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特許7057132中間光学フィルターを有するメカニカルスタック型タンデム光起電力セル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】中間光学フィルターを有するメカニカルスタック型タンデム光起電力セル
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/078 20120101AFI20220412BHJP
   H01L 31/054 20140101ALI20220412BHJP
   H01L 31/043 20140101ALI20220412BHJP
【FI】
H01L31/06 600
H01L31/04 620
H01L31/04 510
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017544964
(86)(22)【出願日】2016-02-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-03-08
(86)【国際出願番号】 US2016020039
(87)【国際公開番号】W WO2016138514
(87)【国際公開日】2016-09-01
【審査請求日】2019-01-15
(31)【優先権主張番号】62/126,326
(32)【優先日】2015-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509009692
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァシティ オブ ミシガン
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フォレスト,ステファン,アール.
(72)【発明者】
【氏名】イ,キュサング
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0014813(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0190479(US,A1)
【文献】特開平02-106979(JP,A)
【文献】国際公開第2013/042525(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/119、31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射基板上に設けられるとともに少なくとも第1光活性層を含む第1サブセルと、
透明基板上に設けられるとともに少なくとも第2光活性層を含み、かつ、前記反射基板と前記透明基板との間に前記第1サブセルに積層して配置された第2サブセルと、
前記第1サブセルと前記第2サブセルとの間に設けられるとともに、前記第1サブセルおよび前記第2サブセルを物理的および電気的に相互接続させる金属グリッドと、
前記第1サブセルと前記第2サブセルとの間に設けられた、少なくとも1つの波長選択光学フィルター層と、
を備えることを特徴とする多結合型感光デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの波長選択光学フィルター層は、分布ブラッグ反射器であることを特徴とする請求項1に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項3】
前記第1光活性層および前記第2光活性層は、異なる波長を吸収することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項4】
前記第2光活性層より下の前記第1光活性層は、近赤外線スペクトルの光を吸収することを特徴とする請求項1に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項5】
前記第1光活性層より上の前記第2光活性層は、紫外線スペクトルの光を吸収することを特徴とする請求項1に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項6】
前記第1光活性層は、前記第2光活性層によって吸収されない、少なくとも10nmの幅の範囲の光の波長を吸収することを特徴とする請求項1に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項7】
前記金属グリッドは貴金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項8】
前記第1サブセルと前記第2サブセルとの間には、エアーギャップが存在しないことを特徴とする請求項1に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項9】
前記第1サブセルおよび前記第2サブセルは、直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項10】
前記第1サブセルおよび前記第2サブセルは、並列に接続されていることを特徴とする請求項に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項11】
前記第1光活性層および前記第2光活性層の少なくとも1つは、有機光起電力素子、量子ドット、シリコン、ゲルマニウム、III-V半導体、ケステライトおよびペロブスカイトから選択された材料を有することを特徴とする請求項1に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項12】
前記第1光活性層は、PbS量子ドットを有し、また、
前記第2光活性層は、有機光起電力素子を有することを特徴とする請求項1に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項13】
前記多結合型感光デバイスは、信号源から放射されるスペクトル信号を逆多重化するように構成される光検出器であることを特徴とする請求項1に記載の多結合型感光デバイス。
【請求項14】
多結合型感光デバイスを製造する方法であって、
反射基板上に、少なくとも第1光活性層を含む第1サブセルを製造し、
透明基板上に、少なくとも第2光活性層を含む第2サブセルを製造し
記第2サブセルの上で、少なくとも1つの波長選択光学フィルター層をパターニングするステップと、
前記第1サブセルおよび前記第2サブセル各々の上で、金属グリッドをパターニングするステップと、
冷間圧接結合を使用して、前記第1サブセルが前記第2サブセルに結合するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの波長選択光学フィルター層は、分布ブラッグ反射器であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年2月27日に出願された米国仮出願番号第62/126,326号の利点を請求しており、それは、参照され、全体として組み入れられている。
【0002】
本発明は、Award#DE-EE0006708下の米国エネルギー省(EERE)およびナノフレックスパワーコーポレーション(NanoFlex Power Corporation)によって、共同で提案された。
【0003】
本開示は、多結合型(multi-junction)光起電力(photovoltaic)デバイスおよび製造方法、特に、太陽電池(solar cell)のための多結合型光起電力デバイスを対象としている。
【背景技術】
【0004】
多結合型光起電力セルは、光起電力セルによって吸収することが可能である太陽スペクトルの波長を増加させ、また、光活性材料のバンドギャップより大きなエネルギーを有する光子の吸収に関連付けられる熱化(thermalization)ロスを最小化することによって、単結合型(single junction)型太陽電池より優れた性能を提供している。太陽電池は、従来の多結合型有機太陽電池の性能を最大にするため、近赤外線太陽スペクトルをカバーする必要がある。今までのところ、有機化合物等の多くの光活性材料は、効率的には、近赤外線太陽スペクトルを吸収して電気エネルギーを生成しない。量子ドット(quantum dot)太陽電池は、1μmの波長までの近赤外線スペクトルおよび適度な高パワー変換効率(>8%)を有する1μmの波長を超える近赤外線スペクトルまで、効率的にカバーしており、以下の文献によって実証されている。チャンその他による「バンドアラインメントエンジニアリングによる量子ドット太陽電池の改良された性能および安定性」(Chia-Hao M. Chuang, Patrick R. Brown, Vladimir Bulovic, and Moungi G. Bawendi, Improved performance and stability in quantum dot solar cells through band alignment engineering. 13 Nat. Mater., 796(2014))。しかし、量子ドット太陽電池は、可視スペクトルにおいても強く吸収している。したがって、より短い波長の光子を吸収し、その結果、より短い波長の光子を吸収するために調整された別のサブセルに、光子が透過(transmit)あるいは反射されることを抑制することにより、量子ドット太陽電池の広範の吸収スペクトルは、多結合型有機太陽電池の性能を制限している。
【発明の概要】
【0005】
1つの様相において、本開示は、多結合型感光デバイスを対象としている。一部の実施の形態において、多結合型感光デバイスは、少なくとも2つの光活性層および少なくとも1つの光学フィルター層を含んでいる。一部の実施の形態において、多結合型デバイスは、単結合型デバイスと比較し、吸収スペクトルが増加している。
【0006】
本発明の一様相において、光学フィルターは、入射光の反射波長、透過波長および吸収波長の少なくとも1つを、選択的に調整するように構成することが可能である。一部の実施の形態において、光学フィルターは、長波長光を透過するように構成される。一部の実施の形態において、光学フィルターは、短波長光を反射するように構成される。一部の実施の形態において、光学フィルターは、短波長を透過するように構成される。一部の実施の形態において、光学フィルターは、長波長光を反射することが可能である。一部の実施の形態において、光学フィルターは、フォトニック結晶とすることが可能である。一部の実施の形態において、フォトニック結晶は、少なくとも2つの異なる屈折率を有する材料が交互に重なった多層を有することが可能である。一部の実施の形態において、フォトニック結晶は、導波路材料(waveguide material)の周期格子(periodic grating)を有することが可能である。一部の実施の形態において、光学フィルターは、分布ブラッグ反射器(DBR:Distributed Bragg Reflector)とすることが可能である。一部の実施の形態において、光学フィルターは、ダイクロイックフィルター(dichroic filter)とすることが可能である。
【0007】
本発明の一様相は、多結合型太陽電池を対象としている。一部の実施の形態において、太陽電池の吸収は、太陽スペクトルの少なくとも一部の波長をカバーしている。本発明の一様相は、多結合型検出器(detector)を対象としている。一部の実施の形態において、多結合型検出器の吸収は、太陽スペクトルの外側の少なくとも1つの波長を有することが可能である。
【0008】
一様相において、本開示は、多結合型感光デバイスを製造する方法を対象としている。前記方法は、少なくとも2つの光活性層を製造するステップと、透明基板上に製造された少なくとも1つの光活性層上で、少なくとも1つの光学フィルター層をパターニングするステップと、前記少なくとも2つの光活性層を少なくとも1つの別の層に結合(bonding)するステップと、を有している。一部の実施の形態において、少なくとも1つの光活性層は、透明基板上に製造される。一部の実施の形態において、少なくとも1つの光活性層は、反射基板上に製造される。一部の実施の形態において、冷間圧接(cold-weld)結合は、前記少なくとも2つの光活性層を少なくとも1つの別の層に結合するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】個々のサブセルからの、例示的な有機/量子ドット多結合型太陽電池の例示的な製造フローの概略図を示している。
図2】例示的な有機/量子ドット多結合型太陽電池における中間ミラーを経由した太陽スペクトルの分離の概略図を示している。
図3A】光学フィルター層としてのDBRを有する単結合型太陽電池の概略図を示している。
図3B図3Aの層によって製造された単結合型太陽電池に関し、電圧に対する測定された光電流のグラフを示している。
図4】DBR光学フィルターを有する単結合型太陽電池とDBR光学フィルターを有しない単結合型太陽電池との性能を要約しているテーブルを示している。
図5】光学フィルター層としての例示的なDBRの概略図を示している。
図6図5のDBRに関する光の波長に対する光の透過率のグラフを示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、個々のサブセルからの、例示的な有機/量子ドット多結合型太陽電池の例示的な製造フローの概略図を示している。
【0011】
図2は、例示的な有機/量子ドット多結合型太陽電池における中間ミラーを経由した太陽スペクトルの分離の概略図を示している。
【0012】
図3Aは、光学フィルター層としてのDBRを有する単結合型太陽電池の概略図を示している。
【0013】
図3Bは、図3Aの層によって製造された単結合型太陽電池に関し、電圧に対する測定された光電流のグラフを示している。
【0014】
図4は、DBR光学フィルターを有する単結合型太陽電池とDBR光学フィルターを有しない単結合型太陽電池との性能を要約しているテーブルを示している。
【0015】
図5は、光学フィルター層としての例示的なDBRの概略図を示している。
【0016】
図6は、図5のDBRに関する光の波長に対する光の透過率のグラフを示している。
【0017】
図1は、有機および量子ドット光活性層のサブセルを有する例示的な多結合型太陽電池を製造する例示的な方法の概略図を示している。
【0018】
図1(1)に示されるように、有機体(organic)104および量子ドット112は、それぞれ、異なる基板108および116上で個別に製造することが可能である。一実施の形態において、有機光活性層(organic photovoltaic layer)104は、トップサブセルであり、ガラス108等の透明基板上に製造され、透明コンタクト102,106を使用している。この実施の形態によれば、量子ドット112光活性層は、ボトム層とし、非透過基板116上に製造することが可能であり、そして、少なくとも1つの透明コンタクト110を使用するが、少なくとも1つの金属コンタクト114を含むことが可能である。一部の実施の形態において、透明コンタクトは、ITO、IZO、AZOあるいはPEDOT:PSSとすることも可能である。一部の実施の形態において、サブセルは、真空熱蒸着(vacuum thermal evaporation)あるいは溶液(solution)プロセスによって、個々の基板上に製造されることが可能である。
【0019】
個々のサブセルの製造後、図1(2)に示されるように、光学フィルター層202,302が、トップサブセル上でパターニングされる。一部の実施の形態において、光学フィルター層は、別のパターニング方法を使用することが可能であるが、シャドーマスクを使用して、パターニングされる。そして、図1(3)に示されるように、グリッド320は、トップサブセルおよびボトムサブセルの両方の上でパターニングされる。一部の実施の形態において、グリッド320は、AuまたはAl/Au等の貴金属あるいは貴金属が被覆された金属を使用しており、それによって、酸化および別の汚染を避けている。
【0020】
グリッド蒸着(deposition)の後において、両方のサブセルは、結合を促進するために温度をわずかに増加させて圧力を加え、あるいは、温度を増加させずに圧力を加えて、ファンデルワールス結合あるいは冷間圧接によって結合される。参考までに、冷間圧接結合は、以下の文献に説明されている。リーその他による「シングルInP基板からのエピタキシャルリフトオフ太陽電池のマルチプル成長」(Kyusang Lee, Kuen-Ting Shiu, Jeramy D. Zimmerman, Christopher K. Renshaw and Stephen R. Forrest, Multiple growths of epitaxial lift-off solar cells from a single InP substrate, 97 Appl. Phys. Lett., 101107 (2010))。参考までに、冷間圧接結合は、以下の文献にさらに説明されている。キムその他による「冷間圧接による有機電子デバイスのマイクロパターニング」(Changsoon Kim, Paul E. Burrows, Stephen R. Forrest, Micropatterning of organic electronic devices by cold-welding. 288, Science, 831 (2000))。参考までに、冷間圧接結合は、以下の文献にさらに説明されている。ファーガソンその他による「エラストマー支持体上における金薄膜のコンタクト接着:周囲条件下における冷間圧接」(Gregory S. Ferguson, Manoj K. Chaudhury, George.B. Sigal George M. Whitesides, Contact adhesion of thin gold films on elastomeric supports:cold welding under ambient conditions, 253 Science, 776 (1991))。冷間圧接プロセスのため、エピ(epi-)層およびホスト基板の表面は、概して、類似した貴金属(Au、Ni、その他)の層によってプレコートされており、適当な圧力が、2つの金属界面(interfaces)の間で付加される。一部の実施の形態において、冷間圧接結合されている領域に、金属コンタクトを挿入し、個々のスタック要素と接触させることが可能である。多種の実施の形態において、サブセルは、金属コンタクトによって直列に接続されるため、トンネルあるいは相互接続層を必要とせず、したがって、デバイス製造がかなり単純化される。この技術の応用は、有機/量子ドット太陽電池のみに限定されない。別の実施の形態において、個々のサブセルを単独で製造し、中間光学フィルターを挿入し、そして、冷間圧接を使用してサブセルを結合することによって、多様な太陽電池の構成(例えば、ポリマー、アモルファス/多結晶/単結晶Si、ゲルマニウム、III-V半導体、ケステライト(kesterite)、ペロブスカイト(perovskite)、その他)のために使用して、太陽スペクトルを分離することが可能である。前記実施の形態は、トップ層を通過してボトム層によって吸収される光の波長を選択すること、および、トップ層において吸収される別の波長の光を反射すること、が可能である。
【0021】
冷間圧接結合後で、2つのサブセルは、接続され、図1(4)に示されるように、多結合型太陽電池を形成する入射光は、ガラス層416を通過することが可能であり、選択波長(select wavelengths)の光は、有機光起電力層412によって吸収される。有機光活性層412によって吸収されない選択波長の光は、DBRに到達し、そして、前記波長は、DBRの構成に応じて、透過あるいは反射させられる。図1(4)に示されるように、DBRの向こう側の光活性層は、量子ドット光活性層406である。一実施の形態において、一方の光活性層は、可視および紫外スペクトルの光を吸収する有機光活性層であり、他方の光活性層は、近赤外線スペクトルの光を吸収する量子ドット光活性層である。前記実施の形態において、DBRは、可視スペクトルの光を反射し、近赤外線スペクトルの光を透過するように構成することが可能である。有機光活性層、DBRおよび量子ドット光活性層を通過する光は、金属コンタクト層404によって反射あるいは吸収することが可能である。一部の実施の形態において、金属コンタクト層は、多結合型太陽電池の背面の電気コンタクトおよびミラーの両方の機能を果たすことが可能である。
【0022】
多結合型直列接続(series-connected)太陽電池において、各々のサブセルによって供給される電流は、太陽電池性能を最大にするため、等しいことが必要がある。あるいは、並列(parallel)セル(中間コンタクトを使用することによって達成される)においては、電圧は、性能を最大にするため、セル間で等しくする必要がある。一部の実施の形態は、デュアル近赤外線セルスタックから構成されることが可能であり、設計において並列接続が望まれる場合、シングル短波長デバイス(single shorter wavelength device)と並列に接続される。一部の実施の形態において、デバイスは、多重波長信号チャネルに感受性を有する光検出器であり、電圧あるいは電流のどちらのバランスも必要とされない。
【0023】
図1の例示的な実施の形態は、ダブルスタックされたデバイスを表示している。別の実施の形態は、太陽スペクトルの異なる波長あるいは所定の(of interest)別の波長を吸収することが可能である付加光活性要素、例えば、ドープシリコンあるいは二酸化チタンを含むことが可能である。光学フィルター、例えば、202および302は、スタックにおける各々の付加光活性層の間に配置することも、配置しないことも可能である。さらに、層間のエアーギャップは、存在することも、存在しないことも可能である。一部の実施の形態において、このデバイスは、光起電力デバイスとすることが可能である。別の実施の形態において、このデバイスは、信号源から放射される幅が狭いスペクトル信号(narrow spectral signals)を逆多重化(de-multiplex)することが可能である光検出器によって構成することが可能である。
【0024】
本開示の1つの様相は、多結合型感光デバイスに関している。多結合型感光デバイスは、少なくとも2つの光活性層と、1つの光学フィルター層と、を有することが可能であり、少なくとも2つの層が、冷間圧接あるはファンデルワールス結合を使用して、結合される。一部の実施の形態において、少なくとも1つの光学フィルター層は、DBRである。一部の実施の形態において、多結合型デバイスは、少なくとも3つの光活性層と、少なくとも2つの光学フィルター層と、を有することが可能であり、少なくとも1つの光学フィルター層は、各々の光活性層の間に位置している。
【0025】
一部の実施の形態において、少なくとも1つの光活性層は、少なくとも1つの別の光活性層と異なる光の波長を吸収することが可能である。一部の実施の形態において、少なくとも1つの別の層より下方の光活性層は、近赤外線の光を吸収している。近赤外線スペクトルは、0.75~1.4ミクロンの範囲の波長を含んでいる。一部の実施の形態において、デバイスは、光検出器によって構成されており、波長は、30ミクロンまでの波長を含むことが可能である。一部の実施の形態において、少なくとも1つの別の層より上方の光活性層は、紫外線スペクトルの光を吸収する。紫外線スペクトルは、400ナノメートルより短い波長を含んでいる。一部の実施の形態において、少なくとも1つの光活性層は、少なくとも1つの別の光活性層と異なる10ナノメートルに及んでいる(spanning)光の波長の範囲を吸収する。
【0026】
一部の実施の形態において、波長選択(wavelength selective)光学フィルター層は、多結合型感光デバイスにおける少なくとも2つの光活性層の間に、配置される。一部の実施の形態において、光活性層間のエアーギャップは、存在することあるいは存在しないことが可能である。
【0027】
一部の実施の形態において、少なくとも1つの光活性層は、冷間圧接あるいはファンデルワールスによって結合された領域における金属コンタクトに、個別に接続している。一部の実施の形態において、個々のセルは、直列に接続される。一部の実施の形態において、個々のセルは、並列に接続される。
【0028】
一部の実施の形態において、個々のセルの少なくとも1つのグループは、直列に接続され、そして、少なくとも1つのグループは、並列に接続される。一部の実施の形態において、少なくとも1つの光活性層は、有機光起電力素子、量子ドット、シリコン、ゲルマニウム、III-V半導体、ケステライトおよびペロブスカイトから選ばれる材料を有している。一部の実施の形態において、少なくとも1つの光活性層は、PbS量子ドットを有している。
【0029】
1つの様相において、本開示は、信号源から放射されるスペクトル信号を逆多重化するように構成される光検出器を、対象としている。
【0030】
1つの様相において、本開示は、多結合型感光デバイスを製造する方法を対象としている。前記方法は、少なくとも2つの光活性層を製造することと、透明基板上に製造された少なくとも1つの光活性層上で、少なくとも1つの光学フィルター層をパターニングすることと、冷間圧接結合を使用して、前記少なくとも2つの光活性層を結合することと、を含むことが可能である。一部の実施の形態において、少なくとも1つの光活性層は、透明基板上に製造される。一部の実施の形態において、少なくとも1つの光活性層は、反射基板上に製造される。一部の実施の形態において、少なくとも1つの光学フィルター層は、DBRである。一部の実施の形態において、前記方法は、少なくとも1つの付加光活性層を透明基板上に製造することを、さらに有し、前記透明基板が、光活性層を含むことが可能である。
【0031】
図2は、例示的な有機/量子ドット多結合型太陽電池における光子吸収プロセスの概略図を示している。例示的な多結合型太陽電池は、可視(visible)光起電力素子(VIS PV)と、2つの透明コンタクト(ITO)間のDBRと、近赤外線光起電力素子(photovoltaic)(NIR PV)と、ミラーと、を有している。可視光起電力素子(VIS PV)は、有機光起電力層(OPV)とすることが可能である。近赤外線光起電力素子(NIR PV)は、量子ドット層(QDセル)とすることが可能である。ミラーは、太陽電池の背面にあり、DBRを透過し、かつ、NIR PVによって、最初は吸収されなNIR光を反射する。有機体のフロントサブセルは、DBRを介し、可視光の光子をトップサブセルに限定しており、近赤外線光のみが、ボトムセル内に透過している。量子ドットボトムサブセルは、近赤外線光の反射のために、金属コンタクト反射器を有している。中間光学フィルターを、この場合はDBRを使用して、太陽スペクトルを、サブセル内に選択的に分離することが可能である。DBRは、一般的に、少なくとも2つの異なる屈折率を有する材料を交互に重ねることによって構成される。あるいは、DBRは、有効屈折率の変化を生じさせる特性(例えば、高さ)の周期的な変化を有する単一の材料を、有することが可能である。中間光学フィルターの反射および透過特性は、DBRおよび/又はエアーギャップ厚みを適切に設計することによって、制御することが可能である。光電流のバランスのための反射(reflection of the balance)の制御は、多結合型太陽電池の性能を最大にするために、サブセルの間で達成することが可能である。また、DBRが、有機層を通過して後退する(back up)選択波長の光を反射するという事実のため、多種の実施の形態においては、他のことで必要であるより(than necessary otherwise)薄い光活性層を使用することが可能である。その理由は、有機層の光学距離が、反射の後で光が再び光活性層を通過する場合、長くなるためである。
【0032】
図3Aに示される層に基づいて製造される太陽電池は、光学フィルター層の想定される利点の1つを示している。太陽電池は、DTDCPB:C70層を有する有機光活性層と、有機光活性層の間の相互接続層(interconnecting layer)と、を含んでいる。光活性層は、透明コンタクト層(ITO)の間に位置し、DBRは、太陽電池の入射光と関連して背面に位置している。図の3AのDBRは、11の層を有している。11の層は、セレン化亜鉛の層とフッ化マグネシウムの層とを交互に重ねて構成されており、700ナノメートルを超える波長を有する光のために、DBRが透過開始点(onset)を有するように構成されている。図3BのDBRは、DBR@700nm、ZnSe/MgFと略記されており、そして、図5にさらに詳細に記載されている。図3Bは、図3Aの層によって製造された太陽電池に関し、電圧に対する測定された光電流のグラフを示しており、図3Aのように、DBR層を除いて同じ層によって製造された太陽電池と比較している。太陽電池性能の結果は、図4に要約されており、DBRを利用する場合、太陽電池のパワー変換効率が増加することを、示している。図5は、図3Aに示される例示的なDBRの概略図を示しており、ZnSeおよびMgFの合計11の層を有している。図6のグラフは、図3Aの太陽電池とDBRのみとにおける透過が示されており、700ナノメートルより長い波長の光の透過の開始点を例示しており、また、700ナノメートルより短い光の波長は、少なくとも部分的に反射されている。
【0033】
本開示の別の実施の形態は、本明細書の検討および本開示の実施から当業者にとって明らであろう。本明細書および実施の形態は、例示的なものとしてのみ考慮され、そして、本開示の真の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって示されることが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6