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特許7057543含リン化合物及びこれを含む有機電界発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】含リン化合物及びこれを含む有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6568 20060101AFI20220413BHJP
   C07F 9/6571 20060101ALI20220413BHJP
   C07F 9/6574 20060101ALI20220413BHJP
   C07F 9/6584 20060101ALI20220413BHJP
   C07F 9/6596 20060101ALI20220413BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20220413BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
C07F9/6568 CSP
C07F9/6571
C07F9/6574
C07F9/6584
C07F9/6596
C09K11/06 660
H05B33/14 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017238912
(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公開番号】P2018168143
(43)【公開日】2018-11-01
【審査請求日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】10-2017-0040848
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】特許業務法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 朱里
(72)【発明者】
【氏名】赤司 信隆
(72)【発明者】
【氏名】安田 琢麿
(72)【発明者】
【氏名】イ ジヨン
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-153753(JP,A)
【文献】国際公開第2015/080182(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103183711(CN,A)
【文献】国際公開第2015/022987(WO,A1)
【文献】KONDRASENKO, I. et al.,Ambipolar Phosphine Derivatives to Attain True Blue OLEDs with 6.5% EQE,ACS Appl. Mater. Interfaces,2016年,Vol. 8,p. 10968-10976
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/6568 - 9/6596
H01L 51/50
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表示される含リン化合物。
【化1】

前記化学式1で、
Xは、O、S、NR、CR、SiR、又はGeRであり、
~Rは、各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であり、
は、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であり、
~Rは、各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成し、
前記R~Rの中でいずれか1つは、下記の化学式2で表示され、残りは、水素原子であり、
【化2】

前記化学式8で、
nは0又は1であり、
Yは、直接結合(direct linkage)、O、S、CR、SiR、又はGeRであり、
10~R17は、各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であり、
~Rは、各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成し、*は結合の位置を表す。
【請求項2】
前記Rは、置換若しくは非置換のフェニル基である請求項1に記載の含リン化合物。
【請求項3】
前記Rは、置換若しくは非置換のピリジル基、又は置換若しくは非置換のナフチル基である請求項1に記載の含リン化合物。
【請求項4】
前記化学式1は、下記の化学式3で表示される請求項1に記載の含リン化合物。
【化3】

前記化学式3で、R~R17、X、Y、及びnは、請求項1で定義したことと同一である。
【請求項5】
前記化学式1は、下記の化学式1-1~化学式1-4の中でいずれか1つで示される請求項1に記載の含リン化合物。
【化4】

前記化学式1-1~化学式1-6において、R~R、及びR~Rは、請求項1で定義したことと同一である。
【請求項6】
前記Rは、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基であり、前記R~Rは、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基である請求項に記載の含リン化合物。
【請求項7】
前記化学式2は、下記の化学式2-1~化学式2-9の中でいずれか1つで表示される請求項1に記載の含リン化合物。
【化5】

前記化学式2-1~化学式2-9において、Q~Q16は各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、又は置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基であり、
~a16は各々独立に0以上4以下の整数である。
【請求項8】
前記化学式1で表示される含リン化合物は、下記の化合物1~化合物108、および化合物117~化合物136からなる化合物群で表示された化合物の中から選択されるいずれか1つである請求項1に記載の含リン化合物。
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】
【請求項9】
第1電極と、
前記第1電極上に配置された正孔輸送領域と、
前記正孔輸送領域上に配置された発光層と、
前記発光層上に配置された電子輸送領域と、
前記電子輸送領域上に配置された第2電極と、を含み、
前記発光層は、下記の化学式1で表示される含リン化合物を含むことを特徴とする有機電界発光素子。
【化13】

前記化学式1で、
Xは、O、S、NR、CR、SiR、又はGeRであり、
~Rは、各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であり、
は、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であり、
~Rは、各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成し、
前記R~Rの中でいずれか1つは、下記の化学式2で表示され、残りは、水素原子であり、
【化14】

前記化学式2で、
nは0又は1であり、
Yは、直接結合、O、S、CR、SiR、又はGeRであり、
10~R17は、各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であり、
~Rは、各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成する。
【請求項10】
前記化学式1で表示される含リン化合物は、熱活性化遅延蛍光材料である請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
前記化学式1は、下記の化学式3で表示される請求項に記載の有機電界発光素子。
【化15】

前記化学式3で、R~R17、X、Y、及びnは、請求項で定義したことと同一である。
【請求項12】
前記Rは、置換若しくは非置換のフェニル基、置換若しくは非置換のピリジル基、又は置換若しくは非置換のナフチル基である請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項13】
前記化学式2は、下記の化学式2-1~化学式2-9の中でいずれか1つで表示される請求項に記載の有機電界発光素子。
【化16】

前記化学式2-1~化学式2-9において、Q~Q16は各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、又は置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基であり、
~a16は各々独立に0以上4以下の整数である。
【請求項14】
前記発光層は、下記の化合物群で表示された化合物の中で少なくとも1つを含む請求項に記載の有機電界発光素子。
【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は含リン化合物及びこれを含む有機電界発光素子に係る。
【背景技術】
【0002】
最近、映像表示装置として、有機電界発光表示装置(Organic Electroluminescence Display)の開発が盛んになって来た。有機電界発光表示装置は、液晶表示装置等とは異なり、第1電極及び第2電極から注入された正孔及び電子を発光層において再結合させることにより、発光層において有機化合物を含む発光材料を発光させて表示を実現する、いわゆる自発光型の表示装置である。
【0003】
有機電界発光素子としては、例えば第1電極、第1電極上に配置された正孔輸送層、正孔輸送層上に配置された発光層、発光層上に配置された電子輸送層、及び電子輸送層上に配置された第2電極で構成された有機電界発光素子が知られている。第1電極からは、正孔が注入され、注入された正孔は、正孔輸送層を移動して発光層に注入される。一方、第2電極からは電子が注入され、注入された電子は電子輸送層を移動して発光層に注入される。発光層に注入された正孔と電子とが再結合することによって、発光層内で励起子が生成される。有機電界発光素子はその励起子の輻射非活性によって発生する光を利用して発光する。また、有機電界発光素子は以上に説明した構成に限定されず、様々な変更が可能である。
【0004】
有機電界発光素子を表示装置に応用することにおいて、有機電界発光素子の低駆動電圧化、高発光効率化、及び長寿命化が要求され、これを安定的に実現することができる有機電界発光素子用の材料開発が持続的に要求されている。
【0005】
一方、高効率有機電界発光素子を実現するために三重項状態のエネルギーを利用する燐光発光や、三重項励起子の衝突によって一重項励起子が生成される現象(Triplet-triplet annihilation、TTA)を利用する遅延蛍光発光に対する技術が開発されている。
【0006】
特に、内部量子効率を約100%まで達成可能であるようにする技術として熱活性遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence、TADF)材料が開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は高効率の有機電界発光素子用含リン化合物を提供することにある。本発明の他の目的は発光層に含リン化合物を含んだ高効率の有機電界発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態は下記の化学式1で表示される含リン化合物を提供する。
【0009】
【化1】
【0010】
化学式1で、XはO、S、NRa、CRbc、SiRde、又はGeRfgであり、R1~R8は各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0011】
化学式1で、R9は置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0012】
a~Rgは各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、或いは又は隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0013】
1~R8の中で少なくとも1つは下記の化学式2で表示される。なお本明細書で、-*は結合される位置を意味する。
【化2】
化学式2で、nは0又は1であり、Yは直接結合(direct linkage)、O、S、CRhi、SiRjk、又はGeRlmである。
【0014】
化学式2で、R10~R17は各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0015】
h~Rmは各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、もしくは隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。R9は置換若しくは非置換のフェニル基である。また、R9は置換若しくは非置換のピリジル基、又は置換若しくは非置換のナフチル基である。
【0016】
1~R8の中でいずれか1つは化学式2で表示され、残りは水素原子である。
【0017】
化学式1は下記の化学式3で表示される。
【0018】
【化3】
化学式3で、R5~R17、X、Y、及びnは化学式1及び化学式2で定義した内容と同一である。化学式1は下記の化学式1-1~化学式1-6の中でいずれか1つで表示される。
【0019】
【化4】
化学式1-1~化学式1-6において、R1~R9及びRa~Rgは化学式1で定義した内容と同一である。
【0020】
aは置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基であり、Rb~Rgは置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基である。
化学式2は下記の化学式2-1~化学式2-5の中でいずれか1つで表示される。
【0021】
【化5】
【0022】
化学式2-1~化学式2-9において、Q1~Q16は各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、又は置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基であり、a1~a16は各々独立に0以上4以下の整数である。
【0023】
化学式1で表示される含リン化合物は下記の化合物1~化合物136からなる化合物群で表示された化合物の中から選択されるいずれか1つである。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0024】
他の実施形態は第1電極と、第1電極上に配置された正孔輸送領域と、正孔輸送領域上に配置された発光層と、発光層上に配置された電子輸送領域と、電子輸送領域上に配置された第2電極と、を含み、発光層は下記の化学式1で表示される含リン化合物を含む有機電界発光素子を提供する。
【0025】
【化13】
【0026】
化学式1で、XはO、S、NRa、CRbRc、SiRde、又はGeRfgであり、R1~R8は各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0027】
9は置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0028】
a~Rgは各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
1~R8の中で少なくとも1つは下記の化学式2で表示される。
【0029】
【化14】
化学式2で、nは0又は1であり、Yは直接結合、O、S、CRhi、SiRjk、又はGeRlmである。
【0030】
10~R17は各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0031】
h~Rmは各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。化学式1で表示される含リン化合物は熱活性化遅延蛍光材料である。発光層は下記の化合物1~化合物136からなる化合物群で表示された化合物の中で少なくとも1つを含むことができる。
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【発明の効果】
【0032】
一実施形態の含リン化合物は有機電界発光素子の駆動電圧を低下させることができる。一実施形態の含リン化合物は有機電界発光素子の発光半値幅を狭くすることができ色純度を改善することができる。
【0033】
一実施形態の有機電界発光素子は発光層に一実施形態の含リン化合物を含んで駆動電圧を低下させることができる。一実施形態の有機電界発光素子は発光層に一実施形態の含リン化合物を含むことで発光半値幅を狭くすることができ、色純度を改善して発光素子の効率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
図2】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有し得り、特定な実施形態を図面に例示して本文で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定な開示形態に対して限定しようとすることではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物又は代替物を含むこととして理解されるべきである。
【0036】
各図面を説明しながら、類似な参照符号を類似な構成要素に対して使用した。添付された図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大して図示したものである。第1、第2等の用語は多様な構成要素を説明するために使用されるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しなく、第1構成要素は第2構成要素と称され、類似に第2構成要素も第1構成要素と称される。単数の表現は文脈の上に明確に異なりに表現しない限り、複数の表現を含む。
【0037】
本出願で、含む又は有する等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組合したものが存在することを指定しようとし、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品又はこれらを組合したものの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解されなければならない。また、層、膜、領域、板等の部分が他の部分の上にあるとする場合、これは、他の部分の直ちに上にある場合のみでなく、その中間にその他の部分がある場合も含む。本明細書で、-*は結合される位置を意味する。
【0038】
本明細書で、置換若しくは非置換のは重水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、シリル基、ホウ素基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基、アルキル基、アルケニル基、フルオレニル基、アリール基及びヘテロ環基からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換若しくは非置換されたことを意味する。また、例示された置換基の各々は、置換若しくは非置換のものであってもよい。例えば、ビフェニル基は、アリール基として解釈されてもよく、フェニル基で置換されたフェニル基として解釈されてもよい。
【0039】
本明細書で、隣接する基と互いに結合して環を形成するとは、隣接する基と互いに結合して置換若しくは非置換の炭化水素環、又は置換若しくは非置換のヘテロ環を形成することを意味する。炭化水素環は脂肪族炭化水素環及び芳香族炭化水素環を含む。ヘテロ環は脂肪族ヘテロ環及び芳香族ヘテロ環を含む。炭化水素環及びヘテロ環は単環又は多環である。また、隣接する基と互いに結合して形成された環は他の環と結合してスピロ構造を形成するものであってもよい。
【0040】
本明細書で、隣接する基は該当置換基が置換された原子と直接結合した原子に置換された置換基、該当置換基が置換された原子に置換された他の置換基又は該当置換基と立体構造的に最も隣接する置換基を意味する。例えば、1、2-ジメチルベンゼン(1、2-dimethylbenzene)で2つのメチル基は、互いに隣接する基として解釈され、1、1-ジエチルシクロペンテン(1、1-diethylcyclopentene)で2つのエチル基は、互いに隣接する基として解釈される。
本明細書で、ハロゲン原子の例としては弗素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ化物原子がある。
【0041】
本明細書で、アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、又は環形アルキル基を含む。アルキル基の炭素数は1以上50以下、1以上30以下、1以上20以下、1以上10以下又は1以上6以下である。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、2-エチルブチル基、3、3-ジメチルブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、シクロペンチル基、1-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-エチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチルヘキシル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、n-ペンチル基、1-メチルヘプチル基、2、2-ジメチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、2-ブチルヘプチル基、n-オクチル基、t-オクチル基、2-エチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルオクチル基、3、7-ジメチルオクチル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、アダマンチル基、2-エチルデシル基、2-ブチルデシル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、2-エチルドデシル基、2-ブチルドデシル基、2-ヘキシルドデシル基、2-オクチルドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、2-エチルヘキサデシル基、2-ブチルヘキサデシル基、2-ヘキシルヘキサデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、2-エチルイコシル基、2-ブチルイコシル基、2-ヘキシルイコシル基、2-オクチルイコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、n-ペンタコシル基、n-ヘキサコシル基、n-ヘプタコシル基、n-オクタコシル基、n-ノナコシル基、及びn-トリアコンチル基等を挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書で、アリール基は芳香族炭化水素環から誘導された任意の作用基又は置換基を意味する。アリール基は単環式アリール基又は多環式アリール基である。アリール基の環形成炭素数は6以上30以下、6以上20以下、又は6以上15以下である。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、キンキフェニル(quinquephenyl)基、セクシーフェニル基、トリフェニレン基、ピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、クリセニル基等を例示してもよいが、これらに限定されない。
本明細書で、フルオレニル基は、置換されることができ、置換基2つが互いに結合してスピロ構造を形成することもできる。
【0043】
本明細書で、ヘテロアリール基は異種元素としてO、N、Si、及びSの中で1つ以上を含むヘテロアリール基である。ヘテロアリール基の環形成炭素数は2以上30以下であり、好ましくは2以上20以下である。ヘテロアリール基は単環式ヘテロアリール基又は多環式ヘテロアリール基である。多環式ヘテロアリール基は、例えば2環又は3環構造を有する。ヘテロアリール基の例としてはチオフェニレン基、フラニレン基、ピロニレン基、イミダゾリレン基、チアゾリレン基、オキサゾリレン基、オキサジアゾリレン基、トリアゾリレン基、ピリジリレン基、ビピリジニレン基、ピリミジリレン基、トリアジリレン基、トリアゾリレン基、アクリジリレン基、アクリジリレン基、ピラジニレン基、キノリニレン基、キナゾリレン基、キノキサリニレン基、フェノキサジリレン基、フタラジニレン基、ピリドピリミジニレン基、ピリドピラジニレン基、ピラジピラジニレン基、イソキノリレン基、インドリレン基、カルバゾリレン基、N-アリルカルバゾリレン基、N-ヘテロアリルカルバゾリレン基、N-アルキルカルバゾリレン基、ベンゾオキサゾリレン基、ベンゾイミダゾリレン基、ベンゾチアゾリレン基、ベンゾカルバゾリレン基、ベンゾチオフェニレン基、ジベンゾチオフェニレン基、チエノチオフェニレン基、ベンゾフラニレン基、フェナントロリレン基、チアゾリレン基、イソオキサゾリレン基、オキサジアゾリレン基、チアジアゾリレン基、ベンゾチアゾリレン基、フェノチアジニレン基、ジベンゾシロリレン基及びジベンゾフラニレン基等があるが、これに限定されない。本明細書で、アリーレン基は、2価基であることを除外すれば、前述したアリール基に関する説明が適用される。本明細書で、ヘテロアリーレン基は2価基であることを除外すれば、前述したヘテロアリール基に関する説明が適用される。
【0044】
本明細書で、アミノ基の炭素数は特別に限定されないが、1以上30以下である。アミノ基はアルキルアミノ基及びアリールアミノ基を含むことができる。アミノ基の例としてはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、9-メチル-アントラセニルアミノ基、トリフェニルアミノ基等があるが、これらに限定されない。以下では一実施形態による含リン化合物に対して説明する。一実施形態の含リン化合物は下記の化学式1で表示される。
【0045】
【化22】
【0046】
化学式1で、XはO、S、NRa、CRbc、SiRde、又はGeRfgである。また、Ra~Rgは各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成する。
【0047】
1~R8は各々独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0048】
9は置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。一方、R9は隣接する置換基と環を形成しないこともあり得る。例えば、R9は隣接するR8と互いに結合して環を形成しない。また、化学式1で、R1~R8の中で少なくとも1つは下記の化学式2で表示される。
【0049】
【化23】
【0050】
化学式2で、nは0又は1である。また、nが1である場合、Yは直接結合(direct linkage)、O、S、CRhi、SiRjk、又はGeRlmである。直接結合は、例えば単一結合である。例えば、Yが直接結合である場合、化学式2は置換若しくは非置換のカルバゾリル基である。
【0051】
h~Rmは各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0052】
化学式2で、R10~R17は各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。例えば、化学式2でR10~R17は各々独立的に水素原子であるか、又は置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基である。具体的に、化学式2でR10~R17は各々独立的に水素原子、又はメチル基である。
【0053】
一方、化学式1でR1~R8の中で少なくとも1つは化学式2で表示されることであり、残りは各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。例えば、化学式1でR1~R8の中でいずれか1つが化学式2で表示されることであり、残りは各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0054】
化学式1で表示される一実施形態の含リン化合物で、R1~R8の中で少なくとも1つは化学式2で表示されることであり、残りは水素原子である。例えば、化学式1で表示される一実施形態の含リン化合物でR1~R8の中でいずれか1つは化学式2で表示されることであり、残りは水素原子である。具体的に、一実施形態の含リン化合物でR3は化学式2で表示される、R1、R2、R4~R8は水素原子である。しかし、実施形態がこれに限定されることはなく、一実施形態の含リン化合物でR1、R2及びR4の中でいずれか1つが化学式2で表示され、R3を含んだ残りは水素原子である。化学式1で表示される一実施形態の含リン化合物は下記の化学式3で表示される。
【0055】
【化24】
化学式3で、R5~R17、X、Y、及びnは化学式1及び化学式2で説明した内容と同一の内容が適用される。
【0056】
化学式3は化学式1の化合物でR1~R4の中で1つが化学式2で表示される含リン化合物を示した。例えば、化学式3は化学式1で表示される化合物でR1~R4の中で1つは化学式2で表示され、これを除外した残りR5~R8は水素原子である。また、化学式1で表示される一実施形態の含リン化合物は下記の化学式4で表示される。
【0057】
【化25】
化学式4で、R9~R17、X、及びnは化学式1及び化学式2で説明した内容と同一の内容が適用される。
【0058】
また、化学式4で、R18~R24は各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0059】
1及びY2は各々独立的に直接結合、O、S、CRhi、SiRjk、又はGeRlmであり、Rh~Rmは各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロ基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成する。
化学式1は下記の化学式1-1~化学式1-6の中でいずれか1つで表示される。
【0060】
【化26】
【0061】
化学式1-1~化学式1-6において、R1~R9、及びRa~Rgは化学式1で説明した内容と同一の内容が適用される。例えば、化学式1-1~化学式1-6で、R9は置換若しくは非置換のアリール基であり、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であり、R1~R8は水素原子である。
【0062】
化学式1-1はXがOである場合、化学式1-2はXがSである場合を示した。化学式1-3及び化学式1-4は各々XがNRa及びCRbcである場合を示した。また、化学式1-5及び化学式1-6は各々XがSiRde及びGeRfgである場合を示した。
【0063】
化学式1で、XがNRaである化学式1-3の場合である時、Raは置換若しくは非置換のアリール基である。例えば、Raは置換若しくは非置換のフェニル基である。具体的に、Raは非置換のフェニル基である。
【0064】
化学式1で、XがCRbcである化学式1-4の場合、Rb及びRcは互いに同一であるか、又は互いに異なっていてもよい。Rb及びRcは各々独立的に水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。Rb及びRcは互いに結合して環を形成するか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0065】
一実施形態で、CRbcのRb及びRcは各々独立的に置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基である。例えば、Rb及びRcは全てのメチル基である。また、CRbcのRb及びRcは各々独立的に置換若しくは非置換の炭素数6以上30以下のアリール基である。例えば、Rb及びRcは全てフェニル基である。
【0066】
また、XがSiRdeである化学式1-5とXがGeRfgである化学式1-6の場合、Rd~Rqは各々独立的に水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。化学式1-5でRd及びReは互いに同一であるか、又は互いに互いに異なる。Rd及びReは互いに結合して環を形成するか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成する。化学式1-6でRf及びRqは互いに同一であるか、又は互いに互いに異なっていてもよい。Rf及びRqは互いに結合して環を形成するか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0067】
化学式1で表示される一実施形態の含リン化合物で、R9は置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基である。例えば、一実施形態でR9は置換若しくは非置換のフェニル基である。具体的にR9は非置換のフェニル基である。また、一実施形態でR9はハロゲン原子で置換されたフェニル基であるか、或いはアルキル基で置換されたフェニル基、又はシアノ基で置換されたフェニル基である。具体的にR9は少なくとも1つの水素原子がF(fluorine)で置換されたフェニル基である。又はR9は少なくとも1つの水素原子がメチル基で置換されたフェニル基である。
【0068】
また、化学式1で表示される一実施形態の含リン化合物で、R9は置換若しくは非置換のピリジル基、又は置換若しくは非置換のナフチル基である。具体的に一実施形態の含リン化合物でR9は非置換のピリジル基、又は非置換のナフチル基である。
【0069】
一方、化学式2でYは直接結合、又はCRhiである。Rh及びRiは互いに同一であるか、又は互いに異なる。Rh及びRiは水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。Rh及びRiは互いに結合して環を形成してもよい。Rh及びRiは互いに結合してフルオレン環を形成してもよい。又は、Rh及びRiは互いに結合してヘテロ環を形成してもよい。例えば、Rh及びRiは互いに結合してキサンテン(xanthene)環を形成する。
化学式2は下記の化学式2-1~化学式2-5の中でいずれか1つで表示される。
【0070】
【化27】
【0071】
化学式2-1~化学式2-9において、Q1~Q16は各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、又は置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基であり、a1~a16は各々独立的に0以上4以下の整数である。一方、化学式2-1~化学式2-8は化学式2でn=1である場合を示したことであり、化学式2-9はn=0である場合を示した。
【0072】
化学式1で表示される一実施形態の含リン化合物は下記の化学式1から化学式136からなる化合物群で表示された化合物の中から選択されるいずれか1つである。しかし、実施形態がこれに限定されることではない。
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【0073】
【0074】
【0075】
以下では本発明の一実施形態による有機電界発光素子に対して説明する。以下では先に説明した本発明の一実施形態による含リン化合物に対しては具体的に説明せず、説明されない部分は上述した本発明の一実施形態による含リン化合物の説明に従う。
【0076】
図1は本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。図2は本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
【0077】
図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子10は第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2を含む。
【0078】
第1電極EL1と第2電極EL2とは互いに対向して配置され、第1電極EL1と第2電極EL2との間には複数の有機層が配置される。複数の有機層は正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETRを含む。一実施形態の有機電界発光素子10は発光層EMLに上述した一実施形態の含リン化合物を含むことができる。
【0079】
下の有機電界発光素子10に対する説明では発光層EMLに一実施形態の含リン化合物を含む場合に対して詳細に説明する。しかし、実施形態はこれに限定されなく、一実施形態の含リン化合物は第1電極EL1及び第2電極EL2の間に配置された複数の有機層の中で少なくとも1つの層に含むことができる。例えば、本発明の一実施形態による含リン化合物は正孔輸送領域HTRに含まれる。第1電極EL1は導電性を有する。第1電極EL1は金属合金又は導電性で形成される。第1電極EL1はアノード(anode)である。
【0080】
第1電極EL1は透過型電極、半透過型電極、又は反射型電極である。第1電極EL1が透過型電極である場合、第1電極EL1は透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)等からなされる。第1電極EL1が半透過型電極又は反射型電極である場合、第1電極EL1はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti又はこれらの化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含むことができる。又は例示された物質で形成された反射膜や半透過膜及びITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)等で形成された透明導電膜を含む複数の層構造であってもよい。
【0081】
正孔輸送領域HTRは第1電極EL1上に提供される。正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、正孔バッファ層、及び電子阻止層の中で少なくとも1つを含む。正孔輸送領域HTRの厚さは、例えば約300Å~約1500Åである。
【0082】
正孔輸送領域HTRは単一物質からなる単一層、複数の互に異なる物質からなる単一層又は複数の互に異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有してもよい。
【0083】
例えば、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、又は正孔輸送層HTLの単一層の構造を有してもよく、正孔注入物質と正孔輸送物質からなる単一層の構造を有してもよい。また、正孔輸送領域は、複数の互いに異なる物質からなる単一層の構造を有するか、或いは第1電極EL1から順に積層された正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL、正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔バッファ層、正孔注入層HIL/正孔バッファ層、正孔輸送層HTL/正孔バッファ層又は正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/電子阻止層の構造を有するが、これに限定されることではない。
【0084】
正孔輸送領域HTRは、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリンティング法、レーザープリンティング法、レーザー熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)等のような多様な方法を利用して形成される。
正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLを含む場合、正孔注入層HILは公知の正孔注入材料を含む。
【0085】
例えば、トリフェニルアミン含有ポリエーテルケトン(TPAPEK)、4-イソプロピル-4´-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(PPBI)、N、N´-ジフェニル-N、N´-ビス-[4-(フェニル-m-トリル-アミノ)-フェニル]-ビフェニル-4、4´-ジアミン(DNTPD)、銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物、4、4´、4´´-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、N、N´-ジ(1-ナフチル)-N、N´-ジフェニルベンジジン(NPB)、4、4´、4´´-トリス{N、Nジフェニルアミノ}トリフェニルアミン(TDATA)、4、4´、4´´-トリス(N、N-2-ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2-TNATA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(PANI/DBSA)、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(PANI/CSA)、又は、ポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PANI/PSS)等を含むことができる。しかし、実施形態がこれに限定されることではない。正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLを含む場合正孔輸送層HTLは公知の正孔輸送材料を含む。
【0086】
公知の正孔輸送材料は、例えば、1、1-ビス[(ジ-4-トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N-フェニルカルバゾール(N-Phenyl carbazole)、ポリビニルカルバゾール(Polyvinyl carbazole)などのカルバゾール誘導体、N、N´-ビス(3-メチルフェニル)-N、N´-ジフェニル-[1、1-ビフェニル]-4、4´-ジアミン(TPD)、4、4´、4´´-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、N、N´-ジ(1-ナフチル)-N、N´-ジフェニルベンジジン(NPB)等を挙げることができる。しかし、実施形態がこれに限定されることではない。
【0087】
正孔輸送領域HTRの厚さは約100Å~約10000Å、例えば約100Å~約1000Åである。正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLを全て含めば、正孔注入層HILの厚さは約100Å~約10000Å、例えば約100Å~約1000Åであり、正孔輸送層HTLの厚さは約30Å~約1000Åである。正孔輸送領域HTR、正孔注入層HIL、及び正孔輸送層HTLの厚さが前述したような範囲である場合、実質的な駆動電圧を上昇させずに十分な程度の正孔輸送特性を得られる。
【0088】
正孔輸送領域HTRは先に言及された物質の以外に、導電性向上のために電荷生成物質をさらに含むことができる。電荷生成物質は正孔輸送領域HTR内に均一に又は不均一に分散されていてもよい。電荷生成物質は、例えばp-ドーパント(dopant)である。p-ドーパントはキノン(quinone)誘導体、金属酸化物及びシアノ(cyano)基含有化合物の中でいずれか1つであるが、これに限定されることではない。例えば、p-ドーパントの非制限的な例としては、TCNQ(Tetracyanoquinodimethane)及びF4-TCNQ(2、3、5、6-tetrafluoro-tetracyanoquinodimethane)等のようなキノン誘導体、タングステン酸化物及びモリブデン酸化物等のような金属酸化物等を挙げられるが、これに限定されることではない。
【0089】
先に言及されたように、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTLの以外に、正孔バッファ層及び電子阻止層の中で少なくとも1つを含む。正孔バッファ層は、発光層EMLから放出される光の波長による共振距離を補償して光の放出効率を増加させることができる。正孔バッファ層に含まれる物質としては正孔輸送領域HTRに含まれることができる物質を使用してもよい。電子阻止層は電子輸送領域ETRから正孔輸送領域HTRへの電子注入を防止する役割をする層である。
【0090】
発光層EMLは正孔輸送領域HTR上に提供される。発光層EMLの厚さは、例えば約100Å~約1000Åである。発光層EMLは単一物質からなる単一層、複数の互に異なる物質からなる単一層又は複数の互に異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有してもよい。
【0091】
発光層EMLは上述した本発明の一実施形態による含リン化合物を含むことができる。具体的に、発光層EMLは下記の化学式1で表示される含リン化合物を含むことができる。
【0092】
【化35】
【0093】
化学式1で、XはO、S、NRa、CRbc、SiRde、又はGeRfgである。また、Ra~Rgは各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成する。
【0094】
1~R8は各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0095】
9は置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0096】
また、化学式1で、R1~R8の中で少なくとも1つは下記の化学式2で表示される。
【化36】
【0097】
化学式2で、nは0又は1であり、nが1である場合、Yは直接結合(direct linkage)、O、S、CRhi、SiRjk、又はGeRlmである。直接結合は、例えば単一結合である。例えば、Yが直接結合である場合、化学式2は置換若しくは非置換のカルバゾリル基である。
【0098】
h~Rmは各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0099】
化学式2で、R10~R17は各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0100】
一方、化学式1及び化学式2で、X、Y、R1~R17に関する具体的な説明は上述した一実施形態の含リン化合物に対する説明と同一の内容が適用される。
【0101】
発光層EMLは化学式1で表示される含リン化合物を1種又は2種以上含むことができる。化学式1で表示される含リン化合物は一実施形態の有機電界発光素子の発光層EMLに含まれて熱活性遅延蛍光発光をするものである。発光層EMLは下記の化学式3又は化学式4で表示される化合物を1種又は2種以上含むことができる。
【0102】
【化37】
【0103】
化学式3で、X、Y、R5~R17に関する具体的な説明は上述した一実施形態の含リン化合物に対する説明と同一の内容が適用される。一方、化学式1又は化学式3で表示される含リン化合物でR9は置換若しくは非置換のフェニル基である。また、化学式3でR5~R8は水素原子である。
【0104】
【化38】
化学式4で、R9~R17、X及びnは化学式1及び化学式2で説明した内容と同一の内容が適用される。
【0105】
また、化学式4で、R18~R24は各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換のアミノ基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基である。
【0106】
1及びY2は各々独立的に直接結合、O、S、CRhi、SiRjk、又はGeRlmであり、Rh~Rmは各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは非置換のフルオレニル基、置換若しくは非置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは非置換の環形成炭素数4以上30以下のヘテロアリール基であるか、又は隣接する基と互いに結合して環を形成する。また、化学式2は下記の化学式2-1~化学式2-9の中でいずれか1つで表示される。
【0107】
【化39】
【0108】
化学式2-1~化学式2-9において、Q1~Q16は各々独立的に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のシリル基、又は置換若しくは非置換の炭素数1以上20以下のアルキル基であり、a1~a16は各々独立的に0以上4以下の整数である。一方、化学式2-1~化学式2-8は化学式2でn=1である場合を示し、化学式2-9はn=0である場合を示した。発光層EMLは下記の化合物1から化合物136からなる化合物群に表示された化合物の中で少なくとも1つを含む。
【0109】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【0110】
一方、発光層EMLは上述した一実施形態の含リン化合物の以外の公知の材料をさらに含むことができる。例えば、発光層EMLは公知の材料にスピロ-DPVBi(spiro-DPVBi)、スピロ-6P(spiro-6P、2、2´、7、7´-tetrakis(biphenyl-4-yl)-9、9´-spirobifluorene(spiro-sexiphenyl))、DSB(distyryl-benzene)、DSA(distyryl-arylene)、PFO(Polyfluorene)系高分子及びPPV(poly(p-phenylenevinylene)系高分子からなる群から選択されたいずれか1つを含む蛍光物質をさらに含むことができる。但し、実施形態がこれによって限定されることではない。
【0111】
【0112】
一実施形態の有機電界発光素子10は化学式1で表示される一実施形態の含リン化合物を発光層EMLに含んで発光効率を改善してもよい。一実施形態の含リン化合物を含む一実施形態の有機電界発光素子100は高電流密度領域(例えば、10mA/cm以上)で低駆
動電圧となる。
【0113】
一実施形態の有機電界発光素子10は化学式1で表示される一実施形態の含リン化合物を発光層EMLに含んで発光半値幅を狭くすることによって、色純度を改善し、特に高電流密度での低駆動電圧を実現することで、有機電界発光素子の応用範囲を拡大してもよい。
【0114】
例えば、一実施形態の含リン化合物は青色光を発光する熱活性化遅延蛍光材料である。したがって、一実施形態の含リン化合物が含まれた一実施形態の有機電界発光素子10の発光層EMLは青色光を放出する。しかし、実施形態がこれに限定されることはなく、一実施形態の含リン化合物は緑色光又は赤色光を発光する熱活性化遅延蛍光材料である。本発明の一実施形態による含リン化合物は発光層EMLのドーパント材料として含まれてもよい。
【0115】
発光層EMLはホストをさらに含むことができる。ホストは通常的に使用する物質であれば、特別に限定しないが、例えばAlq3(tris(8-hydroxyquinolino)aluminum)、CBP(4、4´-bis(N-carbazolyl)-1、1´-biphenyl)、PVK(poly(n-vinylcabazole)、ADN(9、10-di(naphthalene-2-yl)anthracene)、TCTA(4、4´、4´´-Tris(carbazol-9-yl)-triphenylamine)、TPBi(1、3、5-tris(N-phenylbenzimidazole-2-yl)benzene)、TBADN(3-tert-butyl-9、10-di(naphth-2-yl)anthracene)、DSA(distyrylarylene)、CDBP(4、4′-bis(9-carbazolyl)-2、2′-dimethyl-biphenyl)、MADN(2-Methyl-9、10-bis(naphthalen-2-yl)anthracene)、DPEPO(bis[2-(diphenylphosphino)phenyl] ether oxide)、CP1(Hexaphenyl cyclotriphosphazene)、UGH2(1、4-Bis(triphenylsilyl)benzene)、DPSiO3(Hexaphenylcyclotrisiloxane)、DPSiO4(Octaphenylcyclotetra siloxane)、PPF(2、8-Bis(diphenylphosphoryl)dibenzofuran)等が使用されるてもよい。
【0116】
電子輸送領域ETRは発光層EML上に提供される。電子輸送領域ETRは、電子阻止層、電子輸送層ETL、及び電子注入層EILの中で少なくとも1つを含むが、これに限定されることではない。
【0117】
電子輸送領域ETRは単一物質からなる単一層、複数の互に異なる物質からなる単一層、又は複数の互に異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有してもよい。
【0118】
例えば、電子輸送領域ETRは、電子注入層EIL又は電子輸送層ETLの単一層の構造を有してもよく、電子注入物質と電子輸送物質からなる単一層の構造を有してもよい。また、電子輸送領域ETRは、複数の互に異なる物質からなる単一層の構造を有するか、或いは第1電極ANから順に積層された電子輸送層ETL/電子注入層EIL、正孔阻止層/電子輸送層ETL/電子注入層EIL構造を有してもよいが、これに限定されることではない。電子輸送領域ETRの厚さは、例えば約1000Å~約1500Åである。
【0119】
電子輸送領域ETRは、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリンティング法、レーザープリンティング法、レーザー熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)等のような多様な方法を利用して形成されうる。
【0120】
電子輸送領域ETRが電子輸送層ETLを含む場合、電子輸送領域ETRは公知の材料を含む。例えば、電子輸送領域ETRはAlq3(Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum)、1、3、5-tri[(3-pyridyl)-phen-3-yl]benzene、2、4、6-tris(3´-(pyridin-3-yl)biphenyl-3-yl)-1、3、5-triazine、2-(4-(N-phenylbenzoimidazolyl-1-ylphenyl)-9、10-dinaphthylanthracene、TPBi(1、3、5-tri(1-phenyl-1H-benzo[d]imidazol-2-yl)benzene)、BCP(2、9-Dimethyl-4、7-diphenyl-1、10-phenanthroline)、Bphen(4、7-Diphenyl-1、10-phenanthroline)、TAZ(3-(4-Biphenylyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1、2、4-triazole)、NTAZ(4-(Naphthalen-1-yl)-3、5-diphenyl-4H-1、2、4-triazole)、tBu-PBD(2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1、3、4-oxadiazole)、BAlq(Bis(2-methyl-8-quinolinolato-N1、O8)-(1、1´-Biphenyl-4-olato)aluminum)、Bebq2(berylliumbis(benzoquinolin-10-olate)、ADN(9、10-di(naphthalene-2-yl)anthracene)及びこれらの混合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0121】
電子輸送領域ETRが電子輸送層ETLを含む場合、電子輸送層ETLの厚さは約100Å~約1000Å、例えば約150Å~約500Åである。電子輸送層ETLの厚さが前述したような範囲を満たす場合、実質的に駆動電圧を上昇させなくても十分な電子輸送特性を得ることができる。
【0122】
電子輸送領域ETRが電子注入層EILを含む場合、電子輸送領域ETRは公知の材料を含む。例えば、電子輸送領域ETRはLiF、LiQ(Lithium quinolate)、Li2O、BaO、NaCl、CsF、Ybのようなランタノイド族金属、又はRbCl、RbIのようなハロゲン化金属等が使用されるが、これに限定されるものではない。また、電子注入層EILは電子輸送物質と絶縁性の有機金属塩(organo metal salt)とが混合された物質からなされる。有機金属塩は、エネルギーバンドギャップ(energy bandgap)が約4eV以上の物質になる。具体的に例えると、有機金属塩は、金属アセテート(metal acetate)、金属ベンゾエート(metal benzoate)、金属アセトアセテート(metal acetoacetate)、金属アセチルアセトネート(metal acetylacetonate)、又は金属ステアレート(stearate)を含む。
【0123】
電子輸送領域ETRが電子注入層EILを含む場合電子注入層EILの厚さは約1Å~約100Å、約3Å~約90Åである。電子注入層EILの厚さが前述したような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに十分な電子注入特性を得ることができる。
【0124】
電子輸送領域ETRは、先に言及したように、正孔阻止層を含む。正孔阻止層は、例えばBCP(2、9-dimethyl-4、7-diphenyl-1、10-phenanthroline)及びBphen(4、7-diphenyl-1、10-phenanthroline)の中で少なくとも1つを含むことができるが、これに限定されることではない。
【0125】
第2電極EL2は電子輸送領域ETR上に提供される。第1電極EL1は導電性を有する。第2電極EL2は金属合金又は導電性化合物で形成される。第2電極EL2はカソード(cathode)である。第2電極EL2は透過型電極、半透過型電極、又は反射型電極である。第2電極EL2が透過型電極である場合、第2電極EL2は透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)等からなる。
【0126】
第2電極EL2が半透過型の電極又は反射型電極である場合、第2電極EL2はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti又はこれらの化合物、或いは混合物(例えば、AgとMgとの混合物)を含むことができる。又は物質で形成された反射膜や半透過膜及びITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)等で形成された透明導電膜を含む複数の層構造であってもよい。
【0127】
図示せずが、第2電極EL2は補助電極と接続される。第2電極EL2が補助電極と接続されると、第2電極EL2の抵抗を減少させることができる。
【0128】
有機電界発光素子10で、第1電極EL1と第2電極EL2に各々電圧が印加されることによって、第1電極EL1から注入された正孔(hole)は、正孔輸送領域HTRを経て発光層EMLに移動され、第2電極EL2から注入された電子が電子輸送領域ETRを経て発光層EMLに移動される。電子と正孔とは発光層EMLで再結合して励起子(exciton)を生成し、励起子が励起状態から基底状態に落ちながら、発光するようになる。
【0129】
有機発光素子OEL10が前面発光型である場合、第1電極EL1は反射型電極であり、第2電極EL2は透過型電極又は半透過型電極である。有機発光素子10が背面発光型である場合、第1電極EL1は透過型電極又は半透過型電極であり、第2電極EL2は反射型電極である。
【0130】
一実施形態の有機電界発光素子は上述した一実施形態の含リン化合物を含み、発光が改善する。また一実施形態の有機電界発光素子は上述した含リン化合物を発光層に含むことで、含リン化合物が熱活性遅延蛍光過程に発光するようにすることによって、高効率を実現する。より具体的には、本発明の一実施形態による有機電界発光素子は一実施形態の含リン化合物を発光層に含んで高電流密度領域で低い駆動電圧を実現することができる。
【0131】
以下では、実施形態及び比較例を参照しながら、本発明の一実施形態にしたがう含リン化合物及び一実施形態の含リン化合物を含む有機電界発光素子に対して具体的に説明する。また、以下に示す実施形態は本発明の理解を助けるための一例示であり、本発明の範囲がこれに限定されることではない。
【0132】
[実施例]含リン化合物の合成
先ず、本発明の一実施形態にしたがう含リン化合物の合成方法に対して、化合物群の化合物21、化合物22及び化合物23の合成方法を例示して具体的に説明する。また、以下に説明する含リン化合物の合成法は一実施例として、本発明の実施形態にしたがう含リン化合物の合成法が下記の実施例に限定されない。
【0133】
(化合物21の合成)
一実施形態に係る含リン化合物21は、例えば下記の反応式1によって合成される。
【化47】
【0134】
窒素雰囲気下、300mLの三口フラスコに化合物B 2.91g、化合物A 3.00g、酢酸パラジウム 0.05g、tBu3P・HBF4(Tri-tert-butylphosphonium tetrafluoroborate) 0.35g、ナトリウムtert-ブトキシド(Sodium tert-butoxide) 1.86gを入れ、100mLのトルエン溶媒中110℃で一日間加熱還流し、以後1.56gの固体化合物を得た。次に、窒素雰囲気下の300mLの三口フラスコに化合物C 1.00g、LAWSON試薬(Lawesson´s reagent) 1.25gを入れ、100mLのトルエン溶媒中110℃で一日間加熱還流した。得られた残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムとヘキサンとの混合溶媒を使用)で精製した後、ジクロロメタン(dichloromethane)とヘキサン混合溶媒で再結晶をし、黄色固体化合物を0.76g得た(収率75%)。
【0135】
1H NMR測定で測定された化合物のケミカルシフト値(δ)は1H NMR(400MHz、DMSO、δ):8.18(d、J=8.0Hz、0.5H)、8.14(d、J=8.0Hz、0.5H)、7.97(d、J=7.6Hz、2H)、7.90-7.84(m、1H)、7.79-7.72(m、4H)、7.58-7.56(m、4H)、7.54-7.41(m、4H)、7.37(d、J=7.6Hz、2H)、7.31(td、J=7.4Hz、0.8Hz、2H)、6.79(dd、J=8.8Hz、2.0Hz、2H)、6.29(d、J=8.0Hz、2H)、6.03(d、J=2.0Hz、2H)、1.88(s、6H)であった。結果として、黄色固体化合物が化合物21であることを確認した。
【0136】
(化合物22の合成)
一実施形態に係る含リン化合物22は、例えば下記の反応式2によって合成される。
【化48】
【0137】
窒素雰囲気下、300mLの三口フラスコに化合物B 4.32g、化合物D 4.65g、酢酸パラジウム 0.08g、tBu3P・HBF4 0.52g、ナトリウムtert-ブトキシド 2.77gを入れ、150mLのトルエン溶媒中110℃で一日間加熱還流して、3.94gの固体化合物を得た。次に、窒素雰囲気下、300mLの三口フラスコに化合物E 2.50g、LAWSON試薬 3.04gを入れ、150mLのトルエン溶媒中110℃で一日間加熱還流した。得られた残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムとヘキサンとの混合溶媒を使用)で精製した後、ジクロロメタンとヘキサン混合溶媒で再結晶をし、黄色固体化合物を1.76g得た(収率69%)。
【0138】
1H NMR測定で測定された化合物のケミカルシフト値(δ)は1H NMR(400MHz、DMSO、δ):8.75(d、J=8.0Hz、0.5H)、8.72(d、J=8.0Hz、0.5H)、8.49-8.43(m、1H)、8.04(dd、J=4.0Hz、2.0Hz、1H)、7.97(d、J=7.2Hz、2H)、7.90(dt、J=8.0Hz、1.7Hz、1H)、7.83-7.72(m、3H)、7.55-7.51(m、1H)、7.49-7.41(m、4H)、7.38(t、J=7.2Hz、2H)、7.34-7.28(m、4H)、6.79(dd、J=9.0Hz、1.8Hz、2H)、6.22(d、J=8.4Hz、2H)、6.02(d、J=2.0Hz、2H)、1.88(s、6H)であった。結果として、黄色固体化合物が化合物22であることを確認した。
【0139】
(化合物23の合成)
一実施形態に係る含リン化合物23は、例えば下記の反応式3によって合成される。
【化49】
【0140】
窒素雰囲気下、300mLの三口フラスコに化合物B 2.42g、化合物F 3.00g、酢酸パラジウム 0.05g、tBu3P・HBF4 0.29g、ナトリウムtert-ブトキシド 1.55gを入れ、100mLのトルエン溶媒中110℃で一日間加熱還流し、1.62gの固体化合物を得た。次に、窒素雰囲気下、300mLの三口フラスコに化合物E 1.10g、LAWSON試薬 1.23gを入れ、100mLのトルエン溶媒中110℃で一日間加熱還流した。得られた残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムとヘキサンとの混合溶媒を使用)で精製した後、ジクロロメタンとヘキサン混合溶媒で再結晶をし、黄色固体化合物を0.78g得た(収率70%)。
【0141】
1H NMR測定で測定された化合物のケミカルシフト値(δ)は1H NMR(400MHz、DMSO、δ):8.29(d、J=8.0Hz、0.5H)、8.26(d、J=8.0Hz、0.5H)、8.01-7.94(m、3H)、7.79-7.73(m、4H)、7.69(tt、J=7.4Hz、1.5Hz、1H)、7.62-7.55(m、5H)、7.48(td、J=7.9Hz、1.0Hz、1H)、7.42(td、J=7.4Hz、0.9Hz、3H)、7.27(t、J=7.2Hz、1H)、7.22(td、J=7.5Hz、1.1Hz、2H)、7.11(d、J=7.2Hz、2H)、6.77(dd、J=8.8Hz、1.6Hz、2H)、6.55-6.48(m、2H)、6.22(d、J=8.4Hz、2H)、5.99(d、J=1.6Hz、2H)、1.87(s、6H)であった。その結果として、黄色固体化合物が化合物23であることを確認した。
【化50】
【0142】
(有機電界発光素子の作製)含リン化合物を含む有機電界発光素子の製作及び評価
一実施形態の含リン化合物を発光層に含む一実施例の有機電界発光素子を下の方法で製造した。上述した化合物21及び化合物22の含リン化合物を発光層材料として使用して実施例1~実施例2の有機電界発光素子を製作した。比較例1は下記の比較例化合物C1を発光層材料として使用して有機電界発光素子を製作した。実施例1~2及び比較例1で発光層を形成するのに使用した化合物は表1で示した。
【0143】
【表1】
実施例及び比較例の有機電界発光素子は下の方法で製造した。
【0144】
ガラス基板上に厚さ1500ÅのITOをパターニングした後、超純水で洗浄し、UVオゾン処理を10分間実施した。その後、HAT-CNで厚さ100Åの正孔注入層を形成し、NPBで厚さ800Åの正孔輸送層を形成した。
【0145】
次に、実施例は一実施形態の含リン化合物(化合物21又は化合物22)とDPEPOとを24:76の比率に混合した発光層を形成した。発光層の厚さは200Åで形成した。発光層上にTPBiで厚さ300Åの電子輸送層を形成し、LiFで厚さ5Åの電子注入層を形成した。次に、アルミニウム(Al)で厚さ1000Åの第2電極を形成した。実施例で、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、及び第2電極は真空蒸着装置を利用して形成した。
【0146】
比較例1の場合、発光層に比較例化合物C1とDPEPOとを24:76の比率に混合して発光層を形成したことを除ければ、実施例の有機電界発光素子の製作方法と同様に有機電界発光素子を製作した。
【0147】
(有機電界発光素子の特性評価)
実施例及び比較例による有機電界発光素子の特性を評価するために外部量子効率の最大値及び電流密度10mA/cmでの外部量子効率値を評価した。有機電界発光素子の電圧及び
電流密度はソースメーター(Keithley Instrument社、2400 series)を利用して測定し、輝度及び外部量子効率は浜松Photonics社の外部量子効率測定装置C9920-12を使用して測定した。
【0148】
また、実施例及び比較例の発光半値幅を測定した。発光半値幅は外部量子効率測定装置C9920-12を利用して測定した電流密度10mA/cm2での発光スペクトルで輝度が最大輝度の半分になる波長の中で長波長側の波長λ2と長波長側の波長λ1との差異で定義する。即ち、発光半値幅は下の式から求められる。
発光半値幅(nm)=λ2-λ1
【0149】
有機電界発光素子の特性評価結果は表2に示す。
【表2】
【0150】
実施例1及び2は化合物21及び化合物22を各々発光層のドーパントに含んだ有機電界発光素子である。比較例1は発光層ドーパントに比較例化合物C1を含んだ有機電界発光素子である。
【0151】
表2を参照すれば、実施例1~2の有機電界発光素子が比較例1の有機電界発光素子と比較して高電流密度である10mA/cm2の電流密度での電圧が低減されることが確認できる。即ち、実施例1~実施例2の場合、比較例1と比較して、高電流密度では比較例に比べて駆動電圧特性が改善されていることが分かる。
【0152】
また、表2の結果を参照すれば、実施例1~2の有機電界発光素子が比較例1の有機電界発光素子と比較して発光半値幅が狭くなることが分かる。即ち、実施例1~実施例2の場合、比較例1と比較して発光半値幅が狭いため色純度が高い有機電界発光素子を実現することができる。
【0153】
一実施形態の有機電界発光素子は上述した一実施形態の含リン化合物を発光層に含んで低い駆動電圧及び高い色純度を得ることができる。一実施形態の含リン化合物は熱活性遅延蛍光発光材料として使用されて有機電界発光素子の発光効率を改善することができ、特に高電流密度での有機電界発光素子の発光特性を改善することができる。
【0154】
以上では本発明の望ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練された当業者又は該当技術分野に通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることを理解することができる。
したがって、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されることなく、特許請求の範囲によって定まらなければならない。
【符号の説明】
【0155】
10 有機電界発光素子
EL1 第1電極
HTR 正孔輸送領域
EML 発光層
ETR 電子輸送領域
EL2 第2電極
図1
図2