(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】導波路から異なる波長の光を出力する構造および方法
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20220412BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20220412BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20220412BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20220412BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/22
G02B5/26
G02B5/18
G02B5/32
(21)【出願番号】P 2021062638
(22)【出願日】2021-04-01
(62)【分割の表示】P 2017536233の分割
【原出願日】2015-09-29
【審査請求日】2021-04-28
(32)【優先日】2014-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517108859
【氏名又は名称】マジック リープ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100122116
【氏名又は名称】井上 浩二
(72)【発明者】
【氏名】ロバート デール テコルステ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アントニー クルグ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ティー.ショーウェンガード
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第8665178(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0314789(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0185142(US,A1)
【文献】特開平03-084516(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0051730(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0190222(US,A1)
【文献】特開2005-316304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0242661(US,A1)
【文献】特表2008-523434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0233879(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101103299(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 5/22
G02B 5/26
G02B 5/18
G02B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路群を形成する複数の導波路を備える光学システムであって、
各導波路は第1の主面と第2の主面とを備え、少なくとも1つの導波路はその他の導波路と異なる開き角で光を出力し、異なる開き角は異なる深度面と関連し、
各導波路は、
前記導波路内で全反射により伝播する入射光を入力結合するよう構成された入力結合光学素子と、
前記第1の主面に設けられる第1の波長選択フィルタであって、前記第1の波長選択フィルタは、前記第1の主面に隣接する第1の後方表面と、前記第1の後方表面に対向する第1の前方表面とを有し、
前記第1の後方表面を通して第1の複数の波長で入力結合された光を伝送し、前記第1の前方表面は前記第1の複数の波長で伝送された光を部分的に反射し、
その他の波長で入力結合された光を反射するよう構成される第1の波長選択フィルタと、
前記第1の波長選択フィルタの前記第1の前方表面上に設けられる第1の出力結合光学素子であって、前記第1の波長選択フィルタを通して伝送される前記第1の複数の波長の前記入力結合された光を出力結合し、前記出力結合された光を前記導波路と関連する特定の深度面に対する開き角で出力するよう構成された第1の出力結合光学素子と、
を更に備える、光学システム。
【請求項2】
各導波路は、
前記第2の主面に設けられる第2の波長選択フィルタであって、前記第2の波長選択フィルタは、前記第2の主面に隣接する第2の後方表面と、前記第2の後方表面に対向する第2の前方表面とを有し、
前記第2の後方表面を通して前記第1の複数の波長と異なる1以上の第2の波長で入力結合された光を伝送し、前記第2の前方表面は前記1以上の第2の波長で伝送された光を部分的に反射し、
前記第1の複数の波長で入力結合された光を反射するよう構成される第2の波長選択フィルタと、
前記第2の波長選択フィルタの前記第2の前方表面上に設けられる第2の出力結合光学素子であって、前記第2の波長選択フィルタを通して伝送される前記1以上の第2の波長の前記入力結合された光を出力結合し、前記出力結合された光を前記導波路と関連する特定の深度面に対する開き角で出力するよう構成された第2の出力結合光学素子と、
を更に備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記第1の波長選択フィルタ及び第2の波長選択フィルタは、2色性フィルタを備える、請求項2に記載の光学システム。
【請求項4】
各導波路は、
前記第1の複数の波長及び前記1以上の第2の波長の入力結合された光を前記入力結合光学素子から受け、
前記第1の複数の波長及び前記1以上の第2の波長の前記光を前記第1の出力結合光学素子及び前記第2の出力結合光学素子に分配するよう構成された光分配素子を更に備える、請求項2に記載の光学システム。
【請求項5】
前記光分配素子は、直交瞳エキスパンダである、請求項4に記載の光学システム。
【請求項6】
前記第1の複数の波長の光の第1の部分は前記第1の波長選択フィルタの前記第1の前方表面から反射され、前記第1の複数の波長の光の第2の部分は前記光分配素子により方向を変えられる、請求項4に記載の光学システム。
【請求項7】
前記第1の複数の波長の光の前記第1の部分は前記第2の主面から反射された後に前記第1の波長選択フィルタに入射し、光の前記第1の部分の一部は前記光分配素子により方向を変えられる、請求項6に記載の光学システム。
【請求項8】
前記1以上の第2の波長の光の第3の部分は前記第2の波長選択フィルタの前記第2の前方表面から反射され、前記1以上の第2の波長の光の第4の部分は前記光分配素子により方向を変えられる、請求項4に記載の光学システム。
【請求項9】
前記1以上の第2の波長の光の前記第3の部分は前記第1の主面から反射された後に前記第2の波長選択フィルタに入射し、光の前記第3の部分の一部は前記光分配素子により方向を変えられる、請求項8に記載の光学システム。
【請求項10】
前記第1の出力結合光学素子は、1以上の回折光学素子を備え、
前記第2の出力結合光学素子は、1以上の回折光学素子を備える、請求項2に記載の光学システム。
【請求項11】
前記第1の出力結合光学素子及び前記第2の出力結合光学素子の一方又は両方の前記1以上の回折光学素子は、1以上のアナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、ホログラム、及び切り替え可能な回折光学素子を備える、請求項10に記載の光学システム。
【請求項12】
前記切り替え可能な回折光学素子は、切り替え可能な高分子分散型液晶(PDLC)の格子を備える、請求項11に記載の光学システム。
【請求項13】
前記入力結合光学素子は、1以上の回折光学素子を備え、前記1以上の回折光学素子は、1以上のアナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、ホログラム、および切り替え可能な回折光学素子を備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項14】
前記切り替え可能な回折光学素子は、切り替え可能な高分子分散型液晶(PDLC)の格子を備える、請求項13に記載の光学システム。
【請求項15】
前記入力結合光学素子はプリズムを備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項16】
導波路群を形成する複数の導波路を備える光学システムであって、
各導波路は第1の主面と第2の主面とを備え、少なくとも1つの導波路はその他の導波路と異なる開き角で光を出力し、異なる開き角は異なる深度面と関連し、
各導波路は、
入射光を前記導波路に入力結合するよう構成された入力結合光学素子と、
前記第1の主面に設けられる第1の波長選択フィルタであって、前記第1の波長選択フィルタは、前記第1の主面に隣接する第1の後方表面と前記第1の後方表面に対向する第1の前方表面とを有し、前記第1の波長選択フィルタは、前記第1の後方表面を通して第1の複数の波長で入力結合された光を伝送するよう構成され、前記第1の前方表面は前記第1の複数の波長で伝送される光を部分的に反射する、第1の波長選択フィルタと、
前記第1の波長選択フィルタの前記第1の前方表面上に設けられる第1の出力結合光学素子であって、前記第1の波長選択フィルタを通して伝送される前記第1の複数の波長の前記入力結合された光を出力結合し、前記出力結合された光を前記導波路と関連する特定の深度面に対する開き角で出力するよう構成された第1の出力結合光学素子と、
を更に備える、光学システム。
【請求項17】
各導波路は、
前記第2の主面の第2の前方表面に設けられる第2の波長選択フィルタであって、前記第2の波長選択フィルタは、前記第2の主面に隣接する第2の後方表面と前記第2の後方表面に対向する第2の前方表面とを有し、前記第2の波長選択フィルタは、前記第2の後方表面を通して前記第1の複数の波長と異なる1以上の第2の波長の入力結合された光を伝送するよう構成され、前記第2の前方表面は前記1以上の第2の波長で伝送される光を部分的に反射する、前記第2の波長選択フィルタと、
前記第2の波長選択フィルタ上に設けられる第2の出力結合光学素子であって、前記第2の波長選択フィルタを通して伝送された前記1以上の第2の波長の前記入力結合された光を出力結合し、前記出力結合された光を前記導波路と関連する特定の深度面に対する開き角で出力するよう構成された第2の出力結合光学素子と、
を更に備える、請求項16に記載の光学システム。
【請求項18】
各導波路は関連づけられた深度面を有し、各導波路は前記導波路の関連づけられた深度面に由来するように見える像を生成するよう構成される、請求項16に記載の光学システム。
【請求項19】
異なる深度面に対する前記第1の出力結合光学素子は異なる屈折力を有し、各々の深度面に対して出る光の異なる開き角を供給する、請求項18に記載の光学システム。
【請求項20】
各導波路は、
前記第1の波長選択フィルタ及び第2の波長選択フィルタを通して伝送される前記第1の複数の波長および1以上の第2の波長の光の一部を受け、
前記第1の複数の波長及び前記1以上の第2の波長の前記光を前記第1の出力結合光学素子及び第2の出力結合光学素子に分配するよう構成された光再分配素子を更に備える、請求項16に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年9月29日出願の米国仮特許出願第62/057,165号「仮想および拡張現実システムおよび方法」に基づく優先権を主張し、参照することによってここに全体を取り込む。
【0002】
本出願は、以下の特許出願を参照することにより全体を取り込む:米国特許出願第14/331,218号(代理人整理番号20020.00);米国仮特許出願第62/012,273号(代理人整理番号30019.00);および米国仮特許出願第62/005,807号(代理人整理番号30016.00)
【背景技術】
【0003】
本出願は、仮想現実および拡張現実の画像化および可視化システムに関する。
【0004】
現代のコンピューティングおよび表示技術により、いわゆる「仮想現実」もしくは「拡張現実」と呼ばれる体験のためのシステムの開発が進んでいる。これは、デジタル的に生成された画像やその一部を、現実に見えるように、もしくは現実として知覚されるようにユーザに提示するものである。仮想現実もしくは「VR」のシナリオは、典型的には、デジタルもしくは仮想の画像情報を、それ以外の実世界の画像入力を透過させることなく提示するものである。拡張現実もしくは「AR」のシナリオは、典型的には、デジタルもしくは仮想の画像情報を、ユーザの周囲の実世界の画像に対する拡張として提示するものである。例えば、
図1を参照すると、AR技術のユーザが実世界の公園のような、人と、木と、背景の建物とを配した状況1100と、コンクリートの土台1120とを見たときの拡張現実シーンが示されている。これらのものに加えて、実世界の土台1120上に立つロボット像1110、および、ブンブン飛びまわる蜂の擬人化のように見える、マンガのようなアバターキャラクター1130も、これらの要素1130、1110が実世界には存在していないにもかかわらず、AR技術のユーザは「見て」いるように知覚する。人間の視覚システムは複雑なので、仮想イメージ要素を他の仮想もしくは実世界の画像要素の中に、快適で自然に感じるようにリッチに提示するVRないしAR技術の製作は困難な挑戦である。
【0005】
本発明のシステムおよび方法は、VRおよびAR技術に関する様々な挑戦に取り組むものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1の実施形態)
第1の主面と第2の主面とを備えた導波路であって、前記第1および第2の主面の間で全反射により光を伝搬するよう構成された前記導波路と、
入射光を第1の複数の波長で第1の方向に沿って前記導波路に入力結合し、入射光を1以上の第2の波長で第2の方向に沿って前記導波路に入力結合するよう構成された入力結合光学素子であって、前記第1の複数の波長の入力結合された光は全反射により前記第1の方向に沿って前記導波路を通って伝搬し、前記1以上の第2の波長の入力結合された光は全反射により前記第2の方向に沿って前記導波路を通って伝搬する前記入力結合光学素子と、
前記入力結合された光を前記導波路から出力結合するよう構成された、第1および第2の出力結合光学素子と、
を備える光学システム。
【0007】
(第2の実施形態)
前記入力結合光学素子は、1以上の回折光学素子を含む、第1の実施形態の光学システム。
【0008】
(第3の実施形態)
前記1以上の回折光学素子は、1以上のアナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、ホログラム、および切り替え可能な回折光学素子を備える、第2の実施形態の光学システム。
【0009】
(第4の実施形態)
前記切り替え可能な回折光学素子は、切り替え可能な高分子分散型液晶(PDLC)の格子である、第3の実施形態の光学システム。
【0010】
(第5の実施形態)
前記第1の方向に沿って伝搬する前記第1の複数の波長の入力結合された光を反射するよう構成され、前記第1の複数の波長以外の波長の光を通す第1の波長選択反射器と、
前記第2の方向に沿って伝搬する前記1以上の第2の波長の入力結合された光を反射するよう構成され、前記1以上の第2の波長以外の波長の光を通す第2の波長選択反射器と、をさらに備える第1-第4の実施形態の光学システム。
【0011】
(第6の実施形態)
前記第1の波長選択反射器を通る入力結合された光を吸収するよう構成された第1の吸収器と、
前記第2の波長選択反射器を通る入力結合された光を吸収するよう構成された第2の吸収器と、をさらに備える第5の実施形態の光学システム。
【0012】
(第7の実施形態)
前記第1および第2の波長選択反射器は、2色性フィルタである、第5の実施形態の光学システム。
【0013】
(第8の実施形態)
前記第1の複数の波長の光は、赤色光と青色光とを含む、第1-第7の実施形態の光学システム。
【0014】
(第9の実施形態)
前記1以上の第2の波長の光は、緑色光を含む、第1-第8の実施形態の光学システム。
【0015】
(第10の実施形態)
前記第1の方向に沿って進む前記第1の複数の波長の入力結合された光を受け、前記第1の複数の波長の光を前記第1の出力結合光学素子に分配するよう構成された第1の光分配素子と、
前記第2の方向に沿って進む前記1以上の第2の波長の入力結合された光を受け、前記1以上の第2の波長の光を前記第2の出力結合光学素子に分配するよう構成された第2の光分配素子と、をさらに備える、第1-第9の実施形態の光学システム。
【0016】
(第11の実施形態)
前記第1および第2の光分配素子は、1以上の回折光学素子を備える、第10の実施形態の光学システム。
【0017】
(第12の実施形態)
前記1以上の回折光学素子は、1以上の格子を備える、第11の実施形態の光学システム。
【0018】
(第13の実施形態)
前記第1の光分配素子は、前記第2の光分配素子が前記1以上の第2の波長の光について変えるよう構成される方向とは異なる方向に前記導波路内を伝搬するように前記第1の複数の波長の光の方向を変えるよう構成される、第10-第12の実施形態の光学システム。
【0019】
(第14の実施形態)
前記第1の光分配素子は、前記導波路内を伝搬する前記第1の複数の波長の光の方向を前記第2の方向に変えるよう構成され、前記第2の光分配素子は、前記導波路内を伝搬する前記1以上の第2の波長の光の方向を前記第1の方向に変えるよう構成される、第10-第13の実施形態の光学システム。
【0020】
(第15の実施形態)
前記第1および第2の光分配素子は、直交瞳エキスパンダである、第10-第14の実施形態の光学システム。
【0021】
(第16の実施形態)
前記第1の出力結合光学素子は、前記導波路から前記第1の複数の波長の光を出力結合するよう構成された1以上の格子を備え、前記第2の出力結合光学素子は、前記導波路から前記1以上の第2の波長の光を出力結合するよう構成された1以上の格子を備える、第1-第15の実施形態の光学システム。
【0022】
(第17の実施形態)
前記第1の出力結合光学素子の前記1以上の格子は前記導波路の前記第1の主面に設けられ、前記第2の出力結合光学素子の前記1以上の格子は前記導波路の前記第2の主面に設けられる、第16の実施形態の光学システム。
【0023】
(第18の実施形態)
前記第1の出力結合光学素子の前記1以上の格子および前記第2の出力結合光学素子の前記1以上の格子は、前記導波路の同一の主面に設けられる、第16の実施形態の光学システム。
【0024】
(第19の実施形態)
前記第1の出力結合光学素子の前記1以上の格子は、1以上のアナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、ホログラム、および切り替え可能な回折光学素子を備える、第16-第18の実施形態の光学システム。
【0025】
(第20の実施形態)
前記切り替え可能な回折光学素子は、切り替え可能な高分子分散型液晶(PDLC)の格子を備える、第19の実施形態の光学システム。
【0026】
(第21の実施形態)
積層された複数の導波路を備える光学システムであって、
各々の前記導波路は、第1の主面と第2の主面とを備え、各々の前記導波路は前記第1および第2の主面の間で全反射により光を伝搬するよう構成されており、各々の導波路はさらに、
入射光を第1の複数の波長で第1の方向に沿って前記導波路に入力結合し、入射光を1以上の第2の波長で第2の方向に沿って前記導波路に入力結合するよう構成された入力結合光学素子と、
前記導波路から前記入力結合された光を出力結合するよう構成された、出力結合光学素子と、
を備える、光学システム。
【0027】
(第22の実施形態)
各々の前記導波路は関連づけられた深度面を有し、各々の前記導波路は前記関連づけられた深度面に由来するように見える像を生成するよう構成された、第21の実施形態の光学システム。
【0028】
(第23の実施形態)
異なる前記導波路は、異なる関連づけられた深度面を有する、第21-第22の実施形態の光学システム。
【0029】
(第24の実施形態)
異なる前記深度面に対応する前記出力結合光学素子は、異なる屈折力を有し、各々の前記深度面について出る光の開き角が異なる、第21-第23の実施形態の光学システム。
【0030】
(第25の実施形態)
第1の主面と第2の主面とを備えた導波路と、
入射光を前記導波路に入力結合するよう構成された入力結合光学素子と、
前記第1の主面に設けられる第1の波長選択フィルタであって、前記第1の波長選択フィルタは、前記第1の主面に隣接する第1の後方表面と、前記第1の後方表面に対向する第1の前方表面とを有し、
前記第1の後方表面を通して入力結合された第1の複数の波長の光を伝送し、前記伝送された前記第1の複数の波長の光の一部を前記第1の前方表面から反射し、
入力結合された光を他の波長で反射するよう構成された、前記第1の波長選択フィルタと、
前記第1の波長選択フィルタ上に設けられる第1の出力結合光学素子であって、前記第1の波長選択フィルタを通して伝送された前記入力結合された前記第1の複数の波長の光を出力結合するよう構成された前記第1の出力結合光学素子と、
を備える光学システム。
【0031】
(第26の実施形態)
前記第2の主面に設けられる第2の波長選択フィルタであって、前記第2の波長選択フィルタは、前記第2の主面に隣接する第2の後方表面と、前記第2の後方表面に対向する第2の前方表面とを有し、
前記第2の後方表面を通して入力結合された前記第1の複数の波長と異なる1以上の第2の波長の光を伝送し、前記伝送された1以上の前記第2の波長の光の一部を前記第2の前方表面から反射し、
入力結合された光を前記第1の複数の波長で反射するよう構成された、前記第2の波長選択フィルタと、
前記第2の波長選択フィルタ上に設けられる第2の出力結合光学素子であって、前記第2の波長選択フィルタを通して伝送された前記入力結合された前記1以上の第2の波長の光を出力結合するよう構成された前記第2の出力結合光学素子と、
をさらに備える、第25の実施形態の光学システム。
【0032】
(第27の実施形態)
前記第1および第2の波長選択フィルタは、2色性フィルタを備える、第26の実施形態の光学システム。
【0033】
(第28の実施形態)
前記第1および第2の波長選択フィルタは、前記導波路の対応する前記第1または第2の主面の法線に対して0度と20度との間の角度で入射する前記第1の複数の波長および前記1以上の第2の波長の光を伝送するよう構成される、第26-第27の実施形態の光学システム。
【0034】
(第29の実施形態)
前記1以上の第2の波長の光は、緑色光を含む、第26-第28の実施形態の光学システム。
【0035】
(第30の実施形態)
入力結合された前記第1の複数の波長および前記第2の1以上の波長の光を前記入力結合光学素子から受け、
前記第1の複数の波長および前記1以上の第2の波長の光を前記第1および第2の出力結合光学素子に分配する
よう構成された光分配素子をさらに備える、第26-第29の実施形態の光学システム。
【0036】
(第31の実施形態)
前記光分配素子は、1以上の回折光学素子を備える、第30の実施形態の光学システム。
【0037】
(第32の実施形態)
前記光分配素子は、直交瞳エキスパンダである、第30-第31の実施形態の光学システム。
【0038】
(第33の実施形態)
前記第1の複数の波長の光の第1の部分が前記第1の波長選択フィルタの前記第1の前方表面で反射され、前記第1の複数の波長の光の第2の部分が前記光再分配素子により方向を変えられる、第30-第32の実施形態の光学システム。
【0039】
(第34の実施形態)
前記第1の複数の波長の光の前記第1の部分は、前記第2の主面に反射された後に前記第1の波長選択フィルタに入射し、前記第1の部分の光の一部は前記光再分配素子により方向を変えられる、第33の実施形態の光学システム。
【0040】
(第35の実施形態)
前記1以上の第2の波長の光の第3の部分は前記第2の波長選択フィルタの前記第2の前方表面に反射され、1以上の前記第2の波長の光の第4の部分は前記光再分配素子により方向を変えられる、第30-第34の実施形態の光学システム。
【0041】
(第36の実施形態)
前記1以上の第2の波長の光の前記第3の部分は前記第1の主面に反射された後に前記第2の波長選択フィルタに入射し、前記第3の部分の光の一部は前記光再分配素子により方向を変えられる、第35の実施形態の光学システム。
【0042】
(第37の実施形態)
前記第1の出力結合光学素子は、1以上の回折光学素子を備え、
前記第2の出力結合光学素子は、1以上の回折光学素子を備える、第26-第36の実施形態の光学システム。
【0043】
(第38の実施形態)
前記第1の出力結合光学素子の前記1以上の回折光学素子は、1以上のアナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、ホログラム、および切り替え可能な回折光学素子を備える、第37の実施形態の光学システム。
【0044】
(第39の実施形態)
前記切り替え可能な回折光学素子は、切り替え可能な高分子分散型液晶(PDLC)の格子を備える、第38の実施形態の光学システム。
【0045】
(第40の実施形態)
前記第2の出力結合光学素子の前記1以上の回折光学素子は、1以上のアナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、ホログラム、および切り替え可能な回折光学素子を備える、第37の実施形態の光学システム。
【0046】
(第41の実施形態)
前記切り替え可能な回折光学素子は、切り替え可能な高分子分散型液晶(PDLC)の格子を備える、第40の実施形態の光学システム。
【0047】
(第42の実施形態)
前記入力結合光学素子は、1以上の回折光学素子を含む、第25-第41の実施形態の光学システム。
【0048】
(第43の実施形態)
前記1以上の回折光学素子は、1以上のアナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、ホログラム、および切り替え可能な回折光学素子を備える、第42の実施形態の光学システム。
【0049】
(第44の実施形態)
前記切り替え可能な回折光学素子は、切り替え可能な高分子分散型液晶(PDLC)の格子を備える、第43の実施形態の光学システム。
【0050】
(第45の実施形態)
前記入力結合光学素子はプリズムを備える、第25-第44の実施形態の光学システム。
【0051】
(第46の実施形態)
前記第1の複数の波長の光は、赤色光と青色光とを含む、第25-第45の実施形態の光学システム。
【0052】
(第47の実施形態)
複数の積層された導波路であって、各々の前記導波路は、第1の主面と第2の主面とを備え、各々の導波路はさらに、
入射光を前記導波路に入力結合するよう構成された入力結合光学素子と、
前記第1の主面に設けられる第1の波長選択フィルタであって、前記第1の波長選択フィルタは前記第1の主面に隣接する第1の後方表面と前記第1の後方表面に対向する第1の前方表面とを有し、
前記第1の後方表面を通して入力結合された第1の複数の波長の光を伝送し、伝送された前記第1の複数の波長の光の一部を前記第1の前方表面から反射するよう構成された、前記第1の波長選択フィルタと、
前記第1の波長選択フィルタ上に設けられる第1の出力結合光学素子であって、前記第1の波長選択フィルタを通して伝送された入力結合された前記第1の複数の波長の光を出力結合するよう構成された前記第1の出力結合光学素子と、
を備える光学システム。
【0053】
(第48の実施形態)
各々の前記導波路は、さらに、
前記第2の主面に設けられる第2の波長選択フィルタであって、前記第2の波長選択フィルタは、前記第2の主面に隣接する第2の後方表面と、前記第2の後方表面に対向する第2の前方表面とを有し、
前記第2の後方表面を通して入力結合された前記第1の複数の波長と異なる1以上の第2の波長の光を伝送し、前記伝送された前記1以上の第2の波長の光の一部を前記第2の前方表面で反射するよう構成された、前記第2の波長選択フィルタと、
前記第2の波長選択フィルタ上に設けられる第2の出力結合光学素子であって、前記第2の波長選択フィルタを通して伝送された前記入力結合された前記1以上の第2の波長の光を出力結合するよう構成された前記第2の出力結合光学素子と、
を備える、第47の実施形態の光学システム。
【0054】
(第49の実施形態)
各々の前記導波路は関連づけられた深度面を有し、各々の前記導波路は前記関連づけられた深度面に由来するように見える像を生成するよう構成された、第47-第48の実施形態の光学システム。
【0055】
(第50の実施形態)
異なる前記導波路は、異なる関連づけられた深度面を有する、第47-第49の実施形態の光学システム。
【0056】
(第51の実施形態)
異なる前記深度面に対応する前記出力結合光学素子は異なる屈折力を有し、各々の前記深度面について出る光の開き角が異なる、第47-第50の実施形態の光学システム。
【0057】
(第52の実施形態)
各々の前記導波路は、
前記第1および第2の波長選択フィルタを通して伝送される前記第1の複数の波長および前記1以上の第2の波長の光を受け、
前記第1の複数の波長および前記1以上の第2の波長の光を前記第1および第2の出力結合光学素子に分配する
よう構成された光再分配素子をさらに備える、第48-第51の実施形態の光学システム。
【0058】
(第53の実施形態)
複数の積層された導波路であって、各々の前記導波路は、
入射光の属性に基づいて前記入射光を選択的に前記導波路に入力結合するよう構成された入力結合光学素子と、
前記導波路に入力結合された前記光を出力結合するよう構成された、出力結合光学素子と、
を備える光学システム。
【0059】
(第54の実施形態)
前記入射光の前記属性は、波長である、第53の実施形態の光学システム。
【0060】
(第55の実施形態)
前記入力結合光学素子は、波長選択反射器である、第53-第54の実施形態の光学システム。
【0061】
(第56の実施形態)
前記波長選択反射器は、2色性反射器である、第55の実施形態の光学システム。
【0062】
(第57の実施形態)
各々の前記導波路は、前記複数の積層された導波路における他の導波路の前記波長選択反射器とは異なる波長域の光を反射するよう構成された波長選択反射器を備える、第55-第56の実施形態の光学システム。
【0063】
(第58の実施形態)
各々の前記波長選択反射器は、前記複数の積層された導波路における他の導波路の前記波長選択反射器とは異なる色に対応する波長域の光を反射するよう構成される、第55-第57の実施形態の光学システム。
【0064】
(第59の実施形態)
前記複数の積層された導波路は、赤色光を出力するよう構成された第1の導波路と、緑色光を出力するよう構成された第2の導波路と、青色光を出力するよう構成された第3の導波路と、を含む3つの導波路を備える、第53-第58の実施形態の光学システム。
【0065】
(第60の実施形態)
前記出力結合光学素子は、回折光学素子である、第53-第59の実施形態の光学システム。
【0066】
(第61の実施形態)
前記回折光学素子は、1以上のアナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、ホログラム、および切り替え可能な回折光学素子を備える、第60の実施形態の光学システム。
【0067】
(第62の実施形態)
前記切り替え可能な回折光学素子は、切り替え可能な高分子分散型液晶(PDLC)の格子を備える、第61の実施形態の光学システム。
【0068】
(第63の実施形態)
各々の前記導波路は、衝突後に前記入射光が前記導波路の表面に対してより浅い角度で伝搬するように、入射光の伝搬角度を変更するよう構成された角度変更光学素子をさらに備える、第53-第62の実施形態の光学システム。
【0069】
(第64の実施形態)
前記角度変更光学素子は、前記入射光の焦点を変更するよう構成される、第63の実施形態の光学システム。
【0070】
(第65の実施形態)
前記角度変更光学素子は、プリズムである、第63の実施形態の光学システム。
【0071】
(第66の実施形態)
前記角度変更光学素子は、回折光学素子である、第63の実施形態の光学システム。
【0072】
(第67の実施形態)
各々の前記導波路は、光分配素子をさらに備え、前記入力結合光学素子は光を前記光分配素子に向けるよう構成され、前記光分配素子は光を前記出力結合光学素子に向けるよう構成される、第53-第66の実施形態の光学システム。
【0073】
(第68の実施形態)
前記光分配素子は、直交瞳エキスパンダである、第67の実施形態の光学システム。
【0074】
(第69の実施形態)
前記光分配素子、前記入力結合光学素子、および前記出力結合光学素子は、前記導波路の表面に配置される、第67-第68の実施形態の光学システム。
【0075】
(第70の実施形態)
前記光分配素子は、1以上のアナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、ホログラム、および切り替え可能な回折光学素子を備える、第67-第69の実施形態の光学システム。
【0076】
(第71の実施形態)
前記切り替え可能な回折光学素子は、切り替え可能な高分子分散型液晶(PDLC)の格子を備える、第70の実施形態の光学システム。
【0077】
(第72の実施形態)
積層された導波路群を複数備え、各々の前記導波路群は複数の積層された導波路を備え、前記各々の導波路は、
入射光の属性に基づいて前記入射光を選択的に前記導波路に入力結合するよう構成された入力結合光学素子と、
前記導波路に入力結合された前記光を出力結合するよう構成された、出力結合光学素子と、
を備える光学システム。
【0078】
(第73の実施形態)
各々の前記導波路は関連づけられた深度面を有し、各々の前記導波路は前記関連づけられた深度面に由来するように見える像を生成するよう構成され、異なる前記導波路群は異なる関連づけられた深度面を有する、第72の実施形態の光学システム。
【0079】
(第74の実施形態)
積層された各々の前記導波路群の前記導波路は、同一の関連づけられた深度面を有する、第72-第73の実施形態の光学システム。
【0080】
(第75の実施形態)
前記出力結合光学素子は、発散する光ビームを生成する屈折力を有する、第72-第74の実施形態の光学システム。
【0081】
(第76の実施形態)
異なる前記深度面に対応する前記出力結合光学素子は異なる屈折力を有し、各々の前記深度面について出る光の開き角が異なる、第72-第75の実施形態の光学システム。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】拡張現実(AR)装置を通したARのユーザからの見え方を示す図である。
【
図2】ウェアラブル表示システムの例を示す図である。
【
図3】ユーザに3次元画像のシミュレーションを行う従来技術の表示システムを示す図である。
【
図4】多重深度面を用いた3次元画像のシミュレーションの態様を示す図である。
【
図5A】曲率半径と焦点半径との関係を示す図である。
【
図5B】曲率半径と焦点半径との関係を示す図である。
【
図5C】曲率半径と焦点半径との関係を示す図である。
【
図6】ユーザに画像情報を出力するための導波路群の例を示す図である。
【
図7】導波路から出力される出口ビームの例を示す図である。
【
図8】導波路集合体の各々の深度面で複数の異なる色成分を用いて形成される画像の模式図である。
【
図9A】導波路、入力結合光学素子、出力結合光学素子を含む表示デバイスの上面の例を示す模式図である。
【
図9B】
図9Aに示す表示デバイスにおけるA-A’断面の例を示す模式図である。
【
図9C】2色性波長選択フィルタの例および2色性波長選択フィルタの動作を示す図である。
【
図10A】導波路、入力結合光学素子、波長選択フィルタ、第1および第2の出力結合光学素子を含む表示デバイスの上面の例を示す模式図である。
【
図11A】それぞれ異なる波長もしくは波長域の光を出力するよう構成された複数の積層導波路の側断面図の例を示す図である。
【
図12A】光の導波路への入力結合を促進する角度変更光学素子を有する導波路の側方断面の例を示す図である。
【
図12B】光の導波路への入力結合を促進する角度変更光学素子を有する導波路の側方断面の例を示す図である。
【
図13】屈折率の視野に対する予測される影響を示すグラフである。これらの図は所定の実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。全体を通して、同一の符号は同一の箇所を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
VRおよびAR体験は、複数の深度面に対応する画像を観者に提供するディスプレイを有する表示システムにより提供される。画像を各々の深度面において異なるようにし(例えばシーンまたはオブジェクトをわずかに異ならせて表示させ)、観者の目が個別に焦点を合わせ、異なる深度面に位置するシーンの異なる画像の特徴に焦点を合わせるのに必要な目の遠近調整機能に基づく、および/または、焦点の合っていない異なる深度面の異なる画像の特徴を目にすることによる、奥行の手掛かりをユーザに提供するようにしてよい。ここでいう奥行手掛かりとは、確かな奥行知覚のことである。
【0084】
ある構成では、それぞれ特定の色成分を有する要素画像を重ねることにより、様々な深度面にフルカラー画像を形成することができる。例えば、赤、緑、青の画像をそれぞれ出力してフルカラー画像を形成することができる。このとき、結果として、各々の深度面は関連づけられた複数の色成分画像を有することとなる。ここでいう色成分画像は、画像情報を含む光を入力結合し、入力結合(incouple)された光を導波路に分配し、観者に向けて光を出力結合(outcouple)する導波路を用いて出力されてよい。
【0085】
回折素子などの入力結合光学素子を用いて光が導波路に入力結合され、同様に回折素子を用いることのできる出力結合光学素子を用いて導波路の外に出力結合されてよい。通常、一対の入力結合および出力結合光学素子が用いられてよい。しかしながらこのような構成は、画像品質を損なう場合がある。例えば、このような光学素子は通常、特定の設計波長を最も効率的に方向を変え、このようなシステムに供給された赤、緑、青の要素画像は、波長によっては不要にも顕著なクロッピングや焦点誤りを示すことがある(例えば、クロッピングや焦点誤りは設計波長外で起こり得る)。加えて、このような入力結合および出力結合光学素子により、クロストークやゴーストが発生することがある。場合によっては、ある波長に最適化された回折光学素子に他の波長の光が当たると、ゴースト上の画像を生ずることがある。例えば、観者から1メートルの深度面に緑の画像を配置するよう設計された回折光学素子が、1メートルより近くまたは遠くの深度面に、青や赤の画像を配置することがある。こうした深度面間のクロストークは、観者の奥行知覚を損ない、写像性を減少させることになる。
【0086】
加えて、回折光学素子などの入力結合および出力結合光学素子が、方向を変えるようには設計されていない波長の光であってもある程度方向を変えるという特徴により、色バランスは悪影響を受けることになる。フルカラー画像は複数のカラー要素画像を用いて形成されるため、フルカラー画像における色の正確さと有効色域は、観者に到達する色成分の光の量を正確に制御する能力に左右される。異なる色成分の画像間でクロストークが発生するのは好ましくない。例えば、フルカラー画像は赤、緑、青の要素画像を用いて形成することができる。意図せず緑色光と青色光とを含むような赤色光を用いて形成された赤色成分の画像は、とりわけ、最終的なフルカラー画像を生成する緑または青の光の量を正確に制御する能力を損なうため、好ましくない。これは、クロストークにより異なる色の光の比率を正確に制御する能力を減少させるため、フルカラー画像の色の正確さを低下させ、また、生成される色の範囲を減少させることになる。言い換えると、フルカラー画像は、それぞれの色成分画像が、意図しない色の範囲を含む「汚れた」色成分ではなく、「純粋な」色成分の光で形成されているときに、高品質となり得るのである。
【0087】
本発明の実施形態は、クロストークおよび意図しない出力結合のレベルが低く好ましい。
【0088】
ある実施形態では、異なる波長の光を低いクロストークレベルで選択的に出力する様々なアーキテクチャが提供される。ある実施形態では、光が導波路に入力結合され、方向を変えて波長に応じて異なる方向に伝搬する。入力結合された光は、光の伝搬方向に基づいて光を選択的に出力結合する1以上の出力結合光学素子により出力結合される。ある実施形態では、導波路と導波路の表面の1以上の出力結合素子との間にカラーフィルタが提供される。カラーフィルタは、1以上の出力結合素子に作用して出力結合する光の波長を制限する。他の実施形態では、出力される波長域または色に応じて異なる導波路が提供される。1以上の入力結合光学素子は、適切な波長域の光を対応する導波路に選択的に入力結合され、光は導波路から出力結合される。
【0089】
これらの様々な実施形態においては、記載のように、導波路により、入力画像情報を受けて入力画像情報に基づき出力画像を生成する、直視型表示デバイスまたは眼近傍型表示デバイスを構成可能である。これらのデバイスはウェアラブルであってよく、眼鏡として構成してもよい。導波路が受けた入力画像情報は多重化された異なる波長(例えば赤、緑、青の光)の光であってよく、1以上の導波路に入力結合される。入力結合された光は1以上の出力結合光学素子により導波路から出力結合(または出力)される。1以上の出力結合光学素子は、例えばアナログ表面レリーフ格子(ASR:Analog Surface Relief grating)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR:Binary Surface Relief structures)、体積ホログラフィック光学素子(VHOE:Volume Holographic Optical Elements)、デジタル表面レリーフ構造および/または体積位相ホログラフィック材料(例えば体積位相ホログラフィック材料に記録されたホログラム)、または切り替え可能な回折光学素子(例えば高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)の格子)などの、回折構造を含んでよい。アナログ表面レリーフ格子は単独の構造に複数の機能を組み合わせることができることが理解されよう。これらの構造は、連続的な製造工程を経ることで(例えばある機能の構造の上に他の機能の構造を設けて)、付加的に機能(例えば、特定の波長または波長域の光の方向を選択的に変える機能や、他の波長または波長域の光の方向を選択的に変える機能であってよい)を設けることができる。
【0090】
本発明の様々な実施形態には、1以上の格子(例えば線状の溝)を含む。格子は、格子と実質的に平行な方向に沿って伝搬する光が導波路から出力結合されるほどには方向を変えないように構成される。これに対し、格子に対してある角度の方向(例えば溝に垂直)に伝搬する光は、格子に当たって作用し、全反射(TIR:Total Internal Reflection)の要件を満たさない角度で回折し、導波路から出力結合される。ある実施形態では、導波路は対応する回折構造の方向に応じた異なる方向に光の方向を変える1以上の入力結合光学素子を含んでよい。
【0091】
本明細書に記載の様々な実施形態には、光の特定の波長を伝送する光学フィルタを含んでよい。フィルタは1以上の出力結合光学素子に作用しまたは衝突する光の波長を制限でき、これにより意図しない波長の光の出力結合可能性を減少できる。
【0092】
本発明の実施形態により以下の1以上の効果が得られることが理解されよう。例えば、記載されるように、意図しない波長の光の出力結合が減少し、上述のようにゴーストの発生が減少する。このゴーストの減少ないし除去により、写像性が改善する。加えて、意図しない波長の光の出力結合が減少すると、光を用いて形成される画像の色知覚品質が向上する。ある実施形態では、所望の波長もしくは波長域の光に特化した出力結合能力により、画像が高度に正確な色精度を持つようにできる。加えて、個別の波長の光の出力結合に対する高度な制御により、最終的なフルカラー画像における特定の波長の光の割合の高度な制御が可能となり、その結果表示される色の範囲が増大する。異なる波長の光の割合を正確に制御する能力により、可能な色成分の反復可能な組み合わせの数が増加し、その結果表示される色(色成分の合成による)の数が増加する。ある実施形態では、多数の波長もしくは色の光が同一の導波路から出力結合され、製造可能性と製造量が改善されて、例えば表示システムに使用される部品数が減少することによりデバイスのコストが下がり、表示システムの構造的かつ電気的な複雑さが減少する。
【0093】
本発明の実施形態は、一般に、表示システムとして実装可能である。ある実施形態では、表示システムは眼鏡(例えばウェアラブルである)の態様をとり、より没入したVRまたはAR体験を提供するのに好適である。例えば、積層された導波路(単一の導波路または複数の深度面をもつ導波路群)が、装着したときにユーザまたは観者の目の前にくるように構成されてよい。ある実施形態では、多重の導波路、例えばそれぞれが観者の目に対応する2つの積層導波路群、が、それぞれの目に異なる画像を提供するために用いられてもよい。
【0094】
図2はウェアラブル表示システム80の例を示す図である。表示システム80はディスプレイ62と、このディスプレイ62の機能をサポートする様々な機械的および電子的なモジュールおよびシステムを含む。ディスプレイ62は眼鏡を構成し、フレーム64に接続され、表示システムのユーザまたは観者60に装着可能となり、ディスプレイ62をユーザ60の目の前に配置するよう構成される。ある実施形態では、スピーカ66がフレーム64に接続され、ユーザ60の外耳道の近傍に配置される(ある実施形態では、図示しない他のスピーカがユーザのもう一方の外耳道の近傍に配置され、立体音声制御が可能となる)。ある実施形態では、表示システムは1以上のマイク67もしくは他の音声検出デバイスを含んでよい。ある実施形態では、マイクはユーザがシステム80への入力や命令(例えば音声入力コマンドの選択や自然言語による問い合わせなど)ができるように構成されてよく、および/または、他の人(例えば同様の表示システムの他の利用者と)との音声通話が可能になっていてもよい。
【0095】
引き続き
図2を参照して、ディスプレイ62は、例えばフレーム64に固定的に接続され、ユーザが被るヘルメットや帽子に固定的に接続され、ヘッドフォンに埋め込まれ、その他ユーザ60から取り外し可能に取り付けられる(例えばバックパック内の構成やベルトによる取り付け構成)ローカル処理データモジュール70に対し、例えば有線または無線によって動作可能に接続68される。ローカル処理データモジュール70は、ハードウェアプロセッサおよびデジタルメモリ、例えば不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリやハードディスクドライブ)を備え、これらはいずれもデータの処理、キャッシングおよび保存のため用いられてよい。データには、a)例えば画像取得デバイス(例えばカメラ)、マイク、慣性力測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、および/またはジャイロといったセンサ(例えばフレーム64に動作可能に接続され、または、ユーザ60に取り付けられていてよい)が取得したデータ、および/または、b)リモート処理モジュール72および/またはリモートデータリポジトリ74を用いて取得および/または処理されたデータであって、場合によってはこうした処理または取得の後ディスプレイ62に向かう途中のデータを含む。ローカル処理データモジュール70は、例えば有線または無線通信リンクである通信リンク76、78により、リモート処理モジュール72およびリモートデータリポジトリ74に動作可能に接続され、これらのリモートモジュール72、74は互いに動作可能に接続され、ローカル処理データモジュール70の資源として利用可能となる。ある実施形態では、ローカル処理データモジュール70は、1以上の画像取得デバイス、マイク、慣性力測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、および/またはジャイロを含んでよい。ある実施形態では、1以上のこれらのセンサはフレーム64に取り付けられてよく、またはローカル処理データモジュール70と有線または無線通信経路により通信を行う独立型構造であってもよい。
【0096】
引き続き
図2を参照して、ある実施形態では、リモート処理モジュール72はデータおよび/または画像情報の分析および処理を行うよう構成された1以上のプロセッサを備えてよい。ある実施形態では、リモートデータリポジトリ74は、インターネットもしくは「クラウド」資源構成における他のネットワーク構成を通してアクセス可能な、デジタルデータ記憶設備であってよい。ある実施形態では、すべてのデータがローカル処理データモジュールに記憶され、すべての演算がここで行われ、リモートモジュールによらない自立的な使用が可能となる。
【0097】
「3次元」または「3D」となる画像の知覚は、観者のそれぞれの目にわずかに異なる画像を提示することによって得ることができる。
図3はユーザに3次元画像のシミュレーションを行う従来技術の表示システムを示す図である。2つの異なる画像5、7が -それぞれの目4、6に1つずつ- ユーザに出力される。画像5、7は、観者の視線と平行な光軸またはZ軸に沿って、目4、6から距離10だけ離れている。画像5、7は平らであり、目4、6は単一の適応状態を想定することで画像に焦点を合わせることができる。このように画像5、7を結合させて結合画像の奥行を知覚させるしくみは、人間の視覚システムに依存している。
【0098】
しかしながら、好ましいことに、人間の視覚システムはさらに複雑で、現実的な奥行知覚を提供するのはさらにやりがいのあることである。例えば、従来の「3D」表示システムの観者の多くは、このシステムが快適でなく、または奥行をまったく知覚できないことがある。理論に拘束されるものではないが、物体の観者は輻輳開散とピント調節の組み合わせによって物体が「3次元」であると知覚すると考えられている。両眼における輻輳開散(すなわち、視線を集中させて物体を凝視するために瞳孔を寄せたり離したりする回転運動)は、目の水晶体による焦点合わせ(もしくは「調節」)と密接に関連している。通常の状態では、距離の異なるある物体から別の物体に焦点を変更するための目の水晶体の焦点距離の変更、または目のピント調節を行うと、同じ距離への輻輳開散も自動的に起きる。この関係は、「調節-輻輳反射」として知られている。同様に、輻輳状態が変化すると、通常の状態ではピント調節が起きる。本明細書に記載のように、多くの立体視または「3D」表示システムは、それぞれの目にわずかに異なる表示(そうして、わずかに異なる画像)を用いて一つのシーンを表示し、人間の視覚システムは3次元の奥行を知覚する。しかし、このようなシステムはとりわけ、目にシーンの異なる表示を行うのみであって、すべての画像情報は単一の焦点距離にあり、「調節-輻輳反射」に反して働くため、多くの観者にとって快適なものではない。調整と輻輳開散とをよりよく整合する表示システムであれば、より現実的で快適な3次元画像のシミュレーションが可能となる。
【0099】
図4は、多重深度面を用いた3次元画像のシミュレーションの態様を示す図である。
図4を参照すると、Z軸上で目4、6からさまざまな距離の物体に焦点が合うように、目4、6が調節を行う。目(4および6)は特定の調節状態を仮定して、Z軸上で異なる距離にある複数の物体に焦点を合わせる。結果として、特定の調節状態は複数の深度面14の特定の一つに関連し、特定の焦点距離に関連すると言え、特定の深度面にある物体または物体の一部は、目がその深度面に調節した状態ではピントが合っている。ある実施形態では、それぞれの目4、6に異なる画像の表示を提供することにより、また、それぞれの深度面に対応した異なる画像の表示を提供することにより、3次元画像がシミュレーションできる。説明の明確化のために離して図示されているが、目4、6の視野は、Z軸上の距離が大きくなるにつれて重なりあっていてもよいことが理解されよう。加えて、記載の簡略化のため平らに見えているが、深度面の形状は物理空間では湾曲し、特定の調節状態にあるときに目が深度面上のすべての特徴に焦点が合うようになっていてもよいことが理解されよう。
【0100】
物体と目4または6との距離により、目から見たときの物体からの光の開き角も変動する。
図5A-5Cは、距離と光線の開き角との関係を示す図である。物体と目4との間の距離は、降順に、R1、R2、R3で示される。
図5A-5Cに示すように、物体までの距離が減少するにつれて、光線はより大きく広がる。距離が大きくなると、光線は平行に近づく。言い換えると、ある点(物体または物体の一部)が形成する光照射野は、ユーザの目からその点がどれだけ遠いかの関数である球体の波面曲率を有する。物体と目4との間の距離が減少すると曲率が増大する。結果として、異なる深度面においては、光線の開き角の角度も異なり、深度面と観者の目4との間の距離が減少すると開き角の角度が大きくなる。
図5A-5Cおよび本出願の他の図面において図面の明確化のために一方の目4のみ記載しているが、目4についての説明は観者の両目4および6に適用可能であることが理解されよう。
【0101】
理論に拘束されるものではないが、人間の目が奥行知覚のために解釈可能な深度面の数には限界があると考えられている。結果として、1つの画像について、この有限数の深度面に対応する異なる表現を目に提示することにより、非常にリアルな奥行知覚シミュレーションが可能となる。観者の目は異なる表現に個別に焦点を合わせ、異なる深度面に配置されたシーン上の異なる画像の特徴に焦点を合わせるのに必要な目のピント調節に基づき、および/または、異なる深度面上の焦点の合っていない異なる画像の特徴を見ることにより、ユーザは奥行手掛かりを得ることができるのである。
【0102】
図6は、ユーザに画像情報を出力するための導波路群の例を示す図である。表示システム1000は、複数の導波路182、184、186、188、190を用いて目/脳に3次元知覚を提供するのに用いられる導波路集合体、または導波路群の集合体、178を含む。ある実施形態では、表示システム1000は
図2のシステム80であり、
図6はシステム80の一部を図式的に詳細に表したものである。例えば、導波路群178は
図2のディスプレイ62に対応する部分であってよい。
【0103】
引き続き
図6を参照して、導波路群178は、導波路の間に複数の特徴198、196、194、192を含んでもよい。ある実施形態では、特徴198、196、194、192はレンズであってよい。導波路182、184、186、188、190および/または複数のレンズ198、196、194、192はさまざまなレベルの波面曲率または光線の開き角で画像情報を目に届けるよう構成されてよい。各々の導波路のレベルは深度面に関連づけられ、その深度面に対応する画像情報を出力するよう構成されてよい。画像注入器200、202、204、206、208は導波路の光源として機能し、ここで記載するように、入ってきた光をそれぞれの導波路に分配して目4に出力するよう構成された、導波路182、184、186、187、190に画像情報を注入するのに用いられてよい。光は画像注入器200、202、204、206、208の出力面300、302、304、306、308を出て、導波路182、184、186、188、190の対応する入力面382、384、386、388、390に注入される。ある実施形態では、入力面382、384、386、388、390は対応する導波路の端部であってよく、対応する導波路の主面(すなわち、外界144または観者の目4に直接面した導波路の面の1つ)の一部であってもよい。ある実施形態において、単一ビームの光(例えば平行ビーム)が各々の導波路に注入され、導波路ごとに関連づけられた深度面に対応する所定の角度(および開き角の角度)で目4に向かうように、複製された平行ビームの全領域が出力される。ある実施形態において、画像注入器200、202、204、206、208の1つは、複数(例えば3つ)の導波路182、184、186、188、190に関連づけられ、光を注入してよい。
【0104】
ある実施形態において、画像注入器200、202、204、206、208は、別個のディスプレイであり、対応する導波路182、184、186、188、190に注入する画像情報をそれぞれ作成する。他のある実施形態において、画像注入器200、202、204、206、208は単一の多重ディスプレイの出力端であって、1以上の光学導管(例えば光ファイバーケーブル)を介して画像情報を各々の画像注入器200、202、204、206、208につないでよい。画像注入器200、202、204、206、208が提供する画像情報が、異なる波長または色(例えば、本明細書に記載のように、異なる光成分)の光を含んでよいことが理解されよう。
【0105】
制御部210は、導波路群集合体178と画像注入器200、202、204、206、208の動作を制御する。ある実施形態では、制御部210はローカル処理データモジュール70の一部である。制御部210は、例えば本明細書に記載のさまざまな考え方に従って、導波路182、184、186、188、190の画像情報のタイミングおよび供給を調整するプログラミング(例えば不揮発性媒体中の命令)を含む。ある実施形態において、制御部は単一機器、または有線もしくは無線通信チャネルで接続された分散システムであってよい。制御部210は、ある実施形態では、処理モジュール70または72(
図1)の一部であってよい。
【0106】
引き続き
図6を参照して、導波路182、184、186、188、190は、各々の導波路内を光が全反射(TIR)により伝搬するよう構成されてよい。導波路182、184、186、188、190はそれぞれ、上側主面と下側主面と、上側主面と下側主面との間に延びる端部とを備えた、平面または他の(例えば曲面の)形状であってよい。図示した構成では、導波路182、184、186、188、190は、それぞれ対応する導波路内を伝搬する光の方向を変えて導波路外に出力結合し、目4に画像情報を出力するよう構成された1以上の出力結合光学素子282、284、286、288、290を、それぞれ含んでよい。抽出光は出力結合光とも言い、1以上の出力結合光学素子は光抽出光学素子とも言う。抽出された光ビームは、導波路内を伝搬する光が光抽出光学素子に衝突した位置で導波路から出力される。1以上の出力結合光学素子282、284、286、288、290の一部または全部は、例えば、本明細書でより詳細に説明するような回折に関する光学特徴を含む、1以上の格子であってよい。簡潔な説明と明確な図示のため、導波路182、184、186、188、190の下側主面に配置されるよう図示しているが、1以上の出力結合光学素子282、284、286、288、290は、本明細書内で詳細に説明するように、上側および/または下側主面に配置されてよく、および/または導波路182、184、186、188、190の内側に直接構成されてもよい。ある実施形態において、1以上の出力結合光学素子282、284、286、288、290は、導波路182、184、186、188、190を構成する透明基板に添付される材料層内に形成されてよい。他のある実施形態において、導波路182、184、186、188、190はモノリシックな材料片であってよく、1以上の出力結合光学素子282、284、286、288、290はそのような材料片の表面および/または内部に形成されてよい。
【0107】
引き続き
図6を参照して、本明細書内で説明するように、各々の導波路182、184、186、188、190は光を出力し、個々の深度面に対応する画像を形成するよう構成されている。例えば、目に最も近い導波路182は、この導波路182に注入されたままの平行光を、目4に送るよう構成されてよい。平行光は光学無限遠深度を代表するものである。次の上の導波路184は平行光を送出するよう構成され、目4に届く前に第1のレンズ192(例えば負レンズ)を通る。第1のレンズ192は、弱い凸の波面曲率をなすよう構成され、目/脳は、この次の導波路184に由来する光が無限遠よりも目4に近い第1の深度面に由来するものと解釈する。同様に、第3の上の導波路186の出力光は目4に届く前に第1のレンズ192と第2のレンズ194とを通る。第1のレンズ192と第2のレンズ194とをあわせた屈折力が、波面曲率をさらに増加させるよう構成され、目/脳は第3の導波路186に由来する光が、次の導波路184に由来する光よりも無限遠から人により近い第2の深度面に由来するものと解釈する。これらの知覚色を生成する他の方法も可能である。
【0108】
他の導波路層188、190およびレンズ196、198は同様に構成され、集合体における最上位の導波路190の出力は目までの間にあるすべてのレンズを通り、合計屈折力により人に最も近い深度面をあらわす。導波路群集合体178の反対側の外界144から来た光を見る/解釈するときのレンズ群198、196、194、192の補正のため、補正レンズ層180を集合体の最上部に配置し、以下のレンズ群198、196、194、192の合計屈折率を補正するようにしてもよい。このように構成すると、導波路-レンズの組の数だけ深度面知覚を提供できるようになる。導波路の1以上の出力結合光学素子およびレンズの合焦は静的(すなわち動的または電気活性のない)であってよい。他のある実施形態では、いずれかまたは両方が、電気活性機能を用いた動的特徴であってよい。
【0109】
ある実施形態において、2以上の導波路182、184、186、188、190は同じ深度面に関連づけられていてもよい。例えば、複数の導波路182、184、186、188、190が同一の深度面に画像を出力するよう構成されてよく、導波路の複数の構成部分182、184、186、188、190が同一の複数の深度面に画像を出力するよう構成し、それぞれの深度面につき1セットになるようにしてもよい。これにより、そうした深度面において拡張された視界を提供するタイル状の画像を形成できるという効果を有しうる。
【0110】
引き続き
図6を参照して、1以上の出力結合光学素子282、284、286、288、290は、対応する導波路から出るように光の向きを変え、その導波路に関連づけられた個々の深度面に対応する適切な開き角の角度で、もしくは平行に、光を出力結合するよう構成されうる。結果として、異なる深度面に関連づけられた導波路では組み合わされる1以上の出力結合光学素子282、284、286、288、290が異なり、関連づけられた深度面に応じた異なる開き角で光を出力結合するものが組み合わされる。ある実施形態においては、特徴198、196、194、192はレンズではなく、単なるスペーサ(例えば被覆層および/または空隙作成のための構造)であってよい。
【0111】
ある実施形態においては、1以上の出力結合光学素子282、284、286、288、290は、回折パターンを形成する回折に関する特徴、または「回折光学素子」(本明細書では「DOE」(diffractive optical element)ともいう)である。DOEと交差する度に光ビームのある部分だけが目4の方に方向を変え、残りが全反射により導波路内を移動し続けるよう、DOEは、好ましくは十分低い回折効率を有する。画像情報が重畳された光はこのようにして、複数の位置で導波路を出るいくつかの出力ビームに分割され、その結果、導波路内で反射し回る特定の平行光は、かなり均一なパターンで目4に向けて出力放射される。
【0112】
ある実施形態においては、1以上のDOEは積極的に回折する「オン」状態とあまり回折を行わない「オフ」状態との間で切り替え可能であってよい。例えば、切り替え可能なDOEは、高分子分散型液晶の層を有し、微液滴がホスト媒体内で回折パターンを構成し、微液滴の屈折率がホスト媒体と実質的に同一の屈折率となるよう切り替え可能であり(このときパターンは知覚できるほど入射光を回折しない)、また、微液滴がホスト媒体と異なる屈折率となるよう切り替え可能である(このときパターンは入射光を積極的に回折する)。
【0113】
図7は、導波路から出力される出口ビームの例を示す図である。1つの導波路が図示されているが、導波路群178が複数の導波路を含むところ、導波路群178の他の導波路も同様に機能し得ることが理解されよう。光400が導波路182の入射端382から導波路182に注入され、全反射により導波路182内を伝搬する。光がDOE282に衝突する地点にて、光の一部が導波路から出力ビーム402として出力される。出力ビーム402は実質的に平行に図示されているが、本明細書で記載のように、導波路182に関連づけられた深度面に応じて目に対しある角度で伝搬されるよう方向づけられて(例えば広がる出力ビームを形成して)もよい。実質的に平行な出力ビームは、目4からの距離が大きい(例えば無限遠)深度面に表示されるべき画像を形成する光を出力結合する1以上の出力結合光学素子を、導波路が備えていることを示し得ることが理解されよう。他の導波路または他の出力結合光学素子は、目4は網膜に焦点を合わせるためにより近い距離に調節する必要があり、無限遠よりも近い距離からの光と脳に解釈される、より広がった出力ビームパターンを出力してもよい。
【0114】
図8は、導波路集合体の各々の深度面で複数の異なる色成分を用いて形成される画像の模式図である。ある実施形態では、それぞれの色成分、例えば3以上の色成分の画像を重ね合わせることで、各々の深度面にてフルカラー画像を形成してよい。実施形態では深度面14a-14fを図示しているが、深度の増減は考えられる。各々の深度面は関連づけられた3つの色成分画像を有してよい。すなわち、第1の色Gの第1の画像、第2の色Rの画像、第3の色Gの画像である。異なる深度面は、G、R、Bの文字の後ろの異なる視度の数値で示される。例えば、各々の文字の後ろの数字は視度(1/m)、または深度面の観者からの距離を示し、図中の各々の箱は個別の色成分を示す。
【0115】
ある実施形態では、各々の色成分の光がひとつの専用の導波路から出力され、結果として、各々の深度面には複数の導波路が関連づけられる。このような実施形態では、文字G、R、Bを含む図中の各々の箱は別個の導波路を示し、深度面あたり3つの色成分画像が供給されるところ、3つの導波路が1つの深度面に対応するものと考えることができる。簡潔な説明のため模式図では各々の深度面に関連づけられた導波路が互いに隣接するよう記載されているが、実際のデバイスでは、導波路はレベルごとに1つの導波路を積層して構成し得ることが理解されよう。他の実施形態では、複数の色成分が同一の導波路から出力され、例えば深度面ごとに1つの導波路が用いられる。
【0116】
引き続き
図8を参照して、ある実施形態では、Gは緑色で、Rは赤色で、Bは青色である。他の実施形態では、マゼンタとシアンを含む他の色が、赤、緑、青のうち1以上に加えて、または代えて用いられてよい。
【0117】
本明細書において、ある色の光というとき、観者にその色であると知覚される光の波長の範囲内にある1以上の波長の光を含むことが理解されよう。例えば、赤色光は約620-780nmの範囲内の1以上の波長の光を含み、緑色光は約492-577nmの範囲内の1以上の波長の光を含み、青色光は約435-493nmの範囲内の1以上の波長の光を含み得る。
【0118】
次に
図9Aを参照すると、導波路905と入力結合光学素子907と1以上の出力結合光学素子909a/909bとを含む表示デバイス900の上面の例を示す模式図が記載されている。導波路905は平面であって、第1の主面905aと、第1の主面905aに対向する第2の主面905bと、第1および第2の主面905aおよび905bの間に延びる端部を有してよい。かかる実施形態では、第1および第2の主面905aおよび905bはx-y平面に延伸し、第1および第2の主面905aおよび905bを横断する表面法線はz軸に沿った向きになる。導波路905は、可視スペクトルの波長または導波路905から出力されるべき色成分に対応する波長を透過するように構成された光学等級部材を備えてよい。さまざまな実施形態において、導波路905を含む本明細書に記載の導波路は、モノリシックな材料片であってよい。例えば、第1および第2の主面905aおよび905bと2つの主面905aおよび905bとの間の空間は、同じ材料であってよい。ある実施形態では、導波路は複数の材料層を含んでよい。例えば、第1および第2の主面905aおよび905bの間の空間は第1の屈折率を持つ材料を含んでよく、第1および第2の主面905aおよび905bの間の空間は異なる屈折率を持つ材料を含んでよい。
【0119】
1以上の出力結合光学素子は、表示デバイス900におけるA-A’断面の例を示す模式図である
図9Bに記載のように、第1の出力結合光学素子909aと第2の出力結合光学素子909bとを含んでよい。ある実施形態では、第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bは、結合されて単一の出力結合光学素子として、例えば同一の主面または第1・第2の主面905aおよび905bに、形成されてもよい。
【0120】
入力結合光学素子907は、入射光を第1の複数の波長で全反射により第1の方向に導波路905を通って伝搬するように入力結合し、入射光を1以上の第2の波長で全反射により第2の方向に導波路を通って伝搬するように入力結合するよう構成される。第1および第2の方向は、導波路905の第1および第2の主面905aおよび905bと同一平面上に延伸する。例えば、
図9Aに示すように、導波路905を第1および第2の主面905aおよび905bの表面法線に平行な方向から見ると(例えば、導波路905の第1の主面905aが上面を向くときに上方から見ると)、第1の方向はy軸と平行で第2の方向はx軸と平行であってよい。その結果、
図9Aは、第1および第2の方向が第1および第2の主面905aおよび905bと同一平面上で互いに直交することを示している。しかし、他の実施形態では、第1および第2の方向のなす角が、第1および第2の主面905aおよび905bの表面法線に平行な方向から見たときに90度と異なる角度であってもよい。例えば、第1および第2の方向のなす角は、60度と120度の間であってよく、70度と110度の間であってよく、80度と100度の間であってよく、85度と95度の間であってよく、これらの間の角度であってよい。好ましくは、角度は、第1の方向に伝搬する光が一の出力結合素子に高い効率で、他の出力結合光学素子に低い効率で屈折させられ、第2の方向に伝搬する光が前者の出力結合素子に高い効率で、後者の出力結合光学素子に低い効率で屈折させられるように、選択される。
【0121】
1以上の第2の波長は、第1の複数の波長と異なっていてよい。様々な実施形態で、複数の色成分(例えば、赤、緑、青)を持つ光が導波路に導入される。第1の出力結合光学素子909aは、導波路905内を第1の方向に沿って伝搬する第1の複数の波長の光の方向を、導波路905の外に変更するよう構成され、第2の出力結合光学素子909bは、導波路905内を第2の方向に沿って伝搬する1以上の第2の波長の光の方向を、導波路905の外に変更するよう構成される。ある実施形態では、第1の複数の波長は2つの色成分、例えば赤と青の光を含み、1以上の第2の波長は第3の色成分、例えば緑の光を含む。2つの色成分は、これらの2つの色成分の間における波長の相違が、2つの色成分のいずれかと第3の色成分との間における波長の相違よりも大きいと、クロストークの低減につながり好ましい。ある実施形態では、第1の出力結合光学素子909aはASRを含み、2つの色成分それぞれの光の方向を変える。
【0122】
導波路905は表示システム1000(
図6)の導波路集合体の一部であってよいことが理解されよう。例えば、導波路905は導波路182、184、186、188、190の1つに対応してよく、出力結合光学素子909aおよび909bは
図6の出力結合光学素子282、284、286、288、290に対応してよい。
【0123】
図9Aと
図9Bを引き続き参照すると、様々な実施形態で、入力結合光学素子907は、導波路905内を全反射により異なる方向に沿って伝搬するように異なる波長の光の方向を変えるよう構成された、波長選択光学素子であってよい。例えば、入力結合光学素子907は、第1の複数の波長の光に作用するよう構成された第1の入力結合光学素子セットと、1以上の第2の波長の光に作用するよう構成された第2の入力結合光学素子セットとを備えてよい。様々な実施形態で、入力結合光学素子907を形成する素子は、1以上の光学プリズム、または1以上の回折素子および/または屈折素子を含む光学部品を含んでよい。
【0124】
ある実施形態で、入力結合光学素子907は、1以上の波長の光に作用する1以上の格子を含んでよい。例えば、入射光が赤、緑、青の波長の光を含む場合、入力結合光学素子907は、3つすべての波長に作用する1つの格子を含んでよく、赤色光に作用する第1の格子と、緑色光に作用する第2の格子と、青色光に作用する第3の格子とを含んでもよい。ある実施形態では、赤色光に作用する第1の格子と青色光に作用する第3の格子が、単一の格子構造に結合されていてよい。入力結合光学素子907に含まれる1以上の格子は、アナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、体積ホログラフィック光学素子(VHOE)、デジタル表面レリーフ構造および/または体積位相ホログラフィック材料(例えば体積位相ホログラフィック材料に記録されたホログラム)、または切り替え可能な回折光学素子(例えば高分子分散型液晶(PDLC)の格子)などを含んでよい。本明細書に記載の機能を有するその他の形式の格子、ホログラム、および/または回折光学素子も、使用することができる。1以上の格子は、第1の複数の波長の入射光 -光線903i1および903i2で表される- の方向を、第1の複数の波長の光が導波路905内を第1の方向に(例えばy軸と平行な方向に沿って)伝搬するように変え、1以上の第2の波長の入射光 -光線903i3で表される- の方向を、1以上の第2の波長の光が第2の方向に(例えばx軸と平行な方向に沿って)伝搬するように変えるよう構成される。従って、1以上の格子は、第1の主面905aの前方から入射する光、または第2の主面905bの後方から入射する光の方向を適切な角度に変更し、入射光が導波路905内で全反射するように導波路905内に光を入力結合するよう構成される。入力結合光学素子907は回折格子および/または透過型格子を含んでよい。1以上の回折格子を含むある実施形態では、光が導波路905の内側から格子上に投射され、導波路905の第1または第2の方向に沿って回折される。
【0125】
ある実施形態で、1以上の波長選択フィルタ913aおよび913bは、入力結合光学素子907と一体で形成され、または、隣接して配置されてよい。1以上の波長選択フィルタ913aおよび913bは、第1の方向に沿って伝搬する1以上の第2の波長の光の一部、および、第2の方向に沿って伝搬する第1の複数の波長の光の一部を、それぞれ除去するよう構成されてよい。ある実施形態で、波長選択フィルタ913aおよび913bは、吸収型フィルタであってよい。例えば、様々な実施形態において、波長選択フィルタ913aおよび913bは色バンド吸収体であってよい。
【0126】
ある実施形態で、波長選択フィルタ913aおよび913bは2色性フィルタを含んでよい。
図9Cは、2色性波長選択フィルタの例および2色性波長選択フィルタの動作を示す図である。2色性波長選択フィルタ913a(または913b)は、全反射により第2の方向(または第1の方向)に沿って伝搬する第1の複数の波長(または1以上の第2の波長)の光を通しまたは伝送し、全反射により第2の方向(または第1の方向)に沿って伝搬する1以上の第2の波長(または第1の複数の波長)の光を反射するよう構成される。2色性波長選択フィルタ913b(または913a)を通る光は、2色性波長選択フィルタ913b(または913a)と一体で形成され、または隣接して配置される吸収体915bに吸収される。このようにして、入力結合光学素子907は、単独で、または波長選択フィルタ913b(または913a)と吸収体915bとの組み合わせにより、第1の方向に沿って導波路905内を伝搬する第1の複数の波長の入力結合された光と第2の方向に沿って導波路905内を伝搬する1以上の第2の波長の入力結合された光との間の分離度合いを高めることができる。言い換えると、入力結合光学素子907は、単独で、または波長選択フィルタ913b(または913a)と吸収体915bとの組み合わせにより、導波路905内を伝搬する異なる波長の光量を制限して、第1の方向に沿って導波路905内を伝搬する第1の複数の波長の入力結合された光と、第2の方向に沿って導波路905内を伝搬する1以上の第2の波長の入力結合された光との間のクロストークを低減することができる。第1の方向に沿って導波路905内を伝搬する第1の複数の波長の入力結合された光と、第2の方向に沿って導波路905内を伝搬する1以上の第2の波長の入力結合された光との間のクロストークの低減により、第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bの出力結合効率の改善が有利となり、出力結合光が生成するカラー画像の品質も改善されうる。
【0127】
入力結合光学素子907は、導波路905の第1または第2の主面905aまたは905bに連接して配置してよい。様々な実施形態で、入力結合光学素子907は、導波路905の角部に隣接して配置してよい。入力結合光学素子907は、導波路905と別部材であってよい。逆に、入力結合光学素子907は、導波路905の第1または第2の主面905aまたは905bの一方または両方と一体であってもよい。様々な実施形態で、入力結合光学素子907と導波路905は、一体に集積されていてよい。様々な実施形態で、入力結合光学素子907は導波路905の一部に形成されてよい。例えば、入力結合光学素子907が1以上の格子を含む実施形態において、導波路905の第1および/または第2の主面905aおよび/または905bの一部に、1以上の格子が形成されてよい。様々な実施形態において、入力結合光学素子907は、導波路905の第1および/または第2の主面905aおよび/または905bに隣接して配置される光学透過材料層に配置されてよい。他の実施形態では、本明細書に記載のように、入力結合光学素子907は導波路905の大部分に配置されてよい。
【0128】
様々な実施形態で、表示デバイス900は、第1の方向に沿って導波路905内を伝搬する第1の複数の波長の入力結合された光の光路に配置される第1の光分配素子911aを含んでよい。表示デバイス900は、第2の方向に沿って導波路905内を伝搬する1以上の第2の波長の入力結合された光の光路に配置される第2の光分配素子911bも含んでよい。第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、それぞれ第1および第2の方向に沿って第1の複数の波長および1以上の第2の波長の光を分配するよう構成されてよい。例えば、様々な実施形態において、第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、それぞれ第1および第2の方向に沿った第1の複数の波長および1以上の第2の波長の光を伸長する(例えば、光を長さ方向に拡張する)よう構成されてよい。第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、第1および第2の方向に沿って光を分配するため、第1の複数の波長の光を含む第1の光ビームおよび1以上の第2の波長の光を含む第2の光ビームのスポットサイズを有利に増大させることができ、したがってこれを、瞳エキスパンダまたは直交瞳エキスパンダ(OPE:orthogonal pupil expanders)と呼ぶことができる。第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、表示デバイス900の射出瞳のサイズを増加させるのにも役立ち得る。射出瞳のサイズが増加すると、表示デバイス900がユーザによる直視用に構成され、および/または、ニアアイ表示に適用されるときに役立つ。射出瞳のサイズの増加は、表示デバイス900を見るときの目の緊張緩和の点でも有利となり得る。
【0129】
第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、第1および第2の方向に沿って伝搬する光をそれぞれ第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bに向けるよう構成された1以上の格子を含んでよい。1以上の格子は、例えば所定のサイズ(例えば溝の深さまたは溝の高さ、形状、間隔、および/または周期)と向きを持ち、第1の方向に沿って伝搬する第1の複数の波長の光に、または第2の方向に沿って伝搬する1以上の第2の波長の光に作用するよう構成される。例えば第1の複数の波長が赤と青の光を含むとき、第1の光分配素子911aは、赤と青の光に作用するよう構成された1つの格子、または、赤の光に作用する第1の格子と青の光に作用する第2の格子とを含んでよい。同様に、1以上の第2の波長が緑の光を含むとき、第2の光分配素子911bは、緑の光に作用する格子を含んでよい。
【0130】
ある実施形態では、第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、第1の複数の波長および1以上の第2の波長の入力結合された光が導波路内を全反射により伝搬するときに光が跳ね返るごとに格子に衝突する光の一部の方向をそれぞれ変えるよう構成される。第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、第1および第2の方向に沿って伝搬する第1および第2の光ビームを、第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bに向けて方向を変えられた関連する多重ビームに分割してよい。様々な実施形態において、関連する多重ビームは互いのコピーであってよい。このようにして、第1および第2の光分配素子911aおよび911bは均一に、または実質的に均一に、第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bの広い領域を照射するよう構成され、結果として導波路905からの出力放射のかなり均一なパターンを得ることができる。一般性を何ら損なうことなく、第1および第2の光分配素子911aおよび911bを、単一波長または所定波長域内の複数の波長の入射光の向きを変えるよう、構成することができる。
【0131】
様々な実施形態において、第1および第2の光分配素子911aおよび911bに含まれる1以上の格子は、アナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、体積ホログラフィック光学素子(VHOE)、デジタル表面レリーフ構造および/または体積位相ホログラフィック材料、または切り替え可能な回折光学素子(例えば高分子分散型液晶(PDLC)の格子)などを含んでよい。本明細書に記載の機能を有するよう構成されたその他の形式の格子、ホログラム、および/または回折光学素子も、使用することができる。第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、導波路905の第1または第2の主面905aまたは905bに隣接して配置されてよい。様々な実施形態では、第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bと間を置くように配置されてよく、ある実施形態では第1および第2の光分配素子911aおよび911bはそのように構成されていなくてもよい。第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、導波路905の第1または第2の主面905aまたは905bの一方または両方と一体に構成されてもよい。様々な実施形態では、第1および第2の光分配素子911aおよび911bおよび導波路905は、一体に集積されていてもよい。様々な実施形態において、第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、導波路905の第1および/または第2の主面905aおよび/または905bに形成されてよい。様々な実施態様では、第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、導波路905の第1および/または第2の主面905aおよび/または905bに隣接して配置される1以上の光学透過材料層に配置されてよい。他の実施形態では、本明細書に記載のように、第1および第2の光分配素子911aおよび911bは、導波路905の大部分に配置されてよい。
【0132】
ここまで説明したように、第1の出力結合光学素子909aおよび第2の出力結合光学素子909bは、入力結合されて入射した光を導波路905の平面の外に向けるよう構成される。第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bは、第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bに入射した光を、観者(例えば
図7における目4)に向け、観者が良好な画質のカラー画像を知覚できるように異なる波長の光を適切に重ね合わせされる適切な角度に変えるよう構成される。第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bは、導波路905から出る光により形成される画像が所定の距離に由来するものと見えるように、導波路905から出る光に開き角を与える屈折力を有してよい。したがって導波路905は、第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bの屈折力と相互に関連する関連深度面を備えていると考えることができる。本明細書の説明のとおり、表示デバイスの様々な実施態様は、上述した導波路905 -入力結合光学素子907と、異なる屈折力を有する第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bとを含む- と類似の、異なる複数の、互いに積層された導波路を含んでよい。このような実施形態では、異なる導波路は、そこに含む異なる屈折力の第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bに対応する異なる深度面に関連づけられ得る。このように複数の異なる互いに積層された導波路を含む表示デバイスは、3D画像、特に、ライトフィールドベースの3D画像の生成に有効となり得る。
【0133】
上述のように、第1の出力結合光学素子909a、および第2の出力結合光学素子909bは、1以上の格子を含んでよい。例えば、第1の出力結合光学素子909aは第1の複数の波長の光に作用するよう構成された1以上の格子を含み、第2の出力結合光学素子909bは1以上の第2の波長の光に作用するよう構成された1以上の格子を含んでよい。例えば第1の複数の波長が赤と青の波長を含むとき、第1の出力結合光学素子909aは、赤と青の光に作用する1つの格子、または、赤の光に作用する第1の格子と青の光に作用する第2の格子とを含んでよい。他の実施形態で、1以上の第2の波長が緑の光を含むとき、第2の出力結合光学素子909bは、緑の光に作用する格子を含んでよい。
【0134】
第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bは線状の溝を含んでもよく、溝の長手方向に実質的に平行な方向に沿って伝搬する光の方向を導波路の外に出るほどには変えないよう溝を構成してよい。反対に、溝に対してある角度をなす方向(例えば溝の長手方向に垂直)に沿って伝搬する光は、溝に衝突すると全反射の要件を満たさない角度に変えられて導波路905の外に出力結合される。従って、第2の方向に沿って伝搬する1以上の第2の波長の光が第1の出力結合光学素子909aにより方向を変えられて導波路905の外に出力結合されないように、また、第1の方向に沿って伝搬する第1の複数の波長の光が第1の出力結合光学素子909aにより方向を変えられて導波路905から出力結合されるように、第1の出力結合光学素子909aの溝は、第2の方向と平行または実質的に平行な方向に配向される。第1の方向に沿って伝搬する第1の複数の波長の光が第2の出力結合光学素子909bにより方向を変えられて導波路905の外に出力結合されないように、また、第2の方向に沿って伝搬する1以上の第2の波長の光が第2の出力結合光学素子909bにより方向を変えられて導波路905から出力結合されるように、第2の出力結合光学素子909bの溝は、第1の方向と平行または実質的に平行な方向に配向される。
【0135】
第1の出力結合光学素子909aおよび第2の出力結合光学素子909bは、アナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、体積ホログラフィック光学素子(VHOE)、デジタル表面レリーフ構造および/または体積位相ホログラフィック材料(例えば体積位相ホログラフィック材料に記録されたホログラム)、または切り替え可能な回折光学素子(例えば高分子分散型液晶(PDLC)の格子)などを含んでよい。本明細書に記載の機能を有するよう構成されたその他の形式の格子、ホログラム、および/または回折光学素子も、使用することができる。様々な実施形態では、第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bは、単一の出力結合光学素子909として一体に構成されてもよい。例えば、
図9Bで示すように第1および第2の主面905aおよび905bに配置される2つの出力結合光学素子909aおよび909bに変えて、異なる波長(例えば赤、緑、青)ごとに異なるホログラムを含み重畳して記録される単一の出力結合光学素子909を、主面905aおよび905bの1つに配置してもよい。ある実施形態では、第1の出力結合光学素子909aが第1または第2の主面905aまたは905bに配置され、第2の出力結合光学素子909bがもう一方の主面に配置される。第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bが、第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bの一方または両方に形成されてよい。様々な実施形態にて、第1および第2の出力結合光学素子は、第1または第2の主面905aまたは905bの一方に配置される層上に形成されてよい。
【0136】
図10Aは、導波路905、入力結合光学素子1007、波長選択フィルタ1013aおよび1013b、第1および第2の出力結合光学素子1009aおよび1009bを含む表示デバイス1000の上面の例を示す模式図である。
図10Bおよび
図10Cは、
図10Aに示す表示デバイス1000におけるA-A’断面の例を示す図である。表示デバイスは、光線903i1、903i2および903i3で示す異なる波長の入射光が入力結合光学素子1007によって導波路905に入力結合されるよう構成される。入力結合光学素子1007はすべての波長の入射光を、導波路内での全反射による伝搬をサポートする適切な角度で、導波路905に結合するよう構成されてよい。様々な実施形態にて、入力結合光学素子1007は異なる波長の入射光を異なる方向に沿って伝搬するように入力結合するよう構成されていなくてよい。このように、ある実施形態では、すべての波長の入射光が導波路に取り込まれ、導波路内を同一の方向に沿って伝搬する。入力結合光学素子は、アナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、体積ホログラフィック光学素子(VHOE)、デジタル表面レリーフ構造および/または体積位相ホログラフィック材料(例えば体積位相ホログラフィック材料に記録されたホログラム)、または切り替え可能な回折光学素子(例えば高分子分散型液晶(PDLC)の格子)などを含んでよい。本明細書に記載の機能を有するよう構成されたその他の形式の格子、ホログラム、および/または回折光学素子も、使用することができる。様々な実施形態で、入力結合光学素子1007は、1以上の光学プリズム、または1以上の回折素子および/または屈折素子を含む光学部品を含んでよい。
【0137】
表示デバイス1000は波長選択フィルタ1013aおよび1013bを含み、それぞれの波長選択フィルタ1013aおよび1013bは出力結合光学素子1009aおよび1009bの1つと関連づけられる。図示した実施形態では、波長選択フィルタ1013aは出力結合光学素子1009aに関連づけられ、波長選択フィルタ1013bは出力結合光学素子1009bに関連づけられている。波長選択フィルタ1013aは、第1の後方表面と第1の後方表面に対向する第1の前方表面とを含む。波長選択フィルタ1013bは、第2の後方表面と第2の後方表面に対向する第2の前方表面とを含む。ある実施形態では、波長選択フィルタ1013aは、導波路905の第1の主面上の凹部に配置され、例えば
図10Bで示すように、第1の前方表面が導波路905の第1の主面905aの部分と同じ高さとなっている。他の実施形態では、波長選択フィルタ1013aは、
図10Cで示すように、第1の主面905a上に第1の後方表面が乗るように(凹部に配置されることなく)配置される。ある実施形態では、波長選択フィルタ1013bは、導波路905の第2の主面上の凹部に配置され、例えば
図10Bで示すように、第2の前方表面が導波路905の第2の主面905bと同じ高さとなっている。他の実施形態では、波長選択フィルタ1013bは、
図10Cで示すように、第2の主面905b上に第2の後方表面が乗るように(凹部に配置されることなく)配置される。導波路905内を伝搬する光は、第1または第2の波長選択フィルタ1013aまたは1013bのそれぞれ第1または第2の後方表面に入射する。第1の複数の波長(または1以上の第2の波長)の光は、第1の波長選択フィルタ1013a(または第2の波長選択フィルタ1013b)の第1の後方表面(または第2の後方表面)を通して伝送される。第1および第2の波長選択フィルタ1013aおよび1013bは、第1または第2の後方表面を通して伝送された光の一部を反射することができる。
【0138】
波長選択フィルタ1013aは、導波路905内を伝搬する第1の複数の波長の光(例えば、赤と青の波長域の光)の一部を、第1の複数の波長の光の方向を導波路905の外に変える対応した出力結合光学素子1009aまで多重反射させて伝送するよう構成される。波長選択フィルタ1013aは、第1の複数の波長と異なる波長の光を反射して出力結合光学素子1009aから遠ざけるよう構成される。同様に、波長選択フィルタ1013bは、導波路905内を伝搬する1以上の第2の波長の光(例えば、緑の波長域の光)の一部を、1以上の第2の波長の光の方向を導波路905の外に変える対応した出力結合光学素子1009bまで多重反射させて伝送するよう構成される。波長選択フィルタ1013bは、1以上の第2の波長と異なる波長の光を反射して出力結合光学素子1009bから遠ざけるよう構成される。このようにして、波長選択フィルタ1013aおよび1013bは、カラー画像を生成するために導波路905から出力結合される光の異なる波長の間のクロストークを低減することができる。
【0139】
様々な実施形態において、波長選択フィルタ1013aおよび1013bは、1以上の2色性フィルタを含んでよい。波長選択フィルタ1013aおよび1013bは、導波路905の第1および第2の主面905aおよび905b上に配置されてよい。波長選択フィルタ1013aおよび1013bが、フィルタ1013aおよび1013bに略垂直に入射する光を伝送するように構成されても、一般性は何ら損なわれることはない。例えば、波長選択フィルタ1013aおよび1013bが第1および第2の主面905aおよび905bに平行に配置されるとき、第1および第2の主面905aおよび905bの法線に対して、例えばおよそ0度から20度の角度で入射する光が、波長選択フィルタ1013aおよび1013bを通して伝送されてよい。その結果、波長選択フィルタ1013aおよび1013bは周囲の状況からの通過光を伝送するよう構成されることとなり、観者は導波路を通してこれを見ることができる。
【0140】
第1および第2の出力結合光学素子1009aおよび1009bは、対応する波長選択フィルタ1013aおよび1013b上に配置されてよい。例えば、第1の出力結合光学素子1009aは対応する波長選択フィルタ1013a上に配置され、波長選択フィルタ1013aを通って伝送された第1の複数の波長の光を導波路905の外に出力結合するよう構成される。同様に、第2の出力結合光学素子1009bは対応する波長選択フィルタ1013b上に配置され、波長選択フィルタ1013bを通って伝送された1以上の第2の複数の波長の光を導波路905の外に出力結合するよう構成される。ある実施形態では、本明細書に記載のように、第1の複数の波長は2つの色成分、例えば赤と青の光を含み、1以上の第2の波長は第3の色成分、例えば緑の光を含む。2つの色成分は、これらの2つの色成分の間における波長の相違が、2つの色成分のいずれかと第3の色成分との間における波長の相違よりも大きいと、クロストークの低減につながり好ましい。ある実施形態では、第1の出力結合光学素子1009aは1以上のASRを含み、2つの色成分それぞれの光の方向を変え、第2の出力結合光学素子1009bはASRを含み、第3の色成分の光の方向を変える。
【0141】
導波路905は表示システム1000(
図6)の導波路集合体の一部であってよいことが理解されよう。例えば、導波路905は導波路182、184、186、188、190の1つに対応してよく、出力結合光学素子1009aおよび1009bおよび波長選択フィルタ1013aおよび1013bは、
図6の出力結合光学素子282、284、286、288、290に対応してよい。
【0142】
第1および第2の出力結合光学素子1009aおよび1009bは、
図9Aおよび
図9Bに図示し上述した第1および第2の出力結合光学素子909aおよび909bと、物理的および機能的に同様のものであってよい。例えば、第1の出力結合光学素子1009aおよび第2の出力結合光学素子1009bは、アナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、体積ホログラフィック光学素子(VHOE)、デジタル表面レリーフ構造および/または体積位相ホログラフィック材料(例えば体積位相ホログラフィック材料に記録されたホログラム)、または切り替え可能な回折光学素子(例えば高分子分散型液晶(PDLC)の格子)などを含んでよい。
【0143】
第1の出力結合光学素子909aおよび第2の出力結合光学素子909bと同様に、第1および第2の出力結合光学素子1009aおよび1009bは、観者が良好な画質のカラー画像を知覚できるように異なる波長の光を適切に重ね合わせされる適切な角度および効率で、入力結合されて入射した光の方向を変えるよう構成される。第1および第2の出力結合光学素子1009aおよび1009bは、導波路905から出る光により形成される画像が所定の距離に由来するものと見えるように、導波路905から出る光に開き角を与える屈折力を有してよい。
【0144】
光再分配素子、例えば第1および第2の光分配素子1011aおよび1011bは、導波路905内を伝搬する異なる波長の光に沿った光路上に配置されてよい。第1および第2の光分配素子1011aおよび1011bは、
図9Aおよび
図9Bを参照して上で説明した第1および第2の光分配素子911aおよび911bと、物理的および機能的に同様のものであってよい。例えば、第1および第2の光分配素子1011aおよび1011bは、アナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、体積ホログラフィック光学素子(VHOE)、デジタル表面レリーフ構造および/または体積位相ホログラフィック材料(例えば体積位相ホログラフィック材料に記録されたホログラム)、または切り替え可能な回折光学素子(例えば高分子分散型液晶(PDLC)の格子)などを含んでよい。第1および第2の光分配素子1011aおよび1011bは、第1および第2の出力結合光学素子1009aおよび1009bに向けて導波路905内を伝搬する光の一部に作用し方向を変えて、光の伝搬方向のビームサイズを拡大するよう構成されてよい。したがって、第1および第2の光分配素子1011aおよび1011bは、導波路905を含む表示デバイス1000の射出瞳のサイズを増加させるのにも役立ち得る。ある実施形態で、第1および第2の光分配素子1011aおよび1011bは、このように直交瞳エキスパンダ(OPE)として機能する。
【0145】
第1および第2の光分配素子911aおよび911bと同様に、第1および第2の光分配素子1011aおよび1011bは、導波路の第1および第2の主面905aおよび905bの一方または両方に配置されてよい。
図10Aおよび
図10Bに示した実施形態では、第1の光分配素子1011aは第1の主面905aに配置され、第2の光分配素子1011bは第2の主面905bに配置される。他の実施形態では、第1および第2の光分配素子1011aおよび1011bは導波路905の同一の主面に配置されてもよい。様々な実施形態で、第1および第2の光分配素子1011aおよび1011bは単一の光分配光学素子を形成するよう結合されてもよい。
【0146】
様々な実施形態で、第1および第2の光分配素子1011aおよび1011bは、波長選択を行うよう構成され、ある波長の光を他の波長の光よりも高い効率で方向を変える。例えば、様々な実施形態で、第1の光再分配素子1011aは第1の出力結合光学素子1009aに向かう第1の複数の波長の光を向け直すよう構成され、第2の光再分配素子1011bは第1の出力結合光学素子1009bに向かう1以上の第2の波長の光を向け直すよう構成されてよい。このような実施形態では、第1の光分配素子1011aは第1の波長選択フィルタ1013aの上方に配置され、第2の光分配素子1011bは第2の波長選択フィルタ1013bの上方に配置されてよい。このようにして、第1の(または第2の)光分配素子1011a(または1011b)に向け直された1以上の第2の(または第1の複数の)波長の光の量が削減され得る。
【0147】
図9A-
図10Bを参照して説明した実施形態では、第1および第2の出力結合光学素子909a、909b、1009aおよび1009bは、導波路からの光が主面905aおよび905bの前方と後方に同程度回折するように、配置される第1または第2の主面の一方の面に対称に光を回折するよう構成されてよい。したがって、カラー画像の色のいくつかが導波路のある主面に配置された出力結合素子から出力結合され、カラー画像の色の他のいくつかが導波路の他の主面に配置された出力結合素子から出力結合された光から生成されたとしても、カラー画像の品質が大きく低下することはない。
【0148】
加えて、様々な入力結合および出力結合光学素子、および光分配素子が、それぞれ単一の波長に作用するよう構成された異なる回折構造の組み合わせによって、複数の異なる波長の光に作用するよう構成されてよい。異なる回折構造の組み合わせは、回折構造の射出圧縮成形、UVレプリケーションまたはナノインプリントなどの製造方法を用いて導波路上に形成することができる。
【0149】
次に
図11Aを参照すると、それぞれ異なる波長もしくは波長域の光を出力するよう構成された、複数の積層導波路、または積層導波路セット1200の側断面図の例が示されている。積層導波路セット1200は、導波路1210、1220、および1230を含む。それぞれの導波路は、関連づけられた入力結合光学素子、例えば導波路1210の主面(例えば底主面)に配置された入力結合光学素子1212、導波路1220の主面(例えば底主面)に配置された入力結合光学素子1222、および導波路1230の主面(例えば底主面)に配置された入力結合光学素子1232を含む。ある実施形態で、1以上の入力結合光学素子1212、1222、1232は、(特に1以上の入力結合光学素子が透過型の屈折光学素子の場合、)対応する導波路1210、1220、1230の上主面に配置されてもよい。入力結合光学素子1212、1222、1232は、対応する導波路1210、1220、1230の底主面(または1つ下の導波路の上)に配置されるのが好ましい。ある実施形態で、入力結合光学素子1212、1222、1232は対応する導波路1210、1220、1230本体内に配置されてもよい。入力結合光学素子1212、1222、1232は、光の1以上の波長を選択的に反射し、他の波長を伝送するフィルタを含むカラーフィルタであるのが好ましい。カラーフィルタの例としては、本明細書に記載の2色性フィルタが含まれる。対応する導波路1210、1220、1230の端または角に図示しているが、入力結合光学素子1212、1222、1232はある実施形態において、対応する導波路1210、1220、1230の他の領域に配置されていてよいことが理解されよう。
【0150】
各々の導波路はまた、関連づけられた光分配素子、例えば導波路1210の主面(例えば上主面)に配置された光分配素子1214、導波路1220の主面(例えば上主面)に配置された光分配素子1224、および導波路1230の主面(例えば上主面)に配置された光分配素子1234を含む。ある他の実施形態で、光分配素子1214、1224、1234は、それぞれ対応する導波路1210、1220、1230の底主面に配置されてもよい。ある他の実施形態で、光分配素子1214、1224、1234は、それぞれ対応する導波路1210、1220、1230の上主面と底主面の両方に配置されてもよく、また、光分配素子1214、1224、1234は、それぞれ異なる対応する導波路1210、1220、1230の上主面と底主面のいずれかに配置されてもよい。
【0151】
導波路1210、1220、1230は、離散配置され、気体および/または液体の物質層で隔てられていてよい。例えば、図示するように、層1216aおよび1218aが導波路1210と1220とを隔て、層1216bおよび1218bが導波路1220と1230とを隔ててよい。ある実施形態で、層1216aおよび1216bは、直接隣接した導波路1210、1220、1230の1つを形成する材料と屈折率が整合する材料で形成される。屈折率整合層1216aと1216bは導波路セット1200の厚さ方向における光の伝搬を促進し、光は好ましくは、例えば導波路1210、1220および1230を通って入力結合光学素子1232まで、ほとんど反射や損失なく進むようになる。
【0152】
ある実施形態で、層1216bおよび1218bは、低屈折材料(すなわち、直接隣接した導波路1210、1220、1230の1つを形成する材料よりも小さな屈折率を有する材料)で形成される。層1216b、1218bを形成する材料の屈折率は0.05以上、または、導波路1210、1220、1230を形成する材料の屈折率よりも0.1以上小さいと好ましい。低屈折率層1216b、1218bは、導波路1210、1220、1230内の光の全反射(TIR)(例えば各々の導波路の上主面と底主面との間の全反射)を促進する被覆層としての機能を有すると好適である。ある実施形態で、層1216b、1218bは空気で形成される。図示しないが、導波路セット1200の上面と底面は直接隣接した被覆層を含んでよいことが理解されよう。
【0153】
導波路1210、1220、1230を形成する材料が類似または同一、および、層1216b、1218bを形成する材料が類似または同一であると、製造が容易となり、また他の点を考慮して、好ましい。ある実施形態で、導波路1210、1220、1230を形成する材料は1以上の導波路の間で相違し、および/または、層1216b、1218bを形成する材料は相違し、なお上述した屈折率の諸関係を維持するようにしてもよい。
【0154】
引き続き
図11Aを参照して、光線1240、1242、1244が導波路セット1200に入射する。導波路セット1200は、表示システム1000(
図6)の導波路集合体の一部であってよいことが理解されよう。例えば、導波路1210、1220、1230は導波路182、184、186、188、190の3つに対応してよく、光線1240、1242、1244が1以上の画像注入器200、202、204、206、208により導波路1210、1220、1230に注入されてよい。
【0155】
光線1240、1242、1244は、異なる属性、例えば異なる色に対応する異なる波長域を有すると好ましい。入力結合光学素子1212、1222、1232は、光の属性の特定の特徴に基づいて光線1240、1242、1244の方向を選択的に変え、一方、そのような属性または特徴を有しない光は伝送する。ある実施形態で、光の属性は波長であり、入力結合光学素子1212、1222、1232は光のそれぞれ1以上の特定の波長の方向を選択的に変え、他の波長は下方の導波路に関連する入力結合光学素子に伝送する。
【0156】
例えば、入力結合光学素子1212は、第1の波長または波長域を有する光線1240の方向を選択的に変え(例えば反射)、異なる第2および第3の波長または波長域をそれぞれ有する光線1242および1244を伝送する。伝送された光線1242は続いて、第2の波長または波長域の光の方向を選択的に変える(例えば反射する)よう構成された入力結合光学素子1222に衝突して方向を変えられる。光線1244は入力結合光学素子1244に伝送され、続いて、第3の波長または波長域の光の方向を選択的に変える(例えば反射する)よう構成された入力結合光学素子1232に衝突して方向を変えられる。ある実施形態で、入力結合光学素子1212、1222、1232は2色性フィルタなどの反射型カラーフィルタである。
【0157】
引き続き
図11Aを参照して、方向を変えられた光線1240、1242、1244は、対応する導波路1210、1220、1230内を伝搬するよう方向を変えられる。すなわち、各々の導波路の入力結合光学素子1212、1222、1232は光の方向を変えて、対応する導波路1210、1220、1230に入力結合する。光線1240、1242、1244は、それぞれの導波路1210、1220、1230内で全反射により光線が伝搬するような角度に向けられる。
【0158】
ある実施形態で、光線1240、1242、1244が全反射する角度で入力結合光学素子1212、1222、1232に衝突するように、光線1240、1242、1244が入力結合光学素子に当たる角度を変更する角度変更光学素子1260が用いられてもよい。例えば、ある実施形態で、光線1240、1242、1244が導波路1210に垂直な角度で角度変更光学素子1260に入射するとする。すると角度変更光学素子1260は、導波路1210の表面に対して90度よりも小さい角度で入力結合光学素子1212、1222、1232に当たるように、光線1240、1242、1244の伝搬方向を変更する。ある実施形態で、角度変更光学素子1260は格子である。ある他の実施形態で、角度変更光学素子1260はプリズムである。
【0159】
引き続き
図11Aを参照して、光線1240、1242、1244はそれぞれ導波路1210、1220、1230内を全反射により伝搬し、導波路に対応する光分配素子1214、1224、1234に衝突する。
【0160】
次に
図11Bを参照すると、
図11Aに示す複数の積層導波路の透視図の例が示されている。上述したように、入力結合された光線1240、1242、1244は、それぞれ入力結合光学素子1212、1222、1232により方向を変えられ、それぞれ導波路1210、1220、1230内を全反射により伝搬する。光線1240、1242、1244はその後、それぞれ光分配素子1214、1224、1234に衝突する。光分配素子1214、1224、1234は、光線1240、1242、1244がそれぞれ出力結合光学素子1250、1252、1254に向かって伝搬するよう方向を変える。
【0161】
ある実施形態で、光分配素子1214、1224、1234は直交瞳エキスパンダ(OPE)である。ある実施形態でOPEは、出力結合光学素子1250、1252、1254に光の方向を変え、または分配し、さらに出力結合光学素子に向けて伝搬するにつれてこの光のビームまたはスポットの大きさを増大させる。ある実施形態で、例えばビームサイズがすでに希望のサイズであると、光分配素子1214、1224、1234を省略して入力結合光学素子1212、1222、1232が光の向きを変えて直接出力結合光学素子1250、1252、1254へ向かうように構成してよい。例えば、
図11Aを参照して、光分配素子1214、1224、1234は、ある実施形態では、それぞれ出力結合光学素子1250、1252、1254に置き換えてよい。
【0162】
本明細書に記載のように、出力結合光学素子1250、1252、1254は、アナログ表面レリーフ格子(ASR)、バイナリ表面レリーフ構造(BSR)、体積ホログラフィック光学素子(VHOE)、デジタル表面レリーフ構造および/または体積位相ホログラフィック材料、または切り替え可能な回折光学素子(例えば高分子分散型液晶(PDLC)の格子)などのような回折構造を含んでよいことが理解されよう。ある実施形態において、出力結合光学素子1250、1252、1254は
図6の出力結合光学素子282、284、286、288、290のうちの3つであってよいことが理解されよう。ある実施形態において、出力結合光学素子1250、1252、1254は、光を観者の目4(
図7)に向ける射出瞳(EP:Exit Pupil)または射出瞳エキスパンダ(EPE:Exit Pupil Expander)である。
【0163】
したがって、
図11Aおよび
図11Bを参照すると、ある実施形態では、導波路セット1200は別個の導波路1210、1220、1230と、光分配素子(例えばOPE)1214、1224、1234と、出力結合光学素子(例えばEP)1250、1252、1254とを、色成分ごとに含む。3つの導波路1210、1220、1230は、入力結合光学素子(例えばカラーフィルタ)1212、1222、1232が置かれる場所を除いて、それぞれの間に空隙をもって積層されてよい。カラーフィルタは所望の色を適切な導波路に反射し、他の色の光は伝送する。例えば、光はまず、入力結合格子またはプリズムのような角度変更光学素子1260によって第1の導波路1210に入力結合される。光はその後、出会った表面の反対側に比較的低い屈折率の材料(例えば空気)があれば全反射となる角度で伝搬し、光が適切な波長を有しているときの適切に設計された2色性フィルタのような入力結合光学素子(例えばカラーフィルタ)1212、1222、1232に衝突すると、ほぼ完全に反射する。示した例では、上述したように、光線1240(例えば緑色光)は、第1の入力結合光学素子(例えばカラーフィルタ)1212から反射し、そのまま全反射により反射して導波路に至り、光分配素子(例えばOPE)1214とその後出力結合光学素子(例えばEP)1250に作用する。光線1242および1244(例えば青と赤の光)は入力結合光学素子(例えばカラーフィルタ)1212を通り、次に導波路1220に至る。光線1242は次の入力結合光学素子(例えばカラーフィルタ)1222から反射し、そのまま全反射により反射して導波路1220に至り、光分配素子(例えばOPE)1224とその後の出力結合光学素子(例えばEP)1252に進む。最後に光線1244(例えば赤色光)は、入力結合光学素子(例えばカラーフィルタ)1232を通って導波路1230に入り、光分配素子(例えばOPE)とその後の出力結合光学素子(例えばEP)1254に伝搬して、最終的に、他の導波路1210、1220からの光とともに、観者へと出力結合される。
【0164】
次に
図12A-
図12Bを参照すると、光の導波路への入力結合を促進する角度変更光学素子1260を有する導波路の側方断面の例が示されている。本明細書中に記載のように、角度変更光学素子1260は、例えば回折により光線の方向を変える、格子を含んでよい。ある他の実施形態では、角度変更光学素子1260は、光線の伝搬方向または角度を、例えば屈折により変更する、プリズムであってよい。
図12Aは、プリズム1260を通して入力結合され、入力結合光学素子(例えばカラーフィルタ)1212から反射され、第1の導波路1210内を全反射により伝搬する、ある波長域の光を示している。
図12Bは、入力結合光学素子(例えばカラーフィルタ)1212を通って伝送され、入力結合光学素子(例えばカラーフィルタ)1222から反射され、第2の導波路1220内を全反射により伝搬する、第2の波長域の光を示している。
【0165】
様々な導波路(例えば
図9A-
図10Bの905、
図11A-
図11Bの1210、1220、1230)を、高い屈折率を有する材料で作成するとよいことが知られている。
図13は、屈折率の視野に対する予測される影響を示すグラフである。
図13は、
図11A-
図11Bの導波路1210、12220、1230の1つに類似した単色のアイピースをディスプレイ62に用いたときのシミュレーション結果を示している。シミュレーションでは、導波路の屈折率は、様々な樹脂に関連する値(上端)から石英ガラスの値(下端)まで変化する。有効視野が明らかに増大することが、グラフから見て取れる。この理由により、ある実施形態では、本発明の様々な導波路は高い屈折率の導波路となるような材料で形成されてよい。
【0166】
ある実施形態で、本発明の様々な導波路(例えば
図9A-
図10Bの905、
図11A-
図11Bの1210、1220、1230)を、ガラス、ポリマー、プラスチック、サファイア、樹脂、またはその他可視スペクトルの波長を透過する材料で形成してよい。本明細書に記載のように、高い屈折率を有する材料からなる導波路は、高い有効視野(FoV:Field of View)を有し得る。例えば、導波路の材料の屈折率が約1.45から約1.75に増加すると、有効視野は約35度から約60度に増加し得る。従って、本発明の様々な実施形態は、屈折率が1.5より大きい、約1.5と1.8の間、1.6より大きい、または1.8より大きい、材料をからなる導波路を含んでよい。
【0167】
ある実施形態で、導波路上に回折構造(例えば格子)を有する導波路は、例えば回折構造の射出圧縮成形、UVレプリケーションまたはナノインプリントなどの製造方法を用いて、屈折率の高い基板の上に構成可能なことが理解されよう。ある実施形態で、ASR構造ベースの形状ないしバイナリ表面レリーフ形状を形成するのにこのような方法を使用してもよい。
【0168】
本発明の様々な実施形態例がここに記載されている。これらの例への言及は、非限定的な意味でなされている。これらの例は、発明の実施可能な態様をより広く説明するために記載されている。記載された発明に様々な変更を加えることができ、本発明の本旨および範囲から離れることなく均等物による置き換えが可能である。
【0169】
有効な例としてウェアラブルシステムにおける眼鏡として説明したが、本発明の導波路と関連する構造およびモジュールは、ウェアラブルでないディスプレイを形成するのに適用することができる。例えば、ウェアラブルなフレーム64(
図2)に取り付けられるのではなく、ディスプレイ62は、スタンド、埋め込み、またはディスプレイ62を支持し、観者60が身につけなくてもディスプレイ62が観者60に画像を提供できるようにするその他の構造に(例えばデスクトップモニターとして)取り付けてもよい。
【0170】
ある実施形態で、所定の図を引用して本明細書中で説明した様々な特徴は、他の図を引用して説明した実施形態でも用いることができる。例えば、
図9Bを参照して、
図10Bおよび
図10Cのカラーフィルタ1013a、1013bのようなカラーフィルタを、それぞれ出力結合光学素子909a、909bと導波路905との間に設けてもよい。同様に、
図11Aを参照して、
図10Bおよび
図10Cのカラーフィルタ1013a、1013bのようなカラーフィルタを、出力結合光学素子1214、1224、1234と対応する導波路1210、1220、1230との間に設けてもよい。各々の出力結合光学素子において、素子を対応する導波路から分離するカラーフィルタは、出力結合光学素子が出力結合するよう構成されている波長または波長の光を伝送し、他の波長の光を反射するよう構成されると好ましい。
【0171】
加えて、特定の状況、材料、物質組成、方法、行為またはステップを、本発明の目的、精神または範囲に合わせるための多くの変更が可能である。さらに、本明細書に記載し説明した個々のバリエーションが、本発明の範囲または精神から離れることなく他の実施形態の特徴と容易に分離または結合可能な独立した構成要素および特徴を有していることが、当業者には認められるだろう。これらすべての変更は、本発明にかかる特許請求の範囲に含まれるべきものである。
【0172】
本発明は、対象機器を用いて実行される方法を含む。この方法は、このように好適な機器を提供する方法を含む。提供する行為は、エンドユーザが実行してもよい。言い換えると、「提供(providing)」行為は単に、対象方法における必須の機器に対してユーザが、取得し、アクセスし、近接し、位置し、セットアップし、有効化し、電源を入れ、またはその他の行為を行うことであればよい。本明細書に記載の方法は、記載した事象の順の他に、事象について論理的に可能などのような順でも行うことができる。
【0173】
材料の選択および製造に関する詳細とともに、発明の態様の例をここまで記載してきた。本発明の他の詳細については、当業者に広く知られ理解されることに加え、本明細書で引用した特許および文献に関連して理解することができる。本発明の方法ベースの態様に共通的または論理的に適用される追加行為についても同様のことが言える。
【0174】
加えて、種々の特徴を選択的に有するいくつかの例を参照して発明を説明してきたが、発明は、これらそれぞれのバリエーションについて想定されるものと説明し示したものに限定されない。本発明の精神および範囲から何ら離れることなく、本発明への様々な変更が可能であり、均等物(本明細書に記載されているか長さの都合で含まれていないかにかかわらず)により置き換えることができる。加えて、数値範囲を述べた箇所においては、すべての中間値、その範囲の上限と下限との間の値、およびその範囲において記載された他の中間値が、発明に内包される。
【0175】
また、記載された発明のバリエーションにおける任意の特徴は、単独で、または本明細書に記載の1以上のいかなる特徴との組み合わせにおいても、説明し権利範囲とすることが想定可能である。単数形での記載は、同じ物が複数存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書で使用され関連して請求項でも使用される単数形「a」、「an」、「said」および「the」は、明示的に反対の記載がなければ、複数のものも含む。言い換えると、本明細書および関連する請求項における「少なくとも1つの」対象物を複数用いてもよい。さらに、任意な要素を 除外する請求項が記載されてもよい。このように、この記載は、請求項の構成要件の記載における「solely」「only」などの排他的な用語の使用、または「消極的」限定の使用の先行例として働くことを意図したものである。
【0176】
このように排他的な用語の使用なく、本明細書に関連する請求項における用語「comprising」は、要素の数がその請求項に規定されているか否かにかかわらず、要素の追加を許容し得るものであり、特徴の追加はその請求項における要素の本質を変更するものと考えられる。本明細書に明示的に規定されている場合を除き、本明細書で用いられるすべての技術的および学術的用語は、請求項の有効性を維持する限り広く一般に理解される意味を有するものとする。
【0177】
本発明の範囲は本明細書および/または記載した例に限定されるものではなく、本明細書に関連する請求項の文言の範囲によってのみ規定される。