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特許7056974食肉製品、食肉製品のセット品、食肉製品の製造方法及び食肉製品を用いた調理方法
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  • 特許-食肉製品、食肉製品のセット品、食肉製品の製造方法及び食肉製品を用いた調理方法 図1
  • 特許-食肉製品、食肉製品のセット品、食肉製品の製造方法及び食肉製品を用いた調理方法 図2
  • 特許-食肉製品、食肉製品のセット品、食肉製品の製造方法及び食肉製品を用いた調理方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】食肉製品、食肉製品のセット品、食肉製品の製造方法及び食肉製品を用いた調理方法
(51)【国際特許分類】
   A23B 4/00 20060101AFI20220412BHJP
   A23B 4/06 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
A23B4/00 A
A23B4/06 501E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020127615
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024812
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2020-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】520281310
【氏名又は名称】株式会社丸邊藤井
(74)【代理人】
【識別番号】100194467
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 健文
(72)【発明者】
【氏名】音野 顕宏
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-100676(JP,A)
【文献】特開2000-041630(JP,A)
【文献】株式会社なんつね,“冷凍定量スライサー NFP-410PT アテナ”,2009年,pp.1-2
【文献】kufura, 2018.04.20 [検索日 2021.07.05], インターネット:<URL: https://kufura.jp/life/preparation/26274>
【文献】YouTube [online], 2019.12.18 [検索日 2021.07.05], インターネット:<URL: https://www.youtube.com/watch?v=wUszaJxQMU4>
【文献】Rakutenレシピ レシピID:1970015336, 2019.11.04 [検索日 2021.07.05], インターネット:<URL: https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1970015336/>
【文献】Rakutenレシピ レシピID:1530008372, 2018.02.05 [検索日 2021.07.05], インターネット:<URL: https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1530008372/>
【文献】ニチレイ, 2018.06.26 [検索日 2021.07.05], インターネット:<URL: https://www.nichireifoods.co.jp/media/3572/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B 4/00
A23B 4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
牛肉からなる肉塊からスライスされ、互いに重ねられた3枚のスライス肉と、
前記3枚のスライス肉を一セットとして包むフィルムと、
を備え、
前記3枚のスライス肉を重ねた厚さが1mm以上4mm以下である、
食肉製品。
【請求項2】
前記3枚のスライス肉を重ねた厚さが1mm以上2.5mm以下である、
請求項1記載の食肉製品。
【請求項3】
前記3枚のスライス肉を重ねた厚さが2.5mm以上4mm以下である、
請求項1記載の食肉製品。
【請求項4】
前記3枚のスライス肉の各々の厚さが、0.1mm以上1.0mm以下である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の食肉製品。
【請求項5】
前記3枚のスライス肉の各々の厚さが、0.5mmである、
請求項4記載の食肉製品。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の複数の食肉製品と、
前記複数の食肉製品を収める容器と、
を備え、
前記容器及び前記フィルムが透明である、
食肉製品のセット品。
【請求項7】
牛肉からなる肉塊を冷凍する工程と、
冷凍された前記肉塊をスライスしてスライス肉を生成する工程であって、3枚の前記スライス肉を重ねた厚さを1mm以上4mm以下とする工程と、
前記3枚のスライス肉を一セットとしてフィルムで包む工程と、
を備える、
食肉製品の製造方法。
【請求項8】
前記肉塊を冷凍する工程は、
肉塊を-15℃以下にする保存工程と、
前記保存工程の後、前記3枚のスライス肉を生成する工程の前に、-8℃以上-3℃にするスライス準備工程と、
を有する、
請求項7記載の食肉製品の製造方法。
【請求項9】
前記3枚のスライス肉を生成する工程は、切断刃を鉛直面に沿って移動させることで冷凍された肉塊をスライスする、
請求項7又は8に記載の食肉製品の製造方法。
【請求項10】
前記切断刃は、一回転で一枚のスライス肉をスライスするように構成され、
前記3枚のスライス肉を生成する工程は、前記切断刃を160rpmで回転させることで、冷凍された肉塊をスライスする、
請求項9に記載の食肉製品の製造方法。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項に記載の食肉製品を用いた調理方法であって、
前記3枚のスライス肉を重ねた状態を一セットとして、前記一セットのまま調理する調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食肉製品、食肉製品のセット品、及び食肉製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の冷凍食肉小パック製品が記載されている。この特許文献1記載の冷凍食肉小パック製品は、1枚のスライス肉が、合成樹脂フィルムで被包されており、ロール状に巻き回されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-312383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1記載の冷凍食肉小パック製品は、1枚のスライス肉がフィルムで巻き回されているためコンパクトである上に、フィルムに包まれた状態で切ることもできるため、まな板を汚すことなくスライス肉を切ることができる利点がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の冷凍食肉小パック製品では、コンパクトさや調理のしやすさに利点があるが、スライス肉1枚では食感にあまり変化がなく、改良の余地があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、包装されたスライス肉において、新たな食感を与えることができる食肉製品、食肉製品のセット品、及び食肉製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様の食肉製品は、スライスされて重ねられた複数のスライス肉と、前記複数のスライス肉を一セットとして包むフィルムと、を備える。
【0008】
本発明に係る一態様の食肉製品のセット品は、上記態様の複数の食肉製品と、前記複数の食肉製品を収める容器と、を備え、前記容器及び前記フィルムが透明である。
【0009】
本発明に係る一態様の食肉製品の製造方法は、肉塊を冷凍する工程と、冷凍された肉塊をスライスしてスライス肉を生成する工程と、複数の前記スライス肉を一セットとしてフィルムで包む工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る上記態様の食肉製品、食肉製品のセット品、及び食肉製品の製造方法は、包装されたスライス肉において、新たな食感を与えることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1Aは、本発明の一実施形態に係る食肉製品においてスライス肉をフィルムで包む前の斜視図である。図1Bは、同上のスライス肉をフィルムで包む際の斜視図である。図1Cは、同上の食肉製品の斜視図である。図1Dは、同上の食肉製品のセット品の斜視図である。
図2図2は、上記実施形態に係る食肉製品の製造方法の工程を示すブロック図である。
図3図3Aは、肉塊の斜視図であり、図3Bは、肉塊を切断刃でスライスしている時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
【0013】
以下、本実施形態に係る食肉製品2、食肉製品2のセット品1及びその製造方法について、詳細に説明する。
(1)食肉製品
【0014】
本実施形態に係る食肉製品2は、複数のスライス肉21を一セットとして、フィルム22で包装することで構成されている。本実施形態に係る食肉製品2では、複数のスライス肉21を全て重ねた厚さが、従来のスライスした一枚の肉と同程度の厚さとなるように構成されており、複数枚を一セットとして調理することで、従来にない新たな食感を得ることができる。
【0015】
本実施形態では、複数の食肉製品2は、容器3内に収まっている。容器3の材質としては、特に制限はないが、例えば、木、合成樹脂、金属、紙等が挙げられる。本実施形態に係る容器3は透明なアクリルである。容器3及びフィルム22を透明にすることで、展示された状態で見栄えがする上に、購入者にとっては、展示されたままスライス肉21の状態を確認できる。ここでいう「スライス肉21の状態」は、例えば、スライス肉21の霜降りの状態、肉の色、肉の形等が挙げられる。
【0016】
ここで、容器3内に収まった複数セットの食肉製品2を「食肉製品2のセット品1」と言う場合がある。食肉製品2のセット品1としては、ここでは、贈答用であるが、例えば、購入後に自宅で調理するためのものであってもよい。
【0017】
スライス肉21は、肉塊M1を薄く切った肉(つまり、スライスして得た肉)を意味する。スライス肉21の厚さは、0.1mm以上、1.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.5mmである。本明細書でいう「0.1mm」、「1.0mm」、「0.5mm」等の寸法表記は、例えば、後述の方法で食肉用のスライサーによって各寸法に設定してスライスしたものを意味し、多少の誤差を含んでおり、厳密な寸法を意味しない。例えば、1/100mmの桁を四捨五入して0.5mmになる厚さは、ここで言う「0.5mm」の範疇である。
【0018】
スライス肉21としては、牛肉であることが好ましい。また、スライス肉21としては、肩ロース、リブロース又はサーロインが好ましい。ただし、本発明では、肉の部位は特に制限はなく、ヒレ、ランプ、イチボ、マエバラ、ナカバラ、ソトバラ、バラヤマ、ウデ、マル、内モモ、スネ、スジ等であってもよい。
【0019】
フィルム22は、複数のスライス肉21を一セットとして包む。フィルム22の材質は、特に制限はないが、例えば、ポリエチレン、セロファン等が挙げられる。フィルム22は、上述の通り、透明であることが好ましいが、不透明であってもよい。ここでいう「透明」とは、包装した状態でスライス肉21の状態が分かる程度の透明さを意味し、例えば、半透明を含む。
【0020】
一のフィルム22で包まれる複数のスライス肉21は、上述の通り、従来の一枚のスライス肉21と同程度の厚さに設定されており、複数のスライス肉21を重ねた厚さが、1mm以上4mm以下に設定されている。
【0021】
ここで、複数のスライス肉21を重ねた厚さの設定は、料理の用途に応じて設定されてもよい。例えば、複数のスライス肉21がしゃぶしゃぶ用のスライス肉21である場合、複数のスライス肉21を重ねた厚さが1mm以上2.5mm以下に設定される。しゃぶしゃぶ用のスライス肉21として、より具体的には、厚さ0.5mmのスライス肉21を3枚重ね、3枚のスライス肉21を重ねた厚さが1.5mmであることが好ましい。このようにすれば、スライス肉21がしゃぶしゃぶに用いられる場合、肉に火が通らないことがなく、スライス肉21を適切にしゃぶしゃぶに用いることができる。
【0022】
また、例えば、複数のスライス肉21がすき焼き用のスライス肉21である場合、複数のスライス肉21を重ねた厚さが2.5mm以上4mm以下に設定される。すき焼き用のスライス肉21として、より具体的には、厚さ0.8mmのスライス肉21を4枚重ね、4枚のスライス肉21を重ねた厚さが3.2mmであることが好ましい。このようにすれば、スライス肉21がすき焼きに用いられる場合、スライス肉21での肉厚さを堪能することができる。なお、スライス肉21が厚くても、すき焼きでは高温での調理がなされるため、肉にしっかりと火が通される。
【0023】
このように、料理の用途によって、スライス肉21の厚さや、重ねる数量が決定されるが、ここでは、一例として、厚さを0.5mmとしたスライス肉21を3枚重ねて、1.5mmに設定した食肉製品2を説明する。
【0024】
食肉製品2は、図1に示すように、一面に広げたフィルム22の上に3枚重ねられたスライス肉21を載せ、前後方向の一方の端縁に沿ってフィルム22を折り曲げて上面に重ね(図1B)、さらに、前後方向の他方の端縁に沿ってフィルム22を折り曲げて上面に重ねる。その後、スライス肉21の左右両端縁に沿ってフィルム22を折り曲げて上面に重ねて梱包される(図1C)。そして、容器3に、複数の食肉製品2が並べられる(図1D)。
(2)製造方法
【0025】
このような食肉製品2は、以下のようにして製造される。本実施形態に係る食肉製品2の製造方法(以下、「本実施形態に係る製造方法」と言う場合がある)は、図2に示すように、冷凍工程S1と、スライス工程S2と、包装工程S3と、を備える。
【0026】
冷凍工程S1は、スライスする前の肉塊M1を冷凍する工程である。冷凍工程S1は、保存工程S1-1と、スライス準備工程S1-2と、を含む。
【0027】
保存工程S1-1は、肉塊M1を-15℃以下に冷凍して、肉塊M1を保存する工程であり、これにより、肉塊M1を長期間、鮮度を保ったまま保存することができる。保存工程S1-1では、例えば、保存用冷蔵庫を用いて肉塊M1を-15℃以下にするが、-25℃で保存することが好ましい。
【0028】
スライス準備工程S1-2は、肉塊M1をスライスするのに適した温度にする工程であり、保存工程S1-1で-15℃以下に冷凍された肉塊M1を、-8℃以上-3℃になるまで温度を上げる(やや解凍する)。スライス準備工程S1-2を経ることで、後のスライス工程S2において、肉塊M1を0.1mm以上、1.0mm以下の厚さでスライスすることが可能になる。肉塊M1の温度を-9℃以下にすると、肉塊M1が硬くなりすぎて、適切にスライスすることができない一方、肉塊M1の温度を-2℃以上にすると、肉塊M1が柔らかくなりすぎて、適切にスライスすることができない。
【0029】
スライス準備工程S1-2では、例えば、スライス工程S2を実行する前日に、肉塊M1を解凍用冷蔵庫に収容し、肉塊M1の温度を-4±1℃程度に保っておくことが好ましい。
【0030】
スライス工程S2は、冷凍されて一定の硬さをもった状態の肉塊M1をスライスして、スライス肉21を生成する工程である。スライス工程S2では、切断刃C1によって肉塊M1をスライスし、好ましくは0.1mm以上1.0mm以下、より好ましくは、0.5mmの厚さのスライス肉21を得ることができる。
【0031】
スライス工程S2は、例えば、肉用のスライサを用いて実行される。スライサとしては、例えば、チョップカッター ポセイドンII(株式会社なんつね製)が用いられる。なお、スライス工程S2では、当該スライサ以外のスライサを用いてもよいし、人が刃物を用いて肉塊M1をスライスしてもよい。
【0032】
切断刃C1は、肉塊M1をスライスする際、図3Bに示すように、鉛直面に沿って移動する。本実施形態では、切断刃C1は、水平面に沿う回転軸を中心に回転する回転刃であり、一回転で1枚のスライス肉21をスライスすることができる。切断刃C1の回転数は、200rpm以下であることが好ましく、より好ましくは160rpmである。切断刃C1の回転数が160rpmであると、切断したスライス肉21の間に適切な量の空気が介在する。切断刃C1の回転数が早過ぎると、切断に伴う肉塊M1の破片が飛び散るという問題が生じやすい。一方、切断刃C1の回転数が遅過ぎると、隣り合うスライス肉21が離れ過ぎるため、後の包装工程S3での作業を行いにくい。
【0033】
また、切断刃C1は、上述の通り、鉛直面に沿って移動するため、切断時にブレにくい。なお、肉塊M1をスライスする際、水平面に沿って切断刃C1を移動させると、重力の作用でスライスした肉が切断刃C1に密着して切断刃C1の動きがぶれやすく、適切な厚さで肉塊M1をスライスしにくい。
【0034】
包装工程S3は、複数のスライス肉21を一セットとしてフィルム22で包む工程である。ここでは、複数のスライス肉21として、3枚のスライス肉21を一セットとしてフィルム22で包む。包装工程S3では、機械によって複数のスライス肉21を包装してもよいが、作業者が一セットずつ手作業で包装することが好ましい。この後、包装して製造された複数の食肉製品2は、容器3上に並べられる。
<変形例>
【0035】
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0036】
上記実施形態では、スライス肉21は牛肉であったが、本発明ではこれに限らず、例えば、豚肉、家兔肉、家禽肉(鶏肉)、魚肉等であってもよい。
【0037】
上記実施形態に係る食肉製品2は、3枚のスライス肉21を一セットにしてフィルム22で包んだが、本発明では、これに限らず、例えば、0.3mmのスライス肉21を5枚重ねてフィルム22で包んでもよいし、0.1mmのスライス肉21を10枚重ねてフィルム22で包んでもよい。スライス肉の枚数は、複数枚であれば良く、複数のスライス肉40 21を重ねた厚さが1mm以上4mm以下であって、スライス肉21の厚さが0.1mm以上、1.0mm以下であればよい。
【0038】
上記実施形態に係る食肉製品2のセット品1では、透明なフィルム22と透明な容器3とを備えたが、フィルム22のみが透明であってもよいし、フィルム22及び容器3の両方が不透明であってもよい。また、容器3を透明にし、セット品1ごとに色の異なる多種類の容器3で販売することで、容器3を消費者がコレクションできるようにしてもよい。なお、透明なフィルム22と透明な容器3は、本実施形態の食肉製品2以外の食肉製品2(例えば、1枚のスライス肉21ごとに個別包装された従来の食肉製品2)にも適用可能である。
【0039】
上記実施形態に係るスライス工程S2では、水平面に沿う回転軸を中心に回転する切断刃C1で肉塊M1をスライスしたが、切断刃C1は、鉛直方向に平行移動してもよい。ただし、本発明では、鉛直面に沿って切断刃C1を移動させることに限らず、例えば、多少の切断刃C1のブレについては許容して、水平面に沿って移動する切断刃C1を用いてもよいし、鉛直面に対して傾斜する方向に沿って移動する切断刃C1を用いてもよい。
<まとめ>
【0040】
以上説明したように、第1の態様に係る食肉製品2は、スライスされて重ねられた複数のスライス肉21と、複数のスライス肉21を一セットとして包むフィルム22と、を備える。
【0041】
この態様によれば、複数枚のスライス肉21を一のスライス肉として調理することで、従来にない新たな食感を得ることができる。
【0042】
第2の態様に係る食肉製品2では、第1の態様において、複数のスライス肉21を重ねた厚さが1mm以上4mm以下である。
【0043】
この態様によれば、一般的なスライス肉21の一枚の厚さとして、複数のスライス肉21の厚さとすることができ、従来のスライス肉1枚と同じ感覚で調理することができながら、新たな食感を得ることができる。
【0044】
第3の態様に係る食肉製品2では、第2の態様において、複数のスライス肉21を重ねた厚さが1mm以上2.5mm以下である。
【0045】
この態様によれば、例えば、しゃぶしゃぶ用の食肉製品2として適しており、適切に肉に火を通すことができながら、新たな食感を得ることができる。
【0046】
第4の態様に係る食肉製品2では、第2の態様において、複数のスライス肉21を重ねた厚さが2.5mm以上4mm以下である。
【0047】
この態様によれば、例えば、すき焼き用の食肉製品2として適しており、肉厚さを保つ一方で適切に肉に火を通すことができて、また、新たな食感を得ることができる。
【0048】
第5の態様に係る食肉製品2では、第1~4のいずれか1つの態様において、複数のスライス肉21は、3枚のスライス肉21である。
【0049】
この態様によれば、製造のしやすさと見栄えを両立しながら、新たな食感を得ることができる。
【0050】
第6の態様に係る食肉製品2では、第1~5のいずれか1つの態様において、複数のスライス肉21の各々の厚さが、0.1mm以上1.0mm以下である。
【0051】
この態様によれば、スライス肉21を複数枚重ねた際に適切な厚さとすることができ、従来のスライス肉1枚と同じように扱うことができる。
【0052】
第7の態様に係る食肉製品2では、第6の態様において、複数のスライス肉21の各々の厚さが、0.5mmである。
【0053】
この態様によれば、本実施形態に係る製造方法を適用することで、スライス工程の際にスライス肉21が崩れるのを抑制しながら、複数のスライス肉21を重ねても厚くなり過ぎない。
【0054】
第8の態様に係る食肉製品2のセット品1は、第1~7のいずれか1つの態様の複数の食肉製品2と、複数の食肉製品2を収める容器3と、を備え、容器3及びフィルム22が透明である。
【0055】
この態様によれば、購入者は、スライス肉21の態様を視認して、商品の選択をすることができるし、販売者は、展示の際に見栄えのするセット品1とすることができる。
【0056】
第9の態様に係る食肉製品2の製造方法は、肉塊M1を冷凍する工程と、冷凍された肉塊M1をスライスしてスライス肉21を生成する工程と、複数のスライス肉21を一セットとしてフィルム22で包む工程と、を備える。
【0057】
この態様によれば、複数枚のスライス肉21を一セットにする食肉製品2を適切に製造することができる。
【0058】
第10の態様に係る食肉製品2の製造方法は、第9の態様において、フィルム22で包む工程は、複数のスライス肉21として、3枚のスライス肉21を一セットとしてフィルム22で包む。
【0059】
この態様によれば、製造のしやすさと見栄えを両立しながら、新たな食感を得ることができる。
【0060】
第11の態様に係る食肉製品2の製造方法では、第9又は第10の態様において、肉塊M1を冷凍する工程は、肉塊M1を-15℃以下にする保存工程S1-1と、保存工程S1-1の後、複数のスライス肉21を生成する工程の前に、-8℃以上-3℃にするスライス準備工程S1-2と、を有する。
【0061】
この態様によれば、スライス工程S2の際にスライス肉21の形が崩れるのを抑えながら、適切な厚さにスライスすることができる。
【0062】
第12の態様に係る食肉製品2の製造方法では、第9~第11のいずれかの態様において、複数のスライス肉21を生成する工程は、切断刃C1を鉛直面に沿って移動させることで冷凍された肉塊M1をスライスする。
【0063】
この態様によれば、スライス時に、切断刃C1がぶれるのを抑制することができ、スライス肉21が崩れたり、スライス肉21の厚さが不均一になったりするのを抑えることができる。
【0064】
第13の態様に係る食肉製品2の製造方法では、第9~第12のいずれかの態様において、切断刃C1は、一回転で一枚のスライス肉21をスライスするように構成され、複数のスライス肉21を生成する工程は、切断刃C1を160rpmで回転させることで、冷凍された肉塊M1をスライスする。
【0065】
この態様によれば、スライス肉21をスライスする際に、肉が飛び散るのを防ぐことができる上に、重なった複数のスライス肉21が適切に重なり、後の包装工程での作業性を向上することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 食肉製品のセット品
2 食肉製品
21 スライス肉
22 フィルム
3 容器
M1 肉塊
S1 冷凍工程
S1-1 保存工程
S1-2 スライス準備工程
S2 スライス工程
S3 包装工程
C1 切断刃
図1
図2
図3