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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】排水弁調節方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20220412BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
A61M27/00
A61M1/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019541276
(86)(22)【出願日】2018-02-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018052544
(87)【国際公開番号】W WO2018141859
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】1750840
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516075983
【氏名又は名称】ソフィサ
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ネーグル,フィリップ
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530052(JP,A)
【文献】特開2011-092729(JP,A)
【文献】特開2014-171903(JP,A)
【文献】特開2012-040388(JP,A)
【文献】特開2010-240408(JP,A)
【文献】特開2015-066443(JP,A)
【文献】米国特許第05643194(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み型弁であって、
- 内部チャンバを定義する本体(4)、
- 前記内部チャンバの側壁に形成され、且つ液体供給カテーテル及び液体排出カテーテルにそれぞれ接続可能な流入導管及び排出導管、
- 前記内部チャンバ内で回転軸(R)周りに回転可能なロータ(5)であって、前記ロータは、前記ロータのロック位置とロック解除位置との間を移動可能な少なくとも1つのマイクロ磁石(6)を有し、それらの位置で、それは前記ロータの回転をそれぞれ禁止及び許可し、前記ロータの回転は、弁の開口圧力を修正する、前記ロータ、
- シャッター、
- 前記内部チャンバ内への液体の通過を調整し且つ適切な場合には遮断するように前記シャッターをその座部において圧縮する弾性戻り部材
を有する前記埋め込み型弁と、
前記弁の開口圧力を調節する為の装置であって、
- 軸Xのロケータ容器(34)を定義する弁ロケータ(12)、
- アクチュエータ磁石(72)付きのアクチュエータ(50)を有するキー(16)であって、前記アクチュエータは、軸Xに沿って、前記ロケータ容器内に第1挿入深さ及び第1挿入深さ未満の第2挿入深さまで挿入可能であり、前記調節する為の装置は、前記アクチュエータが前記第2挿入深さにある軸X周りの前記アクチュエータの少なくとも1つの角度位置から軸X周りの前記アクチュエータの回転を案内するガイド(52、54)を有する、前記キー
を有する前記調節する為の装置と
を有する処置装置において、
前記ロケータの窓(26)に配置された弁が患者の皮膚の下に植え込まれたところの患者の皮膚にくっつけて前記ロケータが配置される場合、前記第1挿入深さで前記ロータのロック解除をし且つ前記第2挿入深さで前記ロータに回転結合されるように設計された磁場を前記アクチュエータ磁石は作用させる、
前記処装置。
【請求項2】
前記ガイドは、前記軸Xに対して略直角の回転面において、前記アクチュエータが前記第2挿入深さにある前記軸X周りの前記アクチュエータの任意の角度位置から前記軸X周りの前記アクチュエータの回転を案内するように構成されている、請求項1に記載の処置装置。
【請求項3】
前記軸Xに沿って測定された前記第1挿入深さと前記第2挿入深さとの差が5ミリメートルより大きい、請求項1又は2に記載の処置装置。
【請求項4】
前記第1及び第2挿入深さをそれぞれ定義する第1(96、94、92)及び第2(52、54)止めを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の処置装置。
【請求項5】
前記キーは、前記アクチュエータが前記キーの軸Yに沿って平行移動可能にその上に搭載されたところのブースタ(52)を有し、前記キーが前記ロケータ容器に挿入された場合、前記軸Yは、前記ロケータ容器の前記軸Xと一致する、請求項1~4のいずれか1項に記載の処置装置。
【請求項6】
前記第2挿入深さを超えた前記軸Yに沿った前記アクチュエータの挿入に抵抗するように、前記アクチュエータと前記ブースタとの間に置かれた1つのばね(54)又は前記アクチュエータと前記ロケータとの間に置かれた1つのばね(100)を有する、請求項5に記載の処置装置。
【請求項7】
前記1つのばねは、前記軸X及び/又は前記軸Yに平行な軸に沿って、或いは前記軸X又は前記軸Yに直角な平面内に延在する、請求項6に記載の処置装置。
【請求項8】
前記ばねは容器内に収容され、且つ、前記容器の開口部の側で、スタブを前記軸Xに向かって又は前記軸Yに向かって押すように構成されている、請求項6又は7に記載の処置装置。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記軸Yに沿って前記ブースタ上を並進で案内される、請求項5~8のいずれか1項に記載の処置装置。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータ磁石(72)がその上にしっかりと固定されたところの支持体(56)と、前記ブースタ(52)に相対的に、前記軸Yに沿って平行移動可能に搭載されたフランジ(59)、及び前記フランジに相対的に、前記軸Yに直角な支持体の変位を許可する一方で、前記フランジに相対的に、前記軸Yに沿った支持体の任意の変位を防止する手段(82、85)を有する、請求項5~のいずれか1項に記載の処置装置。
【請求項11】
前記アクチュエータ磁石は、前記弁が外気中にあり且つ前記ロケータが前記弁の前記ロータの回転軸に対して直角に配置された場合、
- 前記アクチュエータ磁石が前記ロータから20mm未満の距離にある場合にのみ前記ロータをロック解除し、及び/又は
- 前記アクチュエータ磁石が前記ロータから30mm未満の距離にある場合にのみ前記ロータに回転結合するように設計された磁場を及ぼすように構成されている、
請求項1~10のいずれか1項に記載の処置装置。
【請求項12】
前記アクチュエータは、ハルバッハ構成で配置された一セットの磁石(72)を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の処置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療用途の為に意図された排液弁、特に水頭症の処置の為に意図された排液弁を調節する方法、及びそのような調節を実行する為の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水頭症の処置は、脳室又は腰椎くも膜下腔に含まれる脳脊髄液(CSF)を吸収部位、例えば腹膜腔、に流すことを含む。
【0003】
本出願人による欧州特許第688575号明細書は、この処置に適した弁を開示している。特に、この弁は、
- 略円筒形で平坦な内部チャンバを定義する本体、
- チャンバの側壁に形成され、それぞれ液体供給カテーテル及び液体排出カテーテルに接続可能な流入導管及び排出導管、
- チャンバ内でその中心軸を中心に回転可能なロータ、
- 流入導管の内側端部に配置された、ボールのような「逆流防止弁」と呼ばれるシャッター、
- 弾性戻り部材、この場合、チャンバの側壁と平行にロータに固定され、流入導管を介してチャンバ内への液体の通過を調整、適切な場合、遮断するようにシャッターをその座部において圧縮する、好ましくは半円形の湾曲した板を有するばね、
を有する。
【0004】
ロータの回転は板ばね上のボールの接触点の摺動を生じさせるので、開口圧力の修正を生じさせる。
【0005】
欧州特許第688575号明細書の弁は、ロータに搭載され、チャンバの中心軸の両側に配置された2つのマイクロ磁石を有する。これら2つのマイクロ磁石は、欧州特許第688575号明細書において「弁を調節する為の外部装置」と呼ばれ、操作者によって操作される磁気キーに磁気的に結合することができる。磁気キーは、磁石の組み合わせからなる磁気バーを有する。従って、磁気キーは、外側から皮膚組織を通して、ロータの角度位置、従って、「開口圧力」と呼ばれる、流入導管を解放する為に液体がシャッターを動かすことを可能にする最小圧力を修正することを可能にする。
【0006】
ロータのマイクロ磁石は、ロータ内でその略半径方向に直線的に移動可能である。キーが存在しない場合、2つのマイクロ磁石は、例えば、相互の引力によって、ロータのロックする位置に保持される。特に、2つのマイクロ磁石は、チャンバ内に円形に形成されたキャビティ内にそれぞれの突起を維持することができる。キーの磁気効果の下で、2つのマイクロ磁石は、例えば、突起をキャビティから引き出すことによって、ロータのロック解除位置に移動する。
【0007】
同じキーは、ロータのロック解除をしてから回転駆動させる為に有利に使用可能である。
【0008】
実際には、本発明者は、ロータの駆動が常に信頼できるとは限らないことを見出した。さらに、高出力の磁気キーを使用しても、ロック解除は面倒になりうる。従って、より信頼性の高い調節方法及び調節装置が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、この必要性に少なくとも部分的に対応することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特に水頭症の処置を目的とした埋め込み型弁、特に欧州特許第688575号明細書又は欧州特許第3046614号明細書に記載の弁、の開口圧力を調節する方法であって、弁は回転軸Rのロータを有し、その角度位置が開口圧力を決定し、該ロータは、該ロータのロック位置とロック解除位置との間で移動可能なロータマイクロ磁石を有し、それらの位置においてマイクロ磁石はそれぞれロータの回転を禁止及び許可し、該方法は、
a)ロケータ内に形成されたロケータ容器の軸Xをロータの回転軸Rと位置合わせし、ロケータを回転軸R周りの所定の角度位置に向けるようにロケータを配置すること、
b)ロケータに対する回転軸R周りのロータの角度位置を決定すること、
c)磁石を有するアクチュエータを軸Xに沿って第1挿入深さまでロケータ容器に挿入すること、
d)第1挿入深さ未満の第2挿入深さまで、軸Xに沿ってロケータ容器からアクチュエータを部分的に引き出すこと、
e)第2挿入深さを起点にアクチュエータを回転させること、好ましくはアクチュエータを第2挿入深さで維持すること、
f)好ましくはロケータ容器からアクチュエータを完全に引き抜くことによって、アクチュエータを弁から分離すること
の連続する工程を含む上記方法を提供する。
【0011】
驚くべきことに、本発明者は、挿入深さに応じて、ロータのマイクロ磁石とアクチュエータ磁石との間の磁気的結合効果が、ロータをロック解除又は駆動する為により有利であることを見出した。特に、第1挿入深さは、ロック解除に、特に好都合であり、一方、第2挿入深さは、ロータを駆動する為により好都合である。従って、実際には、操作者がそれのロック解除前記する為にアクチュエータを押し、次に、それを回転させ開口圧力を調整する前に、それを部分的に引き出すだけで十分である。
【0012】
好ましくは、ステップa)では、所定の角度位置に到達する為に、弁はロケータの窓(window)に配置され、窓は、弁がその中に収容されている場合、弁と窓の配向軸O及びOは実質的に互いに平行で、そして弁のロータの回転軸Rと軸Xは実質的に一致するように構成されている。
【0013】
一つの実施形態において、本発明に従う方法は、患者の皮膚の下に埋め込まれた弁を調節する為に使用される。
【0014】
本発明はまた、埋め込み型弁、特に水頭症の処置の為の埋め込み型弁、の開口圧力を調節する為の装置に関する。その装置は、
- 軸Xのロケータ容器を定義する弁ロケータ、
- アクチュエータ磁石付きのアクチュエータを有するキーを有し、該アクチュエータは、該軸Xに沿って、第1挿入深さ及び第1挿入深さ未満の第2挿入深さまでロケータ容器に挿入可能であり、
該装置は、該軸X周りの該アクチュエータの少なくとも1つの角度位置から、好ましくは、軸X周りのアクチュエータの任意の角度位置から、該軸X周りの該アクチュエータの回転を案内する為のガイドを有し、該アクチュエータは、第2挿入深さ、好ましくは該軸Xに対して略直角の回転面内にある。
【0015】
従って、アクチュエータの少なくとも1つの角度位置から、操作者は、案内された方法で軸X周りでアクチュエータを回転することができる。この回転中のアクチュエータの動きは、必ずしも軸X周りの単純な回転である必要はなく、その代わりに、例えば、軸Xに沿った並進及び/又は別の回転と組み合わせることができる。ただし、この回転中のアクチュエータの動きは、軸X周りの単純な回転であることが好ましい。
【0016】
語「案内する」は、軸X周りにアクチュエータを単に回転させようとする操作者が、アクチュエータに所定の動きを与えることを意味する。ただし、操作者は案内をやめても良い。例えば、以下で詳細に説明される実施形態において、操作者は、ロケータ容器に入れる為に、アクチュエータを押すことができる。
【0017】
本発明に従う装置は、特に、本発明に従う調節方法を実施する為に使用されることができる。
【0018】
また、1つ以上の以下の任意の特徴を有することもできる。
- 装置は、軸X周りのアクチュエータの少なくとも1つの角度位置から、好ましくは軸X周りのアクチュエータの任意の角度位置から、第1挿入深さまで、好ましくは、軸Xに直角な回転面内に軸X周りのキーの回転を案内するガイドを有する、
- 軸Xに沿って測定した第1挿入深さと第2挿入深さとの差は、2mm、3mm、4mm、5mmより大きく、及び/又は15mm、12mm、10mm、8mm、7mm、又は6mm未満である、
- キーは、アクチュエータが該キーの軸Yに沿って平行移動可能にその上に搭載されたところのブースタを有し、該キーがロケータ容器に挿入された場合、該軸Yは、該ロケータ容器の軸Xと一致する、
- 該アクチュエータは、軸Yに沿ってブースタ上で並進で案内される、
- 該装置は、好ましくは、軸X周りのアクチュエータの角度位置に関係なく、ロケータ容器へのアクチュエータの挿入を制限する第1止め、又は「下向き止め」又は「下方止め」を有し、第1止めは、第1挿入深さを定義し、好ましくは、ロケータ容器の底部又はキーのブースタの底部によって形成される、
- 該装置は、第2挿入深さを定義しロケータ容器からのアクチュエータの引きを制限し、及び/又は第2挿入深さでアクチュエータの回転を案内する第2止め、又は「上向き止め」又は「上方止め」有する、
- 第2止めは、軸X周りのアクチュエータの回転を案内する為のガイドを構成する、
- 該装置は、好ましくは、ばね、より好ましくは、アクチュエータをロケータ容器に挿入する為の押しの影響下で圧縮可能であり、押しがない場合にアクチュエータを第2挿入深さで維持する格納式ばねを有する、
- ばねは、好ましくは、軸X及び/又は軸Yに略平行な軸に沿って延在する、
- 第1止め及び/又は第2止めは、好ましくは、軸X周りのアクチュエータの角度位置とは無関係に作動するように形成される、
- キーは、好ましくは、アクチュエータが軸Yに沿って移動可能なブースタを有し、ばねは、軸Yに沿って、第2挿入深さを超えた、アクチュエータの挿入に抵抗するように、アクチュエータとブースタの間、又はアクチュエータとロケータの間に置かれる、
- アクチュエータは、ハルバッハ構成で配置された磁石のセットを有する、
- アクチュエータは、アクチュエータ磁石がその上にしっかりと固定されたところの支持体、ブースタに相対的に、軸Yに沿って平行移動可能に搭載されたフランジ、及び該フランジに相対的に、軸Yに直角に支持体の変位を許可する一方で、該フランジに相対的に軸Yに沿った支持体の任意の変位を防止する手段を有する。
【0019】
上記特徴は、相互に又は、以下の1つ以上の特徴と組み合わせることができる。
【0020】
本発明はまた、下記を有する処置装置であって、
- 内部チャンバを定義する本体、
- 該内部チャンバの側壁に形成され、且つ液体供給カテーテル及び液体排出カテーテルにそれぞれ接続可能な流入導管及び排出導管、
- 内部チャンバ内で回転軸R周りに回転可能なロータであって、該ロータは、該ロータのロック位置とロック解除位置との間を移動可能なマイクロ磁石を有し、それらの位置で、それは該ロータの回転をそれぞれ禁止及び許可し、
- シャッター、
- 内部チャンバ内への液体の通過を調整し且つ適切な場合には遮断するように該シャッターをその座部において圧縮する弾性戻り部材
を有する該埋め込み型弁、
並びに、
該弁の開口圧力を調整する為の装置であって、本発明に従う該調整する為の装置
を有する上記処置装置に関する。
【0021】
弁は、特に、欧州特許第688575号明細書又は欧州特許第3046614号明細書に記載されている弁の特徴の1つ以上を有することができる。特に、ロータに搭載され、ロータの軸の両側に配置された正確には2つのマイクロ磁石を有することが好ましい。
【0022】
ロータの回転、好ましくは、ロータの任意の回転は、弾性戻り部材によるシャッターの圧縮を修正するので、弁の開口圧力を修正する。
【0023】
好ましくは、ロータは、回転軸周りの回転移動のみ可能である。特に、この軸に沿って平行移動はできない。
【0024】
好ましい実施形態において、アクチュエータ磁石は、ロケータの窓に配置された弁が患者の皮膚の下に埋め込まれたところの患者の皮膚にくっつけて該ロケータが配置される場合、第1挿入深さで該ロータのロック解除をし且つ該第2挿入深さで該ロータに回転結合されるように設計された磁場を該アクチュエータ磁石は作用させる。
【0025】
好ましくは、該アクチュエータ磁石は、弁が外気中にあり、ロケータが弁のロータの回転軸に対して直角に配置された場合、
-アクチュエータ磁石がロータから20mm、15mm、12mm、又はさらには10mm未満、の距離にある場合にのみ該ロータをロック解除し、及び/又は
-アクチュエータ磁石がロータから30mm、25mm、20mm、18mm又は16mm未満、の距離にある場合にのみ該ロータに回転結合されるように設計された磁場を及ぼすように構成されている。
【0026】
- 形容詞「上の」、「下の」、「最下の」、又は「最上の」、又は前置詞「上に」及び「下に」は、軸Xに平行な図1bの方向Vで表される、垂直方向に対する位置を示す。
- 別段の指示がない限り、動詞「有する」、「含む」、又は「成る」は、広くそして非限定的な意味で解釈されなければならない。
- 別段の指示がない限り、「円筒形の」とは、円形断面の円柱を指す。
- 変位は、段階的に、つまり2つの連続したインデックス位置間の「ジャンプ」によって実行される場合、「インデックス付き」又は「個別の」と呼ばれる。
- 構成要素は、他の構成要素の表面からもはや突き出さないように他の構成要素の中に後退できる場合、「格納式」と呼ばれる。
- 「下方」止めは、ロケータ容器へのアクチュエータの挿入を制限する部材である。
- 「上方」止めは、ロケータ容器からのアクチュエータの引き、特にブースタからの引き、を制限する部材である。
- 別段の指示がない限り、穴は貫通穴又は止まり穴になりうる。
- 第1の構成要素は、第2の構成要素の変位を課すことができる場合、第2の構成要素を案内するように構成されている。一構成要素を別の構成要素に対して並進に及び/又は回転して案内することを確実にする技術的解決策は、当業者にはよく知られている。本発明は、一つの特定の技術的解決策に限定されない。
- アクチュエータの「挿入深さが起点の回転」とは、アクチュエータの角度位置に関係なく、挿入深さまで挿入されたアクチュエータの位置が起点の回転である。
- ロケータの配向軸は、弁に対するロケータの角度位置を定義する為に使用できるロケータ軸である。同様に、弁の配向軸は、ロケータに対する弁の角度位置を定義する為に使用できる弁軸である。
- 「開口圧力」は、弁のロータの位置で、弾性戻り部材がシャッターに及ぼす応力に逆らってシャッターを動かすのに必要な最小圧力に対応する。
- 「ばね」は、任意の弾性手段、特に、らせんばね、板ばね、又は弾性変形可能な材料のブロックとして理解される。
- 語「マイクロ磁石」は、ロータの磁石とアクチュエータ磁石を区別する為に、明確にする為に使用される。図に示されているように、実際には、ロータの磁石はアクチュエータ磁石よりもはるかに小さい。従って、「マイクロ」は制限されません。
【0027】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を読むことから、そして詳細な図面を検討することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明に従う方法の実施において連続的に採用された構成の本発明に従う装置を示す。
図2図2は、本発明に従う方法の実施において連続的に採用された構成の本発明に従う装置を示す。
図3図3は、本発明に従う方法の実施において連続的に採用された構成の本発明に従う装置を示す。
図4図4は、本発明に従う方法の実施において連続的に採用された構成の本発明に従う装置を示す。
図5図5は、本発明に従う方法の実施において連続的に採用された構成の本発明に従う装置を示す。
図6図6は、本発明に従う方法の実施において連続的に採用された構成の本発明に従う装置を示す。
図7図7は、本発明の第2の実施形態におけるロケータの斜視図を示す。
図8図8は、アクチュエータの下部位置と上部位置における、図1図6の本発明に従う装置の磁気キーを示す。
図9図9は、アクチュエータの下部位置と上部位置における、図1図6の本発明に従う装置の磁気キーを示す。
【0029】
各図は、下記を含む:
- 斜視図(「a」と表示)、
- 「c」図に示されている平面断面に沿った断面図(「b」と表示)、及び
- 平面図(「c」と表示)。
【0030】
様々な図において、同一又は類似の要素を指定する為に同一の参照番号が使用されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】

示された弁2は、欧州特許第688575号明細書又は欧州特許第3046614号明細書記載されている種類の弁である。
【0032】
図において、明確にする為に、本体4、ロータ5、及びロータ5の2つのマイクロ磁石6のみが示されている。欧州特許第688575号明細書及び欧州特許第3046614号明細書は、そのような弁の操作を詳細に説明している。
【0033】
装置
示された本発明に従う調節装置は、ロケータ12、任意で読み取り器具、一般にコンパス(図示せず)、及びキー16すなわち「調節器具」を有する。
【0034】
ロケータ
ロケータ12(「セレクタ」又は「位置決め器具」と呼ばれる場合がある)は、軸Xの皿状の一般的な形状を有する。それは軸Xに対し直角に延び、略平らな上面22と下面22を定義する底部22を有する。底部22の略中央に窓26が切り取られている。
【0035】
窓26は、上方視で弁2、好ましくは、弁に任意に接続された付属品、特に、上流タンク及び下流サイホン防止装置の一般的な形状を有する。窓の寸法は、弁、及び付属品を窓から触ることによって位置を特定できるように適合され、それは、該弁に気付かなくても、ロケータが弁に対して正確な位置に配置されることを許す。特に、窓26及び弁2の長さを定義する軸(弁2の入口及び出口を結ぶ軸)は、それぞれ配向軸O及びOを構成し、従って、それは、図1図6のように、容易に互いに平行に向けられることができる。従って、窓26は、位置決め穴である。
【0036】
一つの実施形態において、弁上のロケータ12の位置決めを改善するように、レリーフ28は下面22から突出する。レリーフは好ましくは、弁の跡の輪郭を描き、それは、弁に対するロケータの不動化を改善する。しかしながら、下面22は、好ましくは平坦であり、これにより、ロケータの底部と弁との間の距離が最小になり、従って弁の調節が容易になる。
【0037】
底部22は、底部22の周囲で、底部22から上方に延在する軸Xの円筒形側壁32によって囲まれている。以下で詳細に説明されるように、側壁32は、軸Xに沿ったキー16の挿入、及び軸X周りのキーの回転を案内するように構成されたロケータ容器34を定義する。
【0038】
側壁32は、放射状内面32ri及び放射状外面32reを定義する。軸Xに平行に延び、軸X周りに規則的に分布されたガイド溝38は、例えば、15度ごとに放射状内面32riに形成される。これらの溝は、直径に沿って並べられ、キーの側面から突出する2つの弾性的格納式ボールと連携するように構成されている。キーの回転中、ボールは、ボールがガイド溝38に入る2つの連続した位置の間で引っ込む。2つの連続した角度位置間の角度オフセットは例えば、15°である。キーの回転中、可聴クリック音及び/又はガイド溝内のボールの係合により生じる触覚により、上記角度位置のいずれかに到達するたびに、操作者に警告される。
【0039】
側壁32の上面は、位置マーク42を有する読み帯40を有し、位置マーク42は、軸X周りに均一に、好ましくは、軸X周りに360度分布されている。2つの位置マーク42間の角度オフセットは、2つのガイド溝38間の角度オフセットに対応することが好ましい。位置マーク42は、開口圧力値を表すことが好ましい。この場合、これらの位置マークは、弁の開口圧力を20~420mmHO間の値に調節できることを示す。
【0040】
マーカ43、すなわち、この場合にマーク「140mmHO」に重ねられた位置合わせられた「方向矢印」、は、窓26の方向を示し、それは、ロケータが液体の流れの方向に向けられることを許す。
【0041】
示された実施形態において、回転リング44は、側壁32上に軸X周りに回転可能に搭載されている。回転リング44は、操作者が一つの位置マーク42の反対側に配置できる位置マーカ45を担持する。従って、図1aでは、位置マーカ45は位置マーク「70」の反対側に配置されている。好ましくは、回転リング44の変位は、好ましくは、位置マーカ45が位置マーク42の反対側にのみ置かれるように、インデックス付けされる。くぼみ機構は、例えば、側壁32を弾性的に圧迫する頭部が側壁32上に形成された対応する規則的に間隔を空けた凹部に入る弾性舌部を有する従来の機構でよい。
【0042】
回転リング44は、操作者による回転を容易にする為に切り欠かれていることが好ましい。
【0043】
読み取り器具
読み取り器具は、特に、欧州特許第2192944号明細書又は欧州特許第2218952号明細書に記載されているコンパス、磁気コンパス、又は欧州特許第231010号明細書に記載されている電子コンパスでありうる。
【0044】
キー
キー16は、軸Y(図では軸Xと一致する)のアクチュエータ50とブースタ52を有する。ブースタ52とアクチュエータ50との間には、軸Yに沿ってそれらが一体になることを抵抗するように、1つ、好ましくは、いくつかのコイルばね54が置かれる。
【0045】
アクチュエータ50は、支持体56及び、アクチュエータ磁石のセットを担持し支持体56に固定されたフランジ59によって支持体56に固定された軸δ58の磁気バー58を有する。
【0046】
ハンドル62は、軸Yに対して放射状に延在するプレート60の上面60sから突出する。ハンドル62は、磁気バー58の磁気配向を示す磁気配向表示器64を担持する。キーがロケータ容器に挿入され、それを回転駆動するようにロータ5のマイクロ磁石6に磁気的に結合されると、磁気配向表示器64は、弁の開口圧力を示す位置マーク42を指す。
【0047】
概して平坦なプレート60の下面60は、磁気バー58を受ける容器66と、フランジ59の支持体56への固定を容易にするレリーフ67とを定義する。軸δ58と磁気配向表示器64は、軸Yと同一平面上にあることが好ましい。従って、磁気配向表示器64の観察により、軸Y周りの磁気バー58の配向を決めることが可能になる。
【0048】
磁気バー58の磁石72は、ロータのロック解除をしてそれを回転駆動させる為に、弁のロータのマイクロ磁石を動かすことができる磁場を生成するように配置される。従って、磁石72の配置は、弁のロータのマイクロ磁石6の位置及び配置に従って決定されなければならない。
【0049】
この目的の為にマイクロ磁石6の配置に従って磁気バー58を適合させることは、特定の困難をもたらさない。
【0050】
好ましくは、最適な効率の為に、磁石72は、軸Yを通過し磁気バーの軸δ58を含む平面、又は「最大磁場平面」内で最大な、磁場を生成するように配置される。
【0051】
好ましくは、磁石72は、生成された磁場が最大磁場平面に対して、そして最大磁場平面に直角で軸Yを通る平面に対して対称となるように配置される。
【0052】
好ましくは、一セットの磁石72は、南北軸が軸Yに対して放射状である「放射状磁石72」と呼ばれる少なくとも1つ、少なくとも2つ、好ましくは、3つの磁石を有する。
【0053】
好ましくは、一セットの磁石72は、南北軸が軸Yに平行である磁石、すなわち「縦磁石」72、を少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、好ましくは4つ、有する。
【0054】
好ましくは、各放射状磁石72は、2つの縦磁石72の間に挟まれる。より好ましくは、磁気バーの軸δ58に沿って、磁石は次の順、すなわち、72、72、72、72(軸Yを中心とする磁石)、72、72及び72である。
【0055】
より好ましくは、2つの磁石72が放射状磁石72を挟む場合、それらの磁気配向は逆になる。言い換えれば、これらの縦磁石の最初のものはS極の上にN極を有し、これらの磁石のもう一方はN極の上にS極を有する。
【0056】
より好ましくは、2つの放射状磁石72が縦磁石72を挟む場合、それらの磁気配向は逆になる。換言すれば、(縦磁石によって分離されている)これらの互いに向き合う放射状磁石の極は同じ性質のものであり、例えば2つのN極又は2つのS極である。
【0057】
好ましくは、全ての磁石72は、軸Yに沿って測定された同一の長さを有する。
【0058】
好ましくは、軸δ58に沿って測定された磁石72の幅は、問題の磁石72が軸Yに近付くほど小さくなる。好ましくは、磁石72はハルバッハ構成に配置される。本発明者は、この構成が特に効果的であることを見出した。
【0059】
好ましくは、アクチュエータは、磁石72が固定された下面に、ソール74、好ましくは、略長方形の立方体を有する。ソール74は、好ましくは、金属製であり、好ましくは、軸Yに直角な平面内に、好ましくは磁気バーの軸δ58に従って、延在する。
【0060】
軸Yに直角な平面内でのソール74のあらゆる変位は、ソール74と支持体56の容器66との間の一致する形状によって妨げられる(図2b及び図5bを参照)。
【0061】
軸Yに平行なソール74のあらゆる変位は、固定ねじ82によって、容器66の底部に対して留められているソール74によって妨げられる。
【0062】
より具体的には、ソール74は、2つの肩83を形成するように磁石72を超えて横方向に延在する。フランジ59は、磁石72がフランジ59の下面から突出することができるオリフィスによって貫通される。しかしながら、角ブラケットは、角ブラケットが肩83を圧迫することができるように、オリフィスを定義する面に形成される。フランジ59を支持体56に固定する為の各固定ねじ82は、フランジ59のオリフィス85を通過して支持体のそれぞれの穴にねじ止めされる。各固定ねじ82は、ソール74を容器66に押し込むように、フランジ59の略平坦な下面に当接する頭84を有する。
【0063】
しかしながら、好ましい実施形態において、フランジ59を支持体56に固定することにより、支持体、従って支持体56にしっかりと固定された磁気バー58の並進が、フランジ59に相対的に、好ましくは磁気バーの軸δ58に沿って、可能となる。この目的の為に、オリフィス85は、好ましくは、長円形断面のものであり、断面の長軸は並進方向に平行である(図8b及び図9b)。そして、図8b及び図9bに示されるように、頭84は、オリフィス85がフランジ59の下面で開口する開口の側縁86のみを圧迫する。
【0064】
ブースタ
ブースタ52は、軸Yに沿ってアクチュエータ50の並進を案内することを意図されている。
【0065】
それは、軸Yの固体ディスクの形状を有するブースタ底部92と、上部のスカート96で終点となる基部94を有する。基部94は、アクチュエータが軸Yに沿って動かされるときに一セットの磁石72を受けるのに適したキャビティ98を底部92と定義するように穿孔される。
【0066】
基部94の上面はまた、フランジを支持体に固定する為のねじの頭84を受ける為のオリフィス97を定義する。
【0067】
スカート96の放射状内面96ri及び/又はキャビティ98の側面98は、フランジ59の放射状外面59re及び一セットの磁石72の側面72とそれぞれ協働して、軸Yに沿って、ブースタの底部92に向かってアクチュエータの動きを案内する。
【0068】
好ましくは、アクチュエータは、好ましくは、側面98及び72の協働により、ブースタに相対的に、軸Yに沿った並進でのみ移動可能である。
【0069】
ばね54の数は限定されない。好ましくは、2より大きく、3より大きく、又は4より大きく、及び/又は10未満である。ばねは、好ましくは、軸Y周りに均一な角度で分布される。より好ましくは、それらは軸Yに略平行に延び、それによってそれらの有効性を最適化する。
【0070】
より好ましくは、図8c及び図9cに示すように、各ばね54は、ブースタ又はアクチュエータに固定され、アクチュエータがブースタへ動かされると、それぞれアクチュエータ又はブースタに設けられた対応する容器内で摺動するガイドロッド99に結合する。
【0071】
好ましくは、図8c及び図9cに示すように、ブースタは、例えば、ブースタに設けられたオリフィス108を介してフランジ59にねじ106を固定することにより、アクチュエータにしっかりと接続された状態に維持される。図9に示されるように、オリフィス108は、好ましくは、軸Yに平行にねじ106の頭110の摺動を案内するように構成される一方で、アクチュエータの上方位置を定義する為の第2止めとして機能する。
【0072】
コイルばねであるばね54は、アクチュエータのブースタへの動きに抵抗するように、アクチュエータ50とブースタ52との間に置かれる。静止時、すなわち、アクチュエータに加えられる挿入押しがない場合、ばね54は、アクチュエータを第2挿入深さ(図9に示すアクチュエータの上部位置)で保持する。
【0073】
操作
装置の操作は、上記の説明から直接もたらされる。
【0074】
図1に示す初期位置では、弁のロータの2つのマイクロ磁石は、「近接」位置で距離dだけ互いに離れている。好ましくは、この近接位置は、2つのマイクロ磁石の相互引力に起因する。
【0075】
近接位置において、2つのマイクロ磁石は、好ましくは、ロータのそれぞれのロッキング突起をチャンバのキャビティに維持し、それにより、ロータのいかなる回転を防ぐ。本実施形態は、例えば、欧州特許第688575号明細書の図1及び図2に対応可能である。従って、マイクロ磁石の近接位置は、弁のロータのロック位置である。
【0076】
患者の皮膚は、各種の図に示されていない。
【0077】
弁は、特に頭蓋、首、鎖骨窩、背中、又はヒップの皮膚の下に配置可能である。
【0078】
アクチュエータ磁石は好ましくは、弁が外気中にあり、ロケータが弁のロータの回転軸に対して直角に、弁から2mm超、3mm超、5mm超、8mm超、及び/又は、30mm未満、25mm未満、20mm未満、15mm未満、12mm未満、又は10mm未満離れて配置される場合、第1挿入深さでロータのロック解除をし、第2挿入深さでロータに回転結合されるように設計された磁場を及ぼすように構成される。
【0079】
埋め込まれている弁2は、弁2とロケータ12の底部との間を延在する。従って、弁は触診により弁の位置を確認できるが、弁は操作者には見えない。
【0080】
ステップa)で、操作者は弁2の位置を正確に確認し、それに応じてロケータを配置しなければばらない。
【0081】
この為に、彼は、ロケータの窓26に弁を配置するように、患者の皮膚にくっつけてロケータ12を配置する。次いで、弁2は、皮膚の変形により、ロケータの窓26に若干入り込む。
【0082】
次に、弁の配向軸Oは、ロケータの配向軸Oと平行に延在する。さらに、ロータの回転軸Rは、ロケータ容器の軸Xと実質的に一致する。
【0083】
ロータの回転軸Rは、弁本体の中心を通過可能である。代替的には、それは、特にロータと弁本体との間にシャッターを圧迫する弾性戻り部材を収容する為の空間を形成する為に、弁本体の中心から、従って弁の縦軸Oから若干ずらすことができる。結果として、ロケータ容器の軸Xは、ロケータの配向軸O(窓26の縦軸)と交差しなくてもよい。
【0084】
位置合わせマーカ43により、ロケータを液体の流れの方向に向けることができる。
【0085】
弁に対するロケータの配向は例えば、欧州特許第2192944号明細書に記載されている。
【0086】
ロータの角度位置を修正するには、操作者は下記の通りに進める。
【0087】
ステップb)で、操作者は読み取り器具、例えば磁気コンパス、を使用して、弁のロータの軸周りの角度位置を決定する。
【0088】
既知の方法で、欧州特許第2192944号明細書に記載されているように、コンパスは、好ましくは、コンパス針の回転軸がロケータ容器の軸Xを中心とするようにロケータ容器に導入され、ロケータ容器の軸Xそれ自体は実質的に弁のロータの回転軸Rを中心とする。好ましくは、コンパスは、ロケータの位置決めの精度を改善する為にも使用されるので、ロータの回転軸Rがロケータ容器の軸Xと一致する。
【0089】
次に、コンパス針は、2つのマイクロ磁石6の軸δに沿って方向付けられ、そしてそれは、ロータの回転軸Rに対して放射状である。図1aでは、位置マーカ45が位置マーク「70」と一直線であるように見える。
【0090】
好ましくは、操作者は、位置マーカ45を軸δと一直線になるように回転リング44を回すことにより軸δの位置を決める。従って、操作者は、初期構成での弁の開口圧力がこの場合70mmHOであることを記憶することができる。
【0091】
その後、彼はロケータ容器からコンパスを引き出す。
【0092】
以下のステップは例えば、140mmHOの所望の開口圧力に達するように開口圧力を修正することを意図する。
【0093】
ステップc)で、操作者は、磁気配向表示器64が弁のマイクロ磁石の軸δの配向を示す位置マーカ45「70」に向けられるようにアクチュエータを配置する。さらに磁気バーの軸δ58は、マイクロ磁石の軸δと同一平面上にあり、軸Yと同一平面上である。
【0094】
次に、キー16は、軸Xに沿ってロケータ容器に挿入される。この挿入は、ブースタの基部の放射状外面94reとロケータの側壁32の放射状内面32riとの間の接触によって案内される。挿入は、ブースタがロケータの底部22に当接するまで続く。図2bに示されるように、ブースタの底部92は好ましくは、実質的にその表面全体にわたって、ロケータの底部22にある。
【0095】
次に、ばね54は、アクチュエータのブースタへの挿入に抵抗する(図2)。
【0096】
「上方位置」と呼ばれるアクチュエータのこの位置では、磁石72は離れすぎていて、ロータのマイクロ磁石を互いに間隔をおいて配置することができない。
【0097】
次に、操作者は、アクチュエータのアクチュエータ穴への挿入を継続する為に、アクチュエータを第1挿入深さ(図3の矢印)までブースタ上で摺動させることにより、軸Yに沿って挿入押しを行う。そして、アクチュエータは「下方位置」にある。
【0098】
図3bに示されるように、第1挿入深さは、ブースタと当接するアクチュエータによって、例えば、スカート96の縁部96、及び/又はブースタの基部94の上面94、及び/又はブースタの底部92、及び/又はフランジの固定ねじの頭を受ける為のオリフィスの底部と接触するアクチュエータによって決定される最大挿入に有利に対応する。スカート96の縁部、基部94の上面、ブースタの底部、及び受入オリフィスの底部は、アクチュエータの第1挿入深さを決定する「第1止め」の例である。
【0099】
代替的には、ブースタは底部無しになり得、そして、磁石72がロケータの底部と当接することもあり得、そして、それによって第1挿入深さを決定する第1止めを構成するだろう。
【0100】
第1挿入深さで、そして磁気配向表示器64を位置マーカ45と位置合わせした後、アクチュエータ磁石72はロータのマイクロ磁石に近く、これらを互いに間隔を空けさせる為に十分に強い磁場をかける。2つのマイクロ磁石間の距離は値Dに増加する。マイクロ磁石の働きは、もはやロータの回転を妨げない。従って、マイクロ磁石は、ロータがロックされている近接位置(図1及び図2)から、ロータのロック解除がされている間隔を空けた位置(図3図5)に進む。
【0101】
好ましくは、アクチュエータを回す前に、操作者はハンドルを磁気バーの軸δ58に沿って動かす。この動きは、アクチュエータ磁石72の動きを引き起こし、そして、その動きはそれらに結合されたロータのマイクロ磁石に作用する。これらの動きを一方の方向に、次に他方の方向に(前後運動)繰り返すことで、操作者は微動し、必要に応じてマイクロ磁石を交互に非ブロック化することができ、そしてロック解除が容易になる。
【0102】
ロケータ容器の第1挿入深さまで挿入されたアクチュエータの回転により、弁のロータは回転駆動が可能となる。ただし、この駆動は必ずしも信頼できるとは限らない。
【0103】
ステップd)で、本発明に従うと、操作者は、ばね54の静止位置によって定義される第2挿入深さまで、ロケータ容器からアクチュエータを部分的に移動させる。
【0104】
ロケータ容器からアクチュエータを部分的に移動させる為には、操作者がアクチュエータへの圧力をゆるめるだけで十分である。そして、後者は、ばね54の影響下で、図2の位置と同一の図4に示す静止位置まで上昇する。
【0105】
ただし、図4bに示すように、弁のマイクロ磁石は間隔を空けた位置のままである。この理論に束縛されることなく、本発明者は、マイクロ磁石を間隔を空けた位置で保持するよりもマイクロ磁石を相互に間隔を空ける(ロック解除する)為に、より大きな力を加える必要性によってこの現象を説明する。
【0106】
驚くべきことに、本発明者はまた、図4bに示す第2挿入深さに対応するアクチュエータの位置では、ロック解除されたロータの回転駆動は、図3に示す第1挿入深さに対応するアクチュエータの位置よりもはるかに信頼性が高かったことを見出した。
【0107】
それ故に、図示の例では、アクチュエータの第2挿入深さはブースタによって決定され、従ってそれは「第2挿入止め」を構成する。
【0108】
ブースタと静止ばねとで構成される組立品は、軸Xに直角な平面内で、軸X周りのアクチュエータ50の回転の為のガイドも形成する。アクチュエータの角度位置がどうであれ、実際には、ばねは、連続したアクチュエータの挿入に抵抗する。
【0109】
ステップe)で、操作者は、図5に示された、例えば、140mmHOに対応した、所望の開口圧力に対応する位置にキーを回すことができる。ばね54は、操作者がアクチュエータの挿入深さを第2挿入深さに維持することを有利に許す。それによって、信頼性が向上される。
【0110】
ハルバッハ構成に配置された一セットの磁石72は、特に信頼性の高いロータのロック解除及び、特に信頼性の高いロータの回転駆動を有利に可能にする。
【0111】
ステップf)で、操作者は弁からアクチュエータを離す。次に、図6に示されるように、マイクロ磁石が接近する力は、アクチュエータによって生成される離間力よりも再び大きくなり、これにより、それらが回転するロータをロックする距離dまで、お互いに接近する。
【0112】
一つの実施形態において、磁気配向表示器64が位置マーク42の反対側にのみ置かれるように、磁気キーの回転はロケータに対してインデックス付けされる。好ましくは、押し込みは、マイクロ磁石へのアクチュエータの動きが弱くなりそしてマイクロ磁石は互いに接近する傾向である場合、突起は弁本体のキャビティの実質反対側にあり、マイクロ磁石が相互に近づいていく影響下でこれらのキャビティに入ることができるように決定される。
【0113】
アクチュエータを弁から間隔を空ける為に、アクチュエータは、ロケータから引き抜かれることが可能である。
【0114】
現在明らかであるように、本発明は、ロータがマイクロ磁石によってロック可能である弁の開口圧力を調節する為の簡単で信頼できる解決策を提供する。しかしながら、本発明は、説明及び示された実施形態に限定されないことはもちろんであり、これらは例示目的のみの為に提供される。
【0115】
特に、ブースタ以外の手段が、第1及び第2挿入深さを決定する為に使われることがありうる。
【0116】
ブースタは、必ずしもアクチュエータにしっかりと接続されている必要はない。
【0117】
ブースタはロケータに組み込まれることもありうる。
【0118】
一つの実施形態において、アクチュエータの回転は、ブースタの回転を引き起こさない。
【0119】
図7に示されるように、ばね54に相当するばね100は、ロケータ、例えば、ロケータの底部を後に任意になるブースタと直接圧迫することもありうる。
【0120】
図7に示されている実施形態において、ばねは、例えば、ロケータの側壁の厚さ部分内に収容される。各ばねは、つまみ102を有し、それは、ロケータを圧迫している端部とは反対のばねの端部を圧迫し、そしてロケータ容器の内側に突き出ている。従って、ばねの影響下で、つまみは、第2挿入深さを超えるアクチュエータの挿入に抵抗する。
【0121】
好ましくは、つまみは、ロケータの底部に引っ込むことができ、それは、磁石が、第1挿入深さで弁に可能な限り近付くことを許す。
【0122】
示された実施形態において、つまみは、ロケータの側壁に形成された、軸Xの環状空間内で、移動可能である円形リング104によって互いに接続されている。
【0123】
一つの実施形態において、第1挿入深さ及び/又は第2挿入深さは、好ましくは、軸Xに対して放射状に伸長するばねの影響下でロケータ又はアクチュエータの側壁から弾性的に突出する、例えば、ボール形状のスタブによって定義される。よって、アクチュエータ又はロケータの対応する凹部にそれぞれ入ると、スタブは、軸Xに沿った第1挿入深さ及び/又は第2挿入深さからのアクチュエータの動きに抵抗できる。しかしながら、スタブは、好ましくは、操作者によってアクチュエータに加えられる挿入押し及び/又は引き抜きの影響の下で、ロケータ又はアクチュエータの側壁内に引っ込むことができる。
【0124】
様々な実施形態、特に、示された実施形態、の特徴は、技術的な非互換性がない限り組み合わされることができる。
【符号の説明】
【0125】
2:弁
4:弁本体
5:弁ロータ
6:ロータのマイクロ磁石
12:ロケータ
16:磁気キー
22:ロケータの底部
26:ロケータの底部の窓
28:レリーフ
32:ロケータの側壁
34:ロケータ容器
38:ガイド溝
40:読み帯
42:読み帯40に保持される位置マーク
43:位置合わせマーカ
44:ロケータの回転リング
45:回転リング44に保持される位置マーカ
50:アクチュエータ
52:ブースタ
54:ブースタとアクチュエータ間に置かれたばね
56:支持体
58:アクチュエータの磁気バー
59:磁気バー58を支持体56に固定するフランジ
60:アクチュエータプレート
62:アクチュエータハンドル
64:磁気配向表示器
66:磁気バー58を受けるプレート60の容器
67:フランジを支持体に固定する為のレリーフ
72:アクチュエータ磁石
74:ソール
83:肩
82:フランジを支持体に固定する為のねじ
84:フランジを支持体に固定する為のねじの頭
85:フランジを支持体に固定する為のオリフィス
86:オリフィス85がフランジ59の下面に開口する開口の横縁
92:ブースタの底部
94:ブースタの基部
96:ブースタのスカート
97:ねじの頭を受ける為のオリフィス
98:基部94に形成されたキャビティ
99:ねじの案内棒
100:ロケータのねじ
102:ロケータのねじに押されたつまみ
104:つまみを接続する円形リング
106:ブースタをフランジに固定する為のねじ
108:ブースタをフランジに固定する為のオリフィス
110:ねじ106の頭
X:ロケータ容器の軸
Y:磁気キーの軸
R:弁のロータの回転軸
:弁の縦軸
:ロケータの窓の縦軸
δ:ロータのマイクロ磁石の軸
δ58:磁気バーの軸
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c
図9d