(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】安全待ち針
(51)【国際特許分類】
A41H 15/00 20060101AFI20220412BHJP
A44B 9/12 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
A41H15/00 C
A44B9/12 Z
(21)【出願番号】P 2021200329
(22)【出願日】2021-12-09
【審査請求日】2021-12-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】719007453
【氏名又は名称】原澤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】原澤 和彦
【審査官】武井 健浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-078955(JP,A)
【文献】実開昭54-050607(JP,U)
【文献】特開2010-029686(JP,A)
【文献】実開昭55-114205(JP,U)
【文献】実開昭54-137403(JP,U)
【文献】実開昭54-128603(JP,U)
【文献】実開昭50-154103(JP,U)
【文献】特開平10-204714(JP,A)
【文献】実開平02-011118(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H 15/00
A44B 9/12 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護カバー(1)と、延長部材(2)と、支持部(3)と、ストッパー(4)と、針部(5)を備え、支持部(3)の中をスライドする構造を有する延長部材(2)は、延長部材先端(6)に保護カバー(1)を、延長部材後端(7)にはストッパー(4)を配設する、とともに支持部(3)に針部後端(12)を固定させた形態を持ち、針部(5)と、延長部材(2)の弾性によって付勢された保護カバー(1)の保護カバー凹部(8)を、針部(5)に接した状態のままで、保護カバー(1)を針部先端(11)までスライドさせたとき、保護カバー(1)が、針部先端(11)を覆った定常状態を維持する構造を特徴とする、安全待ち針。
【請求項2】
保護カバー(1)を支持部(3)のところまでスライドさせることによって、針部(5)が露出し、針部先端(11)より、針部(5)を、対象物(13)に刺し込むことが出来る構造を特徴とする、請求項1記載の安全待ち針。
【請求項3】
対象物(13)に針部(5)を刺し込み、針部先端(11)までスライドさせた保護カバー(1)が、針部先端(11)を覆っている定常状態のままであっても、
対象物(13)に接する、保護カバー内部(9)である保護カバー凹部(8)と、保護カバー底部(10)が、対象物(13)に対し、抵抗なく滑るように移動できる緩やかな曲面形状である、とともに摩擦抵抗が小さいすべすべした表面からなる形状であることによって、針部先端(11)とは逆方向に支持部(3)に対し力を加えることにより、針部(5)を引き抜ける構造を特徴とする、請求項1、又は2記載の安全待ち針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、待ち針に関するものである。
【背景技術】
【0002】
慣用の待ち針は、針先の他端に留め具の加工が成されているのみで、使用時は、針先がむき出しになってしまい、縫製時には指先に針を刺すことも少なくなかったため、安全に使用するには使い勝手に課題を抱えている。
【0003】
また、使用中に針先が刺さらないよう、安全ピンを代用する場合もあるが、対象物への抜き差し時の効率性に課題が残る。未使用時には、針先を収納部に収めない限り、針先がむき出しになってしまい、安全に使用するには使い勝手に課題が残る。
【0004】
更に、特許文献1の先端部に弾発構造を備える安全ピンでは、待ち針として使用するとき、対象物を借り止めするときには収納ハウスで針先を保護できるが、収納ハウス内の突起物によって針先が外れにくくされているため、対象物に刺してある針を抜くとき、指先で収納ハウスに収まっている針先を外す手間を要し、使い勝手において課題を残している。
【0005】
また、特許文献2の持ち手の部分がない安全ピンにおいても、待ち針として使用するとき、対象物に刺した針を対象物から抜き安い針受けの構造を有しているが、針と針受け用の棒の間が弾発構造によって閉じているため、指で針と針受けと針先の間に隙間をつくった状態を保ちながら、対象物に針先を差し込む作業を要する、といった使い勝手上の課題を残している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-83708号公報
【文献】実開平5-76308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
慣用の安全ピンを、待ち針として使用すると、針先を保護カバーに納めるときや、針先を保護カバーから外すときに、使い勝手が悪く効率性に課題があり、未使用時は針先を保護カバーに納める操作をしない限り、針先がむき出しになり危険であった。
【0008】
また、慣用の縫製用待ち針は、不注意で待ち針の先を指に刺してしまう危険性と、怪我に対する恐怖心や不安があるため、その代用品として、安全ピンを使うこともあるが、使用時の使い勝手と効率性に課題が残る。
【0009】
更に、先に発明された、使用時に針先を覆うことが可能になった待ち針おいても、使用時の使い勝手と効率性の課題は解決されていない。
【0010】
そこで、保護カバーをスライドさせ針部を露出させ、対象物への刺し込み作業を行った後に、対象物に差し込んだ針部の先端方向にスライドさせた保護カバーで覆い、作業時の安全性を担保できる構造と、そのままの状態で保護カバーをスライドさせることなく、針部を対象物に刺した定常状態から針部を引き抜ける構造を持つ、安全待ち針を本発明で提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
保護カバー1と延長部材2と、支持部3と、ストッパー4と、針部5を備え、支持部3の中をスライドする構造を有する延長部材2は、延長部材先端6に保護カバー1を、延長部材後端7にはストッパー4を配設する、とともに支持部3に針部後端12を固定させた形態を持ち、針部5と、延長部材2の弾性によって付勢された保護カバー1の保護カバー凹部8を、針部5に接した状態のままで、保護カバー1を針部先端11までスライドさせたとき、保護カバー1が、針部先端11を覆った定常状態を維持する構造を特徴とする、安全待ち針。
【0012】
保護カバー1を支持部3のところまでスライドさせることによって、針部5が露出し、針部先端11より、針部5を、対象物13に刺し込むことが出来る構造を特徴とする、安全待ち針。
【0013】
対象物13に針部5を刺し込み、針部先端11までスライドさせた保護カバー1が、針部先端11を覆っている定常状態のままであっても、針部先端11とは逆方向に支持部3に対し力を加えることにより、保護カバー凹部8と、保護カバー内部9と、保護カバー底部10の滑らかな形状と、保護カバー1に対する対象物13の抵抗力によって、保護カバー1と針部先端11との間に空間が生じ、対象物13から針部5を引き抜ける構造を特徴とする、安全待ち針。
【発明の効果】
【0014】
本発明の安全待ち針の貢献度は大きく、これまでにない操作機能を提供することによって、慣用の待ち針の様々な活用シーンにおいて、効率性・安全性を担保できる、とともに縫製作業時の待ち針としても使用可能で、職人から一般人にいたるまで、効率性・安全性・安心感を担保でき、不使用時に収納時や床に落としたときの危険性が減少するため、管理もしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a) 針部先端11が保護カバー1に覆われた定常状態の本発明品の斜視図である。 (b) 針部先端11が保護カバー1に覆われた定常状態の本発明品の断面図である。(c) 保護カバー1を支持部3までスライドさせた状態の本発明品の斜視図である。(d) 保護カバー1を支持部3までスライドさせた状態の本発明品の断面図である。
【
図2】(a) 保護カバー1を支持部3までスライドさせ、針部6を対象物13に刺した状態の本発明品の側面図の一部である。 (b) 針部6を対象物13に刺し、針部先端11を保護カバー1で覆った定常状態の本発明品の側面図の一部である。 (c) 針部6を対象物13に刺し、針部先端11を保護カバー1で覆った定常状態の本発明品の断面図の一部である。 (d) 針部6を対象物13に刺し、針部先端11を保護カバー1で覆った状態から、針部6を引き抜き始めた時の本発明品の断面図の一部である。 (e) 針部6を対象物13に刺し、針部先端11を保護カバー1で覆った状態から、針部6を引き抜き終わる直前の本発明品の断面図の一部である。
【
図3】定常状態における、保護カバー1と、延長部材2と、針部先端11と、保護カバー凹部8と、保護カバー底部10の関係を示した、陰影を付けた斜視図である。
【
図4】(a)定常状態における、支持部3に対する、円筒状のストッパー4の状態を示した斜視図である。 (b)定常状態における、支持部3に対する、円筒状のストッパー4の状態を示した背面図である。 (c)定常状態における、支持部3に対する、かまぼこ型筒状のストッパー4の状態を示した斜視図である。 (d)定常状態における、支持部3に対する、かまぼこ型筒状のストッパー4の状態を示した背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1(a)(b)(c)(d)に示したように、本発明品は、保護カバー1と、延長部材2と、支持部3と、ストッパー4と、針部5で、構成される。
【0017】
図1(a)(c)、
図4(a)(b)(c)(d)に示したように、保護カバー1から延接する延長部材2は、支持部3にスライド可能状態で連結し、支持部3を貫通した延長部材2の末端には、ストッパー4を有している。
【0018】
尚、
図1(a)(c),
図4(a)(b)(c)(d)に示したように、ストッパー4の断面は、円状、または、支持部3に対してのストッパー4と、保護カバー1と、延長部材2の回転を防ぐために、ストッパー4が支持部3に噛み合うように、ストッパー4の断面は、一部がフラットになる、かまぼこ状の形の他に、三角柱、または四角柱等の形態をとる。
【0019】
また、支持部3に対してのストッパー4と、保護カバー1と、延長部材2の回転を防ぐために、延長部材2の断面は、楕円または三角形または四角形等の形態をとる場合もある。
【0020】
図1(a)(b)、
図2(b)(c)、
図3に示したように、定常状態においては、針部5と、延長部材2の弾性によって、針先を収納する凹部を備えた保護カバー1と、針先部先端11が接する方向に閉じ、保護カバー1が針先部先端11を覆っている形態を持つ。
【0021】
図(a)(c)に示したように、定常状態の保護カバー1を支持部3方向にスライドさせると、針部先端11が露出し、保護カバー1と支持部3を保持することで、対象物13に針部先端11を容易に刺せる形態を持つ。
【0022】
ただし、この場合対象物とは、布地等のテキスタイル素材を指す。
【0023】
図1(a)(b)、
図2(b)(c)(d)(e) 、
図3に示すように、針部先端11を覆う保護カバー1は、対象物から針を引き抜きやすくするために、保護カバー内部9と、保護カバー底部10は、滑らかな形状しており、保護カバー底部10は、対象物13に接する面が曲線的に傾斜した形態を持つ。
【0024】
尚、保護カバー内部9と、保護カバー底部10の滑らかな形状とは、接した織物や布などが、抵抗なく滑るように移動できる緩やかな局面形状である、とともに摩擦抵抗が小さいすべすべした表面からなる形状を指す。
【産業上の利用可能性】
【0025】
国内外の縫製業において、作業効率や安全面から貢献出来る、とともに学校教育においては、家庭科の縫製実習時での安全性を担保することが出来る。
【符号の説明】
【0026】
1 保護カバー
2 延長部材
3 支持部
4 ストッパー
5 針部
6 延長部材先端
7 延長部材後端
8 保護カバー凹部
9 保護カバー内部
10 保護カバー底部
11 針部先端
12 針部後端
13 対象物
【要約】 (修正有)
【課題】作業時の安全性を担保できる構造と、針部を対象物に刺した定常状態から針部を引き抜ける構造を持つ、安全待ち針を提供する。
【解決手段】本発明で提供する待ち針は、保護カバー1と延長部材2と、支持部3と、ストッパー4と、針部5を備え、延長部材後端7にストッパーを配設する、とともに支持部の中をスライドする構造を有す延長部材の延長部材先端6に配設された保護カバー凹部8が、針部後端12が支持部3に固定された針部5の上を、針部先端11までスライドしたとき、針部5と、延長部材の弾性によって付勢された、保護カバーが、針部先端11を覆った定常状態を維持する構造、および保護カバー凹部の滑らかな形状と、保護カバーに対する対象物の抵抗力によって、定常状態において、対象物から針部が引き抜き抜ける構造を特徴とする。
【選択図】
図1