係合部132)を上流側に牽引可能な鉤爪状の爪部(牽引部)127が設けられている。爪部127は、走行体本体121の進行方向の後側(上流側)に開放され、その反対側に押圧部126が形成されている。さらに、傾動体125の脚部には、後述する第1当接体116及び第2当接体117に当接するための被当接部128が設けられている。被当接部128は、傾動体125の幅(又は厚み)方向に凸設され、傾動体125を傾動させるように動作する。
【0032】
レール113は、移載台111の下方で長手方向に沿って延在し、走行体120を長手方向に駆動するように動作する。図4,5を参照して、レール113を説明する。図4,5に示すとおり、レール113は、長手方向に沿って延びる底壁部と、該底壁部の幅(短手)方向の両端縁から上方に立設した一対の側壁部と、該一対の側壁部から対向するように延び出たフランジ部113aと、一対のフランジ部113aの間で開口した開口部113bとを備える。開口部113bは、走行体本体121の下側部分を配置可能な幅を有し、フランジ部113aは走行部122の車輪の位置に対応している。つまり、走行体本体121が開口部113b内に配置された状態で、走行部122がフランジ部113aを走行する。このレール113の長さは、走行体120がカセット130を載置領域Tと中間領域との間で移動させるために必要な走行距離に基づいて定められる。
【0033】
また、レール113の内部には、コンベヤ部113cが設けられている。該コンベヤ部113cは、レール113の長手方向全体に亘って、走行体120をレール113上で走行させるように駆動する。コンベヤ部113cは、両側壁部間に回転可能に軸支された複数のプーリと、該複数のプーリに掛架された無端ベルトを備える。無端ベルトは、モータ(図示略)によって回転駆動される。この無端ベルト(又はモータ)の回転方向及び回転量は、制御部によって手動式又は自動式に制御される。本実施形態では、搬送装置100は、ユーザからの指示入力や所定のプログラムに従って制御部を介して電子的に制御される。
【0034】
ここで、走行体120は、レール113のコンベヤ部113cに連結されることによって、コンベヤ部113cの回転駆動に応じて長手方向に移動可能となる。具体的には、走行体120の走行体本体121の下部分が開口部113bを介してレール113の内部に配置され、走行部122がフランジ部113aに内部側から当接するとともに、圧接部123がコンベヤ部113cのベルト表面に圧接する。このとき、圧接部123のバネ123cが弾性圧縮していることで、その弾性復帰力が発生し、走行部122がフランジ部113aに圧接するとともに、ブレード123cがコンベヤ部113cのベルト表面に圧接している。そして、コンベヤ部113cが回転駆動されると、コンベヤ部113cに連結された走行体120がコンベヤ部113cの回転量及び回転方向に応じて所定距離を移動するように制御部によって制御される。
【0035】
収容部115は、移載台111(中間領域)の上流側に長手方向に沿って連設されるように該レール113の上流端に設けられている。収容部115は、走行体120を走行可能な状態で収容するように上壁及び側壁を有する矩形状の中空箱体として形成されている。図1に示す搬送装置100の初期状態において、走行体120が収容部115に収容されたときに、傾動体125が収容部115上壁に係合することで、その頭部が下方に下がるように傾動し、傾動体125が傾動姿勢をとる。
【0036】
図1及び図6(a)(b)に示すように、走行体120の走行経路上には、載置領域Tの遠位側に配置された第1当接体116、及び、載置領域Tの近位側に配置された第2当接体117が設けられている。第1当接体116及び第2当接体117は、走行経路を走行する走行体120(傾動体125の脚部)に当接したときに、走行体120を係止させることなく、且つ、傾動体125を走行体120の進行方向に応じて選択的に回動させるように構成されている。図6(a)に示すように、第1当接体116は、装置本体110の上流側のブラケット116bに軸116cを介して回転可能に軸支されているとともに、バネ116dによって原位置に付勢されている。また、該ブラケット116bには、第1当接体116の回動を規制するための規制手段として第1規制凸部116aが形成されている。すなわち、第1当接体116は、その上端が下流側へと回動する一方向(図6(a)の反時計回り)に回動可能であるが、他方向へと回動すると第1規制凸部116aに係止され、その回動が規制される。よって、傾動体125の被当接部128が第1当接体116に下流側から当接したときに傾動体125を一時的に傾動姿勢に変位させることが可能である。他方、図6(b)に示すように、第2当接体117は、装置本体110の下流側のブラケット117bに軸117cを介して回転可能に軸支されているとともに、バネ117dによって原位置に付勢されている。また、該ブラケット117bには、第2当接体117の回動を規制するための規制手段として第2規制凸部117aが形成されている。すなわち、第2当接体117は、その上端が上流側へと回動する一方向(図6(b)の時計回り)に回動可能であるが、他方向へと回動すると第2規制凸部116bに係止され、その回動が規制される。よって、傾動体125の被当接部128が第2当接体117に上流側から当接したときに傾動体125を一時的に傾動姿勢に変位させることが可能である。
【0037】
第1当接体116の(長手方向における)位置は、カセット130が移載台111(中間領域)に配置されたときのカセット130の被係合部132の位置に関連付けられている。特には、後述するとおり、傾動体125の被当接部128が第1当接体116に当接して傾動体125が傾動したときに、傾動体125の頭部が、移載台111(中間領域)上の被係合部132の下方に位置するように、その位置関係が定められている。他方、第2当接体117の(長手方向における)位置は、カセット130が載置領域Tに配置されたときのカセット130の被係合部132の位置に関連付けられている。特には、後述するとおり、傾動体125の被当接部128が第2当接体117に当接して傾動体125が傾動したときに、傾動体125の頭部が、載置領域T上の被係合部132の下方に位置するように、その位置関係が定められている。
【0038】
カセット130は、図7及び図8に示すように、ワーク材Wを支持するための支持面131と、走行体120の押圧部126及び爪部127が係合するための被係合部128を備える。被係合部128は、カセット130の長手方向に直交する幅方向に延びる軸の1つである。そして、カセット130の被係合部128、及び、原姿勢の傾動体125の押圧部126及び爪部127が互いに係合可能な高さとなるように、搬送装置100の各構成要素が配置されている。また、カセット130の幅方向の両側面には、長手方向に延びる凹条133が形成されている。また、カセット130下面の長手方向の略中央には、搬送体140に対する支持位置の位置決め用の切り欠き134が形成されている。
【0039】
搬送体140は、所定の搬送路に沿ってワーク材Wを吊下げて、搬送元から少なくとも載置領域Tに搬送するように構成されている。図9は、搬送体140の斜視図であり、図10は、カセット130を支持した状態の搬送体140を示す斜視図である。搬送路は、搬送元から載置領域Tの上方にまで延在している搬送レール(図示せず)によって定められる。搬送レールは、レール113と同様の機構を用いたものであることから、その説明を省略する。そして、搬送体140は、移載台111、収容部115及び走行体120などの装置本体110の各部位に接触しないように、その上を搬送レールに沿って移動可能に構成されている。搬送体140の搬送路上の移動は、制御部によって制御される。なお、搬送レールは、一直線でなくてもよく、屈折したり、回転手段によって搬送体140を方向転換するように構成されてもよい。
【0040】
搬送体140は、図9及び図10に示すように、籠状の搬送体本体141と、該搬送体本体141に設けられたカセット130を支持するための支持部142と、搬送路を構成する搬送レール(図示略)に連結するための連結部145とを備える。連結部145は、走行体120の圧接部123と実質的に同じ機構を用いたものである。また、搬送体140は、カセット130を長手方向に沿って送り出し及び受け入れ可能に構成されている。搬送体140の支持部142は、カセット130を長手方向に送り出し及び受け入れ可能とするように幅方向に対向する一対の側板142aと、該各側板142aの対向面に形成された長手方向に延びる凸条142bとを備える。一対の側板142aは、装置本体110上で干渉されずに移動できるように、移載台111、レール113及び収容部115の幅方向外側に位置する。凸条142aは、凹条133に収容されるように構成されている。すなわち、凹条133及び凸条142bが組み合わさることで、カセット130が搬送体140に支持される。搬送体140は、カセット130の被係合部132を原姿勢の傾動体125の頭部が係合可能な高さで支持する。
【0041】
さらに、搬送体140には、カセット130の長手方向への相対移動(送り出し、受け入れ)を補助するための複数のベアリング143、及び、カセット130を挟持するための挟持手段として挟持用ベアリング144が設けられている。ベアリング143及び挟持用ベアリング144は、凸条142bの下方において各側板142aの対向面に配置されている。挟持用ベアリング144は、内蔵されたバネによる弾性力の下で上下方向に遊動するように構成されている。すなわち、カセット130が支持部142に支持された状態で、ベアリング143がカセット130下面に摺接し、且つ、挟持用ベアリング143が弾性力を発揮しつつ切り欠き134に収容されるように構成されている。つまり、挟持用ベアリング143は、凸条142b下面と協働してカセット130下面を弾性力で挟持する。この弾性的な挟持力によって、搬送体140は、移載台111上でカセット130を支持部142に対して一時的にロックすることができる。好ましくは、搬送体140は、移載台111上でカセット130を移載台111表面から僅かに浮くようにして支持する。そして、長手方向に沿った弾性力を越える力が、カセット130に加わることで、挟持用ベアリング144が切り欠き134から抜け出て当該ロックが解除され、カセット130が搬送体140から送り出される。
【0042】
続いて、搬送体140によって搬送元からカセット130(搬送対象)を載置領域Tに搬送し、カセット130を搬送体140に回収するまでの一連の動作を行うための搬送装置100の制御方法について説明する。各図において、各構成要素(特に搬送体140)を簡易化して描写するとともに、カセット130にワーク材を載置することは必須ではないのでワーク材の描写を省略した。
【0043】
概して、搬送元からカセット130を載置領域Tに搬送する制御方法は、搬送体140がカセット130を中間領域に搬送する工程と、傾動体125が原姿勢を維持しつつ、走行体120がカセット130に近接するように相対移動し、走行体120の押圧部126がカセット130の被係合部132に上流側から係合し、押圧部126が搬送体140からカセット130を下流側に押し出す工程と、押圧部126が被係合部132を下流側に押圧してカセット130を載置領域Tまで移動させる工程とを含む。以下、図11乃至図15を参照してより詳細に説明する。
【0044】
まず、図11に示すように、カセット130を支持する搬送体140が搬送元から中間領域である移載台111に移動して停止する。このとき、走行体120が収容部115に収容され、傾動体125が傾動姿勢に維持されているので、搬送体140に支持されたカセット130が、走行体120に当接することなく、走行体120及び収容部115の上を通過することができる。次に、走行体120が収容部115から抜け出るように下流側に移動し、原姿勢に弾性復帰した状態で所定位置に停止する。走行体120の停止位置は、カセット130の移載台111での所定の載置又は移載位置に基づいて制御される。
【0045】
そして、図12に示すように、走行体120が所定位置に原姿勢で停止した状態で、搬送体140が長手方向に沿って上流側に移動することで、走行体120の押圧部126がカセット130の被係合部132に上流側から係合し、押圧部126が搬送体140からカセット130を下流側に押し出して移載台111に移載する。このとき、走行体120による押圧力が、搬送体140における挟持用ベアリング144による支持部142へのカセット130のロックを解除し、ベアリング143及び挟持用ベアリング144の回転とともにカセット130が搬送体140から送り出される。
【0046】
カセット130が移載台111に移載された後、図13に示すように、走行体120が下流側に走行し、原姿勢の傾動体125の押圧部126がカセット130の被係合部132に上流側から係合したまま、押圧部126が被係合部132を下流側に押圧してカセット130を載置領域Tまで移動させる。このとき、図13(a),(b)に示すように、傾動体125の被当接部128が、第1当接体116に上流(右)側から当接する。第1当接体116が優先的に反時計回りに回動し、傾動体125の原姿勢が維持されたまま、傾動体125が第1当接体116を通過する。そして、走行体120は、傾動体125が第2当接体117に当接して傾動姿勢に変位する直前まで走行し、カセット130を載置領域Tの所定位置に押し込んで停止する。こうして、図14に示すように、カセット130が載置領域Tの所定位置に載置される。この後、走行体120は、収容部115に移動してもよく、あるいは、その場で停止してもよい。
【0047】
作業者は、載置領域Tにおいてカセット130上のワーク材に対して任意の処理を行うことが可能である。そして、作業者は、カセット130に処理したワーク材を戻して次の搬送先に送ってもよいし、又は、そのままワーク材を回収して空のカセット130を戻してもよい。あるいは、搬送元から空のカセット130が載置領域Tに搬送され、作業者が空のカセット130にワーク材を載置してもよい。いずれにせよ、次の工程において、カセット130が搬送体140に回収される。
【0048】
概して、カセット130を載置領域Tから搬送体140に回収する方法は、カセット130が載置領域Tに載置された後、傾動体125が第2当接体117に上流側から当接し、且つ、傾動体125が傾動姿勢に変位する位置まで走行体120が下流側に移動する工程と、傾動体125が傾動姿勢を維持しつつ傾動体125の頭部がカセット130の被係合部132を下流側に通過した上で傾動体125が原姿勢に復帰する位置まで走行体120が下流側に移動し、傾動体125の爪部127がカセット130の被係合部132に下流側から係合する工程と、走行体120がカセット130を上流側に牽引して、カセット130が中間領域に移動する工程と、中間領域においてカセット130を搬送体140に回収する工程と、を含む。
【0049】
走行体120は、カセット130を載置領域Tに押し込んだ位置からさらに下流側へと前進する。図15(a),(b)に示すように、走行体120の前進開始に伴い、傾動体125の被当接部128が第2当接体117に上流側から当接する。第2当接体117の反時計回りの回動が第2規制凸部117aによって規制されることから、傾動体125が第2当接体117を前方に乗り越えるべく、図15(a)に示すように、傾動体125が傾動姿勢へと変位する。傾動体125が傾動姿勢へと変位すると同時に、傾動体125の頭部がカセット130の被係合部132の下方に位置し、傾動体125の頭部が被係合部132に係合することなく被係合部132の下流側(左側)に移動する。図15(b)に示すように、傾動体125の頭部が被係合部132を下流側に通過するのとほぼ同時に、傾動体125の脚部が第2当接体117を通過して、傾動体125が原姿勢に復帰する。
【0050】
次に、図16に示すように、傾動体125がカセット130の被係合部132の下流側で原姿勢を維持した状態で、走行体120が上流側に移動するように駆動される。傾動体125の爪部127が被係合部132に下流側から係合した状態で走行体120が上流側に移動することによって、走行体120がカセット130を載置領域Tから中間領域まで牽引する。このとき、図17(a),(b)に示すように、傾動体125の被当接部128が、第2当接体117に下流(左)側から当接する。第2当接体117が優先的に時計回りに回動し、傾動体125の原姿勢が維持されたまま、傾動体125が第2当接体117を通過する。そして、走行体120は、カセット130が移載台111の所定位置に到達するまで走行して停止する。
【0051】
次いで、図18に示すように、傾動体125(爪部127)及びカセット130(被掛合部132)が係合した状態で所定位置に停止した走行体120及びカセット130に対して、搬送体140が下流側に近接移動する。搬送体140がカセット130とすれ違うように中間領域に移動することで、カセット130が移載台111から搬送体140に移載される。具体的には、爪部127が被係合部132を係止することで、搬送体140がカセット130を下流側に押し出すことなく、カセット130を搬送体140の支持部142(側板142aの間)に導入することができる。このとき、ベアリング143がカセット130の下面に摺接することで、カセット130が搬送体140に滑らかに移載される。そして、搬送体140がカセット130に重なる位置まで移動すると、挟持用ベアリング144がカセット130の切り欠き134に配置され、カセット130が支持部142に対して簡易式にロックされる。その結果、カセット130が搬送体140に回収される。
【0052】
そして、搬送体140がカセット130を支持した状態で、走行体120が上流側に移動することにより、爪部127と被係合部132との係合が解除される。より具体的には、図19(a),(b)に示すように、走行体120が上流側へ移動開始すると、傾動体125の被当接部128が第1当接体116に下流側から当接する。第1当接体116の時計回りの回動が第1規制凸部116aによって規制されることから、傾動体125が第1当接体116を上流側に乗り越えるべく、図19(a)に示すように、傾動体125が傾動姿勢へと変位する。このとき、第1当接体116も傾動体125とともに回動しているが、回動しないように構成されてもよい。傾動体125が傾動姿勢へと変位すると同時に、傾動体125の頭部がカセット130の被係合部132の下方に位置し、傾動体125が被係合部132に係合することなく被係合部132の上流側(右側)に移動する。図19(b)に示すように、傾動体125の頭部が被係合部132を上流側に通過するのとほぼ同時に、傾動体125の脚部が第1当接体116を通過して、傾動体125が原姿勢に復帰する。その結果、搬送体140がカセット130を搭載して再移動可能となる。
【0053】
続いて、図20に示すように、走行体120が収容部115に収容されるように初期位置に移動する。傾動体125が傾動姿勢に維持されることで、搬送体140が収容部115上を通過して移動することができる。搬送体140は、搬送元に戻ってもよく、又は、次の作業工程領域へと移動してもよい。あるいは、別の搬送体140が続けて中間領域に移動してもよい。また、中間領域に搬送体140を回転させるための回転手段を設けて、異なる方向に搬送体140を移動させてもよい。例えば、回転手段は、搬送レールの一部を回転させるなどの既知の手段で実現され得る。
【0054】
以下、本発明の一実施形態の搬送装置100の作用効果について説明する。
【0055】
本実施形態の搬送装置100によれば、搬送対象を支持可能なカセット130を搬送体140によって中間領域である移載台111上に搬送した後、走行体120の駆動によって、カセット130を搬送体140から送り出し、載置領域Tへと載置することが可能である。特には、カセット130を支持する搬送体140が中間領域に停止した上で、走行体120が下流側(載置領域T側)へと走行経路上をレール113に沿って走行する。このとき、走行体120が第1当接体116に上流側から当接するが、傾動姿勢に変位することなく、下流側に移動する。その結果、走行体120が搬送体140上のカセット130を押圧部126を介して送り出して、搬送対象とともにカセット130を載置領域Tへと押し込むことが可能である。さらに、本発明の搬送装置100は、搬送対象をカセット130ごと載置領域Tへと搬送した後、走行体120の駆動によって、カセット130を載置領域Tから搬送装置100に復帰させるように動作可能である。特には、走行体120が下流側に移動して、傾動体125が第2当接体117に上流側から当接すると、傾動体125が一時的に傾動姿勢に変位する。この傾動姿勢のままで走行体120が下流側にさらに走行することで、傾動体125の頭部がカセット130の被係合部132を下流側に越えて、傾動体125が原姿勢に復帰する。そして、原姿勢のままで走行体120が下流側に駆動される。このとき、走行体120が第2当接体117に上流側から当接するが、傾動姿勢に変位することなく下流側に移動する。その結果、走行体120の爪部127がカセット120の被係合部132に係合し、走行体120が上流側へとカセット130を牽引することが可能となる。さらに、カセット130が中間領域に移動した後、走行体120が上流側にさらに移動すると、傾動体125が第1当接体116に下流側から当接して、傾動体125が一時的に傾動姿勢に変位し、傾動体125の爪部127とカセット130の被係合部132との係合が解除される。これにより、搬送装置100は、搬送体140を移動可能な状態に復帰させるとともに、走行体120を再びカセット130を押圧可能な状態に復帰させ、次の連続する動作に対応することができる。したがって、本実施形態の搬送装置100は、簡易な機構によって、搬送対象(カセット130)を載置領域Tに対して送り出し及び引き込み可能とするものである。
【0056】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲の下で、種々の実施形態や変形例を取り得る。なお、各実施形態、変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、特別な説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0057】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態の搬送装置200を図21乃至図26を参照して説明する。図21は、搬送装置200の概略側面図である。図22乃至26は、該搬送装置200の搬送動作の制御方法を示す模式図である。
【0058】
搬送装置200は、載置領域に対して搬送対象を送り出し及び引き込み可能に構成されている。図21に示すとおり、搬送装置200は、載置領域Tに隣接して配置される装置本体210と、搬送対象であるワーク材Wを支持するためのカセット230と、ワーク材Wを保持するカセット230を支持して搬送元から装置本体210へと搬送する搬送体240と、該搬送装置200の動作を制御する制御部(図示略)とを備えてなる。以下、各構成要素について説明する。なお、カセット230及び搬送体240の形態は、第1実施形態のものと共通であるので、その説明を省略する。
【0059】
装置本体210は、載置領域Tに対して長手方向に整列するように載置領域Tの上流側に連設された中間領域(待機空間211)と、中間領域に併設されるように長手方向に沿って延びる走行経路に沿って双方向に走行するように駆動され、カセット230を押圧又は牽引するように構成された走行体220と、走行体220の上方で延在し、走行経路を定めるレール(図示略)とを備える。
【0060】
装置本体210において、待機空間211は、中間領域において搬送体240を待機させるための空間である。
【0061】
走行体220は、走行経路を長手方向に沿って直線的に走行するように構成されている。該走行体220は、上流側から下流側への順方向及び下流側から上流側への逆方向の双方向に駆動される。走行体220は、ブロック状の走行体本体221、該走行体本体221の上方に形成されたレールを走行するための走行部(図示略)、及び、走行体本体221に対して傾動可能に支持された傾動体225を有する。走行部及びレールの形態は、第1実施形態と同様の機構が用いられてもよいし、他の機構が採用されてもよい。
【0062】
傾動体225は、頭部及び脚部を有する回転体であり、その脚部近傍で走行体本体221に対して回動軸225aを介して回動式に軸支されている。傾動体225は、頭部が相対的に低い位置にある原姿勢から、頭部が相対的に高い位置にある傾動姿勢へと変位可能である。また、傾動体225は、弾性部材229を介して軸支されており、原姿勢に付勢されている。そして、傾動体225は、原姿勢から一方向(時計回り方向)のみに十分に傾動可能であり、他方向への傾動が規制されるように構成されている。
【0063】
また、傾動体225の頭部には、カセット230(被係合部232)を下流側に押圧可能な面を有する押圧部226、及び、カセット230(被係合部232)を上流側に牽引可能な鉤爪状の爪部(牽引部)227が設けられている。押圧部226が走行体220の前進方向の端部に形成され、爪部227が下方に開放するように形成されている。さらに、傾動体225の脚部には、第1当接体216及び第2当接体217に当接するための被当接部228が設けられている。
【0064】
走行体220の走行経路上には、載置領域Tの遠位側に配置された第1当接体216、及び、載置領域Tの近位側に配置された第2当接体217が設けられている。第1当接体216及び第2当接体217は、走行経路を走行する走行体220(傾動体225の脚部)に当接したときに、走行体220を係止させることなく、且つ、傾動体225を走行体220の進行方向に応じて選択的に回動させるように構成されている。第1当接体216は、装置本体210の上流側のブラケットに回転可能に軸支されているとともに、バネによって原位置に付勢されている。また、該ブラケットには、第1当接体216の回動を規制するための第1規制凸部216aが形成されている。すなわち、第1当接体216は、その上端が下流側へと回動する一方向(図21の反時計回り)に回動可能であるが、他方向へと回動すると第1規制凸部216aに係止され、その回動が規制される。よって、傾動体225の被当接部228が第1当接体216に下流側から当接したときに傾動体225を一時的に傾動姿勢に変位させることが可能である。他方、第2当接体217は、装置本体210の下流側のブラケットに回転可能に軸支されているとともに、バネによって原位置に付勢されている。また、該ブラケットには、第2当接体217の回動を規制するための第2規制凸部217aが形成されている。すなわち、第2当接体217は、その上端が上流側へと回動する一方向(図21の時計回り)に回動可能であるが、他方向へと回動すると第2規制凸部216bに係止され、その回動が規制される。よって、傾動体225の被当接部228が第2当接体217に上流側から当接したときに傾動体225を一時的に傾動姿勢に変位させることが可能である。
【0065】
第1当接体216の(長手方向における)位置は、(待機空間211で待機する搬送体240に支持された)カセット230の中間領域に配置されたときの被係合部232の位置に関連付けられている。特には、後述するとおり、傾動体225の被当接部228が第1当接体216に当接して傾動体225が傾動したときに、傾動体225の頭部が、中間領域上の被係合部232の上方に位置するように、その位置関係が定められる。他方、第2当接体217の(長手方向における)位置は、カセット230が載置領域Tに配置されたときのカセット230の被係合部232の位置に関連付けられている。特には、後述するとおり、傾動体225の被当接部228が第2当接体217に当接して傾動体225が傾動したときに、傾動体225の頭部が、載置領域T上の被係合部232の上方に位置するように、その位置関係が定められている。
【0066】
続いて、搬送体240によって搬送元からカセット230(搬送対象)を載置領域Tに搬送し、カセット230を搬送体240に回収するまでの一連の動作を行うための搬送装置200の制御方法について説明する。各図において、各構成要素(特に搬送体240)を簡易化して描写するとともに、カセット230にワーク材を載置することは必須ではないのでワーク材の描写を省略した。
【0067】
概して、搬送元からカセット230を載置領域Tに搬送する制御方法は、搬送体240がカセット230を中間領域に搬送する工程と、傾動体225が原姿勢を維持しつつ、走行体220がカセット230に近接するように相対移動し、走行体220の押圧部226がカセット230の被係合部232に上流側から係合し、押圧部226が搬送体240からカセット230を下流側に押し出す工程と、押圧部226が被係合部232を下流側に押圧してカセット230を載置領域Tまで移動させる工程とを含む。以下、図22図23を参照してより詳細に説明する。
【0068】
まず、図22に示すように、カセット230を支持する搬送体240が搬送元から中間領域である待機空間211に移動して停止する。本実施形態では、搬送体240が長手方向に対して交差する搬送路に沿って待機空間211に移動した上で、回転手段(図示略)によってカセット230の送り出し及び受け入れ方向が長手方向に平行になるように搬送体240が方向転換する。こうして、カセット230が中間領域の所定位置に配置される。
【0069】
そして、走行体220が原姿勢を維持しつつ初期位置から下流側に走行することで、走行体220の押圧部226がカセット230の被係合部232に上流側から係合する(図22の仮想線参照)。そして、走行体220がさらに順方向に走行し、図23に示すように、押圧部226が搬送体240からカセット230を下流側に押し出して、傾動体225が第2当接体217に当接して傾動姿勢に変位する直前まで移動して停止する。その結果、カセット230が載置領域Tへと配置される。この後、走行体220は、初期位置に移動してもよく、あるいは、その場で停止してもよい。
【0070】
作業者は、載置領域Tにおいてカセット230上のワーク材に対して任意の処理を行うことが可能である。次の工程において、カセット230が搬送体240に回収される。
【0071】
概して、カセット230を載置領域Tから搬送体240に回収する方法は、カセット230が載置領域Tに載置された後、傾動体225が第2当接体217に上流側から当接し、且つ、傾動体225が傾動姿勢に変位する位置まで走行体220が下流側に移動する工程と、傾動体225が傾動姿勢を維持しつつ傾動体225の頭部がカセット230の被係合部232を下流側に通過した上で傾動体225が原姿勢に復帰する位置まで走行体220が下流側に移動し、傾動体225の爪部227がカセット230の被係合部232に下流側から係合する工程と、走行体220がカセット230を上流側に牽引して、カセット230が中間領域に移動する工程と、中間領域においてカセット230を搬送体240に回収する工程とを含む。
【0072】
走行体220は、カセット230を載置領域Tに押し込んだ位置からさらに下流側へと前進する。図24(a),(b)に示すように、走行体220の前進開始に伴い、傾動体225の被当接部228が第2当接体217に上流側から当接する。第2当接体217の反時計回りの回動が第2規制凸部217aによって規制されることから、傾動体225が第2当接体217を前方に乗り越えるべく、図24(a)に示すように、傾動体225が傾動姿勢へと変位する。傾動体225が傾動姿勢へと変位すると同時に、傾動体225の頭部がカセット230の被係合部232を上方に乗り越えて、傾動体225の頭部が被係合部232に係合することなく被係合部232の下流側(左側)に移動する。図24(b)に示すように、傾動体225の頭部が被係合部232を下流側に通過するのとほぼ同時に、傾動体225の脚部が第2当接体217を通過して、傾動体225が原姿勢に復帰する。
【0073】
次に、傾動体225がカセット230の被係合部232の下流側で原姿勢を維持した状態で、走行体220が上流側に移動するように駆動される。傾動体225の爪部227が被係合部232に下流側から係合した状態で走行体220が上流側に移動することによって、走行体220がカセット230を載置領域Tから中間領域で待機する搬送体240まで牽引する。このとき、傾動体225の被当接部228が、第2当接体217に下流(左)側から当接する。第2当接体117が優先的に時計回りに回動し、傾動体225の原姿勢が維持されたまま、傾動体225が第2当接体217を通過する。そして、走行体220は、カセット130が中間領域の所定位置に到達するまで走行する。その結果、図25に示すように、カセット230が載置領域Tから搬送体240に回収される。
【0074】
次いで、図26に示すように、搬送体240がカセット230を支持した状態で、走行体220が上流側にさらに移動することにより、爪部227と被係合部232との係合が解除される。より具体的には、走行体220が上流側へ移動すると、傾動体225の被当接部228が第1当接体216に下流側から当接する。第1当接体216の時計回りの回動が第1規制凸部216aによって規制されることから、傾動体225が第1当接体216を上流側に乗り越えるべく、傾動体225が傾動姿勢へと変位する。傾動体225が傾動姿勢へと変位すると同時に、傾動体225の頭部がカセット230の被係合部232の上方に位置し、傾動体225が被係合部232に係合することなく被係合部232の上流側(右側)に移動する。そして、傾動体225の頭部が被係合部232を上流側に通過するのとほぼ同時に、傾動体225の脚部が第1当接体216を通過して、傾動体225が原姿勢に復帰する。その後、走行体220は初期位置に復帰する。その結果、搬送体240がカセット230を搭載して再移動可能となる。搬送体240は、回転手段によって回転させられ、所定の搬送経路に従って、搬送元に戻るか、又は、次の作業工程が行われる搬送先等へと移動する。あるいは、別の搬送体240が中間領域に続けて移動してもよい。
【0075】
以下、本発明の一実施形態の搬送装置200の作用効果について説明する。
【0076】
本実施形態の搬送装置200によれば、搬送対象を支持可能なカセット230を搬送体240によって中間領域に搬送した後、走行体220の駆動によって、カセット230を搬送体240から送り出し、載置領域Tへと載置することが可能である。さらに、本発明の搬送装置200は、搬送対象をカセット230ごと載置領域Tへと搬送した後、走行体220の駆動によって、カセット230を載置領域Tから搬送装置200に復帰させるように動作可能である。これにより、搬送装置200、次の連続する動作に対応することができる。したがって、本実施形態の搬送装置200は、簡易な機構によって、簡易な機構によって、搬送対象(カセット230)を載置領域Tに対して送り出し及び引き込み可能とするものである。
【0077】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0078】
100 搬送装置
110 装置本体
111 移載台(中間領域)
113 レール(走行経路)
113a フランジ部
113b 開口部
113c コンベヤ部
115 収容部
116 第1当接体
116a 第1規制凸部(規制手段)
117 第2当接体
117a 第2規制凸部(規制手段)
120 走行体
121 走行体本体
122 走行部
123 圧接部
123a ブレード
123b シャフト
123c バネ
123d 解除レバー
125 傾動体
126 押圧部
127 爪部(牽引部)
128 被当接部
129 弾性部材
130 カセット
131 支持面
132 被係合部
133 凹条
134 切り欠き
140 搬送体
141 搬送体本体
142 支持部
142a 側板
142b 凸条
143 ベアリング
144 挟持用ベアリング(挟持手段)
145 連結部
T 載置領域
W ワーク材(搬送対象)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26