(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】歩行車
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20220412BHJP
B62B 3/02 20060101ALN20220412BHJP
【FI】
A61H3/04
B62B3/02 B
(21)【出願番号】P 2018099068
(22)【出願日】2018-05-23
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】598087841
【氏名又は名称】株式会社幸和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】奥村 泰明
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-159757(JP,A)
【文献】特開2002-282314(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197229(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/04
B62B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向および前後方向に折りたたみ可能な歩行車であって、
左右の前輪と、
前記左右の前輪を支持するための左右の前輪用フレームと、
前記左右の前輪用フレームの間に互いに交差して配置されるとともに、前記左右の前輪用フレームに連結される2本の前側フレームと、
左右の後輪と、
前記左右の後輪を支持するための左右の後輪用フレームと、
前記左右の後輪用フレームの間に互いに交差して配置されるとともに、前記左右の後輪用フレームに連結される2本の後側フレームと、
前記左右の前輪用フレームのそれぞれと前記左右の後輪用フレームのそれぞれとを連結する左右のリンクフレームと、
左右のハンドルと、
前記左右のハンドルを支持するための左右の支持フレームとを備え、
前記左右のリンクフレームが前記左右の前輪用フレームまたは後輪用フレームに対してスライドすることによって前記歩行車が前後方向に折り畳まれるように構成されており、
前記左右の支持フレームは、前後方向において、前記左右のリンクフレームの前端部と後端部との間に位置
し、
前記2本の後側フレームのそれぞれは、ボールジョイントを介して前記左右の支持フレームに連結される、歩行車。
【請求項2】
前記左右の支持フレームは、鉛直方向に配置される、請求項1に記載の歩行車。
【請求項3】
前記歩行車の使用状態において、少なくとも左右方向へ開いた状態を維持するための剛性補強部材をさらに備える、請求項1または2に記載の歩行車。
【請求項4】
前記左右の後輪用フレームの上端は、前記左右の支持フレームの下端部に回動可能に連結される、請求項1から
3のいずれか1項に記載の歩行車。
【請求項5】
前記左右の前輪用フレームは、前記左右の前輪を支持するための左右の第1のフレームと、前記左右のリンクフレームの前端部が上下方向にスライド可能に連結される左右の第2のフレームと、を含む、請求項1から
4のいずれか1項に記載の歩行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自力での歩行が困難なユーザの歩行を補助するための歩行車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザの歩行を補助するための歩行車が知られている。例えば、特開2014-226412号公報(特許文献1)には、歩行車が開示されている。特許文献1によると、上端部に肘置きがそれぞれ設けられているとともに、下端部に車輪がそれぞれ設けられた、左右一対の縦フレームと、幅調節機構および折り畳みボタンを有する上側連結部材と、一方の縦フレームにおいて上下方向に摺動する摺動部材、一端が他方の縦フレームに対して回動自在に取り付けられ、他端が摺動部材に対して回動自在に取り付けられた回動フレーム、および摺動部材の摺動終端位置を規定する摺動終端位置規定手段を有する下側連結部材とを備える歩行車が提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、安定性および使い勝手のよい歩行車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明のある局面に従うと、左右方向および前後方向に折りたたみ可能な歩行車が提供される。歩行車は、左右の前輪と、左右の前輪を支持するための左右の前輪用フレームと、左右の前輪用フレームの間に互いに交差して配置されるとともに、左右の前輪用フレームに連結される2本の前側フレームと、左右の後輪と、左右の後輪を支持するための左右の後輪用フレームと、左右の後輪用フレームの間に互いに交差して配置されるとともに、左右の後輪用フレームに連結される2本の後側フレームと、左右の前輪用フレームのそれぞれと左右の後輪用フレームのそれぞれとを連結する左右のリンクフレームと、左右のハンドルと、左右のハンドルを支持するための左右の支持フレームとを備える。左右のリンクフレームが左右の前輪用フレームまたは後輪用フレームに対してスライドすることによって歩行車が前後方向に折り畳まれるように構成される。左右の支持フレームは、前後方向において、左右のリンクフレームの前端部と後端部との間に位置する。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明によれば、安定性および使い勝手のよい歩行車が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施の形態にかかる歩行車100の使用時における全体構成を示す正面斜視図である。
【
図2】第1の実施の形態にかかる歩行車100の使用時における全体構成を示す背面斜視図である。
【
図3】第1の実施の形態にかかる歩行車100の使用時における左側面図である。
【
図4】第1の実施の形態にかかる歩行車100の使用時における右側面図である。
【
図5】第1の実施の形態にかかる歩行車100の使用時における正面図である。
【
図6】第1の実施の形態にかかる歩行車100の使用時における背面図である。
【
図7】第1の実施の形態にかかる歩行車100の使用時における平面図である。
【
図8】第1の実施の形態にかかる歩行車100の使用時における底面図である。
【
図9】第1の実施の形態にかかる歩行車100の使用時における左の後輪用フレームの下部を示す拡大背面斜視図である。
【
図10】第1の実施の形態にかかる歩行車100のハンドルの高さを上げた状態における左側面図である。
【
図11】第1の実施の形態にかかる歩行車100の折りたたみ動作の途中における背面図である。
【
図12】第1の実施の形態にかかる歩行車100の折りたたみ動作の途中における左側面図である。
【
図13】第1の実施の形態にかかる歩行車100の折りたたみ時における背面図である。
【
図14】第1の実施の形態にかかる歩行車100の折りたたみ時における左側面図である。
【
図15】第1の実施の形態にかかる歩行車100の使用時におけるボールジョイント付近の拡大背面斜視図と、折りたたみ時におけるボールジョイント付近の拡大背面斜視図である。
【
図16】第1の実施の形態にかかる歩行車100の折りたたみ時の左の後輪用フレームの下部を示す拡大背面斜視図である。
【
図17】第1の実施の形態にかかる歩行車100の折りたたみ時における連結ベルトが水平の状態の背面斜視図と、連結ベルトが鉛直の状態の背面斜視図である。
【
図18】第2の実施の形態にかかる歩行車100Bの使用時における左側面図である。
【
図19】第3の実施の形態にかかる歩行車100Cの使用時における左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また、歩行車の左側の部材には符号に「L」が付され、右側の部材には符号に「R」が付されているが、左右共通の部材を総称して「R」と「L」とを付さずに説明する場合もある。また、以下では、歩行車の進行方向を単に前方といい、進行方向の反対を単に後方といい、ユーザから進行方向へ向かって右方を単に右方といい、ユーザから進行方向へ向かって左方を単に左方という。
[第1の実施の形態]
【0009】
まず、本実施の形態にかかる歩行車100の概要について説明する。
図1から
図8を参照して、本実施の形態にかかる歩行車100は、左右の前輪101L,101Rと、左右の前輪101L,101Rのそれぞれを支持するための前輪用フレーム110L、110Rと、左右の後輪102L,102Rと、左右の後輪102L,102Rのそれぞれを支持するための後輪用フレーム120L,120Rとを含む。本実施の形態においては、左右の前輪用フレーム110L、110Rは、前輪101L,101Rを支持するための左右の第1のフレーム111L,111Rと、後述するリンクフレーム115L,115Rの前端が上下方向にスライドするための第2のフレーム112L,112Rとを含む。
【0010】
前輪用フレーム110L,110Rの第1のフレーム111L,111Rそれぞれの上下中央には、前後方向に水平状に配置される、中央フレーム116L,116Rの前端部が連結される。左右の中央フレーム116L,116Rそれぞれの後端部には、後輪用フレーム120L,120Rの上端部が回動可能に連結される。また、左右の中央フレーム116L,116Rそれぞれの後端部には、ハンドル用支持フレーム118L,118Rの下端部も連結される。左右の中央フレーム116L,116Rそれぞれの前部には、前輪用フレーム110L,110Rの第2のフレーム112L,112Rの上端部が連結される。
【0011】
本実施の形態においては、前輪用フレーム110L,110Rの第1のフレーム111L,111Rの上端部が、連結部材119L,119Rを介して、ハンドル用支持フレーム118L,118Rの略上端部に連結される。また、本実施の形態においては、歩行車100の使用時、すなわち開脚時、においてハンドル用支持フレーム118L,118Rは、後輪用フレーム120L,120Rと前輪用フレーム110L,110Rと中央フレーム116L,116Lによって垂直に保持される。
【0012】
そして、左右の前輪用フレーム110L,110Rの下部(第2のフレーム112L,112Rの上下中央部)と左右の後輪用フレーム120L、120Rの上下中央部とは、左右のリンクフレーム115L,115Rによっても連結される。より詳細には、左右のリンクフレーム115L,115Rの前端部は、左右のスライド部材117L,117Rを介して、左右の第2のフレーム112L,112Rに上下方向にスライド可能に連結される。左右のリンクフレーム115L,115Rの後端部は、左右の後輪用フレーム120L,120Rに回動可能に連結される。
【0013】
本実施の形態においては、前輪用フレーム110L,110Rの間に、互いに交差する第1の前側フレーム121と第2の前側フレーム122とが取り付けられる。第1の前側フレーム121は、その上端部が、右の連結部材119Rに回動可能に連結され、その下端部が左の前輪用フレーム110Lの左のスライド部材117Lに回動可能に連結される。第2の前側フレーム122は、その上端部が、左の連結部材119Lに回動可能に連結され、その下端部が右の前輪用フレーム110Rの右のスライド部材117Rに回動可能に連結される。第1の前側フレーム121と第2の前側フレーム122とは、上下略中心部分において、互いに回動可能に連結部材123によって連結される。このようにして、第1の前側フレーム121と第2の前側フレーム122とは、正面視および背面視において、略X字状に配置される。
【0014】
また、本実施の形態においては、ハンドル用支持フレーム118L,118Rと後輪用フレーム120L,120Rの間に、互いに交差する第1の後側フレーム126と第2の後側フレーム127とが取り付けられる。第1の後側フレーム126は、その上端部が、ボールジョイント142Rを介して右の連結部材119Rに上下および前後方向に回動可能に連結され、その下端部が左の後輪用フレーム120Lに回動可能に連結される。第2の後側フレーム127は、その上端部が、ボールジョイント142Lを介して左の連結部材119Lに上下および前後方向に回動可能に連結され、その下端部が右の後輪用フレーム120Rに回動可能に連結される。
【0015】
より詳細には、第1の後側フレーム126は、
図9に示すように、その下端部が、左スライド部材129Lを介して、左の後輪用フレーム120Lに沿って上下方向にスライド可能に連結される。同様に、第2の後側フレーム127は、その下端部が、右スライド部材129Rを介して、右の後輪用フレーム120Rに沿って上下方向にスライド可能に連結される。
【0016】
本実施の形態においては、第1の後側フレーム126は左スライド部材129Lから前方に向けて形成されてから、上方へ折れ曲がっている。同様に、第2の後側フレーム127は、右スライド部材129Rから前方に向けて形成されてから、上方へ折れ曲がっている。このような構成を有するため、本実施の形態にかかる歩行車100は、ユーザの足元のスペースが広くなり、ユーザが歩行しやすくなる。
【0017】
当該構成に限定されることなく、スライド部材129L, 129Rの形状を、後輪用フレーム120L, 120Rに回転自在なコ字状(L字状)のものとしてもよい。その場合、後側フレームはコ字状部材に対して前後方向には移動規制されるが、コ字状部材が前後方向に回転することにより、左右方向および前後方向の移動自由度が確保できる。当該構成を採用した場合には、後側フレームをスライド部材に対して曲げることなく直線状の部材としてスライド部材で挟持して位置させることができ、後側フレームの動きを円滑にすることが可能となる。
【0018】
第1の後側フレーム126と第2の後側フレーム127とは、上下略中心部分において、互いに回動可能に連結部材128によって連結される。このようにして、第1の後側フレーム126と第2の後側フレーム127とは、正面視および背面視において、略X字状に配置される。
【0019】
本実施の形態においては、
図6に示すように、第1の後側フレーム126の上部と第2の後側フレーム127の上部に、剛性補強部材すなわちロック機構125が設けられる。ロック機構125は、左ロックフレーム125Lと把持部125Xと右ロックフレーム125Rとから構成される。ロック機構125によって、後述するように、歩行車100が左右方向および前後方向に折りたたみ不能な状態になったり、折りたたみ可能な状態になったりする。
【0020】
左右のハンドル用支持フレーム118L,118Rのそれぞれには、上端から左右のハンドルフレーム131L,131Rが挿入される。左右のハンドルフレーム131L,131Rの上端部には、ハンドル基部132L,132Rを介して、ハンドル133L,133Rが取り付けられる。ハンドル基部132L,132Rには、ブレーキハンドル139L,139Rも取り付けられる。ハンドル基部132L,132Rには、連結ベルト135も取り付けられる。
【0021】
本実施の形態においては、
図10に示すように、ハンドル133L,133Rの高さをユーザが変更することができる。より詳細には、ユーザは、左右のハンドル用支持フレーム118L,118Rの上部の背面に挿入される調節ネジ137L,137Rを緩めてから、左右のハンドル用支持フレーム118L,118Rに対するハンドルフレーム131L,131Rの挿入量を自由に変更し、再度調節ネジ137L,137Rを締め付けることによって、ハンドル133L,133Rの高さを調節することができる。
【0022】
そして、本実施の形態の歩行車100に関しては、
図1から
図8に示すように、把持部125Xが下方へ押し込まれると、左ロックフレーム125Lと把持部125Xと右ロックフレーム125Rとが水平に略直線状に突っ張るようになる。この状態では、第1の後側フレーム126と第2の後側フレーム127とが左右外側へ押されることになり、歩行車100が左右方向へ折りたためないようになる。
【0023】
逆に、把持部125Xが上方へ持ち上げられて、左ロックフレーム125Lと把持部125Xと右ロックフレーム125Rとが上方に凸形状に折れ曲がると、
図11および
図12に示すように、第1の後側フレーム126と第2の後側フレーム127の上部同士や下部同士が互いに中央へ接近することが可能になる。これによって、後輪用フレーム120L,120Rやハンドル用支持フレーム118L,118Rや連結部材119L,119Rや前輪用フレーム110L,110Rが互いに左右中央部に接近する。
【0024】
本実施の形態においては、第1の前側フレーム121と第2の前側フレーム122とが接近して、第1の前側フレーム121と第2の前側フレーム122との下部がスライド部材117L,117Rとともに第2のフレーム112L,112Rに沿って下方へスライドする。スライド部材117L,117Rが下方へスライドすると、リンクフレーム115L,115Rの前端部が下方へスライドして、後輪用フレーム120L,120Rが前輪用フレーム110L,110Rに接近する。
【0025】
そのままユーザが把持部125Xをさらに持ち上げたり、左右のハンドル133L,133Rを近づけたりすると、
図13および
図14に示すように、ハンドル用支持フレーム118L,118R同士がさらに接近したり、前輪用フレーム110L,110R同士がさらに接近したり、後輪用フレーム120L,120R同士がさらに接近したり、第1の後側フレーム126と第2の後側フレーム127とがさらに平行に近づいたり、第1の前側フレーム121と第2の前側フレーム122とがさらに平行に近づいたりして、歩行車100が左右方向にさらにコンパクトになる。また、これに応じて、スライド部材117L,117Rがさらに下方へスライドすると、リンクフレーム115L,115Rがさらに傾いて後輪用フレーム120L,120Rが前輪用フレーム110L,110Rにさらに接近することによって、歩行車100は前後方向にさらにコンパクトになる。
【0026】
なお、本実施の形態においては、折りたたみ時と使用時とにおいて、前輪用フレーム110L,110Rとハンドル用支持フレーム118L,118Rと連結部材119L、119Rと中央フレーム116L,116Rとの相対的な位置関係は変わらない。そのため、連結部材119L,119と前輪用フレーム110L,110Rとに連結される第1の前側フレーム121と第2の前側フレーム122は、2本の前輪用フレーム110L,110Rによって張られる面に沿って回動できればよい。
【0027】
しかしながら、折りたたみ時と使用時とにおいて、ハンドル用支持フレーム118L,118Rと後輪用フレーム120L,120Rとの相対的な位置や姿勢や角度が変化してしまう。本実施の形態においては、第1の後側フレーム126と第2の後側フレーム127とをボールジョイント142L,142Rを介して連結部材119L,119Rやハンドル用支持フレーム118L,118Rに連結しているため、後輪用フレーム120L,120Rの回動に合わせて、ハンドル用支持フレーム118L,118Rに対する第1の後側フレーム126と第2の後側フレーム127の相対的な角度を変えることが可能である。より詳細には、
図15の(A)に示すような歩行車100の使用時におけるハンドル用支持フレーム118L,118Rに対する第1の後側フレーム126と第2の後側フレーム127の相対的な角度から、
図15の(B)に示すような歩行車100の折りたたみ時におけるハンドル用支持フレーム118L,118Rに対する第1の後側フレーム126と第2の後側フレーム127の相対的な角度へと変更することが可能に構成されている。
【0028】
なお、折りたたみ時には、
図16に示すように、第1の後側フレーム126や第2の後側フレーム127は、スライド部材129L,129Rに対して回動することにより、鉛直方向に近い姿勢となることが可能である。
【0029】
さらに、本実施の形態においては、
図17(A)に示すように、連結ベルト135は、ハンドル基部132L,132Rに対して回動可能に構成されている。より詳細には、連結ベルト135は回動部材134L,134Rに取り付けられている。そして、歩行車100を左右方向に折りたたんだときに、
図17(B)に示すように、回動部材134L,134Rを介して連結ベルト135を上方へ回動することが可能に構成されている。これによって、ユーザは、歩行車100を折り畳んだ状態で、連結ベルト135を掴んで歩行車100を持ち上げたり、連結ベルト135を肩にかけて歩行車100を運んだりすることが容易に行える。
[第2の実施の形態]
【0030】
上記の実施の形態においては、リンクフレーム115L,115Rの前端が、スライド部材117L,117Rを介して、前輪用フレーム110L,110Rの第2のフレーム112L,112Rにスライド可能に連結されるものであった。しかしながら、このような形態には限られない。
【0031】
たとえば、
図18に示すように、前輪用フレーム110L,110Rが、第2のフレーム112L,112Rを有さずに、第1のフレーム111LB,111RBのみを有してもよい。つまり、リンクフレーム115L,115Rの前端が、スライド部材117L,117Rを介して、直接的に、前輪用フレーム111LB,111RBにスライド可能に連結されてもよい。
[第3の実施の形態]
【0032】
あるいは、
図19に示すように、前輪用フレーム110L,110Rが、第1のフレーム111L,111Rを有さずに、第2のフレーム112LB,112RBのみを有してもよい。そして、第2のフレーム112LB,112RBの下端部にキャスター113L,113Rを介して前輪101L,101Rが取り付けられてもよい。
【0033】
[その他]
本実施形態においては、スライド部材117L, 117Rを前輪用フレームに位置させ、リンクフレーム115L, 115Rが後輪用フレーム120L, 120Rに対して軸支される状態で回動する。ユーザの荷重は歩行車の比較的後方寄りに負荷されるところ、このような構成を採用することにより、意図しない歩行車への外力が生じてスライド部材がスライドした場合にも、ユーザの荷重を歩行車の後方側で支えることが可能となる。
【0034】
勿論、他の構成を排除するものではなく、スライド部材を後輪用フレームに位置させてもよい。
【0035】
[まとめ]
上記の実施の形態によると、左右方向および前後方向に折りたたみ可能な歩行車100が提供される。歩行車100は、左右の前輪101L,101Rと、左右の前輪101L,101Rを支持するための左右の前輪用フレーム110L,110Rと、左右の前輪用フレーム110L,110Rの間に互いに交差して配置されるとともに、左右の前輪用フレーム110L,110Rに連結される2本の前側フレーム121,122と、左右の後輪102L,102Rと、左右の後輪102L,102Rを支持するための左右の後輪用フレーム120L,120Rと、左右の後輪用フレーム120L,120Rの間に互いに交差して配置されるとともに、左右の後輪用フレーム120L,120Rに連結される2本の後側フレーム126,127と、左右の前輪用フレーム110L,110Rのそれぞれと左右の後輪用フレーム120L,120Rのそれぞれとを連結する左右のリンクフレーム115L,115Rと、左右のハンドル133L,133Rと、左右のハンドル133L,133Rを支持するための左右の支持フレーム118L,118Rとを備える。左右のリンクフレーム115L,115Rが左右の前輪用フレーム110L,110Rまたは後輪用フレーム120L,120Rに対してスライドすることによって歩行車100が前後方向に折り畳まれるように構成される。左右の支持フレーム118L,118Rは、前後方向において、左右のリンクフレーム115L,115Rの前端部と後端部との間に位置する。
【0036】
歩行車においては、ユーザが荷重を比較的負荷した状態で使用するため、その安定性を確保することが必要である。一方で、左右方向および前後方向に折り畳み可能な歩行車とする場合、当該折り畳み機構を構成する部材の連結点が、折り畳めないものに比して増えるため、使用時における歩行車のがたつきや撓み等の不具合が生じやすい。しかしながら、前側フレーム121, 122を前輪用フレーム110L, 110Rに、後側フレーム126, 127を後輪用フレーム120L, 120Rにそれぞれ別途位置させるとともに、左右の支持フレーム118L, 118Rを、前後方向において、左右のリンクフレーム115L, 115Rの前端部と後端部との間に位置させることにより、ユーザが歩行車を使用する際、ユーザの荷重を前輪用フレーム110L, 110R側および後輪用フレーム120L, 120R側、つまりこれらフレームで囲まれる前後左右方向の面領域に広く負荷させることが可能となり、また、ユーザの荷重の負荷に伴う重心を歩行車の中心領域に位置させることが可能となる。その結果、左右方向および前後方向に折り畳み可能な歩行車において、その安定性が確保できるものとなる。
【0037】
好ましくは、左右の支持フレーム118L,118Rは、鉛直方向に配置される。
【0038】
本実施形態においては、左右の支持フレーム118L, 118Rは、鉛直(垂直)方向に配置されている。このような構成を採用することにより、ユーザの荷重を鉛直方向下向きに効果的に負荷できるため、使用時の安定性がより確保できるものとなる。
勿論、他の構成を排除するものではなく、支持フレームの形状は、直線状や湾曲状等のものでもよい。
【0039】
好ましくは、歩行車100は、歩行車100の使用状態において、少なくとも左右方向へ開いた状態を維持するための剛性補強部材125をさらに備える。
【0040】
剛性補強部材125を位置させることにより、歩行車の使用時における安定性をさらに確保することができる。
【0041】
本実施形態においては、剛性補強部材125を後側フレーム126, 127に位置させている。ユーザの荷重は歩行車の比較的後方寄りに負荷されるところ、効果的に歩行車の剛性を確保することができ、その安定性をさらに確保できるものとなる。
【0042】
また、本実施形態においては、剛性補強部材125は、後側フレーム126, 127の上部に位置させている。その結果、ユーザは、歩行車を折り畳む際、剛性補強部材125を構成する把持部125Xを把持しやすく、また、把持部125Xを上側に移動させることで折り畳むことができるため、折り畳みの動作がしやすいものといえる。
【0043】
勿論、他の構成を排除するものではなく、剛性補強部材を後側フレームの下部に位置させる若しくはその上部と下部とに位置させる、または前側フレームに位置させてもよい。
【0044】
好ましくは、2本の後側フレーム126,127のそれぞれは、ボールジョイント142L,142Rを介して左右の支持フレーム118L,118Rに連結される。
【0045】
本実施形態においては、ボールジョイント142L, 142Rを採用しているが、例えば、支持フレームに対して面方向に回転自在なコ字状(L字状)の部材を用いてもよい。その場合、後側フレームはコ字状部材に対して前後方向には移動規制されるが、コ字状部材が前後方向に回転することにより、ボールジョイントと同様な動作自由度が得られる。
【0046】
好ましくは、左右の後輪用フレーム120L,120Rの上端は、左右の支持フレーム118L,118Rの下端部に回動可能に連結される。
【0047】
好ましくは、左右の前輪用フレーム110L,110Rは、左右の前輪101L,101Rを支持するための左右の第1のフレーム111L,111Rと、左右のリンクフレーム115L,115Rの前端部が上下方向にスライド可能に連結される左右の第2のフレーム112L,112Rと、を含む。
【0048】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0049】
100 :歩行車
101L :前輪
101R :前輪
102L :後輪
102R :後輪
110L :前輪用フレーム
110R :前輪用フレーム
111L :第1のフレーム
111R :第1のフレーム
112L :第2のフレーム
112R :第2のフレーム
113L :キャスター
113R :キャスター
115L :リンクフレーム
115R :リンクフレーム
116L :中央フレーム
116R :中央フレーム
117L :スライド部材
117R :スライド部材
118L :ハンドル用支持フレーム
118R :ハンドル用支持フレーム
119 :連結部材
119L :連結部材
119R :連結部材
120L :後輪用フレーム
120R :後輪用フレーム
121 :第1の前側フレーム
122 :第2の前側フレーム
123 :連結部材
125 :ロック機構(剛性補強部材)
125L :左ロックフレーム
125R :右ロックフレーム
125X :把持部
126 :第1の後側フレーム
127 :第2の後側フレーム
128 :連結部材
129L :左スライド部材
129R :右スライド部材
131L :ハンドルフレーム
131R :ハンドルフレーム
132L :ハンドル基部
132R :ハンドル基部
133L :ハンドル
133R :ハンドル
134L :回動部材
134R :回動部材
135 :連結ベルト
137L :調節ネジ
137R :調節ネジ
139L :ブレーキハンドル
139R :ブレーキハンドル
141R :ハンドルフレーム
142L :ボールジョイント
142R :ボールジョイント