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特許7057251積層パネル及び積層パネルの連結構造並びに積層パネルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】積層パネル及び積層パネルの連結構造並びに積層パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/292 20060101AFI20220412BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20220412BHJP
   E04B 1/61 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
E04C2/292
E04B1/80 100B
E04B1/61 502M
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018148539
(22)【出願日】2018-08-07
(65)【公開番号】P2020023812
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】303013811
【氏名又は名称】日軽パネルシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】末 和也
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-160984(JP,A)
【文献】実開昭49-051010(JP,U)
【文献】特開平10-018441(JP,A)
【文献】特開平11-324171(JP,A)
【文献】特開昭51-077672(JP,A)
【文献】特開2008-180009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0025335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/292
E04C 2/26, 2/30, 2/34, 2/38
E04B 1/80, 1/61
E04B 2/74
E04F 13/08, 13/12
E04F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏一対の面材と、両面材の周囲に配置される枠材と、上記面材と枠材とで形成される空間内に充填される芯材とを具備する積層パネルであって、
上記枠材は、該枠材の断面方向の表面側及び裏面側端部に、上記面材の周囲に当接する水平片の先端から上記水平片に対して鋭角な傾斜片にて形成される一対の突出部が設けられ、
上記面材の周囲に折り曲げられる折曲片は、上記突出部の表裏面に隣接する部位を被覆してなる、ことを特徴とする積層パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の積層パネルにおいて、
上記枠材は、該枠材の断面方向の中央に嵌合部材を挿入するための凹溝が設けられ、
上記凹溝は、該凹溝の底部に幅広部を有すると共に、上記嵌合部材が嵌合可能な狭隘開口部を有する断面略T字状に形成されている、ことを特徴とする積層パネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の積層パネルにおいて、
上記枠材は、上記突出部に連なる先端側外面に、内部コーキング材を保持するための一対の凸条が突設されている、ことを特徴とする積層パネル。
【請求項4】
請求項1に記載の積層パネルを用いた積層パネルの連結構造であって、
連結される両積層パネルの上記面材の折曲片が被覆された一対の突出部を接触させ、
上記両積層パネルの面材の折曲片を双方の上記突出部により挟圧した状態で、上記両積層パネルの上記突出部間に形成される目地部の外部にコーキング材を充填してなる、ことを特徴とする積層パネルの連結構造。
【請求項5】
請求項2に記載の積層パネルを用いた積層パネルの連結構造であって、
連結される一方の積層パネルの凹溝内に、上記狭隘開口部に嵌合可能な一対の嵌合突片と、両嵌合突片の一端を連結する連結片とを有する断面略コ字状の嵌合部材を挿入すると共に、該嵌合部材の連結片を貫通して上記芯材に螺合するねじ部材にて上記嵌合部材を上記凹溝の底部に固定し、
連結される両積層パネルの上記面材の折曲片が被覆された一対の突出部を接触させると共に、上記嵌合部材の嵌合突片を他方の積層パネルの狭隘開口部に嵌合し、
上記両積層パネルの面材の折曲片を双方の上記突出部により挟圧した状態で、上記両積層パネルの上記突出部間に形成される目地部の外部にコーキング材を充填してなる、ことを特徴とする積層パネルの連結構造。
【請求項6】
請求項5に記載の積層パネルの連結構造において、
上記嵌合突片の先端側外面に、円弧状に隆起する複数の係合凸条が突設され、上記係合凸条が上記狭隘開口部の内面に圧接された状態で、上記嵌合突片が狭隘開口部に嵌合される、ことを特徴とする積層パネルの連結構造。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかに記載の積層パネルの連結構造において、
上記枠材は、該枠材の先端側外面に、内部コーキング材を保持するための一対の凸条が突設され、上記両積層パネルの上記一対の凸条間に内部コーキング材を保持してなる、ことを特徴とする積層パネルの連結構造。
【請求項8】
請求項1に記載された積層パネルの製造方法であって、
内方面に接着剤が塗布された上記面材の折曲片を上記枠材の突出部の表裏面に隣接する部位に近接させ、上記面材と枠材とで形成される空間内に上記芯材を配置させる仮組み工程と、
上記枠材の突出部の外面に治具を取り付け、上記治具の締め付けによって、上記突出部と治具とで上記面材の折曲片を上記突出部の表裏面に隣接する部位に挟圧する工程と、
上記両面材に圧力を加えて上記両面材、枠材及び芯材を接着する工程と、
上記面材、枠材及び芯材が接着された後、上記治具を取り外す工程と、を備えることを特徴とする積層パネルの製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載された積層パネルの製造方法であって、
上記面材の折曲片を上記枠材の突出部の表裏面に隣接する部位に近接させる仮組み工程と、
上記枠材の突出部の外面に治具を取り付け、上記治具の締め付けによって、上記突出部と治具とで上記面材の折曲片を上記突出部の表裏面に隣接する部位に挟圧する工程と、
上記両面材と枠材とで形成される空間内に発泡性の芯材を充填して、上記両面材、枠材及び芯材を接着する工程と、
上記面材、枠材及び芯材が接着された後、上記治具を取り外す工程と、を備えることを特徴とする積層パネルの製造方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載された積層パネルの製造方法において、
上記枠材は、該枠材の断面方向の中央に嵌合部材を挿入するための凹溝が設けられ、上記凹溝は、該凹溝の底部に幅広部を有すると共に、上記嵌合部材が嵌合可能な狭隘開口部を有する断面略T字状に形成され、
上記治具は、上記一対の突出部に当接する治具本体と、該治具本体に横設された水平貫通孔内に摺動及び回動可能に挿通される操作軸の先端に固着される挿入部と、を具備し、上記挿入部は、上記凹溝の狭隘開口部に挿通可能であって、上記操作軸の回動によって上記狭隘開口部に係合可能な一対の係止片を有する略T字状に形成され、上記両係止片の上記治具本体側面には、回動方向に沿う傾斜部が設けられ、
上記治具本体を上記一対の突出部に当接すると共に、上記挿入部を上記凹溝内に挿入した状態で、上記操作軸を回動させることで、上記挿入部の係止片を上記狭隘開口部に係合させて、上記面材の折曲片を上記突出部と治具本体とで挟圧する、ことを特徴とする積層パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば冷蔵庫やクリーンルーム等を構成する積層パネル及び積層パネルの連結構造並びに積層パネルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、冷蔵庫やクリーンルーム等の間仕切や壁は、表面に面材を具備すると共に側端面に枠材を具備し、かつ、両面材と枠材とで形成される空間内に例えば発泡ポリウレタン等の断熱材やハニカムコア材等の芯材が充填された積層パネルが用いられている。
【0003】
この種の積層パネルは、枠材に設けられた挿入溝内に面材の周囲に折り曲げられた折曲片を挿入した状態で、一対の面材の側辺部間に枠材が装着される。
また、積層パネル同士の連結部の目地においては、気密性を考慮して目地部にコーキング材や目地材を充填している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-38244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、面材の折曲片を枠材に設けられた挿入溝内に挿入するものにおいては、折曲片の挿入部が外部に露呈するため、外観が損なわれる懸念がある。また、このような積層パネル同士の連結部の目地にコーキング材や目地材を充填した場合、目地部が目立つ懸念がある。
【0006】
一方、近年、目地においては、その気密性だけでなく、外観も重視されるようになり、目地をできるだけ目立たなくさせることが望まれている。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたのもので、外観と気密性を両立させた積層パネル及び積層パネルの連結構造並びに積層パネルの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の積層パネルは、表裏一対の面材と、両面材の周囲に配置される枠材と、上記面材と枠材とで形成される空間内に充填される芯材とを具備する積層パネルであって、上記枠材は、該枠材の断面方向の表面側及び裏面側端部に、上記面材の周囲に当接する水平片の先端から上記水平片に対して鋭角な傾斜片にて形成される一対の突出部が設けられ、上記面材の周囲に折り曲げられる折曲片は、上記突出部の表裏面に隣接する部位を被覆してなる、ことを特徴とする(請求項1)。
【0009】
このように構成することにより、枠材の表裏面側の端部に設けられた突出部の表裏面に隣接する部位を面材の折曲片にて被覆して、積層パネルの周辺端部を目立たなくすることができる。
【0010】
この発明において、上記枠材は、該枠材の断面方向の中央に嵌合部材を挿入するための凹溝が設けられ、上記凹溝は、該凹溝の底部に幅広部を有すると共に、上記嵌合部材が嵌合可能な狭隘開口部を有する断面略T字状に形成されているのが好ましい(請求項2)。
また、上記枠材は、上記突出部に連なる先端側外面に、内部コーキング材を保持するための一対の凸条が突設されているのが好ましい(請求項3)。
【0011】
このように構成することにより、枠材への嵌合部材の取り付けを可能にすることができると共に、嵌合部材の取り付けを容易にすることができる。また、積層パネル同士の連結を可能にすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の積層パネルを用いた積層パネルの連結構造であって、連結される両積層パネルの上記面材の折曲片が被覆された一対の突出部を接触させ、上記両積層パネルの面材の折曲片を双方の上記突出部により挟圧した状態で、上記両積層パネルの上記突出部間に形成される目地部の外部にコーキング材を充填してなる、ことを特徴とする。
【0013】
このように構成することにより、積層パネル同士を連結する場合、面材の折曲片が被覆された一対の突出部を線接触させることができ、両積層パネルの面材の折曲片を双方の突出部により挟圧した状態で、両積層パネルの突出部間に形成される目地部すなわち両積層パネルの折曲片の折曲部間に形成される隙間の外部にコーキング材を充填することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の積層パネルを用いた積層パネルの連結構造であって、連結される一方の積層パネルの凹溝内に、上記狭隘開口部に嵌合可能な一対の嵌合突片と、両嵌合突片の一端を連結する連結片とを有する断面略コ字状の嵌合部材を挿入すると共に、該嵌合部材の連結片を貫通して上記芯材に螺合するねじ部材にて上記嵌合部材を上記凹溝の底部に固定し、連結される両積層パネルの上記面材の折曲片が被覆された一対の突出部を接触させると共に、上記嵌合部材の嵌合突片を他方の積層パネルの狭隘開口部に嵌合し、上記両積層パネルの面材の折曲片を双方の上記突出部により挟圧した状態で、上記両積層パネルの上記突出部間に形成される目地部の外部にコーキング材を充填してなる、ことを特徴とする。
この場合、上記嵌合突片の先端側外面に、円弧状に隆起する複数の係合凸条を突設し、上記係合凸条が上記狭隘開口部の内面に圧接された状態で、上記嵌合突片を狭隘開口部に嵌合するのが好ましい(請求項6)。
【0015】
このように構成することにより、ねじ部材を嵌合部材の連結片を貫通して芯材に螺合して嵌合部材を凹溝の底部に固定することで、枠材への嵌合部材の取り付けを容易かつ強固にすることができる。この際、ねじ部材を嵌合部材の連結片を貫通して芯材に螺合するときに発生する切粉は、凹溝の底部の幅広部に排出されるので、切粉の影響を受けることなく、嵌合部材の固定を確実にすることができる。
また、積層パネル同士を連結する場合、面材の折曲片が被覆された一対の突出部を接触させると共に、上記嵌合部材の嵌合突片を他方の積層パネルの狭隘開口部に嵌合し、上記両積層パネルの面材の折曲片を双方の上記突出部により挟圧した状態で、両積層パネルの突出部間に形成される目地部すなわち両積層パネルの折曲片の折曲部間に形成される隙間の外部にコーキング材を充填することができる。
【0016】
また、この発明の積層パネルの連結構造において、上記枠材は、該枠材の先端側外面に、内部コーキング材を保持するための一対の凸条が突設され、上記両積層パネルの上記一対の凸条間に内部コーキング材を保持してなるのが好ましい(請求項7)。
【0017】
このように構成することにより、両積層パネルの突出部間に形成される目地部すなわち両積層パネルの折曲片の折曲部間に形成される隙間の外部にコーキング材を充填することに加えて、枠材の先端側外面に突設された一対の凸条間に内部コーキング材を保持することができる。したがって、両積層パネルの連結部の目地部を二重にシールすることができる。
【0018】
この発明の第1の積層パネルの製造方法は、請求項1に記載された積層パネルの製造方法であって、内方面に接着剤が塗布された上記面材の折曲片を上記枠材の突出部の表裏面に隣接する部位に近接させ、上記面材と枠材とで形成される空間内に上記芯材を配置させる仮組み工程と、上記枠材の突出部の外面に治具を取り付け、上記治具の締め付けによって、上記突出部と治具とで上記面材の折曲片を上記突出部の表裏面に隣接する部位に挟圧する工程と、上記両面材に圧力を加えて上記両面材、枠材及び芯材を接着する工程と、上記面材、枠材及び芯材が接着された後、上記治具を取り外す工程と、を備えることを特徴とする(請求項8)。
【0019】
このように構成することにより、治具の締め付けにより、枠材と面材の位置ずれを無くした状態で、一対の面材と枠材及び芯材を接着することができる。
【0020】
この発明の第2の積層パネルの製造方法は、請求項1に記載された積層パネルの製造方法であって、上記面材の折曲片を上記枠材の突出部の表裏面に隣接する部位に近接させる仮組み工程と、上記枠材の突出部の外面に治具を取り付け、上記治具の締め付けによって、上記突出部と治具とで上記面材の折曲片を上記突出部の表裏面に隣接する部位に挟圧する工程と、上記両面材と枠材とで形成される空間内に発泡性の芯材を充填して、上記両面材、枠材及び芯材を接着する工程と、上記面材、枠材及び芯材が接着された後、上記治具を取り外す工程と、を備えることを特徴とする(請求項9)。
【0021】
このように構成することにより、治具の締め付けにより、折曲片は突出部と治具とで挟圧されるので、枠材と面材の位置ずれを無くした状態で、両面材と枠材とで形成される空間内に発泡性の芯材を充填して、一対の面材と枠材及び芯材を接着することができる。
【0022】
この発明の積層パネルの製造方法において、上記枠材は、該枠材の断面方向の中央に嵌合部材を挿入するための凹溝が設けられ、上記凹溝は、該凹溝の底部に幅広部を有すると共に、上記嵌合部材が嵌合可能な狭隘開口部を有する断面略T字状に形成され、上記治具は、上記一対の突出部に当接する治具本体と、該治具本体に横設された水平貫通孔内に摺動及び回動可能に挿通される操作軸の先端に固着される挿入部と、を具備し、上記挿入部は、上記凹溝の狭隘開口部に挿通可能であって、上記操作軸の回動によって上記狭隘開口部に係合可能な一対の係止片を有する略T字状に形成され、上記両係止片の上記治具本体側面には、回動方向に沿う傾斜部が設けられ、上記治具本体を上記一対の突出部に当接すると共に、上記挿入部を上記凹溝内に挿入した状態で、上記操作軸を回動させることで、上記挿入部の係止片を上記狭隘開口部に係合させて、上記面材の折曲片を上記突出部と治具本体とで挟圧するのが好ましい(請求項10)。
【0023】
このように構成することにより、枠材に設けられた断面略T字状の凹溝を利用して治具を容易に取り付けることができると共に、治具の締め付けにより、折曲片は突出部と治具とで挟圧されるので、枠材と面材の位置ずれを無くした状態で、一対の面材と枠材及び芯材を接着することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような優れた効果が得られる。
【0025】
(1)請求項1~3に記載の発明によれば、枠材の表裏面側の端部に設けられた突出部の表裏面に隣接する部位を面材の折曲片にて被覆して、積層パネルの周辺端部を目立たなくすることができるので、積層パネルの周辺端部の外観を良好にすることができると共に、パネルの連結時の目地部を目立たなくすることができる。
【0026】
(2)請求項4に記載の発明によれば、積層パネル同士を連結する場合、面材の折曲片が被覆された一対の突出部を線接触させ、両積層パネルの突出部間に形成される目地部の外部にコーキング材を充填することができるので、目地部の外観の向上が図れると共に、気密性の向上が図れる。
【0027】
(3)請求項5,6に記載の発明によれば、枠材への嵌合部材の取り付けを容易かつ強固にすることができる。また、積層パネル同士を連結する場合、面材の折曲片が被覆された一対の突出部を線接触させると共に、嵌合部材の嵌合突片を他方の積層パネルの狭隘開口部に嵌合し、両積層パネルの面材の折曲片を双方の突出部により挟圧した状態で、両積層パネルの突出部間に形成される目地部の外部にコーキング材を充填することができるので、目地部の外観の向上が図れると共に、気密性の向上が図れる。
【0028】
(4)請求項7に記載の発明によれば、両積層パネルの連結部の目地部を二重にシールすることができるので、上記(3)に加えて、更に気密性の向上が図れる。
【0029】
(5)請求項8,9に記載の発明によれば、治具の締め付けにより、枠材と面材の位置ずれを無くした状態で、一対の面材と枠材及び芯材を接着することができるので、外観と気密性を両立させた積層パネルを容易に作製することができる。
【0030】
(6)請求項10に記載の発明によれば、枠材に設けられた断面略T字状の凹溝を利用して治具を容易に取り付けることができると共に、治具の締め付けにより、枠材と面材の位置ずれを無くした状態で、一対の面材と枠材及び芯材を接着することができるので、上記(5)に加えて、更に外観と気密性を両立させた積層パネルを容易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】この発明に係る積層パネルの第1実施形態の断面図(a)及び(a)のI部拡大断面図(b)である。
図1B】この発明に係る積層パネルの第2実施形態の断面図である。
図2】この発明における枠材の斜視図である。
図3】上記枠材の拡大断面図である。
図4】この発明における積層パネル、嵌合部材、ねじ部材を示す分解断面図である。
図5】上記積層パネルに嵌合部材を取り付けた状態を示す断面図である。
図6】この発明に係る積層パネルの連結構造を示す拡大断面図(a)及び(a)のII部拡大断面図(b)である。
図7】この発明における嵌合部材を示す斜視図である。
図8】この発明に係る積層パネルの連結構造の別の実施形態を示す断面図である。
図9】この発明における治具を示す断面図である。
図10図9のIII-III線に沿う断面図である。
図11】この発明における治具の挿入部の正面図(a)、平面図(b)、底面図(c)、左側面図(d)及び右側面図(e)である。
図12】上記治具の取付前の状態を示す断面図のである。
図13】この発明に係る積層パネルの製造方法の第1実施形態における治具の取付状態を示す断面図である。
図14】上記第1実施形態の治具の締め付け状態を示す断面図である。
図15】この発明に係る積層パネルの製造方法の第2実施形態における治具の締め付け状態を示す断面図である。
図16】この発明に係る積層パネルの製造方法の第2実施形態の接着状態を示す断面図である。
図17】この発明に係る積層パネルの製造方法の第1実施形態を示すフローチャートである。
図18】この発明に係る積層パネルの製造方法の第2実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、この発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
この発明に係る積層パネル1は、図1Aに示すように、表裏一対の面材10と、両面材10の周囲間に配置(介在)される枠材20と、両面材10と枠材20とで形成された空間部内に充填される芯材30とを具備する。
【0033】
この場合、面材10は例えば鋼板にて形成され、枠材20は、アルミニウム製の押出形材にて形成され、芯材30は、例えばセラミック製のハニカムコア等の不燃材にて形成されている。なお、芯材30は、セラミック製のハニカムコア等の断熱材に限定されるものではなく、発泡ポリウレタン等の断熱性芯材30Aであってもよい(図1B参照)。
【0034】
上記枠材20は、図1A図1B図2及び図3に示すように、該枠材20の断面方向の表面側及び裏面側端部に、表裏面に対して鋭角な一対の突出部21が設けられており、突出部21の表裏面に隣接する部位に、面材10の周囲に折り曲げられた折曲片11が被覆されている。この場合、突出部21は、面材10の周囲に当接する水平片26の先端から表裏面すなわち水平片26に対して鋭角な傾斜片21aにて形成されている。なお、突出部21に折曲片11を被覆するには、後述する治具50が用いられる。
【0035】
また、枠材20の断面方向の中央には、嵌合部材40を挿入するための凹溝22が設けられている。この場合、凹溝22は、該凹溝22の底部に略矩形状の幅広部23を有すると共に、嵌合部材40が嵌合可能な狭隘開口部24を有する断面略T字状に形成されている。なお、凹溝22の底部には位置決め用の細溝23bが長手通しに形成されている。
【0036】
また、枠材20は、突出部21に連なる先端側の垂直片27の外面に、内部コーキング材61を保持するための一対の凸条25a,25bが突設されている。この場合、凸条25a,25bの一方25bは凹溝22の狭隘開口部24の開口縁に延在している。
なお、枠材20は、水平片26と凹溝22の幅広部23の側片23aとを連結片28にて連結して、先端側に中空部29が形成されている。
【0037】
上記嵌合部材40は、例えばポリ塩化ビニル等の合成樹脂製部材にて形成されている。この嵌合部材40は、図4図7に示すように、凹溝22の狭隘開口部24に嵌合可能な一対の嵌合突片41と、両嵌合突片41の一端を連結する連結片42とを有する断面略コ字状に形成されている。また、嵌合突片41の先端側外面に、円弧状に隆起する複数例えば2列の係合凸条43が突設されている。なお、連結片42の内面側中央には、断面略V字状の細溝44が長手方向に設けられている。
【0038】
上記のように形成される嵌合部材40は、ねじ部材45によって凹溝22の底部に固定される。この場合、ねじ部材45は、ドリルと同様な刃先を取り付けたテクスビスにて形成されている。
凹溝22内に嵌合部材40を取り付ける場合は、凹溝22内に嵌合部材40を挿入した状態で、ねじ部材45を細溝44の箇所から連結片42を貫通して芯材30に螺合して嵌合部材40を凹溝22の底部に固定する。この際、ねじ部材45を嵌合部材40の連結片42を貫通して芯材30に螺合するときに発生する切粉は、凹溝22の底部の幅広部23に排出されるので、切粉の影響を受けることなく、嵌合部材40の固定を確実にすることができる。
【0039】
枠材20の突出部21に面材10の折曲片11を被覆する治具50は、図9及び図10に示すように、枠材20に設けられた一対の突出部21に当接可能な治具本体51と、該治具本体51に横設された水平貫通孔52内に摺動及び回動可能に挿通される操作軸53の先端に固着される挿入部54と、を具備している。
【0040】
この場合、治具本体51は、断面略矩形状に形成されており、縦断面方向の上下部に突出部21に当接可能な第1の当接面51aが形成され、中央部に枠材20に設けられた凸条25a,25bに当接可能な第2の当接面51bが形成されている。また、水平貫通孔52は、当接面側と反対側の端部に大径孔52aを有する段付き孔にて形成されている。
操作軸53は、水平貫通孔52内に遊貫するねじ軸部53aと、ねじ軸部53aの基端側が水平貫通孔52の大径部52a内に摺動可能な大径軸部53bとからなり、ねじ軸部53aの先端に挿入部54が螺合された状態で固着されている。また、大径軸部53bの端部にはクランプレバー55が装着されている。
【0041】
挿入部54は、図11に示すように、凹溝22の狭隘開口部24に挿通可能であって、操作軸53の回動によって狭隘開口部24に係合可能な一対の係止片54aを有する略T字状に形成され、両係止片54aの治具本体側面には、回動方向に沿う傾斜部54bが設けられている。したがって、両係止片54aに設けられる傾斜部54bの傾斜面は対称になっている。この場合、傾斜部54bは、回動方向に沿って下り傾斜に形成される。
【0042】
上記のように構成される治具50を用いて枠材20の突出部21に面材10の折曲片11を被覆させる場合は、図12に示すように、折曲片11を突出部21に隣接する部位に近接させた仮組みの積層パネル1と治具50を平板2上に対向して載置する。そして、図13に示すように、治具本体51の第1の当接面51aを一対の突出部21に当接し、かつ、凸条25a,25bに第2の当接面51bを当接すると共に、挿入部54を凹溝22内に挿入する。この状態で、クランプレバー55によって操作軸53を回動させると、図14に示すように、挿入部54の両係止片54aの傾斜部54bが狭隘開口部24に係合して、面材10の折曲片11を突出部21と治具本体51とで挟圧する。このように治具50の締め付けによって面材10の折曲片11を突出部21と治具本体51とで挟圧するので、枠材20と面材10の位置ずれを無くした状態で枠材20の突出部21に面材10の折曲片11を被覆させることができる。
【0043】
上記のように構成される積層パネル1によれば、枠材20の表裏面側の端部に設けられた突出部21の表裏面に隣接する部位を面材10の折曲片11にて被覆して、積層パネル1の周辺端部を目立たなくすることができるので、積層パネル1の周辺端部の外観を良好にすることができると共に、積層パネル1の連結時の目地部を目立たなくすることができる。
【0044】
次に、この発明に係る積層パネルの連結構造について説明する。
積層パネル同士を連結する場合は、まず、連結される一方の積層パネル1の凹溝22内に嵌合部材40を挿入すると共に、嵌合部材40の連結片42を貫通して芯材30に螺合するねじ部材45にて嵌合部材40を凹溝22の底部に固定する(図5参照)。この状態で、嵌合部材40の嵌合突片41の先端部は一方の積層パネル1の外方に突出している。
【0045】
次に、両積層パネル1の枠材20の外面に突設された一対の凸条25a,25b間に、例えばシリコン系等の内部コーキング材61を保持させた状態で、両積層パネル1の面材10の折曲片11が被覆された一対の突出部21を接触させると共に、嵌合部材40の嵌合突片41を他方の積層パネル1の狭隘開口部24に嵌合して、両積層パネル1の面材10の折曲片11を双方の突出部21により挟圧した状態で、両積層パネル1の突出部間に形成される目地部の外部に、例えばシリコン系等のコーキング材60を充填する。
【0046】
上記のように構成される積層パネル同士の連結構造によれば、両積層パネル1の面材11が被覆された一対の突出部21を線接触させることができ、両積層パネル1の面材10の折曲片11を双方の突出部21により挟圧した状態で、両積層パネル1の突出部間に形成される目地部すなわち両積層パネル1の折曲片11の折曲部間に形成される隙間の外部にコーキング材60を充填することに加えて、枠材20の先端側外面に突設された一対の凸条間に内部コーキング材61を保持することができる。したがって、目地部を目立たなくして外観の向上を図ることができると共に、両積層パネル1の連結部の目地部を二重にシールすることができるので、気密性の向上が図れる。
【0047】
上記説明では積層パネル同士の連結構造について説明したが、図8に示すように、積層パネル1を幅木70に連結することも可能である。この場合、幅木70は、床部75に固定ねじ76によって固定される断面略U字状の下部レール71と、下部レール71の上部に摺動可能に嵌装される上部レール72と、を具備し、上部レール72は、下部レール71の内方に設置されるレベル調整金具73の調整ねじ74によって高さ調整可能に形成されると共に、上端部に、積層パネル1の枠材20に設けられた凹溝22の狭隘開口部24に嵌合可能な嵌合突部72aが設けられている。
【0048】
上記のように構成される幅木70の上部レール72に設けられた嵌合突部72aを積層パネル1の枠材20の凹溝22の狭隘開口部24に嵌合することによって、積層パネル1を幅木70上に連結することができる。
なお、上記説明では、積層パネル1と幅木70の連結構造について説明したが、枠材20の凹溝22の狭隘開口部24に嵌合する嵌合突部を有するものであれば、積層パネル1との連結は可能である。
【0049】
次に、この発明に係る積層パネルの製造方法について、図12図18を参照して説明する。
<第1の製造方法>
第1の製造方法は、ハニカムコアを芯材30とする積層パネル1を製造する場合である。
まず、内方面に接着剤{2液混合型のウレタン系もしくは2液混合型のエポキシ系}が塗布された面材10の折曲片11を枠材20の突出部21の表裏面に隣接する部位に近接させ、面材10と枠材20とで形成される空間内に芯材30を配置させる{仮組み工程:S-1}。
【0050】
枠材20の突出部21の外面に治具50を取り付け、治具50の締め付けによって、突出部21と治具50とで面材10の折曲片11を突出部21の表裏面に隣接する部位に挟圧する{治具取付・挟圧工程:S-2}。
枠材20の突出部21の外面に治具50を取り付けた状態は、図13に示すように、治具本体51が一対の突出部21に当接(具体的には、治具本体51の第1の当接面51aが一対の突出部21に当接、第2の当接面51bが凸条25a,25bに当接)されると共に、挿入部54が凹溝22内に挿入される。この状態で、クランプレバー55によって操作軸53を回動させると、図14に示すように、挿入部54の両係止片54aの傾斜部54bが狭隘開口部24に係合して、面材10の折曲片11を突出部21と治具本体51とで挟圧する。
【0051】
上記のように治具50の締め付けによって、突出部21と治具50とで面材10の折曲片11を突出部21の表裏面に隣接する部位に挟圧した状態で、両面材10に圧力を加えて両面材10、枠材20及び芯材30を接着する{接着工程:S-3}。
この接着工程において、加熱された両面材10に圧力を加えて両面材10、枠材20及び芯材30を接着してもよい。
【0052】
上記のようにして面材10、枠材20及び芯材30が接着された後、治具50を枠材20の突出部21の外面から取り外す{治具取り外し工程:S-4}。
なお、治具50を枠材20の突出部21の外面から取り外す場合は、治具50の取付操作と逆の操作を行えばよい。すなわち、図14に示す治具50の締め付け状態からクランプレバー55によって操作軸53を反対方向に回動させて、図13に示すように、挿入部54の両係止片54aの傾斜部54bと狭隘開口部24の係合を解除して、治具50を枠材20の突出部21の外面から取り外す。
【0053】
<第2の製造方法>
第2の製造方法は、発泡ポリウレタンを芯材30Aとする積層パネル1を製造する場合である。
まず、面材10の折曲片11を枠材20の突出部21の表裏面に隣接する部位に近接させる{仮組み工程:S-1A}。
【0054】
枠材20の突出部21の外面に治具50を取り付け、治具50の締め付けによって、突出部21と治具50とで面材10の折曲片11を突出部21の表裏面に隣接する部位に挟圧する{治具取付・挟圧工程:S-2A}。
枠材20の突出部21の外面に治具50を取り付けるには、第1の製造方法と同様に、図13に示すように、治具本体51を一対の突出部21に当接すると共に、挿入部54を凹溝22内に挿入する。この状態で、クランプレバー55によって操作軸53を回動させると、図14に示すように、挿入部54の両係止片54aの傾斜部54bが狭隘開口部24に係合して、面材10の折曲片11を突出部21と治具本体51とで挟圧する。
【0055】
上記のように治具50の締め付けによって、突出部21と治具50とで面材10の折曲片11を突出部21の表裏面に隣接する部位に挟圧した状態で、両面材10と枠材20とで形成される空間1a内に芯材30A(発泡ポリウレタン)を充填して、両面材10、枠材20及び芯材30Aを接着する{接着工程:S-3A}。
【0056】
上記のようにして面材10、枠材20及び芯材30が接着された後、治具50を枠材20の突出部21の外面から取り外す{治具取り外し工程:S-4A}。
なお、治具50を枠材20の突出部21の外面から取り外す場合は、第1の製造方法と同様にして行うので、説明は省略する。
【0057】
上記実施形態の積層パネルの製造方法によれば、枠材20に設けられた断面略T字状の凹溝22を利用して治具50を容易に取り付けることができると共に、治具50の締め付けにより、枠材20と面材10の位置ずれを無くした状態で、一対の面材10と枠材20及び芯材30,30Aを接着することができるので、外観と気密性を両立させた積層パネル1を容易に作製することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 積層パネル
10 面材
11 折曲片
20 枠材
21 突出部
22 凹溝
23 幅広部
24 狭隘開口部
25a,25b 凸条
30,30A 芯材
40 嵌合部材
41 嵌合突片
42 連結片
43 係合凸条
45 ねじ部材
50 治具
51 治具本体
52 水平貫通孔
53 操作軸
54 挿入部
54a 係止片
54b 傾斜部
60 コーキング材
61 内部コーキング材
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18