(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】走行台車
(51)【国際特許分類】
B23K 7/00 20060101AFI20220412BHJP
B23K 37/02 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B23K7/00 501C
B23K37/02 A
B23K37/02 B
(21)【出願番号】P 2018071250
(22)【出願日】2018-04-03
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000185374
【氏名又は名称】小池酸素工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】太田 智
(72)【発明者】
【氏名】皆原 雅敏
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-047932(JP,U)
【文献】特開2014-176868(JP,A)
【文献】特開平05-337641(JP,A)
【文献】実公昭44-021485(JP,Y1)
【文献】米国特許第06627004(US,B1)
【文献】国際公開第2015/163303(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 7/00
B23K 37/02
B23K 9/00 - 9/32、10/00 - 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工材を切断する切断トーチ又は被加工材を溶接する溶接トーチを搭載して走行する走行台車であって、
内部に収容空間が形成された台車本体と、
前記台車本体の収容空間に収容された駆動モータと、
前記台車本体の収容空間に収容され内部に制御機器が配置された筐体と、を有し、
前記筐体は、底面が前記台車本体の底板の内面と対面すると共に該底板の内面との間に隙間を設けて配置され
、側面が前記台車本体の側板の内面と対面すると共に該側板の内面との間に隙間を設けて配置されていることを特徴とする走行台車。
【請求項2】
前記台車本体の走行方向一方側の端面には外気と収容空間とを連通して吸気又は排気するファンが配置され、他方側の端面には収容空間と連通した吸排気口が形成されており、前記ファンによって外気が、台車本体の底板の内面と前記筐体の底面との間に形成された隙間を通って吸排気口から吸排気し得るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載した走行台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載した切断トーチ或いは溶接トーチ等の加工トーチから発生した熱の影響を軽減させるようにした走行台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼板に代表される被加工材を切断加工し或いは溶接加工する際に、ガス切断トーチ、プラズマ切断トーチ、或いはプラズマ溶接トーチや炭酸ガス溶接トーチ等(以下「加工トーチ」という)を搭載した手動操作式の走行台車を利用することがある。この走行台車は、被加工材の表面に設置したレールに案内されて、或いは被加工材の表面に直接載置され作業員に手動で誘導されて、目的の切断線或いは溶接線等の加工線に沿って走行し得るように構成されている。そして、この走行過程で搭載した加工トーチを稼働させて目的の加工を行うようことが可能である。
【0003】
被加工材を切断加工或いは溶接加工する加工トーチは、大量の熱を発生して被加工材を予熱し、或いは溶融させて目的の加工を行うものである。例えば、ガス切断トーチでは、燃料ガスと酸素ガスの混合ガスを燃焼させた予熱炎によって被加工材を予熱している。また、プラズマ切断トーチ或いはプラズマ溶接トーチでは、電極と被加工材又はノズルとの間で放電させてガスをプラズマ化させ、このプラズマ化したガスを噴射して被加工材を溶融させている。更に、炭酸ガス溶接トーチでは、溶接芯線と被加工材の間で放電させて、溶接芯線及び被加工材を溶融させている。
【0004】
上記の如き加工を行う際には、予熱炎やプラズマ化したガスは加工部位に集中して作用するものの、一部は被加工材の表面に沿って放射状に拡散して周囲に存在する機器類に対して熱影響を与える。
【0005】
一方、台車本体の内部には、駆動モータや駆動モータの回転を駆動輪に対し接続遮断するクラッチ機構等の機械的な要素が組み付けられている。更に、駆動モータの回転を制御する駆動制御部や走行台車の稼働を制御し或いは経時的な稼働状態を記憶する稼働状態制御部を含む制御機器が収容されている。
【0006】
台車本体に収容された制御機器には各種電子部品が使用されており、雰囲気の温度が上昇することは好ましいことではない。このため、加工トーチを搭載して走行している走行台車には、加工部位からの輻射熱や加工に伴って温度が上昇した被加工材からの輻射熱、及び拡散した予熱炎からの熱やプラズマ化したガスの熱(以下、前記各熱を総称して「加工熱」という)を防ぐための防熱板が、台車本体の側面との間に隙間を設けて且つ加工トーチに対向して配置され、該台車本体に固定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の如く構成された走行台車では、台車本体に防熱板を配置することで加工熱による熱影響を防ぎ、台車本体に排気ファンを取り付けることで内部の排気を促進して収容されている制御機器の温度上昇を軽減することができる。しかし、走行台車の小型化や制御対象の拡大に伴って、制御機器に対する加工熱による熱影響をより軽減することが要求されている。
【0008】
本発明の目的は、台車本体に収容した制御機器に対する加工熱の影響を軽減し得る走行台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る代表的な走行台車は、被加工材を切断する切断トーチ又は被加工材を溶接する溶接トーチを搭載して走行する走行台車であって、内部に収容空間が形成された台車本体と、前記台車本体の収容空間に収容された駆動モータと、前記台車本体の収容空間に収容され内部に制御機器が配置された筐体と、を有し、前記筐体は、底面が前記台車本体の底板の内面と対面すると共に該底板の内面との間に隙間を設けて配置され、側面が前記台車本体の側板の内面と対面すると共に該側板の内面との間に隙間を設けて配置されているものである。
【0010】
上記走行台車に於いて、前記台車本体の走行方向一方側の端面には外気と収容空間とを連通して吸気又は排気するファンが配置され、他方側の端面には収容空間と連通した吸排気口が形成されており、前記ファンによって外気が、台車本体の底板の内面と前記筐体の底面との間に形成された隙間を通って吸排気口から吸排気し得るように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る走行台車では、搭載した加工トーチを稼働させて目的の加工を行う過程で加工熱による台車本体に収容した制御機器に対する影響を軽減することができる。
【0013】
即ち、台車本体の収容空間に収容された制御機器が筐体に収容されており、該筐体は底面が台車本体の底板の内面と対面し、且つ該内面との間に隙間が設けられている。このため、筐体の底面が防熱板の機能を発揮し、且つ筐体の底面と台車本体の底板の間の隙間にある空気が断熱層としての機能を発揮する。従って、筐体内部の温度上昇を軽減することができる。
【0014】
また、台車本体の走行方向一方側の端面にファンを配置すると共に他方側の端面に吸排気口を形成した場合には、ファンによって外気を取り込み、或いは内部を排気することで、台車本体の底板の内面と前記筐体の底面との間に形成された隙間に空気を流通させることができる。このため、筐体に対して強制冷却することができ、筐体内部の温度上昇を軽減することができる。
【0015】
また、筐体の側面と台車本体の側板の内面との間に隙間を設けることで、該筐体の底面及び側面と台車本体の内面との間に形成された隙間が断熱層としての機能を発揮することができる。このため、筐体内部の温度上昇を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る走行台車について説明する。本発明に係る走行台車は、搭載した加工トーチによって被加工材に対し目的の加工を行う際に、加工熱によって台車本体の温度が上昇しても、制御機器への熱影響を軽減し得るようにしたものである。
【0018】
本発明に係る走行台車は、内部に形成された収容空間に筐体を配置すると共に該筐体に制御機器を配置したものである。そして、筐体の底面を台車本体の底板の内面と対面させると共に、両者の間に隙間を設けることで、この隙間に存在する空気層による断熱効果を期待するものである。
【0019】
筐体の内部に配置される制御機器については特に限定するものではなく、代表的には電子機器などの熱の影響を受け易い機器類を対象とするのが好ましい。このような制御機器としては、例えば走行台車の走行の制御や、搭載した加工トーチの動作の制御などを行う制御機器であれば対象とすることが可能である。更に、走行台車の稼働時間や搭載した加工トーチの稼働時間を積算して記憶したり、外部に通信することで走行台車の稼働の制御を行う制御機器も対象とすることが可能である。要するに、筐体の内部に配置される制御機器とは、制御対象を限定するものではない。
【0020】
また、筐体の形状は特に限定するものではなく、走行台車の制御機器であって熱影響を受け易い機器を合理的に配置して収容し得る形状を有するものであれば良い。特に、台車本体の底板と対面する底面(以下「底板」ともいう)と、台車本体の側板と対面する側面(以下「側板」ともいう)は連続して形成されていることが好ましい。即ち、筐体は有底の箱状に形成されていることが好ましい。
【0021】
筐体の材質も特に限定するものではない。しかし、内部に配置すべき制御機器に対する熱影響を軽減するためには、筐体は高い断熱性を有する材料を用いて構成することが好ましい。
【0022】
筐体の製造方法も限定するものではなく、金属板の板金加工によって製造しても良く、合成樹脂の成形加工によって製造しても良い。しかし、筐体の内部にはプリント基板を含む制御機器が配置されるため、これらを合理的に配置すると共に取り付けることが可能であることが好ましい。このような筐体は、合成樹脂を用いて成形することが好ましい。
【0023】
台車本体の走行方向の一方の端面にファンを配置すると共に、他方の端面に通気口を形成し、ファンを稼働させて筐体の底面と台車本体の底板の内面との間に形成されている隙間に空気を流通させることで、筐体に対する冷却を行うことが好ましい。ファンとしては、台車本体内の吸気又は排気が可能であれば良く、通気口も排気又は吸気が可能であれば良い。
【0024】
更に、台車本体と筐体との間の隙間は、台車本体の底板の内面と筐体の底面との間に限定すべきではなく、台車本体の側板の内面と筐体の側面との間にも形成されることが好ましい。
【0025】
上記の如くして台車本体の底板、側板の内面と筐体の底面、側面との間に形成される隙間の大きさは限定するものではない。即ち、台車本体の内部に形成された収容空間の寸法や形状、内部に配置すべき制御機器の形状や寸法などの条件に対応して設定された筐体の形状や寸法、等に対応させて設定することが好ましい。
【0026】
以下、本実施例に係る走行台車について、図を用いて説明する。先ず、走行台車Aの全体構成について簡単に説明する。走行台車Aは内部に後述する筐体1や駆動モータ2及びクラッチ機構等を収容する収容空間Bが形成された台車本体10を有している。台車本体10は、走行方向に沿って配置された一対の側板11と、走行方向に対し直交する方向に配置された一対の端板12a、12bと、底板13と、からなる有底の下部体10aと、下部体10aの上部開放部を閉鎖する上板14を有する上部体10bと、を有している。
【0027】
台車本体10の一方の端部側(矢印a方向の端部側)に駆動ローラ21と従動ローラ22が配置されており、他方の端部側(矢印b方向の端部側)にフリーローラ23が配置されている。
図1に示すように、駆動ローラ21は矢印b方向に向かって左側に配置されており、従動ローラ22及びフリーローラ23は右側に夫々配置されている。
【0028】
以下の説明では、矢印a、b方向を「走行方向」又は「長手方向」といい、矢印a、b方向に対し直交する方向を「横方向」又は「幅方向」ということもある。
【0029】
台車本体10の上板14には、加工トーチを保持すると共に該加工トーチの被加工材からの高さや傾斜角度を調整し得るように構成された図示しないトーチホルダーを取り付けるためのスタンド24が配置されている。この上板14には、電源コードを接続するためのコネクタ25、走行方向を設定するためのスイッチ26、クラッチレバー27、速度調整ダイヤル28が夫々配置されている。
【0030】
また、台車本体10の他方の端部側(矢印b方向の端部側)であって、フリーローラ23の上方には、作業員が手動操作によって走行台車Aの走行方向を誘導する際に利用する誘導ハンドル29が構成されている。
【0031】
台車本体10の底板13の外面との間に空間32を設けて底面防熱板31が配置されている。この底面防熱板31は、底板13に於ける走行方向の所定位置に形成された取付部13aに固定されている。
【0032】
特に、台車本体10の底板13と底面防熱板31との間に形成された空間32には、両側面及び矢印b方向の端部側が開口している。このため、これらの開口を介して空気を流通させることが可能であり、この流通する空気による冷却効果を期待することが可能である。
【0033】
また、台車本体10の側板11の外面との間に空間34を設けて側面防熱板33が配置されている。この側面防熱板33には一対の図示しない長穴が形成されており、台車本体10の側板11に形成された係止突起11aに取り付けられたとき、被加工材の表面に対し略垂直面内、即ち上下方向に充分な寸法だけ移動し得るように構成されている。
【0034】
上記の如く構成された走行台車Aでは、
図3に示すように、レール35に載置して従動ローラ22とフリーローラ23を該レール35に形成されたガイド溝に嵌入させて駆動ローラ21を駆動することで、ガイド溝に沿って走行させることが可能である。また、走行台車Aを直接被加工材の表面に載置し、作業員が台車本体10に設けた誘導ハンドル29を把持して誘導しつつ駆動ローラ21を駆動することで、所望の方向に走行させることが可能である。
【0035】
そして、走行台車Aの走行に伴って、搭載した加工トーチを稼働させることで、被加工材に対する切断加工或いは溶接加工等目的の加工を行うことが可能である。
【0036】
台車本体10の内部に形成された収容空間Bには、駆動モータ2及び走行台車Aの稼働を制御するための制御機器が配置された筐体1が配置されている。収容空間Bは、台車本体10を構成する下部体10aの上部開口部を上部体10bによって被蓋することで形成されている。即ち、収容空間Bは、走行台車Aの走行方向に沿った両側が側板11、走行方向の両端が端板12a、12b、下端が底板13、上端が上板14によって規定された空間として構成されている。この収容空間Bの形状や寸法は、収容すべき部品類や走行台車Aが搭載する加工トーチの種類、意匠性等の条件に対応して適宜設定されている。
【0037】
収容空間Bに配置された駆動モータ2は、駆動ローラ21の軸21aを正逆回転させて走行台車Aを矢印a方向又は矢印b方向に走行させるものである。このため、軸21aに歯車等の伝導部材2aを介在させて接続されている。この駆動モータ2は、筐体1の内部に配置された制御機器によって回転数や回転方向、可動時間等が制御される。
【0038】
台車本体10の端板12aには開口12cが形成されており、端板12bにも開口12dが形成されている。従って、下部体10aの上部に上部体10bを取り付けたとき、走行方向に向けて形成された開口12c、12dによって外部と連通した収容空間Bが形成される。
【0039】
上記開口12cにファン3が配置されている。ファン3としては、外気を吸引して収容空間Bに流通させる吸引ファンであって良く、また収容空間Bの空気を排気する排気ファンであっても良い。本実施例では、ファン3として外気を吸引する吸引ファンを用いている。従って、開口12cは吸気口として機能し、開口12dは排気口として機能する。
【0040】
台車本体10の下部体10aの内部であって端板12a側には筐体1を取り付けるための取付部10cが形成されている。また、端板12b側に形成された開口12cを構成する下縁は筐体1を係止する係止部10dとしての機能を有している。
【0041】
収容空間Bに配置される筐体1の形状や寸法は、収容空間Bの形状及び寸法、内部に配置すべき制御機器の形状や寸法等の条件に対応させて適宜設定されることが好ましい。本実施例では、
図6に示すように、底板1aと、底板1aの幅方向の両端から起立した一対の側板1bと、底板1aの長手方向の両端から起立した一対の端板1c、1dとを有し、上部が開放(開口1e)された有底の箱状に形成されている。
【0042】
筐体1の端板1cにはブラケット1fが突起状に形成されており、該ブラケット1fを介して台車本体10の下部体10aの内部に形成された取付部10cに取り付けるように構成されている。また、端板1dには係止突起1gが形成されており、該係止突起1gを介して台車本体10に形成された係止部10dに係止し得るように構成されている。
【0043】
上記の如く構成された筐体1では、内部には制御機器4を構成するプリント基板類や電子機器類の寸法、形状、配置すべき位置に対応させて図示しないリブや窪みが形成されており、夫々合理的に配置されて所定位置に取り付けられている。
【0044】
ブラケット1fを下部体10aの取付部10cに取り付けると共に、係止突起1gを係止部10dに係止して筐体1を取り付けたとき、筐体1の底板1aは台車本体10の底板13の内面と対面して配置されて、両者の間に隙間5が形成されている。このように、台車本体10の底板13の内面と筐体1の底板1aとの間に隙間5が形成されることで、この隙間5が断熱層として機能する。このため、筐体1に配置された制御機器4に対する熱影響を軽減することが可能となる。
【0045】
また、隙間5は収容空間Bに於ける開口12cから開口12dの間を接続して形成された通路としての機能をも有するため、開口12cに配置したファン3を駆動することで吸引した外気が流通し、筐体1の底板1aを冷却することが可能となる。このため、筐体1に配置された制御機器4に対する熱影響を軽減することが可能となる。
【0046】
特に本実施例では、筐体1の側板1bは台車本体10の側板11の内面と対面して配置されて、両者の間に隙間6が形成されている。この隙間6も前述した隙間5と同様に断熱層としての機能と、通路としての機能を有する。従って、筐体1の側板1bに対する台車本体10の側板11からの熱の影響を軽減することが可能となり、ファン3を駆動した場合には筐体1の底板1aと側板1bを同時に冷却することが可能となる、このため、筐体1に配置された制御機器4に対する熱影響を軽減することが可能となる。
【0047】
上記の如く、本実施例では筐体1と台車本体10の底板13との間、側板11との間には夫々隙間5、6が形成されているが、筐体1の開口1eと上板14の内面との間に隙間を形成するか否かは限定しない。即ち、筐体1の開口1eと上板14との間に隙間が形成されていた場合、収容空間B内に於ける空気の対流による熱の影響が生じる可能性はある。しかし、ファン3を駆動することで収容空間B内の空気を外気と置換することが可能であり、空気の対流による熱影響を排除することが可能である。
【0048】
上記の如く構成された走行台車Aでは、台車本体10の内部に形成された収容空間Bに配置された筐体1の底板1aと台車本体10の底面13との間に隙間5が形成されている。このため、隙間5が断熱層としての機能を発揮することで、筐体1に配置された制御機器4に対する熱影響を軽減することが可能となる。特に、端板12aの開口12cにファン3を取り付けて駆動することで、隙間5に強制的に空気を流通させることが可能となり、筐体1に対する冷却効果を発揮することが可能である。このとき隙間5を流れる空気は単に筐体1に対する冷却効果のみならず、台車本体10の底板13に対する冷却効果も期待することが可能となる。
【0049】
更に、筐体1の側板1bと台車本体10の側板11の内面との間にも隙間6を形成することで、筐体1の三方に断熱層が形成されることとなり、より熱影響を軽減することが可能である。同様にファン3を駆動した場合には、より大きい冷却効果を期待することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る走行台車は、被加工材に熱を加えて目的の加工を行う切断トーチや溶接トーチを搭載する切断装置、溶接装置として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
A 走行台車
B 収容空間
1 筐体
1a 底板
1b 側板
1c、1d 端板
1e 開口
1f ブラケット
1g 係止突起
2 駆動モータ
2a 伝導部材
3 ファン
4 制御機器
5、6 隙間
10 台車本体
10a 下部体
10b 上部体
10c 取付部
10d 係止部
11 側板
11a 係止突起
12a、12b 端板
12c、12d 開口
13 底板
13a 取付部
14 上板
21 駆動ローラ
21a 軸
22 従動ローラ
23 フリーローラ
24 スタンド
25 コネクタ
26 スイッチ
27 クラッチレバー
28 速度調整ダイヤル
29 誘導ハンドル
31 底面防熱板
32、34 空間
33 側面防熱板
35 レール