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特許7056950負イオン発生器、イオン反発シート及びイオン反発オブジェ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】負イオン発生器、イオン反発シート及びイオン反発オブジェ
(51)【国際特許分類】
   H01T 23/00 20060101AFI20220412BHJP
   H01T 19/04 20060101ALI20220412BHJP
   A61L 9/015 20060101ALI20220412BHJP
   A61L 9/22 20060101ALI20220412BHJP
   C01B 13/11 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
H01T23/00
H01T19/04
A61L9/015
A61L9/22
C01B13/11
C01B13/11 H
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019071656
(22)【出願日】2019-03-16
(65)【公開番号】P2020149961
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】304062432
【氏名又は名称】株式会社 リブレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 宗敬
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-319471(JP,A)
【文献】特開2002-253662(JP,A)
【文献】実開昭50-075104(JP,U)
【文献】特開平07-153549(JP,A)
【文献】特開2000-082567(JP,A)
【文献】特開平09-139277(JP,A)
【文献】特開2004-033875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 23/00
H01T 19/04
A61L 9/015
A61L 9/22
C01B 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に設けられ前記ケースの流入口から前記ケースの排出口に空気を流すファンと、
前記流入口に設けられ前記ケース内に入力する前記空気から不純物を除去するプレフィルタと、
前記ファンの下流の前記ケース内に設けられて放電する針電極と、
前記針電極の下流の前記ケース内に設けられ前記空気が流通可能な対向電極と、を有し、
前記対向電極を含む前記ケース内の構造物に負電位が与えられることを特徴とする負イオン発生器。
【請求項2】
前記ファンの強弱回転及び正逆回転断続的に実行され前記ケース内の自動清掃が行われることを特徴とする請求項1に記載の負イオン発生器。
【請求項3】
前記ファンとは別の空気流路に設けられ、前記排出口から排出される前記空気の流れを制御するガイドストリームを発生させるガイドストリームファンを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の負イオン発生器。
【請求項4】
前記ファンの下流から前記プレフィルタ側の前記ケース内前記空気の一部を還流させる還流通路設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項5】
前記プレフィルタの直後の前記ケース内に、前記プレフィルタを通過した正帯電粒子を吸着する負電位の帯電粒子トラップ電極が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項6】
前記プレフィルタの直後の前記ケース内負電位の導電性光触媒フィルタが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項7】
前記ファンの上流または下流に導電性光触媒フィルタが設けられ、
前記ファンと前記導電性光触媒フィルタとは、一つのユニットに構成され、
前記還流通路は、前記ユニットの下流から上流に前記空気の一部を還流させるよう前記ユニットの外周に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の負イオン発生器。
【請求項8】
前記針電極に動バを摺動させて前記針電極の先端を自動清掃し、不使用時は前記摺動バネを放電に影響しない位置に待避させる自動清掃機構を有することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項9】
回転自在な回転清掃板または回転清掃ブラシを回転させて前記針電極に接触させ前記針電極の先端を自動清掃し、不使用時は前記回転清掃板または前記回転清掃ブラシを放電に影響しない位置に待避させる自動清掃機構を有することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項10】
前記ファンの羽の一部には、やすり構造を有し前記ファン逆回転したときのみ空気抵抗で立ち上がり前記針電極に当接して前記針電極を清掃する可動片が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項11】
前記ファンの送風量と前記針電極の電圧は、オゾンと負イオンのバランスからパターン分類されたモードに基づいて制御されることを特徴とする請求項1から請求項10の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項12】
前記ケースの前記排出口側は、絶縁物から成る前面絶縁板で構成され、
前記前面絶縁板の内側の前記対向電極の下流には、前記空気が流通可能な負電位の補助反発電極が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項11の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項13】
負電圧の基準電位として、流電源を抵抗で分圧した中点の電位を準接地電位として使用することを特徴とする請求項1から請求項12の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項14】
手動で清掃用のダイアルを回転させることによりカム機構を介して作動して前記針電極に接触して前記電極の先端を清掃するスライド清掃棒を有することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項15】
前記針電極に接続されたコッククロフトウォルトンの高圧回路を有する電源を備え、
前記コッククロフトウォルトンの高圧回路は、途中の段が前記対向電極に接続され低電圧の電源回路を構成することを特徴とする請求項1から請求項14の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項16】
シート状絶縁物で覆われた導電性布を有するイオン反発シートの前記導電性布が接続され、
前記導電性布の電位を制御可能であることを特徴とする請求項1から請求項15の何れか1項に記載の負イオン発生器。
【請求項17】
請求項1から請求項15の何れか1項に記載の負イオン発生器と共に用いられるイオン反発シートであって、
シート状絶縁物で覆われたプラス電極と、
前記プラス電極に対向するよう前記シート状絶縁物の内部に設けられたマイナス電極と、を有し、
前記プラス電極と前記マイナス電極は、ダイオードを介して接続されていることを特徴とするイオン反発シート。
【請求項18】
請求項1から請求項16の何れか1項に記載の負イオン発生器に付属するイオン反発オブジェであって、
オブジェ外郭に覆われ直流電源に接続された複数の電極を有し、
前記電極は、前記負イオン発生器によって電位が制御されることを特徴とするイオン反発オブジェ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は空気中のイオンバランスを改善し、自然界のバランスと等価な雰囲気を得ることにより、快適な住環境を供給し、さらには副次的に、減菌や脱臭、あるいは健康や体質改善等の効果を得るイオン発生器、またはオゾンまたは両者の発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
渓流や滝等の水場近傍ではレナード効果で負イオンが発生することが知られている。
一方で、都市部は異なり、その分布には次の傾向があることが知られている。
(1)森林や郊外は、負イオン量が多く、正イオンはほぼ観測されない。
(2)都市部やオフィスでは負イオンが少なく、正イオンが多い。
【0003】
特に都市部は負イオンが不足し、逆説的に負イオンの効果が示唆され、古くは1910年代から、ドイツ等で研究が行われてきた。近年の文献では、負イオンはストレスや不安の解消、減菌、ダニ等の減少等の効果があり、一般に、人体に良い影響が負イオンで、正イオンは悪影響とされる。この背景から、負イオン供給でイオンバランスを改善する各種の機器が提供され、水粒子方式と、放電方式の、二種類があり、本案では放電方式に言及する。
【0004】
放電方式はオゾン発生をともない、多くの機器は、負イオンとオゾンを発生する。オゾンは殺菌や有機物分解、脱臭能力等を有するが、これは文献等で報告されている負イオンの効果とされるものとほぼ同じでもある。このため、放電方式の発生物質の効果は負イオンだけではなく、オゾンによるものあるため、本案では、オゾン、負イオン、および、その両者の組合せを含めた発生器について言及する。
【0005】
図1は従来例「マイナスイオン、又は、マイナスイオン及びオゾンを拡散するオゾン発生器」(特許文献1)の具体例で、以下の2点を解決する。
1) 電極のホコリや汚れを、着脱式電極で容易に清掃
2) イオン風の利用でファンが不要
【0006】
円筒電極と、軸上の針電極と、高圧発生部からなり、円筒電極と針電極は着脱清掃可能なカートリッジであり、針電極先端に付着するホコリを容易に清掃できる。
【0007】
図2は従来例「空気イオン発生装置」(特許文献2)の具体例で、負イオンを途中で消滅させずに大量に排出する目的で、装置内部を負電位に帯電させて、イオンの消滅対策としている。具体的にはファンからの入力空気をイオン化した後の負イオンを負電位に帯電されたケースを介して排出する。これにより負イオンは反発して吸着されずに排出される。
【0008】
図3は従来例「マイナスイオン発生装置」(特許文献3)の具体例であり、円筒電極と針電極の放電で負イオンを発生する装置の、以下の2点を改善する。
1)交流電源を用いて針電極にホコリが付着するのを防止する。
2)対向電極側にマイナス電位のバイアスを加え、負イオンの吸収を防止。
【0009】
具体的には交流高電圧を針電極から円筒電極に向けて加える。対向側の円筒電極は放電電流により負極になる極性にダイオードが接続される。この負電圧を適正に制御するために、並列に放電抵抗(20MΩ指定)を挿入する。これにより、発生した負イオンが円筒電極に吸収されずに、ほとんどそのままが外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2000-082567号公報(図1
【文献】特開平09-139277号公報(図1
【文献】特開2004-033875号公報(図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1(図1)は、針電極を清掃できる「カートリッジ」と、ファンレスの「イオン風構造」が特徴だが、この種の機器の清掃は概ね1ヶ月毎必要とされ、次の課題がある。
課題1)空気の汚染具合で、電極清掃の期間が変動する。
課題2)糸くずが電極に静電力で付着し、電極間を短絡する。
課題3)イオン発生量がイオン風に依存され、コロナシールド効果で安定する。
課題4)1ヶ月毎の清掃の保守責務は家庭用では現実的ではない。
【0012】
特許文献2、特許文献3では、内部構造や対向電極を負電位として、負イオンを多量に排出しているが、次の課題がある。
課題5)別のマイナス電位電源や放電電流に依存しない安定した電源が必要。
課題6)イオンは排出後に速やかに床等に吸着され、部屋のイオン量が確保できない。
【0013】
特許文献3(図3)は、交流電源が電極にホコリが付着しにくいこと、対向電極側に放電電流による負電位バイアスを加えて負イオンの吸着を減少させるが、以下の課題がある。
課題7)交流電源はトランス型で大型であり、電流容量が大きく短絡保護を要する。
課題8)交流方式では悪影響とされる正イオンが残留する。
課題9)対向電極は放電電流利用の負電位のため、ホコリ等で容易に変動する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の負イオン発生器は、ケース内に設けられ前記ケースの流入口から前記ケースの排出口に空気を流すファンと、前記流入口に設けられ前記ケース内に入力する前記空気から不純物を除去するプレフィルタと、前記ファンの下流の前記ケース内に設けられて放電する針電極と、前記針電極の下流の前記ケース内に設けられ前記空気が流通可能な対向電極と、を有し、前記対向電極を含む前記ケース内の構造物に負電位が与えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
市場の多くの負イオン発生器は、連続運転数ヶ月で、内部電極間に糸くずや、ホコリ、電極に付着した汚れが見られる。この原因となるホコリの電極まで到達を防止する。
【0016】
糸くずや、ホコリは、空気吸入口に大きなプレフィルタで阻止し、低速ファン回転での積算量低減で解決する。大排気量の空気清浄器と異なるため、ファンは低回転でよい。また、時計機能をもたせ、時間により必要発生量を制御して、24時間フルパワー運転としないことでも、清掃寿命を延ばすことを行える。
【0017】
次に、フィルタを通過する微粒子であるが、微粒子は正負帯電、無帯電とある。帯電粒子はフィルタ通過直後に正負の電極で吸着できる。あるいは強制的に負イオンシャワーで負帯電させてから、正電極、または正電極を兼ねる光触媒フィルタで吸引すれば除去することが可能となる。
【0018】
なお、市場の負イオン発生器は、イオンが吸着しないように排出口が大きく開口しているタイプが多い。これらの開口部からホコリや害虫が侵入するため、進入防止用にメッシュを設け、このメッシュを比較的低い負電位にしておけば、負イオンは吸着せずに透過する。このとき、基準電位の大地に対して正確に絶対電位の負電位であることが吸着防止の効果を得るために重要となるので、大地との安定した電位固定手段も同時に提供する。
【0019】
また、ファンの回転制御の強弱で空気振動を起こして、パージすることも有効であり、正逆回転のファンを使用して、同様な空気振動を起こすことでさらにパージが可能となる。
【0020】
前述以外で電極が汚損するのは微小放電で空気の組成物が変質しての付着であり、針の曲率半径を増大させて放電性能に影響する。一般の針電極放電は針先端の曲率半径が10~数10μmであり、針先端の0.1mm以下の局部の不平等電界による局部放電で負イオンのトリガーや、オゾンが発生する。このため、針は定期的に清掃する必要がある。
【0021】
この対策は、まず、連続放電を制御し、時間帯により放電レベルを調整し、結果的に放電の蓄積時間を減らす制御が有効となる。そのために時計機能を付属することも有効である。実質的に50%の効率で運転すれば、寿命は2倍となる。このようにプログラムでの運用も解決手段となる。
【0022】
さらに、排出したイオンがすぐに消滅するような使用方法や、装置表面に吸収されてしまう構造についても、発生器の外部にイオンの容易な吸収を抑制する電極を設けることで解決する。これらにより、設定によっては、そもそものイオンの排出量を20%以下で抑えられるため、これによっても寿命は5倍となる。
【0023】
最終的に汚損が蓄積した針の先端は、取り外して磨く必要があるが、針の先端を磨く自動清掃機能、あるいは取り外さずに行える簡易的な手動清掃機能により解決する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来例1:放電電極をカートリッジとして着脱清掃可能としたイオン発生器を示す図である。
図2】従来例2:内部風洞を負電位とし、イオン吸収を抑制したオゾナイザを示す図である。
図3】従来例3:対向電極に放電電流で負電位を与えて、イオン吸収を抑制することを示す図である。
図4】負電位電極と、負イオン還流で、内部への粒子吸着を抑制することを示す図である。
図5図4のプレフィルタ直後に正帯電粒子吸着電極を追加することを示す図である。
図6図4のプレフィルタ直後に正帯電粒子吸着用の光触媒を追加することを示す図である。
図7図6の光触媒を正電位とし、還流通路経由の負イオンで粒子を負帯電し吸着することを示す図である。
図8図7の光触媒の電位を商用電源の抵抗分圧中点電位に固定することを示す図である。
図9】摺動機構で、針電極を自動清掃する構造を示す図である。
図10】回転機構で、針電極を自動清掃する構造を示す図である。
図11】自動清掃機構で落下したダストをトラップ除去する構造を示す図である。
図12】放電方法がファン周囲の針電極の場合の自動清掃機構を示す図である。
図13】イオンとオゾン発生量と、風速・電圧の関連イメージ図である。
図14】イオンとオゾン発生量と、風速・電圧とのパターン分類イメージを示す図である。
図15】放電電源、負電位電源、正電位電源を同時に得る手段を示す図である。
図16】放電電源、負電位電源を同時に得る手段を示す図である。
図17】排出された負イオンが本体電位で乱されず、有効に押し出す構造を示す図である。
図18】排出された負イオンが本体の外郭電位で乱されない構造を示す図である。
図19】排出された負イオンを有効に部屋に充満させる構造を示す図である。
図20】排出された負イオンを帯電汚損粒子が消滅した後に人体に吸収する構造を示す図である。
図21】排出された負イオンを帯電汚損粒子除去後に人体に吸収する構造を示す図である。
図22】排出された負イオンを帯電汚損粒子と分別して人体に吸収する構造を示す図である。
図23】排出された負イオンを制御する電極を電線で構成したものを示す図である。
図24】排出された負イオンを制御する電源不要の独立したシート電極を示す図である。
図25】排出された負イオンを吸収、反発するオブジェを示す図である。
図26】手動による安価な自動清掃機能を示す図である。
図27】高所設置の制限なく、床置可能で、部屋中央まで負イオンが届く構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
まず、機能を安定させるために重要な接地電位について述べる。本案では、各部を負電位、あるいは正電位とすることでイオンの反発や吸収を制御しているが、このときの電位とは大地に対する絶対的な負電位、あるいは正電位である。これにより負電位の表面の負電荷に反発され、負イオンの吸収をおさえることが可能となる。イオンの反発や吸収を制御する観点において、負イオン発生器60(図27等参照)の基準電位を確保することは非常に重要となる。
【0026】
日本では接地電位を供給する3Pのプラグは一般的ではないため、安定した接地電位が容易に確保できない場合が多い。このため、本案では接地電位が確保できない場合は、図4(c)のように、交流電源33の中点を交流中点基準電位とし、準接地電位として用いる。中点としているのは、交流電源33の片端は接地されており、中点は常に±50Vの交流で準接地電位として安定するからである。たとえば100Vの負電位を与えたら、規準となる準接地電位の振れ巾が±50V(ピーク値で±71V)なので、-142Vであれば、最低でも差し引き-71Vの直流負電位が担保される。もちろん、片端から抵抗を介して安定した準接地電位としてもよいが、日本の2Pの電極プラグは極性がないため、差込毎に±100Vか、接地かの二択ギャンブルになる。これでは予測できず、変動が大いため、与える負電位にその変動を考慮した値を設定する必要がある。ダストトラップ22はどちらの帯電粒子も吸着できるように接地電位としている。
【0027】
図4(a)は本案の基本的な例である。プレフィルタ21で大きなホコリを除去し、内部構造物を負電位として負イオンと負イオンシャワーにより負帯電された粒子を反発させて、構造物への汚損の吸着を抑制する。さらに、排出口にある対向電極18も、負電位により負イオン吸収が抑制されるのでメッシュ構造等にでき、排出口からのホコリの進入も抑えられる。以上により、電極をそもそも汚損するホコリの収入を水際で抑えられ、電極清掃の期間を大幅に延長できる。
【0028】
プレフィルタ21は糸くずを除去するため、糸くずが電極に付着する問題は解決される。また、ファン7の回転は比較的低速で、且つ、大面積のプレフィルタ21とするため、プレフィルタ21の交換サイクルも延長される。大量空気を排出する空気清浄器と目的が異なるので、ファンの回転は比較にならないほど低速でよい。
【0029】
対向電極18を含めた内部構造の負電位に関しては、ケース8を含めた空気処理の流束が接触する可能性がある内部構造物のほぼすべてに負電位を与え、プレフィルタ21の直後にダストトラップ22を設けている。図示していないが、ファン7には導電性の樹脂や導電塗料等のコーティングで負電位を与えてもよい。ケースは内部側が負電位であればよく、内部の空気の流束を制御する観点からは外面まで負電位にする必要はない。このため、樹脂のケースの内面側に金属の内張りや、導電コーティングをするものでもよい。
【0030】
対向電極18の構造は、負電位により負イオンを吸収せずに通過させることから、従来はイオン吸収のために採用できなかったメッシュ構造でもよく、多孔のオリフィス形状で
【0031】
もよく、従来のイオン流の通路が大きく開口した円筒電極である必要はない。これにより、開口部に指を入れたり、異物を入れたり、ゴミや糸くずや害虫の侵入を防止できる。さらに、金属メッシュによる防炎効果から、内部の高電圧でアークが発生して内部に付着した糸くずに引火したとしても、外部に延焼することも防げる本質安全構造とできる。
【0032】
対向電極18を円筒形状とするとオゾンを発生しやすい傾向があり、オゾンを同時に発生させるのであれば、対電極18として円筒電極を使用しても良い。この場合、円筒電極の出口の開口部があると前述の問題があるので、前述の負電位のメッシュ構造を部分的に排出口に適用しても良い。
【0033】
針電極2の方向であるが、放電は針電極2と、負電位の対向電極18との間で起こすが、対向電極18がなくても針電極2の不平等電界で放電は起こせるので、針電極2は必ずしも対向電極18に向かわなくてもよい。対向電極18に向かわない場合はオゾンの発生量が抑えられるので、オゾンを出したくない場合にはそちらの構造を採用する。このことから、対向電極18は、必ずしも針電極2に対向する必要はなく、単に排出口から逆流するホコリ侵入防止用のフィルタ、あるいは異物挿入の安全対策としての負電位のメッシュ電極、あるいは多孔のオリフィス状の構造物等としてもよい。
【0034】
負極直流電源9は各電極に負電位を供給するものである。この例では途中から低い電圧を引き出せるものを使用しているが、独立した複数の電源を使用しても良い。なお、対向電極保護抵抗19とケース電極保護抵抗20はホコリ付着時の短絡電流制限で発火しないための安全のためあり、負極直流電源9の電流容量が小さければなくても良い。
この例ではファン7を中央においているが、ファン7の位置は流束制御できる位置の任意においても良い。
【0035】
図4(b)は図4(a)のファン7の出口からプレフィルタ21側還流する還流通路25を設けている。これにより、針電極2により発生した負イオンとオゾンの一部が還流通路25を介して、プレフィルタ21側に還流され、入力空気10を吸入直後に負イオンのシャワーに曝せることができ、ほぼすべての粒子が負電位に帯電させることができる。このため、正帯電していた粒子が消滅することにより、正帯電の粒子が装置内部の各構造部に付着して汚損されることを、防止することをより確実に行える。当然であるが図4(a)のプレフィルタ21直後に追加の針電極2を設けて、負イオンを発生させても良いが、この場合は構造が複雑となる。
【0036】
ここで、オゾンも同時に還流されるため、プレフィルタ21の表面にも微小なオゾンが常時作用するため、各流束通路の殺菌や、防カビ、防虫対策、脱臭等も常時行える効果がある。
【0037】
プレフィルタ21ではタバコの煙や花粉のような微小粒子は除去できずに通過するが、前述で還流された負イオンのシャワーに曝されて、粒子は速やかに負帯電することになる。これにより、負帯電された粒子は負電位の針電極2や対向電極18、ケース8に反発されて、内部に吸着することなく、出力空気11として排出される。このため、針電極2や対向電極18の微小粒子付着による汚損を防止することが可能となる。
【0038】
プレフィルタ21にHEPAフィルタを採用して、PM2.5等を吸収してもよいが、強力なファンとそれなりの騒音が発生するため、24時間可動タイプのイオン発生器としては適切とは言えない。
【0039】
ファン7に正逆回転ファンを使用すると、さらに改善できる。すなわち、間欠的にではあるが、負イオンを発生させた状態で、ファンを低速で逆回転させることにより、プレフィルタ21を負帯電させ、定期的に行うことで常に負帯電を保つことが可能となる。このプレフィルタ21の逆回転負帯電供与により、外部の正帯電粒子をプレフィルタ21の段階で捕捉することが可能となる。
【0040】
ファン7の回転数は制御可能とし、この回転数を制御することで、還流するイオン量が制御でき、プレフィルタ21の直後の入力空気10への負イオンシャワーを制御できる。このため、設置環境に応じて、風速や、還流通路のサイズを調整することで、適度に汚損された環境であっても、電極汚損の防止に対応が可能であり、種々の環境において電極を清掃する間隔を延長するこが可能となる。
【0041】
ダストトラップ22は接地14に固定され、唯一の負イオンを吸着する部分である。これは目的に合致した機能である。なお接地14は、図4(c)の交流電源33の中点からの準接地電位でもよい。
【0042】
図5(a)、(b)は、図4(a)、(b)のファン7の前段に負電位に固定された、メッシュやオリフィス構造で空気を透過する構造の帯電粒子トラップ電極26を設けたものである。これにより、プレフィルタ21から正帯電粒子が進入した場合、ここで吸収される。
【0043】
本案では内部の構造や電極のほとんどが負電位に保たれるため、正帯電粒子や正イオンは負電位に積極的に吸収されて有害な汚損となる。この対策として図4(b)の還流通路25は、負イオンシャワーを入力空気10に与えて強制的に負帯電にしているが、乱流制御に依存する部分もあり、不充分な場合も想定される。この帯電粒子トラップ電極26は正帯電粒子を効果的に捕捉できるので、還流通路25と併用して用いることで、さらに効果的となる。
【0044】
帯電粒子トラップ電極26の電位は、この例では負電位に固定されているが、接地あるいは、図4(c)の交流電源33の中点からの準接地電位でもよい。この準接地電位は±50Vの低圧交流となるが、正負帯電の粒子をまんべんなく吸収可能である。
ここで、ファン7と帯電粒子トラップ電極26の位置は逆でも良い。
【0045】
図6(a)、(b)は、図5の帯電粒子トラップ電極26の替わりに、導電性光触媒フィルタ28を使用し、光触媒の分解機能によりトラップ電極の清掃をなくした例である。導電性の光触媒は、たとえば、炭化珪素等の導電性物質を母材としたものが知られている。なお、図示しないが光触媒塗料をファンに塗布して、光触媒として使用しても良い。
【0046】
紫外線LED29は光触媒の励起用の光源であり、これにより、付着した花粉やタバコの煙等が触媒効果で分解除去されるため、光触媒の清掃は不要となる。正帯電粒子は、負電位を与えられた電極や構造物に吸着されて汚損の原因となるが、この負電位を与えた導電性光触媒フィルタ28があると、これに吸着され、正帯電粒子はほぼ除去される。
【0047】
図6(a)は内部で発生した負イオンの還流通路25がないものである。しかし、プレフィルタ21を通過した正帯電の微粒子は負電位を与えた導電性光触媒フィルタ28で吸収分解されるため、ほとんどが吸収され、放電電極まで至って汚損として付着するものはほとんどない。また、還流通路25と負イオンの還流制御を行う必要がなく、単純に構成できる。なお、図示しないが、ファン7に光触媒塗料を塗布して光触媒としてもよい。
【0048】
図6(b)は、負イオンの還流通路25を設けたものである。これにより、負イオンのシャワーが発生するため、万が一に導電性光触媒フィルタ28を通過した正帯電粒子があってもここで負帯電されるため、負電位を与えた内部の構造部や放電電極に吸収することが、さらに抑制され、効果が向上する。
【0049】
図7は、図6の導電性光触媒フィルタ28に正電位を与え、且つ、還流通路25を、ファン7を超えてプレフィルタ21の直後まで設けたものである。これにより、負イオンのシャワーが導電性光触媒フィルタ28に引き寄せられて、吸い込まれる流れができるため、流入した正帯電粒子が負帯電しやすくなることで、導電性光触媒フィルタ28に効率的に正帯電粒子が吸着される構造である。この場合、正電位を供給する電源が必要となる。
なお、ファン7と導電性光触媒フィルタ28の位置は、前後逆でも良い。
【0050】
ここで、オゾンも同時に還流されるため、プレフィルタ21の表面にも微小なオゾンが常時作用するため、各流束通路の殺菌や、防カビ、防虫対策、脱臭等も常時行える効果がある。
【0051】
図8は、図7の導電性光触媒フィルタ28の電位を、正電位ではなく準接地電位、つまり交流の中点電位で固定したものである。これにより、侵入する粒子の帯電の極性にかかわらず、粒子が吸着される。
【0052】
イオン発生器は大量の空気を排出する空気清浄器と異なり、通常のファンの排出速度は0.1~0.5m/秒程度であり、交流50Hzの1サイクルで0.2~1.0cm/秒となるため、2.5cm厚みのフィルタであれば、フィルタを通過する間に少なくとも12.5~2.5回は極性が変更され、問題なく吸着される。なお、図示しないが、光触媒の電位を接地電位としてもよい。問題となるのは、光触媒の電位がフロートしている場合に帯電粒子の挙動が確定しないことである。
なお、ファン7と導電性光触媒フィルタ28の位置は、前後逆でも良い。
【0053】
ここで、オゾンも同時に還流されるため、プレフィルタ21の表面にも微小なオゾンが常時作用するため、各流束通路の殺菌や、防カビ、防虫対策、脱臭等も常時行える効果がある。
【0054】
図9はイオンを発生する主機能となる電極である針電極2を自動清掃する手段である。針電極2の先端を定期的に自動清掃する機能を付加することにより、電極の表面に強固に付着した汚損物を除去し、放電に影響を与える針電極2の汚損物による曲率半径の増大をリフレッシュして復帰させる。これにより、常に目的とするイオンの発生が確保できる。
【0055】
図9(a)は自動清掃構造の全体像、(b)は清掃部の摺動部の側面図、(c)は摺動部の拡大図である。
通常時は、針電極2の先端の電界分布が乱されない位置に摺動バネ38が待避状態の位置に固定されている。
【0056】
自動清掃時は、図9(b)のように、摺動バネ38が前後に摺動して、針電極2の先端近傍を引っかくようにして針電極2の表面の汚損を引っかき落とすものである。
【0057】
摺動バネ38は先端にバネ性があり、常に針を軽く押す程度のバネ力をもたせている。摺動バネ背面板39は、摺動バネ38を押すときに汚損をはがし落とす力が得られるようにバネの方向によりヒステリシスを設けるためのものであり、これによりバネの前後の動きが、汚損を落とすときは力強く、戻すときは軽くする効果が強化されるものである。
摺動バネ38の先端は図9(c)のように針電極をガイドするような形状にフィットさせる形態としてもよい。
【0058】
摺動バネ38の先端は、図9(d)のように、二つの摺動バネ38が針電極の上下を挟み込むように構成してもよい。これにより、針電極の両側の汚損を引っかき落とすことでより高い清掃効果が得られる。なお、この図では板バネであるが、通常のコイルバネと板の組み合わせでもよい。
【0059】
自動清掃機構の部材の材質であるが、自動清掃機構が待避された位置で、正常なイオン放電が得られる電界分布が得られるのであれば金属、絶縁物は問わない。ただし、摺動ロッド36は通常は絶縁物で構成する。摺動バネ38についても、例えばポリカーボネート等のバネ性のある絶縁物でもよい。
【0060】
摺動バネ38の針電極2との接触部であるが、図示していないが、例えば、接触部のみに酸化アルミやダイヤモンド等の粉末からなる研磨剤、あるいは、同等の研磨構造を表面に付加してもよい。たとえばペーパーやすりを貼り付ける当でも良い。これにより、針の先端を砥石の効果で研磨できるため、放電により先端が丸くなった針電極であっても復活させることが可能となる。
【0061】
清掃の具体的方法であるが、当然ながら、イオン発生を停止し、電圧を加えない状態で行う。摺動回数であるが、こちらは累積稼動時間により決定するのが一般的である。すなわち、1000時間であれば10回、2000時間であれば20回等である。
【0062】
この例では、上下左右の合計4本の針電極を清掃できる構成としているが、これは摺動バネ38の引っかき部を上下に設けていることにより可能となる。よって、自動清掃を効果的に行うには針電極の位置も重要となる。当然であるが針電極の本数を増やしても良い。
【0063】
図10は、おなじ自動清掃機構であるが、摺動ではなく、回転による手段である。この例では回転ロッド42に固定された回転清掃板40が回転し、針電極2の先端を研磨清掃するものである。この例では上下の針電極を同時に清掃可能となる。回転ロッド42に複数の回転清掃板40をつければ、一度に複数の針電極を清掃できる構造となる。
図10(a)は通常の位置である。この位置では、針電極2のつくる放電のための電界を乱さないことが条件となる。
【0064】
図10(b)は清掃のときの電極清掃位置であり、清掃時は(a)と(b)とを繰り返す。また、回転清掃板40のかわりに、同図(c)のような回転清掃ブラシ41としてもよい。回転手段は図示されていないが、モーターや、ロータリーソレノイド等の回転手段を使用してよい。
【0065】
図11は、自動清掃機構に必ず伴う、落下した汚損物の処理に関するものである。ファンの回転制御と、ダストトラップ22を活用している。基本は、イオンの排出とダストの排出を内部のファン7により還流するルートやイオン排出ルートを踏まえて分別する構造を主とする。内部で発生したダストは基本的には重力により落下し、内部の下部構造部に蓄積される。この蓄積されたダストをファン7による流速の分布を利用して、内部のダストトラップ22に誘導される構造とする。
【0066】
この例ではダストトラップ22をイオン排出口47側の下部に一つ、還流通路25の途中の下部に一つ、吸入口48の下部に一つの、合計3つ設けているが、当然ながらどれか一つ、あるいは二つでもよい。各ダストラップ22の下側にはダスト排出口43を設けている、その結果、ダストトラップ22の入り口はダスト吸入口46を兼ねる機構となる。これにより吸入されたダストは各ダスト排出口43から、排出ダスト44として排出される。この例では排出しっぱなしとなっているが、まとめてダストボックス等に集合させるものでもよい。
【0067】
なお、ダストトラップ22は、重力により下部に蓄積されたダストを対象とするため、ダスト吸入口46は内部の各流速ルートの下部に配置する。さらに、ファン7の作る流速の強さや流速分布と、内部の壁面の幾何学的構造によりつくられる壁面の流速や風圧によるダスト吸入口46の位置と大きさが決定される。このとき、イオン排出口47の排出量に大きく影響しない大きさとし、且つ、流速により与圧される位置としなければならない。これを実現するためには、必要であれば、図示しないが、流速ルートを制御する流速導入板や、流速抵抗板、流速集中板等を設けても良い。
【0068】
ここで、ファン7の回転数や風量を、ダスト排出のために、一時的に制御して、上記のダスト排出機能を補助することを行ってもよい。すなわち、一時的にイオンを発生させる電圧を停止し、イオン発生を停止する。その後、前述の自動清掃機能が付属されている場合は、電極等の清掃を行うが、このとき同時にゴミを飛ばすためにファンを回転させておいてもよい。一方で、機能がなければ次の制御を行う。しかる後に、ファンを何回か断続的に通常より強い強弱の回転で、内部全体をうねりのような風圧振動で流速を変化させる。これにより、通常より強い風圧と弱い風邪のうねりで流速振動を与えて、各所に着いたダストを脱落させることができる。
【0069】
さらに、ファン7に正逆回転機能のあるものを使用することも必要であれば行える。つまり前述の制御を正転で行い、ダストを風圧振動により清掃し、その後に、逆転で同等の制御を行う。これにより、幾何学的に流速方向性があり、風圧振動が至らないスポットについても補足することが可能となり、より、もれなくダストを清掃することが可能となる。
【0070】
図12(a)は異なる方式の自動清掃機能である。静電除去用のイオン発生などでよく使われるファンの円周上に針電極2を設置した場合の例である。ファン7の羽の一部に可動片49を設ける。可動片49はたとえば同図(b)のようにしてファン7に取り付けるが、この例で可動片49の下部にある突起は可動片49のヌケ止めおよび、可動部固定用となる。
【0071】
可動片49は、ファン7の回転方向Aのときは空気抵抗で立ち上がり、Bの方向では羽に密着するように先端に反りがもうけてある。この反り部にはやすり50が貼り付けてあり、同図(c)のように可動片49が立ちあがった状態で、やすり50と針電極2の先端がこすれるように回転する。これにより、針先端が清掃させる構造である。この構造では正逆回転をするファンを使用することが特徴である。通常の送風状態では正回転であり、可動片49はファンに密着状態であり、針に影響しないが、逆回転にしたときは可動片49がたちあがり、可動片49のやすり構造部で、針が清掃されるものである。
【0072】
図13は、風速や電圧によるイオンやオゾンの発生と電圧との相関イメージである。
図14は、同図をパターン展開し、風速と電圧により9種類のモードとした例である。
これらをもとに、負イオンやオゾンを、風速や電極の電圧をパラメータとして、より、目的に合致したバランスで提供することができる。その方法を以下にのべる。
【0073】
文献「大気中コロナ放電によるイオンの生成と発展の研究」(2011年、関本等)によれば、強電界で長寿命の窒素酸化物や炭酸系の負イオンが、弱電界では水酸化物イオン等が増大する傾向がる。また、なだれ現象で発生するイオンは針電極の電界を緩和するため、風速も影響する。
【0074】
電極に加える電圧は針先端の電界を決めるが、現実的な針電極の先端の曲率半径は10~数10μmと、放電による先端汚損のクリアランスを考慮すると、安定したイオンの発生電圧は概ね3kV~8kV程度となる。
【0075】
電極への風速であるが、なだれ現象による二次的なイオンが発生に風速は影響するため、放電型の静電除去器の多くは、イオン発生の制御パラメータの一つとして所定の風速手段を伴う。風速を制御して、針周辺に集中的に流速を収束させる提案等もされている。当社試験でも風速とイオン発生量は概ね一次近似的に増大方向となる。
【0076】
図13(a)は風速をパラメータとしたイオン発生量と電圧との相関イメージである。コロナ発生電圧V0を超えると、電圧とともにイオンの発生量が増大し、風速をあげるとさらに増大する。さらに概ねコロナ発生電圧V0より大きな電圧領域で酸素系やNOX系のイオンが大量に発生し、小さな電圧では水酸系イオンが微小であるが発生する様相をなす。
【0077】
図13(b)は電圧とオゾンの発生量のイメージであるが、オゾン発生は針先端の表面発光時から発生し、発光部のみ選択的に発生し、なだれ現象によるオゾンの発生はほぼない(「針対平板電極系コロナ放電場を利用したオゾン送風機構」(2007年川本等))とされている。このことから、オゾンは、ある電圧を超えてから発生し、単純に電圧で発生総量が決まり、風速に依存しない傾向がある。
【0078】
図13(c)は、風速をパラメータとした発生オゾン密度の相関イメージである。当然であるが風速を上げることにより薄められるのでオゾンの密度は低くなる。
【0079】
図14図13をパターン展開し、風速と電圧により9種類のモードとした例である。大まかにはこれらを元に、対象となる部屋にあわせて、発生時間等を割り振って、イオンとオゾンの時間による適正な発生を行う運転を、図14に設定が可能となる。
【0080】
これらから、本案では、電圧と風速を可変することにより、目標とするイオンやオゾンの様相を制御することにより、以下のように目的に適したイオンやオゾン適用ができる。
図14、モード11(微小イオン、微小オゾン)は、夜間に適用。
図14、モード22(中イオン、中オゾン)は、昼間に適用。
図14、モード33(多イオン、多オゾン)は、ターボモード等の緊急的な限定適用。
図14、モード31(中イオン、濃オゾン)は、装置内メンテナンスに適用。
等である。
【0081】
オゾンを目的とする場合は注意が必要である。電圧を上げ、風速を小とすれば、濃いオゾンが得られるが、これは排出口に子供等がいる場合に危険であり、一般的には風速をあげて濃度を薄めて発生させることになる。このとき、負イオンが不要であるならば、図示しないがプラス電位電極を内部に設けて、あらかじめ負イオンを内部で吸収することをしてもよい。
このように、本案によれば、電圧や風速を制御できるため、目的にあわせて、柔軟にイオンやオゾンの発生を調整することが可能となる。
【0082】
たとえば、外出する際に、おでかけモードとして、電圧を大きく上げてオゾン発生を主体に発生させ、あまり長時間オゾンを発生させるとリスクがあるのでタイマー要素をもたせて3時間で自動停止等の動作などが可能となる。
【0083】
負イオンだけを緊急に補充したい場合なども、たとえば、ターボモード等を設け、電圧はV0を少し超える程度としてオゾン量を抑え、風速だけを大きくする等で対応が可能となる。
【0084】
以上により、イオン風に依存せずに、電圧と風速をパラメータとして、目的とする動作を得られ、目的にあわせて使い分けることが可能となる。なお、本案では、これらの機能を効果的に適用するために、前述しているが時計機能を付加することを提案している。これにより、生活時間にあわせたイオンの供給が可能となり、無駄に定量のイオンを排出することなく、必要なときに必要な量だけのイオンを供給でき、適正に制御できるため、電極の損耗や、汚損を抑制することに貢献する。
【0085】
図15は、本案の種々の正負電位電源に関し、コッククロフトウォルトンの直流高電圧回路を図7に適用した例である。小型であり、途中の段から容易に目的とした電圧の電位を供給する構成として、各部の電位固定を柔軟に可能としている。
【0086】
ダイオード51とコンデンサ52は、コッククロフトウォルトン回路で昇圧された直流の負電源回路を構成する素子となる。パルストランス53と、パルス電源54は昇圧するための電源部である。この例では、コッククロフトの段数の多い負極の高電圧と、段数の比較的すくない低電圧の正極の電源を構成している。
【0087】
このうち低い負電位は、図15のコッククロフトウォルトン回路の途中の段から負電位を得らえる。正電位はコッククロフトウォルトンに並列した正電位発生回路を容易に追加するのみで可能となる。
【0088】
図16図15の正電位発生ブロックを削除し、負電位のみで構成したコッククロフトウォルトン回路で形成した本案の別の例である。電源としては小型であり、コッククロフトウォルトンの電源の一部で低電圧の負電位電源を形成できるので、一つの電源のタップのようにして適用することが可能となる。
【0089】
これにより、大型のトランスを使用せずに軽量、小型化が行える。また、従来例のように、対向電極18の電位が放電電流に依存することも、本案のコッククロフトウォルトンの中間電位により解決され、放電電流によらずに安定して供給が可能となる。
【0090】
図17は、従来が言及していない、イオン排出後にイオンの挙動を制御する例である。実際のイオン発生器は、イオンを発生した後の吸着や吸収、および反発についてあまり考慮していなかった。しかし、イオンの吸着再吸収がなければ、実は少量のイオンを排出しつづけるだけで充分ではあるため、この点に着目して対策を行っている。
【0091】
図17(a)は、現状でケース8が接地されている場合である。イオンの排出口のエッジ部は乱流により排出口の表面に沿うような流速が発生し、その部分の負イオンはケースに衝突して吸収消滅する。また、樹脂の場合も表面の帯電状態により、マイナス帯電が蓄積したり、プラスで吸収されたり、予想できない安定しない挙動を行う。
【0092】
図17(b)は、この対策を行い、安定動作をさせる構造である。前面絶縁板56の内部側の背面に補助反発電極55を設け、これに針電極の表面電界に影響を与えない程度のマイナス電位を与える。前述してきたように対向電極18にも、負イオンが吸収されないようにマイナス電位を与えているが、このときの電位は前面絶縁板56よりも高いマイナス電位を持たせている。これにより電界は一律に針電極2→対向電極8→補助反発電極55に方向を変えることなく形成され、負イオンは直線的に補助反発電極55に向かうこととなる。一方で、補助反発電極55を通過した負イオンは、補助反発電極55のマイナス電位と反発して外部に一律に向かう。なお、補助反発電極55と、対向電極18のマイナス電位を変えているが、同じでも良い。
補助反発電極55は、図4の説明でも述べたとおり、メッシュ構造の防炎構造として、放電による万が一の火災進展を防ぐ構造としても活用できる。
【0093】
図17(c)は、別の例である。この例では、電極が形成する電界で加速されて、負イオンが排出された後に、排出口の内側に反発する更に強いマイナス電位の補助反発電極55を置くことを特徴とする。具体的には、補助反発電極55に針電極2と同等、あるいは少し低いマイナス電位を与えて、負イオンの反発に充分なマイナス電位を与える。さらに、補助反発電極55にイオン通過穴を設けているが、この穴径Dは対向電極18の穴径dよりも大きくして、両者の電極は近接させる。これにより、電気力線は針の放電からシールドされる位置となり、針による放電に影響しない。一方で、対向電極18を越えたイオンは超えた瞬間に吸引力が反発力に変化し、ケースの前面から効果的にイオンが放出できるようになる。これにより、排出口周辺の乱流による、ケースへのイオン吸収や不安定挙動を防止する。
【0094】
図18(a)は、導電性の樹脂を使用し、筐体全体を高抵抗の導電性樹脂ケース57として、全体をマイナス電位とした例である。この場合、仮に正イオンが付着した帯電粒子が多量に存在すると、筐体全体に付着してしまうことになるため、そのようなことがない環境において有効となる。
【0095】
図18(b)は、筐体に電位を与えることでプラスやマイナスに帯電した粒子が付着しやすくなる欠点をなくすための例を示す。具体的には、筐体の電位を図8で言及した、交流電源33の交流中点用抵抗34を介した中点の電位に固定する。これにより、交流のマイナス半波でイオンが反発され、プラスの半波で吸収されることになるが、少なくとも50%の効果が得られる。また、除電装置のようにプラスとマイナスが均衡するため、筐体の電位は安定し、イオンの挙動も安定する。通常は筐体を接地することは困難な場合が多く、このように擬似接地で電位を固定することは有効となる。
【0096】
図19(a)は、負イオン発生器60に接続され、マイナス電位に固定された導電布59を内装し、表面をシート状絶縁物61で覆ったイオン反発シート58を設けた例である。シート状絶縁物61は負イオンを吸着しやすいように高抵抗の導電性レザー等でもよいが、汚損粒子を積極的に吸着するために洗浄しやすいものが好ましい。一方であまり導電性がありすぎるとマイナス電位が床面等に逃げて電圧低下し、あまり高絶縁だと表面が帯電してしまいイオン吸着性能に影響をあたえるので、適度な高抵抗の導電性とすることが重要である。床に触れて電気が逃げやすい裏面を高絶縁材料に、表面を導電性にするものでもよい。
【0097】
たとえば-1kV等のマイナス電位を供給する形態をとる。これにより、本体から発生した負イオンが、反発して床面に吸収されることを抑制し、部屋66の内部のイオンの密度を長時間にわたり維持できるため、本体から発生するイオンの量も節約することが可能となる。この例では床に設置しているが、カーテンのような壁に設置してもよい。
【0098】
図19(b)は、同図の構造説明図である。イオン反発シート58は本体から、極性切替スイッチ63により、正電源、負電源62、交流中点基準電位64の任意の電位を導電性布59に与えることができる。ここで、交流中点基準電位64は、確実な大地への接地手段が得られるなら接地でもよい。
【0099】
交流中点基準電位64は、すでに前述している準接地電位として扱う。まず、導電性布59の電位固定が安定せずにフロートすると大地に対する電位が不確定となり、イオンの吸収や反発に影響する。このため、基準電位となる大地の接地に対しての絶対的な電位が必要となる。この例では商用の交流電源33の中点の交流中点基準電位64を電位の基準として、安定した準接地電位として扱う。商用電源は二極の形端が必ず接地14に接続されるが、2Pのコンセントプラグ65の部分には極性がなく、接続者により極性が毎回変わるので、接地の確定は不可能である。接地端子付の3Pプラグであれば、接地14を使用しても良いが、二極変換プラグ等を使用して強制的に二極で使用された場合に、接地14がつけられずフロートしてしまう潜在的なリスクを伴う。
【0100】
交流中点基準電位64は、中点なので±50Vで商用周波数に応じて変動する準接地電位となるものの、容易に確実に得られる非常に安定した電位固定先であるため、本例では準接地電位として使用している。したがって、発生させるマイナス電位はこの±50V(ピークでは±71V)の準接地電位に対して、たとえば-1kV等の充分に高いものでなければならない。
【0101】
図19(c)は、イオン反発シート58の電位の極性を変えた制御の説明図である。
まず、極性切替スイッチ63が負電源62で負電位のときは、部屋66の床面にシートの負電位に反発して負イオンの吸着が防止され、同図左のように、部屋中に負イオンが効率的に充満し、同時に正帯電の粒子も負帯電とされる。負イオンの吸収が減少するため、イオン発生器の発生量も低く抑えることが可能となる。これにより、電極の汚損のサイクルも大幅に延長される。
【0102】
次に、充分に部屋66に負イオンが充満し、汚損粒子が負帯電されたしかる後に、極性切替スイッチ63をプラス電極側に切り替え、イオン反発シート58をプラス電位に切り替える。これにより、今度は積極的に負帯電粒子をひきつけ、吸収することになる。その結果として、同図右に示すように部屋中に充満した花粉の粒子や、汚損粒子を効率的に集塵し、清浄な空気にする空気清浄動作を部屋レベルで行うことが可能となる。たとえば、窓際や、換気口等の空気流入口にこのシステムを組み込む等も可能となる。イオン発生器は粉塵を帯電させることから、部屋66の物品の表面が汚れる欠点があるが、本案はこれを明らかな吸着部分を提供することで。積極的に解決するものでもある。
【0103】
このような微粒子を帯電させて、積極的に吸着させる空気清浄効果を局所でなく、部屋全体で行う場合は制御するタイミングが重要となる。まず、シートを負電位として負イオンの吸着防止機能で部屋66に負イオンを満たし、同時に部屋内に存在する微粒子を負帯電させる。このとき、充分な量の負イオンを排出し、もれなく粒子を負帯電させることが重要であるため、部屋66に適した大きさのイオン反発シート58と、その負電位のレベルを設定する。一定時間を置いて、部屋中が負イオンで充満され、微粒子もマイナスに帯電したとみなす時間が経過したしかる後に、イオン反発シート58の極性を本体で制御して反転させ、今度は、反発ではなく、吸収シートとして使用し、効果が得られるまで一定時間保持するものである。このとき図示しないが本体に外部ファンを連結して、部屋66の対流の制御を同時に行っても良い。必要であれば、これらのサイクルを数回繰り返すプログラムとして、本体から制御する。これらの動作はPM2.5センサ等と連動させて、自動で実施、自動で終了させてもよい。
【0104】
イオン発生器をこれらのイオン反発シート58と組合せて使用し、定期的に集塵を行ったり反発させてイオン濃度を維持したり、ある時間のみイオンの量を増やす等々の濃度管理、粉塵制御のプログラム制御動作も可能となる。
【0105】
図20は、イオン反発シート58を人体67に適用した場合の例である。
まず、同図(a)のように、イオン反発シート58を無電圧状態で運転する。これは前述した準接地電位のような電位を供給するものでもよい。これにより、負イオンを本体から発生させても、人体67に対して意図的なイオンの挙動はされないこととなる。この状態で負イオンを適正時間供給すると、空気中に存在する正イオンは消滅し、プラスに帯電された微粒子もマイナス帯電となる。仮に、イオン反発シート58に最初から負電位を与えると、空気中にある正イオンや、負帯電の微粒子も人体67に吸着させてしまうため、好ましくないので、この状態で正イオンや、プラスに帯電された微粒子が負帯電するまで、時間を待つものである。
【0106】
次に、同図(b)のように、イオン反発シート58に負電位を供給する。すると、コンデンサの原理で、人体67の表面には負電荷が顕在化し、空気中にある負イオンや、負帯電された微粒子は反発されて人体67に吸収されない状態を維持する。充分に負イオンが充満し、且つ、負帯電された微粒子が壁や床等に吸着されたとみなさるまでこの状態を維持する。
【0107】
さらに、同図(c)のように、イオン反発シート58に正電位を供給する。これにより、人体67の表面に正電荷が発生し、空気中にある負イオンは、所定量が人体67に吸収される。しかし、絶縁されたシートの場合はコンデンサと同じ原理のため、負イオンの人体67への蓄積量とイオン反発シート58の間のコンデンサ容量とのバランスがとられる部分で人体67の負イオンの吸収は収まる。この後に人体67がイオン反発シート58からはなれると吸収された電荷が、帯電として残り、人体67には若干の静電気が残るため、イオン反発シート58の人体67接触側、あるいは表面だけを高抵抗の導電性レザー等にしておくことが好ましい。
最後に、イオン反発シートの電位を接地、または前述の準接地状態に戻す。これにより、終了後に人体67に蓄積された電荷は放電される。
【0108】
図21は、前述のタイプにさらに、もう一つのイオン反発シート58を追加している。これは、空気中の帯電粒子等をさらに人体67に吸収させないための手段と、負イオンの所定量を維持する機能を追加した例である。
まず、同図(a)のように、負イオンを発生した状態で、正イオンや正帯電粒子を追加したシートを負電位にして吸収する。
【0109】
次に、同図(b)のように、追加シートを正電位として、負帯電した粒子を積極的に吸収して、空気中の汚損粒子を集塵して、結果的に空気を清浄化する。
さらに、同図(c)のように、追加シートを負電位にして、供給される負イオンが不要に吸収されないようにすることで大気中のイオンの濃度を維持する。
最後に、図示しないが、すべてのシートを接地、あるいは前述の準接地電位とすることで、人体67への電荷の帯電を防止する。
【0110】
図22は、図21において、人体67側のイオン反発シート58を、リストバンド電極68とした例である。導電性のリストバンド電極68により、人体67の電位を直接制御でき、且つ、動き回ることができるので、利便性があるものとなる。また、作業も可能となるので、自由度があがる。
【0111】
図23は前述したもう一つのイオン反発シート58をイオン反発電線69で構成したものである。電線で構成しているため、布設も容易で、製造も容易であり、自由に長さが変えられる特徴を有す。この電線の被覆を高抵抗の導電物で構成してもよい。この電線を、プラス電位、マイナス電位、あるいは、準接地電位とすることで、負イオンを効果的に生活に適用できるようになる。電線の電位を高く設定すれば、誘導で捕捉される範囲が広がるため、床面周囲に這わせることで容易にイオン反発による吸収防止の効果が得られる。
【0112】
図24は、室内に存在する商用電源等の誘導を利用した例である。これは上下をひっくりかえせば、正負を反転可能となる。マイナス電極71とプラス電極72の誘導電圧をダイオード51で極性を与えていため、電圧は安定しないが、電源は不要であり、メンテナンスも不要な単純構造のため、簡易的なイオン吸収防止シート、あるいは吸着シートとして有効である。放電抵抗70は二つの電極がコンデンサを構成するため、安全のための放電抵抗である。
【0113】
ここで補足であるが、自然界での負イオンが人体67に影響するためには、負イオンが人体67に付着して初めて効果や現象が発生する。たとえば、滝の近くで負イオンが発生した場合である。人体67は通常の絶縁状態では高抵抗で大地に接続されているため、ほぼ接地電位とみなせるので、発生した負イオンは容易に接地電位の人体67に吸収されることとなる。しかし、オフィスや家庭での床面や、さらに人体67がフローとしていると、人体67への負イオンの吸収が不安定となる。極端な例では、人体67がフローとしていると、負イオンが蓄積した時点で、マイナス電位が発生し、負イオンはこれを避ける方向で作用する。この問題は、前述したイオンの吸収を防止するためにマイナス電位を設けることの有効性をすでに述べているとおりである。
【0114】
しかしながら、人体67のフロートや人体67の帯電について、実際は非常に重要なポイントであるにかかわらず、負イオン発生器60の視点で述べられたものは少ない。本案は、この非常に重要である人体67のフローというパラメータについても言及しているものである。
【0115】
図25は、図19から派生した負イオン反発シートをオブジェ化し、より高電圧としたイオン反発オブジェ73である。イオンを吸収、あるいは反発する有効範囲は電圧が高ければ小さなものでも効果があり、その場合はこの例のようにイオン反発オブジェ73のようなものでもよい。例えば静電気に近い10kV等でも良い。通常は本体と組み合わせて制御するため、図示していない本体との制御線で接続して使用するが、単独で設置してもよい。その際に、オブジェ本体に電源をもたせて制御しても良く、本体から電位を供給しても良いが、高電圧を発生する場合は、オブジェ側に電源をもたせるほうが良い。
【0116】
オブジェ外郭75は陶磁器等で構成してもよく、その場合は導電性の陶磁器としてもよいが、安全な高抵抗値であり、さらに表面を清掃しやすい構造とするほうが好ましい。
【0117】
この例は準接地電位を、交流電源33と中点抵抗で構成し、その電位を基準にプラスの負極直流電源9を階層的に、3つの電極74に接続している。この構成では電気力線76は下から上へ向かうため、負イオンは上から下に重力方向にむきながら効率よく、オブジェ外郭75に吸着されていく。
【0118】
なお、この例ではプラス電位としているが、本体から制御できるものとしてよい。たとえば、図示されない本体内部の切替スイッチでマイナス電位や、プラス電位、準接地電位等をオブジェに与えて排出後の負イオンの挙動を制御する等も、前述同様に組み合わせて、複数でも実施できるものである。
また、オブジェとしての機能として電飾等で光らせてインテリアの一部となる機能をもたせてもよい。
【0119】
図26は、言及してきた機能をすべて付属してしまうと高価なものとなるため、安価なものとするために、自動清掃機能を手動タイプにする例である。
清掃ダイアル78をまわすことによるマニアル清掃としている。ダイアルを回すことでカム機構によりスライド清掃棒が左右に動作して、針電極の先端を清掃やすり82が清掃する。ここは清掃ブラシでもよい。たとえば動作時間の累積等から清掃促進ランプを点灯させ、位置センサ80により回転回数が所定にカウントされたら、清掃促進ランプが消灯する等の動作を行わせる。当然であるが、このときはセンサの一検出から、通常のイオン発生は停止させる。
【0120】
なお、ダイアルの所定位置はセンサにより感知されて管理されるとともに、図示しないロック機構等で担保され、さらにダイアルの基準位置マーク79により視覚的にわかるようにされる。これらにより、安価で単純な構成で自動清掃機能が実現できる。
【0121】
図27は、外部に排出したイオンを制御するための、風向制御に関する提案である。
ガイドストリームファンとしてシロッコファン83を新たに追加使用し、別ルートのシロッコファン83専用のシロッコファン入力空気85を導入する。これにより、シロッコファン83を出力部に設けた風効用傾斜物86により、装置内部で風向が定められ、外部に排出するときは大きなガイドストリーム84を形成する。
【0122】
この例でシロッコファン83としたのは、強力な風力が得られるためであり、目的が達成されるなら通常のファンでもよい。このガイドストリーム84に引っ張られることにより、負イオンを含む出力空気11も上部に向かって、且つ、遠方まで排出されるものである。
【0123】
これにより、発生した負イオンは遠方まで届く。負イオン発生器60の多くは風量を必要としないため、ファンをつけても微風にとどまり、さらに、床置きすると床に近いため発生したイオンが速やかに床に吸収されてしまう。このため、部屋66の上下左右の中央まで届く前に構造物などで消滅してしまう例も多いが、この機能により、負イオンは部屋66の中央までほぼ減衰することなく届くことになる。
【0124】
一方で、オゾンを発生する場合の部屋66への拡散にも効用がある。オゾンの効果をえるには局所てきではなく全体的にオゾンを充満させる必要があるが、通常の風量では部屋66の隅まで届かないため、この機能は有用である。オゾンの濃度を拡販により薄めることにも効果的となる。また、床置きできるため、専用の台、高所に置く等の制限がなくなり、自由に部屋66にセッティングが可能となる。
【符号の説明】
【0125】
1 円筒状電極
針電
3 高電圧発生器
4 カートリッジ
5 オゾナイザ
6 オゾン分解触媒
7 ファン
8 ケース
9 負極直流電源
10 入力空気
11 出力空気
12 交流電源
13 トランス
14 接地
15 コンデンサ
16 ダイオード
17 放電抵抗
18 対向電極
19 対向電極保護抵抗
20 ケース電極保護抵抗
21 プレフィルタ
22 ダストトラップ
23 負イオン
24 集塵電極
25 還流通路
26 帯電粒子トラップ電極
27 トラップ電極保護抵抗
28 導電性光触媒フィルタ
29 紫外線LED
30 正イオン
31 直流電源(プラス電位用)
32 光触媒保護抵抗
33 交流電源
34 交流中点用抵抗
35 ソレノイド
36 摺動ロッド
37 摺動バネ連結部
38 摺動清掃バネ
39 摺動バネ背面板
40 回転清掃板
41 回転清掃ブラシ
42 回転ロッド
43 ダスト排出口
44 排出ダスト
45 排出ダストの流れ
46 ダスト吸入口
47 イオン排出口
48 吸入口
49 可動片
50 やすり
51 ダイオード
52 コンデンサ
53 パルストランス
54 パルス電源
55 補助反発電極
56 前面絶縁板
57 導電性樹脂ケース
58 イオン反発シート
59 導電性布
60 負イオン発生器
61 シート状絶縁物
62 正負電源
63 極性切替スイッチ
64 交流中点基準電位
65 コンセントプラグ
66 部屋
67 人体
68 リストバンド電極
69 イオン反発電線
70 放電抵抗
71 マイナス電極
72 プラス電極
73 イオン反発オブジェ
74 電極
75 オブジェ外郭
76 電気力線
77 スライド清掃棒
78 清掃ダイアル
79 基準位置マーク
80 位置センサ
81 スライドカム
82 清掃やすり
83 シロッコファン
84 ガイドストリーム
85 シロッコファン入力空気
86 風向用傾斜物
図1
図2
図3
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図5
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図22
図23
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図25
図26
図27