(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 35/28 20060101AFI20220412BHJP
B41J 17/24 20060101ALI20220412BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20220412BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B41J35/28
B41J17/24
B41J2/325 A
B41J29/13
(21)【出願番号】P 2019558810
(86)(22)【出願日】2018-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2018035520
(87)【国際公開番号】W WO2020012670
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2018133719
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角井 康之
(72)【発明者】
【氏名】陣内 孝賢
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-046668(JP,A)
【文献】特開平02-219673(JP,A)
【文献】特開昭63-170058(JP,A)
【文献】米国特許第05601373(US,A)
【文献】米国特許第05915860(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 35/28
B41J 17/24
B41J 2/325
B41J 29/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字媒体に印字を行う印字部と、
前記印字部で使用されたインクリボンを巻き取るリボン巻取軸と、
前記印字部に供給される前記インクリボンを保持し、前記リボン巻取軸に対して第1位置と第2位置との間で相対移動自在に設けられるリボン供給軸と、
前記リボン供給軸が前記第1位置にあるときは前記リボン供給軸の回転を規制するロック状態となり、前記リボン供給軸が前記第2位置にあるときは前記リボン供給軸の回転を許容する非ロック状態となるリボン供給軸ロック機構と、
を備え、
前記第1位置は、前記リボン供給軸から前記インクリボンを着脱可能なリボン交換位置であり、前記第2位置は、前記印字部に前記インクリボンを供給するリボン供給位置である、
プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記リボン供給軸ロック機構は、
前記リボン供給軸に連結されたギヤと、
前記リボン供給軸が前記第1位置にあるときは前記ギヤと噛み合う噛み合い位置になり、前記リボン供給軸が前記第2位置にあるときは前記ギヤとの噛み合いが解除される非噛み合い位置になるロック部材と、
を有する、
プリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタであって、
揺動自在に設けられ、前記インクリボンと前記印字媒体との間を仕切る仕切部材を備え、
前記リボン供給軸及び前記ロック部材は、前記仕切部材に設けられ、
前記リボン供給軸ロック機構は、前記仕切部材が揺動するのにともなって前記ロック部材がガイド面に沿って摺動するガイドレールを有する、
プリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタであって、
前記リボン供給軸ロック機構は、前記ガイドレールに向けて前記ロック部材を付勢する付勢部材を有する、
プリンタ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のプリンタであって、
前記仕切部材は、前記リボン供給軸が前記第1位置になる位置と前記リボン供給軸が前記第2位置になる位置との間で揺動自在である、
プリンタ。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1つに記載のプリンタであって、
揺動自在に設けられ、前記印字部を構成するサーマルヘッドを有する印字ユニットを備え、
前記リボン巻取軸、前記仕切部材、及び前記ガイドレールは、前記印字ユニットの本体部に設けられる、
プリンタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のプリンタであって、
前記リボン巻取軸の中心軸の位置と前記リボン供給軸の中心軸の位置とが相対移動する、
プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
JP2009-179010Aには、揺動自在に設けられた印字ユニットを備えるプリンタが開示されている。印字ユニットには、インクリボンを保持するリボン供給軸と、使用済のインクリボンを巻き取るリボン巻取軸と、が設けられる。
【0003】
また、上記プリンタは、印字ユニットを揺動させたときに、リボン供給軸からインクリボンを着脱可能な状態で印字ユニットを停止させるストッパを備える。
【発明の概要】
【0004】
上記プリンタでは、インクリボンの交換を行う際に、例えば印字ユニットが停止した反動で、リボン供給軸が回転してインクリボンに弛みが生じることが考えられる。このように、インクリボンの交換を行う際にインクリボンに弛みが生じると、インクリボンの交換作業がし難くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、インクリボンの交換が容易なプリンタを提供することを目的とする。
【0006】
本発明のある態様によれば、印字媒体に印字を行う印字部と、前記印字部で使用されたインクリボンを巻き取るリボン巻取軸と、前記印字部に供給される前記インクリボンを保持し、前記リボン巻取軸に対して第1位置と第2位置との間で相対移動自在に設けられるリボン供給軸と、前記リボン供給軸が前記第1位置にあるときは前記リボン供給軸の回転を規制するロック状態となり、前記リボン供給軸が前記第2位置にあるときは前記リボン供給軸の回転を許容する非ロック状態となるリボン供給軸ロック機構と、を備え、前記第1位置は、前記リボン供給軸から前記インクリボンを着脱可能なリボン交換位置であり、前記第2位置は、前記印字部に前記インクリボンを供給するリボン供給位置である、プリンタが提供される。
【0007】
これによれば、リボン供給軸が第1位置にあるときは、リボン供給軸ロック機構によってリボン供給軸の回転が規制される。よって、インクリボンを着脱可能な位置にしたときにリボン供給軸の回転が規制されるようにすることで、インクリボンの交換を行う際にリボン供給軸が回転してインクリボンに弛みが発生することを防止でき、インクリボンの交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るプリンタの斜視図である。
【
図3】
図3は、カバーが開いた状態を示す図である。
【
図4】
図4は、リボン供給軸をリボン交換位置にした状態を示す図である。
【
図5】
図5は、リボン巻取軸ロック機構について説明するための図である。
【
図6】
図6は、ロック状態のリボン巻取軸ロック機構を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係るプリンタを示す図である。
【
図8】
図8は、リボン供給軸をリボン交換位置にした状態を示す図である。
【
図9】
図9は、リボン供給軸ロック機構の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、添付図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係るプリンタ100について説明する。
【0010】
プリンタ100は、インクリボンRを熱してインクリボンRのインクを印字媒体Mに転写することで印字を行う熱転写方式のプリンタである。印字媒体Mは、例えば、帯状の台紙に複数のラベルが連続して仮着されたラベル連続体である。
【0011】
プリンタ100は、
図1、
図2に示すように、筐体10と、筐体10の開口部を覆うカバー11と、を備える。
【0012】
印字媒体Mは、
図2に示すように、ロール状に巻き回された状態で媒体供給軸12に保持される。なお、印字媒体Mとして、台紙なしラベルやファンフォールド型媒体を使用することもできる。
【0013】
カバー11は、支持軸13により端部が揺動自在に支持される。カバー11は、支持軸13を支点として揺動させることで、筐体10の開口部を開放する開放状態と、閉止する閉止状態と、を切り替えることができる。
【0014】
筐体10には、カバー11を閉止状態に維持するカバーロック機構(図示せず)が設けられる。カバーロック機構は、
図1に示すレバー14を操作することで解除される。
【0015】
カバー11の支持軸13とは反対側の端部と筐体10との間には、
図2に示す印字部15で印字された印字媒体Mがプリンタ100から排出される排出口16が形成される。
【0016】
本実施形態のカバー11には、排出口16に臨むカッタ17が取り付けられる。これにより、排出口16から排出された印字済の印字媒体Mを切断することができる。なお、プリンタ100は、様々なユニットを取り付けることができ、例えば、帯状の台紙からラベルを剥離する剥離ユニット、ライナーレスラベル(帯状の台紙がないラベル)を切断するカッタユニットがある。
【0017】
また、カバー11には、プリンタ100を操作するための操作ユニット19が設けられる。操作ユニット19は、各種操作ボタン、ディスプレイ、近距離無線通信モジュール、LED等を有する。ディスプレイは、タッチパネルであってもよい。
【0018】
プリンタ100の内部には、印字媒体Mに印字を行うための印字ユニット30、プリンタ100の動作を制御するコントローラ40等が収容される。
【0019】
印字ユニット30は、端部が支持軸13に揺動自在に支持される本体部31と、本体部31に取り付けられるサーマルヘッド32と、を備える。
【0020】
サーマルヘッド32は、筐体10側に設けられたプラテンローラ20とともに、印字媒体Mに印字を行う印字部15を構成する。
【0021】
また、印字ユニット30には、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持するリボン供給軸33と、使用済のインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、インクリボンRと印字媒体Mとの間を仕切る仕切部材35と、が設けられる。
【0022】
リボン供給軸33は、仕切部材35に着脱可能に取り付けられている。また、リボン巻取軸34は、本体部31に着脱可能に取り付けられている。なお、本実施形態のインクリボンRは、インクが塗布された面が外側になる表巻きのインクリボンである。
【0023】
また、印字ユニット30は、リボン供給軸33から印字部15へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸36と、印字部15からリボン巻取軸34へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸37と、を備える。なお、ここではガイド軸は印字部15の上流に1つ、下流に1つの例を説明するが、例えば、サーマルヘッド32の上流側近傍にもう1つのガイド軸を設けてもよい。
【0024】
印字媒体Mは、媒体供給軸12から印字部15に供給され、サーマルヘッド32とプラテンローラ20との間にインクリボンRとともに挟持される。
【0025】
印字媒体M及びインクリボンRがサーマルヘッド32とプラテンローラ20との間に挟持された状態でサーマルヘッド32の発熱素子への通電が行われると、発熱素子の熱によってインクリボンRのインクが印字媒体Mに転写され、印字媒体Mへの印字が行われる。
【0026】
また、プラテン駆動モータ(図示せず)によってプラテンローラ20を正回転させると、印字媒体M及びインクリボンRが搬送方向下流側へと搬送されて印字媒体Mが排出口16からプリンタ100の外部に排出される。
【0027】
また、リボン巻取軸34は、カバー11が閉止状態のときにギヤ61等(
図5参照)を介してプラテン駆動モータと連結することで回転駆動される。リボン供給軸33は、バックテンション機構(図示せず)が設けられており、インクリボンRは搬送方向上流側に一定のバックテンションを発生させながら搬送される。
【0028】
仕切部材35は、
図2に示すように、ベース部35aと、ベース部35aの一端側に設けられた軸部35bと、リボン供給軸33を軸部35bと平行且つ回動自在に支持する支持部35dと、支持部35dに形成された係合部35eと、を有する。
【0029】
仕切部材35は、軸部35bにより本体部31に揺動自在に支持される。
【0030】
係合部35eは、
図2に示すように、カバー11に設けられた被係合部11aと係合するように構成される。仕切部材35を係合部35eが被係合部11aと係合する位置(閉止位置)にすると、リボン供給軸33が本体部31内に収容される。これにより、リボン供給軸33が、印字部15にインクリボンRを供給するリボン供給位置(第2位置)になる。
【0031】
このように、係合部35eと被係合部11aとが係合することで、リボン供給軸33がリボン供給位置になる閉止位置に仕切部材35が保持される。また、印字ユニット30とカバー11とが結合された状態となり、印字ユニット30が、カバー11に収容される収容位置に保持される。
【0032】
プリンタ100による印字を行う際は、カバー11は閉止状態とされ、且つ、仕切部材35の係合部35eがカバー11の被係合部11aと係合した状態とされる。
【0033】
よって、カバー11を開くと、印字ユニット30がカバー11と一体となって揺動し、
図3に示すように、筐体10の開口部が開放される。
【0034】
これにより、プリンタ100への印字媒体Mのセットや筐体10内の各部のメンテナンスを行うことができる。
【0035】
さらに、
図3に示す状態から係合部35eと被係合部11aとの係合を解除して仕切部材35を筐体10側に向けて揺動させると、仕切部材35が
図4に示す開放位置になる。仕切部材35は、ベース部35aが印字ユニット30の本体部31と当接して開放位置で停止する。
【0036】
係合部35eと被係合部11aとの係合は、仕切部材35を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、係合部35e及び被係合部11aが弾性変形して解除される。
【0037】
仕切部材35が開放位置になるのにともない、仕切部材35に取り付けられたリボン供給軸33及びリボン供給軸33に保持されたロール状のインクリボンRがリボン巻取軸34に対して相対的に移動し、プリンタ100の前方側である印字媒体Mの排出口16側に露出する。
【0038】
また、係合部35eと被係合部11aとの係合が解除されることで、印字ユニット30自体も、開放端30a側がカバー11から離間するように、筐体10側に向けて所定の位置まで揺動する。所定の位置は、筐体10における支持軸13の近傍に設けられた揺動規制部(図示せず)と本体部31とが当接する位置である。
【0039】
これにより、リボン供給軸33が、インクリボンRを着脱可能なリボン交換位置(第1位置)となり、インクリボンRの交換作業を行うことができる。
【0040】
このように、仕切部材35が開放位置になると、印字ユニット30の開放端30a側がカバー11から離間し、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置になる。
【0041】
図4に示すように、リボン供給軸33は、リボン交換位置にあるときは、プリンタ100の前方側に露出している。よって、作業者がリボン供給軸33を視認しやすく、インクリボンRの交換作業が容易となる。
【0042】
なお、揺動規制部による印字ユニット30の位置決めは、印字ユニット30を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、揺動規制部が弾性変形して本体部31が揺動規制部を乗り越えて解除される。
【0043】
このように、本実施形態では、リボン供給軸33は、リボン巻取軸34に対して相対移動自在とされ、インクリボンRの交換を行う際に、作業を容易に行うことができる位置にリボン供給軸33を移動させることができる。
【0044】
また、プリンタ100は、リボン供給軸33がリボン交換位置にあるときはリボン供給軸33の回転を規制するロック状態となり、リボン供給軸33がリボン供給位置にあるときはリボン供給軸33の回転を許容する非ロック状態となるリボン供給軸ロック機構50を備える。
【0045】
リボン供給軸ロック機構50について、
図2~
図4を参照しながら説明する。
【0046】
リボン供給軸ロック機構50は、リボン供給軸33に設けられたギヤ33aと、爪部38aがギヤ33aと噛み合う噛み合い位置(
図4参照)と爪部38aとギヤ33aとの噛み合いが解除される非噛み合い位置(
図2、
図3参照)との間で移動自在に設けられたロック部材(第1ロック部材)38と、印字ユニット30の本体部31に設けられ、ロック部材38の端部38bと当接するガイドレール31aと、ロック部材38をガイドレール31aに向けて付勢するスプリング(第1付勢部材)39と、を有する。
【0047】
ロック部材38には長穴38cが形成されており、仕切部材35の支持部35dに設けられた矩形の凸部35cが長穴38cに嵌まるようになっている。これにより、ロック部材38は、凸部35cに摺動自在に支持され、長穴38cの長手方向に沿って噛み合い位置と非噛み合い位置との間で移動自在となる。
【0048】
スプリング39は、仕切部材35の支持部35dに設けられたシート部35kとロック部材38との間に圧縮状態で設けられ、ロック部材38をガイドレール31aに向けて付勢する。なお、本実施形態ではスプリング39はコイルスプリングである。ロック部材38を付勢する付勢部材は、板スプリング、トーションスプリング、ゴム等であってもよい。
【0049】
ガイドレール31aは、仕切部材35の軸部35bを中心とする円弧状に形成されたガイド面31bと、ガイド面31bよりも軸部35bに近い位置に形成されたガイド面31cと、を有する。
【0050】
仕切部材35が閉止位置と開放位置との間で揺動するのにともない、スプリング39に付勢されたロック部材38が、ガイド面31b、31cに沿って摺動する。
【0051】
ガイド面31bは、仕切部材35の軸部35bを中心とする円弧状に形成されているので、ロック部材38がガイド面31bに沿って摺動する範囲内で仕切部材35を揺動させた場合は、リボン供給軸33に設けられたギヤ33aに対するロック部材38の相対位置は変化しない。この場合は、ロック部材38は、
図2、
図3に示すように、非噛み合い位置にある状態が維持される。
【0052】
そして、仕切部材35を開放位置まで揺動させると、ロック部材38が、ガイド面31cと対向する位置まで移動する。これにより、ロック部材38は、
図4に矢印で示すように、スプリング39に付勢されてガイド面31cと当接する位置に移動し、爪部38aがギヤ33aと噛み合う噛み合い位置になる。この状態では、ロック部材38によりリボン供給軸33の回転が規制される。
【0053】
また、仕切部材35を開放位置から閉止位置に向けて揺動させると、ロック部材38が、スプリング39を圧縮しながらガイド面31bに乗り上げる。これにより、ロック部材38は、爪部38aとギヤ33aとの噛み合いが解除される非噛み合い位置になる。この状態では、リボン供給軸33の回転が許容される。
【0054】
よって、仕切部材35が閉止位置にあって印字ユニット30とカバー11とが結合された状態、すなわち、印字ユニット30がカバー11に収容される収容位置にある状態では、リボン供給軸33の回転が許容される。
【0055】
リボン供給軸ロック機構50は以上のように構成され、仕切部材35の揺動動作に連動して、リボン供給軸33の回転を規制するロック状態とリボン供給軸33の回転を許容する非ロック状態とが切り替わる。
【0056】
このように、プリンタ100は、仕切部材35を開放位置にしたとき、すなわち、リボン供給軸33がリボン交換位置(第1位置)にあるときは、リボン供給軸ロック機構50がリボン供給軸33の回転を規制するロック状態となり、仕切部材35を閉止位置にしたとき、すなわち、リボン供給軸33がリボン供給位置(第2位置)にあるときは、リボン供給軸ロック機構50がリボン供給軸33の回転を許容する非ロック状態となる。
【0057】
換言すると、印字ユニット30がカバー11に収容された状態では、リボン供給軸33の回転が許容され、印字ユニット30の開放端30a側がカバー11から離間し、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときは、リボン供給軸33の回転が規制される。
【0058】
よって、インクリボンRの交換を行う際に、仕切部材35が開放位置で停止した反動でリボン供給軸33が回転してインクリボンRに弛みが生じることや、インクリボンRの交換作業中にリボン供給軸33が回転してインクリボンRに弛みが生じることを防止でき、インクリボンRの交換を容易に行うことができる。
【0059】
また、リボン供給軸ロック機構50は、仕切部材35の揺動動作に連動して、ロック状態と非ロック状態とが自動で切り替わる。
【0060】
よって、リボン供給軸33の回転を規制するためにリボン供給軸ロック機構50を操作する必要がなく、効率よくインクリボンRの交換作業を行うことができる。
【0061】
また、
図4に示すように、ロック部材38の爪部38aは、ギヤ33aの外径の接線近傍を接線方向に移動してギヤ33aと噛み合うようになっている。
【0062】
なお、本実施形態では、ロック部材38が噛み合い位置にある状態では、爪部38aがリボン供給軸33に設けられたギヤ33aと噛み合うようになっているが、リボン供給軸33に連結される他のギヤと爪部38aとが噛み合うようにしてもよい。「リボン供給軸33にギヤが連結される」とは、リボン供給軸33にギヤの回転が伝達される状態であることを意味する。よって、ギヤ33aもリボン供給軸33に連結されるギヤである。
【0063】
なお、プリンタ100は、リボン供給軸ロック機構50がロック状態であっても、所定以上のトルクがかかるとリボン供給軸33が回転するクラッチ機構(図示せず)を備える。そのため、例えば、インクリボンRにリボン巻取り方向に大きな張力がかかった場合はリボン供給軸33が回転するので、インクリボンRが破損することを防止できる。
【0064】
また、プリンタ100は、
図5、
図6に示すように、カバー11が開くとリボン巻取軸34の回転を規制するロック状態となり、カバー11が閉じるとリボン巻取軸34の回転を許容する非ロック状態となるリボン巻取軸ロック機構60を備える。
図5、
図6は、理解を容易にするためにプリンタ100の構成を適宜省略して記載している。
【0065】
リボン巻取軸ロック機構60は、印字ユニット30の本体部31に設けられ、リボン巻取軸34に連結されたギヤ61と、印字ユニット30の本体部31に設けられた支持軸31dに支持され、爪部62aがギヤ61と噛み合う噛み合い位置(
図6参照)と爪部62aとギヤ61との噛み合いが解除される非噛み合い位置(
図5参照)との間で回動自在に設けられたロック部材(第2ロック部材)62と、筐体10側に設けられ、ロック部材62の凸部62bと当接してロック部材62を非噛み合い位置に位置決めする第1位置決め部63と、印字ユニット30の本体部31に設けられ、ロック部材62の爪部62aと当接してロック部材62を噛み合い位置に位置決めする第2位置決め部31eと、ロック部材62を非噛み合い位置から噛み合い位置に向けて回動する方向に付勢するスプリング(第2付勢部材)64と、を有する。
【0066】
スプリング64は、印字ユニット30の本体部31に設けられたシート部31fとロック部材62の凸部62cとの間に圧縮状態で設けられ、ロック部材62を非噛み合い位置から噛み合い位置に向けて回動する方向に付勢する。なお、本実施形態ではスプリング64はコイルスプリングである。ロック部材62を付勢する付勢部材は、板スプリング、トーションスプリング、ゴム等であってもよい。
【0067】
ギヤ61は、本体部31に設けられたギヤ65と噛み合う。また、ギヤ65は、リボン巻取軸34に設けられたギヤ34aと噛み合う。つまり、ギヤ61は、ギヤ65及びギヤ34aを介してリボン巻取軸34と連結される。「リボン巻取軸34にギヤが連結される」とは、リボン巻取軸34にギヤの回転が伝達される状態であることを意味する。
【0068】
図5に示すように、カバー11が閉止状態の場合は、ギヤ61が、筐体10側に設けられたギヤ66と噛み合う。
【0069】
また、カバー11が閉止状態の場合は、ロック部材62は、凸部62bが第1位置決め部63と当接することで噛み合い位置に向かう方向の回動が規制され、非噛み合い位置に位置決めされる。この状態では、ロック部材62は、リボン巻取軸34の回転を許容する。
【0070】
よって、カバー11が閉止状態の場合は、ギヤ66にプラテン駆動モータの駆動力が伝達されると、ギヤ61、65、34aを介してリボン巻取軸34が回転する。
【0071】
レバー14を操作してカバー11を開くと、
図6に示すように、印字ユニット30がカバー11と一体となって揺動する。これにともなって、印字ユニット30に設けられたロック部材62も、第1位置決め部63から離れるように上方に移動する。このとき、ロック部材62は、スプリング64の付勢力により、噛み合い位置に向かう方向に回動する。
【0072】
これにより、ロック部材62は、カバー11を開くと、爪部62aが第2位置決め部31eと当接する噛み合い位置になる。この状態では、ロック部材62によりリボン巻取軸34の回転が規制される。
【0073】
このように、リボン巻取軸ロック機構60は、カバー11が開くとともに、リボン巻取軸34の回転を規制するロック状態となる。
【0074】
反対に、カバー11を閉じていくと、凸部62bが第1位置決め部63と当接することで、ロック部材62が、スプリング64を圧縮しながら非噛み合い位置に向かう方向に回動する。これにより、リボン巻取軸ロック機構60は、非ロック状態となる。
【0075】
リボン巻取軸ロック機構60は、カバー11を開くとともにロック状態となるので、リボン供給軸33がリボン交換位置にあるときは、リボン巻取軸34の回転が規制される。
【0076】
このように、本実施形態では、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときは、リボン供給軸33の回転及びリボン巻取軸34の回転が規制される。よって、インクリボンRの交換を行う際に、リボン供給軸33が回転してインクリボンRに弛みが生じることを防止できる。また、上述したように、リボン供給軸33にはバックテンション機構が設けられる。そのため、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときにリボン巻取軸34が回転自在になっていると、インクリボンRを取り付けるときに、リボン供給軸33の上流側への巻き戻し付勢力によってリボン巻取軸34も上流側巻き戻し方向に回転してしまい、インクリボンRを取り付け難くなる。これに対して、本実施形態では、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときはリボン巻取軸34の回転も規制されるので、インクリボンRの交換を容易に行うことができる。なお、リボン供給軸33にバックテンション機構が設けられていない場合でも、リボン巻取軸34が回転してインクリボンRに弛みが生じることを防止できる。
【0077】
なお、プリンタ100は、リボン巻取軸ロック機構60がロック状態であっても、所定以上のトルクがかかるとリボン巻取軸34が回転するクラッチ機構(図示せず)を備える。そのため、例えば、インクリボンRに搬送方向上流側方向に大きな張力がかかった場合は、リボン巻取軸ロック機構60がロック状態であっても、リボン巻取軸34が回転するので、インクリボンRが破損することを防止できる。
【0078】
また、ロック部材62は、噛み合い位置にある状態では、爪部62aがギヤ61と噛み合うようになっているが、リボン巻取軸34に連結される他のギヤと爪部62aとが噛み合うようにしてもよい。
【0079】
図2に示すように、仕切部材35のベース部35aは、筐体10に設けられた反射センサ21と対向する位置まで延伸している。これにより、反射センサ21と仕切部材35における反射センサ21と対向する部位との間に、印字媒体Mの搬送路が形成される。
【0080】
反射センサ21は、印字媒体Mの印字が施される面とは反対側の面に所定の間隔で予め印刷されているアイマークを検出するセンサである。これにより、印字媒体Mの搬送方向における位置を検出することができる。
【0081】
本実施形態では、仕切部材35が印字媒体Mをガイドすることで、反射センサ21から一定の距離内で印字媒体Mが安定して搬送される。これにより、反射センサ21の検出精度を向上させることができる。
【0082】
なお、プリンタ100を印字可能な状態、つまり、
図2に示す状態にすると、自動的に仕切部材35が印字媒体Mをガイドする状態となる。
【0083】
このように、仕切部材35によって印字媒体Mがガイドされるので、反射センサ21から一定の距離内で印字媒体Mが搬送されるようにするためのガイド部材を別途設ける必要がなく、ガイド部材に印字媒体Mを挿通する作業も不要となる。
【0084】
また、プリンタ100は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出する透過センサ22を備える。
【0085】
透過センサ22は、所定の光を出射する発光部としての発光ユニット22aと、発光ユニット22aから出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部としての受光ユニット22bと、を有するセンサである。
【0086】
例えば、印字媒体Mが、帯状の台紙に複数のラベルが所定の間隔で連続して仮着されたラベル連続体である場合は、隣り合う2つのラベルの間には、台紙のみの部分が存在する。
【0087】
ラベルが存在する部分と台紙のみの部分とでは、発光ユニット22aから出射された光の透過量が異なるので、受光ユニット22bが受光する光の強度が変化する。これにより、透過センサ22は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出することができる。
【0088】
本実施形態では、
図2に示すように、発光ユニット22aは、ベース部35aにおける印字媒体Mの搬送路とは反対側、つまり、ベース部35aの上面側に設けられる。また、ベース部35aには、発光ユニット22aから出射された光を通す貫通孔35gが形成されている。一方、受光ユニット22bは、
図2に示すように、搬送路を挟んで筐体10側に設けられる。
【0089】
上述したように、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業は、カバー11及び印字ユニット30を揺動させて筐体10の開口部を開放した状態で行われる(
図3参照)。
【0090】
つまり、本実施形態では、発光ユニット22aと受光ユニット22bとの間が大きく開放された状態で印字媒体Mをプリンタ100にセットできるので、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業を容易に行うことができる。なお、発光ユニット22aと受光ユニット22bとの位置を入れ替えてもよい。
【0091】
プリンタ100は、使用する印字媒体Mの態様に応じて、反射センサ21と透過センサ22とのいずれか作動させて搬送方向における印字媒体Mの位置を検出するようになっている。
【0092】
例えば、アイマークが設けられていない印字媒体Mを使用する場合は、プリンタ100は、透過センサ22によって印字媒体Mの位置を検出する。
【0093】
コントローラ40は、マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の記憶装置、入出力インターフェース、これらを接続するバス等で構成される。コントローラ40には、入出力インターフェースを介して、外部コンピュータからの印字データ、反射センサ21からの信号、透過センサ22からの信号等が入力される。
【0094】
コントローラ40は、記憶装置に格納されている各種プログラムをマイクロプロセッサによって実行し、サーマルヘッド32の発熱素子への通電、プラテン駆動モータへの通電等を制御する。
【0095】
以下、本実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0096】
プリンタ100は、印字媒体Mに印字を行う印字部15と、印字部15で使用されたインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、印字部15に供給されるインクリボンRを保持し、リボン巻取軸34に対して第1位置と第2位置との間で相対移動自在に設けられるリボン供給軸33と、リボン供給軸33が第1位置にあるときはリボン供給軸33の回転を規制するロック状態となり、リボン供給軸33が第2位置にあるときはリボン供給軸33の回転を許容する非ロック状態となるリボン供給軸ロック機構50と、を備える。
【0097】
本実施形態では、第1位置は、リボン供給軸33からインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置であり、第2位置は、印字部15にインクリボンRを供給するリボン供給位置である。
【0098】
このように、インクリボンRを着脱可能な位置にしたときにリボン供給軸33の回転が規制されるようにすることで、インクリボンRの交換を行う際にリボン供給軸33が回転してインクリボンRに弛みが発生することを防止でき、インクリボンRの交換を容易に行うことができる。また、インクリボンRに弛みが発生することを防止することで、インクリボンRの無駄な消費を防止できる。
【0099】
リボン供給軸ロック機構50は、リボン供給軸33に連結されたギヤ33aと、リボン供給軸33が第1位置にあるときはギヤ33aと噛み合う噛み合い位置になり、リボン供給軸33が第2位置にあるときはギヤ33aとの噛み合いが解除される非噛み合い位置になるロック部材38と、を有する。
【0100】
これによれば、リボン供給軸33の回転を規制する構造を容易に実現できる。
【0101】
プリンタ100は、揺動自在に設けられ、インクリボンRと印字媒体Mとの間を仕切る仕切部材35を備え、リボン供給軸33及びロック部材38は、仕切部材35に設けられ、リボン供給軸ロック機構50は、仕切部材35が揺動するのにともなってロック部材38がガイド面31b、31cに沿って摺動するガイドレール31aを有する。
【0102】
これによれば、仕切部材35が揺動するのにともなってリボン供給軸33に対するロック部材38の相対位置が変化する構造を容易に実現できる。
【0103】
リボン供給軸ロック機構50は、ガイドレール31aに向けてロック部材38を付勢する付勢部材としてのスプリング39を有する。
【0104】
これによれば、ロック部材38がガイドレール31aを摺動する際の追従性が向上するので、ロック部材38を安定して移動させることができる。
【0105】
仕切部材35は、リボン供給軸33が第1位置になる位置とリボン供給軸33が第2位置になる位置との間で揺動自在である。
【0106】
これによれば、リボン供給軸33が第1位置と第2位置との間で移動する構造を容易に実現できる。
【0107】
プリンタ100は、揺動自在に設けられ、印字部15を構成するサーマルヘッド32を有する印字ユニット30を備え、リボン巻取軸34、仕切部材35、及びガイドレール31aは、印字ユニット30の本体部31に設けられる。
【0108】
プリンタ100は、印字媒体Mに印字を行う印字部15と、印字部15に供給されるインクリボンRを保持するリボン供給軸33と、印字部15で使用されたインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、揺動自在に設けられ、インクリボンRと印字媒体Mとの間を仕切る仕切部材35と、リボン供給軸33の回転を規制するリボン供給軸ロック機構50と、を備え、リボン供給軸ロック機構50は、仕切部材35の揺動動作に連動して、リボン供給軸33の回転を規制するロック状態とリボン供給軸33の回転を許容する非ロック状態とが切り替わる。
【0109】
これによれば、インクリボンRの交換を行う際に、仕切部材35を揺動させてリボン供給軸ロック機構50をロック状態にすることで、リボン供給軸33が回転してインクリボンRに弛みが発生することを防止でき、インクリボンRの交換を容易に行うことができる。また、リボン供給軸33の回転を規制するためにリボン供給軸ロック機構50を操作する必要がなく、効率よくインクリボンRの交換作業を行うことができる。
【0110】
リボン供給軸ロック機構50は、リボン供給軸33に連結されたギヤ33aと、ギヤ33aと噛み合う噛み合い位置とギヤ33aとの噛み合いが解除される非噛み合い位置との間で移動自在に設けられたロック部材38と、を有する。
【0111】
これによれば、リボン供給軸33の回転を規制する構造を容易に実現できる。
【0112】
プリンタ100は、印字媒体Mに印字を行う印字部15と、印字部15に供給されるインクリボンRを保持するリボン供給軸33と、印字部15で使用されたインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、を備え、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときは、リボン供給軸33の回転及びリボン巻取軸34の回転が規制される。
【0113】
これによれば、インクリボンRの交換を行う際に、リボン供給軸33が回転してインクリボンRに弛みが生じることを防止できる。また、上述したように、リボン供給軸33にはバックテンション機構が設けられる。そのため、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときにリボン巻取軸34が回転自在になっていると、インクリボンRを取り付けるときに、リボン供給軸33の上流側への巻き戻し付勢力によってリボン巻取軸34も上流側巻き戻し方向に回転してしまい、インクリボンRを取り付け難くなる。これに対して、本実施形態では、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときはリボン巻取軸34の回転も規制されるので、インクリボンRの交換を容易に行うことができる。なお、リボン供給軸33にバックテンション機構が設けられていない場合でも、リボン巻取軸34が回転してインクリボンRに弛みが生じることを防止できる。
【0114】
プリンタ100は、筐体10と、揺動自在に設けられ、筐体10の開口部を覆うカバー11と、揺動自在に設けられ、印字部15を構成するサーマルヘッド32を有する印字ユニット30と、を備え、リボン供給軸33及びリボン巻取軸34は、印字ユニット30に設けられ、リボン供給軸33がリボン交換位置にある状態は、カバー11が開いた状態、且つ、印字ユニット30の開放端30a側がカバー11から離間した状態である。
【0115】
プリンタ100は、カバー11が開くとともに、リボン巻取軸34の回転が規制される。
【0116】
これによれば、カバー11が開くと自動的にリボン巻取軸34の回転が規制されるので、リボン巻取軸34の回転を規制するための操作が不要となる。
【0117】
プリンタ100は、リボン供給軸33がリボン交換位置にあるときは、プリンタ100の前方側にリボン供給軸33が露出する。
【0118】
これによれば、作業者がリボン供給軸33を視認しやすく、インクリボンRの交換作業が容易となる。
【0119】
プリンタ100は、リボン供給軸33の回転を規制する位置と回転を許容する位置との間で移動自在に設けられる第1ロック部材としてのロック部材38と、リボン巻取軸34の回転を規制する位置と回転を許容する位置との間で移動自在に設けられる第2ロック部材としてのロック部材62と、ロック部材38をリボン供給軸33の回転を規制する位置に向けて付勢する第1付勢部材としてのスプリング39と、ロック部材62をリボン巻取軸34の回転を規制する位置に向けて付勢する第2付勢部材としてのスプリング64と、を備える。
【0120】
これによれば、リボン供給軸33の回転を規制する位置にロック部材38を容易に位置決めでき、また、リボン巻取軸34の回転を規制する位置にロック部材62を容易に位置決めできる。
【0121】
プリンタ100は、筐体10と、揺動自在に設けられ、筐体10の開口部を覆うカバー11と、印字媒体Mに印字を行う印字部15と、印字部15に供給されるインクリボンRを保持するリボン供給軸33と、印字部15で使用されたインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、揺動自在に設けられ、印字部15を構成するサーマルヘッド32を有する印字ユニット30と、を備え、リボン供給軸33及びリボン巻取軸34は、印字ユニット30に設けられ、印字ユニット30がカバー11に収容された状態では、リボン供給軸33の回転が許容され、印字ユニット30の開放端30a側がカバー11から離間し、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときは、リボン供給軸33の回転が規制される。
【0122】
これによれば、カバー11から印字ユニット30の開放端30a側が離間してリボン供給軸33からインクリボンRを着脱可能になった状態では、リボン供給軸33の回転が規制される。よって、インクリボンRの交換を行う際にリボン供給軸33が回転してインクリボンRに弛みが発生することを防止でき、インクリボンRの交換を容易に行うことができる。
【0123】
プリンタ100は、カバー11が開いた状態では、印字ユニット30がカバー11に収容された状態と印字ユニット30の開放端30a側がカバー11から離間した状態とのいずれにおいても、リボン巻取軸34の回転が規制される。
【0124】
これによれば、カバー11を開いた状態では、印字ユニット30がカバー11に収容されているかカバー11から開放端30a側が離間しているかに関わらず、リボン巻取軸34の回転が規制される。よって、インクリボンRの交換を行う際やプリンタ100のメンテナンスを行う際にリボン巻取軸34が回転してインクリボンRに弛みが発生することを防止できる。
【0125】
<第2実施形態>
続いて、
図7、
図8を参照しながら本発明の第2実施形態に係るプリンタ200について説明する。プリンタ200は、リボン供給軸33とリボン巻取軸34とが相対的に移動しない点が、プリンタ100と主に異なる。なお、
図7、
図8では、プリンタ100と同じ構成については、同じ符号を付すか、理解を容易にするために適宜記載を省略しており、
図7、
図8に示された構成以外のプリンタ200の構成は、プリンタ100と同じである。
【0126】
以下、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0127】
プリンタ200の印字ユニット230は、端部が支持軸13に揺動自在に支持される本体部231と、本体部231に取り付けられるサーマルヘッド32と、を備える。
【0128】
本体部231には、インクリボンRをロール状に保持するリボン供給軸33と、使用済のインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、が設けられる。
【0129】
また、本体部231には、カバー211に設けられた被係合部211aと係合する係合部231aが設けられる。
【0130】
図7に示すように、印字ユニット230が、カバー211に収容される収容位置にある状態では、係合部231aが被係合部211aと係合する。これにより、印字ユニット230とカバー211とが結合された状態となる。
【0131】
プリンタ200による印字を行う際は、カバー211は閉止状態とされ、且つ、係合部231aが被係合部211aと係合した状態とされる。カバー211を閉じた状態では、リボン供給軸33は、印字部15にインクリボンRを供給するリボン供給位置(第2位置)になる。
【0132】
カバー211を開くと、印字ユニット230がカバー211と一体となって揺動し、筐体10の開口部が開放される。
【0133】
これにより、プリンタ200への印字媒体Mのセットや筐体10内の各部のメンテナンスを行うことができる。
【0134】
さらに、
図7に示す状態から係合部231aと被係合部211aとの係合を解除して印字ユニット230を筐体10側に向けて揺動させると、
図8に示すように、印字ユニット230が、開放端230a側がカバー211から離間した開放位置になる。
【0135】
係合部231aと被係合部211aとの係合は、開放端230a側がカバー211から離間するように所定トルク以上のトルクで印字ユニット230を筐体10側に揺動させると、係合部231a及び被係合部211aが弾性変形して解除される。
【0136】
印字ユニット230の開放位置は、筐体10における支持軸13の近傍に設けられた揺動規制部(図示せず)と本体部231とが当接する位置である。
【0137】
これにより、リボン供給軸33が、インクリボンRを着脱可能なリボン交換位置(第1位置)となり、インクリボンRの交換作業を行うことができる。
【0138】
図8に示すように、リボン供給軸33は、リボン交換位置にあるときは、プリンタ200の前方側に露出している。よって、作業者がリボン供給軸33を視認しやすく、インクリボンRの交換作業が容易となる。
【0139】
揺動規制部による印字ユニット230の位置決めは、印字ユニット230を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、揺動規制部が弾性変形して本体部231が揺動規制部を乗り越えて解除される。
【0140】
このように、本実施形態では、印字ユニット230を、開放端230a側がカバー11から離間した位置にすることで、インクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にリボン供給軸33を移動させることができる。
【0141】
また、プリンタ200は、リボン供給軸33がリボン交換位置にあるときはリボン供給軸33の回転を規制するロック状態となり、リボン供給軸33がリボン供給位置にあるときはリボン供給軸33の回転を許容する非ロック状態となるリボン供給軸ロック機構250を備える。
【0142】
リボン供給軸ロック機構250は、リボン供給軸33に設けられたギヤ33aと、爪部238aがギヤ33aと噛み合う噛み合い位置(
図8参照)と爪部238aとギヤ33aとの噛み合いが解除される非噛み合い位置(
図7参照)との間で移動自在に設けられたロック部材(第1ロック部材)238と、カバー211に設けられ、ロック部材238の端部238bと当接するガイドレール211bと、ロック部材238をガイドレール211bに向けて付勢するスプリング(第1付勢部材)239と、を有する。
【0143】
ロック部材238には長穴238cが形成されており、本体部231に設けられた矩形の凸部231bが長穴238cに嵌まるようになっている。これにより、ロック部材238は、凸部231bに摺動自在に支持され、長穴238cの長手方向に沿って噛み合い位置と非噛み合い位置との間で移動自在となる。
【0144】
スプリング239は、本体部231に設けられたシート部231cとロック部材238との間に圧縮状態で設けられ、ロック部材238をガイドレール211bに向けて付勢する。なお、本実施形態ではスプリング239はコイルスプリングである。ロック部材238を付勢する付勢部材は、板スプリング、トーションスプリング、ゴム等であってもよい。
【0145】
ガイドレール211bは、支持軸13を中心とする円弧状に形成されたガイド面211cと、ガイド面211cよりも支持軸13に近い位置に形成されたガイド面211dと、を有する。
【0146】
印字ユニット230が収容位置(
図7参照)と開放位置(
図8参照)との間で揺動するのにともない、スプリング239に付勢されたロック部材238が、ガイド面211c、211dに沿って摺動する。
【0147】
ガイド面211cは、支持軸13を中心とする円弧状に形成されているので、ロック部材238がガイド面211cに沿って摺動する範囲内で印字ユニット230を揺動させた場合は、リボン供給軸33に設けられたギヤ33aに対するロック部材238の相対位置は変化しない。この場合は、ロック部材238は、
図7に示すように、非噛み合い位置にある状態が維持される。
【0148】
そして、印字ユニット230を開放位置まで揺動させると、ロック部材238が、ガイド面211dと対向する位置まで移動する。これにより、ロック部材238は、
図8に矢印で示すように、スプリング239に付勢されてガイド面211dと当接する位置に移動し、爪部238aがギヤ33aと噛み合う噛み合い位置になる。この状態では、ロック部材238によりリボン供給軸33の回転が規制される。
【0149】
また、カバー211を閉じる方向に揺動させると、印字ユニット230が、カバー211に収容される。そして、揺動規制部を乗り越えてカバー211とともに揺動する。
【0150】
このとき、印字ユニット230が収容位置になるとともに、ロック部材238が、スプリング239を圧縮しながらガイド面211cに乗り上げる。これにより、ロック部材238は、爪部238aとギヤ33aとの噛み合いが解除される非噛み合い位置になる。この状態では、ロック部材238は、リボン供給軸33の回転を許容する。
【0151】
このように、プリンタ200は、リボン供給軸33がリボン交換位置にあるときは、リボン供給軸ロック機構250がリボン供給軸33の回転を規制するロック状態となり、リボン供給軸33がリボン供給位置にあるときは、リボン供給軸ロック機構250がリボン供給軸33の回転を許容する非ロック状態となる。
【0152】
よって、インクリボンRの交換を行う際に、印字ユニット230が開放位置で停止した反動でリボン供給軸33が回転してインクリボンRに弛みが生じることや、インクリボンRの交換作業中にリボン供給軸33が回転してインクリボンRに弛みが生じることを防止でき、インクリボンRの交換を容易に行うことができる。
【0153】
また、リボン供給軸ロック機構250は、印字ユニット230の揺動動作に連動して、ロック状態と非ロック状態とが自動で切り替わる。
【0154】
よって、リボン供給軸33の回転を規制するためにリボン供給軸ロック機構250を操作する必要がなく、効率よくインクリボンRの交換作業を行うことができる。
【0155】
また、
図8に示すように、ロック部材238の爪部238aは、ギヤ33aの外径の接線近傍を接線方向に移動してギヤ33aと噛み合うようになっている。
【0156】
なお、第1実施形態のリボン供給軸ロック機構50と同様に、ロック部材238の爪部238aが噛み合うギヤは、ギヤ33a以外のリボン供給軸33に連結されるギヤであってもよい。
【0157】
また、プリンタ200は、プリンタ100と同様に、カバー211が開くとともにリボン巻取軸34の回転を規制するロック状態となるリボン巻取軸ロック機構60を備える。カバー211が開いた状態では、印字ユニット230がカバー211に収容された状態と印字ユニット230の開放端230a側がカバー211から離間した状態とのいずれにおいても、リボン巻取軸34の回転が規制される。
【0158】
よって、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときは、リボン供給軸33の回転及びリボン巻取軸34の回転が規制される。
【0159】
なお、プリンタ200は、上述したように、リボン供給軸33が印字ユニット230の本体部231に設けられる。よって、リボン供給軸ロック機構250に代えて、
図9に示すように、リボン巻取軸ロック機構60と同様の構造を有するリボン供給軸ロック機構260を設けてもよい。
【0160】
リボン供給軸ロック機構260は、リボン供給軸33に設けられたギヤ33aと、印字ユニット230の本体部231に設けられた支持軸231dに支持され、爪部262aがギヤ33aと噛み合う噛み合い位置と爪部262aとギヤ33aとの噛み合いが解除される非噛み合い位置(
図9参照)との間で回動自在に設けられたロック部材(第1ロック部材)262と、筐体10側に設けられ、ロック部材262の凸部262bと当接してロック部材262を非噛み合い位置に位置決めする第1位置決め部263と、印字ユニット230の本体部231に設けられ、ロック部材262と当接してロック部材262を噛み合い位置に位置決めする第2位置決め部231eと、ロック部材262を非噛み合い位置から噛み合い位置に向けて回動する方向に付勢するスプリング(第1付勢部材)264と、を有する。
【0161】
スプリング264は、印字ユニット230の本体部231に設けられたシート部231fとロック部材262との間に圧縮状態で設けられ、ロック部材262を非噛み合い位置から噛み合い位置に向けて回動する方向に付勢する。なお、本実施形態ではスプリング264はコイルスプリングである。ロック部材262を付勢する付勢部材は、板スプリング、トーションスプリング、ゴム等であってもよい。
【0162】
リボン巻取軸ロック機構60と同様の構造を有するリボン供給軸ロック機構260を採用した場合は、プリンタ200は、カバー211を開くとともに、リボン供給軸33の回転及びリボン巻取軸34の回転が規制される。
【0163】
また、この場合は、リボン供給軸ロック機構260のロック部材262とリボン巻取軸ロック機構60のロック部材62とがリンク機構で連動するようにしてもよい。
【0164】
これによれば、リボン供給軸ロック機構260のスプリング264とリボン巻取軸ロック機構60のスプリング64とのいずれかが不要となる。
【0165】
以下、本実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0166】
プリンタ200は、印字媒体Mに印字を行う印字部15と、印字部15に供給されるインクリボンRを保持するリボン供給軸33と、印字部15で使用されたインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、を備え、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときは、リボン供給軸33の回転及びリボン巻取軸34の回転が規制される。
【0167】
これによれば、インクリボンRの交換を行う際に、リボン供給軸33が回転してインクリボンRに弛みが生じることを防止できる。また、上述したように、リボン供給軸33にはバックテンション機構が設けられる。そのため、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときにリボン巻取軸34が回転自在になっていると、インクリボンRを取り付けるときに、リボン供給軸33の上流側への巻き戻し付勢力によってリボン巻取軸34も上流側巻き戻し方向に回転してしまい、インクリボンRを取り付け難くなる。これに対して、本実施形態では、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときはリボン巻取軸34の回転も規制されるので、インクリボンRの交換を容易に行うことができる。なお、リボン供給軸33にバックテンション機構が設けられていない場合でも、リボン巻取軸34が回転してインクリボンRに弛みが生じることを防止できる。
【0168】
プリンタ200は、筐体10と、揺動自在に設けられ、筐体10の開口部を覆うカバー211と、揺動自在に設けられ、印字部15を構成するサーマルヘッド32を有する印字ユニット230と、を備え、リボン供給軸33及びリボン巻取軸34は、印字ユニット230に設けられ、リボン供給軸33がリボン交換位置にある状態は、カバー211が開いた状態、且つ、印字ユニット230の開放端230a側がカバー211から離間した状態である。
【0169】
プリンタ200は、カバー211が開くとともに、リボン巻取軸34の回転が規制される。
【0170】
これによれば、カバー211が開くと自動的にリボン巻取軸34の回転が規制されるので、リボン巻取軸34の回転を規制するための操作が不要となる。
【0171】
プリンタ200は、リボン供給軸33がリボン交換位置にあるときは、プリンタ200の前方側にリボン供給軸33が露出する。
【0172】
これによれば、作業者がリボン供給軸33を視認しやすく、インクリボンRの交換作業が容易となる。
【0173】
プリンタ200は、リボン供給軸33の回転を規制する位置と回転を許容する位置との間で移動自在に設けられる第1ロック部材としてのロック部材238と、リボン巻取軸34の回転を規制する位置と回転を許容する位置との間で移動自在に設けられる第2ロック部材としてのロック部材62と、ロック部材238をリボン供給軸33の回転を規制する位置に向けて付勢する第1付勢部材としてのスプリング239と、ロック部材62をリボン巻取軸34の回転を規制する位置に向けて付勢する第2付勢部材としてのスプリング64と、を備える。
【0174】
これによれば、リボン供給軸33の回転を規制する位置にロック部材238を容易に位置決めでき、また、リボン巻取軸34の回転を規制する位置にロック部材62を容易に位置決めできる。
【0175】
プリンタ200は、筐体10と、揺動自在に設けられ、筐体10の開口部を覆うカバー211と、印字媒体Mに印字を行う印字部15と、印字部15に供給されるインクリボンRを保持するリボン供給軸33と、印字部15で使用されたインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、揺動自在に設けられ、印字部15を構成するサーマルヘッド32を有する印字ユニット230と、を備え、リボン供給軸33及びリボン巻取軸34は、印字ユニット230に設けられ、印字ユニット230がカバー211に収容された状態では、リボン供給軸33の回転が許容され、印字ユニット230の開放端230a側がカバー211から離間し、リボン供給軸33がインクリボンRを着脱可能なリボン交換位置にあるときは、リボン供給軸33の回転が規制される。
【0176】
これによれば、カバー211から印字ユニット230の開放端230a側が離間してリボン供給軸33からインクリボンRを着脱可能になった状態では、リボン供給軸33の回転が規制される。よって、インクリボンRの交換を行う際にリボン供給軸33が回転してインクリボンRに弛みが発生することを防止でき、インクリボンRの交換を容易に行うことができる。
【0177】
プリンタ200は、カバー211が開いた状態では、印字ユニット230がカバー211に収容された状態と印字ユニット230の開放端230a側がカバー211から離間した状態とのいずれにおいても、リボン巻取軸34の回転が規制される。
【0178】
これによれば、カバー211を開いた状態では、印字ユニット230がカバー211に収容されているかカバー211から開放端230a側が離間しているかに関わらず、リボン巻取軸34の回転が規制される。よって、インクリボンRの交換を行う際やプリンタ200のメンテナンスを行う際にリボン巻取軸34が回転してインクリボンRに弛みが発生することを防止できる。
【0179】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0180】
上記各実施形態の構成は、適宜組み合わせて用いることができる。
【0181】
本願は2018年7月13日に日本国特許庁に出願された特願2018-133719に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。