(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】キャパシティブ結合方式のカプラー構造及びこれを含む無線電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/05 20160101AFI20220412BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20220412BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220412BHJP
B64D 27/24 20060101ALN20220412BHJP
B64F 1/36 20170101ALN20220412BHJP
【FI】
H02J50/05
H02J50/40
H02J7/00 301D
B64D27/24
B64F1/36
(21)【出願番号】P 2020107258
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2020-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2019-0144987
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名 アイイーイーイー (インスティテュート オブ エレクトリカル アンド エレクトロニック エンジニアーズ) 刊行物名、号数、頁数 2019 アイイーイーイー ワイヤレス パワー トランスファー カンファレンス (ダブリューピーティーシー)第19510007号,第635-638頁 発行年月日 2019年6月21日[刊行物等]集会名 ダブリューピーティーシー アンド ダブリューオーダブリュー ジョイント セッション 2-ムービング ダブリューピーティー システムズ ワイヤレス パワー ウィーク(ダブリューピーダブリュー 2019) 開催場所 アイイーティ サヴォイ プレイス, ロンドン 内 ケヴィン レクチャー シアター 公開日 2019年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】515162224
【氏名又は名称】コリア アドバンスド インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スンヨン アン
(72)【発明者】
【氏名】チャンジュン パク
(72)【発明者】
【氏名】ジェヒョン パク
(72)【発明者】
【氏名】ユジュン シン
(72)【発明者】
【氏名】シュンリュー フー
(72)【発明者】
【氏名】ボンソン リー
【審査官】寺谷 大亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/125709(WO,A1)
【文献】特開2014-150649(JP,A)
【文献】国際公開第2013/054800(WO,A1)
【文献】特開2019-180185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/05
H02J 50/40
H02J 7/00
B64D 27/24
B64F 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状の第1
金属及び
円板状の第2
金属を含む電力送信部
、及び
リング状の第3
金属及び
円板状の第4
金属を含む電力受信部
、を含み、
前記
リング状の第1
金属は前記
リング状の第3
金属と
向かい合うように位置して第1キャパシターを形成し、前記
円板状の第2
金属は前記
円板状の第4
金属と
向かい合うように位置して第2キャパシターを形成し、
前記リング状の向かい合う第1金属及び第3金属と、前記円板状の向かい合う第2金属及び第4金属とはそれぞれの重心
が同一の垂直線上に配置され
て容量性結合(capacitive coupling)を成
し、下段を基準にして前記リング状の第1金属、前記リング状の第3金属、前記円板状の第2金属及び前記円板状の第4金属の順で配置される
ことを特徴とするキャパシティブ結合方式のカプラー構造。
【請求項2】
前記
リング状の第1金属
及び第3金属
のそれぞ
れの内径は前記
円板状の第2金属
及び第4金属
のそれぞ
れの直径より
大きい
ことを特徴とする請求項
1に記載のキャパシティブ結合方式のカプラー構造。
【請求項3】
電源
、
インバーター
、
補償回路
、
キャパシティブ結合方式のカプラー
、
整流器
、及び
抵抗を含み、
前記キャパシティブ結合方式のカプラーは、
リング状の第1
金属及び
円板状の第2
金属を含む電力送信部
、及び
リング状の第3
金属及び
円板状の第4
金属を含む電力受信部
、を含み、
前記
リング状の第1
金属は前記
リング状の第3
金属と
向かい合うように位置して第1
キャパシターを形成し、前記
円板状の第2
金属は前記
円板状の第4
金属と
向かい合うように位置して第2キャパシタ
ーを形成し、
前記リング状の向かい合う第1金属及び第3金属と、前記円板状の向かい合う第2金属及び第4金属とはそれぞれの重心
が同一の垂直線上に配置され
て容量性結合(capacitive coupling)を成
し、下段を基準にして前記リング状の第1金属、前記リング状の第3金属、前記円板状の第2金属及び前記円板状の第4金属の順で配置される構造を有する
ことを特徴とする無線電力伝送システム。
【請求項4】
前記
リング状の第1金属
及び第3金属
のそれぞ
れの内径は前記
円板状の第2金属
及び第4金属
のそれぞ
れの直径より
大きい
ことを特徴とする請求項
3に記載の無線電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年度大韓民国政府(科学技術情報通信部)の財源にて情報通信企画評価院の支援を受けて行われた研究である(No.2020-0-00839,超連結 E-Vehicle 電力及び信号 EMC 高度化技術開発)。
The national research and development project related to this application is as follows.
Project unique number: 1711116792
Project number: 2020-0-00839-001
Government department: Ministry of Science and ICT
R&D management Agency: Institute of Information & communications Technology Planning & Evaluation
R&D project: Broadcasting and Communication Industry Technology Development
Research Project Title: Development of Advanced Power and Signal EMC Technologies for Hyper-connected E-Vehicle
Managing department: Korea Advanced Institute of Science and Technology
Project period: 2020.04.01 - 2027.12.31-
本発明は、キャパシティブ結合方式のカプラー構造及びこれを含む無線電力伝送システムに関するものであって、更に詳細には、寄生キャパシタンスを減少させて一定した効率を維持することができるキャパシティブ結合方式のカプラー構造及びこれを含む無線電力伝送システムに関するものである。参考に、本発明は本発明者の論文(Separated Circular Capacitive Coupler for Reducing Cross-Coupling Capacitance in Drone Wireless Power Transfer System)に開示されている。
【背景技術】
【0002】
近年、無線充電技術は電気自動車、モバイルアプリケーション及び無人機のような多様なアプリケーションのための便利な充電ソルーションとして注目を浴びている。無線電力伝送システムは充電器と装置との間の電気的接触を除去して防水及び防振を通じて耐久性を向上させ、バッテリを小型化するか、除去することで、アプリケーションの重さを減らすことができる。このような無線電力伝送システムの長所から無人機に無線充電システムを適用する研究が活発に行われている。
【0003】
従来、インダクティブ結合方式を適用した無線充電システムが活発に研究されていた。但し、このようなインダクティブ結合方式ではリッツ線(Litz-wire)とフェライトコアの使用による高いコストが発生し、金属物体の周辺での渦電流損失によりシステムの温度が増加され得る。
【0004】
かかる問題を解決するために、磁場でない電場で電力を伝達するキャパシティブ結合方式の無線電力伝送システムが用いられることもある。但し、既存のキャパシティブ結合方式のカプラー構造では金属板が平行に置かれて回転不整合が起こす場合、相互キャパシタンスが減少して電力をうまく伝達できない問題があった。
【0005】
よって、回転不整合に堅固なキャパシティブ結合方式のカプラー構造に対するニーズが増大されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、無線充電システムの回転不整合の問題を解決し、寄生キャパシタンスを減少させ、カップリングキャパシタンスを増加させることができるキャパシティブ結合方式のカプラー及びこれを含む無線電力伝送システムを提供することにある。
【発明の効果】
【0007】
一実施例によると、無線充電システムの回転不整合の問題を解決することができ、寄生キャパシタンスが減少されることでカップリングキャパシタンス及びシステムの効率が増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例による無線電力伝送システムの動作方法を簡略に説明するための概念図である。
【
図2】
図2は、キャパシティブカプラー構造を有する無線電力伝送システムの構成を簡略に示す回路図である。
【
図3】
図3は、キャパシティブカプラー構造を有する無線電力伝送システムのプレート間のカップリングキャパシタンスを説明するための回路図である。
【
図4】
図4は、
図3に示された回路図の等価回路を示す図面である。
【
図5】
図5は、従来の平行板カプラー構造を説明するための図面である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例によるカプラーのメインキャパシタンス及び寄生キャパシタンスを説明するための図面である。
【
図7】
図7のA及びBは、本発明の一実施例による分離された円形キャパシティブカプラー構造を示す図面である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例によるキャパシティブカプラー構造が適用されたドローン充電ステーションを示す図面である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施例によるドローン及び充電ステーションの実物を示す図面である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施例によるキャパシティブカプラーのカップリングキャパシタンスを説明するための図面である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施例による円形キャパシティブカプラーのLC補償回路を示す図面である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施例によるカプラー構造と既存の平行板構造との回転不整合による相互キャパシタンスを比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、既存のキャパシティブ方式の電力伝送システム(CapacitivePower Transfer System)を示す図面である。4つのメタルプレート11~14は電力を伝送するキャパシターを形成する。このうち、第1メタルプレート11及び第2メタルプレート12は電力を伝送するトランスミッターとして動作し、第3メタルプレート13及び第4メタルプレート14は電力を受信するレシーバーとして動作する。
【0010】
図1に示すように、4つのメタルプレート11~14間には電場(electric field)が形成される。また、4つのメタルプレート(11~14)間にはエネルギー平衡が起こって共振現象が発生するようになる。このように形成された電場によって各プレート11~14間にはキャパシティブカップリング効果が発生するようになる。このようなキャパシティブカップリング効果により電力伝達が可能である。
【0011】
ここで、メタルプレート11~14はアルミニウムプレートなどが用いられることもあるが、これに限定されるものではない。
【0012】
しかし、
図1のような従来のキャパシティブ方式のカプラー構造では上述の如く、これらのメタルプレート11~14が互いに平行に置かれているため回転不整合が起きる場合には相互キャパシタンスが減少して電力を伝達できない問題がある。
【0013】
図2は、キャパシティブカプラー構造を有する無線電力伝送システムの構成を簡略に示す回路図である。
【0014】
電場を用いたキャパシティブカップリング無線電力伝送方式を
図2に示す回路図に基づいて検討する。DC電圧はインバーター(Inverter)20により交流電力に変換された後、共鳴のための補償回路(Compensation Circuit)30-1でインピーダンスマッチングを経た後、メインカップリングキャパシター(Main-coupling capacitors)40の1次側に伝達される。1次側に伝達されたエネルギーは電場の形態としてメインカップリングキャパシター40の2次側に伝達され、伝達されたエネルギーは再び補償回路(Compensation Circuit)30-2でインピーダンスマッチングを経た後、整流器(Rectifier)50に伝達される。整流器50に伝達されたエネルギーは電気機器(load)の充電のための電力エネルギーとして用いられる。
【0015】
ここで、メインカップリングキャパシター40により電力伝送ループが形成されるが、このとき、1次側のプレートはトランスメッターとして、2次側のプレートはレシーバーとして動作させる。
【0016】
図3はキャパシティブカプラー構造を有する無線電力伝送システムのプレート間のカップリングキャパシタンスを説明するための回路図である。
【0017】
図3に示すように、2つのプレートとの間(1及びP3との間、P2及びP4との間)にはカップリングキャパシタンスが生成する。このようなカップリングキャパシタンスを含み、2つの各プレートとの間には総6つのカップリングキャパシタンスが形成される。
【0018】
このうち、カップリングキャパシタンスC13及びC24は電力伝送ループを形成するメインカップリングキャパシタンスとして、第1及び第3メタルプレート(P1及びP3)、第2及び第4メタルプレート(P2及びP4)によりそれぞれ生成され得る。
【0019】
カップリングキャパシタンスC12及びC34はそれぞれ同側(1次側及び2次側)メタルプレート同士形成されるカップリングキャパシタンスであり、C14及びC23はそれぞれ第1及び第4メタルプレート(P1及びP4)間のエッジ効果(edge effect)及び第2及び第3メタルプレート(P3及びP4)により生成される寄生カップリングキャパシタンスを意味する。
【0020】
図4は、
図3に示す回路図の等価回路を示す図面である。
【0021】
一方、カプラー構造を有する無線電力伝送システムの相互キャパシタンスC
Mはメインカップリングキャパシタンス及び寄生カップリングキャパシタンスによって表現することができ、その式は以下の通りである。
【数1】
【0022】
上述した相互キャパシタンスCMは無線電力伝送システムの効率と比例するため、無線電力伝送システムの効率を高めるために相互キャパシタンスが非常に重要な因子となる。
【0023】
具体的に、LC補償回路30-1、30-2を用いた無線電力伝送システムのシステム効率η
LC,maχ及び結合係数K
Cはそれぞれ以下のように表現される。
【数2】
【数3】
【0024】
ここで、CS及びCLは無線電力伝送システムの等価回路での入力側及び出力側補償キャパシターを意味する。
【0025】
システム効率ηLC,maχは結合係数KCと良好度Q(Quality factor)により決定されるものの、メタルプレートの面積が同一であるためメインキャパシタンスが変わらなければ良好度Qは一定し、システム効率は相互キャパシタンスに比例するようになる。
【0026】
よって、LC補償回路で相互キャパシタンスが大きいほどシステム効率が増加することが分かる。
【0027】
図5は、本発明の一実施例によるカプラーのメインキャパシタンス及び寄生キャパシタンスを説明するための図面である。
【0028】
図5に示すように、従来、平行板カプラー構造は回転不整合の条件で送信部(P1及びP2)と受信部金属板(P3及びP4)との重ね合わされる面積が減少されることによりメインキャパシタンスの減少を招き、これにより相互キャパシタンスも減少された。相互キャパシタンスの減少はシステムの効率減少を招いたため、回転不整合の条件で一定した相互キャパシタンスを維持するカプラー構造が必要だった。
【0029】
従来にかかる問題を解決するために、
図6に示すように同側のメタルプレート間の距離を増加させて寄生キャパシタンスC
14及びC
23を減少させるか、メインカップリングキャパシタンスを生成するメタルプレート間の距離を増加させてメインキャパシタンスC
13及びC
24を増加させる方法で相互キャパシタンスを増加させた。
【0030】
ところが、かかる方法はカプラーによって占められる空間の増加を招く問題があったため、与えられた狭小な空間内で寄生キャパシタンスを減少させることができる方法が要求された。
【0031】
図7は、本発明の一実施例による分離された円形キャパシティブカプラー構造を示す図面である。
【0032】
図7のAを参照すると、第1メタルプレートP
1が第3メタルプレートP
3と第1キャパシターを形成し、第2メタルプレートP
2が第4メタルプレートP
4と第2キャパシターを形成する。このとき、第1メタルプレートP
1ないし第4メタルプレートP
4それぞれの重心は同一の垂直線上に配置されるようになるものの、これにより、このとき、第1メタルプレートP
1ないし第4メタルプレートP
4は互いに容量性結合(capacitive coupling)を成すことになる。
【0033】
このとき、P1及びP3はその間に置かれた平面を基に対称なリング(ring)状となり得る。また、P2及びP4はその間に置かれた平面を基に対称な円板状となり得る。前に検討したように、第1メタルプレートP1ないし第4メタルプレートP4それぞれの重心は同一の垂直線上に配置されるため、回転不整合の条件下でも相互キャパシタンスは一定に維持され得る。
【0034】
このとき、P1及びP3が成すリングの内径はP2及びP4の直径より大きく設計され得る。例えば、P1及びP3が成すリングの内径は332mm、外径は360mmに設計され得て、P2及びP4の円板の直径は140mmに設計され得る。
【0035】
また、
図7のBに示すように、P
1及びP
3の間隔、P
2及びP
4の間隔は15mmに設計され得て、P
2及びP
3の間隔は400mmに設計され得る。このとき、各輪及び円板の高さは1mmに設計され得る。
【0036】
図8は、本発明の一実施例によるキャパシティブカプラー構造が適用されたドローン充電ステーションを示す図面である。
【0037】
図8は、
図7に示すカプラー構造をドローン(drone)の充電システム1000に適用させた構造を示すものであるものの、送信部のメタルプレートP
1及びP
2は充電ステーション100に内装されており、受信部のメタルプレートはP
3及びP
4はドローン200に設置され得る。ドローン充電システム100の構造を用いて、メタルプレートP
1及びP
4、P
2及びP
3との間のエッジ効果により発生する寄生キャパシタンスC
14とC
23を減少させ相互キャパシタンスC
Mが増加し得る。
図9は、本発明の分離された円形キャパシティブカプラー構造が適用されたドローン充電システム1000の実物を示したものである。
【0038】
図10は、本発明の一実施例によるキャパシティブカプラーのカップリングキャパシタンスを説明するための図面である。
【0039】
本発明のカプラー構造を簡略に示すと
図9と同様であるが、充電ステーション100の構造はメタルプレート間の距離を増加させることで、寄生キャパシタンスC
14、C
23を減少させ得て、これによって相互キャパシタンスが増加され得る(
図9の式を参照)。
【0040】
図10によるカプラー構造が適用された円形キャパシティブカプラーのLC補償回路は
図11に示すとおりである。
【0041】
よって、提案の本発明のキャパシティブカプラー構造は相互キャパシタンスを増加させることで、システムの効率を増加させることができる。
【0042】
図12は、本発明の一実施例によるカプラー構造と既存の平行板構造の回転不整合による相互キャパシタンスを比較したグラフである。
【0043】
具体的に、
図12は、シミュレーションを通じて、既存の平行板カプラー構造と、本発明の分離された円形キャパシティブ結合カプラー構造で回転不整合が発生したとき、回転不整合による相互キャパシタンスの変化を比較した結果を示すものである。
【0044】
同一の面積で比較したとき、回転不整合の条件で既存の平行板構造は相互キャパシタンスが大きく減少する一方、本発明のカプラー構造は送信部と受信部メタルプレートが回転不整合が発生しても相互キャパシタンスが一定に維持されることが確認できる。
【0045】
シミュレーション結果によると、既存の平行板構造では相互キャパシタンスが最大21.1pFで90度回転不整合の条件で0.0005pFに減少した反面に、本発明の分離された円形キャパシティブ結合カプラー構造の場合、回転不整合の条件で24.3pFで一定した相互キャパシタンスを維持することが確認できる。
【0046】
以上のような本発明の多様な実施例によると、無線充電システムの回転不整合の問題を解決し、寄生キャパシタンスを減少させてカップリングキャパシタンス及びシステム効率を増加させることができる。
【0047】
一方、以上では本発明の好ましい実施例について示して説明したが、本発明は上述した特定の実施例に限定されるのではなく、特許請求範囲で請求する本発明の要旨を離脱することなく当該発明が属する技術分野で通常の知識を持ったものにより多様な変形実施が可能であるということはいうまでもなく、このような変形実施は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
[発明の項目]
[項目1]
第1金属板及び第2金属板を含む電力送信部、及び
第3金属板及び第4金属板を含む電力受信部、を含み、
前記第1金属板は前記第3金属板と第1キャパシターを形成し、前記第2金属板は前記第4金属板と第2キャパシターを形成し、
前記第1金属板ないし第4金属板それぞれの重心は同一の垂直線上に配置され、前記第1金属板ないし第4金属板は互いに容量性結合(capacitive coupling)を成す
キャパシティブ結合方式のカプラー構造。
[項目2]
前記第1金属板と前記第3金属板はその間に置かれた平面を基に対称なリング状であり、
前記第2金属板と前記第4金属板とはその間に置かれた平面を基に対称な円板状である
ことを特徴とする項目1に記載のキャパシティブ結合方式のカプラー構造。
[項目3]
前記第1金属板と前記第3金属板それぞれが成す前記リングの内径は前記第2金属板と前記第4金属板それぞれが成す前記円板の直径より長い
ことを特徴とする項目2に記載のキャパシティブ結合方式のカプラー構造。
[項目4]
電源、
インバーター、
補償回路、
キャパシティブ結合方式のカプラー、
整流器、及び
抵抗を含み、
前記キャパシティブ結合方式のカプラーは、
第1金属板及び第2金属板を含む電力送信部、及び
第3金属板及び第4金属板を含む電力受信部、を含み、
前記第1金属板は前記第3金属板と第1容量性とを形成し、前記第2金属板は前記第4金属板と第2キャパシターとを形成し、
前記第1金属板ないし第4金属板それぞれの重心は同一の垂直線上に配置され、前記第1金属板ないし第4金属板は互いに容量性結合(capacitive coupling)を成す
無線電力伝送システム。
[項目5]
前記第1金属板と前記第3金属板とはその間に置かれた平面を基に対称なリング状であり、
前記第2金属板と前記第4金属板とはその間に置かれた平面を基に対称な円板状である
ことを特徴とする項目4に記載の無線電力伝送システム。
[項目6]
前記第1金属板と前記第3金属板それぞれが成す前記リングの内径は前記第2金属板と前記第4金属板それぞれが成す前記円板の直径より長い
ことを特徴とする項目5に記載の無線電力伝送システム。
【符号の説明】
【0048】
1000:無線電力伝送システム
100:充電ステーション
200:ドローン
10:電源
20:インバーター
30-1,30-2:補償回路
40:メインカップリングキャパシター
50:整流器
60:電気機器