(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】医療用チューブホルダー
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
A61M25/02
(21)【出願番号】P 2020550813
(86)(22)【出願日】2018-03-19
(86)【国際出願番号】 KR2018003152
(87)【国際公開番号】W WO2019182167
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】518413789
【氏名又は名称】エスエムハーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハ-、セ-・ヒ-
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0131024(KR,A)
【文献】特表2013-503709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/01
A61M 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用チューブの外面を包み込むホルダーボディと、
前記ホルダーボディに備えられて所定の空間を形成し、外力によって押されると、増加した内圧によって、内部に保管された流体を前記医療用チューブの外面に排出する流体ポケットと、を含む、
前記ホルダーボディは、相互間の間隔の調節が可能な第1ボディ及び第2ボディで構成され、前記第1ボディと前記第2ボディとの間に医療用チューブが位置する、医療用チューブホルダー。
【請求項2】
前記流体ポケットは、外力によって押されると、少なくとも一部が破損しながら、内部に保管された流体を前記医療用チューブの外面に排出する、請求項1に記載の医療用チューブホルダー。
【請求項3】
前記ホルダーボディは、薄い板状をしており、前記流体ポケットは、前記ホルダーボディの一部が凹入して形成された保管空間によって形成される、請求項2に記載の医療用チューブホルダー。
【請求項4】
前記流体ポケットは、
前記ホルダーボディに形成された保管空間と、
前記保管空間を密閉し、前記保管空間に外力が加わると保管空間の内圧によって破損する密閉フィルムとによって形成される、請求項1に記載の医療用チューブホルダー。
【請求項5】
前記流体ポケットは、二重で構成されたホルダーボディの間に形成され、
外力が前記ホルダーボディに加わると、前記流体ポケットの内部に内蔵された流体が、増加した内圧によって二重で構成されたホルダーボディの間に形成された排出口を介して排出される、請求項1に記載の医療用チューブホルダー。
【請求項6】
前記第1ボディと前記第2ボディは、それぞれ板状をしており、重なり合う方向に折り畳まれるように構成され、それらの間に位置している前記医療用チューブを包み込み、前記流体ポケットは、第1ボディ及び第2ボディの少なくとも一つに形成されるが、前記医療用チューブの反対側に向かって突出する、請求項
1に記載の医療用チューブホルダー。
【請求項7】
前記第1ボディと前記第2ボディの互いに対応する位置には固定突起及び固定溝が形成され、折り畳まれて重なり合った状態の第1ボディと第2ボディを固定する、請求項
6に記載の医療用チューブホルダー。
【請求項8】
前記第1ボディまたは前記第2ボディには相手側に向かって破断突起が突出して設けられ、第1ボディと第2ボディとが接する過程で相手側の密閉フィルムを破損させて保管空間内の流体を排出させる、請求項
4に記載の医療用チューブホルダー。
【請求項9】
前記ホルダーボディには、前記医療用チューブの外面に対応する案内溝が凹設され、前記案内溝は、前記医療用チューブの延長方向に延長されて医療用チューブを包む、請求項
8に記載の医療用チューブホルダー。
【請求項10】
前記ホルダーボディは、内部に前記医療用チューブの通過する貫通孔が穿設され、前記流体ポケットは、前記ホルダーボディの外側に突出する、請求項
1に記載の医療用チューブホルダー。
【請求項11】
前記ホルダーボディは円筒形状であり、前記貫通孔は前記医療用チューブに対応するように円形の横断面を有する、請求項
10に記載の医療用チューブホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用チューブホルダーに係り、より詳細には、身体内に挿入されるカテーテルなどの医療用チューブの外周面を包んで、ユーザーがチューブに手を直接当てていない状態でチューブを身体内に挿入したり身体から取り出したりすることができるようにする医療用チューブホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、医療用に使われる一種の管(tube)であって、一般な管状器具の名称として広く使用されている。カテーテルは、その用途によって様々な材質、サイズ、形状のものが存在し、体腔または各種器官内の貯留物の排出、洗浄用灌流液の吸引、心血行動態または中心静脈圧などの測定、薬物または造影剤の体内注入などに用いられている。
【0003】
このような医療用チューブは、通常、生体適合性材料(Biocompatibility Materials)で製作し、自由に撓ることができ、その端部が所望の部位に到達するように十分長く設計される。一方、上述したような医療用チューブを身体内に挿入するためには、必ず、先に滅菌処理済みの手袋をはめなければならない。なぜなら、チューブは体内に入るものなので、チューブを挿入するに際に衛生管理が徹底に行われなければ、患者に新たな病原菌を移して病気を悪化させるおそれがあるからである。特にエイズのように伝染性が強い病気を持っている患者の場合には、チューブによる病原菌の感染が深刻な結果を招くこともある。
【0004】
上述したように医療用チューブを挿入するにあたり、衛生管理が重要であるにも拘らず、必需品である滅菌手袋を着用することが面倒で、手袋の準備に時間がかかり、手に汗が滲んで不便であるという理由で、施術者によって非滅菌手袋または素手でチューブを触って施術することもある。
【0005】
かかる問題を解決するために、韓国特許第10-0451020号には、医療用チューブを掴むことのできるホルダーが開示されている。このホルダーを用いて医療用チューブを把持することにより、ユーザーが滅菌用ピンセットを使用すべきことや直接医療用チューブを掴むことなどを防止することができるため、衛生上の効果がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来技術による医療用チューブホルダーは、特定の直径を有する医療用チューブにのみ適用でき、これとは異なる直径を有する医療用チューブには適用できないという欠点がある。よって、異なる規格を有する医療用チューブに使用するためには、それに合わせて別のホルダーを準備しなければならない。
【0007】
一方、医療用チューブが体の内部にスムーズに挿入できるように、医療用チューブの外周面には、潤滑剤である医療用潤滑ゼリー(lubricant jelly)を塗布して使用する場合が多いが、このように潤滑剤を塗布することは追加の作業を必要とするので、使い勝手が悪い。
【0008】
また、ハイドロフィリック(Hydrophilic)のような親水性材質で作られたチューブを使用する場合には、潤滑のために水を使用することもあるが、これも追加の作業を必要とするので、不便な点がある。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するためのもので、その目的は、様々な直径の医療用チューブに使用することができる医療用チューブホルダーを提供することにある。
本発明の他の目的は、医療用チューブホルダーを用いて医療用チューブの外面に潤滑剤を塗布することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の特徴によれば、本発明は、医療用チューブの外面を包み込むホルダーボディと、前記ホルダーボディに備えられて所定の空間を形成し、外力によって押されると、少なくとも一部が破損しながら、内部に保管された流体を前記医療用チューブの外面に排出する流体ポケットと、を含む。
前記ホルダーボディは、薄い板状をしており、前記流体ポケットは、前記ホルダーボディの一部が凹入して形成された保管空間によって形成される。
前記流体ポケットは、前記ホルダーボディに形成された保管空間と、前記保管空間を密閉し、前記保管空間に外力が加わると保管空間の内圧によって破損する密閉フィルムによって形成される。
前記ホルダーボディは、相互間の間隔の調節が可能な第1ボディ及び第2ボディで構成され、前記第1ボディと前記第2ボディとの間に医療用チューブが位置する。
前記第1ボディと前記第2ボディは、それぞれ板状をしており、重なり合う方向に折り畳まれるように構成され、それらの間に位置している前記医療用チューブを包み込み、前記流体ポケットは、第1ボディ及び第2ボディの少なくとも一つに形成されるが、前記医療用チューブの反対側に向かって突出する。
前記第1ボディと第2ボディの互いに対応する位置には固定突起及び固定溝が形成され、折り畳まれて重なり合った状態の第1ボディと第2ボディを固定する。
前記第1ボディまたは第2ボディには相手側に向かって破断突起が突出して設けられ、第1ボディと第2ボディとが接する過程で相手側の密閉フィルムを破損させて保管空間内の流体を排出させる。
前記ホルダーボディには、前記医療用チューブの外面に対応する案内溝が凹設され、前記案内溝は、前記医療用チューブの延長方向に延長されて医療用チューブを包む。
前記ホルダーボディは、内部に前記医療用チューブが通過する貫通孔が穿設され、前記流体ポケットは、前記ホルダーボディの外側に突出する。
前記ホルダーボディは、円筒形状であり、前記貫通孔は、前記医療用チューブに対応するように円形の横断面を有する。
【発明の効果】
【0011】
上述したような本発明に係る医療用チューブホルダーには、次の効果がある。
本発明の医療用チューブホルダーには流体ポケットが形成され、流体ポケットが外力によって押されると破損しながら、内部に保管された流体(潤滑剤)を医療用チューブの外面に排出する。これにより、ユーザーは、医療用チューブホルダーを用いて簡便に潤滑剤などの流体を塗布することができ、潤滑剤塗布のための別途の作業が不要となるので作業利便性が向上するという効果がある。
特に、本発明において、流体は、密閉された流体ポケットの内部に貯留された状態で流通しており、使用時に流体ポケットの破損により排出される構造なので、流体の保管性が良いという効果もある。
そして、本発明の医療用チューブホルダーは、第1ボディと第2ボディで構成されるが、これらは、互いに展開されたり重ね合わされたりすることができるため、それらの間に様々な形状及び大きさの医療用チューブを位置させることができる。これにより、一つのホルダーを様々な医療用チューブに適用することができるため、ホルダーの互換性が良くなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る医療用チューブホルダーの一実施形態の構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の医療用チューブに適用して使用する状態をそれぞれ示す例示図である。
【
図3】
図1に示された本発明の実施形態の底面の構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る医療用チューブホルダーの第2実施形態の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示された実施形態の構造を示す断面図である。
【
図7】本発明に係る医療用チューブホルダーの第3実施形態の構成を示す斜視図である。
【
図8】本発明に係る医療用チューブホルダーの第4実施形態の構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明に係る医療用チューブホルダーの第5実施形態の構成を示す斜視図である。
【
図10】本発明に係る医療用チューブホルダーの第6実施形態の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の幾つかの実施形態を例示的な図面に基づいて詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されても、できる限り同一の符号を持つようにしていることに留意すべきである。また、本発明の実施形態を説明するにあたり、関連する公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の実施形態に対する理解を妨げると判断された場合は、その詳細な説明は省略する。
【0014】
また、本発明の実施形態の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、他の構成要素に直接連結または接続できるが、各構成要素の間に別の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されることもあると理解されるべきである。
【0015】
本実施形態による医療用チューブホルダー(以下、「チューブホルダー」という)は、医療用チューブCをその内部に通過させることにより、チューブの外周を包み込む一定の直径及び長さを有する円筒状の部材である。これは、ユーザーが医療用チューブCをホルダーを介して把持することができるようにすることにより、チューブに手が直接触れることなく、チューブの挿入を可能にするという見解に基づいている。
【0016】
また、この実施形態のチューブホルダーは、医療用チューブCを施術するが、その使用が限定されず、例えばチューブを挿入する前に先に挿入される公知のガイドワイヤーの挿入にも使用することができる。
【0017】
図1は本発明の一実施形態によるチューブホルダーの外観を示す斜視図である。図示の如く、本実施形態のチューブホルダーは、ホルダーボディ10、10’が骨格を形成する。前記ホルダーボディ10、10’は、およそ薄い板状構造である。本実施形態において、ホルダーボディ10、10’は、薄い板状であり、これには突出した流体ポケット20、20’が備えられる。前記ホルダーボディ10、10’と流体ポケット20、20’は、一つの材質で一体に形成されてもよい。
【0018】
前記ホルダーボディ10、10’は、第1ボディ10及び第2ボディ10’で構成される。前記第1ボディ10と第2ボディ10’は、互いに対称な構造であり、それらの間には折り畳み線12が形成される。前記折り畳み線12を基準に、前記第1ボディ10と前記第2ボディ10’は、互いに重なり合う方向に折り畳まれたり、展開されたりすることができる。前記折り畳み線12は、ホルダーボディ10、10’におけるやや薄い厚さを有する部分であって、第1ボディ10及び第2ボディ10’が折り畳み線12を基準に折り畳まれたり展開されたりすることができる。前記折り畳み線12は、パンチングによって一部が貫通した形態または押された形態に作られてもよい。もちろん、前記折り畳み線12は省略されてもよい。
【0019】
前記ホルダーボディ10、10’は、金属やプラスチック、PETなどの様々な材質で形成でき、一定の形態を維持するが、ある程度の弾性変形が可能な材質で形成されることが好ましい。
【0020】
前記ホルダーボディ10、10’は、相互間の間隔の調節が可能な第1ボディ10及び第2ボディ10’で構成されるので、前記第1ボディ10と第2ボディ10’との間に医療用チューブCが位置することができる。そして、前記第1ボディ10及び第2ボディ10’を折り畳んで両者の間を狭めると、ホルダーボディ10、10’がそれらの間に位置している医療用チューブCを包み込み、結果的にチューブホルダーを用いて医療用チューブCを把持することができる。
【0021】
より正確には、前記第1ボディ10と第2ボディ10’は、それぞれ板状をしており、重なり合う方向に折り畳まれるように構成され、それらの間に位置している前記医療用チューブCを包むことができる。後述する前記流体ポケット20、20’は、第1ボディ10または第2ボディ10’のうちの少なくとも一つに形成でき、前記医療用チューブCの反対側に向かって突出する構造を持つ。
【0022】
図3に示すように、第1ボディ10と第2ボディ10’の互いに対応する位置には固定突起15及び固定溝16が形成される。前記固定突起15と固定溝16は、折り畳まれて重なり合った状態の第1ボディ10と第2ボディ10’を固定する役割を果たす。前記固定突起15は、前記固定溝16に圧入されて固定された状態を維持することができる。
【0023】
前記ホルダーボディ10、10’には流体ポケット20、20’が形成される。前記流体ポケット20、20’は、前記ホルダーボディ10、10’に備えられて所定の空間を形成するもので、外力(
図4の上側の矢印方向)によって押されると少なくとも一部が破損しながら、内部に保管された流体を前記医療用チューブCの外面方向(
図4の下側の矢印方向)に排出する。本実施形態において、前記流体ポケット20、20’は、前記ホルダーボディ10、10’と一体に形成されるが、もちろん、別個の材質で形成されてもよい。
【0024】
前記流体ポケット20、20’は、様々な形状に形成できるが、本実施形態では、
図1に示すように、ホルダーボディ10、10’から突出したドーム状である。前記流体ポケット20、20’は、円形、楕円形または様々な多角形状など、その形状が限定される必要はない。好ましくは、前記流体ポケット20、20’は、透明な材質で形成されるため、内部の流体である潤滑剤Lを外部から肉眼で確認することができる。
【0025】
前記流体ポケット20、20’は、ホルダーボディ10、10’と同様に、普段はある程度形状を維持してから、外力が加わると変形することができる。より正確には、
図4の矢印方向に外力が加わると、下方に潰れながら保管空間S、S’の体積を減らすのである。
【0026】
前記流体ポケット20、20’は、前記ホルダーボディ10、10’に形成された保管空間S、S’と、前記保管空間S、S’を密閉し、前記保管空間S、S’に外力が加わると、保管空間S、S’の内圧によって破損する密閉フィルム30とによって形成される。前記密閉フィルム30は、流体ポケット20、20’の下部を形成するが、前記ホルダーボディ10、10’に密着して保管空間S、S’を密閉する。前記密閉フィルム30は、外力によって破損しうる程度に非常に薄い材質で作られることが好ましい。
【0027】
つまり、前記密閉フィルム30は、一種のブリスター(Blister)製造方法で前記ホルダーボディ10、10’に結合されて所定の空間を密閉する。すなわち、平面的な包装材であるホルダーボディ10、10’に、被包装物である流体(潤滑剤L)の形状に合わせて凹部を作り、そこに被包装物を入れて他の包装材料である密閉フィルム30を覆うことにより作られるのである。密閉フィルム30は、接着剤や超音波溶接などのさまざまな方式でホルダーボディ10、10’に固定できる。また、密閉フィルム30には、グラビア印刷や転写印刷などの方式で製品名、メーカー名またはその他の案内文が印刷されることもある。
【0028】
図1に示された実施形態では、前記ホルダーボディ10、10’の第1ボディ10と第2ボディ10’にそれぞれ流体ポケット20、20’が形成されている。ところが、前記流体ポケット20、20’は、前記第1ボディ10または第2ボディ10’にのみ形成されてもよい。流体ポケット20、20’が第1ボディ10と第2ボディ10’にそれぞれ備えられた場合には、二つの流体ポケット20、20’のうちのいずれか一つの流体ポケット20、20’に内蔵された潤滑剤Lを先に使用した後、残りの流体ポケット20、20’に内蔵された潤滑剤Lは後で使用することもできる。
【0029】
図5には本発明に係る医療用チューブホルダーの第二実施形態が示されている。以前の実施形態と同じ部分には100番台の図面符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0030】
図示の如く、ホルダーボディ110、110’には、前記医療用チューブCの外面に対応する案内溝Hが凹設される。前記案内溝Hは、前記医療用チューブCの延長方向に延長され、医療用チューブCを包み込む役割を果たすが、前記案内溝Hは、前記ホルダーボディ110、110’の一部が折り曲げられた形態で作られた折曲部によって形成される。
【0031】
前記ホルダーボディ110、110’を構成する第1ボディ110及び第2ボディ110’には、それぞれ案内溝H1、H2が形成される。2つの案内溝H1、H2は、第1ボディ110及び第2ボディ110’が折り畳められて互いに重なり合うと、一つの円形案内溝Hを形成する。このような形態が
図6に示されている。前記案内溝Hによって、医療用チューブCは、ホルダーボディ110、110’の間に挟まれて圧縮または変形が生じることなく延長できる。
【0032】
図7には本発明に係る医療用チューブホルダーの第三実施形態が示されている。以前の実施形態と同じ部分には200番台の図面符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0033】
図7に示された実施形態では、ホルダーボディ210、210’を構成する第1ボディ210及び第2ボディ210’のうち、第1ボディ210にのみ流体ポケット220が備えられる。そして、前記第2ボディ210’には、相手側、すなわち第1ボディ210に向かって破断突起260が突出して設けられる。前記破断突起260は、第1ボディ210と第2ボディ210’とが接する過程で、第1ボディ210に備えられた密閉フィルムを破損させて保管空間S、S’内の流体をよりスムーズに排出させる役割を果たす。前記破断突起260は、先端の鋭い構造であり、多数個が備えられてもよい。
【0034】
前記ホルダーボディ210’には固定片218が備えられる。前記固定片218は、第1ボディ210及び第2ボディ210’のうちのいずれか一方に備えられ得るが、
図7の実施形態では、第2ボディ210’に備えられている。前記固定片218は、前記第1ボディ210と第2ボディ210’が折り畳まれて重なり合った状態で、前記第1ボディ210の縁部を覆うように外力によって変形すると、第1ボディ210と第2ボディ210’とが重なり合った状態を維持することができるようにする。
【0035】
図8には本発明に係る医療用チューブホルダーの第四実施形態が示されている。本実施形態において、医療用チューブホルダーは、円筒状のホルダーボディ310を有し、前記ホルダーボディ310の内部には、前記医療用チューブCの通過する貫通孔315が形成される。前記貫通孔315は、前記医療用チューブCに対応するように円形の横断面を有する。
【0036】
前記チューブホルダーは、弾性復元力を持つため、その外周面を手で押すと押されており、押されていた力を除去すると元の状態に復元する。すなわち、医療用チューブCの方向に力を加えると、内側に押されることで、内部に挿入されている医療用チューブCの外周面を加圧して締め付け、加えた力を除去すると、元の円筒形の形状に復元されるのである。
【0037】
このとき、ホルダーボディ310の外面に流体ポケット320が形成される。すなわち、前記流体ポケット320は、前記ホルダーボディ310の外側に突出する構造であり、その内部には、流体である潤滑剤Lが内蔵されている。したがって、ユーザーがホルダーボディ310を強く握ると、前記流体ポケット320の一部が破れながら潤滑剤Lが外部に排出されて医療用チューブCの外面に塗布される。
【0038】
図示されてはいないが、前記ホルダーボディ310の内周面には、前記流体ポケット320を密閉するための密閉フィルムが付着しており、前記密閉フィルムが破損すると、前記流体ポケット320内の潤滑剤Lが外部に排出される構造を持つ。
【0039】
図9には本発明に係る医療用チューブホルダーの第五実施形態が示されている。図示の如く、本実施形態のチューブホルダーは、ホルダーボディ410、410’の外面の少なくとも一部が全体的に流線形に形成できる。このような形状を持つ場合、より多様な規格のチューブを遊隔なく固定することに有利であり、チューブの外面と接する面とが曲面形状を有することにより、チューブの外面に流体がより均一に塗布できる。
【0040】
図9にはホルダーボディ410、410’の上部が流線形に示されているが、ホルダーボディ410、410’の底面も流線形を有することができる。本実施形態では、流体ポケット420、420’も流線形の形状を有する。本実施形態において、流体ポケット420、420’の内部に内蔵された流体は、流体ポケット420、420’の前方に形成された出口470、470’を介して排出されることも可能である。図面符号490はカバーを示す。前記二つのホルダーボディ410、410’が重なり合っている状態で、前記カバー490がその上に折り畳まれる。前記カバー490は、チューブホルダーの上部を包むことにより、内部に貯留された流体が抜け出すのを防止することができる。さらに、カバー490とホルダーボディ410、410’の間に流体を保管することもできる。
【0041】
図10には本発明に係る医療用チューブホルダーの第六実施形態が示されている。図示の如く、チューブホルダーは、ホルダーボディ510、510’が薄い二重511、512/511’、512’の半軟質材質、例えばビニール材質で作られ得る。そして、二重511、512/511’、512’の
内面の間に流体ポケット520が形成される。このような流体ポケット520の内部に内蔵された流体は、二重511、512/511’、512’の半軟質材質の間に形成された排出口を介して外部へ排出され、チューブの外面を塗布する。
【0042】
本実施形態において、ホルダーボディ510、510’の両方から外力を加えると(
図10のP方向参照)、二重511、512/512’、512’で構成されたホルダーボディ510、510’の排出口が開放されながら内部の流体が外部へ排出されるのである。このとき、外力が流体ポケット520に加わると、増加した内圧によって前記流体が流体ポケット520から前記排出口を介して排出できる。
【0043】
本実施形態によれば、軟質のホルダーボディ510、510’にさらに多様なサイズのチューブが適用でき、ホルダーボディ510、510’がチューブの外面にさらによく密着しているため、使い勝手が良くなる。また、二つのホルダーボディ510、510’の内側に別途の流体を塗布しておき、これを活用することもできる。
【0044】
図示されてはいないが、流体ポケット520の排出口は、二重511、512/511’、512’の材質の間々にそれぞれ形成されるが、排出口の縁部には顎構造が形成されるか、或いは一方511、511’にはリブ構造を設け、他方512、512’にはこれに対応する溝構造を設けることにより、凹凸構造によって結合されるようにすることもできる。これは、流体ポケット520内の流体が任意に排出されることを防止するためのである。
【0045】
次に、
図1に示された本発明の実施形態を用いる過程を説明する。
チューブホルダーは、医療用チューブCの外周面に結合されることにより、ユーザーが医療用チューブCを直接把持することなく、チューブホルダーを把持して医療用チューブCを操作することができるようにする。
【0046】
前記医療用チューブCにチューブホルダーを嵌める過程を考察すると、まず、チューブホルダーのホルダーボディ10、10’を構成する第1ボディ10と第2ボディ10’との間に医療用チューブCを介在させ、前記第1ボディ10と第2ボディ10’とが重なり合う方向に第1ボディ10及び第2ボディ10’を折り畳むと、第1ボディ10と第2ボディ10’との間に医療用チューブCが挟持される。これにより、ユーザーが医療用チューブCを直接把持することなく、チューブホルダーを把持して医療用チューブCを操作することができる。
【0047】
この時、前記第1ボディ10と前記第2ボディ10’の互いに対応する位置には、固定突起15及び固定溝16が形成されているので、第1ボディ10と第2ボディ10’とが重ね合わされる過程で、固定突起15は、前記固定溝16に圧入されて第1ボディ10と第2ボディ10’の固定された状態を維持することができる。
【0048】
このように、本発明では、第1ボディ10と第2ボディ10’が互いに展開されたり重ね合わされたりすることができるため、それらの間に様々な形状とサイズを有する医療用チューブCを位置させることができる。よって、一つのホルダーを様々な医療用チューブCに適用することができる。
【0049】
一方、この状態で第1ボディ10と第2ボディ10’とをさらに密着させる方向に外力を加えると、前記流体ポケット20、20’が押し潰されることになり、保管空間S、S’の内圧が増加する。保管空間S、S’の内圧が一定のレベル以上になると、密閉フィルム30が破損しながら、保管空間S、S’に保管されていた潤滑剤Lが排出され、医療用チューブCの外面に塗布される。
【0050】
次いで、前記チューブホルダーを医療用チューブCの外面に沿って移動させると、潤滑剤Lがチューブの外面に均一に広がりながら塗布できる。このように、本発明のチューブホルダーの内部には潤滑剤Lが貯蔵され、貯蔵された潤滑剤Lは、チューブホルダーの使用過程で医療用チューブCの外周面に塗布できる。これにより、ユーザーは、チューブホルダーを用いて簡便に潤滑剤Lを塗布することができ、潤滑剤Lの塗布のための別途の作業が不要である。
【0051】
また、ユーザーは、流体ポケット20、20’が変形しながら潤滑剤Lが塗布されることを肉眼で確認することができるので、より正確な使用が可能となる。
【0052】
一方、前記潤滑剤Lを塗布する作業は、他の方式で行われてもよい。例えば、前記流体ポケット20、20’を加圧するのではなく、前記ホルダーボディ10、10’を構成する第1ボディ10自体を折ることにより、その過程で密閉フィルム30が破損するようにすることもできる。この時、前記密閉フィルム30に予め所定の破断線(図示せず)を成形しておくことにより、このような作業がより容易に行われることも可能である。
【0053】
以上、本発明に係る実施形態を構成するすべての構成要素が一つに結合するか、或いは結合して動作するものと説明されたとして、本発明は、必ずしもこのような実施形態に限定されるものではない。つまり、本発明の目的の範囲内であれば、そのすべての構成要素が一つ以上に選択的に結合して動作することもできる。また、以上で記載された「含む」、「構成する」または「有する」などの用語は、特に反対される記載がない限り、当該構成要素が内在し得ることを意味するものなので、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるものと解釈されるべきである。技術的または科学的な用語を含むすべての用語は、別に定義されない限り、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味がある。辞典に定義された用語のように一般に使用される用語は、関連技術の文脈上の意味と一致するものと解釈されるべきであり、本発明で明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0054】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱することなく様々な修正及び変形が可能である。よって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、それらの実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されるのではない。本発明の保護範囲は下記の請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。