(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】電気外科デバイス用の光学組織フィードバックデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20220413BHJP
A61B 5/1459 20060101ALI20220413BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B5/1459
A61B10/00 E
(21)【出願番号】P 2017555646
(86)(22)【出願日】2016-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2016059237
(87)【国際公開番号】W WO2016177600
(87)【国際公開日】2016-11-10
【審査請求日】2019-04-18
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-02
(32)【優先日】2015-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ビールホフ ワルテルス コルネリス ヨゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス ベルナルドス ヘンドリクス ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ガール フランシスクス マリヌス アントニウス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ビドロン トーレ ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ピュリー ヴィシュヌ ヴァルダン
(72)【発明者】
【氏名】ライヒ クリスティアン
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0275840(US,A1)
【文献】米国特許第5456681(US,A)
【文献】米国特許第4361926(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12 - 18/14
A61B 5/00 - 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科ナイフに取り付けられるための組織検知デバイスであって、
前記電気外科ナイフのハウジングの部分に取り付けられる近位端部分、前記電気外科ナイフのブレードを支持する遠位端部分、及び前記遠位端部分と前記近位端部分との間のグリップ部分、を有する本体と、
光ファイバであって、前記光ファイバの遠位端は前記遠位端部分に配され、前記光ファイバの近位端は光学コンソールに接続可能である、光ファイバと、
を有し、前記光ファイバの遠位端は更に、前記電気外科ナイフの前記ブレードが前記遠位端部分によって支持される場合に前記光ファイバの遠位端が前記ブレードとは別に位置付けられるように、前記遠位端部分に配される、光ファイバと、
を有し、前記本体の前記遠位端部分は、前記近位端部分に対して移動することによって、前記電気外科ナイフの前記ブレードに対して及び前記ブレードのところで移動可能である、組織検知デバイス。
【請求項2】
ガイディングチューブを更に有し、前記光ファイバが、前記ガイディングチューブ内に移動可能に収容される、請求項1に記載の組織検知デバイス。
【請求項3】
前記光ファイバの前記遠位端に配される保護プラグであって、前記光ファイバから/への光を伝送するように構成される保護プラグを更に有する、請求項2に記載の組織検知デバイス。
【請求項4】
前記光ファイバが前記ガイディングチューブへ移動されるときに前記光ファイバの先端部をクリーニングするクリーニング部材を更に有する、請求項2に記載の組織検知デバイス。
【請求項5】
前記光ファイバは、前記光ファイバの前記遠位端が前記遠位端部分を越えて突出するように、前記遠位端部分に対し移動可能である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組織検知デバイス。
【請求項6】
前記光ファイバを前記光学コンソールと接続するために前記光ファイバを光学ケーブルに光学的に接続するファイバコネクタを更に有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組織検知デバイス。
【請求項7】
組織検査のために構成された光学コンソールを更に有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の組織検知デバイス。
【請求項8】
組織検知デバイスと、
前記組織検知デバイスの近位端部分に取り付けられるハウジングと、
前記組織検知デバイスの遠位端部分によって移動可能に支持されるブレードと、
を有する電気外科ナイフにおいて、
前記組織検知デバイスが、
前記ハウジングの部分に取り付けられる近位端部分、前記ブレードを支持する遠位端部分、及び前記遠位端部分と前記近位端部分との間のグリップ部分、を有する本体と、
光ファイバであって、前記光ファイバの遠位端は前記遠位端部分に配され、前記光ファイバの近位端は光学コンソールに接続可能である、光ファイバと、
を有し、前記光ファイバの遠位端は更に、前記ブレードが前記遠位端部分によって支持される場合に前記光ファイバの遠位端が前記ブレードとは別に位置付けられるように、前記遠位端部分に配される、光ファイバと、
を有し、前記本体の前記遠位端部分は、前記近位端部分に対して移動することによって、前記ブレードに対して及び前記ブレードのところで移動可能である、
電気外科ナイフ。
【請求項9】
前記ブレードの前記先端部の方向に前記組織検知デバイスの前記遠位端部分をバイアスする弾性素子を更に有する、請求項
8に記載の電気外科ナイフ。
【請求項10】
前記グリップ部分が、前記電気外科ナイフの前記ブレードに対して前記組織検知デバイスの前記遠位端部分を移動させるよう弾性変形する、請求項8
又は9に記載の電気外科ナイフ。
【請求項11】
前記電気外科ナイフのブレードをクリーニングする手段が前記組織検知デバイスの前記遠位端部分に提供されている、請求項8乃至
10のいずれか1項に記載の電気外科ナイフ。
【請求項12】
前記ブレードが固着防止層でコーティングされている、請求項8乃至
11のいずれか1項に記載の電気外科ナイフ。
【請求項13】
前記電気外科ナイフの前記ブレードに電流を供給する電気コンソールを更に有する、請求項8乃至
12のいずれか1項に記載の電気外科ナイフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、組織センシング用のデバイス及び該デバイスを有する電気外科システムに関する。特に、本発明は、組織センシング用の光ファイバを有するデバイスに関し、当該デバイスは、電気外科ナイフに取り付けられるように構成される。
【背景技術】
【0002】
電気外科において、高周波電流が、組織を切断し、凝固させ、乾燥させ、高周波治療を施すために、組織に適用される。これがすでにすべての外科的プロシージャの80%以上において使用されるという事実は、デバイスの有用性を示す。デバイスの前方の組織に依存して、外科医は、デバイスのどの動作モードが使用されるかを決めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
乳房腫瘍外科手術の間、例えば乳腺腫瘤摘出術の間、外科医は、焦点の断端陽性以上を取り残すことなく、乳房腫瘍を除去することを目指す。すなわち、外科医は、腫瘍の実質的部分を取り残してしまうことを回避することを望み、なぜなら、これが腫瘍の再発に至るからである。取り残される小さい顕微鏡的部分は、付加の放射線治療によって処置されることができる。
【0004】
外科医は、例えばマンモグラフィ中に取得される画像のような術前画像から腫瘍の心象を作ることはできるが、腫瘍に関するフィードバックはない。外科手術中のフィードバックのこのような欠如により、多くの外科手術は、断端陽性をもたらし、付加の外科的プロシージャが必要とされる。
【0005】
さまざまな方法が、外科的プロシージャ中のフィードバックを提供するために提案されており、例えば、プロシージャの間、凍結切片解析又は擦過標本細胞診断のような病理試験を実施することによってフィードバックを提供することが提案されている。別のオプションは、光学スペクトロスコピーにより切除された標本を検査することである。断端陽性が、切除された標本上で検出される場合、これらの選択肢はすべてやっかいである。
【0006】
陽性のため付加の組織が切除されなければならない身体中の正確なロケーションで見つけることは、困難である。
【0007】
国際出公開第2013/108194号公報において、光学組織センシングが組み込まれた電気外科ナイフが提案された。この出願において対処されていないことは、例えば、電気外科ナイフを用いた切断プロシージャの間、細胞片がブレードにくっつくことがあり、それにより光学組織センシングを邪魔することがあるという問題である。
【0008】
米国特許出願公開第2007/0239033号公報において、組織内に含まれる血管の特性を識別する装置が記述されている。ここでは、放射線源が、組織に放射線を供給し、プローブが、組織から戻ってきた放射線を受信する。組織に関するデータが処理され、血管がプローブの端部の近傍にあるかどうかを示すために使用される。
【0009】
組織を判別することもまた重要である多くの他の外科的プロシージャがあり、乳房のケースは、一例として与えられるだけである。組織を判別することの重要性は、腫瘍学プロシージャに制限されず、少し例を挙げれば整形外科、神経細胞又は心臓血管のプロシージャにおいて必要でありうる。
【0010】
全般的な課題は、組織のより信頼できる測定を得るように電気外科術における光学センシング設備を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これは、独立請求項の主題によって達成される。他の実施形態は、従属請求項に記述される。
【0012】
他の課題は、光学的組織フィードバックを有する電気外科ツールを具備する医療デバイスを提供することでありえ、医療デバイスは、電気外科ナイフのブレードに取り付けられるとともに、切断中はそれがブレードの近位部分にあり、組織を光学的に検知する際には遠位側にあるように、その位置を変えるように構成されている。
【0013】
課題を解決するために、光学的組織検知デバイスは、レバーを押圧することによって、ナイフに対し少なくともデバイスの一部の位置を変えることができ、それにより、検知部分が、切断中はブレードの近位部分にあり、組織を光学的に検知する際には遠位にあるようにされる。デバイスは、電気外科ナイフの活性化ボタンの近くにレバーを有することができ、それにより、デバイスの移動は、その位置の近くで活性化されることができる。近位位置において、切断中、細胞片はデバイスの光学検知素子に到達せず、又はより少ない細胞片だけが到達することがあり、すなわち、これは、光学計測を邪魔することを防ぐ。
【0014】
切断プロセスの間、検知デバイスを使用することも可能であることが理解される。この場合、検知コンソールが、切断コンソールにリンクされることができ、それにより、切断プロセスが検知コンソールによって制御されることができる。例えば、制御は、電気外科ナイフのプラグと電気コンソールのソケットとの間の接続を行うことによって確立されることができる。
【0015】
別の方法は、切断プロセス中に、光学コンソールから、重要な構造が近くにあることを示す信号を生成することである。信号は、可視、音響、振動、スクリーン上の標示などのように任意の形態でありうる。
【0016】
概して、電気外科ナイフと共に使用される組織検知デバイスは、本体及び光ファイバを有する。スリーブの形でありうる本体は、近位端部分、遠位端部分、及びそれらの間のグリップ部分を有する。近位端部分、すなわち使用中にデバイスのオペレータのより近くにある部分は、電気外科ナイフのハウジングに、例えばそのハウジングの一部を受容することによって、取り付けられるように構成される。遠位端部分、すなわち使用中にオペレータから離れるほうを向く部分は、ナイフのブレードを移動可能に支持するように構成される。言い換えると、本体の少なくとも遠位端部分は、電気外科ナイフのブレードに対して及びブレードのところで移動可能である。光ファイバの遠位端は、本体の遠位端部分に配置され、光ファイバの近位端は、光学コンソールに接続可能であり、それにより、光学測定が、身体の遠位端部分において、好適には本体の遠位端部分の前面において、実施されることができる。光ファイバの遠位端は、ブレードとは別個に位置付けられる;すなわち、光ファイバの遠位端は、ブレードの一部を形成しない。そうすることで、これらのコンポーネントのクリーニング又は廃棄サイクルが、独立して決定されることができる;すなわち、光ファイバは1回使用のコンポーネントであるが、ブレードは再利用されることができる。
【0017】
一実施形態によれば、組織検知デバイスは、更に、ガイディングチューブを有することができ、この場合、光ファイバは、ガイディングチューブ内に移動可能に収容されることができる。光ファイバが使用中でないとき、光ファイバは、ファイバ端部を保護するためにガイディングチューブ内にリトラクトされる(引っ込められる)ことができる。
【0018】
別の実施形態によれば、組織検知デバイスは更に保護プラグを有することができ、保護プラグは、光ファイバの遠位端に配置されることができ、光ファイバから及び/又は光ファイバに光を伝送するように構成される。保護プラグは、或る形状を有することができ、伝送される光のためのレンズとして機能するように構成されることができる。更に、保護プラグは、任意の細胞片、組織又は液体が間隙に入ることを回避するために、ガイディングチューブにおける任意の間隙を閉じることができる。
【0019】
更に、組織検知デバイスは、光ファイバがガイディングチューブへ移動しているときに、光ファイバの先端部をクリーニングするように構成されるクリーニング部材を有することができる。例えば、クリーニング部材は、ガイディングチューブ又は別の素子のところに又はその中に配置されるある種のブラシでありえ、光ファイバは、ブラシと接触することができ、ブラシに沿って動かされることができる。
【0020】
一実施形態によれば、光ファイバは、光ファイバの遠位端が本体の遠位端部分を越えて突出するように、本体の遠位端部分に対し移動可能である。これにより、光ファイバの前面は、本体の遠位端部分の前方の組織と密に接触するようにされることができる。
【0021】
組織検知デバイスは更に、光学コンソールと光ファイバを光学的に接続するためのファイバコネクタを本体に有することができる。言い換えると、付加の光学ケーブルが、光学コンソールと組織検知デバイスの光ファイバを接続するために使用されることができる。
【0022】
別の実施形態によれば、上述のデバイス及びコンソールを有するシステムが、提供されることができ、かかるコンソールは、光源、光検出器、及び光検出器によって供給される信号を処理する処理ユニットを有し、光源及び光検出器のうちの一方が、波長選択性を提供することができる。光源は、レーザ、発光ダイオード又はフィルタ付き光源のうちの1つでありえ、コンソールは更に、ファイバスイッチ、ビームスプリッタ、グレーティング又はダイクロイックビームコンバイナのうちの1つを有することができる。更に、デバイスは、拡散反射スペクトロスコピー、拡散光学トモグラフィ、差分経路長スペクトロスコピー、蛍光スペクトロスコピー及びラマンスペクトロスコピーを含むグループの中の少なくとも1つを実施するように適応されることができる。
【0023】
別の見地によれば、上述した電気外科ナイフ及び組織検知デバイスを有するシステムが提案される。ナイフは、組織検知デバイスの近位端部分への取り付けのためのハウジング、及び組織検知デバイスの遠位端部分によって可動に支持されるように構成されるブレードを有することができる。
【0024】
組織検知デバイス及び/又は電気外科ナイフは、遠位端部分がブレードの先端部分に位置する第1の位置と、遠位端部分がナイフのハウジングの近くに位置する第2の位置との間で、組織検知デバイスの遠位端部分を移動させるためのレバーを有することができる。
【0025】
別の実施形態によれば、弾性部材が、ブレードの先端部分に向かう方向に組織検知デバイスの遠位端部分をバイアスするために提供されることができる。
【0026】
更に他の実施形態によれば、組織検知デバイスのグリップ部分は、ナイフのブレードに対して遠位端部分を移動させるために弾性変形するよう構成されることができる。
【0027】
光ファイバをクリーニングするためのクリーニング部材だけでなく、ナイフのブレードをクリーニングするための手段が、提供されることもできる。ブレードをクリーニングするための手段は、ブレードと接触するように組織検知デバイスの遠位端部分に配置されることができ、それにより、ブレードに沿って組織検知デバイスの遠位端部分を移動させることによってブレードをクリーニングすることができる。ブレードは、代替的に又は付加的に、固着防止層でコーティングされることができる。
【0028】
システムは更に、ナイフのブレードに電流を提供するための電気コンソールを有することができる。
【0029】
本発明の上述の見地及び他の見地、特徴及び効果は更に、後述する実施形態の例から導き出されることができ、実施形態の例を参照して説明される。本発明は、実施形態の例を参照して以下に一層詳しく記述されるが、本発明は、それらの例に制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】電気外科ナイフに対する第1の位置に組織検知デバイスを有するシステムの概略図。
【
図2】電気外科ナイフに対する第2の位置に組織検知デバイスを有するシステムの概略図。
【
図3】電気外科ナイフによる組織検知デバイスの一実施形態を示す図。
【
図4】2つのグリップ部分が互いに対し第1の位置にある組織検知デバイスの一実施形態を示す図。
【
図5】2つのグリップ部分が互いに対し第2の位置にある組織検知デバイスの一実施形態を示す図。
【
図6】光ファイバの端部をクリーニングするための手段を示す一実施形態を示す図。
【
図7】光ファイバコネクタに関する一実施形態を示す図。
【
図8】ブレードの遠位端の方向に組織検知デバイスをバイアスするための素子を有する一実施形態を示す図。
【
図9】電気外科ナイフを有する組織検知デバイスの他の実施形態を示す概略図。
【
図10】光ファイバのためのガイディングチューブをもつブレードの遠位端部分の表示と、ガイディングチューブの詳細を示す図。
【
図11】一実施形態によるシステム並びに血液、水及び脂肪の吸収係数のログプロット示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面における図示は、概略的であり、一定の縮尺で描かれていない。適当な場合、同様の構成要素がそれぞれの異なる図において同じ参照符号を与えられている。
【0032】
電気外科ナイフに機械的に取り付けられるように構成される組織検知デバイスであって、近位位置及び遠位位置の少なくとも2つの位置に位置することができる組織検知デバイスが提案される。組織検知デバイスは、更に、デバイスの先端部にファイバの遠位端を有する少なくとも1つの光ファイバを有し、ファイバは、光を送受信することができる。光ファイバは、光を送信し及び光を受信することができる光学コンソールに接続されることができ、受信した光を解析することが可能でありうる。この構成では、組織検知デバイスの前方の組織タイプが決定されることができ、組織タイプに依存する信号が生成されることができる。
【0033】
更に、電気コンソールに接続されるナイフのような電気外科ツールであって、電気コンソールの操作に基づいて組織を切断、凝固、乾燥、又は高周波治療することができるツールと、ツールに取り付けられる組織検知デバイスと、を有する。
【0034】
図1及び
図2は、組織検知デバイス200と、ブレード110を有する電気外科ナイフ100と、を有するシステムの概略的な図である。デバイス200は、2つの光ファイバ120を有する。光ファイバは、光学コンソール160に、光学コネクタ190及び光学ケーブル210によって接続される。ブレード110は、組織を切断し、凝固し、乾燥し、又は高周波治療することのようなさまざまな処置を誘導するブレードに電気信号を送信することができる電気コンソール150に、電気的に接続される。ブレードは、ブレードと接触する組織にこれらの処置を実施することができる。光ファイバ120のうちの1つは、光学コンソール160の光源に接続され、組織検知デバイス200に接触しているとき組織を照明する。組織検知デバイスと接触する組織を通じて進んだ散乱光は、第2の光ファイバ120によって収集され、光学コンソール160へ向けられる。ここで、光は、スペクトル解析される。スペクトルシグネチャから、ブレードの前方の又はそのすぐ近くにある組織タイプが決定されることができる。例えば、白色光源を使用し、拡散反射された光を検出する場合、例えば水及び脂肪コンテントのようなさまざまな発色団の存在及び濃度を検出することが可能である。更に、蛍光検出が、組織組成物を決定するために使用されることができる。
【0035】
図1及び
図2は、2つのファイバを有する一実施形態を示すが、更に、1つだけ又は2より多くを使用することも可能である。例えば
図3に示される3つのファイバの場合、更に、方向の情報を得ることも可能である。例えば、下側及び中央ファイバを光源-検出器対として使用し、これを光源-検出器対としての中央及び上側ファイバの情報と比較することにより、信号の差が、両方の方向での組織の差に関する情報を提供する。
【0036】
トリガ又はスイッチ170は、光学コンソール160に表示される信号に依存して異なる動作モードを選択するために、ナイフ100のハウジング130に提供されることができる。任意に、電気コンソール150の動作モードとインタフェースするフィードバックループ180が存在する。
【0037】
更に、組織検知デバイス200は、レバー195を有することができ、レバー195は、
図1に示すようにデバイス200がブレードの近位位置にある第1のモードから、
図2に示すようにデバイス200が遠位位置にある第2のモードに切り替えられることができる。例えば、第1のモードにおいて、電気外科ナイフは、切断のために使用されることができ、第2のモードにあるときには、デバイスは、組織センシングを実施することができる。切断の最中、第2のモードを使用することも可能である。このようにして、重要な構造に接近すると、光学コンソールからのフィードバック情報が、切断を中断するために直接使用されることができる。
【0038】
図3乃至
図5において、組織検知デバイスが2つの素子220、240を有する一実施形態が示されており、各素子は、電気外科ナイフのハウジング120に取り付けられる近位部分と、ナイフのブレード110を収容する遠位端部分225、245と、を有する。この実施形態による組織検知デバイスは、3つの構成で位置付けられることができる。第1の構成(
図3を参照)において、組織検知デバイス200は、近位位置にあり、組織検知デバイスから遠位に突出するそのブレードを有する電気外科ナイフが、標準的なやり方で使用されることができる。
図4に示される構成2において、組織検知デバイスは、ブレード110の遠位端部分に進められている。組織検知デバイスは、ブレードと接触する及び/又はその前方にある組織を測定するプローブとして使用されることができる。
図5に示される構成3において、組織検知デバイスは、なおブレード110の先端部にあるが、第1の素子220が、第2の素子240に対し移動されており、それにより、光ファイバ120のファイバ端部125が、組織検知デバイスの第1の素子220の遠位端部分225を越えて突出している。組織検知デバイスの位置に依存して、光ファイバ端部125は更に、ブレードの先端部を越えて突出することができる。このようにして、ファイバは、ブレードの前方の組織と密に接触するように強いられることができる。これは、切断しようとする組織を測定することを可能にし、従って、切断前の修正動作を可能にする。例えば、数ミリメートルのクリアマージンが必要とされ、構成2のソース-検出器ファイバの組み合わせのプロービング深さがあまりに浅い場合、このオプションは、任意の深さでの深さ測定を可能にする。3つのファイバは更に、ファイバ間のさまざまな異なる離隔距離を有して使用されることができる。2つのファイバは、短い離隔距離を有することができ、他方で、2つのファイバの別の組み合わせは、より大きい離隔距離を有する。これは、組織の浅い及び深いプローブビングを可能にすることができ、ナイフの前方の重要な構造のより良好な標示を与える。
【0039】
一実施形態において、組織検知デバイスは、クリーニング機能を有することができ、それにより、ブレードの遠位端の方へ進められるとき、ブレード上に存在する細胞片を除去する。さまざまな手段は、農業において使用される鋤のようなものと想像されることができる。更に、ブレード及び/又は組織検知デバイスは、固着防止層でコーティングされることができる。組織検知デバイスは更に、吸引デバイスと組み合わせられることができる。
【0040】
別の実施形態において、
図6に示すように、光ファイバは、ナイフの先端部の隣に出口を有する光学ポート内に位置付けられることができる。このような光学ポートは、例えば組織検知デバイスの遠位端部分225に組み込まれることができることが理解される。小さいクリーニングブラシ250が、光学ポートに載置されることができ、それにより、光ファイバ120が、ポートの出口230まで延伸されるとき、ファイバは、組織と接触する前に、ブラシで払われる(又はクリーニングされる)。ファイバが、リトラクトされる及びナイフの先端部まで延ばされるたびに、ファイバはクリーニングされ、細胞片がくっつき光学信号と干渉することを防ぐ。代替として、ブラシが存在しなくてもよい。光ファイバは、ポート内に保管され、必要な場合に、出口まで延ばされることができる。
【0041】
更に、組織検知デバイスは、プロシージャ開始の前に電気外科ナイフの端部に固定されることができる。光ファイバは、光学コネクタ190のところで終端することができ、光学コネクタ190は、
図7に示されるように雌型コネクタでありうる。光学ケーブル210は、光学検知が必要とされる場合、受信器に差し込まれることができる。これは、外科医に、デバイスに関するより多くの自由を与え、外科医は、外科分野において扱うべき追加のケーブルを有しない。
【0042】
図8の実施形態に示すように、ばね260のようなバイアス素子が、遠位位置又は近位位置の一方に個々の素子をバイアスするために、例えば凹部270に且つ組織検知デバイスの素子220及び/又は240とナイフのハウジング130との間に配置されることができる。例えば、これは、機械部品がブレードの遠位端に持ってこられたあと、機械部品を近位位置に自動的に戻すのを助けることができる。更に、この機構は、ブレードのクリーニングをより容易に助けることができる。
【0043】
別の実施形態(
図9)において、素子220及び240のうち少なくとも一方の中間部は、半硬性に作られることができ、図の二重矢印によって示されるように収縮されることができる。この収縮移動は、遠位端225及び/又は245が、ナイフのブレード110上を摺動するのを助けることができる。これは、機械部品が、ナイフ部分上を容易に移動することを助けることができる。この構成は容易な移動により、ブレードをより容易にクリーニングすることを助けることを可能にすることができる。
【0044】
図10に示される他の実施形態において、光ファイバは、外科的ナイフのブレード110に取り付けられるガイディングチューブ280内に位置付けられることができる。ガイディングチューブは、ブレードの遠位端の隣に出る。チューブ280内部に、移動可能な光ファイバ120が、光学的に透明な、非吸収の耐熱材料からなる小さい光学プラグ290を先端部に有して位置付けられることができる。
図10A、B及びCの詳しい図示において、それぞれ異なる形状を有するプラグが示される。このプラグ290の目的は、切断プロセスの間、光ファイバ端部125を、スパーク及び/又は細胞片と直接接触することから保護することである。光ファイバは、複数の層状コンポーネント(ファイバコア/クラッド/保護バッファ)で構成されるので、これは重要である。デバイスの使用中に繰り返しファイバを移動させることは、ファイバの光学品質を低下させることがあり、これは、このような保護光学プラグによりそれらをシールすることによって防止されることができ、それにより、組織からファイバへの及びファイバから組織への最適化された光結合を提供することができる。これは、等方的に散在する粒子を光学材料に加えることによって行われることができる。これは、光子が、光ファイバによって収集されるように任意の角度からプラグ材料に入ることを可能にする。プラグ材料は、接着剤/樹脂を有し、これは、光ファイバ端部の堅固な表面仕上げを形成する。
【0045】
プラグは、プラグへの細胞片の固着を低減し、ファイバへの光結合を最適化するために、ガイディングチューブからわずかに突出することができる。例えば、プラグは、
図10Bの詳細図に示されるように、滑らかな球体様の形状に設計されることができる。上述の解決策は、ファイバが、切断後にチューブの遠位端へそれらを戻すように移動させる際に、細胞片が除かれることを確実にするために、デバイス端部の動作中、付加の保護をリトラクト可能なファイバ端部に提供する。
【0046】
更に、プラグは、全体のプロシージャの間の連続する測定を可能にするためにファイバに十分な保護を提供することができる。その場合、ファイバは、移動可能である必要はなく、ガイディングチューブ内のそれらの測定位置に永久的に固定されることができる。このような固定の静止の解決策のために、光学プラグは、
図10Cの詳細図に示されるように、表面仕上げがガイディングチューブのエッジを更に滑らかにするように設計されることができる。
【0047】
図11に示すように、電気外科デバイスの組織検知デバイスの光ファイバは、光学コンソール160に接続される。光ファイバは、光ガイド又は光導波路として理解されることができる。一実施形態において、コンソール160は、埋め込まれたシャッタを有するハロゲン広帯域光源の形の光源164、及び光学検出器166を有する。光学検出器166は、例えば400nm乃至1700nmのような波長スペクトルの可視及び赤外線の領域における波長を実質的に有する光を分解することができる。光源164及び検出器166の組み合わせは、拡散反射測定を可能にする。拡散反射測定に関する詳細な議論については、R. Nachabe, B.H.W. Hendriks, A.E. Desjardins, M. van der Voort, M.B. van der Mark, and H.J.C.M. Sterenborg, "Estimation of lipid and water concentrations in scattering media with diffuse optical spectroscopy from 900 to 1600nm", J. Biomed. Opt. 15, 037015 (2010)を参照されたい。
【0048】
任意には、更に、例えば切除術が画像ガイダンス下で行われる場合、コンソールは、身体内部をイメージングすることができるイメージングモダリティに結合される。他方、更に拡散光学トモグラフィのような他の光学的方法が、組織特性を抽出するために、複数の光ファイバ、差分経路長スペクトロスコピー、蛍光及びラマンスペクトロスコピーを用いることによって、企図されることができる。
【0049】
電気外科コンソール150及び吸引デバイス140は、
図11に更に示される。吸引デバイスは、電気外科デバイスに接続されることができ、それにより、負圧又は真空が、デバイスを通じて吸引デバイスの遠位端に印加されることができる。
【0050】
プロセッサは、測定されたスペクトルを、組織状態を示す生理学的パラメータに変え、モニタ168は、結果を視覚化するために使用されることができる。
【0051】
プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムは、例えばプロセッサと共に又はその一部として供給される光学記憶媒体又はソリッドステート媒体のような適切な媒体に提供されることができるが、他の形式で、例えばインターネット又は他のワイヤード又はワイヤレス通信システムを通じて、配布されることもできる。
【0052】
蛍光測定のために、光学コンソールは、組織により生成された蛍光を1又は複数の検出ファイバを通じて検出するとともに、少なくとも1つの光源ファイバに励起光を供給することができなければならない。励起光源は、レーザ(例えば半導体レーザ)、発光ダイオード(LED)又はフィルタ付き光源(例えばフィルタ付き水銀ランプ)でありうる。概して、励起光源によって放出される波長は、検出されうる蛍光の波長レンジより短い。励起光による検出器の可能性のある過負荷を回避するために、検出フィルタを使用して励起光をフィルタ除去することが好ましい。互いに区別されることを必要とする複数の蛍光エンティティが存在する場合、例えばスペクトロメータのような波長選択検出器が必要とされる。
【0053】
蛍光測定が拡散反射測定と組み合わせられる場合、蛍光を測定するための励起光は、拡散反射のための光と同じソースファイバに供給されることができる。これは、例えばファイバスイッチ又はビームスプリッタ又は集束光学素子を有するダイクロイックビームコンバイナを使用することによって達成されることができる。代替として、別々のファイバが、蛍光励起光及び拡散反射測定用の光を供給するために使用されることができる。
【0054】
スペクトロスコピーを実施するために、取得されたスペクトルは、カスタムメイドのMatlab 7.9.0(Mathworks、ナティック語、MA)アルゴリズムを使用してフィットされることができる。このアルゴリズムにおいて、広く受け入れられた解析モデル、すなわちT.J.Farrel, M.S.Patterson and B.C.Wilson, "A diffusion theory model of spatially resolved, steady-state diffuse reflectance for the non-invasive determination of tissue optical properties", Med.Phys. 19 (1992) p.879-888の文献によって導入されるモデルが実現され、この文献の内容は、参照によってここに盛り込まれる。この文献のモデルの入力引数は、吸収係数μa(λ)、低減された散乱係数μs'(λ)、及びプローブの先端部の放出ファイバ及び収集ファイバの間の中心間距離である。
【0055】
以下の部分において、モデルが簡単に説明される。使用された式は主にNachabe他の文献に基づいており、ゆえに、R.Nachabe, B.H.W. Hendriks, M. van der Voort, A.E., and H.J.C.M. Sterenborg "Estimation of biological chromophores using diffuse optical spectroscopy: benefit of extending the UV-VIS wavelength range to include 1000 to 1600 nm", Optics Express, vol. 18, 2010, pp. 1432-1442が参照され、その文献の内容は全体が参照によってここに盛り込まれ、R. Nachabe, B.H.W. Hendriks, A.E. Desjardins, M. van der Voort, M.B. van der Mark, and H.J.C.M. Sterenborg, "Estimation of lipid and water concentrations in scattering media with diffuse optical spectroscopy from 900 to 1600nm", J. Biomed. Opt. 15, 037015 (2010)も参照され、その内容は全体が参照によってここに盛り込まれる。
【0056】
2乗則関数が、低減された散乱の波長依存性を記述するために使用されることができ、この場合、波長λがnmで表現され、λ
0=800nmの波長値に対し正規化される。パラメータは、この特定の波長における低減された散乱振幅に対応する。
この式において、低減された散乱係数は、ミー散乱及びレイリー散乱の合計として表現され、ここで、ρ
MRは、ミー対合計の低減された散乱係数である。ミー散乱の低減された散乱スロープは、bで示され、粒径に関連する。吸収体の一様な分布のために、全体の光吸収係数μ
a(λ)は、吸光係数及び吸収体の体積分率の積として計算されることができる(
図7を参照):
関心のある4つの発色団の個々の濃度によって重み付けられる吸収係数の合計として吸収係数μ
a(λ)をモデル化する代わりに、
と組織吸収係数を表現することが決定され、ここで、μ
a
Blood(λ)は、血液による吸収であり、μ
a
WL(λ)は、プローブされるボリュームの水及び脂肪による吸収に対応する。水及び脂肪の体積分率は、v
WL=[Lipid]+[H
2O]であり、v
Bloodは、150mg/mlの全血中のヘモグロビン濃度の血液容積フラクションを表現する。
【0057】
係数Cは、波長依存の補正係数であり、この補正係数は、色素包装の効果を考慮し、吸収スペクトルの形状を変更する。この効果は、組織内の血液が全体のボリュームのわずか一部(すなわち血管)に限定されるという事実によって説明されることができる。従って、血管の中心近くの赤血球は、周辺部の血管より少ない光を吸収する。効果的に、組織内で均一に分散される場合、より少しの赤血球は赤血球の実際の数字が離散的な血管において分散したのと同じ吸収を生成する。補正係数は、
と記述されることができ、ここで、Rは、cmで表現される平均血管半径を示す。血液に関連する吸収係数は、
によって与えられ、ここで、μ
a
HbO2(λ)及びμ
a
Hb(λ)は、酸化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンの基本的な吸光係数スペクトルを表す。ヘモグロビンの全体量の中の酸化ヘモグロビンの割合はα
BL=[HbO
2]/([HbO
2]+[Hb])で示され、血液酸素飽和として一般に知られている。測定された組織内の水及び脂肪の存在による吸収は、としてきて規定され、
この場合、脂肪及び水の全体の濃度に対する脂肪の濃度は、α
WF=[Lipid]/([Lipid]+[H
2O])と書くことができ、ここで、[Lipid]及び[H
2O]は、それぞれ、脂肪(0.86グラム/ミリリットルの密度)及び水の濃度に対応する。
【0058】
水及び脂肪体積分率を別々に算出するのではなく、Eq.6に規定される吸収係数の式において水及び脂肪パラメータを関連付けるこの方法は、フィッティングの基底関数の共分散の最小化に対応し、より安定したフィットをもたらす。文献R.Nachabe, B.H.W. Hendriks, M. van der Voort, A.E., and H.J.C.M. Sterenborg "Estimation of biological chromophores using diffuse optical spectroscopy: benefit of extending the UV-VIS wavelength range to include 1000 to 1600 nm", Optics Express, vol. 18, 2010, pp. 1432-1442を参照されたい。この原理の更なる説明及び検証については、R. Nachabe, B.H.W. Hendriks, A.E. Desjardins, M. van der Voort, M.B. van der Mark, and H.J.C.M. Sterenborg, "Estimation of lipid and water concentrations in scattering media with diffuse optical spectroscopy from 900 to 1600nm", J. Biomed. Opt. 15, 037015 (2010)が参照される。
【0059】
例えば記述されるアルゴリズムによって、例えばヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、水、脂肪などの異なる組織発色団の散乱係数及び吸収係数のような光学組織特性は、導き出されることができる。これらの特性は、通常の健康な組織と病変(癌性)組織との間で異なる。
【0060】
可視及び近赤外レンジにおける吸収を支配する正常組織の主吸収成分は、血液(すなわちヘモグロビン)、水及び脂肪である。
図11の下側部分において、波長の関数としてのこれらの発色団の吸収係数が示されている。血液は、可視レンジにおける吸収を支配し、水及び脂肪が、近赤外線レンジにおける吸収を支配することに注意されたい。
【0061】
スペクトルの差を判別する方法は、主成分分析を使用することによる。これは、スペクトルの差の分類を可能にし、ゆえに、組織間の区別を可能にする。拡散反射のほかに、蛍光が測定されることができる。例えばコラーゲン、エラスチン、NADH及びFADのようなパラメータが更に測定されることができる。特に、光学的酸化還元パラメータと呼ばれる比NADH/FADに関心があり、なぜなら、それは、Zhang Q., et al. "Turbidity-free fluorescence spectroscopy of biological tissue", Opt. Lett., 2000 25(19), p. 1451-1453に記述されるように、組織の代謝状態のためのインジケータであるからであり、組織の代謝状態は、癌細胞において変えられ、癌細胞の効果的処置に応じて変化するとみなされる。
【0062】
組織検知デバイスによって検出されることができる外因性フルオロフォアに対する身体の応答を検出することが更に可能である。更に、これらは、拡散光学イメージングに基づいて、光学マンモグラフィのようなイメージングモダリティによって外因性フルオロフォアの測定に結びつけられることもできる。
【0063】
進行に関する情報及び介入デバイスと接触する領域が切断されても安全かどうかの情報が、いくつかのやり方で医師に提供されることができる。例えば、光インジケータが使用されることができ、赤ライトを示す場合、腫瘍組織が検出されることを示し、緑の光によって、腫瘍が検出されないことを示し、及び/又は任意には、黄色により、システムが腫瘍を疑うことを示す。
【0064】
別のやり方は、サウンド信号を使用することである。更に他のやり方は、デバイスと接触する重要な構造の可能性を表示することであり、ディスプレイ上のバーとして表示されることができる。光インジケータは、付加のスクリーンを外科医が見なければならない必要をなくすために、外科ナイフ自体に組み込まれることもできる。2カラーシステムが、組織検知アタッチメントの近くの重要な構造を示すために使用されることができる。
【0065】
本発明は、図面及び上述の記述において詳しく図示され記述されているが、このような図示及び記述は、限定的ではなく、説明的又は例示的であると考えられることができる。本発明は、開示された実施形態に制限されない。図面、開示及び添付の請求項の検討から、開示される実施形態に対する他の変更が、請求項に記載の本発明を実施する際に当業者によって理解されることができ、達成されることができる。
【0066】
請求項において、「含む、有する(comprising)」という語は、他の構成要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。請求項における任意の参照符号は、その範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。
【符号の説明】
【0067】
100 電気外科ナイフ、110 ブレード、120 光ファイバ、130 ハウジング、140 吸引デバイス、150 電気コンソール、160 光学コンソール、164 光ソース、166 光検出器、168 モニタ、170 トリガ/スイッチ、180 接続、190 光学コネクタ、195 レバー、200 組織検知デバイス、210 光学ケーブル、220、240 組織検知デバイスの素子、223、243 近位部分、224、244 グリップ部分、225、245 遠位部分、230 ファイバ出口、250 クリーニング部材、260 弾性素子、270 凹部、280 ガイディングチューブ、290 光学プラグ。