IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井関農機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-穀物乾燥機 図1
  • 特許-穀物乾燥機 図2
  • 特許-穀物乾燥機 図3
  • 特許-穀物乾燥機 図4
  • 特許-穀物乾燥機 図5
  • 特許-穀物乾燥機 図6
  • 特許-穀物乾燥機 図7
  • 特許-穀物乾燥機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】穀物乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/14 20060101AFI20220413BHJP
【FI】
F26B17/14 L
F26B17/14 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017240149
(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公開番号】P2019108992
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】二宮 伸治
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-293581(JP,A)
【文献】特開平05-220408(JP,A)
【文献】特開2004-061070(JP,A)
【文献】特開2007-170734(JP,A)
【文献】特開昭63-238388(JP,A)
【文献】特開2017-133759(JP,A)
【文献】国際公開第2010/053090(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物を貯留する貯留部(2)と、穀物を流通熱風によって乾燥する穀物乾燥通路(13)と、該穀物乾燥通路(13)の穀物を前記貯留部(2)に循環させる循環機構(J)と、穀物乾燥通路(13)を挟んで対向する熱風室(11)および排風室(12)と、前記熱風室(11)から熱風を吸引して排出する排風ファン(6)を備える穀物乾燥機において、
前記循環機構(J)と前記排風ファン(6)の駆動による穀物排出運転時に、穀物排出の途中で前記排風ファン(6)を停止する排出運転制御を備え、
穀物の張込量検出手段(2s)を設け、前記穀物乾燥通路(13)が充填不足となる穀物残量を基準として前記排風ファン(6)を停止するよう構成され、
前記循環機構(J)は、穀物を繰り出すロータリバルブの回転速度又は周期の変更により穀物排出時の繰り出し量を調節可能な繰り出し量調節手段を備え、
前記繰り出し量調節手段は、前記穀物乾燥機の遠隔操作が可能なリモコン装置又は調節スイッチ(53a,53b)の操作により、穀物排出時において所望の繰り出し量まで段階的に排出量を減じ、その後、前記排風ファン(6)を駆動する排風ファン駆動スイッチ(52b)が操作されると減じた排出量を初期の排出量に戻すよう構成され、また、
前記調節スイッチ(53a,53b)は、前記穀物残量が設定量以下の場合に限り調節可能となるように構成されたことを特徴とする穀物乾燥機。
【請求項2】
乾燥運転中に排風が異常昇温し、その後に乾燥再開する場合、異常報知をしつつ、前記排ファン(6)を停止させ、熱風温度及び排風温度が所定温度に下がった時点で、異常報知を解除し、前記前記排風ファン(6)を駆動後に燃焼系を駆動するよう制御し、また、
穀物の異常高温による乾燥運転終了後の排出運転は、前記排風ファン(6)を停止することを特徴とする請求項に記載の穀物乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張込んだ穀物を循環しつつ熱風乾燥する穀物乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の穀物乾燥機は、穀物の張込工程に続く乾燥工程において、排風ファンにより外気を吸引導入して加熱し、この熱風を穀物循環路に介設する熱風流通部に供給し、循環する穀物中を熱風が横断流通することによって穀物を乾燥し、乾燥後の穀物排出工程において、所定の排出制御によって排出量を均一に保つ技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-141003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、穀物排出が進み、穀物循環路の穀物が減少して熱風流通部が穀物充填不足になると、穀物中の塵埃が横断気流に曝されて飛散し、この塵埃が排風ファン側に堆積して火災の危険が増すこととなる。したがって、穀物排出運転毎に飛散堆積する塵埃の除去のため、常に内部清掃を強いられるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、穀物乾燥工程に続く穀物排出工程において、排出終了近くに飛散する塵埃を抑えつつ、円滑な穀物排出を可能とする穀物乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、穀物を貯留する貯留部(2)と、穀物を流通熱風によって乾燥する穀物乾燥通路(13)と、該穀物乾燥通路(13)の穀物を前記貯留部(2)に循環させる循環機構(J)と、穀物乾燥通路(13)を挟んで対向する熱風室(11)および排風室(12)と、前記熱風室(11)から熱風を吸引して排出する排風ファン(6)を備える穀物乾燥機において、
前記循環機構(J)と前記排風ファン(6)の駆動による穀物排出運転時に、穀物排出の途中で前記排風ファン(6)を停止する排出運転制御を備え、
穀物の張込量検出手段(2s)を設け、前記穀物乾燥通路(13)が充填不足となる穀物残量を基準として前記排風ファン(6)を停止するよう構成され、
前記循環機構(J)は、穀物を繰り出すロータリバルブの回転速度又は周期の変更により穀物排出時の繰り出し量を調節可能な繰り出し量調節手段を備え、
前記繰り出し量調節手段は、前記穀物乾燥機の遠隔操作が可能なリモコン装置又は調節スイッチ(53a,53b)の操作により、穀物排出時において所望の繰り出し量まで段階的に排出量を減じ、その後、前記排風ファン(6)を駆動する排風ファン駆動スイッチ(52b)が操作されると減じた排出量を初期の排出量に戻すよう構成され、また、
前記調節スイッチ(53a,53b)は、前記穀物残量が設定量以下の場合に限り調節可能となるように構成されたことを特徴とする
【0008】
請求項に係る発明は、請求項に記載の発明において、
乾燥運転中に排風が異常昇温し、その後に乾燥再開する場合、異常報知をしつつ、前記排風ファン(6)を停止させ、熱風温度及び排風温度が所定温度に下がった時点で、異常報知を解除し、前記前記排ファン(6)を駆動後に燃焼系を駆動するよう制御し、また、
穀物の異常高温による乾燥運転終了後の排出運転は、前記排風ファン(6)を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明は、乾燥工程に続く排出工程では、穀物乾燥通路(13)で排風ファン(6)による通風下で乾燥穀物を排出し、残留穀物の減少の途中で排出排風ファン(6)を停止することにより、穀物中の塵埃飛散を回避して、排風ファン(6)周りの塵埃堆積を防止することができる。
加えて、ロータリバルブ(14)による穀物の繰出し量を調節スイッチ(53a,53b)によって調節できるので、排出する穀物をフレキシブルコンテナ等に収容する場合に、収容量に合わせることが容易となる。さらに、穀物残量が設定量以下の場合に限り調節可能とすることで、穀物が排出終了間際で穀物の繰出し量の調節が可能となる。
また、穀物排出時において所望の繰り出し量まで段階的に排出量を減じることで、特に端量の穀物を比較的小さな袋に収容するときに少量ずつ排出が可能となることにより、袋取りの対応が可能となり、オペレータの利便性を高めることができる。さらに、排風ファン駆動スイッチ(52b)が操作されると、排出量を初期の排出量に戻す構成とすることで、次回の乾燥運転時における循環不良を防止することができる。
【0012】
加えて、穀物乾燥通路(13)が充填不足になる穀物残量を基準として排風ファン(6)を停止することで、塵埃が排風ファン(6)側へ吸引され、堆積することを防止できる
【0015】
請求項に係る発明は、請求項に記載の発明の効果に加え、異常高温時における乾燥運転終了後の排出運転は排風ファン(6)を停止することで、火災等につながるリスクを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】排出運転制御のフローチャート
図2】乾燥部の通風流線を表す平面図
図3】張込穀物の水分斑の一例を示す正面図
図4】乾燥機内部構成の正面図
図5】穀物乾燥部の内部構成の斜視図
図6】循環機構の斜視図
図7】運転操作パネルの見取図
図8】システム構成ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
穀物乾燥機1は、その内部構成の正面図を後掲の図4に示すように、ロータリバルブ14によって穀物を所要速度で循環する穀物循環通路Rに穀物乾燥通路13を介設し、この穀物乾燥通路13を挟んで熱風室11と排風室12とを備え、この排風室12の後方又は後部に備えた排風ファン6により熱風室11から熱風を吸引排出することにより、穀物乾燥通路13の充填穀物中に熱風を流通して循環乾燥し、所定の水分値まで乾燥することができ、また、図7に示す運転操作部のスイッチ操作により、排出運転に移行することで乾燥穀粒を順次排出する。
図6に示すように、循環機構Jは穀物が穀物乾燥機内を循環させる装置各部で構成されていおり、ロータリバルブ14もその内の一つである。
【0018】
(排出終了制御)
穀物乾燥機1は、排出運転制御のフローチャートを図1に示すように、第一の処理ステップ(以下において、「S1」のごとく略記する。)の穀物張込運転(S1)から乾燥運転の終了(S2a,S2b)時の異常終了の判定(S2c)に基づき、乾燥異常がない場合は、排出運転の開始(S3a)により、循環機構Jおよび排風ファンを作動(S3b)する。
【0019】
排出運転では、排出開始からの経過時間あるいは穀物の張込量検出センサ2sによる張込量検出等により、穀物量が所定値(穀物乾燥通路13を満たすレベル)未満となったかを判定し(S3c)、それ以降の排出終了までは、排風ファン6を停止(S3d~S3f)する排出制御を行う。
【0020】
また、乾燥運転の異常による手動停止後の排出運転においては、排出開始から排風ファン6を駆動させずに終了し(S11a,S11b~S11d)、排出自動停止あるいは、他の運転起動によって排風ファン6停止を解除する。
【0021】
上記排出制御により、図2の乾燥部の通風流線の平面図に示すように、穀物乾燥通路13の乾燥網の穀物充填不足の場合に、ゴミ・塵埃が排風ファン6側(T)に吸引され易いため、それ以降の排出は、排風ファン6を駆動しないことが効果的で、排出終了時に乾燥機内のゴミ溜りを軽減することができる。
【0022】
(排風ファン停止の解除)
手動による乾燥運転停止後の排出運転は、排風ファン6の停止を継続し、排出自動停止あるいは他の運転起動によって排風ファン6の停止を解除する。
このようにして排出終了制御を満足し、制限解除することにより、排出終了時の乾燥機内のゴミ溜りを軽減することができる。
【0023】
(繰出量調節)
排出運転中のロータリバルブ14(周期、駆動時間)の排出量低減操作を可能とする手段(例えば、後掲の図7に示すように、排出中に再度排出スイッチ52dを押す、または排出中に減スイッチ53aを押す)を設け、その操作により、所望の繰出し量まで段階的に減ずるように構成する。排出量を減ずるとは、ロータリバルブ14の回転速度を遅くするか又は周期を長くするかである。すなわち、ロータリバルブ14の排出量を減じてから排出スイッチ52dと停止スイッチ52eを交互に操作することで、特に端量の穀物を比較的小さな袋に収容するときに少量ずつ排出が可能となることにより、袋取りの対応が可能となり、オペレータの利便性を高めることができる。なお、電源を切りにしたり、通風スイッチ52bや乾燥スイッチ52cを操作すると、前述の減スイッチ53aで減じた排出量を初期の排出量に戻す構成とすることで、次回の乾燥運転時における循環不良を防止することができる。
【0024】
(リモコン装置)
リモコン装置の指示(例えば、排出開始、排出停止、排出量減)によって乾燥機コントローラを制御する連携機能を設け、排出運転時には、排出中のロータリバルブ14の駆動(周期、駆動時間)をリモコンで排出量低減可能とし、このリモコン操作により、乾燥機コントローラが所望の繰出し量まで段階的に減ずるように構成することにより、排出量調節を行えることで、袋取りの対応が可能となり、オペレータの作業が楽になり、使い勝手の向上が可能となる。
【0025】
(乾燥異常昇温後の排出対応制御)
乾燥運転中の排風の異常昇温によって乾燥が正常終了しないまま排出運転に移行する場合は、排風ファン6を停止することによって火災等につながるリスクを回避することができる。
【0026】
(排風異常昇温後の再乾燥対応制御)
乾燥運転中の排風の異常昇温の後の乾燥再開時は、異常報知しつつ、送風停止下で循環を行い、熱風温度および排風温度が所定降温(例えば、40℃)に下がった時点で、異常報知を解除し、ファン駆動後、燃焼系を駆動する乾燥制御を行うことにより、異常停止後の再乾燥の安全性の向上を図ることができる。
【0027】
(高燃焼からのパージ停止の緊急停止対応制御1)
高燃焼時からのパージ停止を途中で緊急停止させた場合は、その直後の試運転(乾燥機の各種モータ、燃焼系の動作確認およびバーナの燃焼調整)あるいは乾燥再開を規制し、警告報知する制御を設けることにより、燃焼バーナ5や、燃焼バーナ5の燃焼により穀物乾燥機内にあって遠赤外線を放射する遠赤外線放射体(図示せず)の十分な冷却を図ることができる。
【0028】
(高燃焼からのパージ停止の緊急停止対応制御2)
高燃焼時からのパージ停止を途中で緊急停止させた場合の直後の試運転あるいは乾燥は、高燃焼を少なくとも所定時間(例えば、15分)規制して低燃焼とすることにより、遠赤外線放射体(図示せず)や燃焼バーナ5の十分な冷却を図ることができる。
【0029】
(風圧センサ不安定対応制御)
風圧センサ6Sのオンオフ頻発による風圧センサの不安定状態は、送風量低下によるものであることから、センサの検出感度を鈍くすることで誤検出を防止して検出精度を向上でき、オペレータの不信感を軽減することができる。
【0030】
また、送風量低下のまま燃焼量が多い場合は、乾燥機内部の温度を規制することで、火災等につながるリスクを低下することができる。
【0031】
(低速循環時の張込初期制御)
張込時にロータリバルブ14の駆動(周期、駆動時間)を通常の循環(通風・乾燥)よりも少ない循環量(例えば、通常循環量の半分)で駆動する場合は、張込開始時からロータリバルブ14上部に一定量が貯留されるまでの時間について、ロータリバルブ14を停止するとともに、通風規制する制御を設けることにより、穀物損傷・品質劣化を低減しつつ、穀物ムレ防止および水分ムラ解消が可能となる。
【0032】
(低速循環時の張込満量近傍制御)
張込時にロータリバルブ14の駆動(周期、駆動時間)を通常の循環(通風・乾燥)よりも少ない循環量(例えば、通常循環量の半分)で駆動する場合は、張込量検出センサ2sあるいは張込み開始からの時間積算による満量センサのオン近傍を判断し、ロータリバルブ14の駆動を停止する制御を設けることにより、穀物損傷・品質劣化を低減しつつ、穀物ムレ防止および水分ムラ解消が可能となる。
【0033】
(低速張込時の循環調節制御)
張込時にロータリバルブ14の駆動(周期、駆動時間)を通常の循環(通風・乾燥)よりも少ない循環量(例えば、通常循環量の半分)で駆動制御することにより、穀物損傷・品質劣化を低減しつつ、穀物ムレ防止および水分ムラ解消が可能となる。
【0034】
(乾燥初期の高燃焼抑制処理1)
乾燥開始時に熱風温度が高い(例えば、40℃以上)場合、あるいは、熱風温度が外気温度+30℃以上である場合に、乾燥初期の20分間を高燃焼抑制(低燃焼の連続)の制御を設ける。
【0035】
(乾燥初期の高燃焼抑制処理2)
また、乾燥開始時に熱風温度が高い(例えば、40℃以上)場合、あるいは、熱風温度が外気温度+30℃以上である場合に、乾燥初期の20分間を高燃焼抑制(低燃焼の連続)し、乾燥開始所定時間(10分)経過後から段階的(燃焼オンタイム5秒)に基本燃焼量に戻していく制御を設ける。
【0036】
(水分むら解消制御)
水分斑層の乾燥は、ロータリバルブ14の駆動の変更調節なしに、排風を戻すヒートリサイクル(登録商標)の駆動調節を少し強め(例えば、5%程度閉側)にする。
上記制御により、図3の張込層別水分分布例の正面図に示すように、水分斑検出時の穀物層のナンバリング(LV)化により、水分むらのある穀物が穀物乾燥通路13の乾燥網にある時にゆっくり循環させることで、その穀物層を平均水分値に近づけることができる。
【0037】
その一方で、乾燥速度が速くなると、水分勾配がつき、水分ばらつきの抑制不足が懸念されるため、上記ヒートリサイクル(登録商標)効果に基づく乾燥により、水分停止まで混ぜ合わせながら乾燥させることで、排風を熱風室11に戻して再利用するヒートリサイクル(登録商標)のみより、乾燥時間を短くし、水分むら、水分ばらつきの解消を向上させることができる。
【0038】
(低水分穀物の乾燥制御)
水分検出装置の測定データ等によって乾燥制御する乾燥機において、初期の水分測定値と設定水分値との差が所定値以下(例えば、3~4%)の場合(追い乾燥あるいは晩熟穀物乾燥)は、乾燥設定速度が「ふつう」より上の場合は、「ふつう」に自動設定する。あるいは、設定温度α(例えば、2~3℃)下げる。また、水分補正を+αとし、長めに、ゆっくり乾燥させることで、未乾燥防止を行う。
【0039】
乾燥させる水分値が低い程、乾燥温度が高いと停止した穀物水分のばらつきは少なくならず、水分停止精度が悪いといわれる場合があるので、本案により、乾燥初期の水分値と設定水分値との差により、検出速度・水分値を補正し、適正な乾燥制御を行うことで、停止水分精度を向上させるとともに、再乾燥を防止し、乾燥機性能・作業効率を向上することができる。
【0040】
(乾燥機)
以下において、乾燥機の構成について説明を補足する。
穀物乾燥機1は、図4にその内部構成の正面図を示すように、上から貯留部2、乾燥部3、集穀部4の順に多層構成し、不図示の昇穀機7を正面外周部に備えて穀粒張込、通風、乾燥、排出の運転を可能に構成する。
【0041】
(循環系)
詳細には、乾燥部3は、その内部構成の斜視図を図5に示すように、貯留部2から連通する穀粒循環通路Rをなす流下通路中に、熱交換部である穀物乾燥通路13、13とロータリバルブ14とを備えるとともに、穀物乾燥通路13、13を挟んで熱風室11と排風室12とを備え、導入外気を燃焼バーナ5で過熱して熱風室11に供給される熱風を排風ファン6が排風室12から吸引排出し、穀物乾燥通路13の充填穀粒中を横断流通する熱風により穀粒を乾燥する。
【0042】
また、循環機構Jを図6に示すように、集穀部4に受けた穀粒は、下部螺旋15から昇穀機7、上部螺旋8を経て貯留部2に張込まれ、この穀粒は、乾燥部3の穀粒流下通路Rに設けるロータリバルブ14により繰出量を調節可能に構成する。
【0043】
排風ファン6の排風排出側には排風の一部を戻し弁6Rによって再度穀物乾燥に利用するヒートリサイクル(登録商標)構成を備え、穀粒から一旦除去した水分を戻すことにより、燃料効率を高くすることができる。
【0044】
(操作部)
操作盤16は、その見取図を図7に示すように、ヒートリサイクル(登録商標)を含む乾燥機の運転状況等を示す作動表示パネル51、各種運転操作スイッチと操作状態を示す操作パネル52、乾燥設定の操作と設定表示のパネル53等からなり、さらに、リモコンにより遠隔操作可能に構成する。運転スイッチとして、張込運転を行う張込スイッチ52a、穀物を循環させながら排風ファン6を駆動する通風スイッチ52b、乾燥運転を行う乾燥運転スイッチ52c、排出運転を行う排出スイッチ52d、停止スイッチ52e、各種数値の増減をする増スイッチ53b及び減スイッチ53aを設ける。
【0045】
(制御システム入出力構成)
図8は、本発明の実施形態にかかる穀物乾燥機1の制御システム入出力構成図である。
制御部Cは機体正面の制御ボックスに内蔵され、穀物乾燥機1の各種のセンサと操作スイッチの信号を入力し、例えば、昇穀機7に設けた水分計10は、水分値の検出とともに、循環穀物の有無検出を行い、これらの入力信号に応じて穀物循環系および乾燥通風系を制御し、張込、通風、乾燥、排出の各運転スイッチに応じて運転制御可能に構成する。
【符号の説明】
【0046】
1 穀物乾燥機
2s 張込量検出手段
6 排風ファン
11 熱風室
12 排風室
13 穀物乾燥通路(熱交換部)
14 循環調節機構(ロータリバルブ)
53a 調節スイッチ(減スイッチ)
53b 調節スイッチ(増スイッチ)
J 循環機構
R 穀物循環通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8