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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】パッケージ型回転ポンプユニット
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/04 20060101AFI20220413BHJP
   F04B 39/06 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
F04C29/04 D
F04C29/04 E
F04B39/06 G
F04B39/06 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022042010
(22)【出願日】2022-03-17
(62)【分割の表示】P 2022007565の分割
【原出願日】2021-10-19
【審査請求日】2022-03-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】福島 一樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 高正
(72)【発明者】
【氏名】吉田 洋介
【審査官】大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】特許第5041849(JP,B2)
【文献】実開平6-12784(JP,U)
【文献】特開昭52-118604(JP,A)
【文献】特開2016-67108(JP,A)
【文献】特開平4-203388(JP,A)
【文献】特表2005-509786(JP,A)
【文献】特開2016-148283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/16-18/18、29/04
F04B 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を吸排気する回転ポンプ及び該回転ポンプを駆動させる電動モータを備える電動回転ポンプと、該電動回転ポンプを内包する密閉筐体とを備えるパッケージ型回転ポンプユニットであって、
前記密閉筐体の内部に配され、前記密閉筐体の外部に配された冷却液供給源から冷却液の供給を受けて冷却される液冷熱交換器と、
前記密閉筐体の内部に配され、前記回転ポンプの稼働によって該回転ポンプの周囲の空気が加熱されることで生じる加熱空気を含む密閉筐体内の内部空気を、前記液冷熱交換器へ、冷却させるように送る送風装置とを備え、
前記液冷熱交換器を冷却した前記冷却液供給源からの冷却液によって前記回転ポンプも冷却されるように、前記冷却液供給源からの液冷流路が、前記液冷熱交換器と前記回転ポンプとに亘って直列に接続されていることを特徴とするパッケージ型回転ポンプユニット。
【請求項2】
前記回転ポンプが、軸受ボディ部とポンプ室ボディ部と第1のマフラー部とを備え、
前記冷却液供給源からの冷却液が、前記液冷熱交換器、前記軸受ボディ部、ポンプ室ボディ部及び第1のマフラー部の順に流れるように、前記冷却液供給源からの液冷流路が直列に接続されていることを特徴とする請求項1記載のパッケージ型回転ポンプユニット。
【請求項3】
前記密閉筐体の内部に配されて前記回転ポンプを覆うように設けられ、前記密閉筐体の内部で循環する前記内部空気が導入される循環空気入口部と、前記加熱空気を含む前記内部空気が排出される循環空気出口部とが設けられるように形成されたポンプカバー部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のパッケージ型回転ポンプユニット。
【請求項4】
前記液冷熱交換器が、前記循環空気出口部の側に接続され、
前記送風装置が、前記内部空気を吸引して前記循環空気入口部から前記循環空気出口部へ流して前記液冷熱交換器を通すように、該液冷熱交換器に接続されていることを特徴とする請求項3記載のパッケージ型回転ポンプユニット。
【請求項5】
前記回転ポンプが二軸回転ポンプであって、一方のロータ回転軸が前記電動モータの回転軸に直列に接続されて回転され、他方のロータ回転軸がギヤを介して前記一方のロータ回転軸とは反対方向へ同期して回転されるように設けられ、前記他方のロータ回転軸が配された軸心の延長上のスペースであって前記電動モータと前記一方のロータ回転軸とが接続される部位に隣接するスペースに、前記液冷熱交換器及び前記送風装置が配置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のパッケージ型回転ポンプユニット。
【請求項6】
前記電動モータに、該電動モータを冷却するように送風する電動モータ冷却用の送風ファンが設けられ、該送風ファンは、前記一方のロータ回転軸に接続される側とは反対側に配されてモータ本体へ向けて送風するように設けられていることを特徴とする請求項5記載のパッケージ型回転ポンプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を吸排気する回転ポンプ及び該回転ポンプを駆動させる電動モータを備える電動回転ポンプと、該電動回転ポンプを内包する密閉筐体とを備えるパッケージ型回転ポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパッケージ型回転ポンプユニットとしては、真空ポンプやブロア等の負圧や正圧の空気圧を生じさせる空気圧装置と、該空気圧装置を複数収納できると共に閉鎖空間に収納することで防音できる収納ボックスと、前記空気圧装置によって加熱された前記収納ボックス内を、外気を取り入れて冷却すべく、該収納ボックス内で実質的に下方から上方へ流れる冷却用空気流を発生させて排気する送風装置と、前記冷却用空気流を通過させて冷却すべく設けられた水冷式の冷却器と、該冷却器へ冷水を供給するクーラーユニットと、前記冷却器へ供給する冷水の温度を調整するように水温を制御する水温制御手段と、前記冷却器へ供給する冷水の流量を調整するように流量を制御する流量制御手段との少なくとも一方が設けられ、前記収納ボックス内には高さ方向の中途部に前記空気圧装置が載置される棚状支持部が少なくとも一段設けられ、該棚状支持部は前記冷却用空気流の流れを許容するように開放部を有することを特徴とする空気圧装置ステーションの排気温調整システム(特許文献1参照)が、本出願人によって提案されている。
【0003】
また、パッケージ型回転ポンプユニットに内蔵される回転ポンプの例としては、図22に示すように、本出願人によって、二つの円の一部を重ね合わせた断面形状のポンプ室10を形成するように、シリンダ部10a、該シリンダ部10aの一方の端面に設けられた一方の端壁部10b、及び該シリンダ部10aの他方の端面に設けられた他方の端壁部10cを備え、前記ポンプ室10内で平行に配されて反対方向に同一速度で回転される二つの回転軸20A、20Bと、該二つの回転軸20A、20Bのそれぞれに設けられて前記ポンプ室10内に配され、相互に非接触状態で回転されて吸入した気体を圧縮して排気できるように鉤形の爪部が形成された二つのロータ30A、30Bと、前記一方の端壁部10bと前記他方の端壁部10cとの少なくともどちらかの部位であって、前記ポンプ室10内における気体が圧縮される部位に面する位置に、開口されて設けられた排気側開口部50とを備える回転ポンプ(クローポンプ)であって、前記排気側開口部50が、前記二つのロータ30A、30Bの前記爪部同士によって気体の圧縮比が最大化する前段で前記ポンプ室10の外部に連通される前段通気口51と、前記二つのロータ30A、30Bの前記爪部同士によって前記前段よりも気体の圧縮比が最大化する段階を含んで前記ポンプ室10の外部へ排気するように連通される後段排気口(排気口55)とによって設けられ、前記後段排気口(排気口55)が前記ポンプ室10の外部に連通されて気体の圧縮比が最大化する段階で、前記前段通気口51が前記ロータ30Aによって閉じられるように設けられ、前記ポンプ室10を形成するようにシリンダ部10a及び該シリンダ部の両端面のそれぞれに設けられた端壁部10b、10cによって設けられたポンプ室ボディ部と、前記二つのロータ30A、30Bが前記二つの回転軸20A、20Bの一方の端にそれぞれ配されて片持ち状態に支持されるように該二つの回転軸20A、20Bを軸受けする軸受部40が設けられた軸受ボディ部との間に、冷却用の隙間が形成されるように、ポンプ本体が分割された構造に設けられている(特許文献2参照)クローポンプが、提案されている。
【0004】
この本出願人によって提案されたクローポンプによれば、排気側開口部50が、別々に開口されて設けられた前段通気口51と後段排気口(排気口55)とによって構成されている。このため、例えば真空ポンプとして高い真空度で使用される場合、前段通気口51において過熱されていない外気がポンプ室10内に吸入されることによって、後段排気口(排気口55)において排気が逆流することを抑制し、ポンプ室10が過熱されることを防止できることにより、ポンプ性能を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5041849号公報(請求項1、第1図)
【文献】特許第6749714号公報(請求項1、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パッケージ型回転ポンプユニットに関して解決しようとする問題点は、従来のパッケージ型回転ポンプユニットでは冷却用空気が外部から導入されて回転ポンプによって加熱された空気を筐体の外部へ排出するものが提案されているが、回転ポンプが密閉筐体内に内蔵され、その回転ポンプによって加熱された空気がその密閉筐体の外に排出されない場合に、その密閉筐体内が過熱されることを効果的に防止する手段については検討されていないことにある。すなわち、回転ポンプの稼働によって密閉筐体内が過熱されて内部空気の温度が上昇すると、電動モータや電装品などに悪影響を及ぼすため、適切な温度対策が必要である。
【0007】
そこで本発明の目的は、密閉筐体に内包された回転ポンプが、例えば真空ポンプとして真空度が高い範囲で使用されて発熱量が大きな場合でも、密閉筐体の内部空気が過熱されることを防止できることで、高いポンプ性能を維持でき、装置寿命を長期化できるパッケージ型回転ポンプユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの一形態によれば、気体を吸排気する回転ポンプ及び該回転ポンプを駆動させる電動モータを備える電動回転ポンプと、該電動回転ポンプを内包する密閉筐体とを備えるパッケージ型回転ポンプユニットであって、前記密閉筐体の内部に配され、前記密閉筐体の外部に配された冷却液供給源から冷却液の供給を受けて冷却される液冷熱交換器と、前記密閉筐体の内部に配され、前記回転ポンプの稼働によって該回転ポンプの周囲の空気が加熱されることで生じる加熱空気を含む密閉筐体内の内部空気を、前記液冷熱交換器へ、冷却させるように送る送風装置とを備え、前記液冷熱交換器を冷却した前記冷却液供給源からの冷却液によって前記回転ポンプも冷却されるように、前記冷却液供給源からの液冷流路が、前記液冷熱交換器と前記回転ポンプとに亘って直列に接続されている。
【0009】
また、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの一形態によれば、前記回転ポンプが、軸受ボディ部とポンプ室ボディ部と第1のマフラー部とを備え、前記冷却液供給源からの冷却液が、前記液冷熱交換器、前記軸受ボディ部、ポンプ室ボディ部及び第1のマフラー部の順に流れるように、前記冷却液供給源からの液冷流路が直列に接続されていることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの一形態によれば、前記密閉筐体の内部に配されて前記回転ポンプを覆うように設けられ、前記密閉筐体の内部で循環する前記内部空気が導入される循環空気入口部と、前記加熱空気を含む前記内部空気が排出される循環空気出口部とが設けられるように形成されたポンプカバー部を備えることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの一形態によれば、前記液冷熱交換器が、前記循環空気出口部の側に接続され、前記送風装置が、前記内部空気を吸引して前記循環空気入口部から前記循環空気出口部へ流して前記液冷熱交換器を通すように、該液冷熱交換器に接続されていることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの一形態によれば、前記回転ポンプが二軸回転ポンプであって、一方のロータ回転軸が前記電動モータの回転軸に直列に接続されて回転され、他方のロータ回転軸がギヤを介して前記一方のロータ回転軸とは反対方向へ同期して回転されるように設けられ、前記他方のロータ回転軸が配された軸心の延長上のスペースであって前記電動モータと前記一方のロータ回転軸とが接続される部位に隣接するスペースに、前記液冷熱交換器及び前記送風装置が配置されていることを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの一形態によれば、前記電動モータに、該電動モータを冷却するように送風する電動モータ冷却用の送風ファンが設けられ、該送風ファンは、前記一方のロータ回転軸に接続される側とは反対側に配されてモータ本体へ向けて送風するように設けられていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットによれば、高温環境下で稼働した場合や、密閉筐体に内包された回転ポンプが例えば真空ポンプとして真空度が高い範囲で使用されて発熱量が大きな場合でも、密閉筐体の内部空気が過熱されることを防止できることで、高いポンプ性能を維持でき、装置寿命を長期化できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの形態例の液冷フローと密閉筐体の内部の循環気体(空気)フローを模式的に示すブロック図である。
図2】本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの形態例の液冷フローと排気フローを模式的に示すブロック図である。
図3】本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの形態例であって密閉筐体の内部を示す斜視図である。
図4図3の形態例のポンプカバー部を取り外した状態を示す斜視図である。
図5図3の形態例に搭載された電動回転ポンプの平面図である。
図6図5の形態例のポンプカバー部を取り外した状態を示す平面図である。
図7図3の形態例の背面図である。
図8】本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの2台の電動回転ポンプが上下2段に収容された形態例の外観を示す斜視図である。
図9図8の形態例の密閉筐体の内部構造を示す斜視図である。
図10図8の形態例の密閉筐体の内部構造を示す側面図である。
図11図8の形態例の密閉筐体の内部構造であって配電盤を取り外した状態を示す斜視図である。
図12図8の形態例の密閉筐体の内部構造であって配電盤を取り外した状態を示す正面図である。
図13】本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットに搭載される回転ポンプ(クローポンプ)の形態例の内部構造を示すように階段状に破断した状態を表した断面斜視図である。
図14図13の形態例の正面側斜視図である。
図15図13の形態例の背面側斜視図である。
図16図13の形態例の正面図である。
図17図13の形態例の背面図である。
図18図13の形態例の平面図である。
図19図13の形態例の軸受部冷却液流路を示す断面斜視図である。
図20図13の形態例における第1の流路形成部の内面である冷却液流路形成面を示す分解図である。
図21図1の形態例における第1の流路形成部の外面である排気流路形成面を示す分解図である。
図22】従来の回転ポンプを示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの形態例であって、回転ポンプの一例としてクローポンプが搭載されたものを、添付図面(図1~21)に基づいて詳細に説明する。なお、この本発明に係る回転ポンプの形態例は、真空ポンプであって、水冷式の二軸回転ポンプ(クローポンプ)となっている。但し、本発明に係る回転ポンプとは、この形態例に限定されず、排出される気体を製品気体とするブロアなどとしても利用できるものや、ベーンポンプなどの一軸の回転ポンプを含むもので、水以外を冷却液として利用するものも含む。
【0017】
本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットは、基本構成として、気体を吸排気する回転ポンプ2及びその回転ポンプ2を駆動させる電動モータ3を備える電動回転ポンプ200と、その電動回転ポンプ200を内包する密閉筐体1とを備えるものである。
【0018】
なお、本発明に係る密閉筐体1とは、厳密に気密シールがなされて密封されている必要はなく、筐体内部と外界との間の気体(本形態例では空気)の流出入が十分に制限されている閉鎖空間を形成する筐体であればよく、密閉筐体1内の内部空気の循環に外気(外部空気)の影響が実質的に存在しない程度以上の密閉度を有していればよい。すなわち、本発明に係る密閉筐体1では、僅かな隙間は許容され、本形態例のように、シール材を用いることなく、筐体を構成する鋼板材などの構造部材同士を当接させて空気の流通を十分に制限する程度の密閉度でもよい。
【0019】
また、本形態例の密閉筐体1は、矩形のボックス状であり、筐体フレーム部1a(図3図9など参照)、ベース部1b(図3図9など参照)、筐体カバー部1c(図8参照)を備える。そして、この密閉筐体1は、骨格構造として角鋼管やアングル鋼などで形成された筐体フレーム部1aを、鋼板などで形成された筐体カバー部1cによって覆う形態によって構成されている。
この密閉筐体1の内部には、回転ポンプ2及び電動モータ3を備える電動回転ポンプ200、液冷熱交換器5、送風装置6,ポンプカバー部25、配電盤8、第1のマフラー部31、第2のマフラー部32、電装品冷却用の送風機9、ドレンパン91、各種の配管、各種の電気配線、及びこれらの付随品が配置されている。
【0020】
5は液冷熱交換器であり、図1図3~7に示すように、密閉筐体1の内部に配され、密閉筐体1の外部に配された冷却液供給源4から冷却液の供給を受けて冷却されるように設けられている。すなわち、液冷熱交換器5に冷却液供給接続口4a及び冷却液供給配管4bを介して冷却液供給源4が接続されている。なお、図1において、冷却液の流れを、二重線の矢印によって、模式的に示している。
【0021】
本形態例の液冷熱交換器5は、矩形ボックス状の熱交換室に、冷却液が通る熱交換用の管路5aが往復に引き回された状態(ジグザグ)に収納されたいわゆるフィン&チューブの形態に設けられている。そして、本形態例の前記矩形ボックス状の熱交換室では、内部空気(循環空気)が導入される側である矩形の導入口が、後述するポンプカバー部25の循環空気出口部25bに接続され、内部空気(循環空気)が排出される側である矩形の排出口が、後述する送風装置6に接続されている。これにより、液冷式熱交換器5を有したファンクーラを構成している。なお、液冷熱交換器5は、一般的な態様のため詳細な図示を省略する。また、この液冷熱交換器5としては、冷却液の流路の形態や、熱交換によって冷却される循環空気の通路の形態を、適宜選択的に設定できるのは勿論である。
【0022】
ここで、冷却液供給源4とは、冷凍サイクルを利用して液体を冷却する液冷装置を用いることができる。なお、立地条件などによっては、空気(外気)、淡水、海水、氷、地下水などの他の冷却源を用いてもよく、さらには複数の冷却源を適宜に組み合せて用いてもよいのは勿論である。なお、本形態例の冷却液は、冷却水であり、後述するように、排気口55から排出される排気を冷却するものと同じ冷却液供給源4から供給されている。
【0023】
そして、6は送風装置であり、密閉筐体1の内部に配され、回転ポンプ2の稼働によってその回転ポンプ2の周囲の空気が加熱されることで生じる加熱空気を含む密閉筐体1内の内部空気を、液冷熱交換器5へ、冷却させるように送る手段として設けられている。なお、図1において、内部空気の流れを、太線の矢印によって、模式的に示している。
本形態例の送風装置6は、軸流ファンであり、電動回転ポンプ200の長手方向に沿って、内部空気を吸引して排出するように、配置されている。なお、この送風装置6としては、軸流ファンに限定されるものではなく、遠心ファン(例えばシロッコファン)などの他の送風手段を適宜選択的に用いてもよいのは勿論である。
【0024】
この本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットによれば、高温環境下で稼働した場合や、密閉筐体1に内包された回転ポンプ2が例えば真空ポンプとして真空度が高い範囲で使用されて発熱量が大きな場合でも、密閉筐体1の内部空気が過熱されることを防止できることで、高いポンプ性能を維持でき、装置寿命を長期化できるという特別有利な効果を奏する。すなわち、密閉筐体1内の内部空気を、送風装置6よって流動させて液冷熱交換器5を通過させることで、回転ポンプ2の周囲に過熱空気が淀むことを防止し、その内部空気を効率よく循環させて冷却できる。このため、回転ポンプ2などの発熱による密閉筐体1内の温度上昇を適切に抑制でき、電動モータ3や電装品等へ悪影響を及ぼすことを防止できるため、高いポンプ性能を維持でき、装置寿命を長期化できる。
【0025】
また、密閉筐体1外への排熱は、全て又は殆どが熱交換用の冷却液(冷却水)を媒介にしているため、周囲への放熱を最小限にすることができ、設置環境へ与える影響が極めて小さいという利点がある。例えば、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットが設置される部屋の空調負担を低減できる。
さらに、密閉筐体1によって密閉構造にできるため、運転音低減効果が大きいという利点もある。なお、本形態例に係る密閉筐体1による密閉構造の実施例によれば、騒音を73dBまで低減できている。
そして、このように密閉筐体1によって密閉構造にすることで、筐体内部と外界との間の気体の流出入が十分に制限されているため、高湿環境においても筐体内部の結露水の発生量が少ない。すなわち、冷却液を供給できれば、密閉筐体1の内部温度は、製品設置環境(温度・湿度)の影響を受けづらいため、広範囲の環境温湿度域で使用できるようになる。
なお、後述するように本形態例は、第1のマフラー部31及び第2のマフラー部32を密閉筐体1内に収容するものであり、これらのマフラー部から発散される熱も含めて、密閉筐体1の内部空気を冷却できるように構成されている。
【0026】
また、本形態例では、密閉筐体1の内部に配されて回転ポンプ2を覆うように設けられ、密閉筐体1の内部で循環する前記内部空気が導入される循環空気入口部25aと、前記加熱空気を含む前記内部空気が排出される循環空気出口部25bとが設けられるように形成されたポンプカバー部25を備えている。なお、このポンプカバー部25に対する送風装置6の設置位置は、内部空気が循環空気入口部25aから導入されて循環空気出口部25bから排出されるように流れることができれば、本形態例に限定されるものではなく、液冷熱交換器5との位置関係と含めて適宜選択的に設定することも可能である。
【0027】
このポンプカバー部25によれば、回転ポンプ2による発熱を、そのポンプカバー部25の内側に留めることができ、その熱が、ポンプカバー部25の外側へ放熱されて密閉筐体1内の全体空間へ分散されることを抑制できる。これによれば、回転ポンプ2による熱を分散させないことで、高温空気(加熱空気)を集めた状態で液冷熱交換器5へ送ることができ、効率的に加熱空気を冷却できる。すなわち、その加熱空気と液冷熱交換器5の温度差をより大きくとることができ、熱交換が効率良くなされ、密閉筐体1内の温度上昇を効率よく抑制できる。また、高温空気を集めた状態で液冷熱交換器5へ送るため、循環空気出口部25bは流路が絞られた形態となり、液冷熱交換器5の小型化を図ることもでき、製品コストの低減にもなる。
【0028】
本形態例のポンプカバー部25は、内部空気が回転ポンプ2の外表面の全体に効果的に接触するように流れることで、その外表面を効率的に冷却できるように、回転ポンプ2の排気側(電動モータ3が接続されている側とは反対側)で、回転ポンプ2の周囲を取り巻いて帯状に開放した循環空気入口部25aが形成されるように設けられている。そして、回転ポンプ2によって加熱された加熱空気を含む内部空気が排出される循環空気出口部25bが、内部空気を集めて液冷熱交換器5へ導くように、その流路が絞られた形態になっている。さらに、本形態例では、循環空気出口部25bは、液冷熱交換器5の前記熱交換室における内部空気の導入口に気密シール状態に接続されている。これによれば、内部空気の流れを適切に発生させ、内部空気を適切に循環させることができ、熱交換が効率良くなされ、密閉筐体1内の温度上昇を効率よく抑制できる。
【0029】
また、本形態例では、液冷熱交換器5の導入口が、循環空気出口部25bの側に接続され、送風装置6が、前記内部空気を吸引して循環空気入口部25aから循環空気出口部25bへ流して液冷熱交換器5を通すように、その液冷熱交換器5に接続されている。なお、本形態例では、この送風装置6の内部空気の吸引口が、液冷熱交換器5の前記熱交換室における内部空気の排出口に気密シール状態に接続されている。
【0030】
これによれば、内部空気のスムースな流れを合理的且つ効果的に生じさせることができ、内部空気を効率的に循環させることができ、熱交換が効率良くなされ、密閉筐体1内の温度上昇を効率よく抑制できる。また、本形態例のように送風装置6が液冷熱交換器5に配されていることで、この送風装置6自体が、液冷熱交換器5によって冷却された空気を吸引することになって過熱されることが防止され、その装置寿命を長期化できる。
なお、本形態例では、ポンプカバー部25(図3~6など参照)が、回転ポンプ2のポンプ室ボディ部110や軸受ボディ部120(図13~18など参照)の範囲を覆うように設けられている。すなわち、後述するように液冷がされている第1のマフラー部31を除いた表面温度が高い部位を効果的に覆っている。また、循環空気入口部25aが適性に形成されるように、ポンプカバー部25の内面と回転ポンプ2の外表面との間に設けられる隙間の大きさ(通気路の幅)は、内部空気が流動する際の通気抵抗がなるべく上昇しないと共に、回転ポンプ2の発熱によって加熱された内部空気(加熱空気)がなるべくポンプカバー部25の外側へ分散しない範囲に設けられていればよい。
【0031】
また、本形態例では、回転ポンプ2が二軸回転ポンプであって、一方のロータ回転軸(回転軸20A)が電動モータ3の回転軸3aに直列に接続されて回転され、他方のロータ回転軸(回転軸20B)がギヤを介して一方のロータ回転軸(回転軸20A)とは反対方向へ同期して回転されるように設けられ、他方のロータ回転軸(回転軸20B)が配されたその回転軸20Bの軸心の延長上のスペースであって電動モータ3と一方のロータ回転軸(回転軸20A)とが接続される部位に隣接するスペースに、液冷熱交換器5及び送風装置6が配置されている。
【0032】
これによれば、密閉筐体1の内部スペースを好適に利用して、内部空気を好適に循環させることができる。
なお、本形態例の一方のロータ回転軸(回転軸20A)と電動モータ3の回転軸3aとは、図4などに示すように、カップリング3bを介して直列に接続されている。また、図3などに示すように、3cは安全カバーであり、回転駆動するカップリング3bを含む回転軸(3a、20A)の接続部を、安全のために覆っている。さらに、このカップリング3bには、送風羽根を回転軸(3a、20A)と同軸に取り付けて、送風を行うように構成することもできる。この送風羽根によれば、冷却性能を向上させることができる。
【0033】
また、本形態例では、電動モータ3に、その電動モータ3を冷却するように送風する電動モータ冷却用の送風ファン7が設けられ、その送風ファン7は、一方のロータ回転軸(回転軸20A)に接続される側とは反対側の回転軸に配されてモータ本体へ向けて送風するように設けられている。
【0034】
これによれば、図1に太線の矢印で示したように、内部空気のスムースな循環流を合理的且つ効果的に生じさせることができ、熱交換が効率良くなされ、密閉筐体1内の温度上昇を効率よく抑制できる。すなわち、図1に示すように、先ず、送風装置6によって吸引されることで、内部空気が、ポンプカバー部25の内側を通って加熱された後に、液冷熱交換器5を通って冷却される。次に、その液冷熱交換器5から吸引された内部空気は、その送風装置6によって回転ポンプ2から離れる方向(図5における送風装置6から左方向)へ排出され、電動モータ3の側方(図5における電動モータ3の上側)を流れることになる。次に、その液冷熱交換器5によって冷却されて送風装置6から排出された内部空気は密閉筐体1の内側面にあたり、その一部の内部空気は、電動モータ3の送風ファン7に吸引されて反転し、その電動モータ3のモータ本体を冷却するように流れた後、回転ポンプ2の本体の側へ流れることになる。そして、ポンプカバー部25の周囲に流れてきた内部空気は、反転して循環空気入口部25aから、送風装置6の吸引力によって、そのポンプカバー部25の内側へ引き込まれることになる。以上のように、空気流が発生することで、内部空気を適切に循環させることができ、熱交換が効率良くなされ、密閉筐体1内の温度上昇を効率よく抑制できる。
【0035】
さらに、本形態例において、密閉筐体1の前面部側に形成された配電盤8には、図1図9及び図10に示すように、小室状に形成された配電盤8内の空気を流動させる空冷手段として、その配電盤8の下部に、電装品冷却用の送風機9が装着されている。
【0036】
この本形態例の電装品冷却用の送風機9によれば、密閉筐体1内の内部空気(冷却用気体)の一部を、配電盤8内へ吸引し、その配電盤8内で下から上へ流動させ、その配電盤8内の図示しない上部の開口から排出するように送風できる。これによって、その配電盤8内に設置された発熱性の高い電装部品82やインバータ装置83などを効率的に冷却することができる。また、配電盤8から排出された内部空気は、ポンプカバー部25の循環空気入口部25aからポンプカバー部25の内部に吸引される。なお、図9及び図10に示すように、81は操作部であり、発熱性が低いため、本形態例では個別に空冷手段を設けず、配電盤8と離れた位置に配されている。
【0037】
また、本形態例では、図13~21に基づいて詳しく説明するように、回転ポンプ2が、液冷されるように冷却液供給源4に接続されている。なお、本形態例では、冷却液供給源4から流れる冷却液は、先ず、液冷熱交換器5を通り、次に排気口55(図13など参照)から排出される排気を冷却するように、その配管が直列に接続されている。このように、液冷熱交換器5及び回転ポンプ2の両方が液冷されることで、密閉筐体1内の温度上昇を効果的に抑制できる。
【0038】
次に、冷却液供給源4から供給される冷却液に係る流路について、その具体例を図面(図1図3図7図9~15など)に基づいて説明する。
冷却液供給源4は、密閉筐体1の背面に設けられた冷却液供給接続口4aに接続され、冷却液は、液流ポンプ(図示せず)によって、冷却液供給接続口4aから冷却液供給配管4bを通って、先ず、液冷熱交換器5に供給されて、その液冷熱交換器5を冷却する。なお、図9~12に示す二段に電動回転ポンプ200が配された形態例では、冷却液供給配管4bが二本に分岐されて、その二段の電動回転ポンプ200の夫々について冷却液が供給され、二本の冷却液排出配管4cが合流されて冷却液が排出されるように構成されている。
【0039】
次に、液冷熱交換器5を介して内部空気を冷却した冷却液は、冷却液接続管5b(図1図7など参照)を通って回転ポンプ2を冷却するために、冷却液入口接続部71a(図7図15など参照)に供給される。そして、その冷却液が、図13~21に基づいて後述するように軸受部冷却液流路71を通ることで、回転ポンプ2の軸受部40及びギヤボックス45が冷却され、それに伴ってギヤボックス45内の潤滑オイルが冷却される。
【0040】
次に、軸受部冷却液流路71を通った冷却液は、図13~21に基づいて後述するように、排気部冷却液流路72に導入されて回転ポンプ2の排気を冷却するように流れ、さらに延長部冷却液流路73を通って、回転ポンプ2の排気部であって第1のマフラー部31を構成する部分を冷却して延長部冷却液出口接続部73bから排出される。この延長部冷却液出口接続部73bには、冷却液排出配管4cが接続され、その冷却液排出配管4cの出口端が、冷却液供給源4へ接続される冷却液排出接続口4dになっている。
【0041】
以上の流路を通って流れることで、液冷熱交換器5と回転ポンプ2を冷却することができ、密閉筐体1の内部空気と回転ポンプ2の潤滑オイルや排気とを冷却した冷却液は、本形態例では冷却液供給源4に戻されて循環されることになる。なお、地下水などを利用する際には、循環しないで一方向へ流してもよいのは勿論である。
【0042】
これによれば、液冷熱交換器5と回転ポンプ2とに亘って直列に接続した液冷流路を流れる冷却液によって、液冷熱交換器5、回転ポンプ2の軸受部40及びギヤボックス45、回転ポンプ2の排気部である第1のマフラー部31の3箇所を順番に合理的に冷却することができる。つまり、各部の温度について、密閉筐体1の内部空気の許容温度に比較してギヤボックス内に貯留されるオイルの許容温度が高く、そのギヤボックス内に貯留されるオイルの許容温度に比較して回転ポンプの排気の許容温度がさらに高いという温度関係になっているため、上述の順で冷却液を流すことに合理性がある。すなわち、前述の3箇所を順次冷却する際に、その冷却液は徐々に加熱されていくが、それぞれの部分では、十分に冷却できる温度差(冷却液温度と被冷却部温度との温度差)を維持することができる。そして、このような直列に繋ぐ液冷配管は、配管の構成を簡素化してコスト低減ができる利点がある。
なお、その液冷配管は、本形態例に限定されるものではなく、並列に設けられてもよい。並列に配管することによれば、その流量を個々に調整することが可能になり、精密な冷却制御ができるという利点がある。
【0043】
次に、図1~7に示した形態例の密閉筐体1内の冷却効果について、具体的な測定データ(検証値)について説明する。
冷却液(冷却水)の温度を、最も高い想定温度の条件の例として32℃と設定し、各部の温度を測定することで、データを得た。
比較データとして、液冷熱交換器5が設置されなかった場合であって、回転ポンプ2を図13~21に示す形態例のように設けて水冷した場合は、密閉筐体1の内部空気が、80℃まで上昇した。
これに対して、本形態例のように、回転ポンプ2を上記のように水冷すると共に液冷熱交換器5を設置して内部空気を水冷した場合は、ポンプカバー部25の循環空気出口部25bにおける内部空気の温度が55℃となり、液冷熱交換器5を通過して送風装置6から排出されて電動モータ3及び配電盤8に循環される内部空気の温度が45℃になった。これによって、電動モータ3や電装部品82などの耐熱温度を、十分にクリアすることができた。また、冷却液供給源4に戻される冷却水の温度が40~45℃になった。
【0044】
ところで、回転ポンプ2の吸気配管は、吸気導入管接続口16が外部の吸気用の配管に接続できるように設けられ、その外部の吸気用の配管を介して外気を取り入れることができるように構成されている。また、逆流防止弁17が、吸気導入管接続口16と回転ポンプ2の吸気口15との間に接続されており、ポンプ2から吸気導入管接続口16への気体の流れを規制できるように設けられている。
また、90はドレン排出接続口であり、ドレンを外部に排出できる排出口になっている。このドレン排出接続口90へは、回転ポンプ2の下に配されたドレンパン91や、液冷熱交換器5に配された熱交換器用ドレンパン93が、ドレン配管92や熱交換器用ドレン配管94によって接続されており、発生したドレンを受けて適切に排出することができる。
【0045】
次に、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットの消音構造について、添付図面(図1~21)に基づいて詳細に説明する。本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットは、前述したように、基本構成として、気体を吸排気する回転ポンプ2及び該回転ポンプ2を駆動させる電動モータ3を備える電動回転ポンプ200と、その電動回転ポンプ200を内包する密閉筐体1とを備えるものである。
【0046】
この本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットに搭載される回転ポンプ2には、密閉筐体1の外部に配された冷却液供給源4から供給される冷却液によって排気が冷却される排気冷却部を兼ねて消音効果を生じる第1のマフラー部31が設けられている。そして、その第1のマフラー部31を通過した排気を導入して消音する第2のマフラー部32が、密閉筐体1の内部で電動回転ポンプ200の上方に配されている。
【0047】
この本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットによれば、回転ポンプ2が密閉筐体1内に内蔵される場合において、その回転ポンプ2の稼働によって発生する騒音をより合理的且つ効果的に減音できるという特別有利な効果を奏する。すなわち、冷却液によって回転ポンプ2の排気が冷却される第1のマフラー部31を備えると共に、電動回転ポンプ200の上部に第2のマフラー部32を配置することで、電動回転ポンプ200及びマフラー(第1のマフラー部31及び第2のマフラー部32)全体を、前述した密閉型の筐体(密閉筐体1)で効果的に覆うことができる。このため、その騒音を、マフラーや途中の配管等から漏れ出す音を含めて、遮蔽及び吸音でき、消音効果を効果的に高めることができる。そして、電動回転ポンプ200上方に配された第2のマフラー部32自体が、電動回転ポンプ200から発生する騒音を遮蔽する効果もある。本形態例に係るパッケージ型回転ポンプユニットの実施例によれば、騒音を73dBまで低減できており、高い静音性を実現できている。また、電動回転ポンプ200の上部に第2のマフラー部32を配置することで、フットスペースを抑えることができる。なお、吸音性能を向上させるためには、密閉筐体1を構成する部材の内面に吸音材を貼り付けた形態にすればよいのは勿論である。
【0048】
また、本形態例では、第2のマフラー部32が、複数の減音室によって構成され、該複数の減音室が、回転ポンプ2及び電動モータ3の接続方向と同方向であって密閉筐体1の長手方向に、直列的に配されて設けられている。
【0049】
これによれば、複数の減音室を、限られたスペースに好適に配置することができ、十分な減音効果を得ることができる。すなわち、本形態例の電動回転ポンプ200は、回転ポンプ2と電動モータ3を直列に接続した形態であるため、横長の形状になっており、本形態例のように密閉筐体1も横長に形成されている。そして、第2のマフラー部32は、電動回転ポンプ200の形態に沿うように、横長に設けられた密閉筐体1の内部に適切に配置することができ、全体構成をコンパクトに設けることができる。
【0050】
なお、第2のマフラー部32の内部構造としては、膨張、遮蔽、吸音などによる減音(消音)効果を高める形態を、適宜選択的に設計することができる。例えば、減音室を3室とし、その3室を直列に配した形態とすることで、コンパクトで減音性能が高い構造とすることができる。
さらに具体的には、例えば本形態例では、第2のマフラー部32が、軸方向に長尺な筒体状の外形を備えるもので、その長手方向に、一端側の減音室、中間部の減音室及び他端側の減音室を備えており、前記一端側の減音室では、第1のマフラー部の排気口57から延長された排気管によって導入された排気を、その排気管の先端側の穴開き管となっている部分から膨張されるように排出させることで減音させる。そして、前記一端側の減音室から前記他端側の減音室へ排気が送られるように管路が連通され、排気を前記他端側の減音室へ排出させることで膨張によって減音させる。さらに、前記他端側の減音室に導入された排気を反転させるように、前記他端側の減音室と前記中間部の減音室との隔壁に設けられた通気孔を介して前記中間部の減音室へ排気を排出させることで膨張によって減音させ、その排気を前記中間部の減音室から第2のマフラー部の排気排出口35を介して外部へ排出できるように設けられている。
【0051】
また、本形態例では、第2のマフラー部32が、密閉筐体1の内部に吊持された状態に設置されている。すなわち、図3図9などに示すように、本形態例の円筒型に形成された第2のマフラー部32が、筐体フレーム部1aの上部に固定されて下方へ延出された吊り部材37に固定され、密閉筐体1の上部から内側に吊り下げられた状態に設置されている。
【0052】
これによれば、電動回転ポンプ200の上方の空間を利用することで、膨張による消音効果の高い適正な容積を有すると共に、他の構成装置に比べて軽量なマフラー(第2のマフラー部32)を、適切且つ簡便に配置することができる。なお、第2のマフラー部32の前述の各減音室の内面に適宜に吸音材を貼り付けることで、吸音による消音効果を得ることができるのは勿論である。
【0053】
また、本形態例では、図3図4図7図9~12に示すように、電動回転ポンプ200が、密閉筐体1内に制振部材300を介して設置され、第1のマフラー部31と第2のマフラー部32とが振動緩衝配管33を介して接続されている。すなわち、本形態例では、電動回転ポンプ200が、耐振ゴムを備える制振部材300を介して密閉筐体1内のベース部1b上に設置され、第1のマフラー部の排気口57と第2のマフラー部の排気導入口34との間に振動緩衝配管33が接続され、排気が第1のマフラー部31から第2のマフラー部32へ流れるように設けられている。
【0054】
これによれば、電動回転ポンプ200が、制振部材300によって設置され、第2のマフラー部32との間については振動緩衝配管33によって接続されているため、電動回転ポンプ200の振動が、密閉筐体1の側へ伝達することを低減でき、防振及び防音の効果を好適に得ることができる。また、電動回転ポンプ200の振動が、第2のマフラー部32に伝達することを低減できるため、その第2のマフラー部32を適切且つより簡便に密閉筐体1内に設置できる。
【0055】
また、本形態例では、図8~12に記載した複数段(本形態例では2段)に電動回転ポンプ200が搭載されたパッケージ型回転ポンプユニットで示すように、第2のマフラー部32が密閉筐体1の内部の背面部側に配され、配電盤8が前面部側に配されている。これによれば、配電盤8が遮蔽部になって前面側へ透過する騒音をさらに低減できる。これによって、作業環境をより改善できる。
【0056】
次に、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットに用いられる回転ポンプの一例として、図13~21に基づいて、クローポンプの形態例について説明する。
このクローポンプでは、図13などに示すように、110はポンプ室ボディ部であり、二つの円の一部を重ね合わせた断面形状のポンプ室10(図22参照)を形成するように、シリンダ部10a、そのシリンダ部10aの一方の端面に設けられた一方の端壁部10b、及びそのシリンダ部10aの他方の端面に設けられた他方の端壁部10cを備えている。
【0057】
また、二つの回転軸20A、20Bが、ポンプ室10内で平行に配されて一対の歯車21A、21Bによって反対方向に同一速度で回転されるように設けられている。本形態例では、この二つの回転軸20A、20Bには、それぞれに、歯車21A(駆動側歯車)、21B(従動側歯車)が一体的に固定されて設けられている。その一対の歯車21A、21Bは、軸受ボディ部120によって構成されているギヤボックス45内で噛合されている。
【0058】
また、二つのロータ30A、30Bが、二つの回転軸20A、20Bに対応して設けられてポンプ室10内に配され、相互に非接触状態で回転されて吸入した気体を圧縮して排気できるように鉤形の爪部(図22参照)が形成され設けられている。そして、ポンプ室ボディ部110の一方の端壁部10bが一対の歯車21A、21Bを内包するギヤボックス45の側に位置し、ポンプ室ボディ部110の少なくとも他方の端壁部10cに気体を排出する排気口55が設けられている。これによって、二軸回転ポンプの一種であるパッケージ型回転ポンプユニットが、構成されている。
【0059】
本形態例では、二つのロータ30A、30Bが二つの回転軸20A、20Bのそれぞれの一端(一方の先端)に対応して配されて片持ち状態に支持されるように二つの回転軸20A、20Bが軸受部40によって軸受けされ、ポンプ室ボディ部110の一方の端壁部10bが軸受部40の側に位置し、ポンプ室ボディ部110の他方の端壁部10cに気体を排出する排気口55が設けられている。なお、15は吸気口であり、ポンプ室10内における気体が圧縮されない部位に面する位置に、開口されて設けられている。本形態例の吸気口15は、ポンプ室ボディ部110の上部の角部であって、シリンダ部10aの上壁部と一方の端壁部10bの上部とに亘って切り欠かれた形態に設けられている。また、14は吸気接続口であり、下端が吸気口15に接続され、上端が空圧機器(図示せず)に管路を介して接続されるように設けられている。
【0060】
そして、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットでは、ポンプ室ボディ部110の他方の端壁部10cの側に、排気口55から排出される排気を冷却するように、冷却液を通すための排気部冷却液流路72が設けられている。なお、本形態例(真空ポンプとして利用される場合の例)において、排気口55から排気が排出される状態とは、ポンプ室10が外気である大気(空気)に連通して開放されている状態であり、その排気が大気(空気)中に放出されることになる。また、冷却液の液体とは、冷却水が代表的であるが、不凍液のような水との混合液(水溶液)や、油などを含み、水以外の他の液体を利用できるのは勿論である。
【0061】
この本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットによれば、真空ポンプとして到達真空度が絶対真空により近い値となる真空度が高い範囲で使用される場合でも、ポンプ室10が過熱されることを、より積極的且つ効果的に防止でき、ポンプ性能を格段に向上させることができる。
【0062】
すなわち、ポンプ室ボディ部110の他方の端壁部10cの側に排気部冷却液流路72を設けることで、冷却液によって排気口55から排出される直後の排気を効果的に冷却することができる。これによれば、真空度が一定以上の高い範囲で使用される真空ポンプであって、排気が逆流することで加熱される場合であっても、ポンプ室10の内部温度の上昇を抑制できる。このため、ポンプ室10の壁内面と二つのロータ30A、30Bとを非接触とするクリアランスを小さく設定することが可能になり、そのクリアランスによる気体の洩れを少なくすることができるため、ポンプ効率を向上できる。
【0063】
また、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットよれば、前述のようにクリアランスを小さく設定できることで、より到達真空度を高めることができると共に、排気の逆流があっても過熱を防止できることで、排気口55の開口面積をより広く設定できることになり、より処理風量が大きい真空ポンプを構成することができる。
【0064】
そして、本形態例のパッケージ型回転ポンプユニットによれば、最も加熱される排気口55が設けられた他方の端壁部10cの側を、局所的に積極的に冷却している形態となっている。すなわち、温度勾配(温度差)が大きく生じるポンプ室ボディ部110に対してその温度差を低減するように、ポンプ室ボディ部110の壁部のうちの排気口55を中心とした他方の壁部10cの側を優先させて冷却することで排気を冷却する構成になっている。このように排気を冷却してポンプ室10の過熱を防止できることで、実施例において内部温度差が約140℃も低減されることが確認されていると共に、到達真空度を97kPaまで高めることが確認されており、ポンプ性能を格段に向上できる。なお、従来は、到達連続運転を行う限界として、ポンプ室10の壁内面及び二つのロータ30A、30Bの相互間の接触(内部干渉)が生じることを回避するため、到達真空度が90kPa程度までの運転しかできなかった。これに対して、本発明によれば、より到達真空度の高い締め切り運転を連続的に行うことができるようになっている。
【0065】
ところで、パッケージ型回転ポンプユニットでは、気体の圧縮率が高く、気体が加熱されて排気されるため、排気口55の部分が最も過熱され易く、その排気口55が形成された他方の端壁部10cの部分が他の部分よりも高温になる。そして、その他方の端壁部10cと比較すれば、ポンプ室ボディ部110の他の部分は低温となる。このため、もしも、シリンダ部10aなどを含めてポンプ室ボディ部110を全体的に同じように冷却すると、他方の端壁部10cの排気口55と他の部位との温度差が維持されてしまい、熱膨張によって動作部であるロータ30A、30Bに係る干渉が生じるという問題を解消できないことになる。
【0066】
また、本形態例によれば、排気部冷却液流路72へ冷却液を導入する冷却液導入口72b(図20参照)が排気口55の近傍に設けられ、排気部冷却液流路72が形成される部位には、排気口55の近傍に冷却液が先行して巡るように、導入された冷却液の流れを規制する冷却液流規制部61bが設けられている。なお、本形態例の冷却液流規制部61bは、図20に示すように、後述する第1の流路形成部61の冷却液流路形成面61aの複数箇所(本形態例では2箇所)にリブ状に突起した形態に設けられている。
【0067】
これによれば、ポンプ室ボディ部110の最も加熱される部分である排気口55を中心にした部位(排気口55の周囲)を冷却することで排気口直後の排気を効果的に冷却でき、その排気口55の周囲と排気の温度を下げることで、その排気口55の周囲が過度に加熱されて熱膨張によって偏って変形することをバランス良く抑制できる。このように、ポンプ室ボディ部110及び二つのロータ30A、30Bの熱膨張をバランス良く抑制できるため、それらの相互のクリアランスを小さくすることができ、ポンプ効率を向上できる。
【0068】
なお、パッケージ型回転ポンプユニットでは、駆動安定性の面から一般的に、排気口55がポンプ室10の下部に対応する部位(本形態例では他方の端壁部10cの下部)に設けられることになる。そして、本形態例では、前述のように冷却液導入口72bが配され、排気部冷却液流路72のうちの他方の端壁部10cの下部に位置する排気口55の近傍の部分をより温度の低い冷却液で先行して冷却し、そのように他方の端壁部10cを冷却した冷却液が排気部冷却液出口接続部72dを通るように上方へ排出される形態になっている。このとき、冷却液は、熱交換されて温度が上昇することで比重が小さくなって上方へ向かう流れのベクトルを生じる。この冷却液の流れによれば、下部の排気口55の部分を効果的に冷却できると共に、冷却液の温度上昇による流れの方向性と、冷却液を上方へ排出させるための流れの方向性を揃えることができる。このため、冷却液をスムースに通過させることができ、その冷却効率を効果的に高めることができる。
【0069】
また、本形態例によれば、排気部冷却液流路72が、ポンプ室ボディ部110の他方の端壁部10cに、その他方の端壁部10cの外面の側を覆うように配される部位であってその他方の端壁部10cの外面との間で前記排気部冷却液流路72を形成するように設けられた冷却液流路形成面61aを備える第1の流路形成部61が配されることによって、設けられている。これによれば、排気部冷却液流路72を、効果的且つ合理的に構成することができる。
【0070】
なお、本形態例の第1の流路形成部61は、図13、20、21に示すように、両面に流路が形成されるように凹凸が形成された盤状の部材によって設けられており、ボルトによって他方の端壁部10cの外面に固定され、シール部材65によって合せ部が水密シールされて排気部冷却液流路72が形成されるように設けられている。本形態例の合せ部は、排気口55の排気路を延長するようにその排気口55を囲う矩形のループ枠状に形成された内ループ合せ部61cと、他方の端壁部10cの周縁部にループ枠状に当接するように形成された外ループ合せ部61dとによって構成されている。そして、この内ループ合せ部61cと外ループ合せ部61dとの間に、排気部冷却液流路72が形成されて冷却液が満たされる形態となっている。これによれば、他方の端壁部10cの外側の壁面に対し、全面的に冷却液を接触させて効率的に冷却できる形態になっている。また、この構造は、層状の排気部冷却液流路72をポンプ室ボディ部110の外端面外側へ平面的に積み重ねる形態であり、コンパクトな構成になっている。
【0071】
また、本形態例の第1の流路形成部61では、他方の端壁部10cの外面と向き合う面(対面)である冷却液流路形成面61aに、排気部冷却液流路72の一部であって溝状の通路である排気口周囲流路部72cが形成されるように、冷却液流規制部61bを構成する通路形成壁が突起した形態に設けられている。すなわち、本形態例では、他方の端壁部10cの外面がフラットな面であり、図13及び20に示すように、第1の流路形成部61の冷却液流路形成面61aの側に、排気部冷却液流路72を適切に曲げて誘導するための通路形成壁(冷却液流規制部61b)が設けられている。なお、本発明はこれに限らず、他方の端壁部10cの外面の側に、通路形成壁を適宜に設けることも可能である。
【0072】
また、本形態例によれば、排気が第1の流路形成部61によって冷却されるように、第1の流路形成部61の冷却液流路形成面61aとは反対の面であって第1の流路形成部61の外面である排気流路形成面61eの側に排気が通る排気流路56が設けられている。すなわち、排気流路56は、排気口55に接続された流路となっており、排気口55から排出された排気を通す流路になっている。
【0073】
この排気流路56によれば、過熱された排気を効果的に冷却でき、その排気の温度を下げることでポンプ室10内の温度を下げ、そのポンプ室10を形成するポンプ室ボディ部110や二つのロータ30A、30Bという構成部材が過熱されて熱膨張することをバランス良く抑制できる。
また、この排気流路56は、排気の流れの方向を適宜に規制できるものであり、排気の冷却を促進するための形態になっていると共に、排気音を低減させるマフラーの構造を兼用するものになっている。すなわち、この排気流路56が形成される構造によって、第1のマフラー部31が構成されている。なお、57は第1のマフラー部の排気口であり、第1の流路形成部61の上壁部に開口されて設けられ、排気流路56の排気口になっており、この第1のマフラー部の排気口57により外部に排気される。本形態例の第1のマフラー部の排気口57は、図21に示すように、内部の側で流路が絞られた形状に設けられており、消音効果を高めるように形成されている。
【0074】
また、本形態例によれば、排気流路56が、第1の流路形成部61に、その第1の流路形成部61の外面の側を覆うように配される部位であってその第1の流路形成部61の外面との間で前記排気流路56を形成するように設けられた排気流路形成面62aを備える第2の流路形成部62が配されることによって、設けられている。これによれば、排気流路56を、効果的且つ合理的に構成することができ、排気口直後の排気を排気流路形成面61e及び排気流路形成面62aの両面で効果的に冷却できる。また、この構造は、層状の排気流路56をポンプ室ボディ部110の外端面外側へ平面的に積み重ねる形態になっており、コンパクトな構成になっている。
【0075】
なお、本形態例の第2の流路形成部62は、図13などに示すように、内面(第1の流路形成部61の外面の側に当接する面)である排気流路形成面62aがフラットに形成された盤状の部材によって設けられおり、ボルトによって第1の流路形成部61の外面(排気流路形成面61e)の側に固定されている。また、この排気流路形成面62a(フラットな面)に対して、第1の流路形成部61の外面(排気流路形成面61e)の側には、排気流路56となる溝状の通路が形成されるように、排気通路形成壁61fが突起した形態に設けられている。そして、第1の流路形成部61の外面の側である外周部のループ枠状合せ部61gや排気通路形成壁61fと、第2の流路形成部62の内面とは、密着固定によって実質的に気密状態にされるか、シール部材を配置して気密状態にすることができる。なお、本発明はこれに限定されず、排気流路形成面62aの側に排気通路形成壁を設けることも可能である。そして、図21に示すように、排気流路56が複雑に曲げられた流路に形成されていることで、排気の冷却をより促進できると共に、マフラー室として適切に機能して排気音をより低減させることができる。
【0076】
さらに、本形態例によれば、排気部冷却液流路72に連続する延長部冷却液流路73が、第2の流路形成部62に、その第2の流路形成部62の外面(延長流路形成面62b)の側を覆うように配される部位であってその第2の流路形成部62の外面(延長流路形成面62b)との間で前記延長部冷却液流路73を形成するように設けられた延長流路形成面63aを備える第3の流路形成部63が配されることによって、設けられている。これによれば、延長部冷却液流路73を、効果的且つ合理的に構成することができる。また、この構造は、層状の延長部冷却液流路73をポンプ室ボディ部110の外端面外側へ平面的に積み重ねる形態になっており、コンパクトな構成になっている。さらに、この層状の延長部冷却液流路73とこれを構成する構造壁とによれば、騒音を低減できる。すなわち、この延長部冷却液流路73や前述の排気部冷却液流路72を形成する構成が、音を遮蔽して騒音を低減する構造となっており、第1のマフラー部31の構成要素にもなっている。
【0077】
なお、本形態例の第3の流路形成部63は、図13などに示すように、フラットな平板状の部材(プレート部材)によって設けられており、ボルトによって第2の流路形成部62の外面側に固定され、第2の流路形成部62の外面にループ枠状に設けられた周縁合せ部62cにシール部材65によって水密シールされて延長部冷却液流路73が形成されるように設けられている。また、本形態例では、延長部冷却液流路73が扁平に形成された層状のスペースに冷却液を滞留させるような形態になっているが、これに限定されるものではなく、適宜な形態に流路を設定してもよいのは勿論である。さらに、延長部冷却液流路73を多層化して冷却性能を高めることも可能である。また、この延長部冷却液流路73においても、排気部冷却液流路72と同様に、冷却液が下部から上部へ流れが発生するように流れるように、第2の接続配管72eの上部に設けられて排気部冷却液流路72に接続された排気部冷却液出口接続部72dから、第2の接続配管72eの下部に設けられた延長部冷却液入口接続部73aへ当該第2の接続配管72eを介して連通され、延長部冷却液流路73を流れた冷却液が外部に排出されるように、延長部冷却液出口接続部73bが上部に設けられている。
【0078】
ところで、本形態例では、ポンプ室10が、シリンダ部10a及び一方の端壁部10bと第1の軸受部40aが設けられた一方の構造壁部121aが一体的に設けられたシリンダケース11と、他方の端壁部10cとして設けられたサイドプレート12とがシール状態に固定されることよって形成されている。このように本形態例では、ポンプ室10が、二つに分割した部材によって形成されているが、これに限定されず、例えばシリンダ部10aと一方の端壁部10bと他方の端壁部10cとの主に三つに分割した部材によって形成されても良いのは勿論である。
【0079】
次に、本発明に係る二軸回転ポンプであって、二つの回転軸20A、20Bを軸受けする軸受部40を冷却する構成の形態例を添付図面(図13~21)に基づいて詳細に説明する。なお、本形態例の二軸回転ポンプは、以上に説明したようにパッケージ型回転ポンプユニットであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、ルーツポンプやスクリューポンプといった他の二軸回転ポンプについても適用できる。また、本発明に係る二軸回転ポンプでは、本形態例のような二つのロータ30A、30Bが片持ち状態に軸受・支持されている形態に限定されず、回転軸20A、20Bを両端で回転自在に軸受けする形態の二軸回転ポンプにも、適用できる構成になっている。
【0080】
本発明に係る二軸回転ポンプでは、図13に示すように、二つの回転軸20A、20Bを軸受けする軸受部40が設けられる構造壁部121を構成すると共に、二つの回転軸20A、20Bに対応して設けられて噛合する一対の歯車21A、21Bを内包するギヤボックス45としての構造壁部121を構成する軸受ボディ部120を備える。なお、本形態例の軸受ボディ部120では、二つのロータ30A(駆動側ロータ)、30B(従動側ロータ)が、二つの回転軸20A(駆動側回転軸)、20B(従動側回転軸)の一端にそれぞれ配されて片持ち状態に支持されるように、回転軸20A、20Bを軸受けする軸受部40が設けられている。この軸受ボディ部120とポンプ室ボディ部110とによって、二軸回転ポンプのポンプ本体100が構成されている。
【0081】
そして、ポンプ室ボディ部110と軸受ボディ部120との間に、熱伝導を抑制できる冷却用の隙間60が形成されるように、ポンプ本体100が、ポンプ室ボディ部110と軸受ボディ部120とに区画されて設けられ、軸受ボディ部120のポンプ室ボディ部110の側に位置する構造壁部121(本形態例では、一方の構造壁部121a)に、冷却液を通すための軸受部冷却液流路71が設けられている。
【0082】
これによれば、二つのロータ30A、30Bの駆動によって生じる圧縮気体(排気)の熱が軸受ボディ部120に伝わることを低減する伝熱防止効果と共に、軸受部冷却液流路71を通る冷却液の冷却効果によって、軸受部40などを構成する機能部品を長寿命化することができるという特別有利な効果を奏する。すなわち、本発明によれば、ポンプ室ボディ部110と軸受ボディ部120とに区画して冷却用の隙間60を設けることによって伝熱量が最小限となるように熱伝導を抑制できると共に、軸受部冷却液流路71を通る冷却液によって軸受ボディ部120をより積極的に冷却できるため、装置の信頼性を向上できる。この実施例においては、潤滑オイルの温度上昇を、約40℃も低減できることが確認されている。
なお、機能部品とは、ベアリング41やオイルシール42を含む構成部材のことであり、消耗部品として扱われるものである。これらの機能部品の長寿命化を図ることで、ランニングコストを低減できる。
【0083】
ところで、本形態例の軸受部40は、二つの歯車21A、21Bと二つのロータ30A、30Bの間で二つの回転軸20A、20Bを軸受けするように、軸受ボディ部120におけるポンプ室ボディ部110側の構造壁部(一方の構造壁部121a)に設けられた第1の軸受部40aと、該第1の軸受部40aと反対の構造壁部であって駆動モータ(電動モータ3(図3など参照))が連結される側に配された構造壁部(他方の構造壁部121b)で二つの回転軸20A、20Bを軸受けするように設けられた第2の軸受部40bとによって構成されている。なお、電動モータ3の回転軸3aは、回転軸20A(駆動側回転軸)とカップリング3b(図4など参照)を介して連結される。
【0084】
また、本形態例では、二つの回転軸20A、20Bを水平に配することで設置される横置き型に設けられ、軸受部冷却液流路71が、ギヤボックス45内に貯留される潤滑オイルを冷却するように、静止時の貯留状態の前記潤滑オイルの液面よりも下側を通るように、軸受ボディ部120の構造壁部121の下部に設けられている。なお、潤滑オイルの静止時の液面は、ギヤボックス45(オイル室)の内底面と水平に配される前記回転軸20A、20Bとの間に位置するように設定されている。これによれば、潤滑オイルを効果的に冷却でき、その潤滑オイルが、回転する二つの歯車21A、21Bによって掻き上げられることによって、歯車21A、21B及びベアリング41を潤滑すると共に、ギヤボックス45内を冷却できるようになっている。
【0085】
なお、本形態例では、軸受部冷却液流路71が、軸受ボディ部120における第1の軸受部40aの下部(第1の軸受部40aのベアリング41の下側)に、一本の直線的な貫通孔の形状に設けられており、局所的に配された形態となっている。これによれば、ポンプ室ボディ部110側からの熱伝導がされ易い軸受ボディ部120の部分を積極的に冷やすと共に、潤滑オイルを効果的に冷却できるという効果がある。
【0086】
さらに、本形態例では、ポンプ室10の排気口55が、ポンプ室ボディ部110の下部に設けられている。これによれば、軸受部冷却液流路71が、前記のように軸受ボディ部120の構造壁部121の下部に設けられている際に、熱伝導が効果的に抑制され、軸受部40が過熱されることを抑制することができる。
【0087】
また、本形態例のように二つの回転軸20A、20Bを水平に配することで設置される横置き型に設けられた構成に加えて、冷却用の隙間60に、下側から上側へ抜けるように空気を流す送風手段を設けても良い。これによれば、ポンプ室ボディ部110と軸受ボディ部120とを効果的に空冷することができ、二軸回転ポンプの信頼性をより向上させることができる。すなわち、ポンプ室ボディ部110と軸受ボディ部120との間に、冷却風を適切に流すことができるため熱伝達をより効果的に抑制でき、放熱による冷却を促進できる。これによって、軸受ボディ部120の温度上昇を抑制することができ、機能部品の長寿命化を実現できる。
【0088】
そして、本発明の二軸回転ポンプによれば、軸受ボディ部120を冷却した冷却液がポンプ室ボディ部110を冷却するように、軸受部冷却液流路71がポンプ室ボディ部110に設けられた冷却液流路に接続されていることを特徴とすることができる。これによれば、潤滑オイルが沸騰してオーバーヒートすることがないように、軸受部冷却液流路71を流れる冷却液の温度の方が、ポンプ室ボディ部110に設けられた冷却液流路を流れる冷却液の温度よりも低くすることができ、冷却液を効果的に利用できる。
【0089】
また、本形態例では、冷却液が、軸受部冷却液流路71から排気部冷却液流路72の順で流れるように、軸受部冷却液流路71に排気部冷却液流路72が接続されている。これによれば、一つの冷却液供給源4(図1図2)によって、軸受ボディ部120の軸受部40(第1の軸受部40a)を構成する構造壁部121(一方の構造壁部121a)と、ポンプ室ボディ部110の他方の端壁部10cの側とを直接的に順次効果的に冷却することができる。なお、本形態例の冷却液は、冷却液供給源4(図1図2)から供給され、冷却液入口接続部71a(図15図17図19)、軸受部冷却液流路71(図13図19)、軸受部冷却液出口接続部71b(図14図16図18図19)の順に流れ、そして、第1の接続配管71c(図14図16図18図19)、排気部冷却液入口接続部72a(図14図16図18)、冷却液導入口72b(図20)の順に流れ、排気部冷却液流路72(図13図20)へ供給され、延長部冷却液流路73を流れて、ポンプ2の外部に排出されるようになっている。これに限らず、軸受部冷却液流路71と排気部冷却液流路72とを接続しないで、冷却液を別々に供給して良いのは勿論であり、個別に冷却液の供給を調整することで最適化するようにしても良い。
【0090】
また、本形態例の軸受部冷却液流路71、排気部冷却液流路72及び延長部冷却液流路73によって構成される流路では、軸受部冷却液流路71よりも上側に排気部冷却液流路72が配され、排気部冷却液流路72及び延長部冷却液流路73においては冷却液が下から上へ流れるように構成されており、冷却液の温度上昇による流れの方向性と、冷却液の流れの方向性を揃えることで冷却液をスムースに流すことができ、効果的に軸受部40及び排気を冷却することができる。
【0091】
以上に説明した二軸回転ポンプの冷却構造によれば、パッケージ型回転ポンプユニットに合理的に対応して冷却性能を高めることができ、ポンプ性能を向上できる。また、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットでは、ポンプ室10の下側が過熱し易く、その下側から冷却できる構造を前述のように適切に形成できる。このため、ポンプ室10を効率よく冷却することができ、ポンプ性能を高めることができると共に、前述のように機能部品の長寿命化を実現できるという特別有利な効果を奏することができる。
【0092】
また、本形態例においては、図13~19に示すように、ポンプ室ボディ部110と軸受ボディ部120との間の冷却用の隙間60は、一方の端壁部10bとその一方の端壁部10bに対面する第1の軸受部40aが設けられた一方の構造壁部121aとの間を、複数の柱状部115で一体化している形態になっており、その柱状部115が設けられていない部分で、前記冷却用の隙間60が形成されるように設けられている。このような形状は、例えば、鋳物成型によって製造する場合は、中子によって、冷却用の隙間60が形成されるようにすればよい。また、本発明はこれに限定されるものではなく、図22に示すように、一方の端壁部10bを含むポンプ室ボディ部110側の部材と、その一方の端壁部10bに対面する軸受部40の構造壁部121を構成する軸受ボディ部120側の部材とが、別部材で構成され、双方に形成された柱状連結部111、122によって連結することで、冷却用の隙間60を形成することができるのは勿論である。
【0093】
また、本発明に係るパッケージ型回転ポンプユニットにおいては、以上に説明した構成に加えて、一方の端壁部10bと他方の端壁部10cとの少なくともどちらかの部位であって、ポンプ室10内における気体が圧縮される部位に面する位置に開口されて設けられた排気側開口部50が、二つのロータ30A、30Bの爪部同士によって気体の圧縮比が最大化する前段でポンプ室10の外部に連通される前段通気口51と、二つのロータ30A、30Bの爪部同士によって前記前段よりも気体の圧縮比が最大化する段階を含んでポンプ室10の外部へ排気するように連通される後段排気口とによって設けられ、その後段排気口が、他方の端壁部10cに設けられた排気口55であり、その排気口55がポンプ室10の外部に連通されて気体の圧縮比が最大化する段階で、前段通気口51が前記ロータによって閉じられるように設けることもできる。
【0094】
これによれば、排気が逆流することを防止してポンプ室10の過熱を抑制でき、ポンプ性能を向上できる。この排気の逆流防止効果と、前述の冷却液による冷却効果などとの相乗効果によって、ポンプ室10の過熱をより効果的に防止し、ポンプ性能を向上できる。
【0095】
ところで、本形態例では、二つのロータ30A、30Bが片持ち状態に支持されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許文献1に開示されているような二つのロータ30A、30Bを二つの回転軸20A、20Bを介して両側から支持する構成のパッケージ型回転ポンプユニットにおいても効果的に適用できるものである。また、特許文献1に開示されているようなポンプ室ボディ部の一方の端壁部と他方の端壁部の両方に排気口を備えるパッケージ型回転ポンプユニットにおいても、効果的に適用できるものであり、他方の端壁部の側に設けられる排気部冷却液流路とのバランスを取った上で、一方の端壁部の側にも排気部冷却液流路を設ければよい。
【0096】
また、本発明では、例えば、冷却液の温度を調整管理することで寒冷地での使用に対応して本発明の使用範囲を拡大することが可能であり、冷却液を循環させるように熱交換器を用いてその冷却液を冷却するように構成することも可能であるなど、液冷式に用いられる付属的な管理方法や構成を適宜選択的に採用できるのは勿論である。
【0097】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0098】
1 密閉筐体
1a 筐体フレーム部
1b ベース部
1c 筐体カバー部
2 回転ポンプ
3 電動モータ
3a 回転軸
3b カップリング
3c 安全カバー
4 冷却液供給源
4a 冷却液供給接続口
4b 冷却液供給配管
4c 冷却液排出配管
4d 冷却液排出接続口
5 液冷熱交換器
5a 熱交換用の管路
5b 冷却液接続管
6 送風装置
7 送風ファン
8 配電盤
9 電装品冷却用の送風機
10 ポンプ室
10a シリンダ部
10b 一方の端壁部
10c 他方の端壁部
11 シリンダケース
12 サイドプレート
14 吸気接続口
15 吸気口
16 吸気導入管接続口
17 逆流防止弁
20A 回転軸(駆動側回転軸)
20B 回転軸(従動側回転軸)
21A 歯車(駆動側歯車)
21B 歯車(従動側歯車)
25 ポンプカバー部
25a 循環空気入口部
25b 循環空気出口部
30A ロータ(駆動側ロータ)
30B ロータ(従動側ロータ)
31 第1のマフラー部
32 第2のマフラー部
33 振動緩衝配管
34 第2のマフラー部の排気導入口
35 第2のマフラー部の排気排出口
37 吊り部材
40 軸受部
40a 第1の軸受部
40b 第2の軸受部
41 ベアリング
42 オイルシール
45 ギヤボックス
50 排気側開口部
51 前段通気口
55 排気口
56 排気流路
57 第1のマフラー部の排気口
60 冷却用の隙間
61 第1の流路形成部
61a 冷却液流路形成面
61b 冷却液流規制部
61c 内ループ合せ部
61d 外ループ合せ部
61e 排気流路形成面
61f 排気通路形成壁
61g ループ枠状合せ部
62 第2の流路形成部
62a 排気流路形成面
62b 延長流路形成面
62c 周縁合せ部
63 第3の流路形成部
63a 延長流路形成面
65 シール部材
71 軸受部冷却液流路
71a 冷却液入口接続部
71b 軸受部冷却液出口接続部
71c 第1の接続配管
72 排気部冷却液流路
72a 排気部冷却液入口接続部
72b 冷却液導入口
72c 排気口周囲流路部
72d 排気部冷却液出口接続部
72e 第2の接続配管
73 延長部冷却液流路
73a 延長部冷却液入口接続部
73b 延長部冷却液出口接続部
81 操作部
82 電装部品
83 インバータ装置
90 ドレン排出接続口
91 ドレンパン
92 ドレン配管
93 熱交換器用ドレンパン
94 熱交換器用ドレン配管
100 ポンプ本体
110 ポンプ室ボディ部
115 柱状部
120 軸受ボディ部
121 構造壁部
121a 一方の構造壁部
121b 他方の構造壁部
200 電動回転ポンプ
300 制振部材
【要約】
【課題】密閉筐体に内包された回転ポンプが、真空ポンプとして真空度が高い範囲で使用される場合でも、密閉筐体の内部空気が過熱されることを防止できることで、高いポンプ性能を維持でき、装置寿命を長期化できるパッケージ型回転ポンプユニットを提供する。
【解決手段】電動回転ポンプ200と、該電動回転ポンプ200を内包する密閉筐体1とを備えるパッケージ型回転ポンプユニットであって、密閉筐体1の内部に配され、密閉筐体1の外部に配された冷却液供給源4から冷却液の供給を受けて冷却される液冷熱交換器5と、密閉筐体1の内部に配され、回転ポンプ2の稼働によって該回転ポンプ2の周囲の空気が加熱されることで生じる加熱空気を含む密閉筐体1内の内部空気を、液冷熱交換器5へ、冷却させるように送る送風装置6と、前記冷却液供給源からの液冷流路が、前記液冷熱交換器と前記回転ポンプとに亘って直列に接続されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22