(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の消耗品管理方法、および消耗品管理システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/325 20060101AFI20220413BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220413BHJP
B41J 17/22 20060101ALI20220413BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
B41J2/325 Z
B41J29/42 F
B41J17/22
B41J2/32 Z
(21)【出願番号】P 2018066155
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 和幸
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-234202(JP,A)
【文献】特開平04-246583(JP,A)
【文献】特開平06-055750(JP,A)
【文献】特開平07-096617(JP,A)
【文献】特開2015-193113(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0311024(US,A1)
【文献】特開2001-199091(JP,A)
【文献】特開2012-016896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/32 - 2/325
B41J 29/42
B41J 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
複数のインクリボンの各々と複数の印字媒体の各々との間の組合せの適合性を示す組合せデータを記憶する記憶部と、
前記複数のインクリボンのそれぞれに取り付けられ、前記インクリボンを識別する識別情報が記憶された第1タグから、前記インクリボンの識別情報を読み出すとともに、前記複数の印字媒体のそれぞれに取り付けられ、前記印字媒体を識別する識別情報が記憶された第2タグから、前記印字媒体の識別情報を読み出すリーダと、
前記組合せデータを参照し、前記リーダによって読み出されたインクリボンの識別情報によって特定されるインクリボンと、前記リーダによって読み出された印字媒体の識別情報によって特定される印字媒体との組合せの適合性を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を表示又は印字する出力部と、
前記情報処理装置の内部の周囲温度を検出する1又は複数の温度センサと、
を備
え、
前記組合せデータは、異なる温度ごとの複数の組合せデータを含み、
前記判定部は、前記複数の組合せデータのうち、前記温度センサによって検出された周囲温度に対応する組合せデータに基づき前記組合せの適合性を判定する、情報処理装置。
【請求項2】
前記判定結果が前記組合せの適合性がないことを示す場合、前記組合せデータに基づいて、前記リーダによって読み出されたインクリボンの識別情報によって特定されるインクリボンとの組合せの適合性がある印字媒体、または、前記リーダによって読み出された印字媒体の識別情報によって特定される印字媒体との組合せの適合性があるインクリボンを特定する特定部、をさらに備え、
前記出力部は、前記特定部によって特定された印字媒体またはインクリボンを示す情報を表示画面に表示する、
請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項3】
前記組合せデータを記憶するサーバと通信する通信部を備え、
前記通信部は、前記サーバとの通信によって、前記組合せデータの一部又は全部のデータを、前記サーバから取得し、
前記記憶部は、前記通信部が取得した前記組合せデータを記憶する、
請求項1または2に記載された情報処理装置。
【請求項4】
記憶部とリーダ
と内部の周囲温度を検出する1又は複数の温度センサとを備えた情報処理装置の消耗品管理方法であって、
前記記憶部は、複数のインクリボンの各々と複数の印字媒体の各々との間の組合せの適合性を示す組合せデータを記憶し、
前記組合せデータは、異なる温度ごとの複数の組合せデータを含み、
前記消耗品管理方法は、
前記情報処理装置のリーダが、前記複数のインクリボンのそれぞれに取り付けられ、前記インクリボンを識別する識別情報が記憶された第1タグから、前記インクリボンの識別情報を読み出し、
前記情報処理装置のリーダが、前記複数の印字媒体のそれぞれに取り付けられ、前記印字媒体を識別する識別情報が記憶された第2タグから、前記印字媒体の識別情報を読み出し、
前記組合せデータを参照し、前記リーダによって読み出されたインクリボンの識別情報によって特定されるインクリボンと、前記リーダによって読み出された印字媒体の識別情報によって特定される印字媒体との組合せの適合性を
、前記複数の組合せデータのうち前記温度センサによって検出された周囲温度に対応する組合せデータに基づき判定し、
前記適合性の判定結果を表示又は印字する、
情報処理装置の消耗品管理方法。
【請求項5】
情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能なサーバと、を含み、前記情報処理装置の消耗品を管理する管理システムであって、
前記サーバは、
複数のインクリボンの各々と複数の印字媒体の各々との間の組合せの適合性を示す組合せデータを記憶する記憶部を備え、
前記情報処理装置は、
前記サーバから取得した前記組合せデータを記憶する記憶部と、
前記複数のインクリボンのそれぞれに取り付けられ、前記インクリボンを識別する識別情報が記憶された第1タグから、前記インクリボンの識別情報を読み出すとともに、前記複数の印字媒体のそれぞれに取り付けられ、前記印字媒体を識別する識別情報が記憶された第2タグから、前記印字媒体の識別情報を読み出すリーダと、
前記組合せデータを参照し、前記リーダによって読み出されたインクリボンの識別情報によって特定されるインクリボンと、前記リーダによって読み出された印字媒体の識別情報によって特定される印字媒体との組合せの適合性を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を表示又は印字する出力部と、
前記情報処理装置の内部の周囲温度を検出する1又は複数の温度センサと、を備
え、
前記組合せデータは、異なる温度ごとの複数の組合せデータを含み、
前記判定部は、前記複数の組合せデータのうち、前記温度センサによって検出された周囲温度に対応する組合せデータに基づき前記組合せの適合性を判定する、
消耗品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の消耗品管理方法、および消耗品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク上のサーバと通信可能に接続され、サーバから様々なサービスの提供を受けるように構成された情報処理装置が知られている。例えば、特許文献1には、情報処理装置であるプリンタにおいてエラーが発生したときに、プリンタが当該エラーに関する情報をサーバに通知し、当該エラーを解消するためのソフトウェアをサーバからダウンロードするようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プリンタを製造するに当たって印字性能を保証するために、推奨するラベルロール等の印字媒体とインクリボンの組合せによる印字性能についての確認がプリンタの開発、製造時に行われている。そのため、印字媒体とインクリボンの組合せについて、プリンタの製造者が推奨する組合せと異なるものをユーザがプリンタ本体にセットして印字した場合には、所定の印字性能が得られない場合がある。
【0005】
そこで、本発明のある態様は、情報処理装置にセットされる消耗品の組合せが適切であるか否かの情報を、当該情報処理装置を使用するユーザに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、情報処理装置であって、複数のインクリボンの各々と複数の印字媒体の各々との間の組合せの適合性を示す組合せデータを記憶する記憶部と、前記複数のインクリボンのそれぞれに取り付けられ、前記インクリボンを識別する識別情報が記憶された第1タグから、前記インクリボンの識別情報を読み出すとともに、前記複数の印字媒体のそれぞれに取り付けられ、前記印字媒体を識別する識別情報が記憶された第2タグから、前記印字媒体の識別情報を読み出すリーダと、前記組合せデータを参照し、前記リーダによって読み出されたインクリボンの識別情報によって特定されるインクリボンと、前記リーダによって読み出された印字媒体の識別情報によって特定される印字媒体との組合せの適合性を判定する判定部と、前記判定部による判定結果を表示又は印字する出力部と、前記情報処理装置の内部の周囲温度を検出する1又は複数の温度センサと、を備え、前記組合せデータは、異なる温度ごとの複数の組合せデータを含み、
前記判定部は、前記複数の組合せデータのうち、前記温度センサによって検出された周囲温度に対応する組合せデータに基づき前記組合せの適合性を判定する、情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、情報処理装置にセットされる消耗品の組合せが適切であるか否かの情報を、当該情報処理装置を使用するユーザに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の消耗品管理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態の消耗品管理システムにおける消耗品の斜視図である。
【
図3】第1の実施形態の消耗品管理システムのシステム構成を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態の消耗品管理システムにおいて参照される適合性ルックアップテーブルのデータ構成例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態のプリンタにおいて実行される処理のフローチャートである。
【
図6】第2の実施形態の消耗品管理システムのシステム構成を示すブロック図である。
【
図7】第2の実施形態の消耗品管理システムにおいて参照される適合性ルックアップテーブルのデータ構成例を示す図である。
【
図8】第3の実施形態の消耗品管理システムの適用例を示す図である。
【
図9】第3の実施形態の消耗品管理システムにおいて参照される管理データベースのデータ構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態において「非接触電子タグ」は、情報を記憶する半導体メモリを内蔵して,非接触で読み書き可能な情報媒体を意味する。非接触電子タグとしては、例えばリーダからの電波をエネルギー源として動作するパッシブタグに限らず、電池を内蔵したアクティブタグであってもよい。以下の実施形態の説明では、非接触電子タグを単に「電子タグ」ということがある。
本実施形態において「リーダ」とは、電磁界または電波によって,非接触電子タグの半導体メモリが記憶する情報を読み出すために近距離無線通信を行う読み出し装置を意味する。リーダと電子タグとの間で行われる近距離無線通信は、狭義のRFIDに限られず、NFC(Near Field Communication)であってもよく、無線通信規格を限定するものではない。
以下の実施形態の説明では、印字媒体の一例としてラベルロールについて言及するが、印字媒体はロール体に限られず帯状のラベル、蛇腹状に重ねられたラベル(ファンフォールド紙)であってもよい。
【0010】
(1)第1の実施形態
以下、本発明の実施形態に係る消耗品管理システム1について説明する。
本実施形態の消耗品管理システム1は、例えば、プリンタの消耗品であるラベルロール(印字媒体の一例)とインクリボンを管理するためのシステムである。本実施形態の消耗品管理システムでは、ユーザがラベルロールまたはインクリボンを交換するときに、プリンタ本体にセットされるラベルロールとインクリボンの組合せの適合性が判定され、ユーザに対して組合せの適合性結果が表示される。それによって、ユーザに対してセットされるラベルロールとインクリボンの組合せが適切であるか否かの情報を提供することができる。したがって、ユーザが、ラベルロールとインクリボンの組合せの適合性を認識することができる。
【0011】
本実施形態の消耗品管理システム1では、消耗品であるラベルロールとインクリボンのユーザに対する供給がプリンタの製造者によって管理されている。例えば、ユーザは、ラベルロールまたはインクリボンが消耗した場合にプリンタの製造者に対してラベルロールまたはインクリボンを発注し、プリンタの製造者は発注に応じて、ラベルロールまたはインクリボンをユーザに出荷する。プリンタの製造者は、用途に応じた複数のラベルと複数のインクリボンを製造、販売を行っている。
ラベルロールとインクリボンのユーザに対する供給はプリンタの製造者によって管理されているが、ラベルロールまたはインクリボンを実際にプリンタ本体にセットするのはユーザである。そのため、ユーザが、誤って印字性能をプリンタの製造者が保証することができないラベルロールとインクリボンの組合せでプリンタに使用することが生じうる。
そこで、本実施形態の消耗品管理システム1では、ラベルロールおよびインクリボンの出荷段階でラベルロールおよびインクリボンに管理番号(後述する)が記憶されている電子タグを取り付けられ、プリンタ側に当該電子タグから管理番号を読み出すリーダが設けられる。読み出された管理番号に基づいて、プリンタは、プリンタ本体にセットされているラベルロールとインクリボンの組合せが適切であるか否かについて判定することができる。
【0012】
(1-1)第1の実施形態の消耗品管理システム1の構成
以下、本実施形態の消耗品管理システム1の構成について、
図1~3を参照して説明する。
図1は、本実施形態の消耗品管理システム1の概略構成を示す図である。
図2は、本実施形態の消耗品管理システム1における消耗品の斜視図である。
図3は、本実施形態の消耗品管理システム1のシステム構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の消耗品管理システム1は、プリンタ5およびサーバ6を含む。プリンタ5およびサーバ6は、ネットワークNWを介して接続されている。
プリンタ5は、ユーザが使用するプリンタであり、ユーザの事業所等、ユーザがプリンタ5の使用する所望の場所に配置される。
サーバ6は、プリンタ5の製造者によって管理されているネットワークサーバであり、プリンタ5のユーザに対して様々なサービスを提供するために設けられている。
【0014】
図2に示すように、プリンタ5の消耗品であるインクリボン2およびラベルロール3には、それぞれの紙管の内周面に、インクリボンタグ21(第1タグの一例)およびラベルロールタグ31(第2タグの一例)が取り付けられている。プリンタ本体50にインクリボン2およびラベルロール3をセットすることで印字を行うことができる。インクリボンタグ21およびラベルロールタグ31は、非接触電子タグの例である。
ラベルロールタグ31に記憶されている管理番号には、ラベルロールタグ31が取り付けられたラベルロールを注文したユーザを識別するユーザID、および、当該ラベルロールの種類を識別する部品コード(品番、型式等)あるいはラベルのレイアウトなどの情報が含まれる。
インクリボンタグ21に記憶されている管理番号には、インクリボンタグ21が取り付けられたインクリボンを注文したユーザを識別するユーザID、および、当該インクリボンの種類を識別する部品コード(品番、型式等)などの情報が含まれる。
ラベルロールおよびインクリボンの管理番号は、ラベルロールおよびインクリボンを出荷するプリンタ5の製造者によって書き込まれる。
【0015】
図3に示すように、プリンタ5は、例えば、制御部51、ストレージ52(記憶部の一例)、操作入力部53、表示部54(出力部の一例)、モータ駆動部55、および、ヘッド駆動部56を備える。
制御部51は、マイクロコンピュータおよびメモリ(RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory))を含み、プリンタ5の動作を制御する。マイクロコンピュータは、プリンタ5の起動時にROMに記憶されているファームウェアを読み出して実行する。ファームウェアを実行することで実現される機能には、ヘッド駆動部に供給する印字データを生成することが含まれる。
制御部51は、判定部および特定部の一例である。
【0016】
ストレージ52は、後述する適合性ルックアップテーブルを記憶する。制御部51は、適合性ルックアップテーブルを参照して、使用中のインクリボンおよびラベルロールの組合せの適合性を判定する。
操作入力部53は、プリンタ5の筐体に設けられた操作ボタン、および、タッチパネル入力画面に設けられるタッチ入力ボタンの少なくともいずれかの入力手段である。
表示部54は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネルと、当該表示パネルに画像を表示する駆動回路とを含む。
【0017】
モータ駆動部55は、プラテンローラ(図示せず)の回転を制御するステッピングモータ(図示せず)を駆動することによって、ラベルロールからラベルを引き出して搬送させる。モータ駆動部55は、制御部51からの搬送要求に応じて、当該搬送要求によって指定される搬送方向(順方向あるいは逆方向)および搬送量で連続紙を搬送させる。指定された搬送方向および搬送量は、例えばステッピングモータの回転方向および駆動周波数とステップ数に対応している。モータ駆動部55は、当該回転方向および駆動周波数とステップ数に基づいてステッピングモータを駆動する。
【0018】
制御部51は、操作入力部53から、あるいは図示しない通信回線から印字データを受信する。ヘッド駆動部56は、当該印字データに基づき、複数の発熱素子を有するサーマルヘッドの各発熱素子に選択的に必要なタイミングに応じて電流を流すようにする。電流により発熱した発熱素子がプラテンローラによって搬送されたラベルにインクリボンを介して押し当てられると、発熱素子に押し当てられたラベルの部分が発色することでラベルに情報が印字される。
【0019】
リーダ57は、ラベルロール3に取り付けられているラベルロールタグ31と無線通信を行い、ラベルロールタグ31に記憶されている管理番号を読み出す。リーダ57は、インクリボン2に取り付けられているインクリボンタグ21と無線通信を行い、インクリボンタグ21に記憶されている管理番号を読み出す。
【0020】
通信部58は、サーバ6とネットワークNWを介した通信を行い、データの送受信を行う。本実施形態では、通信部58は、サーバ6から後述する適合性ルックアップテーブルを受信する。
【0021】
図3に示すように、サーバ6は、例えば、制御部61、ストレージ62、および、通信部63を備える。
制御部61は、マイクロコンピュータおよびメモリ(RAM,ROM)を含み、サーバ6の動作を制御する。マイクロコンピュータは、サーバ6の起動時にROMに記憶されているサービスプログラムを読み出して実行する。サービスプログラムを実行することで、プリンタ5のユーザに対して様々なサービスが提供されるように構成されている。
【0022】
ストレージ62には、適合性ルックアップテーブルが記憶されている。適合性ルックアップテーブルは、例えば、オペレータの操作入力に基づいて、制御部61により適宜更新される。
通信部63は、プリンタ5とネットワークNWを介した通信を行い、データの送受信を行う。本実施形態では、通信部63は、プリンタ5に対して適合性ルックアップテーブルを送信する。適合性ルックアップテーブルをプリンタ5に対して送信するタイミングは問わないが、例えば、所定時間ごとのタイミング、あるいは、適合性ルックアップテーブルの更新が行われたタイミングである。
【0023】
次に、適合性ルックアップテーブルについて、
図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態の消耗品管理システム1において参照される適合性ルックアップテーブルのデータ構成例を示す図である。
適合性ルックアップテーブル(適合性LUT)は、ラベルロールとインクリボンとの適合性について記述したデータベースである。すなわち、
図4に示すように、例えば適合性ルックアップテーブルには、ラベルロールの部品コードと、インクリボンの部品コードとの組合せが、プリンタ5の印字性能の観点で適切であるか否か(つまり、組合せの適合性)について例えばマトリクス状に記述されている。ラベルロールの部品コードとインクリボンの部品コードの組合せが適合OK(つまり、適合性あり)である場合にはあらかじめ「1」が書き込まれており、ラベルロールの部品コードとインクリボンの部品コードの組合せが適合不可(否)である場合にはあらかじめ「0」(つまり、適合性がない)が書き込まれている。
【0024】
ラベルロールとインクリボンについては常に新しい製品が開発、販売されているため、プリンタ5の製造者によってラベルロールとインクリボンの組合せの適合性が都度試験によって確認され、試験結果に基づいて適合性ルックアップテーブルが更新される。
【0025】
(1-2)第1の実施形態のプリンタ5の動作
次に、本実施形態のプリンタ5の動作について、
図5のフローチャートを参照して説明する。
図5のフローチャートは、プリンタ5の制御部51のマイクロコンピュータによって実行される。
【0026】
図5において先ず、制御部51は、リーダ57がインクリボンタグ21から管理番号を読み出し(ステップS10)、かつラベルロールタグ31から管理番号を読み出すように(ステップS12)、リーダ57を制御する。前述したように、インクリボンタグ21から読み出される管理番号にはインクリボンの部品コードが含まれ、ラベルロールタグ31から読み出される管理番号にはラベルロールの部品コードが含まれている。ステップS10,S12によって制御部51は、プリンタ本体50にセットされているインクリボンおよびラベルロールの各々の部品コードを認識する。
【0027】
プリンタ5のストレージ52には、サーバ6から受信した適合性ルックアップテーブルが記憶されている。
制御部51は、ストレージ52に記憶されている適合性ルックアップテーブルと照合し(ステップS14)、ステップS10,S12において得られたインクリボンおよびラベルロールの各々の部品コードの組合せの適合性を判定する(ステップS16)。インクリボンとラベルロールの組合せが適合OKであると判定した場合(ステップS16:YES)、制御部51はステップS18以降の処理を行わずに終了する。
インクリボンとラベルロールの組合せが適合不可であると判定した場合(ステップS16:NO)、制御部51は、インクリボンとラベルロールの組合せが適合不可であることが表示部54に表示されるように制御する(ステップS18)。なお、ステップS18で適合不可である(適合性がない)ことが表示されたとしても、ユーザは所定の操作を行うことで、その組合せのまま使用を続けても良い。次いで制御部51は、好ましくは、適合OKとなるインクリボンまたはラベルロールの部品コードを特定し、特定した部品コードが表示部54に表示されるように制御してもよい(ステップS20)。
【0028】
ステップS20において、適合OKとなるインクリボンまたはラベルロールの部品コードの特定は、適合性ルックアップテーブルを参照することで行われる。
例えば、プリンタ本体50にセットされているインクリボンおよびラベルロールの部品コードがそれぞれ「RB15」,「LA05」である場合を想定する(
図4参照)。この場合、
図4の適合性ルックアップテーブルを参照することで、部品コードが「RB15」であるインクリボンに対して適合OKとなるラベルロールとして、「LA03」および「LA12」の部品コードが特定される。また、
図4の適合性ルックアップテーブルを参照することで、部品コードが「LA05」であるラベルロールに対して適合OKとなるインクリボンとして、「RB06」および「RB20」の部品コードが特定される。
この場合、ステップS20において表示部54による表示内容の一例は、「LA03またはLA12のラベルロールに交換するか、RB06またはRB20のインクリボンに交換してください。」といった文字情報の表示である。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の消耗品管理システム1では、プリンタ本体50にセットされているラベルロールとインクリボンに取り付けられている電子タグから、プリンタ5のリーダ57によって管理番号を読み出される。読み出された管理番号に含まれる部品コードを基に適合性ルックアップテーブルを参照することで、プリンタ本体50にセットされているラベルロールとインクリボンの組合せの適合性が判定され、判定結果が表示される。そのため、プリンタ本体にセットされる消耗品であるラベルロールとインクリボンの組合せが適切であるか否かについてプリンタ5のユーザが印字前に認識できるようになる。
【0030】
また、消耗品管理システム1では、好ましくは、プリンタ本体50にセットされているラベルロールとインクリボンの組合せが適合不可である場合、適合OKとなるインクリボンまたはラベルロールの情報が表示される。そのため、ユーザが、プリンタ本体50にセットされているインクリボンまたはラベルロールを適切なものに交換することが可能となる。
【0031】
上述した実施形態の説明では、ラベルロールとインクリボンの組合せの適合性の判定結果、および、適合OKとなるインクリボンまたはラベルロールの情報が、表示出力される場合について言及したが、その限りではない。プリンタ5に音声出力機能を設けることで、当該判定結果を音声出力するようにしてもよいし、当該判定結果を印字するようにしてもよい。
【0032】
上述した実施形態の説明では、プリンタ5が適合性ルックアップテーブルのすべてをサーバ6から取得する場合について言及したが、その限りではない。プリンタ5が適合性ルックアップテーブルの一部のみを取得するように構成することで、サーバ6との通信負荷を低減するようにしてもよい。
その場合、例えば、サーバ6は、プリンタ50にセットされているラベルロールに適合するインクリボンや、プリンタ50にセットされているインクリボンに適合する印字媒体の情報のみプリンタ5に送信することが可能である。
【0033】
(2)第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態の消耗品管理システム1Aについて、
図6および
図7を参照して説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態と同一の構成については同一符号を付し、重複説明を省略するとともに、主として第1の実施形態と相違する点について言及する。
図6は、第2の実施形態の消耗品管理システム1Aのシステム構成を示すブロック図である。
図7は、第2の実施形態の消耗品管理システム1Aにおいて参照される適合性ルックアップテーブルのデータ構成例を示す図である。
【0034】
図6に示す消耗品管理システム1Aのシステム構成において、第1の実施形態の消耗品管理システム1(
図3)と異なる点は、プリンタ5が1または複数の温度センサ59をさらに備えることである。
温度センサ59は、プリンタ5のプリンタ本体の周囲温度を検出するために設けられている。プリンタ本体において温度センサ59の設置される場所は問わないが、例えばプリンタ本体を構成する筐体の外表面近傍に設置される、もしくはラベル近傍、インクリボン近傍などが好ましい。
【0035】
プリンタ本体の周囲温度によってラベルロールおよび/またはインクリボンの温度特性の変化、およびサーマルヘッドの発熱量が異なってくるため同一のラベルロールおよびインクリボンがプリンタ本体にセットされていても、発色特性、ヘッドの発熱等のプリンタ5の印字性能は影響を受ける。例えば、低温時の例を説明するが、低温時と常温時では、プリントヘッドに対して同じ電流を流しても、発熱体は周囲の温度によって実際の発熱量が変化をすることが知られている。
例えば、高温環境下で適合OK(例えば発色性OK)となったラベルロールおよびインクリボンの組合せであっても、低温環境下では適合不可(例えば発色NG)となる場合がある。
そこで、本実施形態の消耗品管理システム1Aでは、
図7に示すように、プリンタ5の周囲温度に対してそれぞれ異なる適合性ルックアップテーブルがプリンタ5に提供される。
図7に示す例では、摂氏-10度、0度、20度、40度のそれぞれに対応する3つの適合性ルックアップテーブルが提供される例を示しているが、温度の組合せはその限りではない。
【0036】
本実施形態の消耗品管理システム1Aにおいて、プリンタ5の制御部51が実行する処理は概ね、
図5に示したフローチャートを参照して説明したとおりであるが、以下の点で異なる。
すなわち、ステップS14では、温度センサ59により検出された周囲温度に基づいて照合する適合性ルックアップテーブルが決定される。ステップS16では、本実施形態の制御部51は、複数の周囲温度にそれぞれ対応する複数の適合性ルックアップテーブルのうち、温度センサ59によって検出された周囲温度に対応する適合性ルックアップテーブルの内容を参照して、ラベルロールとインクリボンの組合せの適合性を判定する。
例えば、
図7に示したように、摂氏-10度、0度、20度、40度のそれぞれに対応する4つの適合性ルックアップテーブルがストレージ52に記憶されている場合を想定する。この場合、4つの適合性ルックアップテーブルのうち、温度センサ59によって検出された周囲温度に最も近い温度に対応する適合性ルックアップテーブルが照合対象となる。
【0037】
本実施形態の消耗品管理システム1Aによれば、ユーザによるプリンタ5の使用環境に応じて、プリンタ本体50にセットされているラベルロールとインクリボンの組合せの適合性を適切にユーザに認識させることができる。
【0038】
(3)第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態の消耗品管理システムについて、
図8および
図9を参照して説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態と同一の構成については同一符号を付し、重複説明を省略するとともに、主として第1の実施形態と相違する点について言及する。
図8は、第3の実施形態の消耗品管理システムの適用例を示す図である。
図9は、第3の実施形態の消耗品管理システムにおいて参照される管理データベースのデータ構成例を示す図である。
【0039】
本実施形態では、ユーザが2台以上のプリンタを使用している場合を想定する。その場合、2台以上のプリンタのうちいずれかのプリンタのラベルロールまたはインクリボンが消耗した後に、ユーザが他のプリンタにセットされているラベルロールまたはインクリボンを取り外して取り替えることがある。例えば、
図8に示すように、ユーザがプリンタ5A,5Bを使用している場合、プリンタ5Aのプリンタ本体50Aにセットされているラベルロール3Aを取り外し、ラベルロール3Aをプリンタ5Bのプリンタ本体50Bにセットすることがある。
本実施形態の消耗品管理システムは、2台以上のプリンタを使用するユーザがプリンタ間でラベルロールまたはインクリボンの取替えを行った場合に、ユーザに対して、取り替えた各プリンタに対するセットされた、ラベルロールまたはインクリボンの使用可能量に関する情報を通知する仕組みを設けた点に特徴がある。
以下の説明では、プリンタ5A,5Bの内部構成は、
図3に示すプリンタ5と同一である。以下、プリンタ5A,5Bに共通して言及するときには、プリンタ5と総称する。
【0040】
本実施形態の消耗品管理システムでは、プリンタ5の消耗品の使用量に関連する使用量情報として、総走行距離のデータが逐次、プリンタ5からサーバ6へ送信される。
プリンタ5の消耗品の例は、例えば、ラベルロール、蛇腹状に重ねられたラベル(ファンフォールド紙)、ロール状に巻かれたインクリボン、または予めプリンタ5にセットされているプラテンローラである。総走行距離のデータは、例えば、プラテンローラを駆動するステッピングモータの駆動パルス情報とプラテンローラのサイズ(直径等)などから推定され、プリンタ5のストレージ52に累積されて逐次、自動的に記録される。
【0041】
本実施形態では、ラベルロールタグ31には、例えば、管理番号(ユーザIDを含む)のほか、ラベル識別番号(ラベルID)およびラベル枚数のデータが記憶されている。インクリボンタグ21には、例えば、管理番号(ユーザIDを含む)のほか、インクリボン識別番号(インクリボンID)および印字可能距離のデータが記憶されている。これらの情報は、ラベルロール3およびインクリボン2の工場出荷時に予め各タグに記録される。
また、本実施形態のプリンタ5のストレージ52に格納される情報は、例えば、プリンタ5を特定するプリンタIDおよびプリンタ5の総走行距離のデータに加え、ラベルロールタグ31およびインクリボンタグ21の各々に記憶されているデータである。
サーバ6がプリンタ5と接続されたときには、プリンタ5からストレージ52に記憶されているデータがサーバ6に送信され、それによってサーバ6のストレージ62には、プリンタ5の総走行距離のデータと、ラベルロールタグ31およびインクリボンタグ21の各々に記憶されているデータとが格納される。すなわち、サーバ6では、プリンタ5から送信されるデータに基づいて、ストレージ62において、
図9に示す管理データベースを構成する。
【0042】
図8に示したように、ラベルロール3Aをプリンタ5Bのプリンタ本体50Bに架け替えた場合には、プリンタ5Bの制御部51は、プリンタ5Bのリーダ57によって読み取られたラベルロール3AのラベルIDを含む問合せをサーバ6に対して行う。サーバ6の制御部61は、問合せに含まれるラベルIDを含む管理データベースのレコードに基づき、プリンタ5Aに対応する総走行距離とラベルロール3Aのラベル枚数のデータを読み出し、ラベルロール3Aが印字可能な残りのラベル枚数を推定する。サーバ6の制御部61は、通信部63を介して、推定した残りのラベル枚数のデータをプリンタ5Bに返し、プリンタ5Bは、残りのラベル枚数のデータを表示部54に表示する。それによってユーザは、ラベルロール3Aの架け替え先のプリンタ5Bにおいて、ラベルロール3Aによって印字可能な残りのラベル枚数を認識することができる。
なお、インクリボンをプリンタ間で架け替えた場合も同様にして、インクリボンの架け替え先のプリンタにおける残りの印字可能距離を推定することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の消耗品管理システムによれば、同一ユーザのプリンタ間でインクリボンまたはラベルロールの取替えが行われた場合に、取替えが行われたプリンタでは使用可能枚数の情報が表示される。そのため、ユーザは、インクリボンまたはラベルロールの取替え後の凡その使用可能枚数を認識できるため、例えば、新しいインクリボンまたは新しいラベルロールの発注タイミングの計画を立てること等が可能となる。
【0044】
なお、
図9に示した例では、管理データベースによりプリンタの総走行距離を管理される場合について例示したが、その限りではない。消耗品(インクリボン、ラベルロール)ごとに総走行距離が管理されるように構成してもよい。例えば、同一のインクリボンやラベルロールに対して、2回以上取替えが行われる場合、継続的にインクリボンまたはラベルロールによる使用可能枚数を把握するためには、個々のインクリボンや個々のラベルロールごとに総走行距離のデータと紐付けることで、2回以上の取替えが行われる場合でも適切な使用可能枚数の値をユーザのプリンタに通知することができる。
【0045】
以上、本発明の情報処理装置の消耗品管理システムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。例えば、上述したいずれかの実施形態で述べた技術的事項は、適宜他の実施形態と組み合わせて適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1,1A…消耗品管理システム
2…インクリボン
21…インクリボンタグ
3,3A…ラベルロール
31…ラベルロールタグ
5,5A,5B…プリンタ
50,50A,50B…プリンタ本体
51…制御部
52…ストレージ
53…操作入力部
54…表示部
55…モータ駆動部
56…ヘッド駆動部
57…リーダ
58…無線通信部
59…温度センサ
6…サーバ
61…制御部
62…ストレージ
63…通信部
NW…ネットワーク