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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】吸水処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20220413BHJP
【FI】
A01K1/015 B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2017200695
(22)【出願日】2017-10-17
(65)【公開番号】P2019071830
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-347404(JP,A)
【文献】特開2016-214119(JP,A)
【文献】特開2016-178907(JP,A)
【文献】特開2007-043988(JP,A)
【文献】特開2013-153677(JP,A)
【文献】特開2014-018079(JP,A)
【文献】特開2003-079263(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02910115(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00 - 3/00
A01K 31/00 - 31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒状体からなる吸水処理材であって、
前記各粒状体は、
貫通孔を有する粒状の芯部と、
接着性材料を含有し、前記芯部の外表面上に設けられた第1の被覆部と、
接着性材料を含有し、前記貫通孔の内部に設けられた第2の被覆部と、を備え
前記第2の被覆部は、前記第1の被覆部と異なる組成の材料からなることを特徴とする吸水処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記第2の被覆部は、前記貫通孔の前記内部の一部にのみ設けられている吸水処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の吸水処理材において、
前記第2の被覆部は、前記貫通孔を塞がないように設けられている吸水処理材。
【請求項4】
請求項1に記載の吸水処理材において、
前記第2の被覆部は、前記貫通孔の前記内部の全体に設けられている吸水処理材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の吸水処理材において、
前記第1及び第2の被覆部は、前記接着性材料として吸水性ポリマーを含有する吸水処理材。
【請求項6】
請求項に記載の吸水処理材において、
前記第2の被覆部に占める前記吸水性ポリマーの重量割合は、前記第1の被覆部に占める前記吸水性ポリマーの重量割合よりも大きい吸水処理材。
【請求項7】
請求項1乃至の何れかに記載の吸水処理材において、
前記芯部は、略円筒状をしている吸水処理材。
【請求項8】
請求項に記載の吸水処理材において、
前記芯部の内径は、当該芯部の外径の50%以上である吸水処理材。
【請求項9】
請求項に記載の吸水処理材において、
前記芯部の内径は、当該芯部の外径の70%以上である吸水処理材。
【請求項10】
請求項1乃至の何れかに記載の吸水処理材において、
前記芯部並びに前記第1及び第2の被覆部は、何れも有機物を主材料とする吸水処理材。
【請求項11】
複数の粒状体からなる吸水処理材を製造する方法であって、
前記各粒状体を構成し、貫通孔を有する粒状の芯部を形成する芯部形成工程と、
前記芯部の外表面上に、接着性材料を含有する第1の被覆部を形成する第1の被覆部形成工程と、
前記貫通孔の内部に、接着性材料を含有する第2の被覆部を形成する第2の被覆部形成工程と、を含み、
前記第2の被覆部形成工程においては、前記第1の被覆部と異なる組成の材料を用いて、前記第2の被覆部を形成することを特徴とする吸水処理材の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第2の被覆部形成工程においては、前記貫通孔の前記内部の一部にのみ前記第2の被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第2の被覆部形成工程においては、前記貫通孔を塞がないように前記第2の被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項14】
請求項11に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第2の被覆部形成工程においては、前記貫通孔の前記内部の全体に前記第2の被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項11乃至14の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第1及び第2の被覆部形成工程においては、それぞれ、前記接着性材料として吸水性ポリマーを含有する前記第1及び第2の被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記第2の被覆部形成工程においては、前記第2の被覆部に占める前記吸水性ポリマーの重量割合が前記第1の被覆部に占める前記吸水性ポリマーの重量割合よりも大きくなるように、前記第2の被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項11乃至16の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記芯部形成工程においては、略円筒状の前記芯部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記芯部形成工程においては、前記芯部の内径が当該芯部の外径の50%以上となるように、前記芯部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の吸水処理材の製造方法において、
前記芯部形成工程においては、前記芯部の内径が当該芯部の外径の70%以上となるように、前記芯部を形成する吸水処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項11乃至19の何れかに記載の吸水処理材の製造方法において、
前記芯部形成工程においては、有機物を主材料とする前記芯部を形成し、
前記第1及び第2の被覆部形成工程においては、それぞれ、有機物を主材料とする前記第1及び第2の被覆部を形成する吸水処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吸収する吸水処理材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸水処理材の一種である排泄物処理材が記載されている。同文献に記載された排泄物処理材は、尿を吸収する複数の粒状体からなる。各粒状体は、吸水性を有する粒状の芯部と、芯部を覆う被覆部とを備えている。被覆部は、接着性材料を含有しており、尿を吸収した粒状体どうしを相互に接着させる機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-190026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように粒状体の固まりが形成されることにより、未使用の粒状体と使用済みの粒状体とが混在する吸水処理材の中から、使用済みの粒状体を選択的に除去することが容易になる。しかしながら、従来の吸水処理材には、粒状体の固まり強度の面で向上の余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用済みの粒状体の固まり強度に優れた吸水処理材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による吸水処理材は、複数の粒状体からなる吸水処理材であって、上記各粒状体は、貫通孔を有する粒状の芯部と、接着性材料を含有し、上記芯部の外表面上に設けられた第1の被覆部と、接着性材料を含有し、上記貫通孔の内部に設けられた第2の被覆部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この吸水処理材においては、芯部が貫通孔を有している。そして、芯部の外表面上に第1の被覆部が設けられるとともに、貫通孔の内部に第2の被覆部が設けられている。この場合、芯部が貫通孔を有しない場合に比して、芯部における被覆部(第1及び第2の被覆部)が設けられる部分の表面積を大きくすることが可能である。これにより、使用済みの粒状体の固まり強度を高めることができる。
【0008】
また、本発明による吸水処理材の製造方法は、複数の粒状体からなる吸水処理材を製造する方法であって、上記各粒状体を構成し、貫通孔を有する粒状の芯部を形成する芯部形成工程と、上記芯部の外表面上に、接着性材料を含有する第1の被覆部を形成する第1の被覆部形成工程と、上記貫通孔の内部に、接着性材料を含有する第2の被覆部を形成する第2の被覆部形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、貫通孔を有する芯部が形成される。そして、芯部の外表面上に第1の被覆部が形成されるとともに、貫通孔の内部に第2の被覆部が形成される。この場合、芯部が貫通孔を有しない場合に比して、芯部における被覆部(第1及び第2の被覆部)が設けられる部分の表面積を大きくすることが可能である。これにより、製造後の吸水処理材において、使用済みの粒状体の固まり強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用済みの粒状体の固まり強度に優れた吸水処理材、及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。
図2】粒状体10を示す斜視図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4】芯部12を示す斜視図である。
図5】ダイス60を示す端面図である。
図6】ダイス孔62を示す平面図である。
図7】変形例に係る粒状体10を示す斜視図である。
図8図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、複数の粒状体10からなる。各粒状体10は、吸水性を有しており、処理対象となる液体を吸収する。吸水処理材1は、例えば、人又は動物の排泄物を吸収処理する排泄物処理材である。
【0014】
図2は、粒状体10を示す斜視図である。また、図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。粒状体10は、芯部12、被覆部14(第1の被覆部)、及び被覆部16(第2の被覆部)を有している。芯部12、被覆部14及び被覆部16は、何れも吸水性を有している。
【0015】
図4は、芯部12を示す斜視図である。芯部12は、粒状をしている。芯部12は、貫通孔13を有している。具体的には、本実施形態において芯部12は、略円筒状をしている。貫通孔13は、芯部12を貫通している。これにより、芯部12の内部には、貫通孔13からなる略円柱状の空間が広がっている。芯部12の内径d1(貫通孔13の径)は、芯部12の外径d2の50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
【0016】
芯部12は、液体を吸水及び保水する機能を有している。芯部12は、有機物を主材料とすることが好ましい。ここで、芯部12の主材料とは、芯部12を構成する材料のうち、当該芯部12に占める重量割合が最大のものをいう。有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。
【0017】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。
【0018】
図3に戻って、被覆部14は、芯部12の外表面上に設けられている。ここで、芯部12の外表面とは、芯部12の表面のうち、内表面(貫通孔13の内面)を除く部分をいう。被覆部14は、芯部12の外表面の全体上に設けられている。換言すれば、芯部12の外表面全体が被覆部14によって覆われている。
【0019】
被覆部14は、液体を吸収した粒状体10どうしを接着させて固まりにする機能(固まり形成機能)を有している。被覆部14は、有機物を主材料とすることが好ましい。被覆部14は、接着性材料を含有している。接着性材料としては、例えば、吸水性ポリマー、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、デキストリン等が挙げられる。本実施形態において被覆部14は、接着性材料として吸水性ポリマーを含有している。
【0020】
被覆部16は、貫通孔13の内部に設けられている。被覆部16は、貫通孔13の内部の全体に設けられている。すなわち、貫通孔13の内部全体に被覆部16が埋設されている。それゆえ、芯部12の内表面全体が被覆部16によって覆われている。
【0021】
被覆部16も、固まり形成機能を有している。被覆部16は、有機物を主材料とすることが好ましい。被覆部16は、接着性材料を含有している。本実施形態において被覆部16は、接着性材料として吸水性ポリマーを含有している。
【0022】
被覆部16は、被覆部14と同一の組成の材料からなっていてもよいし、被覆部14と異なる組成の材料からなっていてもよい。後者の場合、被覆部16に占める吸水性ポリマーの重量割合は、被覆部14に占める吸水性ポリマーの重量割合よりも大きいことが好ましい。
【0023】
続いて、本発明による吸水処理材の製造方法の一実施形態として、吸水処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、芯部形成工程、第1の被覆部形成工程、及び第2の被覆部形成工程を含むものである。
【0024】
芯部形成工程は、各粒状体10を構成する芯部12を形成する工程である。この工程においては、造粒装置を用いて芯部材料(芯部12を構成する材料)を造粒することにより、複数の芯部12を形成する。このとき、内径d1(図4参照)が外径d2の50%以上となるように芯部12を形成することが好ましく、内径d1が外径d2の70%以上となるように芯部12を形成することがより好ましい。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒に先立って、芯部材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。
【0025】
貫通孔13は、芯部材料の造粒後に形成されてもよいし、芯部材料の造粒と同時に形成されてもよい。前者の場合、例えば、造粒された円柱状の造粒物に対し、その中心軸に沿って丸棒を突き刺すことにより、貫通孔13を形成することができる。後者の場合、例えば、図5に示すダイス60を用いて芯部材料を押出造粒することにより、貫通孔13を形成することができる。
【0026】
図5は、ダイス60を示す端面図である。ダイス60には、芯部材料を通過させる複数のダイス孔62が設けられている。ただし、同図においては、1つのダイス孔62のみを示している。図6は、ダイス孔62を示す平面図である。ダイス孔62は、平面視で円形をしている。ダイス孔62の内部には、芯材64が設けられている。芯材64は、ダイス孔62の内面から離間した位置に設けられている。芯材64は、丸棒状(円柱状)をしており、ダイス孔62の中心軸に沿って延在している。芯材64の中心軸は、ダイス孔62の中心軸に一致する。
【0027】
芯材64は、連結部材66を介してダイス孔62に固定されている。連結部材66は、ダイス孔62の径方向に沿って、芯材64からダイス孔62の内面まで延在している。すなわち、連結部材66の一端が芯材64の側面に接続され、連結部材66の他端がダイス孔62の内面に接続されている。連結部材66の幅w1は、芯材64の径よりも小さい。連結部材66の幅w1は、造粒時に芯材64を支持しうる限り、できるだけ小さいことが好ましい。
【0028】
図5からわかるように、芯材64は、ダイス60の厚み方向(同図の上下方向)について、ダイス孔62の一部にのみ設けられている。芯材64は、ダイス孔62の出口側の開口面に達する一方で、ダイス孔62の入口側の開口面には達していない。また、連結部材66は、芯材64の下端よりも上端寄りに位置している。連結部材66の厚みt1は、芯材64の長さよりも小さい。連結部材66の厚みt1も、造粒時に芯材64を支持しうる限り、できるだけ小さいことが好ましい。芯材64及び連結部材66の材料としては、例えば、金属又はプラスチックを用いることができる。
【0029】
ダイス60を用いて芯部材料を押出造粒するとき、芯部材料は、ダイス孔62の内部のうち芯材64が設けられていない部分しか通過できない。このため、ダイス孔62から押し出された芯部材料には、芯材64の延長線上に延びる孔が形成される。かかる芯部材料を適当な長さで切断することにより、貫通孔13を有する芯部12が得られる。なお、芯部材料は、連結部材66が設けられた部分も通過できないが、連結部材66の幅w1及び厚みt1は充分に小さいため、ダイス孔62から押し出される芯部材料の形状に実質的な影響を与えない。
【0030】
第1の被覆部形成工程は、芯部12の外表面上に被覆部14を形成する工程である。この工程においては、芯部12の外表面に、接着性材料を含有する第1の被覆材料(被覆部14を構成する材料)を付着させることにより、被覆部14を形成する。本実施形態において第1の被覆材料は、接着性材料として吸水性ポリマーを含有している。第1の被覆材料の付着は、例えば、ノズルを用いて芯部12の外表面に第1の被覆材料を吹き付けることにより行うことができる。
【0031】
第2の被覆部形成工程は、貫通孔13の内部に被覆部16を形成する工程である。この工程においては、貫通孔13の内面に、接着性材料を含有する第2の被覆材料(被覆部16を構成する材料)を付着させることにより、被覆部16を形成する。本実施形態において第2の被覆材料は、接着性材料として吸水性ポリマーを含有している。第2の被覆材料の付着は、例えば、ノズルを用いて貫通孔13の内面に第2の被覆材料を吹き付けることにより行うことができる。
【0032】
第1及び第2の被覆部形成工程を実行する順序は、任意である。すなわち、第1の被覆部形成工程を第2の被覆部形成工程より先に実行してもよいし、第2の被覆部形成工程を第1の被覆部形成工程より先に実行してもよい。また、第1及び第2の被覆部形成工程を同時に実行してもよい。
【0033】
第2の被覆部形成工程において被覆部16は、被覆部14と同一の組成の材料を用いて形成されてもよいし、被覆部14と異なる組成の材料を用いて形成されてもよい。すなわち、第1及び第2の被覆材料は、同一の組成であってもよいし、相異なる組成であってもよい。前者の場合、第1及び第2の被覆部形成工程は、共通の材料を用いて同時に実行されることが好ましい。後者の場合、被覆部16に占める吸水性ポリマーの重量割合が被覆部14に占める吸水性ポリマーの重量割合よりも大きくなるように、被覆部16を形成することが好ましい。
【0034】
第1及び第2の被覆部形成工程が実行された後、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、複数の粒状体10からなる吸水処理材1が得られる。
【0035】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、芯部12が貫通孔13を有している。そして、芯部12の外表面上に被覆部14が設けられるとともに、貫通孔13の内部に被覆部16が設けられている。この場合、芯部12が貫通孔13を有しない場合に比して、芯部12における被覆部(被覆部14,16)が設けられる部分の表面積を大きくすることが可能である。これにより、使用済みの粒状体10の固まり強度を高めることができる。したがって、使用済みの粒状体10の固まり強度に優れた吸水処理材1、及びその製造方法が実現されている。
【0036】
被覆部16は、貫通孔13の内部の全体に設けられている。この場合、貫通孔13の内部の一部にのみ被覆部16を設ける場合に比して、被覆部16の量を増やすことができる。このことは、使用済みの粒状体10の固まり強度の向上に資する。
【0037】
被覆部16が被覆部14と同一の組成の材料からなる場合、被覆部14及び被覆部16の材料(第1及び第2の被覆材料)として共通の材料を用いることが可能となる。このように共通の材料を用いた場合、芯部12の表面の全体に当該材料を付着させることにより、被覆部14及び被覆部16を同時に形成することができる。
【0038】
被覆部16が被覆部14と異なる組成の材料からなる場合、各被覆部14,16の材料として、それぞれの役割に応じて最適な組成の材料を選択することができる。例えば、芯部12の外表面上に位置する被覆部14には、固まり形成機能を有することに加えて、液体を速やかに通過させて芯部12に導くことが求められる。一方、貫通孔13の内部に位置する被覆部16には、専ら、固まり形成機能を有することが求められる。それゆえ、例えば、被覆部14の材料としては、被覆部16よりも吸水性・透水性に優れた組成の材料を用いるとともに、被覆部16の材料としては、被覆部14よりも接着性に優れた組成の材料を用いることが考えられる。
【0039】
本実施形態において被覆部14及び被覆部16は、接着性材料として吸水性ポリマーを含有している。吸水性ポリマーは、液体を吸収すると膨潤する性質を有する。膨潤した吸水性ポリマーは、液体が各被覆部14,16内を速やかに通過するのを妨げる。それゆえ、被覆部16に占める吸水性ポリマーの重量割合を被覆部14に占める吸水性ポリマーの重量割合よりも大きくした場合、被覆部14の吸水性・透水性を高めるとともに、被覆部16の接着性を高めることができる。
【0040】
芯部12は、略円筒状をしている。すなわち、芯部12は、円柱の中心軸に沿って貫通孔13が設けられた形状をしている。かかる形状の芯部12は、押出造粒機を用いて形成するのに適している。押出造粒機を用いることにより、大量の芯部12を短時間で形成することができる。
【0041】
芯部12の内径を大きくすることにより、被覆部16が設けられる貫通孔13の内部空間を広く確保することができる。かかる観点から、芯部12の内径は、芯部12の外径の50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。他方、芯部12の内径を大きくしすぎると、芯部12の強度が不充分になるおそれがある。かかる観点から、芯部12の内径は、芯部12の外径の90%以下であることが好ましい。
【0042】
芯部12並びに被覆部14及び被覆部16が何れも有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体10を得ることができる。この場合、使用済みの粒状体10の固まりを可燃ゴミとして捨てることができるため、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0043】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、貫通孔13の内部の全体に被覆部16が設けられる場合を例示した。しかし、被覆部16は、図7及び図8に示すように、貫通孔13の内部の一部にのみ設けられてもよい。図8は、図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。本例において被覆部16は、貫通孔13を塞がないように設けられている。すなわち、貫通孔13の内部には、貫通孔13の端から端まで連続する空洞H1が存在している。
【0044】
この場合、貫通孔13の内部の全体に被覆部16を設ける場合に比して、被覆部16の材料(第2の被覆材料)の使用量を節約することができる。このことは、吸水処理材の製造コストの削減に資する。また、被覆部16で貫通孔13を塞がないようにすることにより、貫通孔13内に液体の通り道を確保することができる。これにより、芯部12の外表面だけでなく内表面からも液体を吸収しやすくなるため、粒状体10の吸水速度を向上させることができる。
【0045】
上記実施形態においては、芯部12が略円筒状をしている場合を例示した。しかし、芯部12を貫通する貫通孔が設けられている限り、芯部12の形状は、任意である。例えば、芯部12は、球又は楕円体に貫通孔が設けられた形状をしていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 吸水処理材
10 粒状体
12 芯部
13 貫通孔
14 被覆部(第1の被覆部)
16 被覆部(第2の被覆部)
60 ダイス
62 ダイス孔
64 芯材
66 連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8