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特許7057471乗客とルートのスケジューリングのための輸送システムと方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】乗客とルートのスケジューリングのための輸送システムと方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20220412BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20220412BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20220412BHJP
【FI】
G06Q10/04 310
G06Q50/30
G06Q10/08 300
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021527107
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 SG2020050345
(87)【国際公開番号】W WO2020263177
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】10201905938Q
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520472918
【氏名又は名称】スワット、モビリティ、ピーティーイー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SWAT Mobility Pte. Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー・マカロフ
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・フィクス
(72)【発明者】
【氏名】ジャロルド・オン
(72)【発明者】
【氏名】コック・ソン・チョン
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー・ソロヒチン
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105157712(CN,A)
【文献】米国特許第06418398(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第108596469(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数車両環境におけるルート計算のためのコンピュータ実装の方法であって、以下のステップ:
a)ユーザの希望する行程に対応する予約データを受信し、
b)前記予約データに対応する現在のルートデータとして少なくとも1つの第1のルートデータを決定し、ここで、前記少なくとも1つの第1のルートデータのそれぞれは、少なくとも1つの第1のルート特性を含み、
c)前記予約データに対応し、前記現在のルートデータに基づく少なくとも1つの後続のルートデータを決定し、ここで、前記少なくとも1つの後続のルートデータのそれぞれは、少なくとも1つの後続のルート特性を含み、
d)前記少なくとも1つの後続のルート特性を前記現在のルートデータの前記少なくとも1つのルート特性と比較し、
e)前記比較に基づいて、前記少なくとも1つの後続のルートデータの品質が、前記少なくとも1つの現在のルートデータに対して向上しているかどうかを決定し、
f)ルートデータソリューションとして、又は次の反復のために使用される後続のルートデータとして、前記現在のルートデータ及び前記後続のルートデータからより高品質の1つを選択し、
g)前記ルートデータソリューションを、ルートソリューションとして車両の少なくとも1つに送信し、予約ソリューションとしてユーザに送信すること
を含み、
前記ルート特性は、少なくともそれぞれのルートデータの品質を示し、
ステップc)からf)は、定義された終了条件が満たされるまで繰り返され、
前記少なくとも1つの後続のルートデータのうちの少なくとも1つは、近傍検索関数をガイドするメタヒューリスティック関数を使用することによって決定され、
前記近傍検索関数は、前記現在のルートデータから動作する後続のルートデータを決定するように適合され、
前記近傍検索関数の検索範囲は、前記メタヒューリスティック関数のパラメータによって設定され、前記メタヒューリスティック関数は、「疑似アニーリング」関数又は「タブー」関数のいずれかで構成され、
前記近傍検索関数は、アダプティブ「破滅と再作成」検索関数を含み、
前記メタヒューリスティック関数による近傍検索範囲の前記設定には、前記アダプティブ「破滅と再作成」検索関数の隣接範囲の縮小が含まれ、
前記メタヒューリスティック関数の前記パラメータは、少なくともステップc)からe)の繰り返しの進行内で減少され、前記パラメータは、温度パラメータ又はタブーリストサイズであり、
前記アダプティブ「破滅と再作成」検索関数の前記隣接範囲は、前記パラメータに応じて縮小される
方法。
【請求項2】
前記近傍検索関数は次のいずれかである、請求項1に記載の方法。
i)アダプティブ「破滅と再作成」検索関数;又は
ii)アダプティブ「破滅と再作成」検索関数と「ローカル近傍検索」検索関数。
【請求項3】
前記ii)において、前記アダプティブ「破滅と再作成」検索関数は、第1の回数の繰り返しに対して使用され、前記「ローカル近傍検索」検索関数は、第2の回数の繰り返しに対して使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数車両環境におけるルート計算システムであって、
ユーザの希望する行程に対応する予約データを受信するように適合された通信要素、
前記予約データに対応する現在のルートデータとして少なくとも1つの第1のルートデータを決定するように適合された決定要素であって、前記少なくとも1つの第1のルートデータのそれぞれは、少なくとも1つの第1のルー特性を含む、決定要素、
前記予約データに対応し、前記現在のルートデータに基づく少なくとも1つの後続のルートデータを決定するように適合された決定要素であって、前記少なくとも1つの後続のルートデータのそれぞれは、少なくとも1つの後続のルート特性を含む、決定要素、
前記少なくとも1つの後続のルート特性を前記現在のルートデータの少なくとも1つのルート特性と比較するように適合された比較要素、
前記比較に基づいて、前記少なくとも1つの後続のルートデータの品質が、前記少なくとも1つの現在のルートデータに対して向上しているかどうかを決定するように適合された決定要素、
ルートデータソリューションとして、又は次の反復のために使用される後続のルートデータとして、前記現在のルートデータ及び前記後続のルートデータからより高品質の1つを選択するように適合された選択要素
を含み、
前記ルート特性は、少なくともそれぞれのルートデータの品質を示し、
後続のルートデータを決定し、後続のルート特性を比較し、品質の向上を判断し、品質が向上したルートデータを選択することは、定義された終了条件が満たされるまで繰り返され、
前記少なくとも1つの後続のルートデータのうちの少なくとも1つは、近傍検索関数をガイドするメタヒューリスティック関数を使用することによって決定され、
前記近傍検索関数は、前記現在のルートデータから動作する後続のルートデータを決定するように適合され、
前記近傍検索関数の検索範囲は、前記メタヒューリスティック関数のパラメータによって設定され、前記メタヒューリスティック関数は、「疑似アニーリング」関数又は「タブー」関数のいずれかで構成され、
前記近傍検索関数は、アダプティブ「破滅と再作成」検索関数を含み、
前記メタヒューリスティック関数による近傍検索範囲の前記設定には、前記アダプティブ「破滅と再作成」検索関数の隣接範囲の縮小が含まれ、
前記メタヒューリスティック関数の前記パラメータは、少なくとも、後続のルートデータを決定し、後続のルート特性を比較し、及び品質の向上を判断することの繰り返しの進行内で減少され、前記パラメータは、温度パラメータ又はタブーリストサイズであり、
前記アダプティブ「破滅と再作成」検索関数の前記隣接範囲は、前記パラメータに応じて縮小される
システム。
【請求項5】
前記通信要素は、前記ルートデータソリューションを、ルートソリューションとして車両の少なくとも1つに送信し、予約ソリューションとしてユーザに送信するようにさらに適合される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
複数車両環境でのルートスケジューリングのための輸送システムであって、
少なくとも1人のユーザから予約データを受信するように適合され、少なくとも1台の車両の車両可用性データを受信するように適合された通信要素、
前記少なくとも1人のユーザの前記予約データに従って、前記車両の少なくとも1つのルートデータソリューションを決定するための少なくとも1つの処理要素
を含み、
前記ルートデータソリューションは、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法を実行することによって決定される
輸送システム。
【請求項7】
前記通信要素は、前記決定されたルートデータの行程データとして前記ルートデータソリューションを前記ユーザに提供し、及び/又は前記ルートデータソリューションを前記少なくとも1台の車両に提供するようにさらに適合されている、請求項6に記載の輸送システム。
【請求項8】
前記ルートデータソリューションは、要求された乗車場所、割り当てられた乗車場所、要求された降車場所、割り当てられた降車場所、乗車時間、乗車時間枠、降車時間、降車時間枠、必要な収容力、サービスシーケンス、割り当てられた車両、割り当てられたドライバーのうちの少なくとも1つを含み、及び/又は
前記車両可用性データは、ドライバースケジュール、平均車速、車両収容力、及び車両位置の少なくとも1つで構成され、特に前記車両収容力には、人間の乗客の数、動物の乗客の数、輸送する物品のサイズ要件、車椅子の要件、ベッドの要件、コンテナのサイズ、及び必要な保管場所のサイズが含まれる、
請求項6又は7に記載の輸送システム。
【請求項9】
前記通信要素はさらに、
道路データを受信し、及び
前記少なくとも1つのルートを決定するために前記道路データを使用する
ように適合され、
特に、前記道路データは、道路ネットワーク情報、交通サービス情報、道路閉鎖情報、及び交通情報のうちの少なくとも1つを含む、
請求項6~8のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項10】
さらに予約システムを含み、
前記予約システムが予約アプリケーションを含み、
前記予約アプリケーションが、モバイルコンピューティングプラットフォーム、スマートフォン、スマート(デジタル)時計、タブレット、ラップトップ、ショートメッセージングサービス(SMS)、モバイルメッセージングアプリケーション、一元化された予約ポータル、電話、及び音声通話システムを介して、ユーザから少なくとも1つの予約データを受信するように適合される、
請求項6~9のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項11】
ルートデータの決定は、前処理要素により、乗車場所及び降車場所を許容される乗車場所及び許容される降車場所へ前処理することをさらに含み、
特に、前記許容される乗車場所と前記許容される降車場所の少なくとも一部は重み関数に関連付けられており、要求された場所に近い場所及び/又は統計的に人気のある場所には、要求された場所から遠い場所よりも高い重みパラメータが割り当てられ、前記重み関数は、許容される乗車及び許容される降車場所を決定するときに使用される、
請求項6~10のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項12】
ルートデータの決定は、少なくとも1つのルートデータの割り当てられた乗車及び/又は降車場所を変更することをさらに含む、請求項6~11のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項13】
割り当てられた乗車及び/又は降車場所を変更することは、前記輸送システムが、
割り当てられた各場所の周りの複数の許容される場所を識別し、
前記許容される場所間のすべての許容される経路を識別し、
前記許容される経路から最短ルートを決定し、
割り当てられた乗車及び/又は降車場所を、得られた最短ルートの許容される経路の許容される場所に変更する
ように適合されることをさらに含む、請求項12に記載の輸送システム。
【請求項14】
好まれる乗車場所、好まれる降車場所、好まれる乗車時間、及び好まれる降車時間を含む通勤設定を収集し、
少なくとも1つの人気のある場所を含むように、前記通勤設定から経路パターンを決定し、
割り当てられた乗車及び/又は降車場所を変更して、人気のある場所を優先する
ようにさらに適合された、請求項6~13のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項15】
指令を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されるとき、前記コンピュータに請求項1~3のいずれか1項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項15のコンピュータプログラムを格納したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、輸送及びルーティングの適用に関する。具体的には、適用は、輸送管理システム及び輸送管理方法に関連している。より具体的には、本出願は、特にマルチストップシナリオにおける乗客のスケジューリング及びルーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の個人の輸送サービスは、人の運転からサービスとしてのモビリティMAAS用途に移行している。ここで、輸送される人はもはや車両を所有していないが、オンデマンドで提供されたモビリティを使用する。すなわち、選択時にポイントAからポイントBに輸送されるサービスを使用する。そのような行程は、今度私的又は半私的な性質のものであり得る。私的な行程とは、輸送車両が乗客又は一緒に属する乗客のグループ専用にスケジュールされているものであり、ほとんどの場合、すべての乗客が同じ出発地と目的地の間を移動したいという特徴がある。半私的な行程は、特定の、ほとんどの場合少数の人々が一緒にプールされ、乗り物を共有するという特徴を有する。このような半私的な行程は、現在車両を共有しているすべての乗客の同じポイントAとBの間にあり得る。あるいは、車両は、乗客が行程経路に沿って乗降することを可能にする、複数のポイントで行程をスケジューリングし得る。
【0003】
そのような輸送サービスを提供するために、複数のユーザを、ユーザが望む目的地までにサービスを提供する複数の車両に計画及び割り当てる必要がある。そのため、ルーティングとスケジュールの割り当ての問題に対する解決策を提供する必要がある。特に、本明細書において、いわゆる配車ルート問題(vehicle routing problem、VRP)を考慮する必要がある。
【0004】
VRPは、一連の場所を訪問するのに最適なルートと車両の数を見つけることを含む組み合わせ最適化問題として説明できる。VRPのいくつかのバリエーションが知られており、それらは制約によって互いに異なる。例えば、当技術分野では「巡回セールスマン問題」として知られている1つの変形は、1台の車両のみに関連するが、場所を訪問する時間と順序に制約はない。当技術分野で「集配問題」として知られている別の変形は、乗車場所は対応する降車場所の前になければならないので、場所訪問の順序に制約がある。当技術分野で「時間枠を伴う収容力制限付き車両ルーティング問題」(Capacitated Vehicle Routing Problem with Time Windows、CVRPTW)として知られる別の変形は、各車両が収容力属性を有し、各行程要求又は予約が収容力要求を有すると見なし、乗車及び降車のための好ましい時間ウィンドウを考慮する。ほとんどの従来のVRPのバリエーションは、デポでルートの開始及び終了に車両を制限する。
【0005】
VRP問題は通常、前述のデポ、乗車、降車の場所を表すノードと、連続するノード間のルートセグメントを表す接続を使用して、グラフとして定式化される。ソリューションの最適性は、コスト関数を使用して記述又は測定される。例えば、コスト関数はすべてのルートの合計距離であり得、最良のソリューションは、最小コスト又は最小合計ルート距離をもたらすものであり得る。一部の適用シナリオでは、コストは合計運転時間であり得る。他のシナリオでは、総距離よりも少数の車両を大いに優先するように設計されている場合がある。コスト関数は、燃料消費量などのコスト、又は車両やフリートの使用による環境への影響にも関係する場合があり、移動距離及び/又は輸送される乗客ごとに特定の車両を操作するための実際のコストも含まれる場合がある。もちろん、コスト関数は、適切に重み付けすることができる1つだけでなく複数の個別のコストも考慮することができる。
【0006】
VRP問題の膨大な組み合わせ検索空間のため、実際にはコンピューティングリソースと時間の制約があるため、真のグローバルに最適なソリューションを見つけることは計算上困難である。したがって、VRPは、効率的な組み合わせ最適化手法とメタヒューリスティックスを使用して、現実的な時間制約で次善のソリューションを見つけることによって規則的に解決される。メタヒューリスティック、メタヒューリスティック関数、又はメタヒューリスティックガイド関数(これらの用語は同じ意味で使用される場合がある。)は、ヒューリスティックをガイド、検索、生成、又は選択するために設計された高レベルの手順、すなわち、部分検索アルゴリズムであり、これは、特に情報が不完全又は不完全であるか、計算能力が限られている場合に、最適化問題に対して十分に優れたソリューションを提供し得る。メタヒューリスティックでは、あるクラスの問題でグローバルに最適なソリューションが見つかるとは限らない。多くのメタヒューリスティックは、何らかの形の確率的最適化を実用しているため、見つかったソリューションは、生成された確率変数のセットに依存する。組み合わせ最適化では、実行可能なソリューションの大規模なセットを検索することにより、メタヒューリスティックは、最適化アルゴリズム、反復メソッド、又は単純なヒューリスティックよりも少ない計算労力で優れたソリューションを見つけることができる。
【0007】
例えば、メタヒューリスティックメソッドは、ソリューションを導出するために、複数の反復を通じて近傍検索メソッドをガイドする場合がある。各反復で、近傍検索メソッドは現在ソリューションの周囲の検索空間で新しいソリューションを見つけ、そして、メタヒューリスティックメソッドは新しいソリューションが受け入れ可能かどうかを判断する。許容可能であり、すべての制約が満たされる場合、新しいソリューションが次の反復における現在ソリューションになる。
【0008】
組み合わせ最適化問題を解くために最も頻繁に採用されるアルゴリズムは、近傍検索である。
【0009】
このアルゴリズムは、特定のルールに従って現在のソリューションの順列を作成して候補ソリューションを生成することにより、ソリューション空間でローカル又はグローバルに最適なソリューションを繰り返し検索する。候補ソリューションは、そのコストが現在の最良のソリューションのコストよりも低く、すべての制約が満たされる場合に受け入れられる。一般に、候補の生成戦略は、問題の詳細と制約に大きく依存する。適切に設計された場合、戦略は、順列プロセス中の制約コンプライアンスチェックを大幅に簡素化できる。
【0010】
検索空間とソリューション空間は、特に、問題の制約を満たす最適化問題のすべての可能な点の集合(選択変数の値の集合)として理解できる。
【0011】
サーチ空間は、候補のセットが絞り込まれる前の、特定の最適化問題に対する候補ソリューションの初期セットである。問題の制約を満たす絞り込まれた点のセットは、ソリューション空間と呼ばれることもある。制約は、ソリューション空間が満たす必要のある最適化問題の条件である。
【0012】
このような近傍検索の一例を図11に示す。検索は、生成され、ソリューションストレージ要素1100のようなメモリ要素に格納される初期ソリューションから始まる。反復ごとに、ソリューションストレージ要素1100内の現在のソリューションは、異なるローカル検索演算子要素1120に渡される。有効なすべてのローカル検索演算子はループで実行される。演算子は現在のソリューションを使用して新しい隣接ソリューションを生成する。すべての演算子は、独自のアルゴリズムを使用して現在のソリューションを変更し、1つ以上の隣接ソリューションを生成する。通常、アルゴリズムは単純であり、問題に対して定義されたすべての制約を考慮しないため、生成された候補(隣接)ソリューションは制約を満たす場合と満たさない場合がある。すべてのソリューションは、1つ又は複数のフィルタ命令を含むフィルタ要素1110に渡され、フィルタ要素1110は、制約を満たし、より良い目的関数値を有する、すなわち、現在のソリューションよりも優れたソリューションを提供するソリューションのみを選択する。そのようなソリューションが見つかった場合、それがソリューション記憶要素1100に保存され、ローカル検索は、演算子要素1120の参照として新たに発見されたソリューションを使用して継続する。演算子要素1120は順次適用され、演算子が適用される順序は、演算子シーケンス1130によって制御される。フィルタ要素1110が新しいソリューションを検出すると、演算子シーケンスは最初の演算子から開始することができる。すべての演算子の完全なサイクルの後、新しいソリューションが見つからなかった場合、ローカル検索は停止する。
【0013】
例示的に、ローカル検索ステップにおける3つのタイプの演算子要素1120、すなわち「2-Opt」、「クロス」(cross)及び「交換」(exchange)がここで説明される。
【0014】
「2-Opt」を使用すると、演算子は、すべてのルートのサブシーケンスのすべての可能な組み合わせを逆にして、より良い客観値を持つ隣接ソリューションを見つけようとする。
【0015】
図12は、近傍検索の「2-OPT」を使用する演算子要素を用いた近傍検索メソッドの例示的な実施形態を示している。
【0016】
例えば、すべてのルートにはN+1ノードが含まれる。ここで、n0は開始ノード又は場所、例えばデポであり、nNは終了ノード又は場所、例えば別の(同じ又は異なる)デポである。このルートのサブシーケンス[nF、nL]には、ノードFからノードLまでのすべてのノードが含まれる。ここで、Fはサブシーケンスの第1のノードを示し、Lはサブシーケンスの最後のノードを示す。目標は、次の3つの条件を満たすサブシーケンスのすべての可能な組み合わせを徹底的に生成することである。
【0017】
条件1:第1のノードが最後のノードの前にある。(F<L:ステップ1210)
条件2:第1のノードはルート上にあるが、デポは除く。(0<F<N:ステップ1250)
条件3:最後のノードはルート上にあるが、デポは除く。(0<L<N:ステップ1230)
【0018】
アルゴリズムは1200から始まり、現在のルートのFとLを1に初期化する。これは、現在のルートの開始デポの後のノードである。条件1が満たされる場合(判定:Yes)、メソッドはステップ1220に進み、ルートのサブシーケンス[nF、nL]を逆にすることによって新しい候補ソリューションを作成し、次に関連する目的値を評価する。ステップ1230から1260は、他の条件2及び3が満たされることを保証しながら、体系的に新しいサブシーケンスを生成する。
【0019】
現在のルートのすべてのサブシーケンスが評価された後、ステップ1270は、現在のルートが最後のルートであるかどうかをチェックする。そうである場合、アルゴリズムは終了する。それ以外の場合、メソッドはステップ1200に戻り、次のルートのためにステップが繰り返される。
【0020】
「クロス」を使用すると、演算子は、1つのペアのルートの開始サブシーケンスを交換して、より客観的な値を持つ隣接ソリューションを見つけることを目指す。
【0021】
図13は、近傍検索の「クロス」を使用する演算子要素を用いた近傍検索メソッドの例示的な実施形態を示している。
【0022】
例えば、ルートのすべてのペアについて、第1のルートにはN+1ノードが含まれる。ここで、n0は開始場所、例えばデポであり、nNは終了場所、例えば別の(同じ又は異なる)デポである。このルートの開始サブシーケンス[n1、nL]には、ノード1からノードLまでのすべてのノードが含まれる。ここで、Lはサブシーケンスの最後のノードを示す。同様に、第2のルートにはM+1ノードが含まれる。ここで、m0は開始場所、例えばデポであり、mMは終了場所、例えば別の(同じ又は異なる)デポである。このルートの開始サブシーケンス[m1、mK]には、ノード1からノードKまでのすべてのノードが含まれる。ここで、Kはサブシーケンスの最後のノードを示す。目標は、ルートのすべての可能なペアの開始サブシーケンスを徹底的に生成し、それらを交換して、結果のソリューションを評価することである。
【0023】
このメソッドは、ステップ1300で、新しいルートのペアを選択し、L及びKを1に初期化することによって開始する。ステップ1310は、第1のルートの[n1、nL]と第2のルートの[m1、mK]とを交換することによって候補ソリューションを作成し、その目的値を評価する。ステップ1320は、L及びKの両方がそれぞれのルートの終わりに到達したかどうかをチェックする。到達していない場合(判定:No)、L及びKは、ステップ1330で同時にインクリメントされて、開始サブシーケンスの新しいペアを生成し、ソリューションの生成及び評価のためにステップ1330から継続する。到達した場合(判定:Yes)、新しいルートのペアが選択され、プロセス全体が繰り返される。ステップ1340が、ルートの可能なすべてのペアが処理されたと判定すると、プロセスは終了する。
【0024】
「交換」を使用すると、演算子は、すべてのルートのノードの可能なすべてのペアを交換して、より客観的な値を持つ隣接ソリューションを見つけようとする。
【0025】
図14は、近傍検索の「交換」を使用する演算子要素を用いた近傍検索メソッドの例示的な実施形態を示している。
【0026】
例えば、すべてのルートにはN+1ノードが含まれる。ここで、n0は開始場所、例えばデポであり、nNは終了場所、例えば別の(同じ又は異なる)デポである。このルートのノードの1つのペアは(nF、nS)で表される。ここで、Fはペアの第1のノードを示し、Sはペアの第2のノードを示す。目標は、3つの条件を満たすノードの可能なすべてのペアを徹底的に生成することである。
【0027】
条件1:第1のノードが第2のノードの前にある。(F<S:ステップ1410)
条件2:第1のノードはルート上にあるが、デポは除く。(0<F<N:ステップ1450)
条件3:第2のノードはルート上にあるが、デポは除く。(0<S<N:ステップ1430)
【0028】
このメソッドは1400から始まり、現在のルートのFとSを1に初期化する。これは、現在のルートの開始デポの後のノードである。条件1410が満たされる場合、メソッドはステップ1420に進み、ルートのnF及びnSを交換することによって新しい候補ソリューションを作成し、次に関連する客観値を評価する。ステップ1430から1460は、他の条件2及び条件3が満たされることを保証しながら、体系的に新しいノードのペアを生成する。
【0029】
現在のルートのノードのすべてのペアが評価された後、ステップ1470は、現在のルートが最後のルートであるかどうかを判断する。そうである場合、メソッドは終了する。それ以外の場合、メソッドはステップ1400に戻り、次のルートのためにステップが繰り返される。
【0030】
古典的なメタヒューリスティック手法の1つに、「疑似アニーリング」(Simulated Annealing)がある。「疑似アニーリング」は、近傍検索に基づく反復アルゴリズムである。近傍検索の反復ごとに、パラメータ(例えば候補ソリューションを受け入れる確率を決定するための温度パラメータ)を使用する確率的メカニズムが使用される。パラメータ、例えば温度は、高い初期値から始まり、選択した冷却スキームに従って、近傍検索の反復の過程で減少する。パラメータが減少するにつれて、例えば「ゼロ」の温度に向かって、より高いエネルギーを持つ候補ソリューション(すなわち、より悪いソリューション)が受け入れられる確率が低下する。最初の反復でより悪いソリューションを受け入れるというこの特性により、「疑似アニーリング」はグローバルに最適なソリューションをより広範囲に検索できる。
【0031】
ルーティングの問題の場合、ソリューションコストは通常、エネルギーに正比例するように定義され、指数関数的な冷却スキームが使用される。反復が進むにつれて、より高コストのソリューションを受け入れる確率は徐々に低くなる。コスト値が低いより良いソリューションは、すべての反復で常に受け入れられる。
【0032】
もう1つの近傍検索メソッドは、「破滅と再作成」(Ruin and Recreate)である。「破滅と再生」は、「破滅」フェーズでソリューションのルートの一部を破滅し、「再作成」フェーズでそれらを再作成する。1つの「破滅」戦略は「隣接ベースの選択」(adjacency-based selection)と呼ばれ、グラフ上のランダムなノードを選択し、この反復で定義された数のノードが削除されるまで、このノードからの距離が増加する順にノード又はノードのサブシーケンスを削除する。後続の「再作成」フェーズでは、既存のルートを適応させるか、新しいルートを作成して、直近に孤立したノードを統合する。
【0033】
反復の初期段階で特に効果的なもう1つの「破滅」戦略は、「フルルート選択」(full-route selection)である。これは、1つのルートのすべてのノードを削除し、それによってルートの総数を減らす。通常、ノードの制約が少ないルートが「破滅」に選択される。次に、「再作成」フェーズでは、新しく削除されたノードを残りのルートに挿入しようとする。
【0034】
図7(a)~(c)は、「破滅と再作成」近傍検索メソッドの例示的な実施形態を示している。
【0035】
図7(a)は、3つのルートが絡み合った次善の方法でノードのセットを接続する中間ソリューションを示している。「隣接ベースの選択」戦略を採用することにより、円形領域7010がランダムノード7000の周りに定義される。
【0036】
図7(b)は、「破滅」プロセスが、円形領域7010に完全に含まれていたすべての接続を破滅し、その結果、いくつかの孤立したノード及び/又は切断されたノード7020をもたらしたことを示している。
【0037】
図7(c)は、新しいソリューションを生成するために「再作成」プロセスが実行されたことを示している。このプロセスでは、より最適なルートのセットが破滅されたルートに置き換わっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
配車ルートの問題に対する既知のソリューションは存在するが、すべての状況で問題を最適に解決するソリューションはまだない。したがって、配車ルート問題の改善されたソリューションが必要である。本開示は、上記の考察に照らして考案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
最も一般的には、本開示は、配車ルート問題を解決するための新規なソリューションと、乗車スケジューリングのための輸送システムにおけるその適用に関する。
【0040】
本開示の第1の態様によれば、複数車両環境におけるルート計算のためのコンピュータ実装の方法が提供され、前記方法は、以下のステップ:a)ユーザの希望する行程に対応する予約データを受信し、b)前記予約データに対応する現在のルートデータとして少なくとも1つの第1のルートデータを決定し、ここで、前記少なくとも1つの第1のルートデータのそれぞれは、少なくとも1つの第1のルート特性を含み、c)前記予約データに対応し、前記現在のルートデータに基づく少なくとも1つの後続のルートデータを決定し、ここで、前記少なくとも1つの後続のルートデータのそれぞれは、少なくとも1つの後続のルート特性を含み、d)前記少なくとも1つの後続のルート特性を前記現在のルートデータの前記少なくとも1つのルート特性と比較し、e)前記比較に基づいて、前記少なくとも1つの後続のルートデータの品質が、前記少なくとも1つの現在のルートデータに対して向上しているかどうかを決定し、f)ルートデータソリューションとして、又は次の反復のために使用される後続のルートデータとして、前記現在のルートデータ及び前記後続のルートデータからより高品質の1つを選択し、g)前記ルートデータソリューションを、ルートソリューションとして車両の少なくとも1つに送信し、予約ソリューションとしてユーザに送信することを含み、前記ルート特性は、少なくともそれぞれのルートデータの品質を示し、ステップc)からf)は、定義された終了条件が満たされるまで繰り返され、前記少なくとも1つの後続のルートデータのうちの少なくとも1つは、近傍検索関数をガイドするメタヒューリスティック関数を使用することによって決定され、前記近傍検索関数は、前記現在のルートデータから動作する後続のルートデータを決定するように適合され、前記近傍検索関数の検索範囲は、前記メタヒューリスティック関数のパラメータによって設定される。
【0041】
本開示の第2の態様によれば、複数車両環境におけるルート計算システムが提供され、前記システムは、ユーザの希望する行程に対応する予約データを受信するように適合された通信要素、前記予約データに対応する現在のルートデータとして少なくとも1つの第1のルートデータを決定するように適合された決定要素であって、前記少なくとも1つの第1のルートデータのそれぞれは、少なくとも1つの第1のルート特性を含む、決定要素、前記予約データに対応し、前記現在のルートデータに基づく少なくとも1つの後続のルートデータを決定するように適合された決定要素であって、前記少なくとも1つの後続のルートデータのそれぞれは、少なくとも1つの後続のルート特性を含む、決定要素、前記少なくとも1つの後続のルート特性を前記現在のルートデータの少なくとも1つのルート特性と比較するように適合された比較要素、前記比較に基づいて、前記少なくとも1つの後続のルートデータの品質が、前記少なくとも1つの現在のルートデータに対して向上しているかどうかを決定するように適合された決定要素、ルートデータソリューションとして、又は次の反復のために使用される後続のルートデータとして、前記現在のルートデータ及び前記後続のルートデータからより高品質の1つを選択するように適合された選択要素を含み、前記ルート特性は、少なくともそれぞれのルートデータの品質を示し、後続のルートデータを決定し、後続のルート特性を比較し、品質の向上を判断し、品質が向上したルートデータを選択することは、定義された終了条件が満たされるまで繰り返され、前記少なくとも1つの後続のルートデータのうちの少なくとも1つは、上記の方法を使用することによって近傍検索関数をガイドするメタヒューリスティック関数を使用することによって決定され、前記近傍検索関数は、前記現在のルートデータから動作する後続のルートデータを決定するように適合され、前記近傍検索関数の検索範囲は、前記メタヒューリスティック関数によって設定される。
【0042】
本開示の第3の態様によれば、複数車両環境でのルートスケジューリングのための輸送ルーティングシステムが提供され、前記輸送システムは、少なくとも1人のユーザから予約データを受信するように適合され、少なくとも1台の車両の車両可用性データを受信するように適合された通信要素、前記少なくとも1人のユーザの前記予約データに従って、前記車両の少なくとも1つのルートデータソリューションを決定するための少なくとも1つの処理要素を含み、前記ルートデータソリューションは、本開示に記載の方法を実行することによって決定される。
【0043】
本開示の第4の態様によれば、指令を含むコンピュータプログラム製品が提供され、前記プログラムがコンピュータによって実行されるとき、本開示に記載の方法を実行させる。
【0044】
本開示の第5の態様によれば、本開示のコンピュータプログラム製品を格納したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0045】
一般に、本開示は、車両ルーティング問題の新規な形態、特に特定のメタヒューリスティック関数と特定の近傍検索メソッドとの組み合わせを採用している。メタヒューリスティック関数は、検索空間上でグローバルに使用されて、検索空間の他の領域に関して好ましい結果を示し得る検索空間の1つ又は複数の領域に検索関数をガイドことができる。その後の最適化は、近傍検索関数を使用して実行できる。そのような近傍検索関数は、例えば、破滅と再作成検索関数として具体化することができる。
【0046】
本発明の一実施形態では、メタヒューリスティック関数は、疑似アニーリングを使用して、2つの近傍検索関数を反復する。初期の反復では、破滅と再作成が近傍検索関数として使用されるが、後期の反復では、代替の近傍検索関数(単純なローカル検索など、例えば山登り法(hill climbing))が代替的に使用される。
【0047】
本発明の別の実施形態では、メタヒューリスティック関数は、疑似アニーリングを使用して、動的に構成された破滅と再作成メソッドを反復する。例えば、破滅するノードの数は、グローバルパラメータ(例えば、疑似アニーリングの温度パラメータ)に正比例するように構成される。言い換えれば、破滅されるノードの数、又は破滅半径、又は破滅領域は、最初は大きいが、反復の過程で徐々に小さくなる。
【0048】
破滅と再作成近傍検索関数の重要な特性の1つは、破滅領域である。公知の適用では、破滅領域は静的に構成されるが、本開示の破滅領域は、特にメタヒューリスティック関数の温度パラメータなどのパラメータに依存して、動的に割り当て又は変更される。大きな破滅領域は、最適ソリューションのグローバル検索を容易にするように設計された初期の反復に有利である。ただし、ソリューションが改善されてプラトーに近づき、反復の過程で多かれ少なかれ最適になると、大きな破滅領域はソリューションの小さな改良を生み出すのに効果がなくなる。一方、最初に小さな破滅領域を構成すると、反復の非常に早い段階でソリューションが極小値に拘束される可能性がある。破滅と再作成検索関数を開始するに、初期ノード又はシードノードをランダムに選択できる。さらに、異なるシードノードを中心とした複数の破滅と再作成検索関数が並行して実行され、最良の結果が受け入れられることが考えられる。
【0049】
前述の疑似アニーリングメタヒューリスティック関数及び破滅と再作成近傍検索関数は、本発明の可能な実施形態を説明するためにのみ役立つことに留意されたい。「タブー」メタヒューリスティック関数及び同様の特性を示す近傍検索関数のような他のメタヒューリスティック関数もまた、本発明の範囲内にあることが理解される。同様の特性は、例えば既知の近傍検索メソッドであるか、ソリューション空間で特定の大きさの「ジャンプ」を達成するように構成され得る。例えば、「大きなジャンプ」を特徴とするメタヒューリスティック関数は、「小さなジャンプ」を特徴とする近傍検索関数と補完的に組み合わせることができる。構成可能なメソッドは、反復のさまざまな段階でさまざまなジャンプ特性を示すように動的に構成できる。
【0050】
本発明はまた、乗車スケジューリング及びユーザのプーリングのための輸送システムを提供する。複数の車両及び動的な乗客行程割り当てを伴う本開示のシナリオでは、車両の個々のルートは、乗客行程割り当て(すなわち特定の乗客を、希望する乗降及び降車場所に応じて車両に割り当てること)に応じて変化している。サービス提供として特定のモビリティを最適化するには、特定の時点で複数の車両に乗客への好ましい割り当てが必要である。そのような好ましい割り当ては、特定の乗客の最小の全体的な移動時間、又はすべての特定の乗客の平均の最小の全体的な移動時間をもたらす可能性がある。同様に、平均移動時間の短縮は、燃料消費量の削減、特にモビリティサービスに参加しているすべての関連車両(現在稼働中の車両など)のフリート消費量の削減と密接に関連しており、それによって車両の排出量が削減される。同様に、移動距離の総量を減らすことができ、それによって車両の動作寿命を延ばし、メンテナンスコストを削減できる。
【0051】
本発明のシステム及び方法は、特に複数車両シナリオにおける乗客のプール及び行程のスケジューリングのための輸送サービスに関する。ユーザは事前に行程について問い合わせることができ、例えば、翌日の午前8時に、ポイントAからポイントBへの行程を登録できる。本発明は、輸送サービスのユーザからの要求のすべて又は少なくとも大部分を最も効率的に処理するため、要求された出発又は乗車場所、要求された目的地又は降車場所、要求された乗車時間又は時間枠、要求された降車時間又は時間枠、収容力などに応じて、そのようなすべての旅行の問い合わせ又は事前の予約(前もって到着する)を考慮し、ユーザ及び車の割り当てをスケジューリングする。
【0052】
本システム及び方法は、行程をスケジューリングし、その問い合わせが受け付けられたかどうかをユーザに通知し、及び/又は最初の要求からある程度逸脱する可能性がある行程の詳細を提供する。例えば、乗車場所と乗車時間は、周辺の行程に対応するためにわずかに変更されている場合がある。これは、例えばユーザが午前8時5分に自分の好きな場所で迎えられず、要求された降車場所(エリア)と要求された降車時間(枠)を維持しつつ、午前8時15分に300m離れた場所で迎えられることを提案される場合があることを意味する。時間と場所のこのようなわずかな変更により、単なる行程共有方式よりもプールサービスをさらに最適化できる可能性がある。これにより、サービスが要求された行程の詳細をより厳密に保持する場合に可能なよりも、多くのユーザをプールできる。
【0053】
システムは、オプションとしてユーザに提示される複数の行程を生成することができ、そこからユーザは、好ましい行程を選択することができる。提示されたすべての行程は、要求された行程にある程度対応している場合があり、要求された行程とは異なる場合がある。例えば、第1のオプションは、要求された乗車場所と一致するが要求よりも少し早い時間をユーザに提示する場合があり、第2のオプションは、要求された時間枠内であるが、さらに離れた乗車場所で行程を提供する場合がある。次に、ユーザは、提供されたオプションの1つを受け入れるか、すべてのオプションを拒否するかを決定できる。事前にシステムのユーザによって受け入れられた複数の行程に応じて、さらなる最適化が達成可能であると考えられる。例えば、車両の割り当ては変更でき、すなわち、現在必要な収容力に応じて、特定の旅行用に車両が選択される場合がある。
【0054】
輸送システムによるスケジューリングは、複数の予約が収集されて前処理される事前予約フェーズで動作することができる。データはシステムに送られ、最初のVRP計算を実行して、予約を処理するためのルートの初期セットを生成する。動作中、すなわち予約が現在処理されている場合、システムはオンデマンドフェーズで動作する場合がある。このフェーズでは、システムは継続的に追加の予約を受け取り、VRP計算を繰り返すことにより、それらを既存のルートに挿入する。複数のイベントが更新をトリガーし、したがって計算されたルートを変更する可能性があると考えられる。そのようなイベントは、新しい予約、予約のキャンセル、時間間隔にわたって蓄積された新しい予約のグループ、スケジュールされた計算イベント、道路の閉鎖、交通事故、及び/又は現在稼働中でユーザにサービスを提供している車両の故障であり得る。
【0055】
しかしながら、本発明は、そのような事前スケジューリング環境で使用することができるだけでなく、車両フリート又は現在稼働中の車両1台のみに割り当てるために現在入ってくる行程をスケジューリングするためにも適用することができる。本発明は、例えばバスサービスの車両乗客が、例えば専用のモバイルアプリを使用することによって、都市の特定のエリアの任意のバス停での乗車及び降車を要求することを可能にすることができる。時間は制限されない場合もあるが、例えば、オフピーク時、例えば午前11時から午後3時の間、及び午後8時以降は、需要が少なく、固定スケジュールの公共交通サービスが収益性を失う可能性があるときに、制限される場合もある。オフピークバスは乗客数が少ない可能性があるため、公共交通サービスをオンデマンドサービスに置き換えることでコストを削減することが目標となる可能性がある。通常のバスは、選択したルートを引き続き運行できするが、頻度は低くなる可能性がある。本発明は、個々の乗り物を直ちに注文すること、又は定義された時間、例えば、事前に2週間までに、乗り物を事前予約することを可能にすることができる。料金は距離ベースの料金モデルに基づいて計算することができ、その結果、実際の行程を反映する場合がある。
【0056】
本発明の好ましい実施形態は、以下のように見ることができ、これは、前述及び後述のすべての技術的詳細に適用され得る。本開示の方法及びシステムは、メタヒューリスティック関数を使用して、検索関数をガイドし、適応的破滅と再作成を伴う候補ソリューションを反復することができる(すなわち、メタヒューリスティック関数として疑似アニーリングの温度などのパラメータを使用して隣接範囲を縮小する)。パラメータがしきい値Tsに達すると、検索関数はアダプティブ破滅と再作成から、例えばローカル近傍検索に切り替わり、これは、おそらく、ここで説明されているように、2-opt、クロス、及び交換演算子の少なくとも1つを使用する。
【0057】
ルートデータの特性、又はルート特性は、ルートデータの品質であり得る。特性又は品質指標は、1つのルートデータがルート特徴(例えば、品質の低いルートデータよりも特定の需要に対応するのに適している、ルートのノード)を含むことを表現できる、又は表現するために使用される任意の指標又は情報要素として理解できる。より高品質のルートは、例えば、特定のサービスを提供するために、より短い又はより速いルートであるか、より少ない燃料を消費するか、又は必要な車両の総数が少なくなる可能性がある。ルート品質指標は、単一/車両の総数によってサービスを受ける人数である場合もあり、より高い品質は、単一/車両の総数に対する乗客数の増加によって表され、これにより、特定の収容力をより有効に活用できるため、使用量が増加する。
【0058】
予約データは、特に、特にルートデータの決定を可能にするために、予約に関連する任意の指標又は情報要素として理解され得る。予約データは、環境(例えば、サービスが提供される都市周辺のような現実のシナリオ)に直接関連している場合もあれば、現在の方法及びシステムのコンテキストでルートデータの計算に使用されるメタデータである場合もある。そのため、メタデータは実際の予約データから取得しつつも、例えば環境のコンテキストから取り出された変換データになる場合がある。
【0059】
終了条件は、ルートデータの品質が最大化されるとき、又は少なくとも定義されたしきい値を超えるか満たすとき(すなわち、ルートが定義された品質又は必要な品質になる。)を条件とし得る。あるいは、条件は、繰り返しの反復回数又は計算に使用される時間に関連するしきい値であり、これを超えてはならないか、又はその後、反復の繰り返しが停止される場合がある。同様に、終了条件は、メタヒューリスティック関数のガイドパラメータ(例えば、疑似アニーリングによる温度、又はタブー検索用のタブーリストサイズ、及び関連するしきい値)を考慮した条件であり得る。
【0060】
本開示のさらなる実施形態によれば、メタヒューリスティック関数は、「疑似アニーリング」検索関数又は「タブー」検索関数のうちの1つを含み得る。
【0061】
前記メタヒューリスティックの1つを使用することは、ソリューション空間のグローバル検索のための1つ又は複数の好ましいローカルソリューションを提供し得る。
【0062】
本開示のさらなる実施形態によれば、近傍検索関数は、「破滅と再作成」検索関数、アダプティブ「破滅と再作成」検索関数、及び「ローカル近傍検索」検索関数のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0063】
上記の近傍検索関数の1つを使用すると、メタヒューリスティック関数にガイドされながら、ソリューション空間で優先ソリューションを見つけることができる。特に、検索関数は、アダプティブ「破滅と再作成」検索関数を導くメタヒューリスティック関数から開始することができる。
【0064】
本開示のさらなる実施形態によれば、メタヒューリスティック関数は、「疑似アニーリング」検索関数又は「タブー」検索関数のうちの1つを含み得、近傍検索関数は、i)アダプティブ「破滅と再作成」検索関数と「ローカル近傍検索」検索関数と、ii)アダプティブ「破滅と再作成」検索関数のうちの1つを含み得る。
【0065】
前述の組み合わせを使用すると、それぞれの検索関数を個別に実行するよりも、ソリューション空間での最適化問題に対する好ましいソリューションが提供される。さらに、前述の組み合わせを使用すると、公知の形態よりも、ソリューション空間における本開示の内容内の最適化問題に対してより良い解決ソリューションを提供する。
【0066】
本開示のさらなる実施形態によれば、i)又はiii)において、それぞれの「破滅と再作成」検索関数は、第1の回数の繰り返しに使用され得、「ローカル近傍検索」検索関数は、第2の回数の繰り返しに使用され得る。
【0067】
言い換えれば、本方法は、反復中に近傍検索関数を切り替えることができる。最初の近傍検索関数(例えば、「破滅と再作成」又はアダプティブ「破滅と再作成」)は、特定の条件が満たされるまで使用できる。疑似アニーリングのコンテキストでは、温度パラメータは定義された最初の温度値に達し得るが、タブーのコンテキストでは、パラメータはタブーリストサイズであり得る。パラメータ値に達した後、メソッドはその後、別の、例えば、第2の近傍検索関数、例えば「ローカル近傍検索」を使用して近傍検索を続行できる。あるいは、近傍検索関数の順序を逆にすることもできる。
【0068】
本開示のさらなる実施形態によれば、メタヒューリスティック関数による近傍検索範囲の設定は、アダプティブ「破滅と再作成」検索関数の隣接範囲を縮小することを含み得る。言い換えれば、破滅領域はメタヒューリスティック関数のパラメータ値に依存し得る。
【0069】
本開示のさらなる実施形態によれば、メタヒューリスティック関数は、少なくともステップc)からe)の繰り返しの進行内で低減されるパラメータ、特に温度パラメータ又はタブーリストサイズを含み得る。ここで、隣接範囲は、パラメータに応じて減少し得る。
【0070】
言い換えれば、グローバルパラメータ、例えば、メタヒューリスティック関数の温度パラメータ又はタブーリストサイズは、破滅領域の隣接範囲を設定する。最適化の進行に伴い、パラメータは徐々に減少し、例えば、温度が下がり、その結果、破滅領域のサイズが小さくなる。これにより、最適化が進むにつれて、近傍検索関数の検索半径又は隣接範囲が減少する機能が提供され、特に、以前の/現在のソリューションと評価される新しい可能なソリューションとの間の距離が減少し、メタヒューリスティック関数の終わりに近づいたときにソリューション空間で大きなジャンプを回避する。
【0071】
本開示のさらなる実施形態によれば、通信要素は、ルートデータソリューションをルートソリューションとして車両の少なくとも1つに送信し、予約ソリューションとしてユーザに送信するようにさらに適合させることができる。
【0072】
本開示のさらなる実施形態によれば、通信要素は、決定されたルートデータの行程データとしてルートデータソリューションをユーザに提供し、及び/又はルートデータソリューションを少なくとも1台の車両に提供するようにさらに適合させることができる。
【0073】
言い換えれば、1つ又は複数の発見されたソリューションが、例えば、ユーザが選択できるオファーとして、ユーザに提供され得る。したがって、ユーザは、異なる行程又は行程のルートを検討することができ、ユーザの特定の好みに最もよく一致するものを選択することができる。例えば、出発と到着の時間枠及び時間位置のようなユーザの全体的な制約を満たしながら、乗車場所及び乗車時間に関してわずかに異なる2つの行程がユーザに提供され得る。同様に、行程がユーザによって受け入れられると、割り当てられた車両又は割り当てられた車両の運転手は、行程に関する情報を受け取る。情報は、個別化することも、「時間Bに場所Aで3人の乗客を乗せる」などの組み合わせ情報とすることもできる。
【0074】
本開示のさらなる実施形態によれば、経路データソリューションは、ルートデータソリューションは、要求された乗車場所、割り当てられた乗車場所、要求された降車場所、割り当てられた降車場所、乗車時間、乗車時間枠、降車時間、降車時間枠、必要な収容力、サービスシーケンス、割り当てられた車両、割り当てられたドライバーのうちの少なくとも1つを含み得、車両可用性データは、ドライバースケジュール、平均車速、車両収容力、及び車両位置の少なくとも1つで構成され、特に車両収容力は、人間の乗客の数、動物の乗客の数、輸送する物品のサイズ要件、車椅子の要件、ベッドの要件、コンテナのサイズ、及び必要な保管場所のサイズを含み得る。
【0075】
本開示のさらなる実施形態によれば、通信要素は、道路データを受信し、及び少なくとも1つのルートを決定するために道路データを使用するように適合されることができ、特に、道路データは、道路ネットワーク情報、交通サービス情報、道路閉鎖情報、及び交通情報のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0076】
言い換えれば、輸送システムは、ルート/行程をスケジューリングするときに、現在の道路条件又は状況に関する情報を受信し得る。例えば、道路のメンテナンスのために閉鎖された道路では、かなりの迂回路が必要になる場合があり、その結果、移動時間が長くなる。同様に、現在の道路状況を反映して、(例えば、事故による)交通渋滞に関する情報が交通システムによって受信される場合がある。したがって、輸送システムは、ルート/行程を決定するときに前記情報を利用することができる。そのような情報はまた、現在のスケジュール又はユーザにサービスを提供するときに、例えばユーザにサービスを提供するために影響を受ける交通区域を通過する必要のない別の車両を割り当て、それによって遅延を回避することによって使用され得る。
【0077】
本開示のさらなる実施形態によれば、輸送システムはさらに、予約システムを含み得、予約システムが予約アプリケーションを含み得、予約アプリケーションが、モバイルコンピューティングプラットフォーム、スマートフォン、スマート(デジタル)時計、タブレット、ラップトップ、ショートメッセージングサービス(SMS)、モバイルメッセージングアプリケーション、一元化された予約ポータル、電話、及び音声通話システムを介して、ユーザから少なくとも1つの予約データを受信するように適合され得る。
【0078】
言い換えれば、輸送システムは、システムのユーザと通信するために予約フロントエンドを使用して、行程要求を登録するための定義されたインターフェースを提供することができる。フロントエンドは、例えば、デバイス画面に表示するためのユーザインターフェイスを提供し、ここで、ユーザは、行程要求の受信を容易にするために、標準化された、特に機械で読み取り可能な方法で行程設定を入力する。
【0079】
本開示のさらなる実施形態によれば、輸送システムは、運転者が操作する乗り物、自動運転乗り物、地上乗り物、空中乗り物、水上乗り物、水陸両用車及び水陸空用乗り物のうちの少なくとも1つに適合させることができる。
【0080】
本開示のさらなる実施形態によれば、ルートデータの決定は、前処理要素により、乗車場所及び降車場所を許容される乗車場所及び許容される降車場所へ前処理することをさらに含み得、特に、許容される乗車場所と許容される降車場所の少なくとも一部は重み関数に関連付けられることができ、要求された場所に近い場所及び/又は統計的に人気のある場所には、要求された場所から遠い場所よりも高い重みパラメータが割り当てられることができ、重み関数は、許容される乗車及び許容される降車場所を決定するときに使用され得る。
【0081】
そのような前処理は、ソリューション空間で許容される変数のみで開始するために、初期検索空間又はソリューション空間を縮小し得る。例えば、08:48の所望の乗車時間は、08:50の乗車時間、又は08:50~08:55、若しくは08:45~09:00の時間枠に割り当てられ得る。同様に、任意の要求された乗車場所は、複雑さを軽減し、特定の乗車エリアの周りの複数の短い行程を回避するために、要求された乗車場所の近くのいくつかの事前設定された乗車場所に割り当てられ得る。要求されたユーザパラメータ(例えば、乗車時間と乗車場所は、パラメータが割り当てられたパラメータとどの程度一致するかに応じて重み付けされる場合がある。例えば、要求された乗車場所からさらに離れた潜在的な乗車場所は、要求された乗車場所に近い潜在的な乗車場所よりも重み付けが低い場合がある。
【0082】
本開示のさらなる実施形態によれば、ルートデータの決定は、少なくとも1つのルートデータの割り当てられた乗車及び/又は降車場所を変更することをさらに含み得る。
【0083】
言い換えれば、輸送システムは、潜在的にすでに割り当てられた行程、例えばユーザが受け入れた行程の生成されたルートを適応させることができる。システムは、特定のパラメータ、例えば、現在の交通データや新しい行程要求などの外部入力に基づいてルートを変更する場合がある。これらの行程要求は、ソリューション空間の別のソリューションによってより適切に処理できる。少なくとも1つの変更されたルートは、ユーザへ通信され得、変更を受け入れるか拒否することができ、場合によっては行程を全部拒否することができる。サービス契約によっては、ユーザはこのような行程の割り当ての変更を受け入れるよう求められることがある。新しい予約が既存のルートに挿入されると、ルートは定期的に変更又は更新されるが、現在スケジュールされているユーザへの既存のオファーの特定のパラメータ(例えば、乗車や降車場所など)を維持するために、処理中に追加の制約が課される場合がある。乗車時間と降車時間は変更される場合があるが、オファーされたユーザに約束された時間枠内である必要がある場合がある。
【0084】
割り当てられた場所を更新又は変更するための2つのシナリオが考えられる。第1の事前予約シナリオでは、複数の受信した予約がほぼ同時に処理される。オファー、すなわち、受け入れ可能又はサービス可能であると判断された行程データは、すべてのルートが確定した後にユーザに送信される。ルーティングの問題に対する新しいソリューションで場所の割り当ての変更が必要な場合、事前予約のシナリオでは、オファーがユーザに送信される前にそのようなことが発生するため、場所の割り当ての変更はユーザと無関係である。
【0085】
新しい予約が既存のオファー(すなわち、オファーされた/受け入れられた予約)に挿入される可能性があるオンデマンドシナリオでは、前処理、ルーティングエンジン、及び後処理は、ルーティングメソッドによって満たされる必要がある追加の制約を課し、例えば、オファーの割り当てられた場所は、変更しないように要求される場合がある。(追加で)新しい予約を提供した結果として、既存のオファーの更新された乗車及び乗車時間は、約束された時間枠内に要求される場合がある。
【0086】
本開示のさらなる実施形態によれば、割り当てられた乗車及び/又は降車場所を変更することは、システムが、割り当てられた各場所の周りの複数の許容される場所を識別し、前記許容される場所間のすべての許容される経路を識別し、前記許容される経路から最短ルートを決定し、割り当てられた乗車及び/又は降車場所を、得られた最短ルートの許容される経路の許容される場所に変更するように適合されることをさらに含み得る。
【0087】
言い換えれば、輸送システムは、割り当てられた乗車及び/又は降車場所の変更を考慮するときに、それ自体で重み係数を決定することができる。ここで、例示的に、前記許容される経路の最短ルートが重み係数として使用されるが、さらなる考慮事項を考慮に入れることができ、一般に、経路に必要な時間など、前記許容される経路の重み係数を決定する。
【0088】
本開示のさらなる実施形態によれば、輸送システムは、好まれる乗車場所、好まれる降車場所、好まれる乗車時間、及び好まれる降車時間を含む通勤設定を収集し、少なくとも1つの人気のある場所を含むように、前記通勤設定から経路パターンを決定し、割り当てられた乗車及び/又は降車場所を変更して、人気のある場所を優先するようにさらに適合され得る。
【0089】
言い換えれば、ユーザは、システムによって適切なデータベースに格納され得る一連の通勤設定を提供することができ、この好みがユーザのルートを決定するときに使用される。システムは、特に人気のある場所、すなわち、複数のユーザによって頻繁に使用され、又はユーザによって容易にアクセス可能で、したがって特に輸送サービスの運用に有益に影響を与える場所を優先し得る。
【0090】
本発明を理解することができるように、またそのさらなる態様及び特徴を理解することができるように、本発明の原理を説明する実施形態を、添付の図を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1図1は、メタヒューリスティック関数と近傍検索関数を組み合わせたメソッドの例示的な実施形態を示す。
図2図2は、本開示による、メタヒューリスティック関数として疑似アニーリング及び2つの近傍検索関数を使用するメソッドの例示的な実施形態を示す。
図3図3は、本開示による、メタヒューリスティック関数として疑似アニーリング及びアダプティブ近傍検索関数を使用するメソッドの例示的な実施形態を示す。
図4図4は、本開示による輸送システムの例示的な実施形態を示す。
図5図5は、図4の輸送システムの例示的な実施形態の変形を示す。
図6図6は、本開示による輸送システムにおける最小長さのルートを見つけるための例示的な実施形態を示す。
図7図7a~cは、「破滅と再作成」近傍検索メソッドの例示的な実施形態を示す。
図8図8は、本開示による、メタヒューリスティック関数として「タブー」検索及び近傍検索関数を使用するメソッドの例示的な実施形態を示す。
図9図9は、本開示による、メタヒューリスティック関数として動的「タブー」検索及び近傍検索関数を使用するメソッドの例示的な実施形態を示す。
図10図10は、本開示による、アダプティブ「破滅と再作成」近傍検索関数及びローカル近傍検索関数をガイドするメタヒューリスティック関数を使用する方法の例示的な実施形態を示す。
図11図11は、近傍検索メソッドの例示的な実施形態を示す。
図12図12は、近傍検索の「2-OPT」を使用する演算子要素を用いた近傍検索メソッドの例示的な実施形態を示す。
図13図13は、近傍検索の「クロス」を使用する演算子要素を用いた近傍検索メソッドの例示的な実施形態を示す。
図14図14は、近傍検索の「交換」を使用する演算子要素を用いた近傍検索メソッドの例示的な実施形態を示す。
図15図15は、本開示による、「破滅と再作成」近傍検索メソッドの破滅部分の例示的な実施形態を示す。
図16図16は、本開示による、「破滅と再作成」近傍検索メソッドの再作成部分の例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0092】
図1は、メタヒューリスティック関数と近傍検索関数を組み合わせたメソッドの例示的な実施形態を示す。特に、図1は、「疑似アニーリング」と「破滅と再作成」の組み合わせを示している。
【0093】
前述のように、配車ルート問題の「ソリューション」は、各車両に1つのルートである一連のルートを含む。各ルートはさらに、それらが車両によってサービスを適用される時間に従って順序付けられたノードのシーケンスを含む。
【0094】
ステップ100は、「疑似アニーリング」の初期温度を設定する。さらに、ステップ100はまた、反復近傍検索関数のための単純な初期ソリューションを作成し、初期ソリューションを最良のソリューションとして記録する。考えられる最初のソリューションの1つは、例えば、すべてのノードを乗車時間で時系列に並べ、「貪欲な挿入」(greedy insertion)アプローチで車両のフリートに割り当てることである。初期ソリューションは、問題の制約に準拠する必要がある。続いて、ステップ110は、最後に受け入れられたソリューションの一部を破滅にしてから、新しい候補ソリューションを再作成することによって、「破滅と再作成」メソッドを実行する。ステップ120は、候補ソリューション(初期ソリューション又は破滅と再作成アルゴリズムによって作成されたソリューションのいずれか)が受け入れ可能かどうかをチェックする。いくつかの制約が満たされていない場合、例えば、計画されたスケジュールを満たすために必要な乗車時間に満たない場合、この候補ソリューションは拒否され、最後に承認されたソリューションに基づいて新しい候補ソリューションが生成される。初期ソリューションが制約チェックに失敗した場合、アルゴリズムは他の初期ソリューションアルゴリズムを試行するか、失敗する可能性がある。
【0095】
候補ソリューションがすべての制約を満たしている場合、ステップ130は、範囲[0、1]内のランダムで均一に分布された値を用いて候補ソリューションの受け入れ確率P(T、S、Sbest)を計算することによって、それをさらなるテストにかける。受け入れ確率は、候補ソリューションエネルギー(energy(S))と最良ソリューションエネルギー(energy(Sbest))の間のエネルギー差を、現在の温度Tで割った指数関数である。
【数1】
【0096】
ランダム値が受け入れ確率よりも低い場合、候補ソリューションはステップ140で受け入れられ、そうでない場合、候補ソリューションは拒否され、アルゴリズムはステップ170に続く。確率的に、ステップ130は、初期の反復中にグローバル検索を実行するための疑似アニーリングのメカニズムの一部として、最良のソリューションよりも悪いソリューションが現在のソリューションとして受け入れられることを可能にすることに留意されたい。その後の反復で温度が下がると、より悪いソリューションを受け入れることが難しくなる。
【0097】
受け入れられたソリューションの場合、ステップ150は、候補ソリューションのコストであるコスト(S)を計算し、それを最良のソリューションのコストであるコスト(Sbest)と比較する。候補ソリューションのコストがより低い場合、候補ソリューションは、ステップ160で最良のソリューションを置き換える。
【0098】
読みやすさを向上させるために、120から160までのソリューション処理ステップは、以降、後続の図の「温度依存ソリューション選択」ステップ115にカプセル化される。
【0099】
ステップ170は、選択された冷却方式に従ってシステムの温度を下げる。ステップ180は、システムの新しい温度をチェックする。事前設定された最小値Tminを下回ると、アルゴリズムは停止し、最後に受け入れられたソリューションをステップ185で結果/最終ソリューションとして提示する。それでない場合、メソッドはステップ110で破滅と再作成のステップを繰り返す。
【0100】
図2は、本開示による、2つの近傍検索関数をガイドするためのメタヒューリスティック関数として疑似アニーリングを使用する方法の例示的な実施形態を示している。特に、タンデムで動作する2つの近傍検索メソッド、すなわち、破滅と再作成メソッド及びローカル検索メソッドをガイドするメタヒューリスティック関数として疑似アニーリングを使用する本発明の実施形態が示されている。
【0101】
ステップ200、210、215、220、230、235の機能は、それぞれ図1のステップ100、110、115、170、180、及び185を反映している。ステップ130と同様に、ステップ230は、温度Tが閾値Tminを下回っているかどうかをチェックする。条件が真の場合、メソッドは終了し、ステップ235で最後のソリューションを最終ソリューションとして返す。そうでなければ、プロセスは、ステップ240で温度を別の閾値TSと比較する。温度がTSを超えており、さらに破滅と再作成の反復が可能な場合、プロセスはステップ210で次の「破滅と再作成」の反復を実行する。これにより、ソリューション空間に大きなジャンプが発生する可能性がある。そうではなく、温度がTS未満の場合、プロセスはステップ250で「ローカル検索」検索関数に切り替わる。これにより、ソリューション空間にさらに改良された小さなジャンプが導入される。そのような「ローカル検索」検索関数は、例えば、山登り法又は最急降下法(steepest descent)であり得る。したがって、ステップ240は、第1の検索関数(ここでは例示的に破滅と再作成又はアダプティブ破滅と再作成)から第2の検索関数(ここでは例示的に「ローカル検索」)に切り替える条件が満たされるステップと見なすことができる。「ローカル検索」によって生成されたソリューションも、ステップ215の「破滅と再作成」によるソリューションと同様に、ステップ260で温度依存処理にかけられる。
【0102】
図3は、本開示による、メタヒューリスティック関数として疑似アニーリング及びアダプティブ近傍検索関数を使用するメソッドの例示的な実施形態を示す。特に、アダプティブ破滅と再作成メソッドをガイドするメタヒューリスティックとして疑似アニーリングを使用する本発明の実施形態が示されている。アダプティブ破滅と再作成検索関数は、特に、隣接範囲の縮小に基づく破滅と再作成検索関数であり得る。言い換えると、アダプティブ破滅と再作成検索関数の隣接範囲は、メタヒューリスティック関数のそれぞれのパラメータ、例えば、疑似アニーリングの温度又はタブーサーチのタブーリストサイズに応じて、時間の経過とともに減少する可能性がある。
【0103】
ステップ300、315、320、330、335の機能は、それぞれ図1のステップ100、115、170、180、及び185を反映している。さらに、ステップ310での破滅と再作成検索関数は、メタヒューリスティック関数のグローバルパラメータ、例えば、温度パラメータに適応可能である。例えば、「破滅と再作成」が近傍検索関数であり、図7a~cに示すように、「隣接ベースの選択」戦略が採用されている場合、アダプティブ「破滅と再作成」近傍検索関数は、パラメータの温度に応じてノード数を図7aの破滅7010に減らし、破滅の領域、ひいては、ソリューション空間における新旧のソリューション間のジャンプの大きさを徐々に縮小する。
【0104】
図15は、本開示による「破滅と再作成」近傍検索メソッドの破滅部分の例示的な実施形態を示している。
【0105】
破滅フェーズは隣接ベースのストリング破滅アルゴリズムを使用するが、再作成フェーズは貪欲な挿入アルゴリズムを採用する。ここで、「ストリング」(string)とは、ルートに沿ったノードの連続したセットを指す。
【0106】
包括的なメソッドの各反復について、ステップ1500は、現在のソリューションのルートの平均長さに基づいて、Nで示される、破滅するストリングの目標数を計算する。一般に、平均ルート長さが長いということは、必要な車両が少ないが、長いストリングを破滅する必要があることを意味する。
【0107】
ステップ1510は、シードノードとしても知られる開始ノード、及びシードノードが属するルートをランダムに選択する。ステップ1520は、選択されたルートについて、破滅へのルートに沿った連続するノードの数(破滅ストリング長さとしても知られる)を計算する。破滅ストリング長さは、あらかじめ決められた範囲からランダムに選択される。
【0108】
次に、破滅ストリングは、ステップ1530及び1540によって示される2つの可能な破滅アルゴリズムのうちの1つによって処理される。選択は、反復ごとにランダムに決定される。ステップ1530は、ノードのストリング全体を破滅するストリング破滅を実行する。ステップ1540は、スプリットストリング破滅を実行する。このアルゴリズムは、選択したルートに沿って2つの別々のサブストリングをランダムに選択する。サブストリングの全体合計の長さは、ステップ1520で決定された破滅ストリングの長さである。サブストリングの1つには、選択したシードノードが含まれる。通常、2つのサブストリングは、それらの間の間隔が大きく、サブストリングの1つがルートの終わり近くにあるように選択される。
【0109】
ステップ1550は、nで示される、現在破滅されているストリングの総数が、ターゲットの破滅ストリングの最大数に達しているかどうかをチェックする。そうである場合、アルゴリズムは終了する。そうでない場合、新しいシードノードがランダムに選択され、ステップ1520で破滅プロセスを継続する。選択基準として、新しいシードノードは前のシードノードに隣接するが、これまでの破滅アルゴリズムによって処理されたルートには属していないことを要求する。
【0110】
図16は、本開示による「破滅と再作成」近傍検索メソッドの再作成部分の例示的な実施形態を示している。
【0111】
ステップ1600は、デポなどの開始位置及び終了位置からの距離、及びそれらの需要に従って破滅されたノードをソートし、デポから遠く離れたノード及び需要の高いノードを最初に挿入することを要求する。ステップ1610は、可能なすべての挿入点を徹底的に試行し、結果として生じるルート長さを比較することによって、可能な限り最良の挿入位置で、利用可能なすべてのルートに、破滅されたノードを1つずつ挿入しようとする。このフェーズでは、いくつかの挿入ポイントをスキップするためにランダムな確率係数が導入される。ステップ1620は、メソッドを終了する前に、すべての破滅されたノードに対して挿入を繰り返す。
【0112】
図8は、本開示による、メタヒューリスティック関数として「タブー」検索及び近傍検索関数を使用するメソッドの例示的な実施形態を示している。
【0113】
メタヒューリスティック関数としての「タブー」検索の原理は、ソリューション空間で最近見つかった検索空間の最良のソリューションを、タブーリストと呼ばれる事前に決定されたサイズの先入れ先出しメモリ構造に入力することに基づいている。タブーリストに入力するためのルール、及びタブーリストのサイズは、多様化又はグローバルリーチの範囲、すなわち検索空間の新しい領域への「大きなジャンプ」の距離を決定する。言い換えると、メモリサイズが大きいと、最新の最適なソリューションが選択されなくなり、検索空間のよりグローバルな探索が促進される。その逆も同様である。
【0114】
開始時に、ステップ800は、初期ソリューションSと、ソリューション空間におけるグローバルな探索を促進する所定のサイズの空のタブーリストを準備する。ステップ800はまた、グローバルな最良のソリューション、Sbestをこの初期ソリューションSに設定する。ステップ810は、Sよりも良好な「コスト値」を有するソリューション、すなわち、より良好又はより最適なソリューションを求めて、Sの近傍の周りを検索する。近傍検索関数は、この特定の反復でタブーリスト内のすべてのソリューションを除外する必要がある。見つかったら、この新しいソリューションは現在のソリューションSを置き換える。
【0115】
ステップ820は、それらのコスト値を比較することによって、新しいソリューションSがグローバルな最良のソリューションSbestよりも優れているかどうかをチェックする。Sがより良いコスト値を有する場合、Sはステップ830で新しいSbestになる。Sが新しいグローバルな最良のソリューションになるかどうかに関係なく、Sはステップ840でタブーリストに挿入されるため、次の数回の反復では再度考慮されない。
【0116】
ステップ850は、反復を終了するための条件が満たされているかどうかをチェックする。満たされると、グローバルな最良のソリューションが出力される。それ以外の場合、近傍検索関数はステップ810で再開されるが、今回は、新しいソリューションSを中心とする。考えられる終了条件は、例えば、連続するグローバルな最良のソリューション間のコスト差がしきい値を下回ったか、反復の最大数に達したかのいずれか早く起きた方である。
【0117】
本発明の一実施形態では、数回の検索反復ごとに、タブーリストが切り取られ、リスト内の最も古いソリューションがパージされて、近傍の検索方向をグローバル検索からローカル検索に変える。
【0118】
図9は、動的タブーリストに基づく本発明の一実施形態を示している。ステップ900、910、920、930、940、及び950の機能は、それぞれ図8のステップ800、810、820、830、840、及び850を反映している。ステップ960で、数回の反復ごと、又はすべての反復の終わりに、タブーリストが削除され、最も古いソリューションが破棄される。これは、図8に記載された実施形態と同様の探索空間削減効果をもたらす。
【0119】
図10は、本開示による、アダプティブ「破滅と再作成」近傍検索関数及びローカル近傍検索関数をガイドするメタヒューリスティック関数を使用する方法の例示的な実施形態を示している。特に、連携して動作する2つの近傍検索メソッド、すなわちアダプティブ破滅と再作成メソッド及びローカル検索メソッドをガイドするメタヒューリスティック関数として疑似アニーリングを使用する本発明の実施形態が示されている。
【0120】
1000、1010、1015、1020、1030、1035、1040、1050、1060の機能は、それぞれ図2のステップ200、210、215、220、230、235、240、250、260を反映している。ただし、現在の最良のソリューション「S」のみに基づいた、破滅と再作成関数の代わりに、アダプティブ破滅と再作成関数が採用されており、これは、メタヒューリスティック関数のグローバルパラメータ、例えば温度パラメータ「T」をさらに考慮に入れる。
【0121】
ステップ230と同様に、ステップ1030は、温度Tが閾値Tminを下回っているかどうかをチェックする。条件が真の場合、メソッドは終了し、ステップ1035で最後のソリューションを最終ソリューションとして返す。そうでなければ、プロセスは、ステップ1040で、温度を別の閾値TSと比較する。温度がTSを超えており、さらにアダプティブ破滅と再作成の反復が可能な場合、プロセスはステップ1010で次の「アダプティブ破滅と再作成」の反復を実行する。これにより、ソリューション空間に大きなジャンプが発生する可能性がある。温度パラメータ「T」の(現在の)値に応じて、これらのジャンプはスケール又は大きさで影響を受ける可能性がある。言い換えれば、ジャンプ距離又は隣接範囲を制限する比較的低い温度よりも、比較的高い温度は、ソリューション空間でより大きなジャンプを可能にする可能性がある。
【0122】
それ以外、温度がTS未満の場合、プロセスはステップ1050で「ローカル検索」検索関数に切り替わる。これにより、ソリューション空間にさらに改良された小さなジャンプが導入される。そのような「ローカル検索」検索関数は、例えば、山登り法又は最急降下法である。したがって、ステップ1040は、第1の検索関数(ここでは例示的にアダプティブ破滅と再作成)から第2の検索関数(ここでは例示的に「ローカル検索」)に切り替える条件が満たされるステップと見なすことができる。「ローカル検索」によって生成されたソリューションも、ステップ1015の「アダプティブ破滅と再作成」によるソリューションと同様に、ステップ1060で温度依存処理にかけられる。
【0123】
上記の実施形態が個別に開示されたとしても、本発明の範囲は、これらの実施形態のすべての技術的にもっともらしい組み合わせに及ぶことに留意されたい。例えば、図9に示されるタブーサーチベースの実施形態の場合、ステップ910でのその近傍検索関数は、例えば、図3に従って、アダプティブ破滅と再作成近傍検索関数によって置き換えることができる。図10を参照されたい。あるいは、図9の近傍検索関数は、破滅と再作成近傍検索関数で開始し、複数回の反復後、又は特定の条件が満たされたときに、単純なローカル検索に切り替えることもできる。
【0124】
図4は、本開示による輸送システムの例示的な実施形態を示す。特に、図4は、本発明の例示的なライドシェアリングの実施形態を示している。
【0125】
ユーザ4000は、電子デバイスを使用して、個別に又は集合的に、予約システム4010に予約を提出する。予約は、モバイルコンピューティングプラットフォーム(例えば、スマートフォン、スマート(デジタル)時計、タブレット、ラップトップ、ショートメッセージングサービス(SMS)、モバイルメッセージングアプリケーション(例えば、WhatsApp、WeChat))を介してワイヤレスでアクセス可能な予約アプリケーションや、一元化された予約ポータル、又は手動若しくは自動音声通話システムを介して行うことができる。
【0126】
予約システム4000は、予約を処理して、輸送システム4140の構造化された予約データ4020を生成する。構造化された予約データ4020は、要求された乗車場所、要求された降車場所、乗車時間又は降車時間、及び必要な収容力の少なくとも一部を含み得る。
【0127】
有人車両の場合、車両データ4060及びドライバーデータは、サービス運転の前に車両制御システム4070に登録される。車両がユーザにサービスを提供しているとき、それらはまた、車両制御システム4070とリアルタイム情報を通信する。車両制御システム4070は、車両及びドライバーの情報を、輸送システム4140の構造化された車両データ4080に処理する。構造化車両データ4080は、ドライバースケジュール、平均車両速度、車両収容力、及び現在位置の少なくとも一部を含み得る。
【0128】
サービス運用の前及び途中に、ルーティングシステム4140は、道路ネットワークデータ、道路閉鎖スケジュール、及び交通データ(まとめて道路データ4130と呼ばれる)の少なくとも一部を、定期的に収集するか、又は道路網及び交通サービスポータル4120若しくはそのようなデータを提供する他のものから提供され得る。
【0129】
本発明のライドシェアリングサービスを提供するために、輸送システム4140が使用され、上記のように車両ルーティング問題を解決するために提供されたデータの少なくとも一部を使用する。具体的には、構造化予約データ4020、構造化車両データ4080、及び任意選択で道路データ4090から初期ソリューションを生成する。次に、図2又は図3に示されるルート計算と最適化のためのコンピュータ実装方法を使用して、複数の反復にわたって初期ソリューションを改良し、最適なルートのセットを生成する。各ルートデータには、少なくとも、各ルートのノード、車両情報、及び/又はドライバー情報のリンクリストが含まれている。各ノードには、少なくとも、オファーされた乗車時間とオファーされた降車時間が含まれる。
【0130】
上記の最適ルート情報4030のサブセットは、予約システム4010に配信され、次に、現在の予約4050を有するユーザに送信される。例示的に、送信された情報4050は、少なくともオファー/拒否されたステータス、及びオファーされた場合は、オファーされた乗車時間、オファーされた降車時間、車両登録番号、及び任意選択でドライバー情報を含む。
【0131】
上記の最適ルート情報4030のさらなるサブセットは、車両制御システム4070に配信され、次に、車両又はドライバー4110に送信される。例示的に、送信された情報4110は、少なくとも車両に関連付けられた最適化されたルートのすべてのノードを含む。
【0132】
上記の実施形態は、任意の要求された乗車及び降車場所4020が法的に許容されるサービス場所であることを前提としている。実際には、交通法や規制により、サービスの場所が、例えば既存のバス停やタクシー乗降場のみに制限される場合がある。要求された場所が与えられると、許容可能な歩行距離内に複数の許容される場所が存在する可能性がある。
【0133】
代替の許容される場所は、単純な「最短歩行距離」基準に基づいて選択することができる。選択された+代替の許容される場所に基づいて、ルーティングエンジンは、コスト値に従って最適化されたルート/オファーのセットを生成し得る。各ルート/オファーは、選択された場所と代替の許容される場所の組み合わせで構成される。例えば、1つのルート/オファーには、選択された許容される乗車と、代替的な許容される降車を有し得る。この段階で、ユーザはルート(又はオファー)の1つを選択するか、すべてを拒否することができる。
【0134】
図5は、図4の輸送システムの例示的な実施形態の変形を示している。上記の現実の問題を解決するために、最後の実施形態の変形は、ノード前処理要素5150及びノード後処理要素5180をさらに含み、近似の最適なルートを計算する。
【0135】
要求された場所5020ごとに、ノード前処理要素5150は、輸送システム5140のために許容される場所5160のセットを選択する。前記許容される場所のセットは、1つ又は複数の場所からなる場合がある。この実施形態の第1のバリエーションとして、選択は、最短の歩行距離を含む場所に基づくことができる。第2のバリエーションとして、選択は、輸送パターンに従って人気のある場所に基づくことができる。第3のバリエーションとして、両方の場所を選択できる。
【0136】
割り当てられた場所5170ごとに、ノード後処理要素5180は、例えば、他の基準に基づいて、代替の割り当てられた場所を割り当てる。第1のバリエーションとして、最適化されたルートの各ノードの代替位置が同時に検出され、最小ルート長さの目標が満たされる。この実施形態の第2のバリエーションとして、代替の割り当てられた場所は、輸送パターンに従って人気のある場所であり得る。
【0137】
図6は、本開示による輸送システムにおける最小長さのルートを見つけるための例示的な実施形態を示している。
【0138】
図6の円で表されているエリアA、B、及びCは、輸送システム4140、5140のユーザによって最初に要求された場所である。許容される場所は三角形で表される:A1~A3はAの周りの許容される場所、B1~B2はBの周りの許容される場所、C1~C3はCの周りの許容される場所である。ノード前処理要素5150が最短歩行距離基準に従って乗車位置を決定する場合、A1、B1及びC1は、輸送システム5140によって出力される許容されるノード5160になる。これらの乗車場所は、それぞれの要求された場所5000に最も近いためである。したがって、ルートA1→B1→C1は、5170のルーティングシステムによって出力される初期の最適ルートを構成する。
【0139】
ノード後処理要素5180は、要求された場所の間で許容されるすべての経路を識別する。図6の例に基づくと、AからBへの6つの許容される経路がある:A11、A12、A21、A22、A31、及びA32。また、BからCへの6つの許容される経路がある:B11、B12、B13、B21、B22及びB23。理論上、AからCへの6×6=36の可能な経路がある。ただし、一部の経路は、例えば時間枠の制約に基づいて事前に削除できる。AからCへの最短ルートを見つけるために、動的計画法を呼び出すことができる。この例では、車両の最短の合計ルートは、A2→B2→C2として視覚的に認識できる。その結果、A2、B2、及びC3は、それぞれA1、B1、及びC1を置き換える代替の許容される場所になる。
【0140】
本明細書で説明されるすべてのシステムコンポーネントは、複数のコンピュータでホストされ得ることが理解される。さらに、それらは一元化することも、複数の地理的場所に分散させることもできる。コンポーネントの機能は、さまざまなコンピュータ又はさまざまな関係者が処理することもできる。例えば、車両制御システム4070の場合、車両及びドライバーの登録は、1組のコンピュータによって処理することができるが、リアルタイム通信は、別の組のコンピュータによって処理することができる。別の例として、道路ネットワーク及び交通サービスポータル4120の場合、道路ネットワークはローカルデータベースにキャッシュされ得るが、交通情報は外部の者のポータルから取得され得る。
【0141】
同様に、輸送システム4140、5140は、予約システム4010、5010、車両制御システム4070、5070、並びにノード前処理要素4150、5150及びノード後処理要素4180、5180をさらに備える単一のコンピューティングユニットに実装され得る。
【0142】
以下では、本開示の技術的概念を、異なる言語を使用して、別の方法で説明する。本発明は、複数の予約にサービスを提供するための複数の車両の最適ルートを計算するための方法に関し、この方法は、予約を処理するための初期ルートを生成し、ソリューション空間内の現在のルートの近くで改善されたルートを検索することにより、複数の反復でルートを改善すること、改善されたルートを現在のルートとして指定すること、及び反復ごとにアダプティブに近傍検索範囲を変更することを含む。「複数の反復」は、特にメタヒューリスティック関数の反復ループを指し、「変更」は、ローカル検索関数、又は近傍検索関数への切り替え、あるいは破滅と再作成として具現化される近傍検索関数の隣接範囲の縮小として理解され得る。より多くのソリューションを検索するために割り当てられた時間を超えた場合、定義された反復回数で前のソリューションより良いソリューションが見つからない場合、又はソリューションが、例えば、満足のいく/受け入れ可能な値に達した場合、すなわち、特定のしきい値に対応する場合、反復が終了し得る。終了条件が満たされない限り、検索は繰り返される。反復方法には、疑似アニーリングが含まれるが、これに限定されない。一方、近傍検索には、破滅と再作成が含まれるが、これに限定されない。
【0143】
さらに、近傍検索範囲を変更するステップは、破滅の隣接範囲を縮小し、検索関数を再作成することを含み得る。さらに、近傍検索範囲を変更するステップでは、一部の反復では破滅と再作成検索関数を使用し、他の異なる反復ではローカル近傍検索メソッドを使用する場合がある。さらに、隣接範囲は、疑似アニーリング法の温度パラメータに従って縮小され得る。さらに、ローカル近傍検索メソッドへの切り替えのステップは、疑似アニーリング法の温度パラメータが閾値を下回ったとき、又は疑似アニーリング法がもはやソリューションをもたらさなくなったときのいずれか早く起きた方の時点に実行され得る。
【0144】
さらに、本開示は、ライドシェアリングのための方法を提供し得る。この方法は、予約システムから複数の乗車予約を受け取ることを含み(予約は、少なくとも、要求された乗車場所、要求された降車場所、乗車時間又は降車時間のいずれか、及び必要な収容力を含み得るが、これらに限定されない)、予約システムは、車両制御システムから複数の車両のデータを受信することができ(データは、少なくとも、ドライバーのスケジュール、平均車速、車両の収容力、及び場所を含むが、これらに限定されない)、道路網や交通サービスから道路データを受信することができ(道路データは、道路網、通行止めスケジュール、交通データの一部又はすべてを含む)、前記予約にサービスを提供するために、前記車両の最適なルートを計算することができる。予約システムは、予約を処理するための初期ルートを生成し、ソリューション空間内の現在のルートの近くで改善されたルートを検索することにより、複数の反復でルートを改善すること、改善されたルートを現在のルートとして指定すること、反復ごとにアダプティブに近傍検索範囲を変更すること、最適ルート情報のサブセットをユーザに直接又は予約システムを介して配信すること、及び最適ルート情報のサブセットを車両に直接又は車両制御システムを介して配信することをさらに含み得る。さらに、予約システムは、任意選択でアプリケーションプログラミングインターフェイス(API)を含む、スマートフォン、スマート(デジタル)時計、タブレット又はラップトップ、ショートメッセージングサービス(SMS)、モバイルメッセージングアプリケーション、一元化された予約ポータル、及び手動若しくは自動音声通話システムから、アクセス可能な予約アプリケーションを含み得るが、これらに限定されない。さらに、車両は有人又は自動運転であり得、地上、空中、水上、水陸両用及び水陸空用であり得る。さらに、必要な収容力は、人間、動物、又は貨物に対応する場合があり、さらに車椅子、ベッド、コンテナ、又は保管場所などの特別な機能を含み得る。さらに、最適なルート情報には、割り当てられた乗車場所、割り当てられた降車場所、各予約の乗車時間枠及び降車時間枠、予約のサービス順序、割り当てられた車両、及び有人車両の場合はドライバーが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0145】
さらに、最適なルートを計算するステップは、乗車場所を許容される乗車場所に前処理するステップと、降車場所を許容される降車場所に前処理するステップとをさらに含み得る。さらに、最適なルートを計算するステップは、最適化されたルートの複数の予約の割り当てられた乗車又は降車場所を変更するステップをさらに含み得る。さらに、許容される乗車又は降車の場所を選択するステップは、要求された乗車又は降車場所に最も近い場所を優先するように構成され得る。さらに、許容される乗車又は降車場所を選択するステップは、統計的に人気のある場所を優先するように構成することができる。さらに、割り当てられた乗車又は降車場所を変更するステップは、割り当てられた各場所の周りの複数の許容される場所を識別し、前記許容される場所間のすべての許容される経路を識別し、前記許容される経路から最短ルートを導き出し、割り当てられた乗車又は降車場所を、得られた最短ルートの許容される経路の許容される場所に変更することをさらに含み得る。さらに、この方法は、好まれる乗車場所、好まれる降車場所、好まれる乗車時間、及び好まれる降車時間を含む通勤設定を収集し、前記通勤設定から、少なくとも1つの人気のある場所を含む経路パターンを導き出し、及び割り当てられた乗車又は降車場所を変更して、人気のある場所を優先することを含み得る。
【0146】
前述の説明、以下の特許請求の範囲、又は添付の図面に開示され、それらの特定の形態で、又は開示された機能を実行するための手段、又は開示された結果を得るための方法又はプロセスの観点から適切に表現された特徴は、別々に、又はそのような特徴の任意の組み合わせで、その多様な形態で本発明を実現するために利用することができる。
【0147】
本発明は、上記の例示的な実施形態と併せて説明されてきたが、本開示が与えられた場合、多くの同等の修正及び変形が当業者には明らかであろう。したがって、上記の本発明の例示的な実施形態は、例示的であり、限定的ではないと見なされる。記載された実施形態に対する様々な変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0148】
誤解を避けるために、ここで提供される理論的な説明は、読者の理解を向上させる目的で提供されている。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望まない。
【0149】
ここで使用されているすべての節の見出しは、構成上のためのみであり、説明されている主題を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0150】
以下の特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、文脈上別段の定めがない限り、「有する」、「含む」、「備える」という言葉、及びそれらの変形は、指定された整数若しくはステップ又は整数若しくはステップのグループを含むが、他の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップのグループを除外しないことを意味すると理解される。
【0151】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。範囲は、本明細書では、「約」ある特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表すことがある。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、当該特定の値から及び/又は当該別の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表される場合、先行詞「約」を使用することにより、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。数値に関連する「約」という用語は任意的であり、例えば+/-10%を意味する。
【0152】
本明細書で使用される「好ましい」及び「好まれる」という用語は、いくつかの状況下で特定の利点を提供し得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は異なる状況下で他の実施形態もまた好ましい場合があることを理解されたい。したがって、1つ又は複数の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを意味又は暗示するものではなく、他の実施形態を本開示の範囲又は特許請求の範囲から除外することを意図するものではない。
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