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特許7057362液体に通して気体流を生成して処理するための設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】液体に通して気体流を生成して処理するための設備
(51)【国際特許分類】
   F28C 3/06 20060101AFI20220412BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20220412BHJP
   F24F 3/06 20060101ALI20220412BHJP
   F24F 3/12 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
F28C3/06
F24F6/00 B
F24F3/06
F24F3/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019535328
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2017083425
(87)【国際公開番号】W WO2018122027
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】1663416
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516175434
【氏名又は名称】スタルクラブ
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ゼムーリ, エム. ジャウアド
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-334259(JP,A)
【文献】特開2005-013789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0173031(US,A1)
【文献】国際公開第2016/071648(WO,A2)
【文献】特開2011-025226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28C 3/06
F24F 6/00
F24F 3/06
F24F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体流を生成して処理するための設備(1A;1B;1C;1D;1E)であって、前記設備が、液体浴(L)を含む液体の供給源(3)、及び少なくとも二つの処理装置(2)を含み、各々の処理装置(2)が交換閉鎖容器(20)を含み、各交換閉鎖容器(20)の底部(20d)が、少なくとも一つの液体取入開口(20e)を含み、各交換閉鎖容器(20)の底部(20d)は、各交換閉鎖容器(20)がその底部に液体浴(L)を含むように、前記供給源(3)に含まれる同じ液体浴(L)に沈められ、各交換閉鎖容器が、気体流を放出するための少なくとも一つの開口(20f)を含み、各処理装置(2)が、少なくとも一つの取入開口(21a)と少なくとも一つの放出開口(21b)を有する少なくとも一つの注入導管(21)を含み、前記設備が空気圧伝達手段(4)をさらに含み、空気圧伝達手段(4)が、交換閉鎖容器(20)の放出開口(20f)の全てに接続されるか、又は空気圧伝達手段(4)が、注入導管(21)の取入開口(21a)の全てに接続され、空気圧伝達手段(4)が、操作時に、吸引又は吹付によって、各処理装置(2)に対して同時にかつ並列して交換閉鎖容器(20)の外側から来る流入気体流(F)を作ることを可能とし、対応する処理装置(2)の各注入導管(21)が、各対応する流入気体流(F)を導入しかつ前記気体流を注入導管(21)の放出開口(21b)に通過させるように設計され、注入導管(21)の前記放出開口(21b)が、前記気体流を交換閉鎖容器(20)の底部に含まれる液体浴中に、前記液体浴の表面(S)の下に導入するように設計され、交換閉鎖容器が、前記液体浴との直接接触によって処理される流出気体流(F′)を交換閉鎖容器の内側で上昇させ、前記流出気体流を交換閉鎖容器(20)の放出開口(20f)に通過させることによって前記交換閉鎖容器(20)から外に前記流出気体流を放出するように設計され、交換閉鎖容器(20)、空気圧伝達手段(4)が作動しないとき、各交換閉鎖容器(20)の底部が全ての交換閉鎖容器(20)で同一の液体の高さ(Hinitial)でこの液体の初期体積(Vinitial)を含むように、液体の供給源(3)に含まれる液体浴(L)を介して互いに液圧的に連通していることを特徴とする設備。
【請求項2】
注入導管(21)の放出開口(21b)が全て、空気圧伝達手段(4)が作動しないときに各交換閉鎖容器(20)に含まれる液体の初期体積(Vinitial)の表面(S)に対して実質的に同じ深さで位置されていることを特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項3】
全ての交換閉鎖容器(20)における液体の初期体積(Vinitial)が同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
空気圧伝達手段(4)が、ファン又はコンプレッサー(40)を含み、それが、交換閉鎖容器(20)の全ての放出開口(20f)に接続されるか、又は注入導管(21)の全ての取入開口(21a)に接続されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の設備。
【請求項5】
各交換閉鎖容器(20)に含まれる液体の体積を通過することによって処理された複数の気体流(F′)を並列して生成するための請求項1~のいずれかに記載の設備の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の体積に通して気体流を生成及び処理することに関する。それは、様々な分野で適用可能であり、例えば網羅的でないが、気体流中の熱量の回収、特に熱空気流又は産業煙霧中の熱量の回収、前記液体の体積を通過すると加熱又は冷却される気体流の生成、温度が制御されかつ/又は絶対湿度が制御される気体流の生成、気体流の加湿又は除湿、気体流の浄化又は濾過、サイトもしくは産業、サービスセクター又は家屋の加熱又はエアコンディショニング、又はサイトもしくは産業、サービスセクター又は家屋の湿度測定の制御で適用可能である。
【背景技術】
【0002】
気体流と液体を直接接触するように配置して、液体と気体の間の熱交換によって気体流を処理、特に加熱又は冷却するための液体、例えば水の使用は、古い技術であり、それは、特に冷却剤のタイプの熱伝達液を使用することを避けるので環境に優しいという利点を有する。気体流、特に空気流の加熱又は冷却は、例えば制御された温度を有する気体流を生成することを意図されることができるか、及び/又は制御された絶対湿度を有する気体流を生成することを意図されることができる。
【0003】
この技術を実施するための第一の既知の解決策は、気体流を液体の微細な滴のカーテンを通すか、もしくは気体透過性であり液体を含有する交換表面、例えば水を吸収した繊維材料を通すか、もしくは湿潤したプレートに接触して気体流を循環させることにある。このタイプの解決策の主な欠点は、液体と気体流の間の熱交換の極めて低いエネルギー収率、及び得られることができる空気流速の低さにある。
【0004】
第二の既知の解決策は、気体流、特に空気流を、交換閉鎖容器に含まれる液体の体積に直接通すことにあり、それは、空気流を液体の体積中に前記液体の体積の表面の下に注入することによって行なう。このタイプの解決策は、例えば国際特許出願WO2006/138287及び米国特許US4697735(図3)に記載されている。このタイプの解決策はまた、国際特許出願WO2016/071648に記載されており、それは、底部が開放されておりかつ液体の体積中に沈められた交換閉鎖容器の使用を開示する。この第二の技術的解決策は、液体と気体流の間の熱交換のエネルギー収率を第一の技術的解決策においてより高くすることができる利点を持つ。
【0005】
この第二の技術的解決策を使用すると、所定の気体流速に対しては、気体流と液体の間の熱伝達の効率は、気体流が通っていく装置の交換閉鎖容器中の液体の体積に依存する。結果として、実際には、気体流速が大きいほど、熱伝達の効率を維持しなければならない水平面における横断面閉鎖容器領域が大きくなる。従って、例えば上述の国際特許出願WO2016/071648に記載されたタイプの装置を使用する場合、気体流速を高めるためには交換閉鎖容器の横断寸法の一つを増加しなければならず、それは、実際には装置の全体サイズの過剰な増加に導く。さらに、特に、ある気体流速を越えると、交換閉鎖容器中の液体の体積の増加は、特に交換閉鎖容器の壁における縁効果から起こる効率の損失のため、気体流が通る交換閉鎖容器中の液体の体積と気体流の間の熱伝達の効率が維持されることができないことを見出した。それゆえ、このタイプの装置は、気体流速に関して限定されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一つの目的は、液体に通過させることによって処理される気体流を高い流速で生成するための簡単で新規な技術的解決策を提供することである。
【0007】
従って、本発明は、気体流を生成して処理するための設備であって、以下の技術的特徴を有するものに関する。前記設備は、少なくとも二つの処理装置を含み、各々が底部に液体浴を含む交換閉鎖容器を含み、各交換閉鎖容器は、気体流を放出するための少なくとも一つの開口を含み、各処理装置は、少なくとも一つの取入開口と少なくとも一つの放出開口を有する少なくとも一つの注入導管を含み、前記設備は、空気圧伝達手段(aeraulic means)をさらに含み、空気圧伝達手段は、交換閉鎖容器の放出開口の全てに接続されるか、又は空気圧伝達手段は、注入導管の取入開口の全てに接続され、空気圧伝達手段は、操作時に、吸引又は吹付によって、各処理装置に対して同時にかつ並列して交換閉鎖容器の外側から来る流入気体流を作ることを可能とし、各流入気体流が、対応する処理装置の注入導管内に導入され、交換閉鎖容器の底部に含まれる液体浴中に、前記液体浴の表面の下に導入されることによって注入導管の放出開口を通過し、前記液体浴との直接接触によって処理される流出気体流は、交換閉鎖容器の内側で上昇し、交換閉鎖容器の放出開口に通過させることによって前記交換閉鎖容器から外に放出され、交換閉鎖容器は、空気圧伝達手段が作動しないとき、各交換閉鎖容器(20)が、全ての交換閉鎖容器で同一の液体の初期高さ(Hinitial)でその底部において液体の初期体積を含むように互いに液圧的に連通している。
【0008】
特に、しかし任意選択的に、本発明によれば、前記設備は、以下の追加の任意選択的な技術的特徴を単独で又は組み合わせて含むことができる:
- 注入導管の放出開口が全て、空気圧伝達手段が作動しないときに各交換閉鎖容器に含まれる液体の初期体積の表面に対して実質的に同じ深さで位置されている。
- (全ての交換閉鎖容器における液体の)初期体積が同一である。
- 空気圧伝達手段が、交換閉鎖容器の全ての放出開口に接続されるか又は注入導管の全ての取入開口に接続されたファン又はコンプレッサーを含む。
- 設備は、液体の供給源を含み、各交換閉鎖容器の底部が、少なくとも一つの液体取入開口を含み、空気圧伝達手段が作動しないとき、各交換閉鎖容器の底部が、全ての交換閉鎖容器で同一の液体の高さ(Hinitial)でこの液体の初期体積を含むように前記供給源に含まれる同じ液体浴(L)に沈められている。
【0009】
本発明の目的はまた、各交換閉鎖容器に含まれる液体の体積に通過させることによって処理された複数の気体流を並列に生成するために上述の設備を使用することである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明の幾つかの特定の実施形態の以下の詳細な記述を読むことから明らかになるだろう。その特定の実施形態は、本発明の限定されないかつ網羅的でない例である。
図1図1は、本発明による設備の等角図である。
図2図2は、図1の設備の処理装置の等角図である。
図3図3は、設備のファンが作動していないときの図1の垂直断面A-Aにおける図1の設備の横断面図である。
図4図4は、設備のファンが作動しているときの図1の垂直断面A-Aにおける図1の設備の横断面図である。
図5図5は、本発明の設備の第二実施形態の概略図である。
図6図6は、本発明の設備の第三実施形態の概略図である
図7図7は、設備の空気圧伝達手段が作動していないときの本発明の設備の第四実施形態の処理装置の概略断面図である。
図8図8は、設備の空気圧伝達手段が作動しているときの本発明の設備の第四実施形態の処理装置の概略断面図である。
図9図9は、本発明の設備の第四実施形態の三つの処理装置を示す概略断面図である。
図10図10は、設備の空気圧伝達手段が作動していないときの本発明の設備の第五実施形態の処理装置の概略断面図である。
図11図11は、設備の空気圧伝達手段が作動しているときの本発明の設備の第五実施形態の処理装置の概略断面図である。
図12図12は、本発明の設備の第五実施形態の三つの処理装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1の特定の実施形態を参照すると、気体流を生成して処理するための設備1Aは、上部を開放しかつ液体浴L、例えば水を含むように意図されたタブ3から形成された液体供給源と、各々が交換閉鎖容器20を含む三つの処理装置2とを含む。
【0012】
タブ3への液体、特に水の供給のために、設備1Aは、液体浴の上にタブ3中に開口する液体供給導管を有する液体供給手段(図1に示されず)をさらに含み、液体供給導管は、タブ3への液体の供給を制御するための供給弁を備えている。
【0013】
設備1Aは、タブ3に含まれる液体浴の表面の下でその底部にタブ3の内側と連通する放出導管を有する放出手段(図1に示されず)をさらに含み、放出導管は、タブ3から外への液体の放出を制御するための放出弁を備えている。
【0014】
図2を参照すると、各交換閉鎖容器20は、四つの側壁20aを有し、それらは、内室20cを規定するように上壁20bに接合され、内室20cは、この特定の例では四角形の水平断面を有する。水平断面の幾何学形状は、本発明にとって重要でない。別の変形例では、この水平断面は、いかなる形状であってもよく、例えば円形又は多角形であることができる。
【0015】
各交換閉鎖容器20の底部20dの下面は、開口しており、従って液体取入開口20eを形成する。各交換閉鎖容器20のこの底部20dは、例えばタブ3の底壁の上に置かれることによってタブ3中に配置され、従ってタブ3を十分な高さの液体で満たすことによって、各交換閉鎖容器20の底部20dは、タブ3に含まれる液体浴中に沈められ、各交換閉鎖容器20の沈められた部分は、初期体積Vinitialを有する液体浴を含有する。
【0016】
図に示された特定の例では、全体サイズを減少するために、交換閉鎖容器20は、互いに接近して配置される。別の変形例では、それらは、離れて設けてもよい。
【0017】
好ましくは、添付図面に示されるように、交換閉鎖容器20は、全て同一である。別の変形例では、それらは、異なってもよい。
【0018】
図2を参照すると、各交換閉鎖容器20は、その上壁20bにおいて気体流を放出するための少なくとも一つの開口20fを含む。各装置2は、交換閉鎖容器20の内側に少なくとも一つの垂直注入導管21を含む。この注入導管21は、上部において気体流の取入れのための開口21aを含み、下部において気体流を放出するための開口21bを含む。
【0019】
図1を参照すると、設備1Aは、ファン40を含む空気圧伝達手段4をさらに含む。このファン40の空気取入口40aは、パイプ41及びフード42によって全ての交換閉鎖容器20の全ての放出開口20fに接続されている。このファン40の空気出口40bは、外の空気に開口する。
【0020】
別の変形例では、ファン40の空気出口40bは、空気が別の設備における別の装置に送られるようにパイプに接続されることができる。
図1に示された実施形態では、ファン40は、遠心ファンである。本発明の文脈において、空気圧伝達手段4は、いかなる既知のタイプの気体コンプレッサーを含んでもよく、ファン40は、軸流ファン、ポンプなどであってもよい。
【0021】
さらに示された変形例では、全ての装置2に共通の単一ファン40が使用される。別の変形例では、複数のファン40が並列して使用されてもよく、例えば各処理装置2のために一つのファン40が使用されてもよい。
【0022】
空気圧伝達手段4が作動しないとき、タブ3は、処理装置2の交換閉鎖容器20の外側のタブ3中の液体の初期高さ(図3/液体高さHinitial)に相当する液体Lの初期体積を含む。交換閉鎖容器20は、それらの液体取入開口20e及びタブ3を介して互いに液圧的に連通しているので、各交換閉鎖容器20の沈められた底部は、各交換閉鎖容器20中の液体の初期高さHinitialが全ての交換閉鎖容器20において同一であり、かつ少なくとも注入導管21の放出開口21bが、交換閉鎖容器20中で液体表面Sの下に位置されることが十分であるような液体の初期体積Vinitialを含む。
【0023】
好ましくは、これらの液体の初期体積Vinitialはまた、全ての交換閉鎖容器20において同一である。
【0024】
好ましくは、図3に示されるように、注入導管21の放出開口21bは全て、空気圧伝達手段4が作動しないとき、各交換閉鎖容器20に含まれる液体の初期体積Vinitialの表面Sに対して同じ深さで位置される。
【0025】
ファン40が作動しているとき、各交換閉鎖容器20の内側は、同時に減圧される。ファン40が作動しているとき、各注入導管21の入口の圧力Pinは、交換閉鎖容器20における液体の体積より上の圧力Poutより大きい。各交換閉鎖容器20におけるこの圧力差ΔP(ΔP=Pin-Pout)(図4)は、各交換閉鎖容器20における液体の高さ(図4/高さh)の上昇、及び交換閉鎖容器20の外側のタブ3中の液体の高さ(図4/高さH)の減少をもたらす。
【0026】
各交換閉鎖容器20における液体Vの体積及び液体の高さhは、この圧力差ΔPに依存する。図4では、各交換閉鎖容器20における圧力差ΔPが同一であると考えられ、それは、液体の同一高さhをもたらす。本発明の文脈において、圧力差ΔPは、異なっていてもよく、それは、この場合において交換閉鎖容器20における液体の異なる高さhをもたらす。
【0027】
ファン40が作動しているとき、それは、各交換閉鎖容器20において並列にかつ同時に交換閉鎖容器20の外側から流入気体流F(図1)を吸引し、各流入気体流Fは、注入導管21の取入開口21aを通って対応する交換閉鎖容器20の注入導管21に入る。この特定の適用では、取入開口21aが外の空気に開口するので、各気体流Fは、交換閉鎖容器20の外側の環境における空気から来る空気の流れである。
【0028】
各交換閉鎖容器20について、この流入気体流F(未処理)は、注入導管21の沈められていない部分中に導入され、注入導管21の沈められた底部の放出開口21bを通過し、前記液体の体積の表面Sの下で閉鎖容器の沈められた底部に含まれる前記液体Vの体積中に導入される。交換閉鎖容器20に含まれる前記液体の体積と直接接触することによって処理された流出気体流F′は、注入導管21の外側の交換閉鎖容器20の内側で上昇し、閉鎖容器の放出開口20fを通過することによって前記交換閉鎖容器から外に放出される。
【0029】
これらの流出気体流F′は、ファン40によって吸引され、気体流F″の形で放出される(図1)。
【0030】
閉鎖容器20中の液体Vの体積の温度が液体の体積V中に導入する前の気体流Fの温度と異なるとき、顕熱及び潜熱によって気体と液体の間で熱交換が起こる。
【0031】
液体の体積の温度TLiquidが液体の体積中に導入する前の気体流Fの初期温度TInitialより低いとき、気体流F′が冷却される。特に、流出気体流F′の温度は、低下され、例えば液体の体積の温度TLiquidと実質的に等しくすることができる。その結果、装置1からの流出気体流F′が流入気体流Fに対して必ず除湿され、流出気体流F′における絶対湿度(空気の体積あたりの水の重量)が流入気体流Fの絶対湿度より必ず低くなる。
【0032】
逆に、液体の体積の温度TLiquidが初期温度TInitialより高いとき、流出気体流F′は、加熱され、例えば液体の体積の温度TLiquidに実質的に等しい温度であることができる。その結果、装置1からの流出気体流F′が流入気体流Fに対して必ず加湿され、流出気体流F′における絶対湿度(空気の体積あたりの水の重量)が流入気体流Fの絶対湿度より必ず高くなる。
【0033】
ある用途では、処理装置2は、流入気体流Fを液体の体積Vに通過させることによって流入気体流Fを濾過又は浄化するために使用されることができる。処理装置2はまた、流入気体流Fを液体の体積Vに通過させることによって移動された一種以上の成分を凝縮又は蒸発するために使用されることができる。用途によって、液体の体積の温度は、流入気体流Fの温度より高いか又は低くすることができ、又は流入気体流Fの温度に実質的に等しくすることができる。液体の体積の温度が流入気体流Fの温度に実質的に等しいとき、流出気体流F′は、加熱又は冷却されなかった装置1の出口で生成されるが、流入気体流Fと実質的に同じ温度である。
【0034】
本発明は、有利にはファン40の出口における流速で作動することが可能であり、その流速は、処理された気体流F′の品質に影響を与えずに、高くすることができ、例えば10000m/hより高く、より好ましくはある用途では100000m/hより高くすることができる。また、処理された気体流F′の品質に影響を与えずに、処理装置2の数を増加することによって処理された気体流の流速を高くすることも容易である。
【0035】
多くの用途では、圧力Pin又はPoutは、ある処理装置2と別のものとでは異なってもよく、かつ/又はある処理装置2と別のものとでは経時的に異なるように変動してもよいことに注目することが重要である。同じことは、気体流F及びF′の流速にも当てはまる。
【0036】
本発明では、空気圧伝達手段4が作動していないとき、交換閉鎖容器20における液体の高さHinitialは、全ての処理装置2に対して常に等しく、それは、特に温度及び湿度に関して実質的に同じ特性を有する流出気体流F′を交換閉鎖容器20の出口に存在させることが有利に可能である。対照的に、もし液体供給源Lが全ての処理装置に共通せず、むしろ各装置2が他のタブ3と液圧的に通じていないそれ自身の独立したタブ3を持つなら、この場合には、他の処理装置との比較によって処理装置2の少なくとも一つにおける圧力差Pin又は圧力差Poutの場合において、全ての閉鎖容器20において自動的に液体の同じ高さHinitialを維持しようとするために極めて複雑で信頼性のない制御を実施することが必要であるだろう。
【0037】
本発明は、液体Lとしての水の使用に限定されず、いずれの他のタイプの液体にも及ぶ。限定されない網羅的でない例によれば、雰囲気圧での凝固温度が例えば塩、炭水化物、グリコール又はアルコール添加剤を含有する水のように0℃より低い液体Lを特定の用途で使用することが有利でありうる。それはまた、液体Lとして油を使用することが有利でありうる。
【0038】
記載された変形例では、ファン40は、吸引によって気体流F及びF′を作ることを可能にする。別の変形例では、ファン40は、吸引によってではなく、吹付けることによってこれらの気体流F及びF′を作るように注入導管21の取入開口21aに接続されてもよい。
【0039】
図1の変形例では、タブ3は、上部で開放しており、交換閉鎖容器20の外側の液体の体積は、雰囲気圧にある。別の変形例では、タブ3は、気密態様で閉じられてもよい。
【0040】
図5は、設備1Bの別の構成の概略図であり、そこでは図1の変形例のように、交換閉鎖容器20は、同じタブ3を共有するが、接触していない。
【0041】
図6は、設備1Cの別の構成の概略図であり、そこではタブ3が二つのタブ部3a及び3bから形成され、それらは、パイプ3cによって互いに液圧的に連通し、従って空気圧伝達手段が作動していないとき、タブ3の二つの部分3a及び3bは、全ての交換閉鎖容器20において同一である各交換閉鎖容器20における液体の初期高さHinitialに相当する同じ高さの液体を含有する。
【0042】
図7~9は、本発明による設備1Dの別の実施形態の変形例を示し、それは、三つの処理装置2を含むが、図1~6の変形例と違って、タブ3を含まない。これらの図では、空気圧伝達手段は、示されず、前に記載されたものと同様に、これらの空気圧伝達手段は、ファン又はコンプレッサーを含み、その空気取入口は、全ての交換閉鎖容器20の放出開口20fに対して並列に接続される。
【0043】
図7を参照すると、この変形例では、各処理装置2は、注入導管21を含み、それは、交換閉鎖容器20の外側にある。この注入導管21は、設備1Dの交換閉鎖容器20の外側と連通する気体流の取入れのための開口21a、及び処理装置2の交換閉鎖容器20の内側と連通する気体流を放出するための開口21bを含む。
【0044】
図9を参照すると、この変形例では、交換閉鎖容器20は、交換閉鎖容器20の間の仕切壁20a中に形成された開口20gを通して互いに液圧的に連通している。
【0045】
交換閉鎖容器20への液体、特に水の供給のために、設備1Dは、供給導管11aを含む液体供給手段11をさらに含み、供給導管11は、交換閉鎖容器20の一つに開口し、供給導管11は、交換閉鎖容器20への液体の供給を制御するための供給弁11bを備えている。設備1Dは、放出導管12aを含む放出手段12をさらに含み、放出導管12aは、交換閉鎖容器20の一つの内側と、その底部で、閉鎖容器に含まれる液体浴の表面の下で連通しており、放出導管12aは、交換閉鎖容器20から外への液体の放出を制御するための放出弁12bを備えている。
【0046】
図7を参照すると、空気圧伝達手段が作動していないとき、交換閉鎖容器20は、開口20gを介して互いに液圧的に連通しているので、各交換閉鎖容器20の底部は、初期体積Vinitialの液体を含有し、それは、各交換閉鎖容器20における液体の初期高さHinitialが全ての交換閉鎖容器20において同一であり、少なくとも注入導管21の放出開口21bが交換閉鎖容器20における液体表面Sの下に位置されるために十分であるようなものである。
【0047】
空気圧伝達手段が作動しているとき、各交換閉鎖容器20の内側は、同時に減圧される。各注入導管21の入口における圧力Pinは、交換閉鎖容器20における液体の体積の上の圧力Poutより大きい。各交換閉鎖容器20におけるこの圧力差ΔP(ΔP=Pin-Pout)(図8)は、各交換閉鎖容器20における液体の高さ(図8/高さh)の上昇、及び交換閉鎖容器20の外側の各注入導管21における液体の高さ(図8/高さH)の減少をもたらす。
【0048】
作動中、各交換閉鎖容器20における圧力差ΔPが同一であるとき、各交換閉鎖容器20における液体の高さhは同一である。他方、もし作動中、圧力差ΔPが異なるなら、この場合には交換閉鎖容器20における液体の高さhは異なる。
【0049】
図10~12は、本発明による設備1Eの別の実施形態を示し、それは、三つの処理装置2を含む。これらの図では、空気圧伝達手段は、示されず、前に記載されたものと同様に、ファン又はコンプレッサーを含み、その空気取入口は、全ての交換閉鎖容器20の全ての放出開口20fに並列に接続される。
【0050】
図10を参照すると、この変形例では、各処理装置2は、注入導管21を含み、その一部は、交換閉鎖容器20の内側に位置され、注入導管21は、設備1Eの交換閉鎖容器20の外側と連通する空気取入開口21a、及び処理装置2の交換閉鎖容器20の内側と連通する空気放出開口21bを含む。
【0051】
図12を参照すると、この変形例では、交換閉鎖容器20は、離隔されており、導管20hによって互いに液圧的に連通している。
【0052】
本発明の設備は、気体流を液体の体積に通過させることによって気体流を処理するために有用である全ての用途において使用されることができる。従って、それは、様々な分野で適用可能であり、例えば網羅的でないが、気体流における熱量の回収、特に熱い空気流又は産業煙霧における熱量の回収、前記液体の体積に通過すると加熱又は冷却される気体流の生成、温度が制御されかつ/又は絶対湿度が制御される気体流の生成、気体流の加湿又は除湿、気体流の濾過又は浄化、サイト又は工業、サービスセクター又は家屋の加熱又はエアコンディショニング、又はサイト又は工業、サービスセクター又は家屋の湿度測定の制御で適用可能である。生成された気体流はまた、いかなるタイプの物体又は表面を冷却、加熱、加湿又は除湿するために使用されることができる。
図1
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図10
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図12