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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021126303
(22)【出願日】2021-07-30
【審査請求日】2021-07-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521338075
【氏名又は名称】町筋 知子
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町筋 知子
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3228075(JP,U)
【文献】特開2011-430(JP,A)
【文献】登録実用新案第3232902(JP,U)
【文献】登録実用新案第3228948(JP,U)
【文献】特開2020-84339(JP,A)
【文献】特開2007-135748(JP,A)
【文献】特許第6896954(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/11
A62B18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用前の略平面状の展開状態で見て上辺及び下辺が互いに略平行でかつ左辺及び右辺が互いに略平行な略長方形形状を備えた不織布のマスク本体と、
前記マスク本体の左・右端部にそれぞれ連結され、ユーザの左・右の耳にそれぞれ掛けられる左・右耳掛け部と、
前記マスク本体の、左・右方向における略中央部でかつ上・下方向における略中央部に取り付けられ、前記ユーザの把持に基づく引き方向への力を受けて当該マスク本体に作用させる力受け部と、
一端が前記力受け部に接続されとともに他端側が前記ユーザにより把持されて引っ張られる、引っ張り紐又は引っ張り糸と、
を有するマスクであって、
前記マスク本体は、
左・右方向に延設され、平面状の前記マスクを立体的にユーザの顔にフィットさせるためにひだ状に折り込まれたプリーツを備え、
かつ、
前記左・右の耳掛け部が前記ユーザの左・右の耳に掛けられ、前記マスク本体の少なくとも一部が前記ユーザの顔の少なくとも一部に対し第1密着状態となりつつ当該ユーザの鼻及び口を覆う第1姿勢と、
前記左・右の耳掛け部が前記ユーザの左・右の耳に掛けられ、前記マスク本体の少なくとも一部が前記ユーザの顎の少なくとも一部に対し第2密着状態となりつつ当該ユーザの顎又は顎よりも首側の部分のうち少なくとも一部を覆う第2姿勢と、
を選択的に実現可能なマスクにおいて
前記力受け部が、前記マスク本体が前記ユーザの顔から浮くように前記引き方向への力を当該マスク本体に作用させることにより、前記第1密着状態を解消させての前記第1姿勢から前記第2姿勢への切り替えと、前記第2密着状態を解消させての前記第2姿勢から前記第1姿勢への切り替えを可能とし、
かつ、
前記引っ張り紐又は前記引っ張り糸の長さと、前記マスク本体における左端縁部又は右端縁部から前記力受け部までの距離と、が略等しいことにより、
前記第1姿勢において、前記引っ張り紐又は前記引っ張り糸を左・右いずれかの方向に延ばすことでその先端を前記マスク本体の前記プリーツ内に収納できるようにした
ことを特徴とするマスク。
【請求項2】
請求項1記載のマスクにおいて、
前記引っ張り糸のうちユーザによって把持される側に取り付けられた握り玉をさらに有し、
かつ、
前記第1姿勢において、前記引っ張り糸を左方向に延ばすことでその先端に取り付けられた前記握り玉を前記マスク本体の裏面において左端部近傍の前記プリーツ内に収納できるようにした
ことを特徴とするマスク。
【請求項3】
請求項2記載のマスクにおいて、
前記力受け部は
記マスク本体に設けられた左右方向の強度補強部に係合され前記引っ張り紐又は前記引っ張り糸が取り付けられた係合部材、である
ことを特徴とするマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感染症予防に使用されるマスクであって、飲食中に装着可能なものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の図1図3、段落[0023]~[0024]等には、マスク10を、上半分の上側フレーム23と下半分の下側フレーム25とに分け、それらの間をゴム紐等の連結部24によって連結した構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3231060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のマスクでは、ユーザは、飲食等の際にフレーム23,25を上下方向にスライドしてそれらの間に飲食用の開口部を形成しなければならず、操作が煩雑で素早く円滑に行うことができなかった。また、マスク本体の余計なところにユーザの手指が触ることがなり、手指の清浄性が侵される可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、飲食等の際にも素早く円滑に対応でき、手指の清浄性も維持することができるマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、使用前の略平面状の展開状態で見て上辺及び下辺が互いに略平行でかつ左辺及び右辺が互いに略平行な略長方形形状を備えた不織布のマスク本体と、前記マスク本体の左・右端部にそれぞれ連結され、ユーザの左・右の耳にそれぞれ掛けられる左・右耳掛け部と、前記マスク本体の、左・右方向における略中央部でかつ上・下方向における略中央部に取り付けられ、前記ユーザの把持に基づく引き方向への力を受けて当該マスク本体に作用させる力受け部と、一端が前記力受け部に接続されとともに他端側が前記ユーザにより把持されて引っ張られる、引っ張り紐又は引っ張り糸と、を有するマスクであって、前記マスク本体は、左・右方向に延設され、平面状の前記マスクを立体的にユーザの顔にフィットさせるためにひだ状に折り込まれたプリーツを備え、かつ、前記左・右の耳掛け部が前記ユーザの左・右の耳に掛けられ、前記マスク本体の少なくとも一部が前記ユーザの顔の少なくとも一部に対し第1密着状態となりつつ当該ユーザの鼻及び口を覆う第1姿勢と、前記左・右の耳掛け部が前記ユーザの左・右の耳に掛けられ、前記マスク本体の少なくとも一部が前記ユーザの顎の少なくとも一部に対し第2密着状態となりつつ当該ユーザの顎又は顎よりも首側の部分のうち少なくとも一部を覆う第2姿勢と、を選択的に実現可能なマスクにおいて、前記力受け部が、前記マスク本体が前記ユーザの顔から浮くように前記引き方向への力を当該マスク本体に作用させることにより、前記第1密着状態を解消させての前記第1姿勢から前記第2姿勢への切り替えと、前記第2密着状態を解消させての前記第2姿勢から前記第1姿勢への切り替えを可能とし、かつ、前記引っ張り紐又は前記引っ張り糸の長さと、前記マスク本体における左端縁部又は右端縁部から前記力受け部までの距離と、が略等しいことにより、前記第1姿勢において、前記引っ張り紐又は前記引っ張り糸を左・右いずれかの方向に延ばすことでその先端を前記マスク本体の前記プリーツ内に収納できるようにしたことを特徴としている。
【0007】
本願発明のマスクによれば、ユーザは、力受け部に対し引き方向への力を作用させることで、マスク本体をユーザの顔から浮かせつつ、マスクの「通常使用状態」に対応する第1姿勢と、いわゆる「顎マスク状態」に相当する第2姿勢との切り替えを、容易に行うことができる。これにより、例えば飲食等の際に通常使用状態から顎マスク状態にするときに素早く円滑に行えるとともに、その後元の通常使用状態に戻すときにも素早く円滑に行うことができる。また、マスク本体の余計なところにユーザの手指が触ることがないため、手指の清浄性も維持しやすい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマスクによれば、飲食等の際にも素早く円滑に対応でき、手指の清浄性も維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るマスクの使用前の展開状態を示す平面図である。
図2図1のマスクをユーザが装着した状態を表す斜視図である。
図3】第1姿勢から第2姿勢への切り替えを説明する概念図である。
図4】請求項4の効果の態様を表す概念図である。
図5】装飾性を付与した変形例に係るマスクの斜視図及び平面図である。
図6】力受け部にテープ部材を用いた変形例に係るマスクをユーザが装着した状態を表す斜視図である。
図7】第2実施形態に係るマスクの第1姿勢から第2姿勢への切り替えを説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0011】
<第1実施形態及び変形例>
本発明の第1実施形態及びその変形例を図1図6により説明する。
【0012】
図1に第1実施形態のマスク1の使用前の展開状態を表す平面図を示す。図1に示す方角は、マスク1をユーザMが装着した時にユーザMから見た上下方向、左右方向、前後方向であり、これらの方向は互いに直交する。同様の方角が図2図7にも適宜適用される。
【0013】
マスク1は使用前の略平面状の展開状態で見た時に上辺2及び下辺3が互いに略平行で、かつ左辺4及び右辺5が互いに略平行な略長方形形状を備えたマスク本体6を有する。この図では、マスク本体6は例えばポリプロピレンの不織布等で構成されているが、マスク本体6が布等であってもよい。
【0014】
また、マスク1はマスク本体の左端部7、右端部8にそれぞれ連結され、ユーザの左の耳、右の耳にそれぞれ掛けられる左耳掛け部9及び右耳掛け部10を有する。左耳掛け部9及び右耳掛け部10は例えばポリウレタンやポリエステル等から構成される紐である。またはゴム紐などであってもよい。
【0015】
また、マスク1はマスク本体6の、左右方向における略中央部でかつ上下方向における略中央部に取り付けられた力受け部11を有する。
【0016】
マスク1は、一端が力受け部11に接続されるとともに他端側がユーザMにより把持されて引っ張られる引っ張り糸12をさらに有する。引っ張り糸12は、引っ張り紐であってもよい。
【0017】
力受け部11は、マスク本体6に設けられた左右方向の強度補強部13に係合された引っ張り糸12が取り付けられた係合部材14である。
【0018】
強度補強部13は、例えばポリエチレン等で構成される矩形状の細い板状部材である。強度補強部13はマスク本体6の裏面(この図の後方向側)あるいは内側に配置されている。
【0019】
この図では、係合部材14は、金属製のリング部材であって、強度補強部13を環状に取り囲むようにマスク本体6の不織布を貫通させて取り付けられている。
【0020】
引っ張り糸12のユーザMによって把持される側には握り玉15が取り付けられている。握り玉15の材質や形状はどのようなものであってもよいが、この図ではプラスチックの球状ビーズが取り付けられている。
【0021】
また、この図では、不織布で構成されるマスク本体6に、4本のプリーツ16が設けられている。プリーツ16は平面状のマスク1を立体的に使用者の顔にフィットさせるためにひだ状に折り込まれた部位である。
【0022】
図2に、図1のマスク1をユーザMが装着した状態を表す斜視図を示す。
【0023】
ユーザMは左の耳に左耳掛け部9を、右の耳に右耳掛け部10をかけ、マスク本体6がユーザMの顔の少なくとも一部(この図では少なくとも鼻と口)に密着した状態である。マスク本体6の表側(この図の前方向側)に取り付けられた力受け部11から、引っ張り糸12及び握り玉15は下方向に垂れ下がった状態となっている。
【0024】
この図においてマスク1の引っ張り糸12の長さxと、マスク本体6における左端縁部7から力受け部11までの距離Lとは略等しくなっている。右端縁部8から力受け部11までの距離も同様に引っ張り糸12の長さxと略等しくなっている。
【0025】
図3に第1姿勢から第2姿勢への切り替えを説明する概念図を示す。
【0026】
図3(a)にマスク1の第1姿勢の状態、図3(b)にマスク1の第1姿勢から第2姿勢への移行途中の状態、図3(c)にマスク1の第2姿勢の状態をそれぞれ示す。
【0027】
図3(a)はマスク1の第1姿勢である。第1姿勢において、マスク1の左耳掛け部9がユーザMの左耳に掛けられている。図示されない右耳掛け部10も同様にユーザMの右耳に掛けられている。マスク本体6の少なくとも一部がユーザMの少なくとも一部(この図では鼻及び口)に対し密着した第1密着状態となりつつユーザMの鼻及び口を覆っている。
【0028】
ユーザMはマスク本体6に取り付けられた力受け部11に、引っ張り糸12を介して取り付けられる握り玉15を把持しているが、この姿勢ではまだ力受け部11に力が加えられていない状態である。
【0029】
図3(b)はマスク1の第1姿勢から第2姿勢への移行途中の状態を示す。ユーザMは握り玉15を把持して図の矢印方向に向けて握り玉15を引っ張る。こうすることで、握り玉15から引っ張り糸12を介して力受け部11へと力が働き、力受け部11が接続されたマスク本体6がユーザMの顔から浮くように引き方向(図の矢印方向)への力をマスク本体6に作用させる。この図では前記引き方向は前下方である。
【0030】
図3(c)はマスク1の第2姿勢の状態を示す。第2姿勢では、左耳掛け部9及び右耳掛け部10がユーザMの左耳及び右耳に掛けられ、マスク本体6の少なくとも一部がユーザMの顎の少なくとも一部に対し第2密着状態となりつつユーザMの顎又は顎よりも首側の部分のうち少なくとも一部を覆っている。
【0031】
すなわちマスク1は図3(a)に示した第1姿勢と図3(c)に示した第2姿勢とを選択的に実現可能であって、力受け部11が、マスク本体6がユーザMの顔から浮くように引き方向への力をマスク本体6に作用させることにより、前記第1密着状態を解消させての前記第1姿勢から前記第2姿勢への切り替えと、前記第2密着状態を解消させての前記第2姿勢から前記第1姿勢への切り替えを可能とするものである。
【0032】
図4にクレーム4の効果の態様を表す概念図を示す。この図では、図3(a)で説明した第1姿勢において、引っ張り糸12の端部に取り付けられた握り玉15をマスク本体6の裏面において左端部付近のプリーツ16内に収納している。
【0033】
すなわち、図2で説明したように、引っ張り糸12の長さxと、マスク本体6における左端縁部7から力受け部11までの距離Lとが略等しいため、引っ張り紐や引っ張り糸12を使用しない第1姿勢において、ユーザMは、邪魔な引っ張り紐や引っ張り糸12を左・右いずれかの方向に延ばし、その先端をマスク本体6のうち顔側の適宜の部位、例えばプリーツ16内に収納すると、引っ張り糸12が邪魔にならないようになっている。
【0034】
<第1実施形態の効果>
ユーザMは、力受け部11に対し引き方向への力を作用させることで、マスク本体6をユーザMの顔から浮かせつつ、マスク1の「通常使用状態」に対応する第1姿勢と、いわゆる「顎マスク状態」に相当する第2姿勢との切り替えを、容易に行うことができる。これにより、例えば飲食等の際に通常使用状態から顎マスク状態にするときに素早く円滑に行えるとともに、その後元の通常使用状態に戻すときにも素早く円滑に行うことができる。また、マスク本体6の余計なところにユーザMの手指が触ることがないため、手指の清浄性も維持しやすい。
【0035】
また、本実施形態では特に、ユーザMは、引っ張り紐又は引っ張り糸12を手指でつまんで引っ張るだけで、マスク本体6をユーザMの顔から浮かせつつ第1姿勢と第2姿勢とを素早く円滑に切り替えることができる。
【0036】
また、本実施形態では特に、力受け部11は、マスク本体6に設けられた左右方向の強度補強部13に係合され引っ張り紐又は引っ張り糸12が取り付けられた係合部材14であるため、例えば使い捨てマスクの場合、1つのマスク1を使用した後、強度補強部13に係合された係合部材14を取り外すことで、次の新しいマスク1へ装着して使い回すことができる。あるいは洗濯可能なマスクの場合は、使用後は、上記のように係合部材14を取り外すことでマスク1の洗濯を手軽に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態では特に、力受け部11が強度補強部13に係合されているので、引き方向に強い力を加えても、マスク本体6が破れたり、力受け部11がマスク本体6から外れることがない。
【0038】
また、本実施形態では特に、引っ張り紐又は引っ張り糸12の長さと、マスク本体6における左端縁部7又は右端縁部8から力受け部11までの距離とが略等しいことにより、引っ張り紐や引っ張り糸12を使用しない第1姿勢において、ユーザMは、邪魔な引っ張り紐や引っ張り糸12を左・右いずれかの方向に延ばし、その先端をマスク本体6のうち顔側の適宜の部位、例えばプリーツ16内に収納することができる。
【0039】
<第1実施形態の変形例>
なお、上記第1実施形態は、上記の態様に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例について順次説明する。
【0040】
(1)引っ張り糸12′又は握り玉15′に装飾性を付与する場合
図5(a)に変形例のマスク1′をユーザMが装着した第1姿勢を示す。マスク1′の力受け部11はマスク1と同様の構成である。この変形例ではマスク1′の引っ張り糸12′にアクセサリーとしての装飾性を持たせた飾り17が取り付けられている。
【0041】
また、図5(b)に飾り玉15′の形状に装飾性を持たせた場合の平面図を示す。この図では飾り玉15′の形状がてるてる坊主を模したものとなっている。飾り玉15′の形状はこれに限らずどのようなものであってもよい。
【0042】
この変形例のマスク1′によれば装飾性をマスク1′に付与することができ、力受け部11から飾り玉15′までの部位は取り外して繰り返し使用することができるのでユーザMの好みに合わせることができる。また、この変形例においても、上記実施形態と同様の効果を有する。
【0043】
(2)力受け部11がテープ部材である場合
図6に変形例のマスク1″をユーザMが装着した状態を表す斜視図を示す。
【0044】
図6はユーザMがマスク1″を装着した第1姿勢である。この変形例では力受け部11′がマスク本体6の表側(この図の前方側)に貼り付けられ、引っ張り糸12が固定されたテープ部材18である。テープ部材18は例えば粘着テープである。
【0045】
ユーザMは握り玉15を把持して引っ張ることにより、引っ張り糸12を介してテープ部材18に力を加え、マスク1′の第1姿勢と第2姿勢とを切り替えることができるようになっている。この図では、テープ部材18はマスク本体6の略中央部に貼り付けられているが、テープ部材18をマスク本体6のどこに貼り付けてもかまわない。
【0046】
この変形例によれば、例えば強力な粘着力を有するテープ部材18を用いることにより、強度補強部13がマスク本体6の略中央部に左右方向に配置されているかどうかに関わらず、ユーザMの所望する場所にテープ部材18を貼り付けることができる。
【0047】
また、テープ部材18は安価であるため、使い捨てマスクの場合、使用後にはマスク本体6に貼られたテープ部材18や引っ張り糸12ごと、マスク″を廃棄することができ、衛生面がさらに向上する。しかし、洗濯可能なマスクの場合には、強力な粘着力を有するテープ部材18を用いることにより接着性を補うことで、テープ部材18を再利用することも可能である。
【0048】
上記のように、テープ部材18ごと使い捨てできるマスク″は特に、安価で大量生産可能なため、飲食店等で店舗側から客に対して来店時、あるいは飲食開始時に使い捨てのマスク″を装着説明図と共に提供することで、スムーズにマスク会食を実現させることができる。すなわち、客は店側から提供されたマスク″を使って飲食時には第1姿勢、飲食時以外の会話時等には第2姿勢をとることができ、感染症の予防効果を向上させることができる。また、この変形例においても、上記実施形態と同様の効果を有する。
【0049】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を図7により説明する。
【0050】
図7にマスク100をユーザMが装着して第1姿勢から第2姿勢へ切り替える時の態様について説明する。
【0051】
図7(a)はマスク100をユーザMが装着した第1姿勢である。マスク100の左耳掛け部9はユーザMの左耳に掛けられている。図示されない右耳掛け部10も同様にユーザMの右耳にかけられている。マスク本体6の少なくとも一部がユーザMの少なくとも一部(この図では鼻及び口)に対し密着した第1密着状態となりつつユーザMの鼻及び口を覆っている。
【0052】
この実施形態では力受け部11″が、ユーザMの指により把持される把持部材19である。把持部材19は例えば、マスク本体6に設けられた左右方向の強度補強部13に対し係脱自在に係合されるクリップである。
【0053】
この第1姿勢では把持部材19にはまだ力が加えられていない状態である。
【0054】
図7(b)はマスク100の第1姿勢から第2姿勢への移行途中の状態である。ユーザMは把持部材19を把持して図の矢印方向に向けて引っ張る。こうすることで、把持部材19が接続されたマスク本体6がユーザMの顔から浮くように引き方向(図の矢印方向)への力をマスク本体6に作用させる。この図では引き方向は前下方となっている。
【0055】
図7(c)はマスク100の第2姿勢である。第2姿勢においては左耳掛け部9及び右耳掛け部10(図示なし)がユーザMの左耳及び右耳(図示なし)に掛けられ、マスク本体6の少なくとも一部がユーザMの顎の少なくとも一部に対し第2密着状態となりつつユーザMの顎又は顎よりも首側の部分のうち少なくとも一部を覆っている。
【0056】
すなわちマスク100は図7(a)に示した第1姿勢と図7(c)に示した第2姿勢とを選択的に実現可能であって、把持部材19が、マスク本体6がユーザMの顔から浮くように引き方向への力をマスク本体6に作用させることにより、前記第1密着状態を解消させての前記第1姿勢から前記第2姿勢への切り替えと、前記第2密着状態を解消させての前記第2姿勢から前記第1姿勢への切り替えを可能とするものである。
【0057】
<第2実施形態の効果>
マスク100によれば、ユーザMは、把持部材19を直接手指でつまんで引っ張るだけで、マスク本体6をユーザMの顔から浮かせつつ第1姿勢と第2姿勢とを素早く円滑に切り替えることができる。
【0058】
また、本実施形態では特に、市販のプラスチック製又は金属製のクリップを用いることで、安価かつ手軽に把持部材19を実現することができる。
【0059】
また、本実施形態では特に、把持部材19はマスク本体6に設けられた左右方向の強度補強部13に対し係脱自在に係合されているため、引き方向に強い力を加えたとしても、把持部材19がマスク本体6から外れたり、マスク本体6が破れたりすることがない。
【0060】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0061】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0062】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0063】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0064】
1、1′、1″、100 マスク
2 上辺
3 下辺
4 左辺
5 右辺
6 マスク本体
7 左端部
8 右端部
9 左耳掛け部
10 右耳掛け部
11、11′、11″ 力受け部
12、12′ 引っ張り糸
13 強度補強部
14 係合部材
15、15′ 握り玉
16 プリーツ
17 飾り
18 テープ部材
19 把持部材
【要約】
【課題】飲食等の際にも素早く円滑に対応でき、手指の清浄性も維持することができる。
【解決手段】
マスク本体6と、左耳掛け部9及び右耳掛け部10と、マスク本体6の略中央部に取り付けられ、ユーザMの把持に基づく引き方向への力を受けてマスク本体6に作用させる力受け部11とを有し、マスク本体6の少なくとも一部がユーザMの顔の少なくとも一部に対し第1密着状態となりつつユーザMの鼻及び口を覆う第1姿勢と、マスク本体6の少なくとも一部がユーザの顎の少なくとも一部に対し第2密着状態となりつつユーザMの顎又は顎よりも首側の部分のうち少なくとも一部を覆う第2姿勢とを選択的に実現可能なマスク1であって、力受け部11が引き方向への力をマスク本体6に作用させることにより、第1姿勢から第2姿勢への切り替えと、第2姿勢から第1姿勢への切り替えを可能としたマスク1。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7