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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】薄型心臓弁システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019514728
(86)(22)【出願日】2017-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 CN2017114381
(87)【国際公開番号】W WO2018099484
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】62/429,680
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521334893
【氏名又は名称】シノメド カーディオヴィータ テクノロジー インク
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,ティエンジュ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ジエンシャン
(72)【発明者】
【氏名】モン,レイ
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0194983(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0351904(US,A1)
【文献】特表2014-532457(JP,A)
【文献】特表2015-506768(JP,A)
【文献】特表2015-509033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0310268(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓弁を血管内または経カテーテル的に交換するための薄型心臓弁システムであって、
チューブを含む送達システムと、
前記送達システムの前記チューブ内に配設された自己拡張式弁輪リングであり、
自己拡張式の係留クリップ構造、および、
それぞれが第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の端部が前記係留クリップ構造に連結された複数のブリッジ、
を含む、自己拡張式弁輪リングと、
前記送達システムの前記チューブ内に配設され、前記複数のブリッジの前記第2の端部に連結された交換心臓弁と、
を含み、
各ブリッジの前記第2の端部は、前記ブリッジが前記送達システムの前記チューブ内に配設されるときに、前記第1の端部より下方に位置し、各ブリッジは、記憶された形状を備えた形状記憶材料で形成され、前記ブリッジの前記記憶された形状は、前記ブリッジがその第1の端部から内向きおよび上向きに折り重なるものであり、また、前記ブリッジの前記第2の端部が前記第1の端部より上方に位置し、
前記係留クリップ構造は、
弁輪上部フランジと、
上側の端部で前記弁輪上部フランジに連結された弁輪支持ボディと、
前記弁輪支持ボディの下側の端部に連結された第1の係留特徴部端部を有する係留特徴部と、を含み、
各ブリッジの前記第1の端部は、前記弁輪支持ボディの前記下側の端部に連結される
薄型心臓弁システム。
【請求項2】
前記係留クリップ構造は、さらに、
前記弁輪上部フランジの上側の端部に接合された複数の弁輪上部フランジロックフープと、
前記係留特徴部の第2の係留特徴部端部に接合された複数の係留特徴部ロックフープと、を含む、
求項1に記載の薄型心臓弁システム。
【請求項3】
前記係留特徴部の第2の係留特徴部端部は、前記係留特徴部が前記送達システムの前記チューブ内に配設されるときに、前記第1の係留特徴部端部より下方に位置し、前記係留特徴部は、記憶された形状を備えた形状記憶材料で形成され、前記係留特徴部の前記記憶された形状は、前記係留特徴部が前記弁輪支持ボディの外側で当該第1の係留特徴部端部から上向きに、次いで、下向きに折り重なるものである、請求項1または2に記載の薄型心臓弁システム。
【請求項4】
前記交換心臓弁は、
前記複数のブリッジの前記第2の端部に連結された上側の端部を有する弁尖支持ボディと、
前記弁尖支持ボディに実装された複数の弁尖と、を含む、請求項1から3いずれか1項に記載の薄型心臓弁システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に患者の心臓弁を血管内または経カテーテル的に交換するための医療デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の心臓は、4つの心室と4つの弁を有する。心臓弁は、血液の流れの方向を制御する。完全に機能する心臓弁は、適切な血液の循環を心臓周期中に維持すること確実にする。心臓弁の逆流または漏洩は、先天的な破れた腱索、長くなった腱索、拡大した左心室、損傷した乳頭筋、感染による損傷した弁構造、変性の過程、弁尖の石灰化、弁輪の伸張、乳頭筋間の距離の増大などの疾患の原因により、心臓弁の弁尖が完全に接触(癒合)できないときに生じる。原因に関係なく、逆流は、心臓の機能に干渉し、それは血液が弁を通って誤った方向に流れ戻ることを許容してしまうからである。逆流の程度にもよるが、この逆流は、機能に対してだけではなく、心臓のジオメトリに対する自滅的な影響の場合がある。または、正常でない心臓のジオメトリは、逆流の原因になる場合もあり、2つの過程は、正常でない心臓の機能を加速するように「協働」することがある。心臓の逆流の直接の結果は、前進させる心拍出量の減少である。漏洩の激しさにもよるが、適切な血液の流れを人体の他の部分に圧送するための心臓の有効性が危うくなる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、標準的な心臓の弁の逆流処置の選択肢は、外科的な修復/処置および血管内クリッピングを含む。標準的な外科的な修復または交換の手順は、開心術や、心肺バイパスの使用、心臓の停止を要求する。標準的な外科的な修復または交換の手順は、出血、感染症、卒中、心臓発作、不整脈、腎不全、麻酔投薬に対する有害反応、突然死を含む合併リスクが著しい高い侵襲性の手術である。合併症は、多くの患者を外科的な処置から諦めさせるほど十分に著しい。
【0004】
結論として、患者の心臓の弁を血管内または経カテーテル的に交換するために、上述した問題を回避できる新規な医療デバイスおよび方法を提供することが大いに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、外傷性の外科手順を回避でき、代わりに、カテーテルを基礎にした弁交換処置のための低侵襲性の手順を通して埋め込むことのできる医療デバイスを提供するデバイスおよび方法を医者に提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、一般に患者の心臓弁を血管内または経カテーテル的に交換するための医療デバイスおよび方法に関する。デバイスは、30フレンチ(Fr)以下のエントリープロファイルを有する送達システムと、送達システム内に配設された自己拡張式弁輪リングと、送達システム内に配設された交換心臓弁と、を含む。自己拡張式弁輪リングは、自己拡張式の係留クリップ構造と、係留クリップ構造に連結された複数のブリッジと、を含む。交換心臓弁は、ブリッジに連結される。ブリッジは、形状記憶材料で形成され、展開中に、ブリッジは、自己拡張式の係留クリップ構造の内側で上向きに折り重なって、交換心臓弁を所定の位置に持ち上げる。本発明は、患者の心臓弁を血管内または経カテーテル的に交換する方法も含む。
【0007】
一態様において、本発明は、患者の心臓弁を血管内または経カテーテル的に交換するための薄型心臓弁システムを提供し、システムは、チューブを含む送達システムと、送達システムのチューブ内に配設された自己拡張式弁輪リングであり、自己拡張式の係留クリップ構造と、それぞれが第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部が係留クリップ構造に連結された、複数のブリッジと、を含む、自己拡張式弁輪リングと、送達システムのチューブ内に配設され、複数のブリッジの第2の端部に連結された交換心臓弁と、を含み、各ブリッジの第2の端部は、ブリッジが送達システムのチューブ内に配設されるときに、第1の端部より下方に位置し、各ブリッジは、記憶された形状を備えた形状記憶材料で形成され、ブリッジの記憶された形状は、ブリッジがその第1の端部から内向きおよび上向きに折り重なるものであり、また、ブリッジの第2の端部が第1の端部より上方に位置し、前記係留クリップ構造は、弁輪上部フランジと、上側の端部で前記弁輪上部フランジに連結された弁輪支持ボディと、前記弁輪支持ボディの下側の端部に連結された第1の係留特徴部端部を有する係留特徴部と、を含み、各ブリッジの前記第1の端部は、前記弁輪支持ボディの前記下側の端部に連結されるものである。
【0008】
いくつかの実施形態において、係留クリップ構造は、さらに、前記弁輪上部フランジの上側の端部に接合された複数の弁輪上部フランジロックフープと、前記係留特徴部の第2の係留特徴部端部に接合された複数の係留特徴部ロックフープと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、係留特徴部の第2の端部は、係留特徴部が送達システムのチューブ内に配設されるときに、第1の端部より下方に位置し、係留特徴部は、記憶された形状を備えた形状記憶材料で形成され、係留特徴部の記憶された形状は、係留特徴部が弁輪支持ボディの外側でその第1の端部から上向きに、次いで、下向きに折り重なるものである。
【0010】
いくつかの実施形態において、交換心臓弁は、複数のブリッジの第2の端部に連結された上側の端部を有する弁尖支持ボディと、弁尖支持ボディに実装された複数の弁尖と、を含む。
【0011】
他の態様において、本発明は、血管内または経カテーテル的に心臓弁を患者の心臓に配置するための方法を提供し、方法は、心臓弁システムを提供することであって、心臓弁システムは、チューブを有する送達システムと、チューブ内に配設された自己拡張式弁輪リングおよび交換心臓弁と、を含み、自己拡張式弁輪リングは、自己拡張式の係留クリップ構造と、それぞれのブリッジが第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部が係留クリップ構造に連結される、複数のブリッジと、を含み、各ブリッジの第2の端部は、ブリッジが送達システムのチューブ内に配設されるときに、第1の端部より下方に位置し、各ブリッジは、記憶された形状を備えた形状記憶材料で形成され、各ブリッジの記憶された形状は、ブリッジがその第1の端部から内向きおよび上向きに折り重なるものであり、また、ブリッジの第2の端部が第1の端部より上方に位置するものである、心臓弁システムを提供することと、心臓弁システムを患者の心臓の自生の弁の近くの場所まで挿入することと、交換心臓弁を解放せずに、ブリッジを含む自己拡張式の弁輪リングをチューブから解放することと、その後に交換心臓弁をチューブから解放することと、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、係留クリップ構造は、弁輪上部フランジと、その上側の端部で弁輪上部フランジに連結された弁輪支持ボディと、弁輪支持ボディの下側の端部に連結された第1の端部を有する係留特徴部と、弁輪上部フランジの上側の端部に接合された複数の弁輪上部フランジロックフープと、係留特徴部の第2の端部に接合された複数の係留特徴部ロックフープと、を含み、各ブリッジの第1の端部は、弁輪支持ボディの下側の端部に連結される。
【0013】
いくつかの実施形態において、係留クリップ構造内で、係留特徴部の第2の端部は、係留特徴部が送達システムのチューブ内に配設されるときに、第1の端部より下方に位置し、係留特徴部は、記憶された形状を備えた形状記憶材料で形成され、係留特徴部の記憶された形状は、係留特徴部が弁輪支持ボディの外側でその第1の端部から上向きに、次いで、下向きに折り重なるものである。
【0014】
いくつかの実施形態において、交換心臓弁は、複数のブリッジの第2の端部に連結された上側の端部を有する弁尖支持ボディと、弁尖支持ボディに実装された複数の弁尖と、を含む。
【0015】
本発明の上述および他の特徴ならびにそれらを得る方法は、より明らかになるであろうし、以下の説明を、添付する図面と併用して参照することによって最良に理解されるであろう。それらの図面は、本発明の典型的な実施形態を単に描くだけで、その範囲を限定しない。それらは、特異性および詳細を加えるのに役立っている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るデバイスおよびその機能の構成要素の例示的な構成を示す図である。
図2】全体的に自己拡張したデバイスの側面図である。
図3】デバイスおよびその機能構成要素の一部の別図である。
図4】展開中のデバイスの機能構成要素および自生の心臓弁構造の相対位置を示す断面図である。
図5】展開中のデバイスの機能構成要素および自生の心臓弁構造の相対位置を示す断面図である。
図6】展開中のデバイスの機能構成要素および自生の心臓弁構造の相対位置を示す断面図である。
図7】展開の第1のステップ後のデバイスの上面図である。
図8】展開の第1のステップ後のデバイスの側面図である。
図9】展開の第2のステップ後のデバイスの機能構成要素および自生の心臓弁構造の相対位置を示す断面図である。
図10】展開の第2のステップ後のデバイスの上面図である。
図11】展開の第2のステップ後のデバイスの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、一般に、血管内または経カテーテル的に患者の心臓弁を交換するための医療デバイスおよび方法に関する。
【0018】
本発明の一態様は、3つの部品、すなわち送達システム(9)と、自己拡張式弁輪リング(10)と、自己拡張式弁輪リング(10)に連結される交換心臓弁(11)と、を含む医療デバイスを提供する。図1図11に示すように、自己拡張式弁輪リング(10)は、弁輪上部フランジ(弁輪上部リング)(1)と、弁輪支持ボディ(2)と、係留特徴部(3)と、ブリッジ(4)と、弁輪上部フランジロックフープ(7)と、係留特徴部ロックフープ(8)と、を含む。交換心臓弁(11)は、弁尖支持ボディ(5)と、弁尖(6)とを含む。自己拡張式弁輪リング(10)は、心臓弁の位置決めおよびロック機能部として機能する。
【0019】
自己拡張式弁輪リング(10)および弁尖支持ボディ(5)は、ワイヤまたはチューブ材料で形成される。いくつかの実施形態では、単一の部片の超弾性または形状記憶チューブから製作され得る。弁尖(6)は、ポリマーまたは動物組織から作製され得る。
【0020】
送達システム(9)は、チューブを含む。展開前に、自己拡張式弁輪リング(10)および交換心臓弁(11)は、非拡張状態にあり、送達システム(9)のチューブの内部に格納される。
【0021】
完全な自己拡張状態のデバイスの形状について、図1図3および図9図11を参照して説明する。下記の説明において、デバイスの心房端部を「上部」、心室端部を「底部」と呼び、上方に、下方に、より上方、より下方、等々などの用語は、この意味で使用される。同じく、「外側」は、デバイスの回転軸から相対的により離れることを意味し、「内側」は、回転軸から相対的により近接することを意味する。理解すべきは、これらの用語が、相対的なもので、説明の便宜のためのみに用いられることである。
【0022】
拡張状態で、弁輪上部フランジ(1)、弁輪支持ボディ(2)、係留特徴部(3)、および弁尖支持ボディ(5)は、すべて、デバイスの中央開口の回りの概ね環状の形状を有する。弁輪上部フランジ(1)は、デバイスの上部に位置する。それは、径方向外向きで、回転軸に概ね垂直な方向に延び、次いで、上向きで内向きに曲がる。弁輪上部フランジロックフープ(7)は、弁輪上部フランジ(1)の上部に設けられ、送達システム(9)からの弁輪上部フランジ(1)の解放を制御するために使用される。
【0023】
弁輪支持ボディ(2)は、弁輪上部フランジ(1)の内側端部よりも下側でそれに連結され、また、軸方向に延びる。係留特徴部(3)は、弁輪支持ボディ(2)の底部に連結される。係留特徴部(3)は、弁輪支持ボディ(2)にそれが連結される端部から、弁輪支持ボディ(2)の外側で上向きに、次いで、下向きに折り重なる。係留特徴部ロックフープ(8)は、係留特徴部(3)の他端部(すなわち、弁輪支持ボディ(2)に連結されない端部)に設けられ、また、送達システム(9)からの係留特徴部(3)の解放を制御するために使用される。
【0024】
ブリッジ(4)は、それらの第1の端部で弁輪支持ボディ(2)の底部に連結され、弁輪支持ボディ(2)の内側で上向きに折り重なる。弁尖支持ボディ(5)は、その上部でブリッジ(4)の第2の端部(すなわち、弁輪支持ボディ(2)に連結されないブリッジ(4)の端部)に連結される。弁尖支持ボディ(5)は、弁輪支持ボディ(2)の内部に位置し、軸方向に延び、弁尖(6)は、デバイスの中央開口の弁尖支持ボディ(5)上に実装される。
【0025】
送達システム(9)の内部に格納される非拡張状態において、係留特徴部(3)およびブリッジ(4)は、弁輪支持ボディ(2)の底部にそれらが連結される端部から、上向きに折り重ねられない。むしろ、それらは、弁輪支持ボディ(2)より下方に配設され、弁尖支持ボディ(5)は、図4に示すように、ブリッジ(4)より下方に配設される。
【0026】
自己拡張式弁輪リング(10)および交換心臓弁(11)の展開(自己拡張)について、図4図11を参照して説明する。図4図6および図9は、デバイス、ならびに心臓の関連した解剖学的な特徴部の概略断面図である。図4図6および図9の鉛直方向の破線は、デバイスの回転軸を示し、デバイスの半分のみの回転軸の右について、それら図面に示している。
【0027】
デバイスの展開中での、第1のステップは、図4図6に示すように、送達システム(9)から自己拡張式弁輪リング(10)を解放することである。図4では、弁輪上部フランジ(1)および弁輪支持ボディ(2)の上側部分は、送達システム(9)から解放されている。図5では、係留特徴部ロックフープ(8)を除いた係留特徴部(3)、およびブリッジ(4)の一部が、同じく解放されている。図6では、係留特徴部ロックフープ(8)およびブリッジ(4)の大部分が、同じく解放されている。
【0028】
図4図6に示すように、弁輪上部フランジ(1)の水平方向に径方向に延びるフランジは、完全に拡張しているときに、自生の心臓弁の弁輪の上部に着座する構成とされている。係留特徴部(3)は、係留特徴部(3)が完全に解放されて弁輪支持ボディ(2)に連結されるところから上向きに折り重なる図6に示すように、自生の心臓弁の弁尖に係合またはそれを取り込むために有用である。解放後に、弁輪上部フランジ(1)、係留特徴部(3)、および弁輪支持ボディ(2)は、心臓弁の弁輪およびデバイス全体を支持するために、心臓弁の弁輪(図6参照)の直径まで自己拡張するであろう。弁輪上部フランジ(1)、弁輪支持ボディ(2)、および係留特徴部(3)は、協同的に係留クリップ構造を形成し、完全拡張時(例えば、図6参照)に、係留クリップ構造がデバイス全体を右心臓弁の弁輪位置に配置および固定するために「クリップ」として機能する構成とされている。
【0029】
図7図8も、図6に示す同じ状態、すなわち展開の第1のステップ後のデバイスを例示している。図7は上面図であり、図8は側面斜視図である。
【0030】
展開の第2のステップは、交換心臓弁(11)を送達システム(9)から解放することである。
【0031】
ブリッジ(4)および弁尖支持ボディ(5)の解放後に、超弾性または形状記憶材料から製作されるブリッジ(4)は、図9に示すように、弁輪支持ボディ(2)の底部に連結されるその第1の端部から内向きおよび上向きに折り重なることによって、その記憶された形状に戻るであろう。これは、ブリッジ(4)に、それら自体と弁尖支持ボディ(5)(ブリッジ(4)の第2の端部に連結されている)とを上方に持ち上げさせ、それら自体を弁輪支持ボディ(2)に係合させ、弁尖支持ボディ(5)を弁輪支持ボディ(2)の中央の内部に配置させる。ブリッジ(4)が完全に上向きに折り重なるため、弁尖支持ボディ(5)は、図9に示すように、拡張状態にある。言い換えると、弁尖支持ボディ(5)および弁尖(6)は、ブリッジ(4)の自己拡張により、自動的に位置決めされる。図10図11においても、図9に示す同じ状態、すなわち展開の第2のステップ後のデバイスを例示している。図10は上面図であり、図11は斜視図である。
【0032】
自己拡張式弁輪リング(10)および弁尖(6)を備えた弁尖支持ボディ(5)を別々に展開させることによって、デバイスのエントリープロファイルは、30Fr以下である場合(送達システムを含め)がある。
【0033】
上記の例は、例示する目的のためのみであり、本発明を限定することを決して意味しない。それらは、本発明の理解に役立つために与えられたのであり、理解すべきことは、本発明が、特定の材料や手順の例に限定されないことである。例は、単なる例示として、しかも限定としてではなく提供される。パラメータおよびデータは、本発明の実施形態の範囲を限定すると解釈すべきではない。
【0034】
本発明は、その本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の様式で具体化されることがある。説明した実施形態は、全ての点で単なる例示であって、限定であると考えるべきではない。したがって、本発明の範囲は、上述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲にて示される。特許請求の範囲と等価なものの意味および範囲の範囲内にある全ての変更は、それらの範囲内に包含されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11