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  • 特許-コーティングされた内視鏡検査プローブ 図1A
  • 特許-コーティングされた内視鏡検査プローブ 図1B
  • 特許-コーティングされた内視鏡検査プローブ 図2
  • 特許-コーティングされた内視鏡検査プローブ 図3
  • 特許-コーティングされた内視鏡検査プローブ 図4
  • 特許-コーティングされた内視鏡検査プローブ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】コーティングされた内視鏡検査プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20220412BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20220412BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220412BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
A61B17/22 510
A61B1/018 515
A61B1/018 511
A61B1/00 717
A61B17/94
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018216610
(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2019093138
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】62/588277
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ベーカー,チャールズ アラン
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ラーフル
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-528815(JP,A)
【文献】国際公開第2016/205335(WO,A1)
【文献】特表2008-504848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
A61B 17/94
A61B 1/00
A61B 1/018
A61L 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸線に沿って延びる医療用プローブであって、
内面、
外面、
内視鏡機器に接続されるように適合された近位端部を含む近位部、及び
遠位先端部を含み、患者の体内に挿入するように適合された遠位部
を備えた医療用プローブにおいて、
遠位部の外面の少なくとも一部がダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生物のコーティングを有し、
少なくとも遠位先端部が、ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生物のコーティングを有する
ことを特徴とする医療用プローブ。
【請求項2】
前記コーティングが、硬化腫瘤との物理的接触から生じる遠位先端部の摩耗を低減する
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項3】
ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生物のコーティングが、1.0マイクロメーターから6.0マイクロメーターの厚みを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項4】
ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生物のコーティングが、2.0マイクロメーターから4.0マイクロメーターの厚みを有する
ことを特徴とする請求項3に記載の医療用プローブ。
【請求項5】
ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生物が、a-C:H:Siから成る
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項6】
請求項1に記載の医療用プローブを備えた内視鏡。
【請求項7】
前記コーティングが、硬化腫瘤との物理的接触から生じる遠位先端部の摩耗を低減する
ことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
【請求項8】
ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生物のコーティングが、1.0マイクロメーターから6.0マイクロメーターの厚みを有する
ことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
【請求項9】
ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生物のコーティングが、2.0マイクロメーターから4.0マイクロメーターの厚みを有する
ことを特徴とする請求項8に記載の内視鏡。
【請求項10】
ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生物が、a-C:H:Siから成る
ことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
【請求項11】
医療用プローブを備え、
該医療用プローブが長手方向軸線に沿って延び、
該医療用プローブが、
内面、
外面、
振動源に接続されるように適合された近位端部を含む近位部、及び
遠位先端部を含み、患者の体内に挿入するように適合された遠位部
を備えた内視鏡において、
内視鏡の内面の少なくとも一部がダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生物のコーティングを有し、
前記医療用プローブの遠位部の外面の少なくとも一部が、ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生物のコーティングを有し、
前記医療用プローブの少なくとも遠位先端部が、ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生物のコーティングを有する
ことを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して医療用プローブに関する。詳細には、本明細書で開示する医療用プローブは、非反射性コーティングでコーティングされている。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、少なくとも一つの外面を備え、該外面は、少なくとも部分的に、ダイヤモンド状カーボン(DLC)材料又はDLC材料の派生製品によってコーティングされている。このような材料でコーティングされた医療用プローブは、コーティングされた表面からの材料の損失に対して高い耐性を有する。プローブの作業先端部にコーティングを施すことは、また、摩耗を低減させて、プローブの作業寿命を延ばすことも知見された。加えて、コーティングが低い反射性を有するので、本発明に係るコーティングされたプローブを使用することにより、作業視野における可視性を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1A】内視鏡の側面図である。
図1B図1AにおけるA-A線に沿った内視鏡の横断面図である。
図2図1A及びBの内視鏡を斜め上方から見た図である。
図3図2における領域Cの拡大図である。
図4】医療用プローブの側面図である。
図5】医療用プローブを斜め上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本明細書で使用される内視鏡検査は、一般に、器械を体内に導入して内部疾患の可視化を可能にする医療処置を指す。内視鏡検査処置は、このような可視化に限定され得る一方で、多くの内視鏡検査処置は、特定の疾患の処置も提供する。
【0005】
本明細書で開示する医療用プローブは、主として、超音波砕石術を含む内視鏡処置の状況において使用される。しかし、該プローブは、そのプローブが物理的及び機能的に互換性を持ち、かつ、プローブの外面からの材料の損失の低減、プローブの作業先端の摩耗の低減及び/又はプローブの外面の低い反射性のプローブの利点が有利である任意の医療処置において使用することができる。
【0006】
本明細書で参照する「患者」は全て、人間の患者及び人間ではない患者の両方を含む。処理を実施する「オペレータ」は、処置の時に患者と同じ場所にいる人、処置の時に患者から離れた位置におり、医療機器を遠隔操作する人、及び人間の監視を伴って又は伴わずに自律的に処置を実行する人口知能又は他の高度なコンピュータシステムを含む。
【0007】
一般に、砕石術は、例えば、患者の膀胱、腎臓又は尿管である胆道系及び/又は泌尿器系にある硬化腫瘤のサイズを縮小する一連の処置を指す。本明細書で使用される用語「硬化腫瘤」は、生体の管及び腔に存在する胆石、腎臓結石及びシスチン結石のような、尿酸塩、シュウ酸塩及びリン酸塩の固体形成物を含むが、これに限定されるものではない。
【0008】
砕石術処理は、患者の身体の外表面に対してエネルギーを投射する非侵襲的処置である体外砕石術と、器具を患者の体内に導入し、器具を介して体内にエネルギーを伝達する体内砕石術とに大別され得る。
【0009】
体内砕石術は、例えばレーザーエネルギー、機械エネルギー、電気水圧エネルギー、又は電気インパルス破壊及び/又は振動エネルギー、特に超音波の形態で標的硬化腫瘤にエネルギーを向けることができる。
【0010】
超音波を用いて硬化腫瘤を破壊する体内砕石術は、単独であっても、他の形態のエネルギーとの組み合わせであっても、本明細書では「超音波体内砕石術」又は簡潔にするために単に「超音波砕石術」と称する。
【0011】
次の表は、内視鏡のタイプ、これらの内視鏡が可視化のために使用される体内領域、及び各タイプで実行される関連する処置の代表的な非限定的なリストである。
【表1】
【0012】
付加的なタイプの内視鏡処置としては、体内にエネルギーを伝達するために医療用プローブを使用して、最も一般的には、腎臓、膀胱、又は尿管における硬化腫瘤を破壊する砕石術がある。このような処置では、医療用プローブの一端がエネルギー源に接続される。作業先端部を含む反対側の端部は、作業先端部を硬化腫瘤に近接又は接触させるために、患者の体内に導入される。エネルギー源は、エネルギー源から医療プローブに沿って作業先端にエネルギーを伝達するために使用される。エネルギーは、硬化腫瘤を、吸引することができ、及び/又は患者によって自然に排出又は排泄され得る小片に粉砕するために使用される。
【0013】
ある特定のタイプの砕石術は、超音波砕石術である。超音波砕石術で使用される医療用プローブは、単一プローブであり得、この場合、プローブは、硬化腫瘤した断片を吸引するための内環を含む単一の細長い部材である。代わりに、医療用プローブは、一つ又は複数のチューブで囲まれた多重プローブであり得、通常インナープローブと同軸であり、少なくとも実質的に同径であり、かつ、外側チューブの内面と内側チューブの外面との間に空隙を有する。本明細書において、「チューブ」は、中空、即ち、環状である細長い構造体を意味するものとして使用され、従って、単一プローブは、チューブであり得る。周囲を囲むチューブ自体が、(超音波のような)医療用プローブであり得、この場合、内側及び外側プローブは、硬化腫瘤の粉砕及び除去能力を向上する能力を有する様々な周波数を使用して、同一又は異なる超音波周波数を送信するために使用される。代わりに、内側及び外側プローブは、超音波振動及び機械的衝撃のような様々なタイプのエネルギーを伝達するために使用されてもよい。
【0014】
超音波砕石術プローブは単一であり得、その場合、プローブは単一の細長片であり、硬化腫瘤の粉砕された断片を吸引するための内環を有し得る。また、プローブでは多重プローブであってもよい。多重超音波砕石術プローブの一実施例は、二重プローブである。
二重プローブの周囲を囲むチューブは、また、硬化腫瘤に、衝撃波のような機械的エネルギーを伝達するためにも使用され得、また、それ自身が他の周囲を囲むチューブ内に収容されていてもよい。加えて、超音波砕石術プローブは、自由質量によって与えられる衝撃波と組み合わせて使用され得る。超音波振動の使用を、音波振動と組み合わせることもできる。
【0015】
図1A~3を参照すると、内視鏡3の一実施例が開示されている。内視鏡3は、概して、第一端部20と第二端部25とを有する。挿入ロッド22は、遠位端35での、患者35の腔内領域への導入のために設けられている。医療用プローブ6が内視鏡本体22を貫通している。また、内視鏡接眼部7及び内視鏡光源接続部17も設けられている。接続部材9は、超音波トランスデューサのような内視鏡装置に接続するための第二端部に設けられている。
【0016】
図1B及び図3の横断面図及び拡大図に示すように、医療用、即ち、内視鏡プローブ6は、内視鏡本体22の外側に延びている。図1Bは、図1のA-A線に沿った内視鏡3の横断面図であり、内視鏡高原10及び内視鏡観察レンズ12を示しており、オペレータは、内視鏡を介して内視鏡観察レンズ12からの出力を受け取る。内視鏡プローブ6に沿った内視鏡器具及び洗浄ルーメン4並びに内視鏡プローブ及び吸引ルーメン5が、図1Bに示されている。
【0017】
図示実施例では、内視鏡プローブ6は、内視鏡本体22によって直接的に囲まれている。この構造は、内視鏡プローブ6の外面と、内視鏡本体22の内面との間に直接的な物理的接触をもたらし得る。特に、少なくとも超音波砕石システムの超音波トランスデューサによって内視鏡プローブ6を通して伝達される超音波振動の存在により、内視鏡プローブ6の外面と、内視鏡本体22の内面との間に物理的な相互作用が生じ、その結果、摩耗及び少なくとも内視鏡プローブ6の外面からの粒子の放出をもたらす。
【0018】
図4及び図5は、各々、医療用プローブ6の側面図及び斜め上方から見た図であり、接続部材9、医療用プローブのコーティングされていない部分30及び医療用プローブのコーティングされた部分32を示している。
【0019】
医療用プローブ6は、長手方向軸線にそって延びるプローブ本体30を含む。プローブ本体30は、外面32、近位部34及び先端部分36を有する遠位部35を含む。特に、近位部34は、内視鏡機器に接続するように適合された接続部材9を有する近位端部を含む。遠位部35は、患者の体内への挿入に適合されている。
【0020】
プローブ本体30は、内視鏡処置又は他の医療処置における使用に適し、かつ、ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生材料によってコーティングすることが可能な任意の材料で形成され得る。ステンレス鋼が、医療用プローブ本体に使用され得る。使用され得るステンレス鋼の一つの特に適したタイプは、グレード304ステンレス鋼であり得る。
【0021】
遠位部35の外面の少なくとも一部分が、以下により詳細に説明するように、ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生材料によってコーティングされている。医療用プローブ6は、また、図3に示すように、内面38を有し得る。少なくとも、医療用プローブ6の遠位先端部36は、ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生材料によってコーティングされ得る。実質的に、近位端部34を除く医療用プローブ本体30の外面全体が、ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生材料によってコーティングされ得る。内視鏡本体30が外面32及び内面38を有する幾つかの実施例では、内面の少なくとも一部がダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生材料によってコーティングされる。医療プローブ本体32は、グレード304ステンレス鋼のようなオーステナイト系ステンレス鋼で構成され得る。ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生材料のコーティングの厚みは、約1.0マイクロメートルから約6.0マイクロメートル、又は、約2.0マイクロメートルから約4.0マイクロメートルであり得る。ダイヤモンド状カーボン又はダイヤモンド状カーボン派生材料は、水素化アモルファスカーボン、金属、メタロイド、又はそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、a-C:H:Siを含むことができる。上述したように、医療用プローブは、上述したようなコーティングを含む超音波砕石プローブであり得る。超音波砕石装置は、プローブの近位端部に接続するように適合された超音波振動源を含む。
【0022】
医療用プローブをコーティングするために使用される材料は、硬質非晶質炭素からなり、ダイヤモンド状カーボン(DLC)の一般クラスに分類される。本開示の目的のために、DLCは、水素を含んでも含まなくてもよい無金属アモルファス炭素として定義される。これらのDLC材料は、「a-C」又は「a-C:H」の何れかであり得、ここで、「a」は「非晶質」であり、「a-C」は「非晶質炭素」であり、「a-C:H」は「水素含有非晶質炭素」である。
【0023】
特定の実施形態において、DLCには、金属又はメタロイドが組み合わされるか、又はドープされ得る。得られる材料は、本開示の目的のために、「Me」で表される金属又はメタロイド成分を有するDLCの派生物として定義される。従って、これらのDLC派生物は、一般的には「DLC-Me」又は「Me-DLC」と、より具体的には、非水素含有形態の場合は「Me-a-C」又は「a-C:Me」と、水素含有形態の場合は「Me-a-C:H」又は「a-C:H:Me」と指定され得る。
【0024】
「Me」が金属を表す場合、タングステンが一般的に使用され、その場合、「Me」ではなく、「W」の周期表記号によって表され得る。:例えば、タングステンを含有する非水素含有非晶質炭素からなるDLC派生物は、 「a-C:W」で表される。「Me」がメタロイドを表す場合、シリコンが一般的に使用され、得られたDLC派生物は、「Me」ではなく、「Si」の周期表記号によって表され得る。この場合、シリコンを含有する水素含有非晶質炭素は、「a-C:H:Si」と表示され得る。
【0025】
DLC及びDLC派生物材料は、スパッタリング、エンハンスドスパッタリング、イオンプレーティング及びアーク蒸発を含む物理蒸着法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、プラズマ補助又はプラズマ強化蒸着法(PACVD又はPAVD)とも称されるプラズマ化学気相成長法、又は、PVDとPACVD又はPAVDとの組み合わせ等の当該技術分野で周知の蒸着技術を用いて表面上にコーティングされ得る。
【0026】
コーティングされた医療用プローブを製造するために、プローブは、DLC又はDLC-Me材料で、約0.1マイクロメートルから約2.0マイクロメートルまで、又は約3.0マイクロメートルまで、又は約4.0マイクロメートルまで、又は約5.0マイクロメートルまで、又は約6.0マイクロメートルまでの厚さにコーティングされる。コーティングは、約2.0マイクロメートル~約4.0マイクロメートルの厚さであり得る。
【0027】
コーティング材料は、約2,000から、少なくとも約2,400まで、又は約2,500までの微小硬度(HV 0.05)と、約0.05又は約0.1から約0.2までの摩擦係数(鋼に対する乾燥摩擦)と、少なくとも約300℃の最大使用温度と、約180℃から約220℃までのコーティング温度と、濃灰色又は黒色のコーティングカラーとを有し得る。コーティング材料は、タイプa-C:H:SiのDLC-Me材料であり得る。このようなコーティング材料の一実施例は、Oerlikon Balzers(1475 E. Woodfield Rd。、Suite 201、Schaumburg、IL 60173、USA)から入手可能なBalinit(登録商標)Dylynコーティングである。
【0028】
医療用プローブ又はその一部をコーティングする方法は、前述したように、従来の蒸着技術を用いて行うことができる。コーティングする前に、例えば、医療用プローブを超音波洗浄によって洗浄し、次いで、イソプロピルアルコールで拭く等して、医療用プローブの表面を洗浄し、そうしなければ蒸着を妨害し得る汚染物質を除去する必要がある。
【0029】
医療用プローブ6の一部をコーティングせずに、コーティングされていない部分10及びびコーティングされた部分11を有する医療用プローブをもたらすことが望ましい場合がある。例えば、内視鏡検査機器に接続するように適合されたプローブ本体30の近位端34は、電気的、熱的、又はコーティングによって損なわれる他のエネルギーに対する伝導性を提供することができる。選択的に、使用のために内視鏡検査機器に接続するように適合された医療プローブの近位端34の接続又は組み立てには、溶接、ろう付け、又はコーティングの存在によって損なわれる可能性のある金属間結合を生じさせる同様の技術が必要とされる場合がある。従って、医療用プローブ6のコーティングされないことが望まれる部分10は、例えば、コーティングが行われる有効領域の外側に残すことによって、又は、コーティング工程中に物理的に遮断するか又はカバーすることによって、コーティングから除外され得る。コーティング工程は、例えば、コーティングが、医療用プローブの、コーティングがないままにすることが望まれる部分に到達しないような方法で、蒸着処理中に医療用プローブを保持する適切な固定具の使用することによって達成され得、コーティングされていない部分10及びコーティングされた部分11を有する医療プローブ6をもたらす。また、医療プローブ全体をコーティングした後に、医療用プローブの、その存在が望ましくない任意の部分からコーティングを除去してもよい。
【0030】
本開示によるコーティングされた医療プローブは、国際標準化機構のISO 10993「医療機器の生物学的評価」に適合し、エチレンオキシド消毒に適合することが分かっている。
【0031】
内視鏡処置において使用する場合、本明細書で開示したコーティングされた医療プローブは、コーティングのない同じプローブと比較して、応力に対するより高い耐性を示し、 プローブに沿って通過する内視鏡のエネルギーの影響によって生じるプローブの外面の材料損失による表面摩擦が少なく、かつ、内視鏡内面からの表面摩擦、その結果として生じる粒子又は他の材料損失が少ない。二重又は他の多重医療用プローブシステムの場合、本明細書で教示されるコーティングされた医療用プローブは、コーティングなしの同じプローブと比較して、内側プローブの外面と隣接する外側プローブの内面との間の物理的接触から受ける表面摩擦が低い。両方の場合において、内視鏡観察レンズ2を介して提供されるような医療処置の視野の明瞭さは、放出プローブ材料の発生率が低いために改善される。また、視界の明瞭さは、ステンレス鋼のような外表面材料がコーティングよりも高い反射率を有するコーティングされていないプローブと比較して、コーティングの低い反射率によって改善され得る。本明細書で教示した医療用プローブの作動遠位先端部36上のコーティングの存在は、内視鏡エネルギーによって生じる作動先端部における摩耗を低減し、及び/又は作動先端部の硬化腫瘤との物理的接触に起因する摩耗を低減して医療用プローブの効率及び/又は有効寿命を改善する
【0032】
内視鏡本体の内面42は、同様に、本明細書の教示に従ってDLC又はDLC-Me材料でコーティングされ得る。コーティングされた内面を有する内視鏡本体22は、限定するものではないが、コーティングされた内視鏡プローブ及びコーティングされた超音波砕石プローブを含む、任意の内視鏡プローブと組み合わせて使用され得る。使用される蒸着のタイプ及び使用される特定の蒸着工程パラメータは、コーティングされる内視鏡の物理的特性を考慮して選択され得る。前記物理的特性としては、例えば、それを構成する材料、その長さ、内面と外面との間の壁の厚さ、開口のサイズ及び形状(例えば、円筒形、楕円形、正方形、又は長方形の断面、及び、直線状、テーパー状、フレア状又は複合形状のその直線方向にそった形状)のような特性があり得る。非限定的な例として、内部コーティングを生成するために、プラズマエンハンスド化学気相成長法において、ワークピースの内面に電化を印加することができる。
【0033】
特定の実施形態を参照して医療用プローブを説明してきたが、当業者であれば、本発明の意図する範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であり、かつ、本発明の意図する範囲から逸脱することなく、等価物をその構成要素の代わりに使用し得ることは理解される。さらに、本発明の意図する範囲から逸脱することなく、これらの教示に特定の状況又は材料を適合させるために、多くの変更がなされ得る。
【0034】
従って、本発明の範囲は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲の範囲及び精神に含まれるすべての実施形態を含むことを意図している。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5