(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】軸受け
(51)【国際特許分類】
F16C 33/38 20060101AFI20220412BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
F16C33/38
F16C19/06
(21)【出願番号】P 2021099398
(22)【出願日】2021-06-15
【審査請求日】2021-06-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310024077
【氏名又は名称】内田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】592151650
【氏名又は名称】内田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】内田清子
(72)【発明者】
【氏名】内田隆志
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6861407(JP,B1)
【文献】特開平11-325084(JP,A)
【文献】特開2018-135957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/30-33/66
F16C 19/00-19/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外輪、内輪および球体や円柱体のような負荷を負担する転動体Aと、隣の
転動体A間に別種の転動体Bを1個あるいは複数個配置し、
転動体Bと
転動体Aとの接触は許容するが、
転動体Bと内輪あるいは外輪との接触を禁じた軸受けにおいて、
転動体Bの位置決めを側壁で行えるように位置決め部を部分的に厚くした側壁を有することを特徴とする軸受け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受けに関する。
【背景技術】
【0002】
球体や円柱体等の転がりを利用する軸受けは、機械装置部品として各所に用いられている。軸受けは可動(回転)部品からなる構造物であり、回転部品同志や回転部品を支える周辺部品に接触があれば摩擦力が働く。摩擦力は熱エネルギーとして散逸することから、回転エネルギーロスとなる。従い、軸受けに要求されるのは、エネルギーロス(摩擦力)を小さくすることである。軸受けの構造は、複数の球体などの転動体が内輪、外輪に挟まれて収納されており、さらにこの転動体同志が接触しないように保持器が備えられている。この構造において、保持器と転動体との接触もエネルギーロスを生むことから、保持器なしの軸受けが考案されている(文献1)。また、軸受けとは要求機能は異なるが、ボールねじにおいても転動体が使用されることから、転動体間の接触を避ける必要があり、接触による摩擦を抑制する方法が考案されている(文献2)。
【文献】特開2007-177993
【文献】特開2000-291770
【文献】特許6861407
【発明の開示】
【0003】
文献1の方法は保持器を取り除いたことによる転動体同士の接触を、局所において転動体の動きに減速・加速を付与し、転動体間に距離を付与して避ける方法である。この方法では、局所部近傍では、確実に転動体間隔を保持できるが、局所部近傍以外の領域では転動体間隔を制御あるいは保持する手段を有しないため、あらゆる状況下において転動体間隔を確実に保持できる保証はない。
文献2はボールねじに関するものである。ボールねじは軸受けとは異なるが、球体の転動体を用いる軸受けと、転動体間の接触による摩擦力を減らしたい点で共通する。軸受けもボールねじも転動体は全て同方向に回転するため転動体同志が接触すると、互いの回転を阻害するように作用し、軸受けあるいはボールねじの性能低下に結び付く。そこで文献2では、隣り合う転動体(Aとする)間にAより幾分半径の小さい新たな転動体(Bとする)を配置し、Bがボールねじ溝およびナットねじ溝に接触しなければ、Bは両隣のAに挟まれ接触していてもBの接触面回転方向は両隣のAと同じ方向になるので摩擦は起こらないあるいは非常に小さいとしている。
文献2では、Bがねじ溝あるいはナットねじ溝と接触しないようにする方法が記載されていない。単にBを配置するだけでは、Bはねじ溝に接触する。文献2の方法を軸受けに応用するには、転動体Bが内輪あるいは外輪に接触しない(三点接触をしない)ように保持できなければならない。
文献3は、転動体A―A間に転動体Bを配し、BがA―Aとの接触のみを許容する形態である点で、文献1、2への危惧が取り除かれている。ただし、Bの設置空間は限られ、Bのサイズは小さくせざるを得ないため、転動体Aの個数を増す必要がある。一方、Bのペアを複数組み合わせることによりA-A間隔を増すことは考えられるが、全体的に構造は複雑となる。
【0004】
文献3に記載されている軸受け側壁で、Bを保持する方法は、側壁が必要な厚さを有すれば、可能であるが、現有軸受けの側壁でBの回転を受けるには側壁が薄すぎる。薄ければ厚くすればよいのであるが、軸受けサイズが大きくなってしまう。
【実施例】
【0005】
上記の軸受けサイズ増大を防ぐために、必要な部分のみの厚さを増すことで対応する。
図1は円柱状体をBとした例である。
図2は軸受け側壁構成の例である。
図3は構成品の組立状況例である。ピン穴は、全体組立時にピン穴にピンをとおしB及び側壁の位置決めをし、両側壁が組上がったらピンは抜き取る。
図4は軸受け完成イメージである。上記例示図ではA-A間にBを1個配置しているが、A-A間にBを複数個(例えば3個)配置することも可能であり、Aの個数を減らすことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0006】
回転を伴う機械装置には、必ず軸受けが使用される。軸受けのエネルギーロスを少しでも少なくする努力は、使用される軸受けの多さを考えれば、トータルでは膨大なエネルギーロスの抑制となる。使用エネルギーの抑制はあらゆる産業の目標でもある。またエネルギー消費は環境問題とも密接であり、産業上の消費エネルギーの削減は重要な課題である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【要約】 (修正有)
【課題】保持器を使用しない軸受けを提供する。
【解決手段】外輪、内輪および球体や円柱体のような負荷を負担する転動体Aと、隣のA間に別種の転動体Bを1個あるいは複数個配置し、BとAとの接触は許容するが、Bと内輪あるいは外輪との接触を禁じた軸受けにおいて、Bの位置決めを側壁で行えるように位置決め部を部分的に厚くした側壁を有することを特徴とする。
【選択図】
図3