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特許7057429ハンドヘルド医用超音波画像装置における人間工学的表示とアクティベーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】ハンドヘルド医用超音波画像装置における人間工学的表示とアクティベーション
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
A61B8/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020543355
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2019053607
(87)【国際公開番号】W WO2019158618
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/631,566
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ポーランド マッキー ダン
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/222964(WO,A1)
【文献】特開2017-208821(JP,A)
【文献】特開2011-067544(JP,A)
【文献】特開2008-027183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0038844(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0198132(US,A1)
【文献】特表2016-515903(JP,A)
【文献】特開2008-052062(JP,A)
【文献】特開2013-165923(JP,A)
【文献】特開2017-153584(JP,A)
【文献】特開2010-131396(JP,A)
【文献】特表2017-510868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波装置であって、
ハンドヘルドのためのサイズ及び形状であるハウジングと、
前記ハウジングの下面に配置され、患者の体に隣接して配置されている間に超音波データを取得するように構成される超音波トランスデューサアレイと、
前記ハウジングの上面に配置され、前記取得される超音波データから導出される医療情報を表示するように構成されるディスプレイと、
前記ハウジングの内部、又は前記ハウジングの周囲の側面に分布され、前記ハウジングの周囲の側面におけるオペレータの手の存在を検出するように構成される複数のセンサと、
前記ハウジング内に配置される計算装置であって、前記計算装置は、前記超音波トランスデューサアレイ、前記ディスプレイ、及び複数の前記センサと通信し、前記計算装置は、
前記複数のセンサを監視し、
前記ハウジングの周辺の第1のエッジにおける前記複数のセンサのうちの第1のセンサからの読み取り値が前記オペレータの親指に対する閾値を超えるかを決定し、
前記第1のエッジが前記オペレータの前記親指によって把持されていると決定することによって、前記第1のセンサからの前記読み取り値に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のエッジを主エッジとして設定し、
前記主エッジが前記ディスプレイの下部になるように前記ディスプレイ上に前記医療情報を方向付ける
ように動作可能である、計算装置と
を有する、超音波装置。
【請求項2】
前記計算装置はさらに、
前記第1のセンサからの前記読み取り値が前記閾値を超えると決定されることに従って、前記超音波装置をスリープモードからアクティブモードに切り替える
ように動作可能である、請求項1に記載の超音波装置。
【請求項3】
前記超音波装置は、前記スリープモード中に前記複数のセンサを監視するのに十分な電力のみを消費する、請求項2に記載の超音波装置。
【請求項4】
前記計算装置はさらに、
前記超音波装置を前記スリープモードから前記アクティブモードへ切り替えることに応答して、前記ディスプレイの電源をオンにする
ように動作可能である、請求項2に記載の超音波装置。
【請求項5】
前記計算装置はさらに、
第2のエッジにおける第2のセンサからの読み取り値が、前記第2のエッジは親指以外の前記オペレータの指で把持されることを示すと決定する
ように動作可能である、請求項1に記載の超音波装置。
【請求項6】
前記計算装置はさらに、
第3のエッジにおける第3のセンサからの読み取り値が、前記第3のエッジは前記オペレータの手の指間水かきによって接触されることを示すと決定する
ように動作可能である、請求項1に記載の超音波装置。
【請求項7】
前記複数のセンサが静電容量センサである、請求項1に記載の超音波装置。
【請求項8】
加速度計をさらに備え、前記計算装置は、前記加速度計からの読み取り値に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のエッジを前記主エッジとして設定するように動作可能である、請求項1に記載の超音波装置。
【請求項9】
前記計算装置は、
前記超音波トランスデューサアレイをアクティブにして、超音波データを取得する
ように動作可能である、請求項1に記載の超音波装置。
【請求項10】
ハンドヘルド超音波装置を操作する方法であって、前記ハンドヘルド超音波装置は、
ハンドヘルドのためのサイズ及び形状であるハウジングと、
前記ハウジングの下面に配置され、患者の体に隣接して配置されている間に超音波データを取得するように構成される超音波トランスデューサアレイと、
前記ハウジングの上面に配置され、前記取得される超音波データから導出される医療情報を表示するように構成されるディスプレイと
を有し、
前記ハンドヘルド超音波装置の計算装置によって、前記ハウジングの内部、又は前記ハウジングの周囲の側面に分布される複数のセンサを監視するステップと、
前記計算装置によって、前記ハウジングの第1のエッジにおける前記複数のセンサのうちの第1のセンサからの読み取り値がオペレータの親指に対する閾値を超えるかを決定するステップと、
前記計算装置によって、前記第1のエッジが前記オペレータの前記親指によって把持されていると決定することにより、前記第1のセンサからの前記読み取り値に少なくとも部分的に基づいて、前記第1のエッジを主エッジとして設定するステップと、
前記計算装置によって、前記主エッジが前記ディスプレイの下部にあるように前記ディスプレイを方向付けるステップと
を有する、方法。
【請求項11】
前記計算装置によって、前記第1のセンサからの前記読み取り値が前記閾値を超えると決定されることに応答して、前記ハンドヘルド超音波装置をスリープモードからアクティブモードに切り替えるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のエッジが前記オペレータの前記親指で把持されていると決定するステップは、前記第1のセンサからの前記読み取り値が第2のセンサからの前記読み取り値を超えると決定するステップを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のエッジが前記オペレータの前記親指によって把持されると決定するステップは、保存される利き手を参照するステップを有する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ハンドヘルド医用スキャン装置に関し、特に、ユーザがハンドヘルド医用スキャン装置上で持っているグリップに少なくとも部分的に基づいてディスプレイ上の医療情報を方向付けるように構成されるハンドヘルド医用スキャン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術が長年にわたって進歩しているので、たとえば、磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、X線、蛍光透視法、血管造影法、超音波など、いくつかの異なる撮像モダリティが開発され、医師が患者を外科的に開かなくても、患者の体内の解剖学的構造を見ることができるようになった。超音波の場合、超音波は超音波トランスデューサから患者の体内に放出される。超音波は、患者の体内の組織構造、赤血球、その他の特徴から生じる不連続性によって部分的に反射される。反射波からのエコーは超音波トランスデューサによって受信され、超音波画像を生成するために処理される。超音波画像は一般に、医師が見るためにディスプレイに出力される。表示される画像のレビューは、医師の診断と治療計画において不可欠な役割を果たすことがよくある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の実施形態は、ハンドヘルド医用スキャン装置のディスプレイ上で医療情報を方向付け、その活性化を制御するための改善されるシステム及び方法を提供する。その点に関して、本開示は、ハンドヘルド医用スキャン装置を握っているユーザの手を検出するように構成される複数のセンサを特徴とするハンドヘルド医用スキャン装置を提供する。ハンドヘルド医用スキャン装置は、ユーザの手がハンドヘルド医用スキャン装置と接触していることを示すセンサの読み取り値に応答して、低エネルギースリープモードからアクティブモードに切り替わるように構成され得る。ユーザの手が検出されるまで低エネルギーモードを維持すると、ハンドヘルド医用スキャン装置が使用されていない期間のエネルギー消費を削減することによって、有利なことにバッテリの寿命を延ばすことができる。さらに、ハンドヘルド医用スキャン装置は、センサからの読み取り値に基づいてユーザの手の位置を決定し、決定されるユーザの手の位置に基づいてディスプレイ上に医療情報を向けることができる。たとえば、ハンドヘルド医用スキャン装置は、ユーザの親指の位置を決定し、ディスプレイ上の医療情報を方向付けるので、ハンドヘルド医用スキャン装置がユーザにより保持されるとき、情報ウィンドウの下部はユーザの親指と同じ側になる。多くの場合、ユーザの好みの表示方向は、ディスプレイの情報ウィンドウの下部がユーザの親指と同じ側にある場合である。したがって、この方法でディスプレイ上の情報ウィンドウを自動的に方向付けることで、ユーザは便利なことに、ハンドヘルド医用スキャン装置自体の向きを気にせずにハンドヘルド医用スキャン装置を持ち上げることができ、それでもディスプレイがユーザの好みの表示向きになると確信できる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、超音波撮像装置が開示される。超音波画像装置は、ハンドヘルド用に構成されるハウジング、ハウジングに結合され、患者の体に隣接して配置されるときに超音波(撮像)データを取得するように構成される超音波トランスデューサアレイ、ハウジングに結合されるディスプレイ、分布ハウジングの周辺にあり、オペレータの手がハウジングの周りに配置されるときを検出するように構成される複数のセンサ、ハウジング内に配置されている計算装置を有する。計算装置は、超音波トランスデューサアレイ、ディスプレイ、及び複数のセンサと通信している。計算装置は、複数のセンサを監視し、ハウジングの周辺の第1のエッジにおける複数のセンサのうちの第1のセンサからの読み取り値が閾値を超えるかを決定し、少なくとも部分的に第1のセンサからの読み取り値に基づいて少なくとも第1のエッジを主エッジとして設定し、主エッジがディスプレイの情報ウィンドウの下部になるようにディスプレイ上の医療情報を方向付ける。
【0005】
いくつかの実施形態では、計算装置はさらに、第1のセンサからの読み取り値が閾値を超えるとの決定に応答して、超音波撮像装置をスリープモードからアクティブモードに切り替えるように動作可能である。いくつかの実施形態では、超音波撮像装置は、スリープモード中に複数のセンサを監視するのに十分な電力のみを消費する。いくつかの実施形態では、計算装置はさらに、超音波撮像装置をスリープモードからアクティブモードに切り替えることに応答して、ディスプレイの電源を入れるように動作可能である。いくつかの実施形態では、計算装置はさらに、第1のセンサからの読み取り値に少なくとも部分的に基づいて、第1のエッジがオペレータの親指によって握られると決定するように動作可能である。いくつかの実施形態では、計算装置はさらに、第2のエッジにおける第2のセンサからの読み取り値が、親指以外のオペレータの指によって第2のエッジが握られることを示すと決定するように動作可能である。いくつかの実施形態では、計算装置はさらに、第3のエッジでの第3のセンサからの読み取り値が、第3のエッジがオペレータの手の指間ウェビングによって把持されていることを示すと決定するように動作可能である。いくつかの実施形態では、複数のセンサは静電容量センサである。いくつかの実施形態では、超音波装置は加速度計をさらに備え、計算装置は、少なくとも部分的に加速度計からの読み取り値に基づいて第1のエッジを主エッジとして設定するように動作可能である。いくつかの実施形態では、計算装置は、超音波トランスデューサアレイをアクティブ化して超音波(撮像)データを取得するように動作可能である。
【0006】
一実施形態では、ハンドヘルド超音波撮像装置を動作させる方法が開示される。この方法は、前記ハンドヘルド超音波装置の計算装置によって、前記ハンドヘルド超音波撮像装置のハウジングの周辺に分布される複数のセンサを監視するステップと、前記計算装置によって、前記ハウジングの第1のエッジにおける第1のセンサからの読み取り値が閾値を超えるかを決定するステップと、前記計算装置によって、前記第1のセンサからの前記読み取り値に少なくとも部分的に基づいて前記第1のエッジを主エッジとして設定するステップと、計算装置によって、主エッジがディスプレイの下部にあるように、超音波ベースの血行力学的パラメータ及び/又は超音波画像を含む、ハンドヘルド超音波装置のディスプレイの情報ウィンドウを方向付けるステップとを有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のセンサからの読み取り値が閾値を超えるとの決定に応答して、計算装置によって、ハンドヘルド超音波撮像装置をスリープモードからアクティブモードに切り替えるステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のエッジを主エッジとして設定するステップは、計算装置によって、第1のエッジがオペレータの親指によって握られると決定するステップを含む。いくつかの実施形態では、第1のエッジがオペレータの親指によって握られると決定するステップは、第1のセンサからの読み取り値が第2のセンサからの読み取り値を超えると決定するステップを含む。いくつかの実施形態では、第1のエッジがオペレータの親指で握られると決定するステップは、保存される利き手選好を参照するステップを含む。
【0008】
本開示のさらなる態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0009】
本開示の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本開示の態様による、ハンドヘルド医用スキャン装置の概略上面図である。
図1B】本開示の態様による、ハンドヘルド医用スキャン装置の概略斜視図である。
図1C】本開示の態様による、ハンドヘルド医用スキャン装置の概略側面図である。
図2】本開示の態様による、ハンドヘルド医用スキャン装置の概略図である。
図3A】本開示の態様による、第1のグリップに保持されている間、情報ウィンドウ内に超音波(撮像又は監視)データを表示するハンドヘルド医用スキャン装置の概略上面図である。
図3B】本開示の態様による、第2のグリップに保持されている間に超音波(撮像又は監視)データを表示するハンドヘルド医用スキャン装置の概略上面図である。
図4】本開示の態様による、方法のフローチャートである。
図5】本開示の態様による、方法の他のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の原理の理解を促進する目的で、図面に示される実施形態が参照され、それを説明するために特定の言語が使用される。それにもかかわらず、本開示の範囲に対する限定が意図されていないことが理解される。記載される装置、システム、及び方法に対する任意の変更及びさらなる修正、ならびに本開示の原理の任意のさらなる適用は、本開示が関係する当業者が通常行うように、完全に企図され、本開示内に含まれる。特に、一実施形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実施形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わせることができることが十分に企図される。しかしながら、簡潔にするために、これらの組み合わせの多数の反復は個別に説明されない。
【0012】
本開示の態様は、ハンドヘルド医用スキャン装置の上面に電子的に回転可能なディスプレイと、ハンドヘルド医用スキャン装置の底面にアクティブな医用スキャナコンポーネントとを有するハンドヘルド医用スキャン装置に関する。医用スキャナコンポーネントは、使用時に患者と接触する場合がある。ハンドヘルド医用スキャン装置は、(例えば、図1Aに示されるように)丸みを帯びた正方形の形をとることができる。本明細書でエッジとも呼ばれる、ハンドヘルド医用スキャン装置の側面は十分に厚く、装置を保持する最も自然な方法がその側面によるものであるように、他の寸法は十分に小さくてよい。ハンドヘルド医用スキャン装置がこの方法で保持されている場合、底面の医用スキャナコンポーネントが患者の体に押し付けられている間、ユーザはディスプレイを見ることができる。したがって、ユーザの手は、部分的にハンドヘルド医用スキャン装置を囲むので、ユーザの親指、指間ウェビング、及び人差し指が、ハンドヘルド医用スキャン装置の4つの側面の3つに触れて、快適なグリップを形成する。そのようなグリップでは、ユーザの手の指間ウェビングは、含まれているエッジ、つまりユーザの親指でつかんだエッジの反対側のユーザの人差し指でつかんだエッジとユーザの親指でつかんだエッジの間のエッジにあると言える。
【0013】
本開示の一態様は、ディスプレイの情報ウィンドウを自動的に配向することに関し、表示されるテキスト/画像が、それを使用しながら、例えば超音波スキャンを実行しながら、ハンドヘルド医用スキャン装置を保持するユーザに理解できる。その点で、ハンドヘルド医用スキャン装置は、どのエッジが回転可能なディスプレイの下部にあるべきかを決定することができる。ハンドヘルド医用スキャン装置が回転可能なディスプレイ(情報ウィンドウ)の下部にあるべきであると決定するエッジは、本明細書では主エッジと呼ばれる。ハンドヘルド医用スキャン装置は、回転可能なディスプレイを回転させることができるので、主エッジが回転可能なディスプレイの下部にある。例えば、ユーザのグリップ及び/又は加速度計の読み取り値に基づいて、主エッジを識別するためのいくつかの技法が、本明細書で説明される。
【0014】
たとえば、一般的なグリップでは、ユーザの親指は回転可能なディスプレイの下部にあるはずのエッジにある。これは、ユーザがハンドヘルド医用スキャン装置を左手で持っているか右手で持っているかにかかわらず当てはまり、ユーザが自分自身又は他の人をスキャンしている場合にも当てはまる。ユーザの親指で握ったエッジが回転可能なディスプレイの下部にある必要があることは、ハンドヘルド医用スキャン装置で画像を撮っている間に装置が患者に接触していても、撮像後の結果を空中で持ち上げて見やすいようにしても同じである。したがって、ハンドヘルド医用スキャン装置は、ユーザの親指でどちらのエッジをつかんでいるかを判断することで、主エッジを識別できる。ハンドヘルド医用スキャン装置は、回転可能なディスプレイを有利に方向付けるので、ユーザの親指によって握られたエッジ、例えば、主エッジがディスプレイの下部にあるようにすることができる。これら及び他の態様は、本明細書の以下でより詳細に論じられる。
【0015】
次に、図1A乃至1Cを参照すると、本開示の態様による、ハンドヘルド医用スキャン装置102の様々な概略図が示されている。図示のように、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、複数のセンサ104、スキャン(撮像)要素110、ディスプレイ112、基準マーク116、及び長さ120、幅121、及び深さ122を有するハウジング118を含むことができる。複数のセンサ104は、ハウジング118の内部に配置され、その周辺に分布されてもよい。ディスプレイ112及び撮像素子110は、ハンドヘルド医用スキャン装置102の上面及び底面にそれぞれ配置されてもよい。ハンドヘルド医用スキャン装置102及びその様々な特徴の追加の態様は、以下でより詳細に説明される。
【0016】
ハンドヘルド医用スキャン装置102は、スキャン(撮像)要素110を介して患者の解剖学的構造の医用データ又は画像を取得するように動作可能であり得る。例えば、スキャン(撮像)要素110は、検査又は撮像する領域を覆う患者の皮膚に接触又は近接して配置され得る。それから、スキャン要素110は、1つ又は複数のタイプのエネルギーを放出し、患者の体構造によって反射されるエネルギーを受け取ることができる。この反射エネルギーを使用して、患者の解剖学的構造の代表的なデータ(画像など)を形成できる。その点で、スキャン要素110は、赤外線スキャナ、超音波スキャナ、光学撮像要素、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)スキャナ、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ、X線スキャナ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。したがって、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、熱データ、超音波データ、光学データ、OCT画像、CT画像、及びX線画像の任意の組み合わせを取得することができる。特に、スキャン要素110が超音波スキャナを含む場合、スキャナ要素110は、患者の体組織に超音波を放射するように構成される1つ又は複数の超音波トランスデューサを含むことができる。超音波は、組織構造、赤血球、及び患者内の他の特徴から生じる不連続性によって部分的に反射される場合がある。反射される超音波からのエコーは、超音波トランスデューサによって受信され、取得される超音波データに基づいて、血行力学的パラメータを導き出し、及び/又は超音波画像を生成するために、ハンドヘルド医用スキャン装置102、特にプロセッサ206によって処理され得る。その点で、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、超音波(撮像)装置と呼ぶことができる。
【0017】
超音波素子110は、1つ又は複数の超音波トランスデューサを含むことができる。例えば、複数の超音波トランスデューサをアレイに配置することができる。例えば、超音波トランスデューサアレイは、2つのトランスデューサと1000のトランスデューサとの間の適切な数の個々のトランスデューサを含めることができ、2つのトランスデューサ、4つのトランスデューサ、36のトランスデューサ、64のトランスデューサ、128のトランスデューサ、500のトランスデューサ、812のトランスデューサのような値、及び/又は大きい値と小さい値の両方の他の値が含まれる。超音波素子110は、平面アレイ、湾曲アレイなどを含むフェーズドアレイなどの任意の適切な構成とすることができる。たとえば、超音波素子110は、一次元アレイ、1.5次元アレイのような1.x次元アレイ、又は場合によっては2次元アレイとすることができる。その点に関して、超音波トランスデューサ又はトランスデューサアレイ110は、患者の解剖学的構造の1次元、2次元、及び/又は3次元画像を取得するように構成され得る。超音波素子110は、均一に又は独立して制御及び起動することができる超音波素子の1つ又は複数のセグメント(たとえば、1つ又は複数の行、1つ又は複数の列、及び/又は1つ又は複数の向き)を含むマトリクスアレイとすることができる。超音波素子110は、圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)、容量性マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)、単結晶、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、PZT複合材料、他の適切なトランスデューサタイプ、及び/又はそれらの組み合わせを含む、任意の適切なトランスデューサタイプを含むことができる。
【0018】
取得される医用データ及びそこから導出される血行力学的パラメータ又は患者の解剖学的構造の画像、例えば超音波画像は、レビューのためにディスプレイ112に出力され得る。場合によっては、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、取得したデータ(画像)を分析し、その所見をディスプレイ112に出力することができる。例えば、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、画像内の関心領域を強調表示し、画像内の関心領域の測定値を表示し、血行力学的値(駆出率や心拍出量など)又は/及びその経時変化(波形)を表示し、値や画像、又はそれらの組み合わせに基づいて推奨を行うことができる。出力される所見は、それらが関連する画像に重ねて表示し、又は個別に表示することもできる。
【0019】
ハンドヘルド医用スキャン装置102は、治療計画、投薬スケジュール、試験結果、予約スケジュール、進捗レポート、アーカイブされる画像、患者の履歴、又はそれらの組み合わせなどの他の医用データをディスプレイの情報ウィンドウに表示するようにさらに動作可能であり得る。そのような医用データは、ハンドヘルド医用スキャン装置102自体に保存されてもよく、又は例えば、病院記録システムにリモートで保存されてもよい。この点に関して、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ユーザがハンドヘルド医用スキャン装置102を使用してリモートに保存される医用データにアクセスできるようにするために、病院記録システムとの無線通信を容易にする無線周波数トランシーバを備えることができる。
【0020】
ハンドヘルド医用スキャン装置102のユーザは、1つ又は複数のボタン及び/又はディスプレイ112を介して、ハンドヘルド医用スキャン装置102の動作を制御するための命令を入力することができる。この点に関して、ディスプレイ112は、容量性又は抵抗性タッチスクリーンを含むことができ、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)として機能することができる。ユーザは、ディスプレイ112上でタッチベースの命令を発行して、波形の1つ又は複数の領域で、例えば超音波画像にズームインするため、1つ以上のプリファレンス、たとえば利き手プリファレンスを入力するため、患者の年齢、体重、性別などの情報を入力するため、医療データにアクセスするため、スキャン要素110によるスキャンをアクティブ化または非アクティブ化するため、又はそれらの組み合わせのため、さまざまな画面とホーム画面とを切り替えることができる。
【0021】
ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ハンドヘルド用途のためのサイズ及び形状であり得る。正方形又は丸みを帯びた正方形の周辺を有するものとして様々に示されているが、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、場合によっては、円形の周辺、三角形の周辺、長方形の周辺、五角形の周辺、六角形の周辺、又は他の何らかの周辺を有し得る。ハウジング118は、撮像操作及び/又は他の操作が行われている間、ユーザが片手又は両手でハンドヘルド医用スキャン装置102をしっかりと把持できるようにするのに適した長さ120、幅121、及び深さ122を有することができる。特定の例として、限定はしないが、ハウジング118は、7センチメートルの長さ120、7センチメートルの幅121、及び2センチメートルの厚さを有することができる。そのような寸法は、実質的にすべてのユーザによる単一のハンドグリップでハンドヘルド医用スキャン装置102を有利に使用できるようにする。ユーザは、ハウジング(筐体)118の一方の側面に親指を、ハウジング118の反対側の側面に人差し指で、ハンドヘルド医用スキャン装置102を握ることにより、ハンドヘルド医用スキャン装置102を片手で握り続けることができる。本明細書では、ハウジング118の側面をエッジと呼ぶことがある。
【0022】
ハウジング118内のセンサ104は、ハンドヘルド医用スキャン装置102がユーザの手でいつ握られたかを検出するように構成され得る。その点で、センサ104は、ハウジング118の内部に配置され、その周辺に分布され得る。センサ104は、ハウジング118の側面を構成するハウジング材料内、ハウジング118の側面を構成するハウジング材料のすぐ後ろ、又はそれらの組み合わせで、ハウジング118の側面に配置され得る。したがって、センサ104は、ユーザの手の皮膚と直接接触する場合があり、又はハウジング材料の層によってユーザの皮膚との直接接触から分離される場合がある。場合によっては、ハウジング118の側面は、ハウジング118の他の領域と比較して減少したハウジング材料厚さの1つ以上の領域を含み得る。センサ104は、ハウジング118の周りのユーザの手の存在を検出するセンサ104の能力に関するハウジングの影響を低減するために、減少したハウジング材料厚さのこれらの領域内に配置され得る。センサ104は、ハウジング118の内部に配置され、ハウジング118の周辺に巻き付けられる単一のフレキシブル回路によって接続されてもよく、又はセンサ104は、独立したユニットであってもよい。図1B及び1Cは、ハウジング118の各側面の2つのセンサ104を示すが、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、各側面に1つのセンサ104、各側面に3つのセンサ104、各側面に4つのセンサ104、各側面に5つのセンサ104、各側面の他のいくつかのセンサ104、又はそれらの組み合わせを含み得る。場合によっては、側面の全体に沿って検出機能を提供するように、センサ104の数を選択することができる。センサ104は、熱センサ、容量センサ、インピーダンスセンサ、指紋リーダー、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0023】
ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ユーザのグリップが検出されるまでスリープモードに留まるように構成されてもよい。スリープモードは、ハンドヘルド医用スキャン装置102が使用されていない時間の間のエネルギー消費を低減することにより、バッテリ寿命を有利に節約するように構成される低エネルギーモードであり得る。スリープモードにある間、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、センサ104を監視するのに十分な電力のみを消費する場合がある。したがって、場合によっては、ハンドヘルド医用スキャン装置102がスリープモードにある間、電池寿命が1、2、3又はそれ以上の月数に延長される場合がある。ハンドヘルド医用スキャン装置102は、センサ104がユーザの手を検出することなく、閾値時間が経過した場合、スリープモードに入るように構成されてもよい。例えば、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、1秒、2秒、5秒、10秒、30秒、1分、2分、5分、10分、又は他の数時間の間、接触がなくなった後にスリープモードに入ることができる。
【0024】
ハンドヘルド医用スキャン装置102がどれくらい速くスリープモードに入るかは、例えば、バッテリ寿命などの1つ又は複数の装置メトリックに基づいて可変であってもよい。例えば、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、バッテリ寿命が短い場合、より早くスリープモードに入ることができる。場合によっては、ハンドヘルド医用スキャン装置102がどれくらい速くスリープモードに入るかは、バッテリ寿命とともにリアルタイムで変化してもよいので、バッテリ寿命の何れかの変化は、ハンドヘルド医用スキャン装置102がどれくらい速くスリープモードに入るのかにおける変化をもたらす。他の場合では、1つ又は複数の閾値を確立することができ、電池寿命の閾値を超えると、ハンドヘルド医用スキャン装置102がスリープモードに入る速度が変化する。
【0025】
ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ユーザがハンドヘルド医用スキャン装置102を握ったことをセンサ104が検出することに応答して、スリープモードからアクティブモードに切り替えるように構成され得る。アクティブモードは、追加の装置機能がアクティブであるモードにあり得る。例えば、アクティブモードでは、ユーザはプリファレンス、例えば利き手プリファレンス又はスリープモード又はアクティブモードにどれだけ早く入ることができるかを入力又は修正でき、ローカル及び/又はリモートで保存される医用データをレビューできる。場合によっては、アクティブモードは、すべての装置機能がアクティブなモードであってもよい。ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ユーザがハンドヘルド医用スキャン装置102を一定時間、例えば、一瞬より長く、0.5秒、1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、又はその他の時間の間に把持した後にのみ、スリープモードからアクティブモードに切り替えるように構成されてもよい。上記と同様に、ハンドヘルド医用スキャン装置102がスリープモードからアクティブモードに切り替わる速さは、1つ以上の装置メトリクス、例えば、バッテリ寿命に基づいて変化し得る。例えば、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、バッテリ寿命がより低いとき、よりゆっくりとアクティブモードに入ることができる。場合によっては、ハンドヘルド医用スキャン装置102がアクティブモードに入る速度がバッテリ寿命とともにリアルタイムで変化してもよいので、バッテリ寿命のいかなる変化も、ハンドヘルド医用スキャン装置102がアクティブモードに入る速さの変化をもたらす。他の場合では、1つ又は複数の閾値を確立することができ、バッテリ寿命の閾値を超えると、ハンドヘルド医用スキャン装置102がアクティブモードに入る速度は変化する。
【0026】
ハンドヘルド医用スキャン装置102は、特定のグリップ、例えば、反対側の側面を握っているユーザの親指と人差し指を決定できるかに関係なく、グリップが検出されるとき、スリープモードからアクティブモードに切り替わり得る。その点に関して、任意の側面又は側面の任意の組み合わせのセンサ104が、ユーザの手は1つ又は複数の側面と接触したことを示す読み取り値を生成するとき、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、スリープモードからアクティブモードに切り替わり得る。ユーザは、最初に、特定のグリップを識別できないような態様で、ハンドヘルド医用スキャン装置102を取り上げてもよい。たとえば、場合によっては、ユーザが快適な作業グリップで判断する前に1回以上変更又は調整されてもよい無計画なグリップ又は一貫性のないグリップを使用してハンドヘルド医用スキャン装置102をユーザがすばやく持ち上げるとき、特定のグリップは識別されないことがある。そのような場合、特定のグリップが決定される前であっても、ハンドヘルド医用スキャン装置102をスリープモードからアクティブモードに切り替えることは有利なので、ユーザがグリップについて決定するとすぐにユーザはアクティブモードの装置機能にアクセスできる。
【0027】
他の場合、例えば、ハンドヘルド医用スキャン装置102の電池残量が特に少ない場合、たとえ特定のグリップが識別され得なくても、たとえばどの指がどの顔に接触しているかが識別され得なくても、ハンドヘルド医用スキャン装置102が特定のグリップを検出するか、又は反対側の側面でのユーザの手の接触を検出するとき、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、スリープモードからアクティブモードにのみ切り替わることができる。このようにアクティブモードに切り替えると、ハンドヘルド医用スキャン装置102がより長くスリープモードに留まることが可能になり、したがって、有利なことにバッテリ寿命を節約し、使用中にハンドヘルド医用スキャン装置102がバッテリ切れになるリスクを制限する。
【0028】
ハンドヘルド医用スキャン装置102は、場合によってはスリープモードであっても、バッテリ寿命などの1つ又は複数の装置メトリックを追跡し、現在のメトリックに基づいてその動作を変更することができる。例えば、上記で示唆したように、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、特定のグリップは電池残量が少なくないときに特定のグリップを決定できるかに関係なく、何れかのグリップが検出されるとき、スリープモードからアクティブモードに切り替わり、ハンドヘルド医用スキャン装置102の電池残量が少ないとき、特定のグリップ又は反対側の側面とのユーザの接触が検出される場合にのみ、スリープモードからアクティブモードに切り替わることができる。バッテリの寿命は、50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、撮像プロシージャに対して消費される平均量の5%以内、1回の使用の間に消費される平均量の5%以内、又はそれらの組み合わせになるとき低くなる。
【0029】
ユーザの手がハンドヘルド医用スキャン装置102と接触しているか否かは、センサ104からの読み取り値を閾値読み取り値、保存されるプロファイル、又はそれらの組み合わせと比較することによって決定され得る。例えば、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ユーザの手がハンドヘルド医用スキャン装置102と接触していると判定し、静電容量の読み取り値が閾値を超えるとの判定に応答して、インピーダンスの読み取り値が閾値を超えるとの判定に応答して、熱の読み取り値が閾値を超えるとの判定に応答して、検出される指紋がユーザプロファイルに保存されている指紋と一致するかの判定に応答して、又はその組み合わせに応答して、スリープモードからアクティブモードに入り得る。
【0030】
ユーザがハンドヘルド医用スキャン装置102を握ると、ユーザは、撮像操作を実行したり、医用データを検討したりすることを望むかもしれない。これらの活動は、超音波で導出される超音波誘導血行動態パラメータ及び/又は超音波画像を含む情報ウィンドウを表示するディスプレイ112をユーザが観察し、それと対話することを含み得る。多くの場合、ユーザの好みの表示方向は、ディスプレイ112の情報ウィンドウの下部がユーザの親指と同じ側にあるときである。本明細書で使用される用語として、ディスプレイ112の下部は、ディスプレイ112を構成する物理ハードウェアの下部を指すのではなく、コンテンツの従来の視聴方向によって決定される、ディスプレイ112にコンテンツが表示される下部に対応するディスプレイ112の側面を指す。例えば、ディスプレイ112に表示される英語のテキストの場合、従来の表示方向は、英語を話すユーザが、ディスプレイ112にテキストを表示しながらユーザの左からユーザの右に単語ごとに進むことによってテキストを読み、理解することができるものである。この例では、コンテンツの下部は、複数行のテキストの場合、テキストの最後の行であるが、テキストが従来の表示方向で表示されるとき、コンテンツの上部は、テキストの最初の行である。この例では、テキストの最終行に平行でありながらテキストの最終行に最も近いディスプレイ112の側面は、テキストの下部に対応し、したがってディスプレイ112の下部であるディスプレイの側面である。する。
【0031】
ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ハンドヘルド医用スキャン装置102の周りのユーザの手の位置を決定するように構成され得る。例えば、ユーザがハンドヘルド医用スキャン装置102上で持っている特定のグリップを決定し、決定された手の位置に基づいてディスプレイ112を配向するように構成される。本明細書で使用される用語として、ディスプレイ112を配向するステップは、ディスプレイ112を構成する物理ハードウェア配向するステップではなく、ディスプレイ112に表示されるコンテンツを配向するステップを指す。具体的には、限定はしないが、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ユーザの親指の位置を自動的に決定し、ディスプレイ112の下部がユーザの親指と同じ側になるようにディスプレイ112を自動的に方向付けるように構成される。ユーザの好みの表示方向は通常、ディスプレイ112の底面がユーザの親指と同じ側にある方向であり、この方法でディスプレイ112を自動的に方向付けると、ユーザは、ハンドヘルド医用スキャン装置102自体の向きを考慮せずに、ハンドヘルド医用スキャン装置102を拾うことができ、それでもディスプレイ112がユーザの好ましい観察向きになることを信用することができる。
【0032】
ハンドヘルド医用スキャン装置102は、少なくとも部分的にセンサ104からの読み取り値に基づいてユーザの手の位置を決定することができる。いくつかの場合において、ユーザの手の位置は、少なくとも部分的にセンサ104からの読み取り値をユーザの手の数字に対して確立される1つ以上の閾値の読み取り値と比較することに基づいて決定することができる。例えば、センサ104からの読み取り値は、ユーザの親指に対して確立される閾値読み取り値、ユーザの人差し指に対して確立される閾値読み取り値、ユーザの親指と人差し指の間のユーザの指間ウェビングに対して確立される閾値読み取り値、又はそれらの組み合わせと比較される。そのような閾値は、個々のセンサ読み取り値の閾値として、及び/又はセンサ104のグループ、例えば、ハウジング118の所与の側面に配置されるセンサ104からなるセンサ104のグループによる読み取り値の閾値として確立することができる。その場合、側面のセンサ104のグループ読み取り値又は1つ以上の個々の読み取り値のいずれかがユーザの親指の閾値読み取り値を超えるとき、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ユーザの親指がハウジング118の側面に接触していると決定することができる。ユーザの人差し指と指間ウェビングの位置も同じ方法で決定できる。閾値読み取り値は、熱読み取り値、静電容量読み取り値、インピーダンス読み取り値、指紋、又はそれらの組み合わせであり得る。閾値読み取り値は、例えば、ハンドヘルド医用スキャン装置102自体のメモリに、又は遠隔で、ハンドヘルド医用スキャン装置102自体に保存されてもよい。
【0033】
ハンドヘルド医用スキャン装置102は、2つ以上のセンサ104の読み取り値を互いに比較することにより、ユーザの手の位置を決定し得る。例えば、センサ104からの読み取り値が、ユーザの手はハウジング118の対向する側面に接触していることを示すとき、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、反対側の側面がユーザの人差し指で握られる間、センサ104が最も強い読み取り値を示す側面がユーザの親指によって握られると決定することができる。ユーザの親指で握られると判定される側面は、最も強い単一のセンサの読み取り値を備える側面又は最も強いセンサグループの読み取り値を備える側面であってもよい。
【0034】
場合によっては、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ハウジング118の側面上のセンサ104の正の読み取りグループの長さ、幅、面積、又はそれらの組み合わせを考慮し、ハンドヘルド医用スキャン装置102上のユーザの手の位置を決定し得る。正の読み取りグループは、読み取り値がユーザの接触に対して正であるセンサ104のグループであり得る。ユーザの手の位置は、センサ104の正の読み取りグループの長さ、幅、及び面積を、ユーザの親指、人差し指、又は指間ウェビングとの接触を示す正の読み取りグループに対して確立される長さ、幅、面積の閾値と比較することによって決定され得る。正の読み取りグループが確立される閾値を超えるとき、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、正の読み取りグループをホストする側面が超えられた閾値に対応するユーザの手の部分によって把持されていると決定することができる。ユーザの手の位置はまた、一方の側面に配置されるセンサ104の正の読み取りグループの長さ、幅、及び面積を、他方の側面に配置されるセンサ104の正の読み取りグループの長さ、幅、及び面積と比較することによって決定され得る。例えば、正の読み取りグループがハウジング118の対向する側面で検出される場合、最大の面積を有する正の読み取りグループは、ユーザの親指によって握られると決定され得る。
【0035】
場合によっては、ハウジング118の対向する側面で接触が検出されるとき、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、一方の側面がユーザの人差し指で把持され、対向する側面がユーザの親指で把持されると想定することができる。そのような状況では、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、例えば、上述の技術を使用して、どの側面がユーザの親指で握られ、それに応じてディスプレイ112を方向付けるかを簡単に決定することができる。
【0036】
しかしながら、他の場合では、接触は隣接する側面でのみ検出され、反対側の側面では検出されない場合がある。隣接する側面で接触が検出されると、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、隣接する側面が、一方の側面でユーザの親指によって、又は他方の側面でユーザの指間ウェビングによって把持されていると想定することができる。どの側面がユーザの親指によって握られるかを決定するために、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ハンドヘルド医用スキャン装置102に記憶されるか、又は遠隔に記憶される利き手の好みを調べてもよい。利き手選好が、ユーザは右手でハンドヘルド医用スキャン装置102を握ることを好むことを示す場合、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ハンドヘルド医用スキャン装置102が(図1Aのように)上から見られるときに他の握られた側面に対して時計回りに最も遠くにある握られた側面が、ユーザの親指で握られた側面であることを決定し得る。同様に、利き手の好みが、ユーザが左手でハンドヘルド医用スキャン装置102を握ることを好むことを示す場合、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、(図1Aのように)ハンドヘルド医用スキャン装置102を上から見たときの他の握られた側面に対して反時計回りに最も遠くにある握られた側面が、ユーザの親指によって把持される側面であることを決定し得る。
【0037】
さらに他の場合では、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、ユーザの親指の位置を決定することができない場合がある。これが発生すると、ハンドヘルド医用スキャン装置102は、加速度計からの情報に基づいてディスプレイ112を方向付けることができる。加速度計は、ハンドヘルド医用スキャン装置102の既知の場所に取り付けられた3軸加速度計であり得る。例えば、加速度計は、ディスプレイ112の表面が加速度計のXY平面に平行である一方、加速度計+ Z軸は、ハンドヘルド医用スキャン装置102の底面に垂直である。ハンドヘルド医用スキャン装置102は、重力ベクトルのX及びY成分の符号に従って主エッジを設定し、+ X / + Y、+ X / -Y、-X / + Y、-X / -Yのマッピングから4つの側面の1つを選択する。重力ベクトルが+ Z軸からの特定の最小閾値よりも小さい場合、加速度計の読み取り値に基づいて主エッジを決定できない可能性がある。いくつかの実施形態では、装置102は、加速度計に加えて、又は加速度計の代わりにジャイロスコープを含むことができる。
【0038】
ディスプレイ112はデフォルトの向きを有してもよく、ユーザのグリップが決定できないとき、及び/又は加速度計からの読み取り値がディスプレイ112の向きを通知するのに不十分であるとき、ハンドヘルド医用スキャン装置102はディスプレイ112をデフォルトの向きに向けてもよい。ユーザの便宜のために、基準マーク116は、ハウジング118上に配置され得る。ユーザは、ハンドヘルド医用スキャン装置102がスリープモードにある場合でも、基準マーク116に基づいてディスプレイ112のデフォルトの向きを決定することができる。例えば、ユーザは、ディスプレイ112がデフォルトの向きにあるとき、又はその逆の場合、ディスプレイ112の下部が基準マーク112からディスプレイ112の反対側にあることを知っている可能性がある。したがって、ユーザは、デフォルトの向きがユーザの好ましい観察向きであるように、ハンドヘルド医用スキャン装置102を握ることができる。基準マーク116を含めることは、1つ又は複数の配向プロセスが失敗した場合のユーザの不満を有利に低減することができる。基準マーク116は、参照目的のために目立つようにサイズ設定されてもよい。基準マーク116は、画像、ロゴ、ブランド、シンボル、機能要素、スピーカー、数字、文字、英数字テキスト、署名、又はそれらの組み合わせを含み得る。場合によっては、基準マーク116は、視覚障害者によるその位置付けを容易にするために触覚的であり得る。
【0039】
図2を参照すると、本開示の態様による、ハンドヘルド医用スキャン装置202の概略図が示されている。ハンドヘルド医用スキャン装置202は、複数のセンサ204、加速度計205、電池207、複数の命令209が内部に保存されるメモリ208、スキャン要素210、ディスプレイ212、及びプロセッサ206と通信する無線周波数トランシーバ214をそれぞれ含み得る。
【0040】
センサ204は、読み取り値をプロセッサ206に送信することができ、プロセッサ206は、読み取り値に基づいて、ユーザの手がハンドヘルド医用スキャン装置202と接触しているかを判定することができる。プロセッサ206はさらに、読み取り値に基づいて、ハンドヘルド医用スキャン装置202の周りのユーザの手の位置を決定することができる。例えば、プロセッサ206は、センサ204からの読み取り値をメモリ208に保存される1つ又は複数の閾値と比較するか、又はユーザの手の位置を決定するために異なるセンサ204からの読み取り値を比較することができる。ユーザの手の位置に基づいて、又は加速度計205からの読み取りに基づいて、プロセッサ206は、ディスプレイ212の向きを変更することができる。プロセッサ206は、スキャン(撮像)要素210から撮像データを受け取り、画像(医療データに関連するものを含む)をディスプレイ212に出力する。プロセッサ206は、ディスプレイ212を介してユーザ入力を受信することもできる。例えば、プロセッサ206は、ユーザによってディスプレイを介して入力されるコマンドに応答して、無線周波数トランシーバ214を操作して、リモートに保存される医用データを取得することができる。メモリ208は、とりわけ、医用データ、利き手選好、閾値、ユーザプロファイル、指紋データ、及びプロセッサによる実行のための複数の命令209、例えば、ディスプレイ配向アルゴリズムを保存することができる。
【0041】
図3A及び3Bは、基準マーク316と、ユーザによって把持されるディスプレイ312とを備えるハンドヘルド医用スキャン装置302の概略図である。図3A及び図3Bでは、ハンドヘルド医用スキャン装置302を握っているユーザが示され、親指を一方の側面に置き、人差し指を親指で握られる側面と対向する側面に置いている。主に親指と人差し指でハンドヘルド医用スキャン装置302を握っているユーザが示されるが、場合によっては、ユーザは、彼らの指間ウェビングを、ユーザの親指と人差し指によって握られる対向するエッジの間に位置される、含まれるエッジとの接触にもたらすことにより、より安全なグリップを利用する。各図において、ディスプレイ312は超音波画像を特徴としており、ディスプレイ312の下部がユーザの親指と同じ側にあるように配向されるように示されているが、基準マーク316の位置の変化から明らかなように、ハンドヘルド医用スキャン装置302自体は、図3A乃至図3Bから180度回転される。これは、ハンドヘルド医用スキャン装置302自体の向きに関係なく、ユーザのグリップに基づいて、ディスプレイ312を方向付けるハンドヘルド医用スキャン装置302の能力を示すことを意図している。ユーザのグリップが変化すると、ディスプレイの向きも変化する。ユーザのグリップが認識できる限り、ディスプレイ312は自動的にユーザの好みの表示方向に向けられる。したがって、ユーザは、ハンドヘルド医用スキャン装置302自体の向きを追跡する気をそらすことなく、ハンドヘルド医用スキャン装置302を繰り返し拾い上げ、据え付けることができる。
【0042】
図4を参照すると、方法400が記載されている。方法400は、本明細書に記載のハンドヘルド医用スキャン装置、例えばハンドヘルド医用スキャン装置102、202、及び302のいずれかによって、又はそれとともに実施することができる。方法はステップ402で始まり、ハンドヘルド医用スキャン装置内の計算装置は、ハンドヘルド医用スキャン装置のハウジングの周囲に分布する複数のセンサのうちのどのセンサが、複数の他のセンサと比較して最も高いセンサ信号を有するかを決定する。ステップ404で、最高のセンサ信号を有するエッジが、ユーザの親指によって潜在的に握られる潜在的な主エッジとして設定される。ステップ406で、計算装置は、最高のセンサ信号が閾値を超えるかを判定する。
【0043】
ステップ406において、最高のセンサ信号が閾値を上回っていないと計算装置が決定した場合、方法は、計算装置がユーザのグリップの性質が不明確であると決定するステップ420に進む。ユーザのグリップが不明確であるため、ステップ422で、計算装置は、ハンドヘルド医用スキャン装置内に含まれる加速度計に戻る。ステップ424で、計算装置は、重力ベクトルが、ハンドヘルド医用スキャン装置のディスプレイに対して十分な非垂直角度であるかを決定する。ステップ424で、計算装置が、重力ベクトルはディスプレイに対して十分な非垂直角度でないと判断した場合、方法は、計算装置がディスプレイの現在の向きを維持するステップ428に進む。一方、計算装置が、重力ベクトルはディスプレイに対して十分な非垂直角度であると決定した場合、方法は、代わりに、計算装置が重力ベクトルに基づいて主エッジを設定するステップ426に進む。それから、方法は、計算装置が、主エッジはディスプレイの下部にあるようにディスプレイを配向するステップ428に進む。
【0044】
ステップ406で、計算装置が、最高のセンサ信号が閾値を超えると判断した場合、方法は、ステップ410に進み、オプションでステップ408に進む。ステップ408で、計算装置は、ハンドヘルド医用スキャン装置をスリープモードからアクティブモードに切り替え、ステップ410で、計算装置は、潜在的な主エッジの反対側のエッジに、指のグリップ、例えば、人差し指のグリップを示すのに十分なセンサ信号があるかを判定する。ステップ410で、計算装置が、指のグリップを示すのに十分なセンサ信号があると判断した場合、方法は、計算装置は、潜在的な主エッジをユーザの親指によって握られると識別し、潜在的な主エッジを主エッジとして設定するステップ412に進む。それから、方法は、計算装置が、主エッジはディスプレイの下部にあるようにディスプレイを配向するステップ414に進む。
【0045】
ステップ410で、計算装置が、潜在的な主エッジの反対側のエッジで、指のグリップを示すのに不十分なセンサ信号があると判断した場合、方法は、潜在的な主エッジと主エッジの反対側のエッジとの間の、含まれるエッジにおいて、指間ウェビングによるグリップを示すのに十分な信号があるかを判断するステップ416に進む。計算装置が不十分な信号があると決定した場合、方法はステップ420に進み、前と同様に継続する。計算装置が、十分な信号はあると判断した場合、方法は、計算装置が利き手の好みを調べて、どのエッジがユーザの親指で握られるかを明確にし、そのエッジを主エッジとして設定するステップ418に進む。それから、方法は、計算装置が、主エッジはディスプレイの下部にあるようにディスプレイを配向するステップ414に進む。
【0046】
次に図5を参照すると、方法500が記載されている。方法500は、本明細書に記載のハンドヘルド医用スキャン装置、例えばハンドヘルド医用スキャン装置102、202、及び302のいずれかによって、又はそれとともに実施することができる。方法はステップ502で始まり、ハンドヘルド超音波撮像装置の計算装置が、ハンドヘルド超音波画像装置のハウジングの周辺に分布される複数のセンサを監視する。それから、計算装置は、ステップ504で、ハウジングの第1のエッジでの第1のセンサからの読み取り値が閾値を超えるかを決定する。ステップ506で、計算装置は、第1のセンサからの読み取り値に少なくとも部分的に基づいて、第1のエッジを主エッジとして設定する。場合によっては、第1のエッジを主エッジとして設定するステップは、計算装置によって、第1のエッジがオペレータの親指によって握られることを決定するステップを含む。第1のエッジがオペレータの親指で握られることを決定するステップは、第1のセンサからの読み取り値が第2のセンサからの読み取り値を超えることを決定するステップを含み得る。場合によっては、第1のエッジがオペレータの親指で握られると判定するステップは、保存される利き手選好を参照するステップを含むことができる。ハンドヘルド超音波画像装置のディスプレイは、ステップ508で、主エッジがディスプレイの下部にあるように計算装置によって配向される。方法500は、第1のセンサからの読み取り値が閾値を超えるとの決定に応答して、計算装置によって、ハンドヘルド超音波撮像装置をスリープモードからアクティブモードに切り替えるステップをさらに含み得る。
【0047】
当業者は、上記の装置、システム、及び方法が様々な方法で修正され得ることを認識するであろう。したがって、当業者は、本開示に含まれる実施形態が、上述の特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解するであろう。その点に関して、例示的な実施形態が示され、説明されてきたが、前述の開示では、広範囲の修正、変更、及び置換が意図されている。このような変形は、本開示の範囲から逸脱することなく、前述のものに対して行われ得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、広くかつ本開示と一致する方法で解釈されることが適切である。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4
図5