IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大森機械工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-フィルムの原反径の計測システム 図1
  • 特許-フィルムの原反径の計測システム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】フィルムの原反径の計測システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 26/08 20060101AFI20220412BHJP
   G01B 21/10 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B65H26/08
G01B21/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018164200
(22)【出願日】2018-09-03
(65)【公開番号】P2020033181
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2018158769
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小川 拓己
(72)【発明者】
【氏名】内田 信成
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-216608(JP,A)
【文献】特開平10-119909(JP,A)
【文献】特開平11-245916(JP,A)
【文献】特開2009-096492(JP,A)
【文献】特開平10-072157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 26/00
G01B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムをロール状に巻き取った原反ロールを着脱自在に装着する回転支持軸と、
その回転支持軸を回転駆動させる第一駆動モータと、
前記原反ロールから繰り出された前記フィルムを所定速度で移動させるフィードローラと、
そのフィードローラを回転駆動させる第二駆動モータと、
前記原反ロールから前記フィードローラに至る経路の途中に配置されたダンサローラとを備え、
前記回転支持軸に装着された前記原反ロールの原反径の初期値を求める計測システムであって、
前記ダンサローラは、掛け渡された前記フィルムにかかる張力に応じて設定された移動範囲内で移動可能に構成され、前記フィードローラに基づく前記フィルムの移動速度と、前記回転支持軸の回転に伴い繰り出される前記フィルムの移動速度が異なる場合に前記ダンサローラは移動し、それぞれの移動速度が一致すると前記ダンサローラが停止するように動作し、
前記第一駆動モータにより回転駆動する前記回転支持軸の回転速度を徐々に増加させていき、その回転支持軸の回転に伴い繰り出される前記フィルムの移動速度を増加するように制御し、そのフィルムの繰り出される移動速度と、前記フィードローラに基づく前記フィルムの移動速度が一致して前記ダンサローラが停止した位置から前記原反ロールの原反径を算出する機能を備えることを特徴とするフィルムの原反径の計測システム。
【請求項2】
前記フィードローラが一定速度で回転するように制御する請求項1に記載のフィルムの原反径の計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムの原反径の計測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば包装機本体に対し、連続して帯状の包装フィルムを供給するフィルム供給装置は、例えば、包装フィルムがロール状に巻き取られた原反ロールをセットする回転支持軸と、その回転支持軸にセットされた原反ロールから帯状の包装フィルムを連続して繰り出す手段と、その繰り出された包装フィルムを所定の搬送経路を通って包装機本体に供給するための搬送機構等を備える。繰り出す手段は、例えば、特許文献1に開示されるように、回転支持軸に駆動モータを接続し、駆動モータの出力を受けて回転支持軸ひいては原反ロールを回転させるように構成したものがある。繰り出された包装フィルムは、包装機本体に設けられたピンチローラなどにより搬送力を受け、包装機本体に供給・搬送される。
【0003】
例えば包装フィルムを包装機本体に対して一定速度で供給する場合、原反ロールの直径である原反径が小さくなるほど原反ロールの回転速度を増加させる必要がある。そして、原反径がわかると、その後は、原反ロールが例えば一回転等の所定角度回転した場合に繰り出される包装フィルムの長さが算出できるので、包装フィルムの繰り出し速度を一定にするために必要な駆動モータの回転数を算出することもでき、フィードフォワード制御による速度制御が可能となる。また、所定角度回転した際に繰り出された包装フィルムの長さを計測することで、原反ロールが例えば一回転等の所定角度回転した後の原反径も算出でき、その所定角度回転した後における適切な駆動モータの回転数を算出し、フィードフォワード制御を行うことができる。よって、例えば、原反ロールを回転支持軸にセットした際の当該原反径がわかれば、運転開始当初から駆動モータの回転数を適切に制御することが可能となる。
【0004】
一方、回転支持軸にセットした際のスタート時の原反ロールは、新品に限らず、フィルムを途中まで使用した中途半端なものも用いられるので、原反径が一定しない。そこで、運転開始に先立ち、原反を計測する必要がある。そして、特許文献1に開示された装置では、原反ロールの周面に接触し、原反ロールから繰り出される包装フィルムの移動距離を検知する距離計測装置を備え、この距離計測装置の出力と原反ロールの回転角度等に基づき原反径を算出するようにしている。そして、距離計測装置は、原反ロールの周面にローラを所定圧で接触させ、原反ロールの回転に伴い当該ローラも回転するようにし、そのローラにエンコーダを備え、そのエンコーダの出力に基づき、包装フィルムの移動距離を算出するようにしている。
【0005】
そして、従来の原反ロールの直径の計測は、エンコーダ付のローラを原反ロールに接触した状態で原反ロールを所定角度回転させ、その回転角度とエンコーダにより求めた包装フィルムの移動距離から原反径を算出するようにしている。さらに、原反径を算出後は、原反ロールを所定角度逆回転させて原反ロールを元に戻す処理を行い、その後は、求めた原反径に基づき原反ロールを所定速度で回転させ、包装フィルムを包装機本体へ供給する。
【0006】
また、原反ロールから繰り出される包装フィルムの張力を一定にするため、原反ロールから包装機本体に至る搬送経路の途中にダンサローラを設け、ダンサ制御を行うものもある。ダンサローラは、例えば、上下方向に移動可能に配置し、包装フィルムをダンサローラの側面の下側に掛け渡すようにする。すると、包装フィルムのダンサローラに掛け渡されている部分は、ダンサローラの自重により下方に付勢される。駆動モータによる原反ロールの回転、すなわち、原反ロールから繰り出される包装フィルムの移動速度と、包装機本体側での包装フィルムの搬送速度が等しいと、ダンサローラは、移動可能な範囲の中央で安定するように設定される。例えば、原反ロールからの繰り出される包装フィルムの移動速度が遅いと、フィルムが張りぎみになってダンサローラに通常よりも大きいテンションが加わり中央から引張方向(例えば、上方)に移動する。この引張方向の移動を検知し、フィードバック制御して原反ロールの回転数を上げ、繰り出し量を多くする。これにより、ダンサローラは中央の安定位置に移動する。また、原反ロールから繰り出される包装フィルムの移動速度の方が速いと、上記と逆の制御を行う。これにより、ダンサローラが上下しながら包装フィルムに加わる張力を一定にしつつ、包装機本体に一定速度で包装フィルムを供給する。係るダンサ制御を行う場合にも、原反ロールの原反径がわからないとフィードフォワードの制御が安定しないが、運転開始時に初期値の原反径を与えることで、最初からダンサローラが中央に位置し、移動も余りしない制御が行える。そして、係る初期値の原反径を求めるためにも、例えば上述したシステムを利用して求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-171235
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の装置では、原反径を計測するために、包装フィルムとエンコーダ付のローラの接触によるストレスが包装フィルムにかかりキズが出来る場合がある。また、原反ロールを回転支持軸にセットする際に、エンコーダ付のローラを持ち上げてセットする空間を確保し、その状態で原反ロールを回転支持軸に装着し、その後に再びローラを下ろして原反ロールの周面に接触させる必要があり、作業が繁雑で、装置構成も複雑で、大がかりなものになる。
【0009】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明のフィルムの原反径の計測システムは、(1) フィルムをロール状に巻き取った原反ロールを着脱自在に装着する回転支持軸と、その回転支持軸を回転駆動させる第一駆動モータと、前記原反ロールから繰り出された前記フィルムを所定速度で移動させるフィードローラと、前記原反ロールから前記フィードローラに至る経路の途中に配置されたダンサローラとを備え、前記ダンサローラは、掛け渡された前記フィルムにかかる張力に応じて設定された移動範囲内で移動可能に構成され、前記ダンサローラの位置に基づく速度で前記回転支持軸を回転させ、前記フィードローラに基づく前記フィルムの移動速度と、前記回転支持軸の回転に伴い繰り出される前記フィルムの移動速度が一定になった際の前記ダンサローラの位置から前記原反ロールの原反径を算出する機能を備えるようにした。
【0011】
本発明によれば、ダンサローラの位置に基づく速度で回転支持軸を回転させると、その速度で原反ロールも回転し、包装フィルムは所定の移動速度で繰り出される。この繰り出される移動速度と、フィードローラに基づく包装フィルムの移動速度が等しいと、フィルムにかかる張力が釣り合い、ダンサローラはその位置を留め、両者の移動速度が異なると、ダンサローラはいずれかの方向に移動する。よって、ダンサローラの位置に応じて割り当てた原反径の場合の速度で回転させ、ダンサローラが停止したときの位置に基づき原反径を算出することができる。
【0012】
そして本発明では、原反ロールの周面に移動距離を測定するためのエンコーダ付のローラを接触する必要が無いので、ローラの接触に伴いフィルムにキズをつけることもなく、装置構成も簡単で、原反ロールの周囲の空間が広く確保でき、原反ロールの回転支持軸への着脱操作も簡単に行える。またフィルムを前後させての径計測動作も必要が無く、原反径の初期値の計測から、実際の通常運転の切替もスムーズに行える。
【0013】
(2)前記移動範囲は、弛み方向の第一位置と、引張方向の第二位置との間を往復移動するようにし、前記ダンサローラが前記第一位置に位置したときは、前記原反径が最大直径値のときの速度に設定し、前記ダンサローラが前記第二位置に位置したときは、前記原反径が最小直径値のときの速度に設定し、前記ダンサローラが前記第一位置から前記第二位置の間に位置したときは、前記原反径が位置の比率に応じた直径値の速度に設定するようにすると良い。このようにすると、例えば、ダンサローラの位置に対する原反径を簡単に求め、それに応じた第一駆動モータの回転速度の制御も容易に行える。
【0014】
(3)前記ダンサローラを前記第一位置に配置した状態から原反径の計測処理を開始するようにし、前記第一駆動モータは、低速から開始して前記ダンサローラの位置に応じて増速する制御を行うようにすると良い。このようにすると、第一駆動モータを低速度で運転開始できるので良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エンコーダ付のローラを原反ロールに直接接触する必要が無く、フィルムへのストレスが無くなり、また、簡単な構成で原反ロールの原反径の初期値を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るフィルムの原反径の計測システムの好適な一実施形態を示す図である。
図2】ダンサローラの位置と、原反径及び速度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0018】
図1は、本発明に係るフィルムの原反径の計測システムが実装される包装機のフィルム供給装置の一例を示している。同図に示すように、本実施形態に用いられるフィルム供給装置10は、包装機本体11の上流側に設置され、その包装機本体11に対して帯状の包装フィルム12を一定速度で供給するものである。
【0019】
フィルム供給装置10は、包装フィルム12をロール状に巻き取った原反ロール13を着脱自在に装着する回転支持軸14を備え、その回転支持軸14には第一駆動モータ15を連携する。第一駆動モータ15は、サーボモータその他の回転速度の制御が可能なモータを用い、その第一駆動モータ15の出力軸の回転に伴い、回転支持軸14が回転し、その回転支持軸14に装着した原反ロール13が回転し、原反ロール13から包装フィルム12が繰り出される。回転支持軸14には、エンコーダなどの回転支持軸の回転角度を計測する機器(以下、単に「エンコーダ」と称する)を装着し、当該エンコーダの出力を制御装置に送る。制御装置は、当該エンコーダの出力や、その他の情報に基づき第一駆動モータ15の回転速度を制御する。
【0020】
回転支持軸14から包装機本体11の間の所定位置に、複数のフリーローラ16を配置する。フリーローラ16は、フィルム供給装置10の機枠などに回転自在に軸受け支持されるが、駆動モータなどには連携せず、自らは自転しない。そして繰り出された包装フィルム12は、そのフリーローラ16に掛け渡され、所定の搬送経路を移動して包装機本体11に至る。これにより、包装フィルム12がフリーローラ16に接触した状態で移動すると、フリーローラ16は包装フィルム12の移動に追従して回転する。
【0021】
さらに本実施形態では、当該搬送経路上の所定位置に、ダンサローラ20を配置し、そのダンサローラ20の下流側にフィードローラ21を配置する。ダンサローラ20は、水平方向に往復直進移動可能に構成される。ダンサローラ20は、原反ロール13・回転支持軸14から最も離れた最小位置X1(弛み方向)と、原反ロール13・回転支持軸14に最も近づいた最大位置X2(引張方向)との間で移動可能となり、通常の運転時は、両位置の中央に位置するよう制御される。そして図示省略するが、ダンサローラ20の回転軸の軸受け部に直接または間接的にエアシリンダのシリンダロッドを連係し、そのエアシリンダからの圧力により、ダンサローラ20は、原反ロール13から離れる方向に付勢される。
【0022】
ダンサローラ20の軸受け部には、エンコーダを連携する。軸受け部ひいてはダンサローラ20が往復移動すると、エンコーダの入力軸が回転する。そしてエンコーダの出力に基づき、制御装置は軸受け部ひいてはダンサローラ20の移動距離を算出し、ダンサローラ20の現在位置を求める。
【0023】
フィードローラ21は、第二駆動モータ22に連携される駆動ローラ21aと、従動ローラ21bを備える。それら駆動ローラ21aと従動ローラ21bは、包装フィルム12を所定の圧力で挟んだ状態で、第二駆動モータ22の駆動力を受けて駆動ローラ21aが自転する。これにより、包装フィルム12は、フィードローラ21からの駆動を受けて下流側すなわち包装機本体11に向けて所定速度で移動する。よって、第二駆動モータ22を所定の回転数で一定に回転すると、フィードローラ21は一定速度で回転し、包装フィルム12が移動する。第二駆動モータ22は、例えば制御装置からの指令値に基づき、包装フィルム12を一定速度で搬送するように回転する。
【0024】
本実施形態では、ダンサローラ20の各位置を、原反径に対応する速度に設定する。すなわち、図2に示すように、ダンサローラ20が最小位置X1で原反ロール13の原反径が最大直径値Z1のときの速度と設定し、最大位置X2で原反径が最小直径Z2の速度と設定する。そして、ダンサローラ20が最小位置X1から最大位置X2までの間の任意の位置X3(安定位置)で原反ロール13の原反径が現在直径値Z3のときの速度と設定する。ここで、原反径の現在直径値Z3は、
Z3=(X3-X2)((Z1-Z2)/(X1-X2))+Z2
となる。そして、このようにダンサローラ20の位置に、原反ロール13の原反径を設定し、ダンサローラ20の現在位置に応じた原反径の回転速度で回転支持軸14を回転させる。
【0025】
例えば、ダンサローラ20が最小位置X1に存在している状態で、実際の原反ロール13の原反径が最大直径値Z1の場合、制御装置の指令に基づき上記の設定した速度になるように第一駆動モータ15が回転すると、そのとき原反ロール13から繰り出される包装フィルム12の移動速度と、主軸のフィードローラ21によるフィルムの移動速度が1:1の関係になり、ダンサローラ20の位置が安定し、ダンサローラ20はその最小位置X1で留まる。一方、実際の原反径が最大直径値Z1でない場合、原反ロール13から繰り出される包装フィルム12の移動速度は、フィードローラ21で規定される適切な速度よりも遅いので、ダンサローラ20は引張方向に移動し、X2に近づく。
【0026】
また、仮に、ダンサローラ20が最大位置X2に存在している状態で、実際の原反ロール13の原反径が対応する現在直径値Z3の場合、制御装置の指令に基づき現在直径値Z3のときの速度になるように第一駆動モータ15が回転すると、そのとき原反ロール13から繰り出される包装フィルム12の移動速度と、主軸のフィードローラ21によるフィルムの移動速度が1:1の関係になり、ダンサローラ20の位置が安定し、その現在位置X3で留まる。一方、実際の原反径が現在直径値Z3でない場合、両者の速度は1:1の関係にないので、その大小関係で引張方向或いは弛み方向に移動する。
【0027】
そして、本計測システムを用いた原反径の初期値の計測処理は、以下のようにして行う。まず、原反ロール13を回転支持軸14にセットする。このとき、回転支持軸14の周囲には、従来のように原反径を直接計測するためのエンコーダ付ローラなどを含む機構がないので、原反ロール13の着脱は容易に行える。そして、原反ロール13から帯状の包装フィルム12を繰り出して、各ローラに引き回して包装機本体11に供給する。そして、制御装置は、例えば第二駆動モータ22を停止した状態で、第一駆動モータ15を動作させて包装フィルム12を所定量繰り出し、包装フィルムにテンションがかからないようにしてエアシリンダの付勢力により、ダンサローラ20を最小位置X1に位置させる。この状態で、例えば第一駆動モータ15を一旦停止して初期状態にする。そして、第二駆動モータ22を所定の一定速度で運転しつつ、第一駆動モータ15の回転速度を徐々に増加する。
【0028】
具体的には、制御装置は、まず最大直径値Z1に対応する速度になるように第一駆動モータ15ひいては原反ロール13を回転させ、そのときのダンサローラ20の位置を検知する。ダンサローラ20が最小位置X1から移動した場合、移動後の現在位置X3を求め、その現在位置X3から求めた現在直径値Z3に対応する速度で回転させる。すなわち、上述した現在直径値Z3を求める式中のX1,X2,Z1,Z2は既知で有り、ダンサローラ20に連携されたエンコーダの出力から、制御装置はダンサローラ20の現在の位置X3を算出し、それに基づき、任意の位置X3に対応する現在直径値Z3を算出し、求めた現在直径値Z3に対応する速度になるように第一駆動モータ15に指令値を出力する。
【0029】
上記の現在位置X3を求め、それに対応する速度で第一駆動モータ15を回転させる制御を繰り返し行うと、原反ロール13から繰り出される包装フィルム12の移動速度と、主軸のフィードローラ21によるフィルムの移動速度が1:1の関係になると、ダンサローラ20は安定し、ダンサローラ20はそのときの現在位置X3に留まる。これにより、制御装置は、セットされた原反ロールの原反径の初期値(ダンサローラ20が停止したときのZ3)を取得する。
【0030】
この後は、通常のダンサ制御に切り替える。すなわち、例えば第二駆動モータ22は一定速度で回転させつつ第一駆動モータ15の速度を適宜調整してダンサローラ20を中央に移動させ、求めた原反径に基づきフィードフォワードによる第一駆動モータの制御を行い、所定速度で包装フィルム12を繰り出して包装機本体11に供給しつつ、ダンサローラ20の位置に基づくフィードバック式ダンサ制御を行い、包装フィルムの張力を一定にしつつ、所望の一定速度で包装フィルム12を包装機本体11に供給する。この通常時の原反径に基づくフィードフォワード制御は、例えば、フィードローラにエンコーダを取り付け、原反ロール13,回転支持軸14が一周回ったときの、包装フィルム12の移動距離をフィードローラ21につけたエンコーダから求めることで、現在の原反径を算出し、その算出した原反径に基づく速度で回転支持軸14ひいては原反ロール13を回転させる。
【0031】
上述した実施形態では、原反径を求めるに際し、初期位置としてダンサローラ20を最小位置X1にセットし、その状態から第一駆動モータ15の回転速度を徐々に増加するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、初期位置としてダンサローラ20の最大位置X2にセットして行っても良い。最大位置X2へのセットは、例えば、第一駆動モータ15を停止した状態で、第二駆動モータ22を動作させて包装フィルム12にテンションを掛けることで行うと良い。但し、実施形態のように最小位置X1から行うようにした方が、第一駆動モータ15を低速から徐々に増速すれば良いので好ましい。
【0032】
上述した実施形態では、ダンサローラ20の位置の検出にエンコーダを用いたが、本発明はこれに限ることはなく、各種の位置検出手段を用いることができる。但し、エンコーダを用いるが、簡単な構成で実現できるので良い。
【0033】
また、上述した実施形態では、回転支持軸14には、エンコーダなどの回転支持軸の回転角度を計測する機器を装着したが、回転角度は例えば360度のように1回転を検出するものも含む。
【0034】
さらにまた、上述した実施形態では、ダンサローラ20の移動は、水平方向としたが、本発明はこれに限ることはなく、垂直方向の他任意の方向に移動するものにも適用できる。
【0035】
また、上述した実施形態では、回転支持軸は一つのみ図示したものについて説明したが、回転支持軸を複数設け、1つの回転支持軸にセットした原反ロールから包装フィルムの供給を行い、当該1つの回転支持軸にセットした原反ロールからのフィルム供給が終了後に連続して別の回転支持軸はセットした原反ロールからのフィルム供給を行うものにも適用することができる。
【0036】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0037】
10 :フィルム供給装置
11 :包装機本体
12 :包装フィルム
13 :原反ロール
14 :回転支持軸
15 :第一駆動モータ
16 :フリーローラ
20 :ダンサローラ
21 :フィードローラ
22 :第二駆動モータ
X1 :最小位置
X2 :最大位置
X3 :位置
Z1 :最大直径値
Z2 :最小直径
Z3 :現在直径値
図1
図2