(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】閃光ランプ用LEDモジュールおよび閃光ランプ
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20220412BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220412BHJP
【FI】
H01L33/50
F21S2/00 664
(21)【出願番号】P 2018565957
(86)(22)【出願日】2017-11-24
(86)【国際出願番号】 JP2017042268
(87)【国際公開番号】W WO2018142732
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2020-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2017016036
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【氏名又は名称】松縄 正登
(72)【発明者】
【氏名】溝邊 憲政
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-115380(JP,A)
【文献】特開2007-137187(JP,A)
【文献】特開2014-123738(JP,A)
【文献】特開2007-088462(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0292302(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED基板と、複数のLEDと、複数の樹脂層とを含み、
前記LED基板の一方の実装面に、前記複数のLEDが実装され、
前記複数のLEDは、それぞれ、前記LED基板とは反対側の表面に、前記樹脂層が積層されており、
前記各LEDに積層された前記複数の樹脂層は、それぞれ、隣り合う樹脂層から離間しており、
隣り合う前記LEDの間の前記実装面に樹脂を含まない
、閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用LEDモジュール。
【請求項2】
LED基板と、複数のLEDと、複数の樹脂層とを含み、
前記LED基板の一方の実装面に、前記複数のLEDが実装され、
前記複数のLEDは、それぞれ、前記LED基板とは反対側の表面に、前記樹脂層が積層されており、
前記各LEDに積層された前記複数の樹脂層は、それぞれ、隣り合う樹脂層から離間しており、
隣り合う前記LEDの間に、前記LEDの側面と前記実装面の両方を覆う樹脂を含まない
、閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用LEDモジュール。
【請求項3】
LED基板と、複数のLEDと、複数の樹脂層とを含み、
前記LED基板の一方の実装面に、前記複数のLEDが実装され、
前記複数のLEDは、それぞれ、前記LED基板とは反対側の表面に、前記樹脂層が積層されており、
前記各LEDに積層された前記複数の樹脂層は、それぞれ、隣り合う樹脂層から離間しており、
前記複数のLEDの相互に隣接する間に、前記LEDの側面と前記LED基板の実装面との両方を覆う樹脂を含まない
、閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用LEDモジュール。
【請求項4】
前記各LEDは、それぞれ、隣り合うLEDから離間している、請求項1から3のいずれか一項に記載の
閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用LEDモジュール。
【請求項5】
前記LED基板の前記実装面において、面積120mm
2あたりの前記LEDの数が、4~25個である、請求項1から4のいずれか一項に記載の
閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用LEDモジュール。
【請求項6】
隣り合うLED間の距離が、0.2~0.5mmである、請求項1から5のいずれか一項に記載の
閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用LEDモジュール。
【請求項7】
前記LEDの幅が、1.8~5.3mmである、請求項1から6のいずれか一項に記載の
閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用モジュール。
【請求項8】
閃光時間1~5msecにおける実効光度が、6,000~20,000cdである、請求項1から7のいずれか一項に記載の
閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用LEDモジュール。
【請求項9】
明るさを示すルーメン(lm)が、300,000~1,600,000である、請求項1から8のいずれか一項に記載の
閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用LEDモジュール。
【請求項10】
前記樹脂層が、蛍光体樹脂層である、請求項1から9のいずれか一項に記載の
閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用LEDモジュール。
【請求項11】
光源であるLEDモジュールと、
配光手段と、
開口部を有する筐体と、
光透過性カバーとを含み、
前記LEDモジュールは、請求項1から10のいずれか一項に記載の
、閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用モジュールであり、
前記筐体の内部に、前記LEDモジュール、および前記配光手段が配置され、
前記配光手段は、前記LEDモジュールの光照射側に配置され、
前記筐体の開口に、前記光透過性カバーが配置されていることを特徴とする
閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の
、閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用LEDモジュール、を製造する製造方法であって、
隣り合うLEDの間をパターンマスクでカバーする工程、
前記パターンマスクから露出する前記LEDの表面に前記樹脂層を形成するための材料を供給する工程、
を含む
、閃光のためのパルス点灯を行う航空機の着陸誘導閃光ランプ用LEDモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閃光ランプ用LEDモジュールおよび閃光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空港等において、着陸する航空機の滑走路への誘導に、光源としてキセノンランプを用いた閃光装置が用いられている(特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-156287号公報
【文献】特開2008-112628号公報
【文献】特開2010-182495号公報
【文献】特開2010-247576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のキセノンランプを、発光ダイオード(LED)ランプに置き換えられれば、寿命を大幅に伸ばし、消費電力を削減することも可能である。そこで、本発明者らは、光源としてLEDを備える閃光ランプについて鋭意研究を行った。しかしながら、LEDを使用した場合、閃光のためのパルス点灯により、LEDチップが破損する場合があるとの知見を得た。
【0005】
そこで、本発明は、閃光ランプに使用する際、閃光のためのパルス点灯によるLEDチップの破損を抑制できるLEDモジュールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の閃光ランプ用LEDモジュールは、
LED基板と、複数のLEDと、複数の樹脂層とを含み、
前記LED基板の一方の実装面に、前記複数のLEDが実装され、
前記複数のLEDは、それぞれ、前記LED基板とは反対側の表面に、前記樹脂層が積層されており、
前記各LEDに積層された前記複数の樹脂層は、それぞれ、隣り合う樹脂層から離間していることを特徴とする。
【0007】
本発明の閃光ランプは、
光源であるLEDモジュールと、
配光手段と、
開口部を有する筐体と、
光透過性カバーとを含み、
前記LEDモジュールは、前記本発明の閃光ランプ用モジュールであり、
前記筐体の内部に、前記LEDモジュール、および前記配光手段が配置され、
前記配光手段は、前記LEDモジュールの光照射側に配置され、
前記筐体の開口に、前記光透過性カバーが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のLEDモジュールによれば、閃光ランプに使用しても、閃光のためのパルス点灯によるLEDチップの破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1のLEDモジュールの構成の一例を示す概略図であり、(A)は、平面図であり、(B)は、前記(A)における部分的な平面図であり、(C)は、前記(B)におけるI-I方向断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態2の閃光ランプの構成の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1のランプの設置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の閃光ランプ用LEDモジュールにおいて、例えば、前記各LEDは、それぞれ、隣り合うLEDから離間している。
【0011】
本発明の閃光ランプ用LEDモジュールは、例えば、前記LED基板の前記実装面において、面積120mm2あたりの前記LEDの数が、4~25個である。
【0012】
本発明の閃光ランプ用LEDモジュールは、例えば、前記隣り合うLED間の距離が、0.2~0.5mmである。
【0013】
本発明の閃光ランプ用LEDモジュールは、例えば、前記LEDの幅が、1.8~5.3mmである。
【0014】
本発明の閃光ランプ用LEDモジュールは、例えば、閃光時間1~5msecにおける実効光度が、6,000~20,000cdである。
【0015】
本発明の閃光ランプ用LEDモジュールは、例えば、明るさが、300,000~1,600,000ルーメン(lm)である。
【0016】
本発明の閃光ランプは、例えば、航空機の着陸誘導の閃光用である。
【0017】
本発明者らは鋭意研究を行った結果、LEDモジュールにおけるLEDの破損が、閃光のためのパルス点灯による、膨張と収縮に原因があることを見出した。すなわち、一般的な小面積超高光束LEDモジュールは、LED基板上に、複数個のLEDチップを高密度実装した後に、複数のLEDチップが実装された領域全面に、一様に樹脂層が形成されている。しかしなら、前記LEDモジュールを、閃光ランプの光源として使用した場合、数msec単位で点灯と消灯とを繰り返すパルス点灯が必要なため、前記LEDモジュールに急激な熱膨張と熱収縮とが繰り返されることになる。しかし、前記LEDモジュールにおいて、金属基板と、LEDチップ上に積層された樹脂層とは、通常、熱膨張率が異なるため、前記樹脂層に割れが生じ、この割れによってLEDがダメージを受け損傷することがわかった。そこで、本発明においては、複数のLEDチップが実装された領域全面に、前記領域全面を覆う樹脂層ではなく、LEDごと、LED上に前記樹脂層を積層することを見出すに到った。本発明によれば、LEDごとに樹脂層が積層されているため、例えば、1つのLEDに対して、複数のLEDを覆う大きな樹脂層に発生する熱膨張や熱収縮の力がかかることがなく、また、個々のLED上に、それぞれ離間して樹脂層が形成されているため、各樹脂層に生じる熱膨張や熱収縮の力も低減できる。このため、本発明のLEDモジュールによれば、例えば、パルス点灯が必要な閃光ランプの光源として使用する場合であっても、前述のようなLEDの破壊を防止し、長期の信頼性を確保することが可能になる。
【0018】
以下、本発明のランプについて、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。なお、以下の
図1から
図3において、同一部分には、同一符号を付している。
【0019】
[実施形態1]
本実施形態に、本発明の閃光ランプ用LEDモジュールの一例を示す。本実施形態の閃光ランプ用LEDモジュールは、例えば、航空機の着陸誘導用の閃光装置に用いられる閃光ランプ用であるが、これには制限されない。本実施形態のLEDモジュールの構成の一例を、
図1に示す。
【0020】
図1(A)は、LEDモジュール10の平面図であり、
図1(B)は、
図1(A)における左上の点線で囲んだ領域を示す部分的な平面図であり、
図1(C)は、
図1(B)におけるI-I方向の断面図である。LEDモジュール10は、LED基板13と、複数のLED12と、樹脂層11とを含む。LED基板13の一方の実装面には、複数のLED12が配置され、複数のLED12は、LED基板13とは反対側の表面に、樹脂層11が積層されている。そして、LED12に積層された樹脂層11は、それぞれ、隣り合う樹脂層11から離間している。
【0021】
LEDモジュール10は、閃光ランプにおいて光源となる。前記閃光ランプの種類は、特に制限されず、例えば、航空機の着陸誘導用の閃光ランプがあげられる。前述のように、従来は、前記閃光ランプの光源としてキセノンランプが一般的に使用されており、本発明の閃光ランプ用モジュールは、例えば、キセノンランプの代替として使用できる。LEDモジュール10の光度は、例えば、用途に応じて適宜決定でき、キセノンランプの代替としては、例えば、光学的特性(例えば、光度、閃光時間あたりの実効光度等)が、キセノンランプと同様またはそれ以上であることが好ましい。LEDモジュール10の光学的特性は、例えば、LEDモジュール10の大きさ、単位面積あたりのLED12の数等に応じて、適宜設定できる。
【0022】
LED基板13は、特に制限されず、例えば、絶縁基板があげられる。前記絶縁基板としては、例えば、アルミニウム、銅等の金属製基板、紙フェノール、紙エポキシ、ガラスコンポジット等の樹脂製の基板等があげられる。LED基板13の大きさは、特に制限されず、例えば、LEDモジュール10を組み込む閃光ランプの大きさ、前記閃光ランプの使用場所または使用用途等に応じて適宜設定できる。前記着陸誘導用の閃光ランプの場合、前記実装面における、複数のLED12が実装される領域の面積は、例えば、60~120cm2である。
【0023】
LED基板13の前記実装面には、複数のLED12が積層され、LED12において、前記実装面とは反対側の面には、さらに、樹脂層11が積層されている。本発明の閃光ランプ用LEDモジュール10においては、LED12上の樹脂層11が、それぞれ、隣り合う樹脂層11から離間していればよく、LED12は、例えば、
図1に示すように、それぞれ、隣り合うLED12から離間してもよく、また、これには制限されず、隣り合うLED12と接触してもよい。
【0024】
LED基板13におけるLED12の実装条件は、前述のように、特に制限されず、目的の光学的特性に応じて適宜設定できる。LED基板13の前記実装面において、実装されるLED12の数は、例えば、面積120mm2あたり、4~25個である。LED基板13に実装されるLED12の総数は、例えば、200~2,000個である。
【0025】
LED12の形状は、特に制限されず、一般的に、正方形または長方形である。LED12の大きさは、特に制限されず、前記正方形の場合、平面の長さ(
図1において矢印Y)は、例えば、1.8~2.2mm、3~3.5mm、4~5.3mmであり、前記長方形の場合、短辺の長さは、例えば、前記正方形の長さと同様であり、短辺と長辺との比は、例えば、1:1~3である。LED基板13の前記実装面において、隣り合うLED12が離間している場合、隣り合うLED12とLED12との間の幅は、例えば、0.2~0.5mmである。
【0026】
樹脂層11は、前述のようにLED12の表面に積層されている。樹脂層11は、例えば、蛍光体と樹脂とを含む蛍光体樹脂層であり、前記蛍光体により、LEDモジュール10の光の色を設定できる。本発明において、前記蛍光体の種類等は、何ら制限されず、従来公知の蛍光体が使用でき、例えば、Y3Al5O12:Ce、Tb3Al5O12:Ce等があげられる。
【0027】
樹脂層11は、例えば、樹脂をLED12の表面に供給し、固化することにより形成できる。樹脂層11が前記蛍光体樹脂層の場合は、例えば、前記蛍光体と樹脂との混合物を、LED12の表面に供給し、固化することにより形成できる。前記樹脂の種類は、特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が使用できる。前記樹脂に対する前記蛍光体の割合は、特に制限されず、例えば、前記樹脂100重量部に対して、前記蛍光体は、50~80重量部である。前記混合物は、例えば、樹脂と前記蛍光体の他に、さらに他の添加剤を含んでもよく、前記添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ等があげられる。
【0028】
LED12の表面への前記混合物の供給方法は、特に制限されず、塗布でもよいし、噴霧でもよい。樹脂層11は、前述のように、隣り合う樹脂層11と離間する必要があるため、例えば、LED12とLED12との間をカバーするパターンマスクを用いて、露出するLED12の表面に、前記混合物を供給することで、隣り合う樹脂層11が離間するように、樹脂層11を形成することができる。前記固化の方法は、特に制限されず、例えば、乾燥処理等があげられる。
【0029】
隣り合う樹脂層11と樹脂層11との間の幅(
図1において矢印X)は、特に制限されず、例えば、0.2~0.5mmである。樹脂層11の厚みは、特に制限されず、例えば、100~300μmである。
【0030】
各LED12の表面において、樹脂層11は、前記表面全域に形成されてもよいし、部分的に形成されてもよい。後者の場合、樹脂層11は、1つのLED12の表面において、例えば、90%以上の領域に、積層されていることが好ましい。
【0031】
本発明のLEDモジュール10は、前述のように、閃光ランプにおいて、キセノンランプの代替品となることから、その光学的特性は、例えば、以下のように設定することが好ましい。LEDモジュール10は、その光度(単位cd)が、例えば、6,000~20,000、60,000~200,000である。本発明において、光度とは、実効光度を意味する。閃光ランプの光出力の単位は、実効光度(cd)である。LEDモジュール10は、閃光時間1~5msecあたりの実効光度が、例えば、6,000~20,000cdである。本発明において、閃光時間あたりの実効光度(単位:cd)は、発光光度(閃光している瞬間の光度(cd))と発光時間との関係式(Blondel‐Ray‐Douglasの式)で計算した値で表される。実効光度(Ie)は、例えば、下記式により表すことができる。
【0032】
【数1】
t1, t2 : 閃光時間中のIeが最大になる値
I(t) : t時間における光度
【0033】
[実施形態2]
本実施形態に、本発明の閃光ランプの一例を示す。本実施形態の閃光ランプは、本発明のLEDモジュールを有し、例えば、航空機の着陸誘導用の閃光装置に用いられるが、これには制限されない。本実施形態の閃光ランプの構成の一例を、
図2に示す。
【0034】
図2は、本実施形態の閃光ランプの一例を示す断面図である。閃光ランプ20は、光源であるLEDモジュール10と、配光手段21と、開口部を有する筐体22と、光透過性カバー23とを含む。LEDモジュール10は、前記実施形態1のLEDモジュール10である。筐体22の内部に、LEDモジュール10、および配光手段21が配置され、筐体22の開口に、光透過性カバー23が配置されている。LEDモジュール10は、前記実施形態1の記載を援用できる。
【0035】
配光手段21は、LEDモジュール10の光照射側に配置されている。すなわち、
図2において、配光手段21は、LEDモジュール10が光を照射する方向(LEDモジュール10よりも左側)に配置されている。配光手段21は、LEDモジュール10が発した光を、例えば、反射、集光、拡散等により、光透過性カバー23側へと送る手段である。配光手段21の種類は、特に制限されず、例えば、リフレクタ(反射板)、レンズ等があげられる。配光手段21は、例えば、前記リフレクタと前記レンズのいずれか一方でもよいし、両者を組合せて使用してもよい。
【0036】
配光手段21がリフレクタの場合、前記リフレクタの形成材料は、特に制限されず、例えば、アルミニウム、マグネシウム、およびそれらの合金等の金属;PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂等があげられる。前記リフレクタは、例えば、その反射面に高反射加工を施すことで、反射効率をより向上させたものを用いてもよい。前記高反射加工は、例えば、メッキ、高反射塗料の塗布等である。
【0037】
配光手段21がリフレクタの場合、前記リフレクタの形状は、特に制限されない。前記リフレクタは、例えば、
図2に例示するように、筒状である。LEDモジュール10の前記実装面におけるLED実装領域は、前記筒状リフレクタの一方の開口(
図2において右側)に位置し、LEDモジュール10からの光が、前記筒状リフレクタの内部に照射されることが好ましい。前記筒状リフレクタは、例えば、
図2に示すように、その内壁が、LEDモジュール10から筐体22の開口に向かって広がるテーパー状が例示でき、この形状は、例えば、傘状ともいう。また、前記筒状リフレクタの内壁は、例えば、LEDモジュール10から筐体22の開口に向かう断面が、例えば、
図2に示すような円弧状でもよいし、フラットな直線状でもよい。
【0038】
配光手段21は、例えば、前述のように、レンズでもよい。前記レンズは、例えば、LEDモジュール10から照射される光を受け、拡散、散乱等で光が配光するように、LDEモジュール10の前記実装面側に配置される。前記レンズは、例えば、筐体22の開口側の表面が球面となった凸型レンズがあげられる。
【0039】
筐体22の形成材料は、特に制限されず、例えば、アルミニウム、樹脂等があげられる。筐体22の形状は、特に制限されず、例えば、
図2に示すように、傘状があげられる。
【0040】
光透過性カバー23は、筐体22の開口を覆うように配置されており、筐体22内部からの光を透過する。光透過性カバー23の形成材料は、特に制限されず、例えば、LEDモジュール10から照射された光の大部分を透過可能であればよく、具体例としては、例えば、ガラス等があげられる。
【0041】
本発明の閃光ランプは、前述のように、前記LEDモジュールにおいて、単位面積あたりのLEDの実装数、LEDの総数、LED基板の大きさ等によって、所望の光学的特性、に設定できる。このため、本発明の閃光ランプは、例えば、既存のキセノンランプと同様またはそれ以上の光学的特性、例えば、所望の閃光時間あたりの必要な実効光度に設定することもできる。このため、本発明の閃光ランプは、例えば、既存の連鎖式閃光灯において、キセノンランプと総入れ替えすることが可能であり、また、キセノンランプと部分的な入れ替え、順次の入れ替え等も可能である。
【0042】
つぎに、
図3を用いて、本実施形態の閃光ランプ20の設置例について説明する。本実施形態のランプ20は、例えば、
図2の構成に加えて、さらに、アーム33および脚部34を含み、脚部34により、地面に設置されてもよい。また、本実施形態の閃光ランプ20は、例えば、さらに、LEDモジュール10に電力を供給するためのケーブル32を含んでもよい。また、本実施形態の閃光ランプ20は、例えば、地面に設置されたポール上に、設置されてもよく、その数は、特に制限されない。
【0043】
本実施形態の閃光ランプ20は、例えば、1分間に120回の点滅が可能なように構成される。閃光ランプ20は、例えば、複数の滑走路を有する大型空港に設置される場合、航空機の進入する方向から滑走路末端に向かって、約30mおきに、8~29灯程度設置される。また、閃光ランプ20は、例えば、航空機の発着が少なく、短い滑走路が1つのみの小型の空港に設置される場合、滑走路末端の短手方向両側に1灯ずつ、合計2灯が同時に閃光(点滅)するように設置される。さらに、閃光ランプ20は、例えば、航空機が真っ直ぐに滑走路に進入できない空港に設置される場合、滑走路への進入路上の要所に、例えば、数kmごとに設置される。閃光ランプ20は、例えば、国土交通省の基準仕様に準じて、明るさが3段階に切り替えられるように構成される。この3段階の明るさのうち、最も明るい段階である「High」は、例えば、霧、雨等で視界不良の昼間に、最も暗い段階である「Low」は、例えば、夜間に、中間の段階である「Middle」は、例えば、夕方等に用いられる。
【0044】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0045】
この出願は、2017年1月31日に出願された日本出願特願2017-016036を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、閃光ランプに使用しても、閃光のためのパルス点灯によるLEDチップの破損を抑制できる。
【符号の説明】
【0047】
10 LEDモジュール
11 樹脂層
12 LED
13 LED基板
20 閃光ランプ
21 配光手段
22 筐体
23 光透過性カバー