(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】印字検査装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/14 20060101AFI20220412BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
G06K7/14 086
G06K7/10 428
G06K7/10 452
G06K7/10 456
G06K7/14 017
G06K7/14 039
(21)【出願番号】P 2020550321
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2019037463
(87)【国際公開番号】W WO2020071188
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2018186328
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 宗明
(72)【発明者】
【氏名】栗原 裕子
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-165949(JP,A)
【文献】特開2016-218816(JP,A)
【文献】特開2009-032202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00-7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字体に印字された2次元コードを含む印字を読み取る印字検査装置であって、
2次元コードを含む認識対象を多値画像として入力する手段と、
所定の2値化しきい値を用いて前記多値画像の2値化を行って2値画像を出力する画像2値化手段と、
前記2値画像から2次元コードの領域を検出する2次元コード検出手段と、
前記2次元コードをデコードするデコード手段と、
読み取りテストを実施する読み取りテスト手段と、
を有し、
前記読み取りテスト手段は、1個以上の検査サンプルに対して、全ての階調についての明るさ値をしきい値として2値化を実施して読み取りテストを行い、読み取り可能な明るさ値の最大値と最小値を求め、得られた最大値、最小値を表示部に表示させ、最小値と最
大値の中央値を実際の印字検査での2次元コード画像の2値化しきい値に設定することを特徴とする印字検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印字検査装置であって、読み取りテストを実施する時に、印字読み取り領域内の全画素の明るさ平均値を算出し、、前記算出された明るさ平均値と前記中央値との差を補正値として求め、実際の印字検査では、検査物毎に印字読み取り領域内の全画素の明るさ平均値を算出して、その平均値に補正値を加えた数値を2値化しきい値として多値画像の2値化を行うことを特徴とする印字検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字検査装置に係わり、特にインクジェットプリンタ等で印字された製造年月日、製造番号等の文字や記号、製造履歴管理に必要な情報等が記録された2次元コード(以下、記号や2次元コードも文字に含め、単に「文字」という)を、カメラで読み取り、印字の良否を判別するのに好適な印字検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印字検査装置の背景技術として、特開2009-70061号公報(特許文献1)がある。この公報には、「2次元コードのデコードに失敗した場合、固有パターンを構成する黒若しくは白のパターンのうち、一方のパターンを構成するセルが予め定めたパターンを構成するセルと全て一致しかつ他方のパターンの一致度が所定範囲にないとき所定範囲に入るよう二値化パラメータを調整し、再度二値化を行ってその二値画像のデコードを行う。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食品や薬品の包装容器には、製造年月日や賞味期限、製造ロットなどの表示が法律上義務づけられており、それを実現するためにインクジェットプリンタ等の印字装置が利用されている。印字装置は、搬送ライン(包装ラインを含む)に設置され、次々に搬送されてくる包装容器への印字を行う。印字装置による印字が正しく行われているかは、包装容器の印字を読み取る印字検査装置によってなされる。さらに、最近では、上記印字だけではなく、製造履歴管理に必要な様々な情報等を記録するため、多くの情報を記録できる2次元コードの印字を同時に行うことが増加しており、この2次元コードの情報が正しく印字されているかも検査する必要がある。
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された装置では、白と黒の比率のみに着目しており、実際には、画素に対するセルの位置ズレの度合いにより、2値化したときのセルの位置が大きな位置ズレと判断され読み取りができなくなることもある。
【0006】
そこで、本発明は、インクジェットプリンタなどの汎用のプリンタで印字した2次元コードを含む画像を多値画像として取込み、所定の2値化しきい値で多値画像から2値画像を作成した後、デコードを行う印字検査装置において、最適な2値化しきい値が得られる印字検査装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。 本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、被印字体に印字された2次元コードを含む印字を読み取る印字検査装置であって、2次元コードを含む認識対象を多値画像として入力する手段と、所定の2値化しきい値を用いて前記多値画像の2値化を行って2値画像を出力する画像2値化手段と、前記2値画像から2次元コードの領域を検出する2次元コード検出手段と、前記2次元コードをデコードするデコード手段と、読み取りテストを実施する読み取りテスト手段と、を有し、前記読み取りテスト手段は、1個以上の検査サンプルに対して、全ての階調についての明るさ値をしきい値として2値化を実施して読み取りテストを行い、読み取り可能な明るさ値の最大値と最小値を求め、得られた最大値、最小値を表示部に表示させ、最小値と最大値の中央値を実際の印字検査での2次元コード画像の2値化しきい値に設定する構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所定の2値化しきい値で多値画像から2値画像を作成した後、デコードを行うにあたり、最適な2値化しきい値が得ることができる印字検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1における処理部の読み取りテスト工程について、画像取込み以降の処理を説明するフローチャートの例である。
【
図2】実施例1における印字検査装置の設置例を示す図である。
【
図3】実施例1における印字検査装置のブロック図である。
【
図5】実施例1における処理部の印字検査工程について、画像取込み以降の処理を説明するフローチャートの例である。
【
図6】従来の印字検査装置における印字検査工程の画像取込み以降の処理を説明するフローチャートの例である。
【
図7】実施例2における処理部の読み取りテスト工程について、画像取込み以降の処理を説明するフローチャートの例である。
【
図9】実施例2における処理部の印字検査工程について、画像取込み以降の処理を説明するフローチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図2は、本実施例で用いる印字検査装置の設置例である。
図2において、印字検査装置は、インクジェットプリンタ9等の印字装置によって食品や薬品等の包装容器に印字を行った印字物6に対してカメラ3の印字文字の読み取りに十分な光量の光を照射する照明装置4、光を照射された印字物6の検査対象となる文字列や2次元コード等を含む画像を読取る撮像手段であるカメラ3、読み取った画像を表示したり、検査の条件設定や、検査結果の表示を行うモニタ2、カメラ3で読み取った画像から印字画像を抽出する等の加工を行い、検査対象文字の合否判定を行なう処理部や、照明の光量やタイミング等のコントロールを行う照明コントロール部を搭載している印字検査装置本体1、印字検査装置本体1内の処理部に画像処理等の各種指示を与える外部装置、等からなる。
【0012】
ペットボトル入り飲料や缶詰などの製造工場では、出荷前の製品のボトルや缶の表面に、専用のインクジェットプリンタ9のプリントヘッド10より液滴11を吐出させて、消費期限や製造番号、2次元コードなどを印字している。インクジェットプリンタ9により印字が行われた出荷前製品6は、コンベア5等により搬送される。コンベア付近に設置されたセンサ8による出力信号が、印字検査装置本体1内の処理部によって検知されて、カメラ3の撮像タイミングを算出し、カメラ3が検査対象文字を確認できる位置まで搬送されたタイミングで、LED照明等の照明装置4による光の照射を行い、カメラ3で検査対象文字を含む画像を読み取り、印字検査装置本体1内に印字画像が送られる。
【0013】
図3に本実施例の印字検査装置のブロック図の一例を示す。ROM13には印字文字列や2次元コード等の認識処理や印字品質の合否判定のためのプログラムが格納されている。また、RAM13には、検査対象となる文字列の各構成文字の基準文字パターンや、外部装置7から入力された設定データなどが格納されている。処理部12では、印字検査に関わる各種の処理を行っている。
【0014】
まず、2値化しきい値を決定するために、テスト用検査サンプルを用いて読み取りテストを行う。センサ8の出力信号を印字検査装置本体1内の処理部12で受け取ると、処理部12内の撮像タイミング算出部121でカメラの撮像タイミングを算出し、処理部12からの指示により画像入力信号発生部17からカメラ3へ画像取り込みタイミングを知らせるとともに、処理部12からの指示により、照明コントロール部19は、照明装置4の光量をコントロールし、かつ、カメラ3の画像読み取りタイミングに合せて照明装置4の発光タイミングをコントロールする。
【0015】
カメラ3によって読み取られた画像は、各画素がカメラの性能によって決定される階調数のうちの明るさに応じた数値(以下、「明るさ値」という)を有する多値画像データであり、このデータが印字検査装置本体1内の画像入力部15に入力され、一旦、画像記憶部16に蓄積される。処理部12内のフィルタ処理部122では、画像記憶部16に蓄積された撮像画像に対し、2次元コードを認識しやすくするために、細線化・太線化等の画像改善処理を行う。フィルタ処理122を行った画像に対し、後述する手順により2値化しきい値設定部123で、最適な2値化しきい値を取得する。
【0016】
次に、実際の印字検査が行われる。読み取りテストと同様の手により、センサ8の出力信号受け取って、処理部12内の撮像タイミング算出部124でカメラの撮像タイミングを算出し、カメラ3で撮像を行って多値画像データを得て、この多値画像データに対し、処理部12内のフィルタ処理部125で、画像改善処理を行う。2値化しきい値設定部126では、[読み取りテスト工程]で得られた2値化しきい値をもとに、最適な2値化しきい値を設定する。画像2値化処理部127では、2値化しきい値設定部126で求めた2値化しきい値を使用して2値化処理を行い、多値画像から2値画像を作成する。2次元コード計算部128では、得られた2値画像から2次元コードの領域を検出し、2次元コードのデータを読み取り、2次元コードをデコードする。そして、読み取り判定部129で合否の判定を行い、判定結果は入出力部18に送られ、モニタ2に表示され、不合格の場合は外部装置7により不良品として排斥等が実施される。また、以上の一連の処理において、印字画像、検査条件等も、入出力部18に送られ、モニタ2に表示される。
【0017】
図1は本実施例の印字検査装置の処理部12の[読み取りテスト工程]について、画像取込み以降の処理のフローチャートの一例を示したものである。
図3の説明で記載したように、センサ8の出力信号を印字検査装置本体1内の処理部12で受け取った後、所定のタイミングでカメラ3によって画像が読取られる。読取られた画像は、ステップS1にて、一旦、画像記憶部16に蓄積される。
【0018】
次に、ステップS2にて、処理部12内のフィルタ処理部122で、画像改善処理を行う。ステップS3からS6は、処理部12内の2値化しきい値設定部123での処理を示している。ステップS3では、フィルタ処理を行った後の画像について、全ての階調について、その明るさ値をしきい値として2値化を行い、2次元コードが読取れるか確認する。例えば、256階調の画像であれば、2値化しきい値0~255の全てについて、2次元コードの読み取り可否を確認する。2次元コード読み取りができた最小の明るさしきい値をMIN1、最大の明るさしきい値をMAX1とする。ステップS4では、他に読み取りテストを行う検査サンプルがあるか判断する。検査サンプルは1個でも可能であるが、ばらつきに対する精度を上げるには、2個以上あることが望ましい。2個以上ある場合には、2個目以降の検査サンプルに対しても、ステップS1からの処理を実施する。ステップS3まで行って得られた最小明るさしきい値MIN2、MIN3、・・・、最大明るさしきい値MAX2、MAX3、・・・と、検査サンプル数分の最小明るさしきい値及び最大明るさしきい値が得られる。それぞれについて、平均値をとることで、最小明るさ値MIN、最大明るさ値MAXとする。
【0019】
ステップS5では、この最小明るさ値MIN、最大明るさ値MAXを、入出力部18に送り、モニタ2に表示する。
図4に表示例を示す。2次元コード画像表示部P1は、カメラ3での撮像領域を示す。中央の2次元コード画像を含む白色の領域100は、読み取り領域である。読み取り領域の設定は、図示しない検査条件設定画面で行い、撮像した画像がこの領域から外れた場合は、印字位置ズレが許容範囲よりも大きい印字物として不良品として判定される。領域100の中央の2次元コード画像101は、例として、QRコード(登録商標)の画像を表示している。「読み取りテスト」ボタンを押すことでステップS3が実施され、結果が「読み取りテスト」ボタンの左に表示される。「0」は読み取りテストを行う2値化しきい値の最小値、「255」は読み取りテストを行う2値化しきい値の最大値である。これらの数値の間にある長方形は2次元コードの読み取りができた2値化しきい値の範囲を示している。
図4では、2値化しきい値「51」から「198」までが2次元コード読み取りができたことを示す。ステップS6では、2次元コードの読み取りができた2値化しきい値の最小値MINと最大値MAXから中央値を求め、印字検査を実施するときの2値化しきい値とする。
【0020】
図5は本実施例の印字検査装置に関わる処理部12の[印字検査工程]について、画像取込み以降の処理のフローチャートの一例を示したものである。
図1に示すフローチャートにより、2値化しきい値を決定した後、実際の印字検査を、
図5に示すフローチャートにより実施する。センサ8の出力信号を印字検査装置本体1内の処理部12で受け取った後、所定のタイミングでカメラ3によって画像が読取られる。読取られた画像は、ステップS11にて、一旦、画像記憶部16に蓄積される。
【0021】
次に、ステップS12にて、処理部12内のフィルタ処理部125で、画像改善処理を行う。ステップS13では、2値化しきい値設定部126で、[読み取りテスト]で得た中央値を2値化しきい値に設定する。ステップS14では、ステップS13で設定した2値化しきい値により、画像2値化処理部127で、多値画像から2値画像を作成する。2次元コード計算部128では、ステップS15からS19を実施する。ステップS15では、2値画像からファインダ(位置検出のためのパターン)の探査を実施する。ステップS17では、ファインダの位置を元に、データを取得するのに必要な情報(Version等)を読み取る。ステップS18では、ステップS17で得られた情報を元に、データの取り込みを実施する。ステップS19では、ステップ18で取得したデータ(符号化されたデータ)に対してデコードを行って元のデータに復元する。ステップS20では、読み取り判定部129で、読取ったデータの合否判定を行う。
【0022】
ここで、
図6により、印字検査装置の従来例について述べる。従来例では、処理部12において、[読み取りテスト工程]はなく、[印字検査工程]が行われる。
図5と同様に、ステップS11で画像を取込み、ステップS12でフィルタ処理を行う。次に、ステップS13でデフォルト値として設定した2値化しきい値を使用して、ステップS14で多値画像から2値画像を作成し、ステップS15で2値画像からファインダの探査を実施する。ステップS16で、このファインダ探査ができたどうかを判断し、出来なかった場合は、ステップS21で、2値化しきい値を決めるための乗算乗数を変更する。変更された乗算乗数を用いて、ステップS13で2値化しきい値の再設定、画像2値化、ファインダ探査を行い、ファインダ探査ができるまでステップS21、S13、S14、S15、S16を繰り返す。
【0023】
以上のように、本実施例では、[読み取りテスト」により、全ての階調値を2値化しきい値として、多値画像の2値化を行って2次元コードの読み取り可否を確認して、予め最適な2値化しきい値を設定するので、2値化しきい値を再設定して処理を行うことによる処理時間の増加を防止することができる。
【0024】
このように本実施例の印字検査装置は、インクジェットプリンタなどの汎用のプリンタで印字した2次元コードを含む画像を多値画像として取込み、所定の2値化しきい値で多値画像から2値画像を作成した後、デコードを行う印字検査装置であって、繰り返し2値化を実施することで、処理時間が伸びてしまったり、所望の時間内に読み取れずに不良品となってしまうことがなく、最適な2値化しきい値を得ることができる。
【実施例2】
【0025】
本実施例では、印字物の状態や照明の明るさにばらつきがある等により、撮像した画像の明るさが変動する場合に有効な印字検査装置の一例を
図7、
図8を用いて説明する。
【0026】
図7は本実施例の印字検査装置の処理部12の[読み取りテスト工程]について、画像取込み以降の処理のフローチャートの一例を示したものである。
図1の場合と同様に、ステップS1で画像取込み、ステップS2でフィルタ処理、ステップS3で読み取り可能な明るさ値の最小値MIN1、最大値MAX1を求める。
【0027】
次に、ステップS31で2次元コード読み取り領域内の全画素の明るさ平均値AVE1を算出する。
図1の場合と同様、検査サンプルは1個でも可能であるが、ばらつきに対する精度を上げるには、2個以上あることが望ましい。2個以上ある場合には、2個目以降の検査サンプルに対しても、ステップS1からの処理を実施する。ステップS31まで行って得られた最小明るさしきい値MIN2、MIN3、・・・、最大明るさしきい値MAX2、MAX3、・・・、読み取り領域内の全画素明るさ平均値AVE2、AVE3、・・・と、検査サンプル数分の最小明るさしきい値及び最大明るさしきい値、読み取り領域内の全画素明るさ平均値が得られる。それぞれについて、平均値をとることで、最小明るさ値MIN、最大明るさ値MAX、読み取り領域内の全画素明るさ平均値AVEとする。
【0028】
ステップS5では、この最小明るさ値MIN、最大明るさ値MAX、読み取り領域内の全画素明るさ平均値AVEを、入出力部18に送り、モニタ2に表示する。ステップS6では、最大値と最小値の中央値を求め、ステップS32で、補正値=「中央値」-「読み取り領域内の全画素明るさ平均値」を求める。
図8に表示例を示す。本実施例では、2値化方法のボタンは「自動」P4を選択する。「読み取りテスト」ボタンの左に表示される読み取りテストの結果として、
図4の場合と同様に読み取り可能な2値化しきい値範囲の最小値「51」、最大値「198」が表示されるとともに、中央値「125」が表示される。また、P5には、読み取り領域内の全画素明るさ平均値「137」が表示される。この表示領域は、2値化しきい値を固定値として特定の数値を決めたい場合には、操作者が数値を入力できるようにしている。そして、補正値として、「-12」が処理部12に保存される。
【0029】
図9に示す[印字検査工程]では、
図5と同様に、ステップS11で画像取込み、ステップS12でフィルタ処理を行った後、ステップS33で読み取り領域内の全画素の明るさ平均値を算出し、ステップS34で、読取り領域内の全画素の明るさ平均値に、[読み取りテスト工程]で得られた補正値を加えた数値を2値化しきい値とし、ステップS14で、この2値化しきい値を用いて多値画像から2値画像を作成する。
【0030】
以上のように、本実施例によれば、検査物の検査毎に、読み取り領域内の全画素の明るさ平均値を算出して、その平均値に補正値を加えた数値を2値化しきい値として多値画像の2値化を行うことで、画像の明るさに変動がある場合にも、最適な2値化しきい値を設定して2次元コードの読み取りを行うことができる。
【0031】
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形が含まれる。例えば、実施例として、2次元コードの画像はQRコード(登録商標)の場合について表示したが、他の2次元コードについても同様の処理が可能である。
【0032】
また、検査サンプルが2個以上の場合に、本実施例では最小2値化しきい値MIN、最大2値化しきい値MAXを、それぞれ、得られた数値の平均値(MIN1、MIN2、・・・・の平均値をMIN、MAX1、MAX2、・・・・の平均値をMAX)としたが、ばらつきが大きい場合は、例えば、最小2値化しきい値MIN1、MIN2、・・・・の最大値をMIN、最大2値化しきい値MAX1、MAX2、・・・の最小値をMAXとすること等も有効である。
【0033】
また、処理部12において、[読み取りテスト工程]で行われる各処理部と[印字検査工程]で行われる各処理部は、別の処理部としたが、同じ動作を行う処理部(例えば、撮像タイミング算出部121と124)は同じものとすることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1:印字検査装置本体、2:モニタ、3:カメラ、4:照明装置、5:コンベア、6:印字物、7:外部装置、8:センサ、9:インクジェットプリンタ、10:プリントヘッド、11:液滴、12:処理部、13:ROM、14:RAM、15:画像入力部、16:画像記憶部、17:画像入力信号発生部、18:入出力部、19:照明コントロール部、121:[読み取りテスト工程]における撮像タイミング算出部、122:[読み取りテスト工程]におけるフィルタ処理部、123:[読み取りテスト工程]における2値化しきい値設定部、124:[印字検査工程]における撮像タイミング算出部、125:[印字検査工程]におけるフィルタ処理部、126:[印字検査工程]における2値化しきい値設定部、127:画像2値化処理部、128:2次元コード計算部、129:読み取り判定部P1:モニタ画面の2次元コード画像表示部、P2:「読み取りテスト」開始ボタン表示部、P3:読み取りテスト結果表示部、P4:2値化しきい値に自動で補正値を加える設定とする「自動」設定ボタン表示部、P5:読み取り領域内の全画素明るさ平均値表示及び2値化しきい値入力部100:モニタ画面の画像表示部内の読み取り領域、101:モニタ画面の画像表示部内の2次元コード画像