(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】コンパクト屈曲式カメラ
(51)【国際特許分類】
G03B 17/17 20210101AFI20220412BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20220412BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20220412BHJP
G03B 19/07 20210101ALI20220412BHJP
【FI】
G03B17/17
G02B7/02 Z
G02B7/04 E
G03B19/07
(21)【出願番号】P 2019537837
(86)(22)【出願日】2017-12-26
(86)【国際出願番号】 IB2017058403
(87)【国際公開番号】W WO2018130898
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2019-09-04
(32)【優先日】2017-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515347201
【氏名又は名称】コアフォトニクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ジェルビー,イタイ
(72)【発明者】
【氏名】イェディッド,イタイ
(72)【発明者】
【氏名】アビビ,ガル
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデンバーグ,エプライム
(72)【発明者】
【氏名】バチャール,ギル
(72)【発明者】
【氏名】シャブタイ,ガル
【審査官】齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146440(JP,A)
【文献】特開2010-237261(JP,A)
【文献】特開2003-304024(JP,A)
【文献】特開2005-122084(JP,A)
【文献】特開2013-120262(JP,A)
【文献】特開2008-271026(JP,A)
【文献】特開2009-038445(JP,A)
【文献】特開2015-132839(JP,A)
【文献】特開2004-133054(JP,A)
【文献】特開2010-204651(JP,A)
【文献】特開2016-057468(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101256345(CN,A)
【文献】特開2013-238848(JP,A)
【文献】特開2008-076485(JP,A)
【文献】特開2008-112072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
G03B 17/04 - 17/17
G03B 19/00 - 19/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)レンズ光軸を備え、光を第1の方向から実質的に前記レンズ光軸に沿った第2の方向に屈折させる光路屈折素子(OPFE)と撮像素子との間の光路内に配置された可動式のレンズと、
b)レンズキャリアと、前記レンズキャリアを部分的に取り囲むシールドとを含む、制御されたレンズ移動のためのアクチュエータと、を有し、
前記シールドと前記レンズキャリアとはそれぞれ、前記第1の方向に実質的に平行な挿入方向から前記シールドおよび前記レンズキャリア内への前記レンズの設置を可能にする位置に配置された、前記レンズの設置が可能な寸法の
上部開口部を有
し、
前記レンズキャリアの底部は底部開口部を含み、
前記底部開口部は、前記第2の方向において前記レンズの長さと等しい長さを有する、
屈曲式カメラ。
【請求項2】
前記レンズキャリアは、設置中に前記レンズを正しい位置に機械的に位置決めするためのV溝構造を有する、請求項1に記載の屈曲式カメラ。
【請求項3】
デュアルカメラに直立カメラと共に含まれる、請求項1に記載の屈曲式カメラ。
【請求項4】
前記屈曲式カメラは、前記レンズの高さに800μmを加えた高さを超えない高さを有する、請求項1に記載の屈曲式カメラ。
【請求項5】
前記屈曲式カメラは、前記レンズの高さに700μmを加えた高さを超えない高さを有する、請求項4に記載の屈曲式カメラ。
【請求項6】
前記屈曲式カメラは、前記レンズの高さに600μmを加えた高さを超えない高さを有する、請求項4に記載の屈曲式カメラ。
【請求項7】
デュアルカメラに直立カメラと共に含まれる、請求項4に記載の屈曲式カメラ。
【請求項8】
c)第1の蓋の厚さを有し、前記シールドを覆う蓋
を更に有し、
前記屈曲式カメラは、前記レンズの高さ、前記第1の蓋の厚さ、前記シールドの厚さ、前記蓋に面する前記レンズの表面上の第1の点の間の第1の空隙のサイズ、および、第1の点に正反対であり、前記シールドに面する前記レンズの表面上の第2の点の間の第2の空隙のサイズ、の合計値と実質的に等しいカメラの高さを有する
請求項1に記載の屈曲式カメラ。
【請求項9】
前記シールドの上部または底部の他方は、それぞれの第2の蓋の厚さを有する蓋によって覆われたそれぞれの第2の開口部を含み、前記第2の空隙は前記第2の点と前記第2の蓋との間にあり、前記第2の蓋の厚さが、前記シールドの厚さに置き換わる、
請求項8に記載の屈曲式カメラ。
【請求項10】
前記第1の空隙および前記第2の空隙の各々は、10~50μmの範囲である、請求項8に記載の屈曲式カメラ。
【請求項11】
前記第1の空隙および前記第2の空隙の各々は、10~100μmの範囲である、請求項8に記載の屈曲式カメラ。
【請求項12】
前記第1の空隙および前記第2の空隙の各々は、10~150μmの範囲である、請求項8に記載の屈曲式カメラ。
【請求項13】
前記レンズキャリアは、前記シールド内の正しい位置に前記レンズを機械的に位置決めするためのV溝構造を有する、
請求項8に記載の屈曲式カメラ。
【請求項14】
前記シールドの前記
上部開口部は、前記第1の方向に平行で、前記レンズの光軸に垂直な方向に、前記レンズを前記シールド内に挿入することを可能にするように寸法決めされる、
請求項8に記載の屈曲式カメラ。
【請求項15】
前記撮像素子は、前記蓋および前記シールドの反対側の表面に実質的に垂直である前記撮像素子の側面上に配置されたワイヤボンドによって、プリント回路基板にワイヤボンディングされる、
請求項8に記載の屈曲式カメラ。
【請求項16】
前記可動式のレンズは、焦点合わせのために可動である、請求項8に記載の屈曲式カメラ。
【請求項17】
前記可動式のレンズは、手振れ補正機能のために可動である、請求項8に記載の屈曲式カメラ。
【請求項18】
前記屈曲式カメラは、前記レンズの高さに600μmを加えた高さを超えない高さを有する、請求項8に記載の屈曲式カメラ。
【請求項19】
デュアルカメラに直立カメラと共に含まれる、請求項8に記載の屈曲式カメラ。
【請求項20】
前記撮像素子は、前記第1の方向に実質的に平行である前記撮像素子の側面上に配置されたワイヤボンドによって、プリント回路基板にワイヤボンディングされる、
請求項1に記載の屈曲式カメラ。
【請求項21】
デュアルカメラに直立カメラと共に含まれる、請求項20に記載の屈曲式カメラ。
【請求項22】
a)屈曲式カメラのためのアクチュエータであって、シールドおよびレンズキャリアを有するアクチュエータを提供するステップと、
b)レンズ光軸を有する、前記屈曲式カメラのレンズを、前記レンズ光軸に垂直な方向から前記シールドの
上部開口部および前記レンズキャリアの
上部開口部のそれぞれを通して前記アクチュエータに挿入するステップと、
c)第1の方向から到達する光を第2の方向に屈折させる光路屈折素子(OPFE)を前記アクチュエータに挿入するステップであって、前記シールドの上面は前記第1の方向からの光に面し、前記レンズ光軸は、前記第2の方向に実質的に平行であるステップと、
d)前記シールドの前記
上部開口部を蓋で覆うステップと、
e)前記屈曲式カメラの撮像素子を前記アクチュエータに取り付けるステップと、
を有
し、
前記レンズキャリアの底部は底部開口部を含み、
前記底部開口部は、前記レンズ光軸に沿った方向において前記レンズの長さと等しい長さを有する、屈曲式カメラを組み立てる方法。
【請求項23】
前記シールドの
上部開口部を前記蓋で覆うステップは、前記蓋を前記シールドに固定して取り付けるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記
上部開口部は前記シールドの上部の開口部であり、前記アクチュエータに前記OPFEを挿入するステップは、前記アクチュエータの上面から前記OPFEを挿入するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
a)屈曲式カメラのためのアクチュエータであって、シールドと、レンズキャリアと、バックベース部とフロントベース部とに分離されたベース部と、を有するアクチュエータを提供するステップと、
b)レンズ光軸を有する屈曲式カメラのレンズを、前記レンズ光軸に垂直な方向から前記シールドの
上部開口部および前記レンズキャリアの
上部開口部のそれぞれを通して前記アクチュエータに挿入するステップと、
c)第1の方向から到達する光を第2の方向に屈折させる光路屈折素子(OPFE)を前記アクチュエータの前記バックベース部に挿入するステップであって、前記シールドの上面は前記第1の方向からの光に面し、前記レンズ光軸は、前記第2の方向に実質的に平行であるステップと、
d)前記バックベース部を前記フロントベース部に取り付けるステップと、
e)前記シールドの前記
上部開口部を蓋で覆うステップと、
f)前記屈曲式カメラの撮像素子を前記アクチュエータに取り付けるステップと、
を有
し、
前記レンズキャリアの底部は底部開口部を含み、
前記底部開口部は、前記レンズ光軸に沿った方向において前記レンズの長さと等しい長さを有する、屈曲式カメラを組み立てる方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2017年1月12日に出願された米国仮特許出願第62/445,271号の利益を主張する。当該出願の全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本明細書に開示される実施形態は一般に、デジタルカメラに関し、特に、薄い屈曲式光学カメラに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、携帯電話(特にスマートフォン)、タブレット、およびラップトップなどのモバイル機器は、ユビキタスになってきている。これらの装置の多くは、1つまたは2つのコンパクトカメラを含む。このようなコンパクトカメラは例えば、メインの背面カメラ(すなわち、ユーザに面していない、装置の背面側のカメラであり、しばしばカジュアルな写真に使用されるカメラ)と、第2の正面カメラ(すなわち、装置の正面側に配置されたカメラであり、しばしばビデオ会議に使用されるカメラ)とを含む。
【0004】
本質的に比較的コンパクトであるが、これらのカメラの大部分の設計は、デジタルスチルカメラの従来の構造に類似している。すなわち、カメラは撮像素子の上に配置されたレンズアセンブリ(またはいくつかの光学素子の列)を備える。レンズアセンブリ(「レンズモジュール」または単に「レンズ」とも呼ばれる)は、入射光線を屈折させ、それらを曲げて、撮像素子上にシーンの画像を生成する。これらのカメラの寸法は、主として、撮像素子のサイズおよび光学系の高さによって決定される。これらは、通常、レンズの焦点距離(「f」)とその視野(FOV(field of view))にともに関連している。特定のサイズの撮像素子上に特定のFOVを結像しなければならないレンズは、特定の焦点距離を有する。FOVを一定に保つと、センサの寸法が大きくなるほど、焦点距離および光学系の高さが大きくなる。
【0005】
従来のカメラの組立プロセスは、典型的には、レンズ、センサーボードサブアセンブリ、およびアクチュエータのいくつかのサブアセンブリの取り扱いを含む。レンズは、典型的にはプラスチックで作られ、典型的にはプラスチックまたはガラスで作られた数個(3~7個)のレンズ要素を含む。センサーボードサブアセンブリは、典型的には、当技術分野で知られているように、撮像素子、プリント回路基板(PCB(printed circuit board))、およびカメラの動作に必要な電子機器を含む。アクチュエータはいくつかの目的のために使用される:(1)他の部品が取り付けられるカメラのシャーシとして機能し、(2)例えば焦点合わせ、特に自動焦点合わせ(AF)および/または手振れ補正機能(OIS)等の光学的必要性のためにレンズを移動させるために使用され、(3)カメラの他の部品の機械的保護のために使用される。既知の技術では、レンズはレンズ光軸に沿って一方の側からアクチュエータに挿入され、取り付けられる(例えば、接着される)。一方、センサ基板は光軸に沿って反対側からアクチュエータに取り付けられる(例えば、接着される)。
【0006】
近年、コンパクトカメラの高さを低減するために、「屈曲式カメラモジュール」が提案されている。屈曲式カメラモジュールでは、光の伝播方向をスマートフォンの背面に垂直な方向からスマートフォンの背面に平行な方向に傾斜させるために、光路屈折素子(optical path folding element。以下、「OPFE」と呼ぶ)が追加される。OPFEは、例えばプリズムまたはミラー(本明細書ではこれらを「反射素子」と総称する)である。屈曲式カメラモジュールがデュアルアパーチャカメラの一部である場合、これは、1つのレンズアセンブリ(例えば、Teleレンズ)を通る折り畳まれた光路を提供する。このようなカメラは、本明細書では「折り畳みレンズデュアルアパーチャカメラ」または「折り畳みレンズ付きデュアルアパーチャカメラ」と呼ばれる。一般に、屈曲式カメラモジュールは例えば、トリプルアパーチャカメラにおける2つの「非屈曲式」(直立)カメラモジュールと共に、マルチアパーチャカメラに含まれてもよい。
【0007】
屈曲式カメラモジュール(または単に「屈曲式カメラ」)の高さを小さくすることは、それを含むホストデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、スマートTV)を可能な限り薄くすることを可能にするために重要である。カメラの高さは、工業設計によって何度も制限される。対照的に、レンズ、センサ、およびOPFEの利用可能な高さを増加させることは、光学特性を改善し得る。したがって、レンズの高さがカメラの所与の高さに対して最大であり、および/または、撮像素子のアクティブ領域の高さがカメラの所与の高さに対して最大であり、および/または、OPFEの高さがカメラの所与の高さに対して最大である屈曲式カメラを有する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に開示される実施形態は、薄い屈曲式カメラに関する。
【0009】
様々な例示的な実施形態では、屈曲式カメラであって、光を第1の方向から第2の方向に屈折させる光路屈折素子(OPFE)と撮像素子との間の光路に配置され、第2の方向に平行なレンズ光軸と、第1の方向に実質的に平行なレンズ高さとを有する可動式のレンズと、レンズを部分的に取り囲み、シールド厚さを有し、アクチュエータの一部であるシールドであって、第1の方向に対して実質的に垂直な平面内にそれぞれの上面および底面を有する上部および底部を含み、シールドの上部または底部のうちの1つは、それぞれの開口部を有するシールドと、第1の蓋の厚さを有し、シールドの開口部を覆う蓋と、を有し、屈曲式カメラは、レンズの高さ、第1の蓋の厚さ、シールドの厚さ、蓋に面するレンズの表面上の第1の点の間の第1の空隙のサイズ、および、第1の点に正反対であり、シールドに面するレンズの表面上の第2の点の間の第2の空隙のサイズの合計値と実質的に等しいカメラの高さを有する屈曲式カメラが提供される。
【0010】
以下で使用されるように、「上部」および「底部」という用語は、特定の位置/方向を指す。「上部」は、撮影されたユーザの興味の対象(図示せず)に向かい合う側の、屈曲式カメラの側面または屈曲式カメラの構成要素を指す。「底部」は、撮影されたユーザの興味の対象に向かい合わない側の(反対側の)、屈曲式カメラの側面または屈曲式カメラの構成要素を指す。言い換えれば、「上部」および「底部」という用語は、軸112(以下の
図1Aを参照)に垂直な平面内に位置する部品/素子/構成要素の位置決めを指し、「上部」は写真撮影のための興味の対象により近い平面内にあり、「底部」は、写真撮影のための興味の対象から上部の平面よりも遠い平面内にある。
【0011】
例示的な実施形態では、シールドの上部または底部の他方は、それぞれの第2の蓋の厚さを有する蓋によって覆われたそれぞれの第2の開口部を含み、第2の空隙は第2の点と第2の蓋との間にあり、第2の蓋の厚さはシールドの厚さに置き換わる。
【0012】
例示的な実施形態では、各空隙は10~50μmの範囲である。例示的な実施形態では、各空隙は10~100μmの範囲である。例示的な実施形態では、各空隙は10~150μmの範囲である。
【0013】
例示的な実施形態では、屈曲式カメラは、レンズを保持するためのレンズキャリアをさらに有し、レンズキャリアは、レンズをシールド内の正しい位置に機械的に位置決めするためのV溝構造を有する。
【0014】
例示的な実施形態では、シールドの開口部は、第1の方向に平行であり、かつレンズ光軸に垂直な方向に、レンズをシールドに挿入することができるように寸法決めされる。
【0015】
例示的な実施形態では、撮像素子は、蓋およびシールドの反対側の表面に実質的に垂直な撮像素子の側面に配置されたワイヤボンドを用いてプリント回路基板にワイヤボンディングされる。
【0016】
例示的な実施形態では、可動式のレンズは、焦点合わせのために可動である。
【0017】
例示的な実施形態では、可動式のレンズは、手振れ補正機能のために可動である。
【0018】
様々な実施形態では、屈曲式カメラは、レンズ高さに800μmを加えた高さを超えない高さを有する。一実施形態では、屈曲式カメラは、レンズ高さに700μmを加えた高さを超えない高さを有する。一実施形態では、屈曲式カメラは、レンズ高さに600μmを加えた高さを超えない高さを有する。
【0019】
例示的な実施形態では、レンズ光軸を備え、光を第1の方向から実質的にレンズ光軸に沿った第2の方向に屈折させる光路屈折素子(OPFE)と撮像素子との間の光路内に配置された可動式のレンズと、レンズを部分的に取り囲むシールドであって、第1の方向に実質的に平行な挿入方向からシールド内へのレンズの設置を可能にする位置に配置された、レンズの設置が可能な寸法の開口部を有するシールドを含む、制御されたレンズ移動のためのアクチュエータと、を有する屈曲式カメラが提供される。
【0020】
例示的な実施形態では、屈曲式カメラは、レンズを保持するためのレンズキャリアをさらに備え、レンズキャリアは設置中にレンズを正しい位置に機械的に位置決めするためのV溝構造を有する。
【0021】
例示的な実施形態では、光路屈折素子と撮像素子との間の光路に配置されたレンズを備える屈曲式カメラが提供され、レンズはレンズ高さおよび光軸を有し、屈曲式カメラは、レンズ高さに600μmを加えた高さを超えない高さを有する。
【0022】
例示的な実施形態ではOPFEと撮像素子との間の光路に配置されたレンズを備える屈曲式カメラが提供され、OPFEは第1の方向から第2の方向に光を折り畳み、撮像素子は第1の方向に実質的に平行な撮像素子の側面に配置されたワイヤボンドでプリント回路基板にワイヤボンディングされる。
【0023】
様々な実施形態では、上記および以下に説明するような屈曲式カメラが直立カメラと共にデュアルカメラに含まれる。
【0024】
様々な例示的な実施形態では、屈曲式カメラのためのアクチュエータであって、シールドを有するアクチュエータを提供するステップと、レンズ光軸を有する、屈曲式カメラのレンズを、シールドの開口部を通してアクチュエータに挿入するステップと、第1の方向から到達する光を第2の方向に屈折させる光路屈折素子(OPFE)をアクチュエータに挿入するステップであって、シールドの上面は第1の方向からの光に面し、レンズ光軸は、第2の方向に実質的に平行であるステップと、シールドの開口部を蓋で覆うステップと、屈曲式カメラの撮像素子をアクチュエータに取り付けるステップと、を有する、屈曲式カメラを組み立てる方法が提供される。
【0025】
例示的な実施形態では、シールド開口部を蓋で覆うステップは、蓋をシールドに固定して取り付けるステップを含む。
【0026】
例示的な実施形態では、開口部はシールドの上部の開口部であり、OPFEをアクチュエータに挿入するステップは、OPFEをアクチュエータの上面から挿入するステップを含む。
【0027】
例示的な実施形態では、開口部はシールドの上部の開口部であり、OPFEをアクチュエータに挿入するステップは、OPFEをアクチュエータの底面から挿入するステップを含む。
【0028】
例示的な実施形態では、屈曲式カメラのためのアクチュエータであって、シールドと、バックベース部とフロントベース部とに分離されたベース部とを有するアクチュエータを提供するステップと、レンズ光軸を有する屈曲式カメラのレンズを、シールドの開口部を通してアクチュエータに挿入するステップと、第1の方向から到達する光を第2の方向に屈折させる光路屈折素子(OPFE)をアクチュエータのバックベース部に挿入するステップであって、シールドの上面は第1の方向からの光に面し、レンズ光軸は、第2の方向に実質的に平行であるステップと、バックベース部をフロントベース部に取り付けるステップと、シールドの開口部を蓋で覆うステップと、屈曲式カメラの撮像素子をアクチュエータに取り付けるステップと、を有する、屈曲式カメラを組み立てる方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本明細書に開示される実施形態の非限定的な例は、この段落の後に列挙される、本明細書に添付される図面を参照して、以下に記載される。複数の図に現れる同一の構造、素子、または部分は、それらが現れるすべての図において、概して同一の符号でラベル付けされる。図面および説明は、本明細書に開示された実施形態を明確にし、理解を容易にすることを意図しており、決して限定するものと考えるべきではない。
【
図1A】本明細書に開示される屈曲式カメラの例を示す図である。
【
図1B】いくつかの部品およびサブシステムまたはサブアセンブリに分離された、
図1Aの屈曲式カメラを示す図である。
【
図1C】レンズとOPFEのアクチュエータへの挿入方向が反対である、
図1Aの屈曲式カメラのアクチュエータの一実施形態を示す図である。
【
図1D】レンズとOPFEのアクチュエータへの挿入方向が同じである、
図1Aの屈曲式カメラのアクチュエータの別の実施形態を示す図である。
【
図2C】半径方向断面において、上部および底部の平坦なファセットを有する、
図1Aの屈曲式カメラのレンズの実施形態を示す図である。
【
図2D】半径方向断面において、上部および底部の平坦なファセットを有さない、
図1Aの屈曲式カメラのレンズの一実施形態を示す図である。
【
図3A】
図1Aの屈曲式カメラの撮像素子PCBのサブアセンブリを示す分解図である。
【
図3B】
図3Aの撮像素子PCBのサブアセンブリにおける、剛性センサPCBおよびワイヤボンドを有する撮像素子を示す図である。
【
図4A】
図1Aの屈曲式カメラのアクチュエータの分解図である。
【
図4B】
図1Aの屈曲式カメラの電子サブシステムを片側から示す図である。
【
図4C】別の側から見た
図1Aの屈曲式カメラの電子サブシステムを示す図である。
【
図4D】
図1Aの屈曲式カメラのアクチュエータの別の実施形態を示す図である。
【
図5A】
図1Aの切断A-Aに沿った完成した屈曲式カメラ一式の長手方向断面図である。
【
図5B】
図1Aの切断B-Bに沿った完成した屈曲式カメラ一式の半径方向断面図である。
【
図6】アクチュエータ用のドライバ集積回路の内部構造を示す図である。
【
図7】
図1Aのような屈曲式カメラおよび直立カメラを含むデュアルカメラの一例を概略的に示す図である。
【
図8A】例示的な実施形態において屈曲式カメラの組立におけるステップを概略的に示す図である。
【
図8B】別の例示的な実施形態において屈曲式カメラの組立におけるステップを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1Aは、屈曲式カメラ100の一実施形態を示す等角図である。図示の直交X-Y-Z座標(「軸」)システムは、以下のすべての図面にも適用される。この座標系は例示的なものである。
図1Bは、いくつかの部品およびサブシステムまたはサブアセンブリに分離されたカメラ100を示す。すなわち、カメラ100は、レンズアセンブリ(または単に「レンズ」)102、光路屈折素子(OPFE)104、撮像素子PCBサブアセンブリ106、アクチュエータ108、および上蓋110に分離される。上蓋110は、部分110aおよび部分110bを含み、後者は開口部110cを有する。いくつかの実施形態(
図1Aおよび
図1Bなど)では、部分110aおよび部分110bは、単一プレート(蓋110)の一部である。
【0031】
いくつかの実施形態(
図1Cおよび
図1Dなど)では、部分110aおよび部分110bは、蓋110とは別の部分である。OPFE104は、対象物(図示せず)から(例示的な座標系の)Y軸に平行な軸112に沿った光路を、(例示的な座標系の)Z軸に平行な軸114に沿った光路に折り畳む。軸114はレンズ102の光軸である。サブアセンブリ106に含まれる撮像素子116は、軸114と実質的に平行な平面法線を有する。すなわち、撮像素子116は、軸114に実質的に垂直な平面内にある。
図1Cは、レンズとOPFEのアクチュエータ108への挿入方向が反対であるカメラ100の一実施形態を示し、一方、
図1Dは、レンズとOPFEのアクチュエータ108への挿入方向が同じであるカメラ100の別の実施形態を示す。方向に関して本明細書で使用される場合、「実質的に」は、方向に対する正確な位置合わせ、または0.5度まで、1度まで、5度まで、またはさらには10度までの偏差を指すことができる。
【0032】
上蓋110は例えば、50-300μmの典型的な厚さを有する金属、例えば、非強磁性ステンレス鋼シートから作製される。上蓋110は、アクチュエータ108の組み立て後、およびアクチュエータ108にレンズ102およびOPFE104を取り付けた後、アクチュエータ108の上側に配置される。上蓋110は、設置中、OPFE104の上面に接近している(10~30μmの公称ギャップ)。開口部110cは物体から来る光がそれを通過し、OPFE104に到達するように設計される。
【0033】
【0034】
カメラ100の高さHは、Y軸(軸112の方向)に沿った、可撓性PCB304およびコネクタ306を除く、最下端から最上端までで規定される(以下の
図3B参照)。Hは、商業的用途における重要な性能指数である。したがって、所与のレンズサイズに対するHをできるだけ小さくすることが、主要な設計目標である。あるいは所与のHについてレンズサイズを最大化することが、主要な設計目標である。
【0035】
図2Aはレンズ102の等角図である。
図2Bはレンズ102の長手方向の断面図である。
図2Cおよび
図2Dはそれぞれ、レンズの表面の上下の外部に平坦なファセットを有するおよび有さない、レンズ102の半径方向の断面図である。レンズ102はいくつかのレンズ要素202a~d(一般に3~8つであり、
図2Aは例として4つを示す)を含み、各レンズ要素は例えば、プラスチックまたはガラス成形で作られる。レンズ要素202a~dは、例えばプラスチック成形で作られたレンズ鏡筒204内に保持される。レンズ高さ(または、円筒形レンズの場合には「外径」)206は、レンズ102の表面上の最下点206aからレンズ102の表面上の最上点206bまでのY軸に沿った(またはカメラ高さHと同じ方向の)距離として定義される。典型的には、点206a~bは、鏡筒204上に位置し、すなわち、レンズ102の高さは鏡筒204によって制限される。いくつかの実施形態では、レンズ要素202a~dのうちの少なくとも1つは、鏡筒204の外側に広がっていてもよい。そのような実施形態では、レンズ102の高さは、要素202a~dのうちの1つまたは複数によって、および/または鏡筒204によって制限され得る。レンズ102の光学的開口208は、当技術分野で知られているように、OPFE(104)側に向かうレンズ102の開口部の直径として定義される。光学的開口208は当技術分野で知られているように、レンズ102およびカメラ100の光学品質の多くの特性を決定する。レンズの設計は、レンズの高さに対して光学的開口208を最大にすることを目的とする。レンズ102は、典型的には光学的開口208よりも(典型的には600μm~2600μmだけ)大きい直径を有する一般的な円筒形状を有する。いくつかの実施形態では、2つの平坦なファセット210a~bが、レンズ高さ206を(典型的にはファセット当たり50~200μm、すなわち合計100~400μmだけ)低減するように、レンズ102の上面および底面の外面(エンベロープ)に設けられてもよい。そのような実施形態では、平坦なファセットが最下点206aおよび最上点206bと一致する。
図2Cおよび2Dの半径方向の断面は、平坦なファセットを有するレンズ(
図2C)、および平坦なファセットを有さないレンズ(
図2D)を示す。レンズ高さ(外径)の減少は、光学的開口208のサイズを変化させない。
【0036】
図3Aは、撮像素子PCBサブアセンブリ106を示す分解図である。サブアセンブリ106は、撮像素子116と、剛性センサPCB302と、可撓性PCB304と、コネクタ306と、ブラケット308と、IRフィルタ310とを含む。撮像素子116は、典型的には当技術分野で知られているようにシリコンで作られており、最初に機械的に取り付けられ(接着され)、次に剛性センサPCB302に電気的にワイヤボンディングされる。カメラの高さHを最小にし、撮像素子116の高さ(Y方向の寸法)を最大にするために、撮像素子116上のワイヤボンド312は、(X方向に沿った)その2つの側にのみ配置される。撮像素子116の側面のみにワイヤボンド312を配置することにより、以下に定義するように、剛性センサPCB302がカメラ高さHを超えないようにすることができる。したがって、Hを所与のPCBサイズに対して最小化することができ、あるいは、PCBサイズを所与のHに対して最大化することができる。
【0037】
図3Bは、ワイヤボンド312を有する剛性センサPCB302および撮像素子116を示す。剛性センサPCB302は4つの配線パッド314a~dをさらに含み、これらは、以下に説明するように、配線パッド452a~d(
図4C)に隣接して配置され、ICドライバ450(
図4B)に電気信号を送る。知られているように、剛性センサPCB302および可撓性PCB304は、剛性可撓性技術において1つのユニットとして作製されてもよい。剛性センサPCB302は、素子116および他の任意選択の電子部品(例えば、コンデンサ、抵抗器、記憶IC)(図示せず)の実装を可能にする剛性の機械的特性を有する。剛性センサPCB302は、いくつかの(典型的には2~6個の)金属(例えば、銅)層と、200μm以上の厚さとを有していてもよい。可撓性PCB304は、可撓性の機械的特性を有し、コネクタ306の位置がカメラ100の高さHを増加させないように曲げることができる。可撓性PCB304は、2つの銅層のみを有し、厚さは50~100μmであってもよい。剛性、可撓性、および剛性-可撓性PCBのためのこれらおよび他の製造上の考慮事項は、当技術分野で知られている。
【0038】
コネクタ306は当技術分野で知られているように、ボード・ツー・ボード・コネクタである。コネクタ306は、PCB304にはんだ付けされ、撮像素子116およびICドライバ450の動作に必要なデジタル信号を、カメラが設けられているホストデバイスから送受信することを可能にする。ホストデバイスは例えば、携帯電話、コンピュータ、TV、ドローン、スマートアイグラス等であってもよい。
【0039】
カメラ100は当技術分野で知られているように、焦点合わせまたは自動焦点合わせ(AF)の目的のために、レンズ102をその光軸114に沿って作動(移動)させる能力を有する。集束作動はアクチュエータ108を用いて行われ、これについては
図4A~
図4Cを参照してより詳細に説明する。
【0040】
図4Aは、アクチュエータ108の分解図である。アクチュエータ108は、作動サブアセンブリ402を含む。作動サブアセンブリ402は、典型的にはプラスチック製のレンズキャリア404と、作動磁石406と、感知磁石408とを含む。磁石406および408は例えば、ネオジム合金(例えば、Nd
2Fe
14B)またはサマリウム-コバルト合金(例えば、SmCo
5)から作製される永久磁石であり得る。磁石406は、磁極方向を変えるように製造(例えば、焼結)することができ、Zの正側ではN極はXの負方向に面し、Zの負側ではN極はXの正方向に面する。磁石408は、そのN磁極がZの負方向に面するように製造(例えば、焼結)することができる。磁石406および408は、側部(X方向)からレンズキャリア404に固定して取り付けられる(例えば、接着される)。他の実施形態では、磁石406および/または408は、底部(Yの負方向)からレンズキャリア404に取り付けられてもよい。磁石406および408の磁気機能を以下に説明する。
【0041】
レンズキャリア404は、内部容積内にレンズ102を収容する。レンズキャリア404は、上部開口部(またはギャップ)410a、底部開口部(またはギャップ)410b、前部開口部410c、および後部開口部410dを有する。上部開口部410aは、レンズ102が組立工程中に挿入される(すなわち、通過する)ことができるように作られる。開口部410aおよび/または410bは、レンズ102がレンズキャリア404の内側に位置するとき、レンズ102の最下点および/または最上点(例えば206a~b)と、それぞれ底蓋412および上蓋110との間に他の部分が存在しないように設計される。開口部410cおよび410dは、レンズキャリア404がOPFEから撮像素子に到来する光と干渉しないような寸法にされる。すなわち、開口部410cおよび410dは、(1)レンズキャリア404が存在しなかった場合にレンズ102を通って素子116に到達したであろうOPFEからの光線が、開口部410c~dを通過して素子116に到達するように、かつ、(2)レンズキャリア404が存在しなかった場合にレンズを通って素子116に到達しなかったであろうOPFEからの光線が、素子116に到達しないように、作られる。さらに、いくつかの実施形態では、作動サブアセンブリ402は、点206aより高い作動サブアセンブリ402上の点がなく、点206bより低い作動サブアセンブリ402上の点がないように設計されてもよい。この特徴は、カメラ100の高さHが、レンズの高さ206によってのみ制限されることを確実にする。
【0042】
アクチュエータ108は例えば、プラスチックまたは液晶ポリマーで作られたベース420をさらに含む。作動サブアセンブリ402は、正面バネ422および後部バネ424の2つのバネを使用して、ベース420上に懸架される。バネ422および424は、例えばステンレス鋼またはベリリウム銅から作ることができる。バネ422および424は、それらがZ軸に沿って直線レールを形成するように、すなわち、それらがZ軸に沿って低いバネ係数を有し、他の方向、すなわち、Y軸、X軸、並びに、X、Y、およびZ軸の周りの回転において高いバネ係数を有するように設計される。直線レールを形成するために2つのバネを使用することは、当該技術分野において知られているが、バネ422および424は、ベース420上のそれらのサスペンション点が一方(X軸の正)の側にあり、レンズキャリア404上のそれらのサスペンション点が他方(X軸の負)の側にあるように設計される。また、バネ422、424は、それぞれ開口した円形部を有している。バネの記載された設計は、以下の特性を可能にする:(1)所望の直線レール特性を達成する;(2)バネがOPFEから撮像素子に到来する光を遮断しないため、カメラ100の光学特性を犠牲にしない;(3)バネがOPFEまたはレンズ102から到達する光線を反射せず、光線がセンサに到達する;(4)バネ422および424のサスペンションのいずれも、Y軸に沿っておらず、それによって、サスペンションのためにさらなる高さは必要とされないか、または使用されない;(5)バネはカメラの落下に耐えることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、アクチュエータ108は、典型的には、100~300μmの典型的な厚さを有する、折り畳み式の非強磁性ステンレス鋼シートから作製されるシールド430を一体的にさらに含む。他の実施形態では、カメラ100は、組み立てのある段階でカメラ100および/またはアクチュエータ108に固定して取り付けられるシールド430と同様のシールドを含むことができる。シールドがアクチュエータと一体であるか、またはアクチュエータに固定して取り付けられた別個の部品であるかにかかわらず、本明細書の説明は、シールドがアクチュエータの「一部」であることを指す。シールド430は、ベース420および作動サブアセンブリ402を4つの側で取り囲む(
図1Bも参照)。シールドのいくつかの部分が開口部を有してもよく、他の部分が開口部を有さなくてもよい。例えば、シールドの上部の開口部431は、アクチュエータ108にレンズ102を設置することを可能にする。いくつかの実施態様において、上蓋110および底蓋412は、(レンズに加えて)カメラの高さHに追加する唯一の部分である。いくつかの実施態様において(
図4Aに示すように)、底蓋412はシールド430の一部であり、他の実施態様において、底蓋412は、シールド430から分離することができる。いくつかの実施形態では、シールド430は、上述の範囲内で様々な厚さを有することができるが、底蓋412の厚さは50~200μmの範囲内に保たれる。
【0044】
カメラ100では、OPFE104は、ベース420のバック部432(負のZ)に配置される。
図4Dは、108’と番号付けされた、本明細書に開示されたアクチュエータの別の実施形態を示す。アクチュエータ108’では、ベース420は、2つの部分、すなわち、ベースバック部432とベースバックフロント部433とに分離されている。アクチュエータ108’では、OPFE104がベースバック部432に取り付けられ、次に、ベースバック部432がアクチュエータ108’の他の部分に取り付けられる(例えば、接着される)。
【0045】
アクチュエータ108は、電子サブシステム440をさらに含む。
図4Bは、一方の側からの電子サブシステム440を示し、
図4Cは、他方の側からの電子サブシステム440を示す。電子サブシステム440は、アクチュエータPCB442と、コイル444と、ドライバ集積回路(IC)450とを含む。コイル444およびIC450はアクチュエータPCB442にはんだ付けされ、これによりコイル444がIC450に電気的に接続され、IC450がアクチュエータPCB442上の4つの配線パッド452a~dに接続される。配線パッド452a~452dは、電子信号をIC450に送るために使用される。4つの電気信号は、典型的には当技術分野で知られているように、動作電圧(Vdd)、接地(Gnd)、およびIICプロトコルに使用される2つの信号(信号クロック(SCL)および信号データ(SDA))を含む。他の実施形態では、当技術分野で知られているSPIプロトコルなど、他のプロトコルを使用することができ、または、IC450が動作するのに2つ以上の動作電圧を必要とする場合があり、そのような場合には、4より多いまたは少ない配線パッド、たとえば2~8の範囲があり得る。アクチュエータPCB442は、コイル442およびIC450がベース420の穴420aを通過し、コイル444が磁石406の隣に配置され、IC450が磁石408の隣に配置されるように、外側からベース420に接着される。コイル444から磁石406まで、およびIC450から磁石408までの典型的な距離は、50~200μmの範囲である。この距離は、作動サブアセンブリ402が干渉なしにZ軸に沿って移動することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ108は、当技術分野で知られているように、開ループ制御方法で動作することができ、すなわち、電流信号が位置制御機構なしでコイルに送信される。
【0046】
コイル444は、典型的には数十の巻線(例えば、50~250の非限定的な範囲内)を備え、典型的な抵抗が10~30オームであり、例示的なスタジアム形状を有する。コイル444は、IC450に固定的に接続され、コイル444に入力電流を送ることができる。コイル444内の電流は、磁石406の磁界によるローレンツ力を生成し、例示的な時計回り方向の電流は、正のZ方向の力を生成し、反時計回り方向の電流は、負のZ方向の力を生成する。完全な磁気スキーム(例えば、固定磁石406の磁極方向)は当技術分野で知られており、例えば、特許出願PCT/IB2016/052179に詳細に記載されている。
【0047】
図5Aおよび5Bはそれぞれ、切断A-AおよびB-B(
図1A)に沿った完全なカメラ100の断面を示す。切断A-AおよびB-Bはそれぞれ、Y-ZおよびX-Y平面にある。
図5Bの断面図に示すように、レンズキャリア404は、その底部にV溝504をさらに含むことができる。V溝504により、活性位置合わせ(以下を参照)を必要とすることなく、上部開口部410aから挿入することによるレンズ102のピックアンドプレースが可能になる。
【0048】
図5Aおよび
図5Bに示す実施形態では、カメラ100の高さHは、レンズ102の高さ+底蓋412の厚さ+上蓋110の厚さ+2つの空隙510aおよび510bに等しい。空隙510a~bは、作動中に干渉することなくレンズ102の運動を可能にするような寸法である。レンズ102の動きは、Z軸に沿った焦点合わせ(特に自動焦点合わせ)のため、および/またはX方向に沿ったOISのためであり、AFおよびOISの両方のための作動モードは、当技術分野で知られている。例えば、いくつかの実施形態では、各空隙510aまたは510bは、約10μmより大きくてもよく、例えば、10~50μm、10~100μm、または10~150μmの範囲であってもよい。したがって、カメラ100の構造は、カメラ100の全高に対するレンズ102の寄与を最大にする。他の実施形態では、OPFEまたはHよりもわずかに大きい高さ寸法を有する撮像素子のために、カメラの高さは、Hをわずかに(例えば300μmまで)超えることがある。要約すると、カメラ100では、高さHは、レンズ102の高さ206に約600μmを加えた高さ以下である。この説明では、高さまたは別の寸法に関して「約」または「実質的に」または「ほぼ」という用語の使用は、いくつかの実施形態では、高さまたは寸法の正確な値を意味する。他の実施形態では、これらの用語は、正確な値に加えて値の最大1%の変動、正確な値に加えて最大5%の変動、またさらには、正確な値に加えて最大10%の変動を意味する。
【0049】
図6は、IC450の内部構造を示す。IC450は、電流駆動回路602、例えばHブリッジ、位置(例えば、PID)コントローラ604、アナログ-デジタル変換器(A2D)606、ホールバー素子608、およびユーザインターフェース610を含む。作動すると、作動サブアセンブリ402とホールバー素子608との相対位置が変化する。ホールバー素子608によって感知される磁界の強度および方向も変化する。ホール素子608の出力電圧は、磁界強度に比例する。A2D606は、電圧レベルを、位置コントローラ604に入力されるデジタル数に変換する。位置コントローラ604は作動されるサブアセンブリの位置を制御し、ユーザインターフェース610においてユーザによって与えられる位置コマンドに設定するために使用される。制御回路の出力は、コイル444に印加される電流の量である。完全な磁気スキーム(例えば、固定磁石408の磁極方向)は当技術分野で知られており、例えば、PCT特許出願PCT/IB2016/052179に詳細に記載されている。
【0050】
本明細書で提供されるアクチュエータ108の説明は一例に過ぎない。他の実施形態では、アクチュエータが異なる案内機構(例えば、共有に係る特許出願PCT/IB2017/054088に開示されているようなボール案内アクチュエータ)を有していてもよく、より多くの作動方向(例えば、PCT/IB2017/054088に開示されているようなAFおよびOISを含むアクチュエータ)を含んでいてもよく、異なる磁気スキーム(例えば、共有に係る米国特許第9,448,382号に開示されているような磁気抵抗磁気スキームを有するアクチュエータ)を有していてもよい。このようなすべての場合において、アクチュエータはカメラ100の以下の特性のいくつかまたはすべてが保たれるように、寸法決め/作製/設計されてもよい:(1)高さHは、レンズ102の高さ206より上で約600μm以下である;(2)高さHは、レンズ高さ(206)、第1の蓋厚さ、シールド厚さ、蓋に面するレンズの表面上の第1の点の間の第1の空隙のサイズ、および、第1の点に正反対のシールドに面する側のレンズの表面上の第2の点の間の第2の空隙のサイズ、の合計に実質的に等しい;(3)点206aより上の作動サブアセンブリ402上に点がなく、点206bより下の作動サブアセンブリ402上に点がない。
【0051】
図7は例えば、カメラ100のようなカメラと、当技術分野で知られている直立カメラ702とを含むデュアルカメラ700を示す。デュアルカメラの動作は例えば、共有に係る特許出願PCT/IB2015/056004およびPCT/IB2016/052179に記載されているように、当技術分野で知られている。カメラ702は、OPFE104の近くでカメラ100に固定的に取り付けられている。実施形態700ではカメラ702の位置が屈曲式カメラ100のZの負側であり、機械的取り付けは通常はステンレス鋼から作られたブラケット704を使用して行われる。他の実施形態では、カメラ702は、例えばPCT/IB2016/052179に記載されているように、カメラ100のXの負または正側に配置することができる。他の実施形態では、カメラ702は、ブラケット704以外の他の方法および手段によってカメラ100に取り付けられてもよい。
【0052】
屈曲式カメラ組立工程例
一実施形態では、
図8Aを参照して説明される屈曲式カメラのための例示的な組立工程(方法)は、当技術分野で知られているアクチュエータ108などのアクチュエータの組立の後に、以下を含むことができる:
ステップ1:レンズ102をアクチュエータ108に挿入し、例えばピックアンドプレース法を用いて上部(Y方向、光軸114に垂直)からレンズキャリア404に取り付ける。これは、アクチュエータ108のシールド430に残された上部開口部431と、アクチュエータ108のレンズキャリア404に残された開口部410aと、レンズキャリア404およびベース420の機械的構造とによって達成される。レンズ102を挿入するとき、空隙510bは、レンズ102の下およびシールド430の上に形成される。
【0053】
ステップ2:例えばピックアンドプレース法を用いて、上部(Y方向、光軸114に垂直)からアクチュエータ108のベース420にOPFE104を挿入する。これは、ベース420の機械的構造のために達成することができる。
【0054】
ステップ3:上蓋110をシールド430の上面にしっかりと取り付ける。上蓋110を固定するとき、空隙510aは、レンズ102の上および蓋110の下に形成される。
【0055】
ステップ4:撮像素子PCBサブアセンブリ106を設置する。素子116は2つの任意選択の方法、すなわち、(1)アクティブアライメントプロセス、または(2)機械的アライメントプロセスを使用して設置することができる。2つのアライメントプロセスは当技術分野で知られているように、異なる精度で光軸114に垂直に撮像素子を設定することを可能にする。
【0056】
上記のステップ1および3のそれぞれにおける空隙510a、510bの生成は、カメラ100の他の部分に対するレンズ102の動きを可能にする。
【0057】
上記の組立工程(ステップ1-4)は、
図1Bおよび
図5Bのような屈曲式カメラに関連する。いくつかの他の実施形態では例えば、
図1Cおよび
図1Dのように、組立工程は、一方の側からのOPFEの挿入、および反対側からのレンズの挿入を含み得る。さらに他の実施形態では、レンズの挿入は、上方の上部開口部とは反対側のシールドの底面の底部開口部(図示せず)を通ってもよく、また、底部開口部は、底部シールド蓋(図示せず)によってさらに覆われる。底部開口部は、上蓋と同じまたは同様の厚さを有していてもよい。
【0058】
ベースが2つの部分に分離されているアクチュエータ108’のようなアクチュエータを有するさらに他の実施形態では、OPFE104は、ベースバック部432に他の方向(上部または前部)から設置されてもよい。この場合、ステップ2とステップ3との間のステップ2’(
図8B)におけるOPFEおよびレンズの設置後に、ベースバック部432をアクチュエータ108’に取り付けてもよい。
【0059】
本明細書で使用されるように、「例えば」、「など」、「のような」のフレーズ、およびそれらの変形語は、本明細書で開示される主題の非限定的な実施形態を説明する。本明細書において、「1つの例」、「いくつかの例」、「および他の例」またはそれらの変形語への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構成または特性が本明細書において開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「1つのケース」、「いくつかのケース」、「他のケース」のフレーズ、またはそれらの変形語の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。
【0060】
特に明記しない限り、選択のための選択肢のリストの最後の2つのメンバ間の「および/または」という表現の使用は、リストされた選択肢のうちの1つまたは複数の選択が適切であり、行われ得ることを示す。
【0061】
特許請求の範囲または明細書が「a」または「an」の要素に言及する場合、そのような言及は、その要素のうちの1つだけが存在すると解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0062】
明確にするために、別々の実施形態または実施例の文脈で説明される、本明細書で開示される実施形態の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、本明細書で開示される様々な特徴は、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されるが、別々に、または任意の適切な組み合わせで、または本明細書で開示される任意の他の説明される実施形態で適切に提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
【0063】
本明細書で開示される主題の実施形態において、
図8Aおよび
図8Bに示す1つまたは複数の工程は、異なる順序で実行されてもよく、および/または1つまたは複数の工程群が同時に実行されてもよい。
【0064】
本明細書で言及されるすべての特許および特許出願は、それぞれの個々の特許および特許出願が参照により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個々に示されたかのように、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。さらに、本出願における任意の参考文献の引用または識別は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを容認するものと解釈されるべきではない。
【0065】
本開示は特定の実施形態および一般的に関連する方法に関して説明されてきたが、実施形態および方法の変更および置換は当業者には明らかであろう。本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものと理解されるべきである。