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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/04 20060101AFI20220412BHJP
   A47J 41/00 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B65D41/04 200
A47J41/00 304C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021142103
(22)【出願日】2021-09-01
【審査請求日】2021-09-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515043956
【氏名又は名称】株式会社アトラス
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】伯耆 貴宏
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-067409(JP,A)
【文献】特表2017-508684(JP,A)
【文献】特開2013-237487(JP,A)
【文献】実開昭50-123667(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
A47J 41/00-41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が貯留される貯留部と飲料が流出する開口部と前記開口部近傍に配置される被螺合部と容器内部の側壁に沿って配置される被係合部とを備える容器本体と、前記被係合部に係合する係合部と前記係合部に当接し変形可能な変形部と前記被螺合部に螺合する螺合部とを備え回動により前記螺合部が前記被螺合部に螺合して前記容器本体に取り付けられる蓋部とを有し、
前記螺合部が前記被螺合部に留まるより前に係合部が被係合部に係合することにより前記変形部が変形を開始し、前記螺合部が前記被螺合部に留まったときには前記変形部の変形により前記貯留部と前記開口部との隙間を塞ぎ、前記蓋部は、前記螺合部が前記被螺合部に留まったときに前記貯留部に面する弁と、蓋部の外部に配置される操作部と、前記操作部の操作に応じて前記弁を開放する開放部とを有し、前記貯留部内の圧力の上昇に応じて前記変形部がさらに変形して前記係合部が前記被係合部から離間し、前記弁の開放に応じて前記変形部の変形が緩和し前記係合部が前記被係合部に当接することを特徴とする飲料容器。
【請求項2】
前記被係合部より前記開口部に近い位置に、容器内部の側壁に沿って配置され前記係合部が通過可能な干渉部が配置されており、
前記変形部が変形して前記係合部と前記干渉部とに挟まれて前記貯留部と前記開口部との隙間を塞ぐ請求項1に記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸ガスを含む飲料を蓄える飲料容器に用いる栓体が知られている。例えば、栓棒を備え、栓棒の底部には容器へ挿入又は容器から引き抜き可能なベースが設けられ、ベースの形状及び大きさが容器の注ぎ口ストレート部又は容器の最小断面の形状及び大きさに対応するように構成される高速開閉する容器栓用の柱状栓体であって、ベースの中心には、容器の内外圧力のバランスを保持するための通気孔が設けられ、通気孔には通気弁が設けられている、高速開閉する容器栓用の柱状栓体が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2019-501843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器から引き抜くタイプ以外にも蓋部を備える回動式の飲料容器においても炭酸飲料を貯留できれば便宜である。
1つの側面では、本発明は、回動式の飲料容器においても炭酸飲料を貯留できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、開示の飲料容器が提供される。この飲料容器は、飲料が貯留される貯留部と飲料が流出する開口部と開口部近傍に配置される被螺合部と容器内部の側壁に沿って配置される被係合部とを備える容器本体と、被係合部に係合する係合部と係合部に当接し変形可能な変形部と被螺合部に螺合する螺合部とを備え回動により螺合部が被螺合部に螺合して容器本体に取り付けられる蓋部とを有し、螺合部が被螺合部に留まるより前に係合部が被係合部に係合することにより変形部が変形を開始し、螺合部が被螺合部に留まったときには変形部の変形により貯留部と開口部との隙間を塞ぐ。
【発明の効果】
【0006】
1態様では、回動式の飲料容器においても炭酸飲料を貯留できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態の飲料容器を示す斜視図である。
図2】実施の形態の飲料容器を示す側部断面図である。
図3】蓋部の分解図である。
図4】実施の形態の飲料容器の使用方法の一例を説明する図である。
図5】実施の形態の飲料容器の使用方法の一例を説明する図である。
図6】実施の形態の飲料容器の使用方法の一例を説明する図である。
図7】実施の形態の飲料容器の使用方法の一例を説明する図である。
図8】実施の形態の飲料容器の使用方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態の飲料容器を、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
以下の図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲等に限定されない。
実施の形態において単数形で表される要素は、文面で明らかに示されている場合を除き、複数形を含むものとする。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の飲料容器を示す斜視図である。図2は、実施の形態の飲料容器を示す側部断面図である。
実施の形態の飲料容器1は、容器本体2と、蓋部3とを有している。
【0010】
容器本体2は、例えば真空二重壁構造であり、飲料が貯留される貯留部20と内部の飲料が流出する環状の開口部21を備えている。飲料としては、特に限定されないが、例えば炭酸飲料等が挙げられる。開口部21の外周部には、蓋部3と螺合する被螺合部22が設けられている。
【0011】
また、開口部21の下部には、容器内部の側壁に沿って配置される二カ所の段差部23、24が設けられている。段差部23は、被係合部の一例である。段差部24は干渉部の一例である。
なお、図2において現時点で説明していない符号については後に説明する。
図3は、蓋部の分解図である。
蓋部3は、上蓋31と、下蓋32と、収縮パッキン33と、中栓34とを有している。
上蓋31は、把持部311とレバー312とロックスイッチ313とを有している。
把持部311は、使用者が飲料容器1を持ち運んだりする際に把持する。
レバー312は、使用者が例えば人差し指や中指で下部に押し込むことで後述するシャフト345の先端部分を押圧することができる。
ロックスイッチ313は、使用者が押圧することで上蓋31を下蓋32から離脱させることができる。
下蓋32は、かぎ爪受け部321と螺合部322(図2参照)と貫通孔323とを有している。
【0012】
かぎ爪受け部321は、ロックスイッチ313に連動するかぎ爪部(図示せず)が挿入される。前述したように、使用者がロックスイッチ313を押圧することでかぎ爪部がかぎ爪受け部321から外れて上蓋31を下蓋32から離脱させることができる。
螺合部322は、被螺合部22と螺合する。
貫通孔323は、後述するシャフト345の先端部が挿通する。
【0013】
収縮パッキン33は、容器本体2内に貯留される飲料が外部に漏れることを抑制する。また、収縮パッキン33は、容器本体2内の圧力が増加したときに中栓34が下蓋32に加える圧力を緩和させる機能を有している。
収縮パッキン33は、可撓性を備え変形可能な変形部331を有している。変形部331の動作については後述する。
【0014】
中栓34は、内蓋341とロックリング342とバネ343と台座344とシャフト345とシャフトパッキン346とを有している。内蓋341、ロックリング342、バネ343、台座344内にはシャフト345が挿通されている。
【0015】
内蓋341は、シャフト345の先端部が挿入される貫通孔341aを有している。内蓋341は、貫通孔341aに挿通されているシャフト345のずれを抑制する。
ロックリング342は、シャフト345にバネ343を留め付ける役割を果たす。バネ343は、台座344およびシャフト345を図面上方向に付勢する。
台座344はシャフト345が機能する土台である。台座344の座面344aには、変形部331が当接する。
シャフト345は、開放部の一例である。シャフト345にはシャフトパッキン346とリブパッキン347とが装着されている。
シャフトパッキン346は、弁の一例である。
【0016】
シャフト345は若干上下方向に移動可能である。図2に示す状態においてはシャフト345はバネ343により図面上方向に付勢されているため、シャフトパッキン346は、座面344aとシャフト345の隙間を塞いでいる。
リブパッキン347は、後述する容器本体2内からガスを抜く際、容器本体2内に貯留する飲料が外部に漏れ出ることを抑制する。
次に、飲料容器1の使用方法の一例を説明する。
図4図8は、実施の形態の飲料容器の使用方法の一例を説明する図である。
まず、容器本体2に蓋部3を取り付けるときの蓋部3の機構について説明する。
順番としては、図4図5図2となる。
【0017】
まず、図4に示すように、使用者は容器本体2の開口部21内に中栓34を入れる。そして、使用者は図5に示すように螺合部322を被螺合部22と螺合させる。図5に示すように、中栓34の下部は段差部24を通過する。螺合部322が被螺合部22に留まる(蓋部3が回動しなくなる)より前に座面344aが段差部23に接触する。変形部331は、螺合による上部からの圧力と、座面344aが段差部23に接触することによる下部からの圧力とにより潰れるように変形を開始する。
【0018】
その後、図2に示すように螺合部322が被螺合部22に留まると、変形部331の一部は座面344aに当接し、他の一部は段差部24に当接してそれらの間に挟まれる。これにより変形部331はパッキンとしての役割を果たし、貯留部20と段差部24、つまり、貯留部20と開口部21との隙間を塞ぐ。これにより段差部23経由で(段差部23から螺合部322と被螺合部22の隙間を通って)貯留部20内に貯留する飲料が外部に漏れ出ることを抑制する。また、バネ343によりシャフト345が紙面上方向に付勢されることにより、シャフトパッキン346が座面344aに当接する。これによりシャフトパッキン346と座面344aとの隙間を通って貯留部20内に貯留する飲料が外部に漏れ出ることを抑制する。従って、貯留部20内は水密に保たれる。
また、シャフト345の先端部は、貫通孔323から若干突出する。
【0019】
ところで、貯留部20内に貯留される飲料が炭酸飲料の場合、貯留部20内に炭酸ガスが発生し、貯留部20内に充満する場合がある。この場合、図6に示すように、炭酸ガスの圧力により台座344aがバネ343の付勢に逆らって上部に移動する。これにより、変形部331は、螺合による上部からの圧力と、座面344aの移動に伴う下部からの圧力とにより、さらに潰れるように変形する。この状態で使用者が飲料を飲もうとして蓋部3を回動させて容器本体2から取り外そうとすると段差部24と変形部331との摩擦や、螺合部322と被螺合部22との摩擦等により取り外しに大きな力を伴う。このとき使用者はレバー312を使用することで貯留部20内に充満した炭酸ガスの一部または全部を外部に放出することができる。
【0020】
具体的には、図7および図8に示すように、使用者がレバー312を下部に押し込むことにより、レバー312が貫通孔323から突出しているシャフト345の先端部分に当接し、バネ343の付勢に逆らってシャフト345が下部に移動する。これにより、シャフトパッキン346と座面344aとの間に炭酸ガスが通過可能な隙間s(点線の円で囲んだ箇所)が形成される。炭酸ガスは、この隙間sを通過する。隙間sを通過した炭酸ガスは、図7の矢印aに示すようにリブパッキン347、台座344とシャフト345の隙間、貫通孔341a、および貫通孔323を通って外部に放出される。この放出の際、リブパッキン347により、炭酸ガスは通過させるが液体を通過させることを抑制している。従って、貯留部20内の液体が外部に放出されることを抑制することができる。
【0021】
ある程度炭酸ガスが放出されると図8に示すように座面344aが下降し段差部23に接触する。また、変形部331の変形が緩和する。使用者がレバー312から手を離すと、シャフトパッキン346は、バネ343により付勢されて上方に移動し、座面344aとシャフト345の隙間を塞ぐ。これにより、図2に示す状態となり、再び貯留部20内は気密に保たれる。また、使用者は炭酸ガスが貯留部20内に充満している状態に比べて軽い力で蓋部3を回動させて蓋部3を容器本体2から取り外すことができる。
【0022】
以上述べたように、実施の形態の飲料容器1によれば、飲料が貯留される貯留部20と飲料が流出する開口部21と開口部21近傍に配置される被螺合部22と容器内部の側壁に沿って配置される段差部23とを備える容器本体2と、段差部23に係合する座面344aと座面344aに当接し変形可能な変形部331と被螺合部22に螺合する螺合部322とを備え回動により螺合部322が被螺合部22に螺合して容器本体2に取り付けられる蓋部3とを有し、螺合部322が被螺合部22に留まるより前に座面344aが段差部23に接触することにより変形部331が変形を開始し、螺合部322が被螺合部22に留まったときには変形部331の変形により貯留部20と開口部21との隙間を塞ぐようにした。従って、回動により蓋部3を開閉するタイプの飲料容器1においても炭酸飲料を貯留できる。
【0023】
また、段差部23より開口部21に近い位置に、容器内部の側壁に沿って配置され座面344aが通過可能な段差部24が配置されており、変形部331が変形して座面344aと段差部24とに挟まれて貯留部20と開口部21との隙間を塞ぐようにした。これにより、蓋部3を回動する動作と隙間を塞ぐ動作が一体的に行われる。
【0024】
また、蓋部3は、螺合部322が被螺合部22に留まったときに貯留部20に面するシャフトパッキン346と、蓋部3の外部に配置されるレバー312と、レバー312の操作に応じてシャフトパッキン346を開放するシャフト345とを有する。これにより、貯留部20内部に貯留する炭酸ガスを容易に放出することができる。
【0025】
また、貯留部20内の圧力の上昇に応じて変形部331がさらに変形して座面344aが段差部23から離間し、シャフトパッキン346の開放に応じて変形部331の変形が緩和し座面344aが段差部23に当接する。これにより、使用者は炭酸ガスが貯留部20内に充満している状態に比べて軽い力で蓋部3を回動させて蓋部3を容器本体2から取り外すことができる。
【0026】
以上、本発明の飲料容器を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 飲料容器
2 容器本体
3 蓋部
20 貯留部
21 開口部
22 被螺合部
23、24 段差部
312 レバー
322 螺合部
331 変形部
344a 座面
345 シャフト
346 シャフトパッキン
【要約】
【課題】回動式の飲料容器においても炭酸飲料を貯留できること。
【解決手段】飲料容器1は、飲料が貯留される貯留部20と飲料が流出する開口部21と開口部21近傍に配置される被螺合部22と容器内部の側壁に沿って配置される段差部23とを備える容器本体2と、段差部23に係合する座面344aと座面344aに当接し変形可能な変形部331と被螺合部22に螺合する螺合部322とを備え回動により螺合部322が被螺合部22に螺合して容器本体2に取り付けられる蓋部3とを有し、螺合部322が被螺合部22に留まるより前に座面344aが段差部23に接触することにより変形部331が変形を開始し、螺合部322が被螺合部22に留まったときには変形部331の変形により貯留部20と開口部21との隙間を塞ぐ。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8