(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、オンライン接客システム、オンライン接客方法、シナリオ生成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220413BHJP
【FI】
G06Q10/00
(21)【出願番号】P 2021046254
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2022-01-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516055402
【氏名又は名称】ナーブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142734
【氏名又は名称】安 裕 希
(72)【発明者】
【氏名】多田 英起
【審査官】石川 正二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/075290(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、を備えるオンライン接客システムにおいて、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置であって、
前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータと、
前記接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータと、
前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させる際に用いられる接客シナリオであって、前記接客コンテンツと前記参照コンテンツとの同期が設定されていると共に、前記顧客端末が検知し得る少なくとも1つのイベントが設定されている接客シナリオと、
前記少なくとも1つのイベントと関連付けられ、前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータと、
を記憶する記憶部と、
前記顧客端末が接続を要求してきた場合に、前記接客シナリオを前記記憶部から読み出し、該接客シナリオに沿って前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させると共に、該接客コンテンツと同期設定された参照コンテンツを前記顧客端末に表示させる再生制御部と、
前記接客コンテンツの再生中に前記顧客端末においてイベントが検知された場合に、当該検知されたイベントと関連付けられた応答コンテンツを前記顧客端末において再生させる応答制御部と、
を備え
、
前記少なくとも1つのイベントは、前記顧客端末に表示されている参照コンテンツ若しくは該参照コンテンツに重畳表示されたタグに対するポインティング操作、又は、該参照コンテンツがパノラマ画像により構成される場合に該パノラマ画像内の特定の範囲が所定時間以上固定して表示されることを含み、
前記応答制御部は、前記顧客端末において前記イベントが検知された場合に、前記顧客端末において再生中の前記接客コンテンツを一時停止させると共に、前記応答コンテンツを再生させ、該応答コンテンツの再生が終了した際に、前記接客コンテンツを一時停止させた箇所から再生させる、情報処理装置。
【請求項2】
前記再生制御部は、前記顧客端末において前記接客コンテンツの再生を開始させる際に、該接客コンテンツの終了予定時刻を前記事業者端末に表示させる、請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、を備えるオンライン接客システムにおいて、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置であって、
接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータを記憶する記憶部と、
前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、接客において参照された参照コンテンツと前記接客コンテンツとの同期を設定することにより、前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させる際に用いられる接客シナリオを生成するシナリオ生成部と、
を備え、
前記シナリオ生成部は、前記顧客端末が所定のイベントを検知した場合に、該イベントに応じてなされる前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、前記顧客端末において前記接客コンテンツが再生されている間に前記イベントが検知された場合に前記応答コンテンツが再生可能となるように、前記イベントを前記応答コンテンツと関連付け
、
前記所定のイベントは、前記顧客端末に表示されている画像若しくは該画像に重畳表示されたタグに対するポインティング操作、又は、該画像がパノラマ画像により構成される場合に該パノラマ画像内の特定の範囲が所定時間以上固定して表示されることを含む、情報処理装置。
【請求項4】
前記事業者端末において前記参照コンテンツの表示範囲を変更する操作が検知された場合に、前記シナリオ生成部は、前記変更する操作に関する操作情報を前記接客コンテンツのデータに関連付けて記憶し、前記接客コンテンツの再生中に前記操作情報が関連付けられたタイミングにおいて前記参照コンテンツの表示範囲を変更させる、請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
通信ネットワークを介して前記情報処理装置と接続された前記事業者端末と、
通信ネットワークを介して前記情報処理装置と接続された前記顧客端末と、
を備えるオンライン接客システム。
【請求項6】
事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置と、を備えるオンライン接客システムにおいて実行されるオンライン接客方法であって、
前記情報処理装置は、
前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータと、
前記接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータと、
前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させる際に用いられる接客シナリオであって、前記接客コンテンツと前記参照コンテンツとの同期が設定されていると共に、前記顧客端末が検知し得る少なくとも1つのイベントが設定されている接客シナリオと、
前記少なくとも1つのイベントと関連付けられ、前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータと、
を記憶し、
前記顧客端末が接続を要求してきた場合に、前記接客シナリオを前記記憶部から読み出し、該接客シナリオに沿って前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させると共に、該接客コンテンツと同期設定された参照コンテンツを前記顧客端末に表示させるステップと、
前記接客コンテンツの再生中に前記顧客端末においてイベントが検知された場合に、当該検知されたイベントと関連付けられた応答コンテンツを前記顧客端末において再生させるステップと、
を含
み、
前記少なくとも1つのイベントは、前記顧客端末に表示されている参照コンテンツ若しくは該参照コンテンツに重畳表示されたタグに対するポインティング操作、又は、該参照コンテンツがパノラマ画像により構成される場合に該パノラマ画像内の特定の範囲が所定時間以上固定して表示されることを含み、
前記再生させるステップは、前記顧客端末において前記イベントが検知された場合に、前記顧客端末において再生中の前記接客コンテンツを一時停止させると共に、前記応答コンテンツを再生させ、該応答コンテンツの再生が終了した際に、前記接客コンテンツを一時停止させた箇所から再生させる、オンライン接客方法。
【請求項7】
事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置と、を備えるオンライン接客システムにおいて使用される接客シナリオを生成するシナリオ生成方法であって、
前記情報処理装置は、接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータを記憶する記憶部を備え、
前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、接客において参照された参照コンテンツと前記接客コンテンツとの同期を設定するステップと、
前記顧客端末が所定のイベントを検知した場合に、該イベントに応じてなされる前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、前記顧客端末において前記接客コンテンツが再生されている間に前記イベントが検知された場合に前記応答コンテンツが再生可能となるように、前記イベントを前記応答コンテンツと関連付けるステップと、
を含
み、
前記所定のイベントは、前記顧客端末に表示されている画像若しくは該画像に重畳表示されたタグに対するポインティング操作、又は、該画像がパノラマ画像により構成される場合に該パノラマ画像内の特定の範囲が所定時間以上固定して表示されることを含む、シナリオ生成方法。
【請求項8】
事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置と、を備えるオンライン接客システムにおいて、前記情報処理装置に実行させるプログラムであって、
前記情報処理装置は、
前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータと、
前記接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータと、
前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させる際に用いられる接客シナリオであって、前記接客コンテンツと前記参照コンテンツとの同期が設定されていると共に、前記顧客端末が検知し得る少なくとも1つのイベントが設定されている接客シナリオと、
前記少なくとも1つのイベントと関連付けられ、前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータと、
を記憶し、
前記顧客端末が接続を要求してきた場合に、前記接客シナリオを前記記憶部から読み出し、該接客シナリオに沿って前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させると共に、該接客コンテンツと同期設定された参照コンテンツを前記顧客端末に表示させるステップと、
前記接客コンテンツの再生中に前記顧客端末においてイベントが検知された場合に、当該検知されたイベントと関連付けられた応答コンテンツを前記顧客端末において再生させるステップと、
を実行させ
、
前記少なくとも1つのイベントは、前記顧客端末に表示されている参照コンテンツ若しくは該参照コンテンツに重畳表示されたタグに対するポインティング操作、又は、該参照コンテンツがパノラマ画像により構成される場合に該パノラマ画像内の特定の範囲が所定時間以上固定して表示されることを含み、
前記再生させるステップは、前記顧客端末において前記イベントが検知された場合に、前記顧客端末において再生中の前記接客コンテンツを一時停止させると共に、前記応答コンテンツを再生させ、該応答コンテンツの再生が終了した際に、前記接客コンテンツを一時停止させた箇所から再生させる、プログラム。
【請求項9】
事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置と、を備えるオンライン接客システムにおいて使用される接客シナリオを生成するためのプログラムであって、
前記情報処理装置は、接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータを記憶する記憶部を備え、
前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、接客において参照された参照コンテンツと前記接客コンテンツとの同期を設定するステップと、
前記顧客端末が所定のイベントを検知した場合に、該イベントに応じてなされる前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、前記顧客端末において前記接客コンテンツが再生されている間に前記イベントが検知された場合に前記応答コンテンツが再生可能となるように、前記イベントを前記応答コンテンツと関連付けるステップと、
を前記情報処理装置に実行させ
、
前記所定のイベントは、前記顧客端末に表示されている画像若しくは該画像に重畳表示されたタグに対するポインティング操作、又は、該画像がパノラマ画像により構成される場合に該パノラマ画像内の特定の範囲が所定時間以上固定して表示されることを含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを介して接客をするための情報処理装置、オンライン接客システム、オンライン接客方法、シナリオ生成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不動産物件の賃貸や売買、中古自動車の購入、旅行の申込みなど、様々な取引をするための情報提供が、通信ネットワークを介して行われている。詳細には、事業者のウェブサイトへの情報掲載のほか、WEB会議システムを利用した営業スタッフ(オペレータ)による商品説明や問い合わせへの対応、映像及び音声の視聴による擬似体験などが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、顧客からの問い合わせに対するオペレーターの対応を支援する顧客対応支援方法が開示されている。特許文献1においては、想定された問い合わせ情報に応じた定型の返答情報を記憶しておき、顧客からの問い合わせを受信する際に、受信する問い合わせ情報を分類し、分類された問い合わせ情報が前記想定された問い合わせ情報に該当する場合は、前記問い合わせ情報に対応する前記定型の返答情報を送信して対応し、分類された問い合わせ情報への対応にオペレーターが必要とされた場合には、オペレーター側端末に顧客からの問い合わせ情報を送信し、顧客からの問い合わせ情報を受信した前記オペレーター側端末にて作成された返答情報を前記顧客に返信して対応する。
【0004】
また、特許文献2には、依頼者からの電話による依頼に応対するコールセンタの支援を行うためのコールセンタ支援システムが開示されている。特許文献2においては、音声または映像からなる複数のコンテンツに関する情報を予めコンテンツ情報記憶手段に記憶させておき、前記依頼者から電話が掛かって来たときに当該依頼者の前記依頼に直ちに応対することができるオペレータがいない場合に、当該依頼者が利用することを所望する前記コンテンツの指定を受信し、オペレータが前記依頼者の前記依頼に直ちに応対することができるようになるまでの間、当該依頼者の前記指定に係る前記コンテンツを当該依頼者の端末装置に配信するための処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-197260号公報
【文献】特開2006-86902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
顧客が事業者の営業スタッフ(オペレータ)に問い合わせた際に、オペレータが不在であったり、他の顧客への接客中であったりすると、事業者は当該顧客への接客機会、引いては取引機会を損失してしまう。他方、オペレータを常駐させておくこととすると、事業者の負担も大きい。そのため、顧客から問い合わせがあった際にいつでも応対できるように、自動接客のシステムが望まれる。
【0007】
しかしながら、顧客から問い合わせがあった場合に、例えば特許文献2のように、ユーザ所望のコンテンツ(例えば、商品の操作方法または取扱い方法を説明する映像または音声のコンテンツなど。引用文献2の段落0017参照)を配信するとした場合、そのようなコンテンツにおいては、事業者側から顧客への一方的な説明になってしまう。そのため、顧客は、説明の途中で生じた疑問を解消することができず、不満が残ってしまうおそれがある。また、一方的な説明のみでは、顧客が重要な情報を素通りしてしまうおそれも考えられる。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、顧客の反応に応じた接客を自動で行うことができる情報処理装置、オンライン接客システム、オンライン接客方法、シナリオ生成方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様である情報処理装置は、事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、を備えるオンライン接客システムにおいて、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置であって、前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータと、前記接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータと、前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させる際に用いられる接客シナリオ であって、前記接客コンテンツと前記参照コンテンツとの同期が設定されていると共に、前記顧客端末が検知し得る少なくとも1つのイベントが設定されている接客シナリオと、前記少なくとも1つのイベントと関連付けられ、前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータと、を記憶する記憶部と、前記顧客端末が接続を要求してきた場合に、前記接客シナリオを前記記憶部から読み出し、該接客シナリオに沿って前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させると共に、該接客コンテンツと同期設定された参照コンテンツを前記顧客端末に表示させる再生制御部と、前記接客コンテンツの再生中に前記顧客端末においてイベントが検知された場合に、当該検知されたイベントと関連付けられた応答コンテンツを前記顧客端末において再生させる応答制御部と、を備えるものである。
【0010】
上記情報処理装置において、前記少なくとも1つのイベントは、前記顧客端末に表示されている参照コンテンツ又は該参照コンテンツに重畳表示されたタグに対するポインティング操作を含んでも良い。
【0011】
上記情報処理装置において、前記応答制御部は、前記顧客端末において前記イベントが検知された場合に、前記顧客端末において再生中の前記接客コンテンツを一時停止させると共に、前記応答コンテンツを再生させ、該応答コンテンツの再生が終了した際に、前記接客コンテンツを一時停止させた箇所から再生させても良い。
【0012】
上記情報処理装置において、前記再生制御部は、前記顧客端末において前記接客コンテンツの再生を開始させる際に、該接客コンテンツの終了予定時刻を前記事業者端末に表示させても良い。
【0013】
本発明の別の態様である情報処理装置は、事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、を備えるオンライン接客システムにおいて、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置であって、接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータを記憶する記憶部と、前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、接客において参照された参照コンテンツと前記接客コンテンツとの同期を設定することにより、前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させる際に用いられる接客シナリオ を生成するシナリオ生成部と、を備え、前記シナリオ生成部は、前記顧客端末が所定のイベントを検知した場合に、該イベントに応じてなされる前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、前記顧客端末において前記接客コンテンツが再生されている間に前記イベントが検知された場合に前記応答コンテンツが再生可能となるように、前記イベントを前記応答コンテンツと関連付けるものである。
【0014】
上記情報処理装置は、前記事業者端末において前記参照コンテンツの表示範囲を変更する操作が検知された場合に、前記シナリオ生成部は、前記変更する操作に関する操作情報を前記接客コンテンツのデータに関連付けて記憶し、前記接客コンテンツの再生中に前記操作情報が関連付けられたタイミングにおいて前記参照コンテンツの表示範囲を変更させるようにしても良い。
【0015】
本発明の別の態様であるオンライン接客システムは、上記情報処理装置と、通信ネットワークを介して前記情報処理装置と接続された前記事業者端末と、通信ネットワークを介して前記情報処理装置と接続された前記顧客端末と、を備えるものである。
【0016】
本発明の別の態様であるオンライン接客方法は、事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置と、を備えるオンライン接客システムにおいて実行されるオンライン接客方法であって、前記情報処理装置は、前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータと、前記接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータと、前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させる際に用いられる接客シナリオ であって、前記接客コンテンツと前記参照コンテンツとの同期が設定されていると共に、前記顧客端末が検知し得る少なくとも1つのイベントが設定されている接客シナリオと、前記少なくとも1つのイベントと関連付けられ、前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータと、を記憶し、前記顧客端末が接続を要求してきた場合に、前記接客シナリオを前記記憶部から読み出し、該接客シナリオに沿って前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させると共に、該接客コンテンツと同期設定された参照コンテンツを前記顧客端末に表示させるステップと、前記接客コンテンツの再生中に前記顧客端末においてイベントが検知された場合に、当該検知されたイベントと関連付けられた応答コンテンツを前記顧客端末において再生させるステップと、を含むものである。
【0017】
本発明の別の態様であるシナリオ生成方法は、事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置と、を備えるオンライン接客システムにおいて使用される接客シナリオを生成するシナリオ生成方法であって、前記情報処理装置は、接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータを記憶する記憶部を備え、前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、接客において参照された参照コンテンツと前記接客コンテンツとの同期を設定するステップと、前記顧客端末が所定のイベントを検知した場合に、該イベントに応じてなされる前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、前記顧客端末において前記接客コンテンツが再生されている間に前記イベントが検知された場合に前記応答コンテンツが再生可能となるように、前記イベントを前記応答コンテンツと関連付けるステップと、を含むものである。
【0018】
本発明の別の態様であるプログラムは、事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置と、を備えるオンライン接客システムにおいて、前記情報処理装置に実行させるプログラムであって、前記情報処理装置は、前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータと、前記接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータと、前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させる際に用いられる接客シナリオ であって、前記接客コンテンツと前記参照コンテンツとの同期が設定されていると共に、前記顧客端末が検知し得る少なくとも1つのイベントが設定されている接客シナリオと、前記少なくとも1つのイベントと関連付けられ、前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータと、を記憶し、前記顧客端末が接続を要求してきた場合に、前記接客シナリオを前記記憶部から読み出し、該接客シナリオに沿って前記接客コンテンツを前記顧客端末において再生させると共に、該接客コンテンツと同期設定された参照コンテンツを前記顧客端末に表示させるステップと、前記接客コンテンツの再生中に前記顧客端末においてイベントが検知された場合に、当該検知されたイベントと関連付けられた応答コンテンツを前記顧客端末において再生させるステップと、を実行させるものである。
【0019】
本発明の別の態様であるプログラムは、事業者のスタッフが使用する事業者端末と、顧客が使用する顧客端末と、前記事業者端末及び前記顧客端末と通信ネットワークを介して接続される情報処理装置と、を備えるオンライン接客システムにおいて使用される接客シナリオを生成するためのプログラムであって、前記情報処理装置は、接客において参照される動画又は静止画を含む参照コンテンツのデータを記憶する記憶部を備え、前記スタッフが前記顧客に接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、接客において参照された参照コンテンツと前記接客コンテンツとの同期を設定するステップと、前記顧客端末が所定のイベントを検知した場合に、該イベントに応じてなされる前記顧客に対する前記スタッフの応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータを前記記憶部に記憶させ、前記顧客端末において前記接客コンテンツが再生されている間に前記イベントが検知された場合に前記応答コンテンツが再生可能となるように、前記イベントを前記応答コンテンツと関連付けるステップと、を前記情報処理装置に実行させるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、顧客端末からの接続要求に応じてシナリオを読み出し、該シナリオに沿って接客コンテンツを顧客端末において再生させると共に参照コンテンツを表示させ、接客コンテンツの再生中に顧客端末においてイベントが検知された場合に、当該検知されたイベントと関連付けられた応答コンテンツを再生させるので、顧客の反応に応じた接客を自動で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係るオンライン接客システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す事業者端末の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】事業者端末に表示される接客画面を例示する模式図である。
【
図4】顧客端末に表示される接客画面を例示する模式図である。
【
図5】
図1に示すサーバの概略構成を示すブロック図である。
【
図6】物件のパノラマ画像を例示する模式図である。
【
図7】物件のパノラマ画像を例示する模式図である。
【
図8】接客シナリオの概念を説明するための模式図である。
【
図9】
図5に示す接客情報データベースに格納される情報を説明するための模式図である。
【
図10】接客シナリオの生成処理を示すシーケンス図である。
【
図11】接客シナリオの生成処理を示すシーケンス図である。
【
図12】接客シナリオの生成処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る情報処理装置、オンライン接客システム、オンライン接客方法、シナリオ生成方法、及びプログラムについて、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0023】
以下においては、本実施形態に係るオンライン接客システムを、不動産賃貸の仲介業に適用する場合を例として説明するが、本実施形態を適用可能な業種はこれに限定されない。例えば、物品の販売業、中古車販売業、旅行代理業、結婚式場の紹介サービス業、保険契約の媒介業など様々な業種に対して、本実施形態に係るオンライン接客システムを適用することができる。
【0024】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るオンライン接客システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、オンライン接客システム1は、商品やサービスを提供する事業者が、顧客に対してオンラインで接客をするためのシステムであり、サーバ10と、事業者が使用する事業者端末20と、顧客が使用する顧客端末30とを備える。
【0025】
オンライン接客システム1は、通信ネットワークNを介してサーバ10と接続された端末同士の間で映像及び音声による通信をさせる場である接客ルームを開設し、この接客ルームに事業者端末20及び顧客端末30を接続することにより、スタッフと顧客との間での双方向のコミュニケーションを可能とするシステムである。また、オンライン接客システム1は、接客ルームに顧客端末30を接続し、予め記録されたスタッフの映像及び音声により自動接客を行う機能も有している。
【0026】
ここで、
図1においては、サーバ10を1つのみ図示しているが、後述するサーバ10の各機能を、通信ネットワークNに接続された複数のハードウェアによって実行することとしても良い。また、
図1においては、事業者端末20及び顧客端末30を1つずつ示しているが、事業者端末20及び顧客端末30は複数ずつ設けられていても良い。
【0027】
サーバ10、事業者端末20、及び顧客端末30は、通信ネットワークNを介して接続されている。通信ネットワークNは、例えば、インターネット回線、電話回線、LAN、専用線、移動体通信網、WiFi(Wireless Fidelity)、ブルートゥース(登録商標)等の通信回線、又はこれらの組み合わせによって構成され、有線、無線、又はこれらの組み合わせのいずれであっても良い。
【0028】
事業者端末20は、通信機能、撮影機能、及び音声の入出力機能を備える端末装置であり、例えば、汎用のデスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータや、タブレット端末等を用いて構成することができる。なお、撮影機能及び音声の入出力機能については、端末装置に内蔵されているものであっても良いし、外部機器を外付けすることにより実現されるものであっても良い。
【0029】
図2は、事業者端末20の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、事業者端末20は、通信部21と、操作入力部22と、表示部23と、撮像部24と、音声出入力部25と、記憶部27と、プロセッサ28とを備える。また、事業者端末20は、センサ部26をさらに備えても良い。
【0030】
通信部21は、当該事業者端末20を通信インターネットNに接続し、通信ネットワークNに接続された他の機器との間で通信を行う通信インタフェースである。通信部21は、例えばソフトモデム、ケーブルモデム、無線モデム、ADSLモデム等を用いて構成される。
【0031】
操作入力部22は、例えば、マウスやスタイラスペン等のポインティングデバイス、表示部23上に設けられたタッチパネル、操作ボタン、キーボードといった入力デバイスであり、外部からなされる操作を受け付け、操作に応じた信号をプロセッサ28に入力する。
【0032】
表示部23は、例えば液晶又は有機EL(エレクトロルミネッセンス)によって形成された表示パネル及び駆動部を含むディスプレイである。
【0033】
撮像部24は、例えばコンピュータに外付けされたウェブカメラ又はコンピュータに内蔵されたカメラであり、事業者端末20を操作するスタッフを動画撮影し、映像データを生成する。
【0034】
音声出入力部25は、例えば一般的なマイクロフォン及びサウンドプレイヤである。
センサ部26は、ジャイロセンサ及び加速度センサ等の各種センサを含み、事業者端末20の向きや傾きの変化を表す検出信号を出力する。
【0035】
記憶部27は、例えばROMやRAMといった半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な記憶媒体を用いて構成される。記憶部27は、オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、各種機能を実行するアプリケーションプログラム、及び、これらのプログラムの実行中に使用される各種パラメータ等を記憶する。詳細には、記憶部27は、事業者端末20をサーバ10に接続することにより、顧客端末30との間で通信状態を確立し、事業者のスタッフにオンラインによる接客をさせるための各種処理をプロセッサ28に実行させるプログラムを記憶する。
【0036】
プロセッサ28は、例えばCPUを用いて構成され、記憶部27に記憶された各種プログラムを読み込むことにより、事業者端末20の各部を統括的に制御すると共に、スタッフに事業者端末20を用いてオンライン接客をさせるための各種処理を実行する。プロセッサ28が記憶部27に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能部には、通信管理部281と、表示制御部282と、演算部283とが含まれる。
【0037】
通信管理部281は、通信部21におけるデータ送受信の動作を管理する。例えば、通信管理部281は、表示部23に表示させる動画又は静止画のデータをサーバ10から受信し、或いは、撮像部24により撮影された映像のデータをサーバ10に送信するといった管理を行う。また、通信管理部281は、接客ルームに接続された顧客端末30との間での映像データ及び音声データの送受信の開始及び終了を管理する。
【0038】
表示制御部282は、表示部23における画像や各種情報の表示を制御する。例えば、表示制御部282は、サーバ10から受信したデータに基づいて所定の画面を表示部23に表示させる。また、表示制御部282は、サーバ10から受信したデータに基づいてパノラマ画像やVR画像を表示部23に表示させ、操作入力部22から入力された操作やセンサ部26によって検出された操作に応じて、これらの画像の表示範囲を変化させるといった制御を行う。
【0039】
演算部283は、画像処理や音声データの処理、その他の演算処理を実行する。また、演算部283は、センサ部26から出力された検出信号に基づいて、事業者端末20の向きや移動方向等を検知しても良い。
【0040】
顧客端末30は、通信機能、撮影機能、及び音声の入出力機能を備える端末装置であり、例えば、汎用のデスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等を用いて構成することができる。なお、撮影機能及び音声の入出力機能については、端末装置に内蔵されているものであっても良いし、外部機器を外付けすることにより実現されるものであっても良い。顧客端末30のハードウェアの構成は、基本的に、事業者端末20の構成と同様である。
【0041】
図3は、事業者端末20に表示される接客画面を例示する模式図である。
図4は、顧客端末30に表示される接客画面を例示する模式図である。このような接客画面は、後述するサーバ10から送信されるデータに基づき、WEBブラウザを利用して表示することができる。
【0042】
図3に示すように、事業者端末20に表示される接客画面M10には、接客相手である顧客の映像が表示される顧客表示欄M11と、スタッフ自身の映像が表示されるスタッフ表示欄M12と、接客中に参照される参照コンテンツが表示される参照コンテンツ表示欄M13とが設けられている。例えば不動産賃貸の仲介業の場合、参照コンテンツ表示欄M13に物件のパノラマ画像を表示しても良い。この他、物件に関する詳細情報、物件の間取り図、サムネイル画像等を接客画面M10に表示しても良い。
【0043】
図4に示すように、顧客端末30に表示される接客画面M20には、スタッフの映像が表示されるスタッフ表示欄M21と、顧客自身の映像が表示される顧客表示欄M22と、参照コンテンツが表示される参照コンテンツ表示欄M23とが設けられている。また、接客画面M20に、参照コンテンツを拡大表示するための拡大ボタンM24や、顧客側から接客を終了するための終了ボタンM25を設けても良い。
【0044】
図5は、サーバ10の概略構成を示すブロック図である。サーバ10は、例えば、演算処理能力の高いホストコンピュータによって構成され、
図5に示すように、通信部11と、記憶部12と、プロセッサ13とを有する。
【0045】
通信部11は、サーバ10を通信ネットワークNに接続し、通信ネットワークNに接続された他の機器との間で通信を行う通信インタフェースである。通信部11は、例えばソフトモデム、ケーブルモデム、無線モデム、ADSLモデム等を用いて構成される。
【0046】
記憶部12は、例えばROMやRAMといった半導体メモリやハードディスク等のコンピュータ読取可能な記憶媒体を用いて構成される。記憶部12は、オペレーティングシステムプログラム及びドライバプログラムに加えて、各種機能を実行するアプリケーションプログラムや、これらのプログラムの実行中に使用される各種パラメータ等を記憶する。詳細には、記憶部12は、各種プログラム及びパラメータを記憶するプログラム記憶部121と、ウェブデータ記憶部122と、ユーザ情報データベース(DB)123と、物件情報データベース(DB)124と、参照コンテンツ記憶部125と、接客情報データベース(DB)126と、接客コンテンツ記憶部127と、応答コンテンツ記憶部128とを含む。
【0047】
プログラム記憶部121は、事業者端末20と顧客端末30とを接続し、事業者のスタッフにオンラインによる接客をさせるための各種処理をプロセッサ13に実行させるプログラムを記憶する。
【0048】
ウェブデータ記憶部122は、当該事業者のウェブサイトを構成するための各種データを格納する。例えば、ウェブデータ記憶部122は、個々の商品等を紹介するサイトや、商品等を検索するサイトを構成するためのデータを格納する。また、ウェブデータ記憶部122は、オンライン接客が行われている間、事業者端末20及び顧客端末30に表示させる接客画面M10,M20を構成するデータを格納する。
【0049】
ユーザ情報データベース(DB)123、事業者のスタッフに関する情報、及び、顧客に関する情報を格納する。スタッフに関する情報は、例えば、スタッフの所属グループを識別するためのID、所属グループ名、グループに所属するスタッフのID、氏名、ログインアカウントといった情報を含む。顧客に関する情報は、例えば、顧客を識別するためのID、氏名、メールアドレス、オンライン接客のサービス利用履歴、担当スタッフ又は担当グループのID、オンライン接客用に発行されたURL等の情報を含む。
【0050】
物件情報データベース124は、物件に関する情報を格納するデータベースである。物件に関する情報は、物件を識別するためのID(物件ID)、物件の名称、物件の住所及びエリア、物件のカテゴリ(単身向け、ファミリー向け、法人向け等)、担当スタッフ又は担当グループのID、当該物件のウェブデータが記憶されている記憶領域のアドレス、オンライン接客において参照される参照コンテンツの識別情報(参照コンテンツID)といった情報を含む。
【0051】
参照コンテンツ記憶部125は、オンライン接客中に参照される参照コンテンツのデータを格納する。参照コンテンツとしては、物件の外観や内装等が写ったパノラマ画像やVR(Virtual Reality)画像等を用いることができる。参照コンテンツは、動画であっても良いし静止画であっても良い。参照コンテンツを構成する画像は、画像IDが付与され、物件ごとに付与される識別情報(参照コンテンツID)によって管理される。
【0052】
図6及び
図7は、物件のパノラマ画像を例示する模式図である。事業者端末20及び顧客端末30においては、画面(
図3の参照コンテンツ表示欄M13及び
図4の参照コンテンツ表示欄M23参照)に合わせて、パノラマ画像の一部が切り出されて表示される。
【0053】
パノラマ画像に対するユーザの視野(即ち、パノラマ画像における表示範囲)は、各端末装置に対する操作によって変更することができる。例えば、画面に表示されているパノラマ画像の所望の箇所に対するポインティング操作(クリック操作やタップ操作、又はドラッグ操作やスワイプ操作等)、或いは、パノラマ画像の重畳表示されたタグ等を選択するポインティング操作により、パノラマ画像に対する視野を変更することができる。或いは、端末装置がジャイロセンサや加速度センサを備えている場合には、端末装置を傾斜させたり移動させたりすることによっても、視野を変更することができる。
【0054】
具体例として、
図6に示すパノラマ画像M30には、タグM31~M35が重畳表示されている。これらのタグM31~M35のいずれかを選択する操作を行うことにより、選択されたタグの方向に視線を向けた視野となるように、パノラマ画像の表示範囲が変更される。また、パノラマ画像M30には、「戻る」タグM36が設けられており、このタグM36を選択する操作を行うことにより、パノラマ画像の表示範囲を直前のものに戻すことができる。
【0055】
また、
図7に示すパノラマ画像M40には、タグM41が重畳表示されている。このタグM41を選択する操作を行うことにより、タグM41の方向に近づいた視野となるように、パノラマ画像の表示範囲が変更される。
【0056】
接客情報データベース(DB)126は、オンラインによる自動接客を行う際に用いられる接客シナリオに関する情報を格納する。ここで、接客シナリオは、スタッフが顧客に接客する場面の構成や順序や分岐を定義したシナリオのことであり、スタッフの映像及び音声を含む接客コンテンツを顧客端末30において再生させる際に用いられる。接客コンテンツは、具体的には、
図4に例示する接客画面M20において自動接客中に再生されるスタッフの映像及び音声である。
【0057】
図8は、接客シナリオの概念を説明するための模式図である。
図8に示すように、接客シナリオにおいては、参照コンテンツであるパノラマ画像が接客コンテンツと同期設定されている。また、パノラマ画像に対する視野を変更するための操作情報も、接客コンテンツと同期設定されている。
【0058】
さらに、接客シナリオにおいては、顧客端末30が検知し得る少なくとも1つのイベントが設定されている。ここで、イベントとは、接客中に顧客端末30に対してなされる動作のことであり、例えば、接客画面M20に表示されたパノラマ画像に対するポインティング操作や、パノラマ画像に重畳されたタグに対するポインティング操作等が含まれる。
【0059】
各イベントは、接客コンテンツとは別に格納された応答コンテンツに関連付けられている。応答コンテンツは、イベントに応じてスタッフが顧客に応答するシーンを録画した映像及び音声を含むコンテンツである。なお、
図8においては、イベントがシーンごとに設定されているが、イベントは必ずしもシーンごとに設定する必要はない。例えば、複数のシーンにわたって共通のイベントが設定されていても良いし、あるシーンの特定のタイミングにのみイベントが設定されていても良い。
【0060】
図8に例示するように、接客シナリオに沿って接客コンテンツを再生している間、シーンが切り替えられるとパノラマ画像が変化すると共に、各シーンの所定のタイミングでパノラマ画像の視野が変化する。また、接客コンテンツの再生中にイベントが発生すると、当該イベントに応じた応答コンテンツが再生される。
【0061】
図9は、接客情報データベース126に格納される情報を説明するための模式図である。
図9に示すように、接客情報データベース126は、接客種類テーブルT1と、接客シナリオテーブルT2と、イベントテーブルT3と、応答パターンテーブルT4と、応答操作テーブルT5とを含む。
【0062】
接客種類テーブルT1は、接客の種類に関する情報を格納する。接客の種類には、賃貸物件を探している顧客向けの接客、売買案件を探している顧客向けの接客、リフォーム相談の顧客向けの接客、新規顧客向けの接客、リピーター向けの接客、契約の流れの説明等が含まれる。接客の種類に関する情報には、接客の種類と、営業担当スタッフの識別情報(スタッフID)と、自動接客の際に使用される接客シナリオの識別情報(接客シナリオID)とが含まれる。なお、同じ物件であっても接客の種類によって接客方法が異なってくるので、1つの物件に対して複数の接客シナリオが生成されることもある。また、担当スタッフは、スタッフごとに設定されていても良いし、複数のスタッフが所属するグループごとに設定されていても良い。
【0063】
接客シナリオテーブルT2は、接客シナリオに関する情報を格納する。接客シナリオに関する情報には、接客シナリオIDと、物件情報を特定するための物件IDと、接客コンテンツの識別情報(接客コンテンツID)と、接客シナリオに設定されているイベントの識別情報(イベントID)と、次に再生される接客シナリオの接客シナリオIDとが含まれる。次に再生される接客シナリオとしては、例えば、当該接客における物件と価格帯が近く、顧客が興味を持ちそうな物件の接客シナリオや、契約の流れの説明の接客シナリオ等が挙げられる。
【0064】
イベントテーブルT3は、接客シナリオにおいて設定されている各イベントに関する情報を格納する。イベントに関する情報には、イベントIDと、当該イベントが設定されているパノラマ画像(動画又は静止画)の画像IDと、イベントを発生させるパノラマ画像内の視野範囲、又は、イベントの内容と、イベントに関連付けられた応答パターンの識別情報(応答パターンID)とが含まれる。ここで、イベントを発生させるパノラマ画像内の視野範囲は、例えば、顧客がパノラマ画像内の特定の範囲を所定時間以上見続けると、担当スタッフによる説明動画が流れるといった自動接客を行う場合に設定される範囲である。一例として、パノラマ画像内の当該視野範囲が参照コンテンツ表示欄M23(
図4参照)に所定時間以上固定して表示されると、顧客が当該範囲を見続けたというイベントを発生させることができる。この他、イベントの内容としては、画面に設けられた任意のボタンを押下する操作(マウスによるクリック又はタップ操作)や、パノラマ画像に重畳されたタグを選択する操作(同上)等が挙げられる。なお、イベントが、画面に表示された所定のボタンを押下するといった内容である場合、画像IDの代わりに「null」が格納されても良い。また、当該イベントが設定されるパノラマ画像が動画である場合には、動画中の当該イベントが設定されているフレーム番号が格納されても良い。
【0065】
応答パターンテーブルT4は、イベントと関連付けられた応答パターンに関する情報を格納する。応答パターンに関する情報には、応答パターンIDと、当該応答パターンにおいて再生される映像及び音声を含む応答コンテンツの識別情報(動画ID)と、を含む。また、応答パターンに関する情報は、イベントに応じてスタッフの応答中に行われた応答操作の識別情報(応答操作ID)を含んでも良い。応答操作IDは、応答コンテンツにおける時間(又は動画のフレーム番号)に対して関連付けられている。
【0066】
応答操作テーブルT5は、応答操作に関する情報を格納する。応答操作に関する情報には、応答操作IDと、応答操作の内容とが含まれる。応答操作の内容としては、パノラマ画像に対する視野を変化させる操作を表す情報、テキストの表示、説明資料の表示等が挙げられる。
【0067】
接客コンテンツ記憶部127は、自動接客中に顧客端末30において再生させる接客コンテンツ(映像及び音声)のデータを格納する。
【0068】
応答コンテンツ記憶部128は、自動接客中に顧客端末30においてイベントが検知された場合に再生される応答コンテンツ(映像及び音声)のデータを格納する。
【0069】
プロセッサ13は、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いて構成され、プログラム記憶部121に記憶されたプログラムを読み込むことにより、サーバ10の各部を統括的に制御すると共に、事業者端末20及び顧客端末30との間で情報を送受信することにより、オンライン接客をするための各種機能を実現する。プロセッサ13がプログラム記憶部121に記憶されたプログラムを読み込むことにより実現される機能部には、各種情報を管理する情報管理部14と、オンライン接客時における通信制御を管理する通信制御管理部15とが含まれる。
【0070】
情報管理部14は、URL生成部141と、ウェブ管理部142と、シナリオ生成部143とを含む。
URL生成部141は、顧客端末30が事業者の接客用のサイトにアクセスしてオンライン接客を受けるためのURLを発行する。このURLは、物件を識別する情報(物件IDや物件の名称)や、接客担当のスタッフを識別する情報(スタッフIDやグループID)や、有効期限等の情報を含んでも良く、この場合、顧客は、URLにアクセスするだけで、当該物件に関する接客をダイレクトに受けることができる。
【0071】
ウェブ管理部142は、ウェブデータ記憶部122に格納された情報を用いて、当該事業者のウェブサイトを管理する。また、ウェブ管理部142は、URL生成部141により生成されたURLを、当該URLを特定の物件に関するウェブサイトに埋め込む処理を実行しても良い。この場合、顧客は、ウェブサイトに埋め込まれたURLにアクセスすることにより、事前予約をすることなく接客を受けることができる。
【0072】
シナリオ生成部143は、スタッフが顧客に接客している映像及び音声を接客コンテンツとして記録し、この接客において参照された参照コンテンツと接客コンテンツとの同期を設定することにより、接客シナリオを生成する。また、シナリオ生成部143は、顧客端末30がイベントを検知した場合に、このイベントに応じてなされた顧客に対するスタッフの応答の映像及び音声を応答コンテンツとして記録し、上記接客コンテンツを顧客端末30において再生させている間に同様のイベントが検知されると応答コンテンツが再生可能となるように、イベントを応答コンテンツと関連付けて接客シナリオに設定する。
【0073】
通信制御管理部15は、URL解析部151と、接客ルーム管理部152と、呼出制御部153と、通信制御部154と、再生制御部155と、応答制御部156とを含む。
URL解析部151は、顧客端末30が、URL生成部141により生成されたURLにアクセスしてきた際に、このURLを解析し、URLに含まれる情報(例えば、物件IDやスタッフID)を抽出する。
【0074】
接客ルーム管理部152は、通信ネットワークNを介してサーバ10と接続された端末同士の間で映像及び音声による通信をさせる場である接客ルームを生成し、これらの端末間の接続管理を行う。
【0075】
呼出制御部153は、URLに含まれる情報に基づいて、接客担当のスタッフが使用する事業者端末20を呼び出す。なお、接客担当のスタッフが複数存在する場合、呼出制御部153は、これらのスタッフがそれぞれ使用している複数の事業者端末20を呼び出しても良い。
【0076】
通信制御部154は、サーバ10にアクセスしてきた端末に対し、所定の画面を表示させるためのデータを送信したり、端末から送信されたデータを受信するといった通信制御を行う。
【0077】
再生制御部155は、顧客端末30が接続を要求してきた場合に、接客シナリオを接客情報データベース126から読み出し、該接客シナリオに沿って接客コンテンツを顧客端末30において再生させると共に、該接客コンテンツと同期設定された参照コンテンツを顧客端末30に表示させるための制御を行う。
【0078】
応答制御部156は、接客コンテンツの再生中に、顧客端末30においてイベントが検知された場合に、当該検知されたイベントと関連付けられた応答コンテンツを顧客端末30において再生させるための制御を行う。
【0079】
次に、オンライン接客システム1の動作について説明する。
図10~
図12は、接客シナリオの生成処理を示すシーケンス図である。以下においては、不動産物件の仲介業者のスタッフが、物件のパノラマ画像を参照しながら、顧客を接客する場合を説明する。
【0080】
接客シナリオの生成処理は、スタッフが顧客に対して実際にオンライン接客を行っている間に並行して実行することができる。しかしながら、顧客はダミー(例えば、接客するスタッフとは別のスタッフが顧客の役を演じること)であっても良い。
【0081】
事業者は、予め、ウェブサイト等を通じてアクセスしてきた顧客に対し、オンライン接客用のURLを発行し、メールやショートメッセージサービス(SMS)を通じて顧客に送信しておく。このURLには、接客ルームに接続するためのアドレスのほか、顧客が案内を希望する物件のIDや、担当スタッフのIDといった情報が含まれている。
【0082】
図10に示すように、顧客端末30は、オンライン接客用のURLにアクセスする操作を検知すると(ステップS101)、サーバ10に対して接続要求を送信する(ステップS102)。サーバ10は、URLを解析し(ステップS103)、当該URLに含まれる担当スタッフのIDに基づき、該当する事業者端末20を呼び出す(ステップS104)。
【0083】
事業者端末20は、呼出しに対する応答操作を検知すると(ステップS105)、サーバ10に対して応答し、接客記録の開始を指示する(ステップS106)。これに応じて、サーバ10は、顧客端末30に対して接客ルームへの入室を許可する(ステップS107)。これにより、事業者端末20と顧客端末30とが接続され、両者の間で映像及び音声による双方向のコミュニケーションが可能な状態となる。また、サーバ10は、接客シナリオの生成を開始する(ステップS108)。
【0084】
サーバ10は、解析したURLに含まれる物件のIDに基づき、参照コンテンツである当該物件のパノラマ画像データを事業者端末20にダウンロードさせる(ステップS109)。その後、スタッフによる接客が開始される(ステップS110,S111)。
【0085】
事業者端末20は、スタッフを撮影すると共に、音声の入力を受け付け(ステップS120)、スタッフの映像を接客画面M10(スタッフ表示欄M12参照)に表示する(ステップS121)。また、事業者端末20は、撮影により得られた映像データ及び音声データをサーバ10に送信する(ステップS122)。
【0086】
サーバ10は、事業者端末20から受信した映像データ及び音声データを記録し、接客コンテンツのデータとして接客コンテンツ記憶部127に格納する(ステップS123)。さらに、サーバ10は、この映像データ及び音声データを顧客端末30に送信する(ステップS124)。顧客端末30は、受信した映像データに基づいてスタッフの映像を接客画面M20(スタッフ表示欄M21参照)に表示すると共に、受信した音声データに基づいて音声を出力する(ステップS125)。
【0087】
顧客端末30は、顧客を撮影すると共に、音声の入力を受け付け(ステップS130)、顧客の映像を接客画面M20(顧客表示欄M22参照)に表示する(ステップS131)。また、顧客端末30は、撮影により得られた映像データ及び音声データをサーバ10に送信する(ステップS132)。サーバ10は、顧客端末30から受信した映像データ及び音声データを事業者端末20に送信する(ステップS133)。事業者端末20は、受信した映像データに基づいて顧客の映像を接客画面M10(顧客表示欄M11参照)に表示すると共に、受信した音声データに基づいて音声を出力する(ステップS134)。
【0088】
このようなステップS120~S134の処理は、事業者端末20及び顧客端末30が接客ルームに接続されている間中、実行される。
【0089】
図11に示すように、事業者端末20は、パノラマ画像を表示する操作を検知すると(ステップS140)、ステップS109においてダウンロードされたパノラマ画像データに基づいて、パノラマ画像を接客画面M10(参照コンテンツ表示欄M13参照)に表示する(ステップS141)。また、事業者端末20は、表示しているパノラマ画像の画像IDをサーバ10に送信する(ステップS142)。
【0090】
サーバ10は、事業者端末20から受信したパノラマ画像の画像IDを、接客コンテンツデータと関連付けて接客情報データベース126に記録する(ステップS143)。さらに、サーバ10は、当該画像IDのパノラマ画像データを顧客端末30に送信する(ステップS144)。顧客端末30は、受信したパノラマ画像データに基づいてパノラマ画像を表示する(ステップS145)。例えば接客画面M20においては、事業者端末20に表示されているものと同じ物件の同じシーンのパノラマ画像が、参照コンテンツ表示欄M23に表示される。
【0091】
例えば、接客の開始後、スタッフが一連の挨拶を終え、「それでは早速ご案内いたしましょう。まずは玄関から入ります、、、」といった説明をし、そのタイミングで玄関が写ったパノラマ画像を表示させたとする。この場合、サーバ10は、上記セリフを発したタイミングにおける接客コンテンツデータに対し、玄関が写ったパノラマ画像の画像IDを関連付ける。
【0092】
このステップS140~S145の処理は、事業者端末20において、新規にパノラマ画像を表示させる操作が行われた場合のほか、同じパノラマ画像の別のシーンにジャンプする操作や、別のパノラマ画像に表示を切り替える操作が行われた場合にも実行される。
【0093】
事業者端末20は、パノラマ画像に対するユーザの視野を変更する操作を検知すると(ステップS150)、当該操作に応じて、接客画面M10に表示されているパノラマ画像の表示範囲を変更する(ステップS151)。
【0094】
また、事業者端末20は、当該操作情報をサーバ10に送信する(ステップS152)。サーバ10は、受信した操作情報を、接客コンテンツデータと関連付けて接客情報データベース126に記録する(ステップS153)。さらに、サーバ10は、当該操作情報を顧客端末30に送信する(ステップS154)。顧客端末30は、受信した操作情報に基づいて、接客画面M20に表示されているパノラマ画像の表示範囲を変更する(ステップS155)。これにより、顧客端末30においては、事業者端末20と同様に、パノラマ画像の表示範囲が変化する。
【0095】
例えば、
図6に示すパノラマ画像M30が事業者端末20に表示されている際に、スタッフが、隣接する寝室の方向を示すタグM35をマウスでクリックし、「次は寝室の方に参りましょう。」といった説明をしたとする。この場合、事業者端末20及び顧客端末30においては、寝室に視線を向けた視野となるように、パノラマ画像の表示範囲が変更される。また、サーバ10においては、スタッフが上記セリフを発したタイミングにおける接客コンテンツデータに対し、タグM35を選択する操作情報が関連付けられる。
【0096】
このステップS150~155の処理は、事業者端末20においてパノラマ画像に対する操作が検知されるたびに実行される。
【0097】
図12に示すように、顧客端末30は、パノラマ画像に対するユーザの視野を変更するイベントを検知すると(ステップS160)、当該イベントに応じて、接客画面M20に表示されているパノラマ画像の表示範囲を変更する(ステップS161)。また、顧客端末30は、検知されたイベントに関するイベント情報をサーバ10に送信する(ステップS162)。このイベント情報は、イベントの内容(操作)、パノラマ画像の画像ID、変更された視野の範囲といった情報を含む。
【0098】
サーバ10は、受信したイベント情報にイベントIDを付与し、接客情報データベース126に記録する(ステップS163)。さらに、サーバ10は、このイベント情報を事業者端末20に送信する(ステップS164)。
【0099】
事業者端末20は、受信したイベント情報に応じて、接客画面M10に表示されているパノラマ画像の表示範囲を変更する(ステップS165)。また、事業者端末20は、スタッフの撮影及び音声入力の受け付けを行い(ステップS166)、スタッフの映像を表示すると共に(ステップS167)、映像データ及び音声データをサーバ10に送信する(ステップS168)。
【0100】
この際、事業者端末20は、スタッフによる種々の操作を受け付けても良い。例えば、事業者端末20は、パノラマ画像に対するユーザの視野を変更する操作を受け付けても良く、この場合には、当該操作に応じてパノラマ画像の表示範囲を変更すると共に、当該操作情報をサーバ10に送信する。また、事業者端末20は、パノラマ画像とは別の説明資料やテキスト情報を接客画面M10に表示する操作を受け付けても良く、この場合、当該操作情報と共に説明資料のデータやテキストデータをサーバに送信する。
【0101】
サーバ10は、イベント情報を記録した後で事業者端末20から受信した映像データ及び音声データを応答コンテンツデータとして記録し、ステップS163において記録されたイベント情報と関連付ける(ステップS169)。さらに、サーバ10は、映像データ及び音声データを顧客端末30に送信し(ステップS170)、顧客端末30に映像表示及び音声出力を実行させる(ステップS171)。
【0102】
また、サーバ10は、事業者端末20から操作情報を受信した場合には、受信した操作情報及び関連するデータをイベント情報と関連付けて記録すると共に、該操作情報及び関連するデータを顧客端末30に送信する。それにより、顧客端末30においては、イベントに対するスタッフの応答の映像が表示されると共に、追加の資料等が表示される。
【0103】
例えば、
図7に示すパノラマ画像M40が顧客端末30に表示されている間に、顧客がタグM41をタップしたとする。この場合、事業者端末20及び顧客端末30においては、タグM41の方向に近づいた視野となるようにパノラマ画像の表示範囲が変更される。また、この表示範囲の変更に伴い、スタッフが例えば「このバルコニーからの眺めが気になりますよね。ここからの眺めはとても素晴らしいですよ。」といった説明をすると、サーバ10においては、この説明の映像データ及び音声データが応答コンテンツデータとして記録され、顧客端末30において検知されたイベントのイベント情報と関連付けられる。
【0104】
なお、顧客端末30において検知されるイベントは、必ずしも画像の表示範囲の変更を伴うものでなくても構わない。例えば、パノラマ画像上に所定箇所に質問ボタンを配置し、この質問ボタンを選択する操作がイベントとして検知され、質問に対するスタッフの回答の映像が応答コンテンツとして記録されることとしても良い。
【0105】
事業者端末20は、接客終了操作を検知すると(ステップS180)、終了指示をサーバ10に送信する(ステップS181)。サーバ10は、接客ルームへの事業者端末20及び顧客端末30の接続を解除する(ステップS182)。それにより、事業者端末20と顧客端末30との間での接客が終了する(ステップS183,S184)。その後、サーバ10は、接客シナリオの生成を終了する(ステップS185)。
【0106】
図13~
図14は、接客シナリオを用いた自動接客処理を示すシーケンス図である。
図13に示すように、顧客端末30は、オンライン接客用のURLにアクセスする操作を検知すると(ステップS201)、サーバ10に対して接続要求を送信する(ステップS202)。サーバ10は、URLを解析し(ステップS203)、解析したURLに含まれる物件のIDに基づいて接客情報データベース126を検索することにより、該当する接客シナリオを読み出す(ステップS204)。
【0107】
また、サーバ10は、解析したURLに含まれる接客担当スタッフのIDに基づき、該当する事業者端末20を呼び出すと共に、接客シナリオに基づいて、自動接客の終了予定時刻を事業者端末20に送信する(ステップS205)。事業者端末20は、自動接客終了定時刻を受信し、画面に表示する(ステップS206)。これにより、当該事業者端末20を使用するスタッフは、自動接客の終了予定時刻を把握することができる。
【0108】
サーバ10は、顧客端末30への接客ルームへの入室を許可する(ステップS207)。続いて、サーバ10は、接客コンテンツデータを記憶部12から読み出す(ステップS208)。その後、サーバ10による顧客端末30への自動接客が開始される(ステップS209,S210)。即ち、サーバ10は、読み出した接客コンテンツデータを顧客端末30に送信する(ステップS211)。顧客端末30は、受信した接客コンテンツデータに基づいて、接客コンテンツを再生する(ステップS212)。また、サーバ10は、接客シナリオに沿って、所定のタイミングでパノラマ画像データを読み出し(ステップS213)、顧客端末30に送信する(ステップS214)。顧客端末30においては、接客コンテンツである映像及び音声と同期して、パノラマ画像が表示される(ステップS215)。パノラマ画像は、接客シナリオに沿って、応答コンテンツの進行と共にその表示範囲が変更されたり、異なるシーンに差し替えられたりする。
【0109】
図14に示すように、顧客端末30は、イベントを検知すると(ステップS220)、当該イベントに応じて接客画面M20に表示されているパノラマ画像の表示範囲を変更する(ステップS221)。また、顧客端末30は、検知されたイベントに関するイベント情報をサーバ10に送信する(ステップS222)。例えば、パノラマ画像内のドアが表示範囲に入るように画像が操作され、さらに、ドア付近をマウスでクリックするといった操作がなされると、ドアを触ったことを示すイベント情報が送信される。
【0110】
サーバ10は、受信したイベント情報に基づいて接客情報データベースを検索する(ステップS223)。受信したイベント情報に対応するイベント情報が接客情報データベース126に記録されている場合、サーバ10は、顧客端末30への接客コンテンツデータの送信を一時停止する(ステップS224)。これにより、顧客端末30において、接客コンテンツの再生が一時停止される(ステップS225)。
【0111】
また、サーバ10は、抽出したイベント情報のイベントIDに基づいて、当該イベント情報と関連付けられている応答コンテンツデータを記憶部12から読み出し(ステップS226)、顧客端末30に送信する(ステップS227)。顧客端末30は、受信した応答コンテンツデータに基づいて、応答コンテンツを再生する(ステップS228)。
【0112】
サーバ10は、応答コンテンツが終了すると(ステップS229)、接客コンテンツデータの送信を再開する(ステップS230)。これにより、顧客端末30において、接客コンテンツの再生が、ステップS225において一時停止された箇所から再開される(ステップS231)。
【0113】
例えば、
図7に示すパノラマ画像M40が顧客端末30に表示されている間に、顧客がタグM41をタップしたとする。この場合、顧客端末30においては、タグM41の方向に近づいた視野となるようにパノラマ画像M40の表示範囲が変更される。それに伴い、顧客端末30においては、「このバルコニーからの眺めが気になりますよね。ここからの眺めはとても素晴らしいですよ。」といった説明の映像が再生される。
【0114】
サーバ10は、接客シナリオに基づく接客コンテンツの再生が終了すると、自動接客を終了させ(ステップS240)、自動接客の終了を事業者端末20に通知する(ステップS241)。
【0115】
事業者端末20は、接客ルームへの接続操作を検知すると(ステップS242)、サーバ10に対して接続要求を送信する(ステップS243)。これに応じて、サーバ10は、事業者端末20を接客ルームに接続する(ステップS244)。これにより、事業者端末20と顧客端末30との間において映像データ及び音声データの送受信が開始され(ステップS245)、スタッフによる接客が開示される(ステップS246,S247)。
【0116】
以上説明したように、本実施形態においては、接客コンテンツに対してパノラマ画像を同期設定した接客シナリオに対し、さらに、イベントに応じて記録された応答コンテンツを関連付けるので、接客コンテンツを顧客端末30において再生させる自動接客中においても、顧客端末30において検知されるイベントに応じて応答コンテンツを再生させることができる。従って、顧客の反応に応じた接客を自動で行うことが可能となる。それにより、スタッフが離席中であっても顧客に接客サービスを提供することができ、事業者は接客機会の損失を防ぐことができる。また、スタッフの人数が少ない場合であっても、顧客に対して十分な接客サービスを提供することが可能となる。
【0117】
また、本実施形態によれば、自動接客が開始される際に、事業者端末20に自動接客の終了予定時刻が表示されるので、スタッフは、自動接客が終了するまでの間に、顧客への接客の準備を行うことができる。
【0118】
また、本実施形態によれば、実際の物件を対象としてスタッフが顧客に接客している映像及び音声を、接客コンテンツ及び応答コンテンツとして記録するので、スタッフにとっては予想外の顧客の反応に対するコンテンツを蓄積することができる。
【0119】
また、本実施形態によれば、自動接客中であっても顧客端末30側からパノラマ画像に対する操作を行うことができるので、スタッフと顧客が双方向のコミュニケーションを行っている場合とある程度近い状況で、顧客は接客サービスを受けることができる。
【0120】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、上記実施形態に示した全構成要素からいくつかの構成要素を除外しても良いし、上記実施形態に示した構成要素に対して別の構成要素を組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0121】
1…オンライン接客システム、10…サーバ、11…通信部、12,27…記憶部、13,28…プロセッサ、14…情報管理部、15…通信制御管理部、20…事業者端末、21…通信部、22…操作入力部、23…表示部、24…撮像部、25…音声出入力部、26…センサ部、30…顧客端末、121…プログラム記憶部、122…ウェブデータ記憶部、123…ユーザ情報データベース(DB)、124…物件情報データベース(DB)、125…参照コンテンツ記憶部、126…接客情報データベース(DB)、127…接客コンテンツ記憶部、128…応答コンテンツ記憶部、141…URL生成部、142…ウェブ管理部、143…シナリオ生成部、151…URL解析部、152…接客ルーム管理部、153…呼出制御部、154…通信制御部、155…再生制御部、156…応答制御部、281…通信管理部、282…表示制御部、283…演算部
【要約】
【課題】顧客の反応に応じた接客を自動で行うことオンライン接客システム等を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、スタッフが接客している映像及び音声を含む接客コンテンツのデータと、接客において参照される参照コンテンツのデータと、接客コンテンツと参照コンテンツとの同期が設定され、顧客端末が検知し得るイベントが設定されている接客シナリオと、上記イベントと関連付けられた応答の映像及び音声を含む応答コンテンツのデータと、を記憶する記憶部と、顧客端末が接続を要求してきた場合に接客シナリオを読み出し、該接客シナリオに沿って接客コンテンツを顧客端末において再生させると共に、接客コンテンツと同期設定された参照コンテンツを顧客端末に表示させる再生制御部と、接客コンテンツの再生中に顧客端末においてイベントが検知された場合に当該イベントと関連付けられた応答コンテンツを顧客端末において再生させる応答制御部とを備える。
【選択図】
図5