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特許7057188電源装置、電源装置の制御回路及び電源装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】電源装置、電源装置の制御回路及び電源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20220412BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20220412BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
H02M7/12 Q
H02M3/155 U
H02M3/28 U
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018063462
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019176642
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100086807
【弁理士】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】箱田 康徳
(72)【発明者】
【氏名】藤井 紀行
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-011925(JP,A)
【文献】特開2012-124974(JP,A)
【文献】特開2013-051758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 3/155
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第1のスイッチ素子を有し、力率を改善して直流電圧を出力する力率改善回路と、
前記第1のスイッチ素子を制御することにより前記力率改善回路の出力電圧を制御する第1の制御部と、
スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第2のスイッチ素子を有し、前記力率改善回路の出力電圧を所定電圧に変換するDC/DCコンバータと、
出力電圧指令と前記DC/DCコンバータの出力電圧とに基づき、前記第2のスイッチ素子を制御することにより前記DC/DCコンバータの出力電圧を制御する第2の制御部と、
を備え、
前記第1の制御部は、前記出力電圧指令に基づき、前記DC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧の比が所定の範囲内となるように前記力率改善回路の出力電圧を制御する電源装置であって、
前記第1の制御部は、
前記力率改善回路の出力電圧における変化量が所定の値より大きい場合、前記変化量を分割して前記力率改善回路の出力電圧を段階的に変化させることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第2の制御部は、
前記DC/DCコンバータの出力電圧における変化量を分割して前記DC/DCコンバータの出力電圧を段階的に変化させる、
ことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1の制御部は、
前記出力電圧指令に基づいて設定される電圧値と、固定された基準電圧と、に基づいて前記力率改善回路の出力電圧を制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の電源装置。
【請求項4】
スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第1のスイッチ素子を有し、力率を改善して直流電圧を出力する力率改善回路と、
前記第1のスイッチ素子を制御することにより前記力率改善回路の出力電圧を制御する第1の制御部と、
スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第2のスイッチ素子を有し、前記力率改善回路の出力電圧を所定電圧に変換するDC/DCコンバータと、
出力電圧指令と前記DC/DCコンバータの出力電圧とに基づき、前記第2のスイッチ素子を制御することにより前記DC/DCコンバータの出力電圧を制御する第2の制御部と、
を備え、
前記第1の制御部は、前記出力電圧指令に基づき、前記DC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧の比が所定の範囲内となるように前記力率改善回路の出力電圧を制御する電源装置であって、
前記第1の制御部は、
前記出力電圧指令に基づいて設定される電圧値と、固定された基準電圧と、に基づいて前記力率改善回路の出力電圧を制御することを特徴とする電源装置。
【請求項5】
前記第1の制御部は、
前記出力電圧指令により変更される基準電圧に基づいて前記力率改善回路の出力電圧を制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の電源装置。
【請求項6】
前記出力電圧指令は、
前記第2の制御部を介して前記第1の制御部に与えられる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の電源装置。
【請求項7】
前記第1の制御部は、前記第2の制御部に前記力率改善回路の出力電圧の情報を送信する、
ことを特徴とする請求項6記載の電源装置。
【請求項8】
スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第1のスイッチ素子を有し、力率を改善して直流電圧を出力する力率改善回路と、
スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第2のスイッチ素子を有し、前記力率改善回路の出力電圧を所定電圧に変換するDC/DCコンバータと、
を備える電源装置の制御回路において、
前記第1のスイッチ素子を制御することにより前記力率改善回路の出力電圧を制御する第1の制御部と、出力電圧指令と前記DC/DCコンバータの出力電圧とに基づき、前記第2のスイッチ素子を制御することにより前記DC/DCコンバータの出力電圧を制御する第2の制御部と、を有し、
前記第1の制御部は、
前記出力電圧指令に基づき、前記DC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧の比が所定の範囲内となるように前記力率改善回路の出力電圧を制御する電源装置の制御回路であって、
前記第1の制御部は、
前記力率改善回路の出力電圧における変化量が所定の値より大きい場合、前記変化量を分割して前記力率改善回路の出力電圧を段階的に変化させることを特徴とする電源装置の制御回路。
【請求項9】
スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第1のスイッチ素子を有し、力率を改善して直流電圧を出力する力率改善回路と、
スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第2のスイッチ素子を有し、前記力率改善回路の出力電圧を所定電圧に変換するDC/DCコンバータと、
を備える電源装置の制御回路において、
前記第1のスイッチ素子を制御することにより前記力率改善回路の出力電圧を制御する第1の制御部と、出力電圧指令と前記DC/DCコンバータの出力電圧とに基づき、前記第2のスイッチ素子を制御することにより前記DC/DCコンバータの出力電圧を制御する第2の制御部と、を有し、
前記第1の制御部は、
前記出力電圧指令に基づき、前記DC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧の比が所定の範囲内となるように前記力率改善回路の出力電圧を制御する電源装置の制御回路であって、
前記第1の制御部は、
前記出力電圧指令に基づいて設定される電圧値と、固定された基準電圧と、に基づいて前記力率改善回路の出力電圧を制御することを特徴とする電源装置の制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力率を改善して直流(DC)電圧を出力する力率改善回路とその出力電圧を所定の電圧に変換するDC/DCコンバータとを備える電源装置、及びその制御回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、力率改善回路(以下「PFC回路」という。)とDC/DCコンバータを備える電源装置が広く使用されている。
図8は、従来の電源装置の基本的な構成を示すブロック構成図である。
図8に示すように、電源装置70は、交流(AC)電圧3を入力し、力率を改善して直流電圧を出力するPFC回路71と、その出力電圧を所定の電圧に変換するDC/DCコンバータ72とを備え、DC/DCコンバータ72の出力電圧を負荷装置4に供給する。通常、PFC回路71は、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの図示しない第1のスイッチ素子を備え、電源装置70は、その第1のスイッチ素子を制御することにより力率を改善するとともにPFC回路71の出力電圧を制御するPFC出力電圧制御部75を備えている。又、DC/DCコンバータ72は、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの図示しない第2のスイッチ素子を備え、電源装置70は、その第2のスイッチ素子を制御することによりDC/DCコンバータ72の出力電圧を制御するDC/DC出力電圧制御部76を備えている。
ここで、DC/DCコンバータ72の出力電圧は、外部より入力される出力電圧指令7によって決定される。なお、PFC回路71は、入力側に設けた整流素子によって整流を行った後、第1のスイッチング素子によって力率の改善を行う構成か、又は、第1のスイッチング素子により整流動作と力率の改善動作を合わせて行う構成が可能である。
【0003】
図8において、PFC出力電圧制御部75は、PFC回路71より、PFC回路71への入力電圧、入力電流、PFC回路71からの出力電圧などの入力情報82を得て、その入力情報82に基づいて第1のスイッチ素子を制御するためのPFC制御信号81を生成し、PFC回路71に供給する。
同様に、DC/DC出力電圧制御部76は、DC/DCコンバータ72より、DC/DCコンバータ72からの出力電圧などの入力情報84を得て、その入力情報84、及び出力電圧指令7に基づいて、第2のスイッチ素子を制御するためのDC/DC制御信号83を生成し、DC/DCコンバータ72に供給する。
【0004】
通常、図8に示すように、PFC出力電圧制御部75は、DC/DCコンバータ72及びDC/DC出力電圧制御部76とは独立に動作して、PFC制御信号81を生成する。一方、特許文献1~3には、DC/DCコンバータ72に接続された負荷装置4の状況等によってPFC回路71を制御する電源装置が開示されている。
【0005】
特許文献1では、停電保持時間を確保しつつ、交流入力電圧の電圧変動に応じて電力変換効率を改善するため、交流入力電圧の変動と負荷の大きさを監視し、その監視結果に基づき、DC/DCコンバータへの供給電圧を制御する電源装置が開示されている。
特許文献2では、負荷変動による電源効率の低下を防ぐため、DC/DCコンバータからの出力電流の変化量を検出し、その結果によりPFC回路の出力電圧のゲインを上昇させる電源装置が開示されている。
又、特許文献3では、PFC回路の高効率化のため、PFC回路への入力電圧値、DC/DCコンバータから負荷への出力電流値又は負荷からの出力電力値等に基づき、PFC回路の出力電圧を制御する電源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-154652号公報
【文献】特開2015-100244号公報
【文献】特開2013-21861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電源装置70では、DC/DCコンバータ72の変換効率を常に一定以上の値に保つことは困難であった。通常、DC/DCコンバータ72の変換効率は、その入力電圧と出力電圧の比率が、回路中で使用するトランスやインダクタ等の部品に依存した所定の範囲内にあるときに最大となる。一方、従来の電源装置70においては、DC/DCコンバータ72の出力電圧を変える場合、PFC回路71の出力電圧は一定に保たれていた。そこで、DC/DCコンバータ72の出力電圧を変えた場合、その入力電圧と出力電圧の比率が最適な範囲からずれてしまい、DC/DCコンバータ72の変換効率は低下していた。
即ち、従来の電源装置70においては、出力電圧を変えるとDC/DCコンバータ72の変換効率が低下し、それが電源装置70全体の効率を低下させる原因となっていた。
【0008】
本発明の目的は、上記のような課題を解決し、DC/DCコンバータの出力電圧を変化させた場合に、電源装置全体の効率の低下を防ぐことが可能な電源装置、及びその制御回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電源装置は、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第1のスイッチ素子を有し、力率を改善して直流電圧を出力する力率改善回路と、前記第1のスイッチ素子を制御することにより前記力率改善回路の出力電圧を制御する第1の制御部と、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第2のスイッチ素子を有し、前記力率改善回路の出力電圧を所定電圧に変換するDC/DCコンバータと、出力電圧指令と前記DC/DCコンバータの出力電圧とに基づき、前記第2のスイッチ素子を制御することにより前記DC/DCコンバータの出力電圧を制御する第2の制御部と、を備え、前記第1の制御部は、前記出力電圧指令に基づき、前記DC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧の比が所定の範囲内となるように前記力率改善回路の出力電圧を制御するものである。ここで、前記第1の制御部は、前記力率改善回路の出力電圧における変化量が所定の値より大きい場合、前記変化量を分割して前記力率改善回路の出力電圧を段階的に変化させることを特徴とする。
本発明の他の電源装置は、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第1のスイッチ素子を有し、力率を改善して直流電圧を出力する力率改善回路と、前記第1のスイッチ素子を制御することにより前記力率改善回路の出力電圧を制御する第1の制御部と、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第2のスイッチ素子を有し、前記力率改善回路の出力電圧を所定電圧に変換するDC/DCコンバータと、出力電圧指令と前記DC/DCコンバータの出力電圧とに基づき、前記第2のスイッチ素子を制御することにより前記DC/DCコンバータの出力電圧を制御する第2の制御部と、を備え、前記第1の制御部は、前記出力電圧指令に基づき、前記DC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧の比が所定の範囲内となるように前記力率改善回路の出力電圧を制御するものである。ここで、前記第1の制御部は、前記出力電圧指令に基づいて設定される電圧値と、固定された基準電圧と、に基づいて前記力率改善回路の出力電圧を制御することを特徴とする。
【0010】
本発明の電源装置の制御回路は、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第1のスイッチ素子を有し、力率を改善して直流電圧を出力する力率改善回路と、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第2のスイッチ素子を有し、前記力率改善回路の出力電圧を所定電圧に変換するDC/DCコンバータと、を備える電源装置の制御回路において、前記第1のスイッチ素子を制御することにより前記力率改善回路の出力電圧を制御する第1の制御部と、出力電圧指令と前記DC/DCコンバータの出力電圧とに基づき、前記第2のスイッチ素子を制御することにより前記DC/DCコンバータの出力電圧を制御する第2の制御部と、を有し、前記第1の制御部は、前記出力電圧指令に基づき、前記DC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧の比が所定の範囲内となるように前記力率改善回路の出力電圧を制御するものである。ここで、前記第1の制御部は、前記力率改善回路の出力電圧における変化量が所定の値より大きい場合、前記変化量を分割して前記力率改善回路の出力電圧を段階的に変化させることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明の他の電源装置の制御回路は、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第1のスイッチ素子を有し、力率を改善して直流電圧を出力する力率改善回路と、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの第2のスイッチ素子を有し、前記力率改善回路の出力電圧を所定電圧に変換するDC/DCコンバータと、を備える電源装置の制御回路において、前記第1のスイッチ素子を制御することにより前記力率改善回路の出力電圧を制御する第1の制御部と、出力電圧指令と前記DC/DCコンバータの出力電圧とに基づき、前記第2のスイッチ素子を制御することにより前記DC/DCコンバータの出力電圧を制御する第2の制御部と、を有し、前記第1の制御部は、前記出力電圧指令に基づき、前記DC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧の比が所定の範囲内となるように前記力率改善回路の出力電圧を制御するものである。ここで、前記第1の制御部は、前記出力電圧指令に基づいて設定される電圧値と、固定された基準電圧と、に基づいて前記力率改善回路の出力電圧を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電源装置、及びその制御回路によれば、DC/DCコンバータの出力電圧を変える場合、その出力電圧に応じてPFC回路の出力電圧を変化させることによって、DC/DCコンバータの入力電圧と出力電圧の比が常に最適な値となるように制御することが可能となる。これにより、DC/DCコンバータの変換効率の低下を防ぐことができる。
【0013】
以上より、本発明では、電源装置において、DC/DCコンバータの出力電圧を変化させた場合に、電源装置全体の効率の低下を防ぐことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1における電源装置の基本的な構成を示すブロック構成図
図2】本発明の実施例1における電源装置の回路構成の一例を示す概略の回路図
図3】本発明の実施例2における電源装置の基本的な構成を示すブロック構成図
図4】本発明の実施例2における電源装置の詳細な制御方法の手順を示すフローチャート
図5】本発明の実施例2の変形例における電源装置の詳細な制御方法の手順を示すフローチャート
図6】本発明の実施例3における電源装置の基本的な構成を示すブロック構成図
図7】本発明の実施例3における電源装置の回路構成の一例を示す概略の回路図
図8】従来の電源装置の基本的な構成を示すブロック構成図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0016】
(実施例1の電源装置の基本構成)
図1は、本発明の実施例1における電源装置の基本的な構成を示すブロック構成図である。
図1に示すように、本実施例1の電源装置10は、交流電圧3を入力し、力率を改善して直流電圧を出力するPFC回路1と、その出力電圧を所定の電圧に変換するDC/DCコンバータ2とを備え、DC/DCコンバータ2の出力電圧を負荷装置4に供給する構成になっている。PFC回路1は、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの図示しない第1のスイッチ素子を備え、又、DC/DCコンバータ2は、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの図示しない第2のスイッチ素子を備えている。
電源装置10は、第1のスイッチ素子を制御することにより力率を改善するとともにPFC回路1の出力電圧を制御する第1の制御部であるPFC出力電圧制御部5と、第2のスイッチ素子を制御することによりDC/DCコンバータ2の出力電圧を制御する第2の制御部であるDC/DC出力電圧制御部6と、を備えている。PFC出力電圧制御部5及びDC/DC出力電圧制御部6により、電源装置10の制御回路が構成されている。
【0017】
(実施例1の電源装置における基本構成の制御方法)
図1に示すように、本実施例1において、DC/DC出力電圧制御部6は、DC/DCコンバータ2より、DC/DCコンバータ2からの出力電圧などの入力情報14を得て、その入力情報14、及び外部より入力される出力電圧指令7に基づいて、第2のスイッチ素子を制御するための第2の制御信号であるDC/DC制御信号13を生成し、DC/DCコンバータ2に供給する。これにより、DC/DCコンバータ2の出力電圧は、出力電圧指令7により指定された値に制御される。
【0018】
一方、PFC出力電圧制御部5は、PFC回路1より、PFC回路1への入力電圧、入力電流、PFC回路1からの出力電圧などの入力情報12を得て、その入力情報12と出力電圧指令7とに基づいて、第1のスイッチ素子を制御するための第1の制御信号であるPFC制御信号11を生成し、PFC回路1に供給する。
本実施例1のPFC出力電圧制御部5では、出力電圧指令7により得られるDC/DCコンバータ2の出力電圧の情報を入力することにより、PFC回路1の出力電圧、即ちDC/DCコンバータ2の入力電圧と、DC/DCコンバータ2の出力電圧の比が所定の範囲内となるようにPFC回路1の出力電圧を制御する。
【0019】
(実施例1の電源装置の回路構成例)
図2は、本発明の実施例1における電源装置の回路構成の一例を示す概略の回路図である。
【0020】
図2において、PFC回路1は、入力された交流電圧3を整流するための4つのダイオードのブリッジ接続により構成された整流部8と、第1のスイッチ素子(例えば、MOS型の電界効果トランジスタ、以下単に「FET」という。)21を有する力率改善部9と、により構成されている。力率改善部9は、整流部8の正極側ラインに直列に接続されたインダクタ22と、インダクタ22の出力側と負極側ラインの間に接続されたFET21と、を備えている。出力側にはFET21と並列に接続された平滑用のコンデンサ23を備えている。PFC回路1の出力部には、DC/DCコンバータ2の入力部が接続されている。
【0021】
DC/DCコンバータ2は、入力の正極側ラインに1次側が接続された絶縁トランス32と、絶縁トランス32の1次側の他端と入力の負極側ラインとの間に接続された第2のスイッチ素子(例えば、FET)31と、を備えている。絶縁トランス32の2次側には、ダイオード33、ダイオード34、インダクタ35、及び正極出力端子37と負極出力端子38間に接続された平滑用のコンデンサ36からなる回路を備えている。ここで、絶縁トランス32の2次側の正極側にダイオード33のアノードが接続され、ダイオード33のカソードには、アノードが負極側出力端子38に接続されたダイオード34のカソードと、インダクタ35が接続され、インダクタ35の出力側は正極出力端子37に接続されている。
【0022】
PFC出力電圧制御部5は、PFC回路1から、力率改善部9への入力電圧25、入力電流26及び出力電圧27を、入力情報12として入力し、更に出力電圧指令7を入力し、これらの情報に基づいてフィードバック制御を行い、PFC回路1の出力電圧を制御する構成になっている。ここで、入力電圧25は入力の正極側ラインから、入力電流26は入力の負極側ラインから、出力電圧27は出力部の正極側ラインから、それぞれ公知の電圧センサ、電流センサを用いて検出し、入力される。
PFC出力電圧制御部5は、PFC基準電圧設定回路51、演算増幅器52、54、乗算器53、信号発生器55、比較器56、及び駆動回路57を備えている。PFC基準電圧設定回路51には出力電圧指令7が入力し、PFC基準電圧設定回路51の出力と出力電圧27が演算増幅器52に入力する構成となっている。演算増幅器52の出力と入力電圧25が乗算器53に入力し、乗算器53の出力と入力電流26が演算増幅器54に入力するように構成されている。更に、演算増幅器54の出力と信号発生器55の出力が比較器56に入力し、比較器56の出力が駆動回路57に入力するように構成されている。駆動回路57はPFC制御信号11を出力する。
【0023】
DC/DC出力電圧制御部6は、DC/DCコンバータ2から、その出力電圧39を、入力情報14として入力し、更に出力電圧指令7を入力し、これらの情報に基づいてフィードバック制御を行い、DC/DCコンバータ2の出力電圧を制御する構成になっている。出力電圧39は出力部の正極側ラインから、公知の電圧センサを用いて検出し、入力される。
DC/DC出力電圧制御部6は、DC/DC基準電圧設定回路61、演算増幅器62、比較器63、信号発生器64、及び駆動回路65を備えている。DC/DC基準電圧設定回路61には出力電圧指令7が入力し、DC/DC基準電圧設定回路61の出力と出力電圧39が演算増幅器62に入力する構成となっている。演算増幅器62の出力と信号発生器64の出力が比較器63に入力し、比較器63の出力が駆動回路65に入力するように構成されている。駆動回路65はDC/DC制御信号13を出力する。
【0024】
(実施例1の電源装置における回路構成例の制御方法)
先ず、PFC出力電圧制御部5内のPFC基準電圧設定回路51において、入力される出力電圧指令7に基づいて、DC/DCコンバータ2の入力電圧、即ちPFC回路1の出力電圧27とDC/DCコンバータ2の出力電圧39の比が所定の範囲内となるように、PFC回路1の出力電圧の値が基準電圧として設定される。その基準電圧と出力電圧27とが演算増幅器52において比較される。その比較結果は乗算器53において入力電圧25と乗算処理され、その乗算処理結果が、演算増幅器54において入力電流26と比較される。この比較結果は、比較器56において、信号発生器55から出力される三角波状の高周波のキャリヤ信号により、パルス幅変調信号(以下「PWM信号」という。)に変換される。このPWM信号は、駆動回路57により増幅されて、FET21を駆動するスイッチング信号であるPFC制御信号11として、FET21のゲートに供給される。
PFC回路1では、次のように動作する。
交流電圧3が整流部8で整流され、正電圧が正極側ラインに生ずる。FET21のゲートへの印加電圧が0の時にFET21はオフ状態となり、インダクタ22を経由してコンデンサ23への充電電流が流れる。FET21に所定の正電圧が印加されてオン状態となった時は、FET21を経路して正極側ラインから負極側ラインに電流が流れる。このようなFET21のオン/オフ動作を、高周波の基本周波数を有するPWM信号であるPFC制御信号11により制御することにより、入力電流26が制御されて力率が改善され、同時に出力電圧27が制御される。この結果得られるPFC回路1の出力電圧27は、DC/DCコンバータ2へ供給される。
【0025】
次に、DC/DC出力電圧制御部6内のDC/DC基準電圧設定回路61において、入力される出力電圧指令7に基づいて、DC/DCコンバータ2の出力電圧39が所定の値となるように、その出力電圧の設定値が基準電圧として設定される。その基準電圧と出力電圧39とが演算増幅器62において比較される。その比較結果は、比較器63において、信号発生器64から出力される三角波状の高周波のキャリヤ信号により、高周波のパルス信号に変換される。このパルス信号は、駆動回路65により増幅されて、FET31を駆動するスイッチング信号であるDC/DC制御信号13として、FET31のゲートに供給される。
DC/DCコンバータ2では、次のように動作する。
FET31のゲートに所定の正電圧が印加されてオン状態となった時、絶縁トランス32の1次側に電流が流れ、2次側に誘導起電力が発生する。この結果、ダイオード33、インダクタ35を通してコンデンサ36に充電電流が流れ、同時にインダクタ35にエネルギーが蓄えられる。FET31のゲートに印加される電圧が0となり、オフとなった時は、インダクタ35による誘導起電力によりコンデンサ36に充電電流が流れる。これにより、入力された出力電圧27が所定の出力電圧39に変換され、正極出力端子37及び負極出力端子38から出力されて、図1中の負荷装置4に供給される。
【0026】
(実施例1の効果)
本実施例1の電源装置10と、PFC出力電圧制御部5及びDC/DC出力電圧制御部6からなる制御回路と、電源装置10の制御方法と、によれば、DC/DCコンバータ2の出力電圧39を変える場合、その出力電圧に応じてPFC回路の出力電圧27を変化させることによって、PFC回路1の出力電圧27、即ちDC/DCコンバータ2の入力電圧と、DC/DCコンバータ2の出力電圧39の比が常に最適な値となるように制御することが可能となる。これにより、DC/DCコンバータ2の変換効率の低下を防ぐことができ、DC/DCコンバータ2の出力電圧39を変化させた場合に、電源装置10全体の効率の低下を防ぐことが可能になる。
【実施例2】
【0027】
(実施例2の電源装置の基本構成)
図3は、本発明の実施例2における電源装置の基本的な構成を示すブロック構成図である。
図3に示すように、本実施例の電源装置20は、交流電圧3を入力し、力率を改善して直流電圧を出力するPFC回路1と、その出力電圧を所定の電圧に変換するDC/DCコンバータ2とを備え、DC/DCコンバータ2の出力電圧を負荷装置4に供給する。
PFC回路1は、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの図示しない第1のスイッチ素子を備え、又、DC/DCコンバータ2は、スイッチング信号によりオン/オフ動作する少なくとも1つの図示しない第2のスイッチ素子を備えている。PFC回路1とDC/DCコンバータ2は、それぞれ実施例1と同様な機能、構成を有している。
電源装置20は、第1のスイッチ素子を制御することにより力率を改善するとともにPFC回路1の出力電圧を制御する第1の制御部であるPFC出力電圧制御部15と、第2のスイッチ素子を制御することによりDC/DCコンバータ2の出力電圧を制御する第2の制御部であるDC/DC出力電圧制御部16とを備えている。PFC出力電圧制御部15及びDC/DC出力電圧制御部16により、電源装置20の制御回路が構成されている。
【0028】
本実施例2において、PFC出力電圧制御部15は、DC/DC出力電圧制御部16より送られる出力電圧指令7を受信し、且つ、DC/DC出力電圧制御部16へPFC回路1の出力電圧27を送信するための送受信部17を有している。一方、DC/DC出力電圧制御部16は、PFC出力電圧制御部15内の送受信部17から送られるPFC回路1の出力電圧27を受信し、且つ、PFC出力電圧制御部15内の送受信部17へ出力電圧指令7を送信するための送受信部18を有している。
【0029】
(実施例2の電源装置における基本構成の制御方法)
実施例2においても、電源装置20の基本的な制御方法は実施例1と同様である。
即ち、DC/DC出力電圧制御部16は、DC/DCコンバータ2より、DC/DCコンバータ2からの出力電圧などの入力情報14を得て、その入力情報14、及び外部より入力される出力電圧指令7に基づいて、第2のスイッチ素子を制御するための第2の制御信号であるDC/DC制御信号13を生成し、DC/DCコンバータ2に供給する。これにより、DC/DCコンバータ2の出力電圧は、出力電圧指令7により指定された値に制御される。
一方、PFC出力電圧制御部15は、PFC回路1より、PFC回路1への入力電圧、入力電流、PFC回路1からの出力電圧などの入力情報12を得て、その入力情報12と、DC/DC出力電圧制御部16内の送受信部18から送られてくる出力電圧指令7と、に基づいて、第1のスイッチ素子を制御するための第1の制御信号であるPFC制御信号11を生成し、PFC回路1に供給する。
【0030】
但し、本実施例2においては、出力電圧指令7によって設定されるPFC回路1の出力電圧における変化量が所定の値より大きい場合、その変化量を分割してPFC回路1の出力電圧を段階的に変化させる。更にこの場合、DC/DCコンバータ2の出力電圧における変化量も分割してDC/DCコンバータ2の出力電圧も段階的に変化させる制御を行う。結果として、最終的に、PFC回路1の出力電圧、即ちDC/DCコンバータ2の入力電圧と、DC/DCコンバータ2の出力電圧の比が所定の範囲内となるようにPFC回路1の出力電圧を制御する。
通常、PFC回路1の出力電圧を変える場合、その変化速度が遅いため、変化量が大きい場合、一度に変化させるよりも、その変化量を分割して段階的に変化させる方が、制御が容易となり、確実な制御が可能となる。
【0031】
(実施例2の電源装置の詳細な制御方法)
図4は、本発明の実施例2における電源装置の詳細な制御方法の手順を示すフローチャートである。本実施例2の詳細な制御方法では、以下のようなステップS1~S9の手順が実施される。
【0032】
ステップS1において、DC/DCコンバータ2の出力電圧Vd1をVd2に変更する出力電圧指令7が来た場合、その出力電圧の変化量は、ΔVd=Vd2-Vd1、となる。この場合、DCコンバータ2の入力電圧と出力電圧の比が所定の範囲内となるようにするため、PFC回路1の出力電圧Vp1をVp2に変更する必要があるとすると、これに対応するPFC回路1の出力電圧の変化量は、ΔVp=Vp2-Vp1、となる。なお、ΔVd、ΔVpの値は、電圧の増減に依存して正、又は負の値となる。
以下では、ΔVd、ΔVpをそれぞれN(ここで、Nは2以上の整数)分割して、段階的に制御する。先ず、設定するDC/DCコンバータ2の出力電圧の基準電圧Vdref、及びPFC回路1の出力電圧の基準電圧Vprefの初期値を、それぞれ変更前の値、Vd1、Vp1とする。
【0033】
ステップS2において、DC/DCコンバータ2の出力電圧の基準電圧を目標とする変化量ΔVdの1/Nだけ変化させ、Vdref=Vd1+ΔVd/N、とする。
【0034】
ステップS3において、一定の時間待機し、ステップS4に進む。ステップS4において、DC/DCコンバータ2の出力電圧Vdoが設定した上記の基準電圧、Vd1+ΔVd/N、に到達したか否かを確認し、基準電圧に到達していればステップS5に進む。基準電圧に到達していなければ、ステップS3の時間待機に戻ることを繰り返し、到達した段階で、ステップS5に進む。
【0035】
ステップS5において、PFC回路1の出力電圧の基準電圧を目標とする変化量ΔVpの1/Nだけ変化させ、Vpref=Vp1+ΔVp/N、とし、ステップS6に進む。
【0036】
ステップS6において、一定の時間待機し、ステップS7に進む。ステップS7において、PFC回路1の出力電圧Vpoが設定した上記の基準電圧、Vp1+ΔVp/N、に到達したか否かを確認し、基準電圧に到達していればステップS8に進む。基準電圧に到達していなければ、ステップS6の時間待機に戻ることを繰り返し、到達した段階で、ステップS8に進む。
【0037】
ステップS8において、このステップS8までの実施回数を計数し、その実施回数がN回に到達していなければ、ステップS2に戻り、ステップS2からステップS8までの動作を繰り返す。N回の実施が完了すれば、DC/DCコンバータ2の出力電圧が目標値のVd2、PFC回路1の出力電圧が目標値のVp2となり、ステップS9において、出力電圧の変更が完了し、制御動作が完了する。
【0038】
(実施例2の効果)
本実施例2の電源装置20、この電源装置20の制御回路及び電源装置20の制御方法によれば、DC/DCコンバータ2の出力電圧を変える場合、その出力電圧に応じてPFC回路1の出力電圧を変化させることによって、DC/DCコンバータ2の入力電圧と出力電圧の比が常に最適な値となるように制御することが可能となる。これによりDC/DCコンバータ2の変換効率の低下を防ぐことができる。
更に、本実施例2においては、PFC回路1の出力電圧の変化量とDC/DCコンバータ2の出力電圧の変化量をそれぞれ分割して、PFC回路1の出力電圧とDC/DCコンバータ2の出力電圧をそれぞれ段階的に変化させることにより、DC/DCコンバータ2の入力電圧と出力電圧の比を最適な値とするフィードバック制御が容易となり、且つ、確実な制御が可能となる。
【0039】
(実施例2の制御方法の変形例)
図5は、実施例2の変形例における電源装置20の制御方法の手順を示すフローチャートである。この変形例の制御方法では、図4のフローチャートに代えて、以下のような図5のフローチャートにおけるステップS1,S12~S16の手順が実施される。
【0040】
ステップS1において、図4と同様に、DC/DCコンバータ2の出力電圧の変化量、ΔVd=Vd2-Vd1、これに対応するPFC回路1の出力電圧の変化量、ΔVp=Vp2-Vp1、を算出し、DC/DCコンバータ2の出力電圧の基準電圧Vdref、PFC回路1の出力電圧の基準電圧Vprefの初期値を、それぞれ変更前の値、Vd1、Vp1とする。
【0041】
ステップS12において、DC/DCコンバータ2の出力電圧の基準電圧を、目標とする変化量ΔVdをN分割した値だけ変化させ、Vdref=Vd1+ΔVd/N、とする。
【0042】
ステップS13において、PFC回路1の出力電圧の基準電圧を、目標とする変化量ΔVpをN分割した値だけ変化させ、Vpref=Vp1+ΔVp/N、とする。
【0043】
ステップS14において、PFC回路1の出力電圧及びDC/DCコンバータ2の出力電圧が変化する時間を見込んで設定した一定の時間、待機を行う。
【0044】
ステップS15において、このステップS15までの実施回数を計数し、その実施回数がN回に到達していなければ、ステップS12に戻り、ステップS12からステップS15までの動作を繰り返す。N回の実施が完了すれば、DC/DCコンバータ2の出力電圧が目標値のVd2、PFC回路1の出力電圧が目標値のVp2となり、ステップS16において、出力電圧の変更が完了し、制御動作が完了する。
【0045】
(実施例2の変形例の効果)
本変形例の制御では、ステップS14の待機時間を適正な値に設定すれば、確実なフィードバック制御を行うことができ、且つ、制御工程を図4のフローチャートに比べて簡略化することができる。
【実施例3】
【0046】
(実施例3の電源装置の基本構成)
図6は、本発明の実施例3における電源装置の基本的な構成を示すブロック構成図である。
本実施例3の電源装置40では、PFC回路1及びDC/DCコンバータ2が実施例1と同様であり、PFC出力電圧制御部45及びDC/DC出力電圧制御部46のそれぞれの基本的な機能、動作も実施例1のPFC出力電圧制御部5及びDC/DC出力電圧制御部6と同様である。但し、本実施例3の基本構成においては、PFC出力電圧制御部45へ入力される出力電圧指令7が、DC/DC出力電圧制御部46を介して与えられることが、実施例1とは異なっている。
【0047】
(実施例3の電源装置の回路構成例)
図7は、本発明の実施例3における電源装置40の回路構成の一例を示す概略の回路図である。
図7の電源装置40では、PFC回路1とDC/DCコンバータ2の構成は、図2の回路と同様である。
但し、図7のPFC出力制御回路45においては、電圧設定回路42に出力電圧指令7と出力電圧27が入力し、電圧設定回路42の出力と固定された基準電圧43とが演算増幅器44に入力するように構成されている。
【0048】
(実施例3の電源装置における回路構成例の制御方法)
図7の電源装置40において、PFC回路1とDC/DCコンバータ2の動作は、図2の回路の動作と同様である。
DC/DC出力電圧制御部46においては、入力される出力電圧指令7が、DC/DC基準電圧設定回路41を介してPFC出力電圧制御部45へ入力される。DC/DC出力電圧制御部46は、出力電圧指令7をPFC出力電圧制御部45へ送出する部分以外の動作は、図2のDC/DC出力電圧制御部6と同じである。
【0049】
PFC出力電圧制御部45においては、電圧設定回路42において、入力される出力電圧指令7とPFC出力電圧27とに基づいて、電圧値が設定され、その設定された電圧値と固定された基準電圧43とが演算増幅器44において比較される。上記の設定される電圧値及び基準電圧43は、PFC回路1の出力電圧27、即ちDC/DCコンバータ2の入力電圧と、DC/DCコンバータ2の出力電圧39の比が所定の範囲内となるような値に選択される。
PFC出力電圧制御部45において、上記の演算増幅器44における比較処理以降の動作は、図2のPFC出力電圧制御部5と同じである。
【0050】
(実施例3の効果)
本実施例3の電源装置40、この電源装置40の制御回路及び電源装置40の制御方法によれば、実施例1と略同様に、PFC回路1の出力電圧27、即ちDC/DCコンバータ2の入力電圧と、DC/DCコンバータ2の出力電圧39の比が常に最適な値となるように制御することが可能となり、DC/DCコンバータ2の変換効率の低下を防ぐことができる。
【0051】
(実施例1~3の他の変形例)
本発明は、上記実施例1~3及びその変形例に限定されず、更にその他の変形も可能である。この変形例としては、例えば、次の(a)~(e)のようなものがある。
(a) 第1、第2のスイッチ素子は、FET21,31に限定されず、バイポーラトランジスタやIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等であってもよい。
(b) 第1、第2のスイッチ素子の数は、それぞれ複数個であってもよい。
(c) PFC回路1、DC/DCコンバータ2、PFC出力電圧制御部5,45、及びDC/DC出力電圧制御部6,46の構成は、図2及び図7に示した構成に限定されず、公知の様々な回路構成が可能である。
(d) PFC出力電圧制御部5,45とDC/DC出力電圧制御部6,46は、それぞれマイクロコンピュータで構成することも可能である。又、PFC出力電圧制御部5,45とDC/DC出力電圧制御部6,46とを1つのマイクロコンピュータにより構成することも可能である。これにより、図4図5における制御において、電圧情報の共有やフィードバック制御が容易となる。
(e) 出力電圧を分割して段階的に制御する方法は、図4及び図5に示した手順以外の方法も可能である。
【符号の説明】
【0052】
1,71 PFC回路
2,72 DC/DCコンバータ
3 交流電圧
4 負荷装置
5,15,45,75 PFC出力電圧制御部
6,16,46,76 DC/DC出力電圧制御部
7 出力電圧指令
8 整流部
9 力率改善部
10,20,40,70 電源装置
11,81 PFC制御信号
12,14,82,84 入力情報
13,83 DC/DC制御信号
17,18 送受信部
21,31 FET
22,35 インダクタ
23,36 コンデンサ
25 入力電圧
26 入力電流
27,39 出力電圧
32 トランス
33,34 ダイオード
37 正極出力端子
38 負極出力端子
41,61 DC/DC基準電圧設定回路
42 電圧設定回路
43 基準電圧
44,52,54,62 演算増幅器
51 PFC基準電圧設定回路
55,64 信号発生器
56,63 比較器
57,65 駆動回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8