(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
A01G 25/00 20060101AFI20220412BHJP
E02B 13/02 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
A01G25/00 501D
A01G25/00 501E
A01G25/00 501F
E02B13/02 Z
(21)【出願番号】P 2020121844
(22)【出願日】2020-07-16
(62)【分割の表示】P 2019230469の分割
【原出願日】2016-04-22
【審査請求日】2020-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(73)【特許権者】
【識別番号】392029384
【氏名又は名称】株式会社大和バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】平尾 和弘
(72)【発明者】
【氏名】萩原 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 広樹
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-280276(JP,A)
【文献】特開2011-041898(JP,A)
【文献】実開昭57-096105(JP,U)
【文献】実公昭46-023805(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0044878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
E02B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体または仕切体の変位により送水を制御する変位機構を有し、圃場への給水または圃場からの排水を制御するための給水装置または排水装置である送水制御装置に対し前記送水制御装置に対応したアダプタを介して取り付けられて、前記変位機構を作動させる電動アクチュエータであって、
本体ケース、
前記本体ケース内に設けられるモータ、
前記本体ケース内に設けられ、前記モータの駆動を制御する制御部、
円板状のギア部と前記ギア部の軸中心を通って上下方向に延びる回転軸とを有し、前記モータからの駆動力によって回転するギア、および
前記回転軸の下端部に設けられ、前記送水制御装置の軸または前記アダプタの連結軸の上端部と回転不可に連結されて回転力を伝達するカップリング部を備え、
前記回転軸は、前記ギアが回転すると共に回転し、前記送水制御装置の軸または前記アダプタの連結軸を回転させるものであって、
前記送水制御装置に対応した前記アダプタを装着可能として、弁体を備える前記送水制御装置または仕切体を備える前記送水制御装置のいずれにも取り付けられるようにした、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記ギア部を間に挟む前記ギアの両端部において、当該ギアを回転可能に保持する第1軸受および第2軸受からなる軸受を備える、請求項1記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
軸に回転力を受けることで上下動する弁体または仕切体を備える第1送水制御装置に前記電動アクチュエータを取り付けるための第1アダプタ、または、上下方向の力を受けることで上下動する弁体または仕切体を備える第2送水制御装置に前記電動アクチュエータを取り付けるための第2アダプタのどちらも装着可能である、請求項1または2記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記第2アダプタを介して前記本体ケースが前記第2送水制御装置に固定されると共に、
前記第2アダプタは、連結軸と前記連結軸の回転によって上下動する可動部とを備え、前記連結軸および前記可動部を介して前記回転軸と前記第2送水制御装置の弁体または仕切体とを連結する、請求項3記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記
連結軸は、下部外周面に形成される雄ねじを有し、
前記可動部は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有し、
前記第2アダプタは、前記可動部に設けられ、当該可動部に対して前記第2送水制御装置の弁体または仕切体を連結固定するための固定部を備え、
前記連結軸に対して軸線回りの回転力が加えられると、前記雄ねじと前記雌ねじとの送りねじ機構によって前記可動部および前記固定部が上下動する、請求項4記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記第1送水制御装置は、内ねじ弁棒非上昇式の仕切弁であって、
本管部と立上部とからなる弁箱、および
前記弁箱内に設けられ、弁棒の回転によって上下動する仕切体を備え、
前記第1アダプタを介して前記本体ケースが前記弁箱に固定されると共に、前記弁棒の上端部に対して前記回転軸が回転不可に連結される、請求項3記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記回転軸は、前記送水制御装置の軸または前記アダプタの連結軸の上下動に伴って前記ギアの軸方向に摺動可能である、請求項1から6のいずれかに記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記本体ケースに取り付けられる太陽電池パネル、および
前記本体ケース内に設けられ、前記太陽電池パネルによって発電された電力を蓄電可能な蓄電池をさらに備える、請求項1から7のいずれかに記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動アクチュエータに関し、特にたとえば、弁体または仕切体の変位により送水を制御する変位機構を有する送水制御装置に取り付けられて、送水制御装置の変位機構を作動させる、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電動アクチュエータの一例が特許文献1に開示される。特許文献1には、既存の給水栓に装着されて、給水栓の開閉を自動的に行う給水栓自動開閉装置が開示されている。特許文献1の給水栓自動開閉装置は、モータの出力軸と給水栓の駆動軸とを連結してモータの駆動力を給水栓の駆動軸に伝達する駆動力伝達機構を備える。そして、この駆動力伝達機構は、モータの出力軸に連結される歯車機構と、歯車機構の下方に設けられ、上下動しない第1軸と第1軸に対して上下動可能な第2軸とからなる回転軸とを備える。
【0003】
また、特許文献1には、既存の給水堰に装着されて、給水堰の開閉を自動的に行う給水堰自動開閉装置が開示されている。特許文献1の給水堰自動開閉装置は、モータの出力軸と給水堰の駆動軸とを連結してモータの駆動力により給水堰を上下動させる駆動力伝達機構を備える。そして、この駆動力伝達機構は、モータの出力軸に連結される歯車機構と、歯車機構の下方に設けられ、上下動しない第1軸と第1軸に対して上下動可能な第2軸とからなる回転軸と、第2軸に連結された雄ねじと、筐体底部に設けられた雌ねじと、雄ねじの下部に結合された出力軸とを備える。
【0004】
また、従来のこの種の電動アクチュエータの他の例が特許文献2に開示される。特許文献2には、電動アクチュエータが予め一体化された給水装置が開示されている。特許文献2の給水装置は、上下動自在に配置した支持軸の下端に連結させたバルブ弁と、支持軸を上下動自在に螺合支持する支持部を有する大歯車と、大歯車と噛合連携して支持部を正逆回転させる小歯車を有するモータとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-70716号公報
【文献】特開平8-275684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、給水栓用と給水堰用とで異なる構造を有する電動アクチュエータを用いている。すなわち、送水制御装置の形式(種類)に応じた専用の電動アクチュエータを用意しなければならず、様々な形式の送水制御装置に取り付けることができない。
【0007】
一方、特許文献2の技術では、電動アクチュエータが送水制御装置に対して予め組み込まれた構造を有しており、電動アクチュエータを既存の送水制御装置に対して後付けで設置することができない。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、電動アクチュエータを提供することである。
【0009】
この発明の他の目的は、様々な形式の送水制御装置に取り付けることができる、電動アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、弁体または仕切体の変位により送水を制御する変位機構を有し、圃場への給水または圃場からの排水を制御するための給水装置または排水装置である送水制御装置に対し送水制御装置に対応したアダプタを介して取り付けられて、変位機構を作動させる電動アクチュエータであって、本体ケース、本体ケース内に設けられるモータ、本体ケース内に設けられ、モータの駆動を制御する制御部、円板状のギア部とギア部の軸中心を通って上下方向に延びる回転軸とを有し、モータからの駆動力によって回転するギア、および回転軸の下端部に設けられ、送水制御装置の軸またはアダプタの連結軸の上端部と回転不可に連結されて回転力を伝達するカップリング部を備え、回転軸は、ギアが回転すると共に回転し、送水制御装置の軸またはアダプタの連結軸を回転させるものであって、送水制御装置に対応したアダプタを装着可能として、弁体を備える送水制御装置または仕切体を備える送水制御装置のいずれにも取り付けられるようにした、電動アクチュエータである。
【0011】
第1の発明によれば、アダプタのみ送水制御装置に合わせたものを用意するだけで、様々な形式の送水制御装置に電動アクチュエータを後付けで取り付けることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、ギア部を間に挟むギアの両端部において、当該ギアを回転可能に保持する第1軸受および第2軸受からなる軸受を備える。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、軸に回転力を受けることで上下動する弁体または仕切体を備える第1送水制御装置に電動アクチュエータを取り付けるための第1アダプタ、または、上下方向の力を受けることで上下動する弁体または仕切体を備える第2送水制御装置に電動アクチュエータを取り付けるための第2アダプタのどちらも装着可能である。
【0014】
第4の発明は、第3の発明に従属し、第2アダプタを介して本体ケースが第2送水制御装置に固定されると共に、第2アダプタは、連結軸と連結軸の回転によって上下動する可動部とを備え、連結軸および可動部を介して回転軸と第2送水制御装置の弁体または仕切体とを連結する。
【0015】
第5の発明は、第4の発明に従属し、連結軸は、下部外周面に形成される雄ねじを有し、可動部は、雄ねじと螺合する雌ねじを有し、第2アダプタは、可動部に設けられ、当該可動部に対して第2送水制御装置の弁体または仕切体を連結固定するための固定部を備え、連結軸に対して軸線回りの回転力が加えられると、雄ねじと雌ねじとの送りねじ機構によって可動部および固定部が上下動する。
【0016】
第6の発明は、第3の発明に従属し、第1送水制御装置は、内ねじ弁棒非上昇式の仕切弁であって、本管部と立上部とからなる弁箱、および弁箱内に設けられ、弁棒の回転によって上下動する仕切体を備え、第1アダプタを介して本体ケースが弁箱に固定されると共に、弁棒の上端部に対して回転軸が回転不可に連結される。
【0017】
第7の発明は、第1から第6のいずれかの発明に従属し、回転軸は、送水制御装置の軸またはアダプタの連結軸の上下動に伴ってギアの軸方向に摺動可能である。
【0018】
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明に従属し、本体ケースに取り付けられる太陽電池パネル、および本体ケース内に設けられ、太陽電池パネルによって発電された電力を蓄電可能な蓄電池をさらに備える。
【0019】
第8の発明では、電動アクチュエータは、本体ケースに取り付けられる太陽電池パネルと、太陽電池パネルによって発電された電力を蓄電可能な蓄電池をさらに備える。
【0020】
第8の発明によれば、商用電源が確保し難い圃場においても、電動アクチュエータを適用可能となる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、アダプタのみ送水制御装置に合わせたものを用意するだけで、様々な形式の送水制御装置に電動アクチュエータを後付けで取り付けることができる。
【0022】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明の一実施例である電動アクチュエータを圃場の給水装置および排水装置に設置した様子を示す図解図である。
【
図2】この発明の一実施例である電動アクチュエータの外観を示す図解図である。
【
図3】
図2の電動アクチュエータの内部構造を示す図解図である。
【
図4】
図3のメインギア周辺部分を拡大して示す部分拡大図である。
【
図5】モータ負荷の低減効果を調べた実験結果を示すグラフである。
【
図7】
図2の電動アクチュエータを給水バルブに取り付けた様子を示す図解図である。
【
図9】
図2の電動アクチュエータを落水口に取り付けた様子を示す図解図である。
【
図10】
図2の電動アクチュエータを仕切弁に取り付けた様子を示す図解図である。
【
図11】
図2の電動アクチュエータを水位制御装置に取り付けた様子を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照して、この発明の一実施例である電動アクチュエータ10(以下、単に「アクチュエータ10」と言う。)は、モータ38、メインギア40および回転軸50などを備え、給水バルブ等の送水制御装置に取り付けられて、送水制御装置が有する変位機構を作動させる。この実施例では、アクチュエータ10は、圃場用給排水システム100(以下、単に「システム100」と言う。)に用いられ、送水制御装置の一例である給水装置104および排水装置106の双方に取り付けられる。すなわち、給水装置104が備える第1変位機構を作動させる第1電動アクチュエータ、および排水装置106が備える第2変位機構を作動させる第2電動アクチュエータとして、共にアクチュエータ10が用いられる。
【0025】
先ず、システム100について説明する。
図1に示すように、システム100は、圃場102の水管理を遠隔操作または予め記憶されたプログラムに基づく自動制御などによって行うための圃場用設備であり、給水装置104および排水装置106が設置される水田などの圃場102に適用される。なお、圃場102は、畦畔によって複数の耕作区に区画されており、給水装置104および排水装置106は、各耕作区に対して設置される。
【0026】
給水装置104は、耕作区(圃場102)への給水を制御するための装置であって、弁体または仕切体などを含む変位機構(第1変位機構)を有する。この実施例では、給水装置104として、一般的に広く普及しているR&R方式(軸回転に伴い軸が上下動する方式)のアルファルファ形の給水バルブを用いている。
【0027】
図1および
図7を参照して簡単に説明すると、給水装置104は、円筒状の弁箱120を備える。弁箱120の上半部は、ドーム状のキャップ122によって覆われており、弁箱120の側壁上部には、複数の出水窓124が周方向に並ぶように形成される。また、弁箱120の上端部には、内周面に雌ねじが形成された軸受126が設けられ、この軸受126には、キャップ122を貫通するように、外周面に雄ねじが形成された弁軸128が螺合されている。この弁軸128の下端には、下面に止水ゴム130aを有する円板状の弁体130が設けられる。また、弁箱120内の略中央部には、通水口132aを有する弁座132が設けられる。そして、弁軸128に対して軸線回りの回転力が加えられると、送りねじ機構によって弁軸128および弁体130が上下動し、弁座132の通水口132aが開閉される。すなわち、この実施例の給水装置104は、弁軸(支持棒)128の回転に伴い上下動する弁体130を含む第1変位機構を備える。
【0028】
このような給水装置104は、たとえば給水桝108内に配置され、用水パイプライン110または用水路などから分岐する分岐管112の下流側端部に取り付けられる。そして、給水装置104には、後述する第1アダプタ60を介してアクチュエータ10が取り付けられ、このアクチュエータ10によって給水装置104の第1変位機構(弁軸128および弁体130)が作動される。
【0029】
一方、排水装置106は、圃場102からの排水を制御するための装置であって、弁体または仕切体などを含む変位機構(第2変位機構)を有する。この実施例では、排水装置106として、水位設定機能を有する落水口を用いている。
【0030】
図1および
図9を参照して簡単に説明すると、排水装置106は、短円筒状のゴム製の受枠部材140と、受枠部材140に嵌入されて、受枠部材140によって上下動可能に支持される円筒状の仕切体(堰体)142とを備える。この仕切体142の上端開口は、排水口として機能する。そして、仕切体142に対して上下方向(軸方向)に力が加えられると、仕切体142が上下動して、排水口が任意の高さに調整される。すなわち、この実施例の排水装置106は、上下動可能に設けられる仕切体142を含む第2変位機構を備える。
【0031】
このような排水装置106は、たとえば排水桝114内に配置され、排水路116まで延びる排水管118の上流側端部に取り付けられる。そして、排水装置106には、後述する第2アダプタ70を介してアクチュエータ10が取り付けられ、このアクチュエータ10によって排水装置106の第2変位機構(仕切体142)が作動される。
【0032】
なお、
図1では、給水装置104を圃場102の一端側に配置し、排水装置106をその反対側に配置しているが、給水装置104および排水装置106の配置位置は、適宜変更可能である。たとえば、給水装置104と排水装置106とは、近傍位置に配置されていてもよい。
【0033】
また、この実施例におけるシステム100は、複数の耕作区を含むシステムとなっており、各耕作区に設置される給水装置104および排水装置106のそれぞれに取り付けられるアクチュエータ10のうち、少なくとも1つのアクチュエータ10が親機とされ、残りのアクチュエータ10は子機とされる。親機となるアクチュエータ10は、インターネット等のネットワークを介して、ユーザが所有するスマートフォン、タブレット端末、PDAおよびPCのような遠隔操作端末と無線通信可能に接続される。一方、子機となるアクチュエータ10は、特定小電力無線規格に従った無線通信方法によって、親機と直接、または他の子機を介して親機と無線通信可能に接続されており、親機を経由して、ユーザが所有する遠隔操作端末と無線通信可能に接続される。
【0034】
なお、この無線通信においては、クラウドコンピューティングを利用するとよい。たとえば、各アクチュエータ10で取得された情報(弁体の開閉度などの給水装置104または排水装置106の状態に関する情報、および圃場水位や気温などのセンサ情報など)をクラウドサーバに随時送信して記憶しておく。ユーザは、遠隔操作端末からクラウドサーバにアクセスすることで、各アクチュエータ10で取得された情報を確認し、遠隔操作端末を用いて各アクチュエータ10を遠隔操作することで、圃場102の水管理を行う。
【0035】
ただし、システム100は、必ずしも複数の耕作区に亘るシステムとする必要はなく、システム100が適用される圃場102は、少なくとも1つの給水装置104と1つの排水装置106とが設置される圃場であればよい。
【0036】
続いて、アクチュエータ10の構成について具合的に説明する。
図2-
図4に示すように、アクチュエータ10は、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂によって形成される本体ケース20を備える。この本体ケース20は、円筒状の側壁22と側壁22の上端部を封止する天壁24とを含む。側壁22の下端部は、段差状に縮径されており、この縮径部分が後述する第1アダプタ60または第2アダプタ70の上部開口に嵌入される嵌合部26となる。本体ケース20の高さ寸法は、たとえば300mmであり、本体ケース20の外径は、たとえば200mmである。
【0037】
本体ケース20の天壁24上面には、太陽電池パネル28が取り付けられる。太陽電池パネル28は、複数の太陽電池セルが強化ガラスおよび封止材などによって方形状にパッケージ化されたものであり、保持体30によって支持される。保持体30は、金属または樹脂などによって形成され、たとえば、太陽電池パネル28の周囲を覆うように設けられる方形枠状のフレーム30aと、フレーム30aの下面に設けられて、所定角度で屈曲する支持板30bとを備える。
【0038】
本体ケース20の内部には、制御盤32、アンテナ34、蓄電池36、モータ38およびメインギア40等が収容される。
【0039】
制御盤32には、図示は省略するが、CPUおよびメモリ等を含む制御部、他の機器と無線通信を行うための無線通信部、および主電源などのスイッチ等が配設される。制御部のCPUは、アクチュエータ10の全体制御を司り、メモリに記憶された制御プログラムに基づいて、モータ38等の駆動を制御する。無線通信部は、アンテナ34を介して、上述のようにユーザが所有する遠隔操作端末および他のアクチュエータ10等の外部機器と無線通信を行う。
【0040】
蓄電池36は、太陽電池パネル28によって発電された電力を蓄電するものである。モータ38は、蓄電池36に蓄えられた電力、つまり太陽電池パネル28によって発電された電力によって駆動される。このモータ38の出力軸38aの先端部には、小ギア42が設けられており、メインギア40は、この小ギア42と連結されることで、モータ38からの駆動力を受けて軸線回りに回転する。
【0041】
この実施例では、モータ38としてエンコーダ付きのモータが用いられる。モータ38のエンコーダは、出力軸38aの回転方向および回転数に応じたパルス信号を制御部のCPUに出力する。制御部のCPUは、エンコーダから入力されたパルス信号、つまり出力軸38aの回転方向および回転数に基づいて、給水装置104の弁体130または排水装置106の仕切体142などの位置を算出する。すなわち、エンコーダは、弁体130または仕切体142などの位置を検出する位置検出部として用いられる。ただし、位置検出部として機能するエンコーダは、必ずしもモータ38に設けられる必要はなく、エンコーダをメインギア40に設けて、メインギア40の回転方向および回転数に基づいて、弁体130または仕切体142などの位置を算出することもできる。さらに、制御盤32には、モータ電流値を検出する電流センサ(カレントトランス)等の電流値検出部が設けられており、電流値検出部における検出データは、制御部のCPUに入力される。
【0042】
メインギア40は、両ボス型のギアであり、上下方向に延びる円筒状の軸部(ボス部)40aと、外周面にギア歯が形成される円板状のギア部40bとを有する。本体ケース20の側壁22の下端部には、本体ケース20の底壁にもなる円板状の第1軸受44が設けられており、また、第1軸受44の上方には、複数の支持部46によって支持される円板状の第2軸受48が設けられている。そして、メインギア40の軸部40aの両端部は、これら第1軸受44および第2軸受48によって回転可能に保持される。
【0043】
メインギア40の軸部40aには、略円柱状の回転軸50が挿通される。つまり、回転軸50は、メインギア40の軸中心を貫通するように設けられる。この回転軸50の下端部には、給水装置104の弁軸128または後述する第2アダプタ70の連結軸80の上端部などと回転不可に連結されるカップリング部50aが形成される。
【0044】
また、メインギア40の軸部40aの内周面には、軸方向に沿って延びるキー溝(第1キー溝)40cが形成されると共に、回転軸50の外周面には、キー溝40cと嵌合される滑りキー(第1滑りキー)50bが軸方向に沿って延びるように形成される。このようなキー溝40cおよび滑りキー50bからなる滑りキー構造を有することによって、回転軸50は、メインギア40が回転すると共に回転し、かつメインギア40の軸部40aに対して軸方向に摺動可能となる。
【0045】
ここで、ギアと共に回転し、かつギアの軸方向に摺動可能となるように回転軸を設ける方法としては、スプライン構造またはセレーション構造を用いることも考えられる。しかしながら、スプライン構造またはセレーション構造では、回転軸の外周面に軸方向に沿って延びる複数の凹凸を切削加工し、さらに、ギアの軸部の内周面にも複数の凹凸を切削加工する必要があるために、製造コストが高くなる。そこで、この実施例では、上述のようにシンプルな構造の滑りキー構造を採用するようにしている。これによって、製造コストが大幅に低減できるからである。
【0046】
ただし、回転軸50は回転しながら上下動する、つまり回転軸50には捩りの力が作用するので、単に滑りキー構造を採用するだけでは、回転軸50の回転バランスが悪くなって回転軸50が適切に作動しなくなる恐れがある。
【0047】
そこで、この実施例では、メインギア40のギア部40bの下面と第1軸受44の上面との間に、第1スラストベアリング52を設け、メインギア40のギア部40bの上面と第2軸受48の下面との間に、第2スラストベアリング54を設けるようにしている。スラストベアリング52,54としては、公知のスラスト玉軸受などを用いるとよい。
【0048】
このようにスラストベアリング52,54を設けることによって、滑りキー構造を採用しながらも、回転軸50がバランスよく回転しながら上下動できるようになり、作動時の回転トルク、つまりモータ38に掛かる負荷を低減できる。これは特に、負荷が最大となる締め付け時(閉動作の最終)において効果を発揮する。したがって、モータ38の小型化および省電力化(節電)が可能となる。また、回転トルクが低減されることから、メインギア40、軸受44,48および回転軸50の耐久性も向上する。
【0049】
すなわち、滑りキー構造とスラストベアリング52,54とを組み合わせることによって、製造コストを低減しつつ、回転軸50をスムーズに作動させることが可能となる。
【0050】
図5には、この実施例のモータ負荷の低減効果を調べた実験結果を示す。この実験は、回転軸50に対して下向きの荷重を加えた状態で、モータ38に12Vの電圧を印加してメインギア40を回転させ、そのときのモータ電流値(つまり回転トルク)を測定したものである。この回転軸50に加える下向きの荷重は、アクチュエータ10を用いて給水バルブ等の閉動作を行ったときに、回転軸50に作用する力を想定したものである。なお、
図5のグラフには、比較例1および比較例2の実験結果を合わせて示す。比較例1は、スラストベアリング52,54の代わりにステンレス製のリング(滑り軸受)を設けたものであり、それ以外は、アクチュエータ10と同じ構成の電動アクチュエータである。比較例2は、スラストベアリング52,54の代わりにアルミニウム製のリングを設けたものであり、それ以外は、アクチュエータ10と同じ構成の電動アクチュエータである。
【0051】
図5に示すように、3種の比較では、この実施例のアクチュエータ10が最も電流値(つまり消費電力)が小さく、効率が良い。また、回転軸50に加える下向きの荷重を大きくするに従い、実施例と比較例1および2との差が顕著となり、40kgの荷重を加えた状態では、この実施例の消費電力は、比較例1および2の半分程度となる。すなわち、モータ負荷を低減する効率が大幅に上昇している。したがって、
図5に示す実験結果から、スラストベアリング52,54によるモータ負荷の低減効果が確認されたと言える。
【0052】
また、図示は省略するが、圃場102には、圃場水位を検出する超音波センサ等の水位センサ、気温を検出する温度センサ、気圧を検出する圧力センサ、土壌水分を検出する水分センサ等のセンサが適宜設けられる。各センサで検出された圃場水位や気温などのセンサ情報は、アクチュエータ10の制御部に入力される。
【0053】
次に、
図6を参照して、給水装置104にアクチュエータ10を取り付けるための第1アダプタ60の一例について説明する。
図6に示すように、第1アダプタ60は、円筒部62と、円筒部62の上端部から外方に突出する鍔状の第1接続部64と、円筒部62の下端部から内方に突出し、その中央部に通孔66aを有する円環板状の第2接続部66とを含む。第1接続部64には、周方向に並ぶ複数のボルト孔(図示せず)が形成される。また、第2接続部66にも、周方向に並ぶ複数のボルト孔(図示せず)が形成される。この第2接続部66のボルト孔は、周方向に長い長孔としてもよい。
【0054】
図7に示すように、第1アダプタ60を用いて給水装置104にアクチュエータ10を取り付けるときには、第1アダプタ60の円筒部62に対して本体ケース20の嵌合部26が嵌め込まれると共に、第1アダプタ60の第1接続部64とアクチュエータ10の本体ケース20の底壁とがボルト止めされる。また、第1アダプタ60の第2接続部66と給水装置104のキャップ122および軸受126とがボルト止めされる。この際、第2接続部66に形成されるボルト孔を周方向に長い長孔としておくことによって、第1アダプタ60およびアクチュエータ10は、給水装置104に対して周方向に角度調整可能となる。さらに、給水装置104の弁軸128の上端部は、第1アダプタ60の第2接続部66に形成される通孔66aから上方に突出されて、アクチュエータ10の回転軸50のカップリング部50aに対して回転不可に連結される。
【0055】
このようにアクチュエータ10が取り付けられた給水装置104では、たとえば、ユーザが遠隔操作端末を用いてアクチュエータ10に対して全閉、全開または任意の開度などを示す操作指示(制御信号)を送信すると、アクチュエータ10の制御部(CPU)は、操作指示に応じてモータ38を駆動させる。このモータ38の駆動力は、メインギア40に伝達されて、メインギア40が回転すると共に、回転軸50が回転する。これにより、回転軸50に固定的に連結された弁軸128に対して、回転力が付与される。回転力が加えられた弁軸128は、自身と軸受126との送りねじ機構によって上下動され、弁体130が全開位置および全閉位置などに移動される。また、回転軸50は、弁軸128の上下動に伴い、メインギア40の軸部40aを貫通するように上下動する。これによって、上下方向に大きなスペースを要することなく、弁軸128の上下動が吸収される。
【0056】
続いて、
図8を参照して、排水装置106にアクチュエータ10を取り付けるための第2アダプタ70の一例について説明する。上述のように、この実施例における排水装置106の仕切体142は、上下動可能に設けられているだけであり、それ自体は回転力を受けても上下動しない。このため、アクチュエータ10の回転軸50の回転力は、軸方向(上下方向)の力に変換して、排水装置106の仕切体142に伝達する必要がある。そこで、この第2アダプタ70については、ねじ機構によって上下動する可動部82を設けるようにし、連結軸80とこの可動部82とを介して回転軸50と仕切体142とを連結するようにしている。
【0057】
具体的には、
図8に示すように、第2アダプタ70は、第1アダプタ60と同様に、円筒部72と、円筒部72の上端部から外方に突出する鍔状の第1接続部74と、円筒部72の下端部から内方に突出し、その中央部に通孔76aを有する円環板状の第2接続部76とを備える。この第2接続部76に形成するボルト孔は、周方向に長い長孔にしておくとよい。
【0058】
また、第2接続部76の通孔76aには、円筒状の保持部78が設けられる。この保持部78には、アクチュエータ10の回転軸50と連結される連結軸80の上部が回転可能に挿通される。また、連結軸80の下部80aの外周面には、雄ねじが形成され、この連結軸80の下部80aには、内周面に雌ねじが形成された円筒状の可動部82が螺合されている。この可動部82には、可動部82に対して仕切体142を連結固定するための固定部84が設けられる。また、第2接続部76の下面側には、排水桝114の上端部にアクチュエータ10を載置するための台座86が設けられる。さらに、可動部82が連結軸80と共に回転(連れ回り)することを防止するための棒状の回り止め部88が、固定部84と台座86とを連結するように設けられる。このような第2アダプタ70において、連結軸80に対して軸線回りの回転力が加えられると、送りねじ機構によって可動部82および固定部84が上下動する。
【0059】
図9に示すように、第2アダプタ70を用いて排水装置106にアクチュエータ10を取り付けるときには、第2アダプタ70の円筒部72に対して本体ケース20の嵌合部26が嵌め込まれると共に、第2アダプタ70の第1接続部74とアクチュエータ10の本体ケース20の底壁とがボルト止めされる。また、排水桝114の上端部に台座86が取り付けられると共に、仕切体142に対して固定部84の端部がボルト止めされる。さらに、連結軸80の上端部は、アクチュエータ10の回転軸50のカップリング部50aに対して回転不可に連結される。
【0060】
このようにアクチュエータ10が取り付けられた排水装置106では、たとえば、ユーザが遠隔操作端末を用いてアクチュエータ10に対して排水口(仕切体142の上端開口)の高さ位置を変更する操作指示(制御信号)を送信すると、アクチュエータ10の制御部(CPU)は、操作指示に応じてモータ38を駆動させる。このモータ38の駆動力は、メインギア40に伝達されて、メインギア40が回転すると共に、回転軸50が回転する。これにより、回転軸50に固定的に連結された第2アダプタ70の連結軸80に対して、回転力が付与される。連結軸80に対して軸線回りの回転力が加えられると、連結軸80と可動部82との送りねじ機構によって可動部82が上下動し、これに伴い、可動部82に連結固定された仕切体142が所定の高さ位置に移動される。
【0061】
以上のように、この実施例によれば、メインギア40の軸中心を貫通するように回転軸50を設けているので、アクチュエータ10を小型化できる。
【0062】
また、メインギア40と共に回転しかつメインギア40の軸方向に摺動可能となるように回転軸50を設けるための構造として、滑りキー構造と共にスラストベアリング52,54を用いるので、製造コストを低減できる。また、回転軸50をスムーズに作動させることができるので、モータ38(延いてはアクチュエータ10)の小型化および省電力化が可能となる。
【0063】
さらに、取付アダプタ(第1アダプタ60および第2アダプタ70)のみ給水装置104および排水装置106に合わせたものを用意するだけで、給水装置104側と排水装置106側とには、同じ構造のアクチュエータ10を後付けで設置できるので、圃場内水管理の遠隔操作化または自動化を低コストで実現できる。
【0064】
なお、上述の実施例では、アクチュエータ10を取り付ける送水制御装置として、R&R方式のアルファルファ形の給水バルブ(給水装置104)と、落水口(排水装置106)とを例示しているが、これに限定されない。アクチュエータ10は、玉形弁、仕切弁および水門などの各種の送水制御装置に取り付けることができる。また、弁体または仕切体の変位により送水を制御する変位機構を有する送水制御装置であれば、アクチュエータ10を取り付ける送水制御装置は、圃場用ものに限定されない。
【0065】
一例として、
図10には、内ねじ弁棒非上昇式の仕切弁150に対してアクチュエータ10を取り付けた様子を示す。簡単に説明すると、
図10に示す仕切弁150は、本管部と立上部とからなる弁箱152を備え、この弁箱152内には、弁棒(支持棒)154の回転によって上下動する円板状の弁体(仕切体)156が設けられる。
【0066】
このような仕切弁150にアクチュエータ10を取り付けるための取付アダプタ200としては、上述の第1アダプタ60と同様のもの、すなわち、円筒部202と、円筒部202の上端部から外方に突出する鍔状の第1接続部204と、円筒部202の下端部から内方に突出し、その中央部に通孔する円環板状の第2接続部206とを含むものが用いられる。そして、仕切弁150の弁棒154の上端部に対して、アクチュエータ10の回転軸50が回転不可に連結される。アクチュエータ10の回転軸50から弁棒154に対して回転力が加えられると、弁棒154と弁体156との送りねじ機構によって弁体156が上下動して、弁箱152の本管部が開閉される。
【0067】
なお、
図10では、弁棒154が回転しても上下動しないタイプの仕切弁150を示しているが、仕切弁は、弁棒の回転に伴って弁棒自体も上下動するタイプ(弁棒上昇式)のものであってもよい。
【0068】
また、他の一例として、
図11には、圃場の地下水位を設定可能な水位制御器160に対してアクチュエータ10を取り付けた様子を示す。簡単に説明すると、
図11に示す水位制御器160は、外筒162と、外筒162内に設けられ、下端部が地下給水管に接続される内筒(図示せず)とを備える。この内筒には、上下動可能に設けられるスライド管(仕切体)164が設けられる。
【0069】
このような水位制御器160にアクチュエータ10を取り付けるための取付アダプタ210としては、上述の第2アダプタ70と同様のもの、すなわち、円筒部212、第1接続部214、第2接続部216、保持部218、連結軸220、可動部222、固定部224、外筒162の上端部にアクチュエータ10を載置するための台座226、および内管とスライド管164とを摺動可能に連結する回り止め部228等を備えるものが用いられる。そして、連結軸220および可動部222を介して、排水装置106のスライド管164とアクチュエータ10の回転軸50とが連結される。アクチュエータ10の回転軸50から連結軸220に対して回転力が加えられると、連結軸220と可動部222との送りねじ機構によって可動部222が上下動し、これに伴い、可動部222に連結固定されたスライド管164が所定の高さ位置に移動される。
【0070】
以上のように、アクチュエータ10は、取付アダプタのみ送水制御装置に合わせたものを用意するだけで、既存の様々な送水制御装置に後付けで設置することが可能である。
【0071】
また、上述の実施例では、メインギア40の軸部40aの内周面にキー溝40cを形成し、回転軸50の外周面に滑りキー50bを形成したが、この配置は逆であってもよい。つまり、メインギア40の軸部40aの内周面に滑りキーを形成し、回転軸50の外周面にキー溝を形成してもよい。
【0072】
さらに、上述の実施例では、1つのキー溝(第1キー溝)40cと滑りキー(第1滑りキー)50bを形成するだけであったが、これと反対側の周方向位置に、もう1つのキー溝(第2キー溝)と滑りキー(第2滑りキー)を形成するようにしてもよい。すなわち、メインギア40および回転軸50は、軸を中心として対称位置に配置される2つの滑りキー構造を有していてもよい。このようにメインギア40および回転軸50が2つの滑りキー構造を有することで、製造コストは少し高くなるが、回転軸50の回転バランスがよくなる。したがって、回転軸50がより安定的に作動(回転しながら上下動)できるようになる。
【0073】
さらにまた、上述の実施例では、メインギア40のギア部40bの下面と第1軸受44の上面との間に、第1スラストベアリング52を設け、メインギア40のギア部40bの上面と第2軸受48の下面との間に、第2スラストベアリング54を設けたが、これに限定されない。モータ38の負荷が最大となるのは、締め付け時(閉動作の最終)であり、この締め付け時に有効的に作用するのは第1スラストベアリング52である。したがって、第2スラストベアリング54は必ずしも設けられる必要はない。第2スラストベアリング54を設けない場合、たとえば、メインギア40のギア部40bの上面と第2軸受48の下面との間には、滑り軸受を設けておくこともできる。ただし、第1スラストベアリング52と共に第2スラストベアリング54を設けた方が、回転軸50がより安定的に作動(回転しながら上下動)できる。
【0074】
また、上述の実施例では、商用電源が確保し難い圃場102においてもアクチュエータ10を適用できるように、太陽電池パネル28および蓄電池36を備えるようにしたが、商用電源を使用できる環境に設置される場合には、必ずしも太陽電池パネル28および蓄電池36を備える必要はない。
【0075】
さらに、上述の
図8に示す取付アダプタ(第2アダプタ70)においては、送りねじ機構を設けるに際して、雌ねじ側を可動部として上下動させるようにしたが、雄ねじ側(連結軸側)を可動部として上下動させるようにして、この連結軸(可動部)によって回転軸50と仕切体142等とを連結することもできる。
【0076】
さらにまた、上述の実施例では、本体ケース20の天壁24上面に、フレーム30aと支持板30bとを備える保持体30を介して、太陽電池パネル28を取り付けるようにしたが、保持体30の形状ないし構成は適宜変更可能である。
【0077】
なお、この発明で言うスラストベアリング(スラスト軸受)には、スラスト荷重を主に受けるスラスト荷重専用の軸受以外にも、ラジアル荷重用途であるが、スラスト力も受けることができる、つまりスラスト力を受けながら回転を滑らかにする(回転抵抗を下げる)ことができる軸受を含むものとする。たとえば、第1スラストベアリング52および第2スラストベアリング54としては、深溝玉軸受および円錐ころ軸受などを用いることもできる。
【0078】
また、上で挙げた寸法などの具体的数値および具体的形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 …電動アクチュエータ
20 …本体ケース
28 …太陽電池パネル
32 …制御盤(制御部)
34 …アンテナ
36 …蓄電池
38 …モータ
40 …メインギア(ギア)
40c …キー溝(第1キー溝)
44,48 …軸受
50 …回転軸
50b …滑りキー(第1滑りキー)
52 …第1スラストベアリング
54 …第2スラストベアリング
100 …圃場用給排水システム
102 …圃場
104 …給水装置(送水制御装置)
106 …排水装置(送水制御装置)