(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】クローラ式走行装置及び作業車両
(51)【国際特許分類】
B62D 55/14 20060101AFI20220413BHJP
B62D 55/065 20060101ALI20220413BHJP
B62D 55/10 20060101ALI20220413BHJP
B62D 55/104 20060101ALI20220413BHJP
B62D 55/12 20060101ALI20220413BHJP
B62D 55/30 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
B62D55/14
B62D55/065
B62D55/10
B62D55/104
B62D55/12
B62D55/30
(21)【出願番号】P 2018151240
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越智 知文
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-264080(JP,A)
【文献】特開2016-030462(JP,A)
【文献】特開平11-321729(JP,A)
【文献】特開2015-101155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/14
B62D 55/065
B62D 55/10
B62D 55/104
B62D 55/12
B62D 55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される駆動軸と、
前記駆動軸を回転可能に支持する駆動軸外側ケースと、
前記駆動軸に取り付けられた駆動輪と、
前記駆動輪の下方に配置され、前記駆動軸と平行な揺動軸の周りに揺動自在に構成された複数のトラックローラと、
前記トラックローラの前後にそれぞれ配置され、前記駆動軸の周りに揺動自在に構成された一対の遊転ローラと、
前記駆動輪と前記トラックローラと前記遊転ローラとに張設される走行クローラと、
前記遊転ローラを前記駆動軸の周りに揺動自在に支持する支持部材と、
前記駆動軸外側ケースに設けられ、前記支持部材を揺動方向に付勢する付勢手段と、
を備える、クローラ式走行装置。
【請求項2】
回転駆動される駆動軸と、
前記駆動軸を回転可能に支持する駆動軸外側ケースと、
前記駆動軸に取り付けられた駆動輪と、
前記駆動輪の下方に配置され、前記駆動軸と平行な揺動軸の周りに揺動自在に構成された複数のトラックローラと、
前記トラックローラの前後にそれぞれ配置され、前記駆動軸の周りに揺動自在に構成された一対の遊転ローラと、
前記駆動輪と前記トラックローラと前記遊転ローラとに張設される走行クローラと、
前記トラックローラを回転自在に支持するトラックフレームと、
前記トラックフレームを前記駆動軸外側ケースに揺動自在に支持するトラックフレームシャフトと、
前記トラックフレームシャフトに設けられ、前記トラックフレームの揺動を規制する第
2規制部材と、
を備える、クローラ式走行装置。
【請求項3】
前記遊転ローラを前記駆動軸の周りに揺動自在に支持する支持部材と、
前記駆動軸外側ケースに設けられ、前記支持部材の揺動を規制する第1規制部材と、を
さらに備える、請求項1又は2に記載のクローラ式走行装置。
【請求項4】
請求項1~
3の何れかに記載のクローラ式走行装置を機体の前部又は/及び後部に備える作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラ式走行装置及びクローラ式走行装置を備える作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、後車輪に代えてクローラ走行装置を有するトラクタにおいて、駆動軸の下方に揺動軸を設け、揺動軸を介してトラックフレームにテンション輪、遊転輪、及び接地転輪を設けた構成が開示されている。このトラクタでは、テンション輪、遊転輪、及び接地転輪は、トラックフレームとともに一体として揺動軸の周りを揺動可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、トラックフレーム全体が揺動するため、作業時の負荷が大きくなるとクローラの前部が浮き上がって後部のみが接地するようになり、接地面積が減少して走破性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、負荷が大きくなっても接地面積の減少を防ぐことができるクローラ式走行装置及び作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のクローラ式走行装置は、回転駆動される駆動軸と、
前記駆動軸を回転可能に支持する駆動軸外側ケースと、
前記駆動軸に取り付けられた駆動輪と、
前記駆動輪の下方に配置され、前記駆動軸と平行な揺動軸の周りに揺動自在に構成された複数のトラックローラと、
前記トラックローラの前後にそれぞれ配置され、前記駆動軸の周りに揺動自在に構成された一対の遊転ローラと、
前記駆動輪と前記トラックローラと前記遊転ローラとに張設される走行クローラと、を備えるものである。
【0007】
この構成によれば、通常走行時にはトラックローラの下方領域の走行クローラが接地する。一方、負荷が大きいときには一対の遊転ローラが駆動軸の周りで揺動して、一方の遊転ローラは上昇して、他方の遊転ローラは下降し、他方の遊転ローラの下方領域の走行クローラも接地するようになるため、接地面積が拡大して走破性が良好となる。
【0008】
本発明のクローラ式走行装置において、前記遊転ローラを前記駆動軸の周りに揺動自在に支持する支持部材と、
前記駆動軸外側ケースに設けられ、前記支持部材を揺動方向に付勢する付勢手段と、をさらに備えるものでもよい。
【0009】
この構成によれば、遊転ローラの揺動を適正に設定することができる。
【0010】
本発明のクローラ式走行装置において、前記遊転ローラを前記駆動軸の周りに揺動自在に支持する支持部材と、
前記駆動軸外側ケースに設けられ、前記支持部材の揺動を規制する第1規制部材と、をさらに備えるものでもよい。
【0011】
この構成によれば、遊転ローラの揺動範囲を規制することができる。
【0012】
本発明のクローラ式走行装置において、前記トラックローラを回転自在に支持するトラックフレームと、
前記トラックフレームを前記駆動軸外側ケースに揺動自在に支持するトラックフレームシャフトと、
前記トラックフレームシャフトに設けられ、前記トラックフレームの揺動を規制する第2規制部材と、をさらに備えるものでもよい。
【0013】
この構成によれば、トラックフレームの揺動範囲を規制することができる。
【0014】
本発明の作業車両は、上記何れかのクローラ式走行装置を機体の前部又は/及び後部に備えるものである。
【0015】
この構成によれば、通常走行時にはトラックローラの下方領域の走行クローラが接地する。一方、負荷が大きいときには一対の遊転ローラが駆動軸の周りで揺動して、一方の遊転ローラは上昇して、他方の遊転ローラは下降し、他方の遊転ローラの下方領域の走行クローラも接地するようになるため、接地面積が拡大して走破性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る作業車両の全体構成を示す左側面図である。
【
図2】クローラ式走行装置の一例を示す正面図である。
【
図3】
図2に示すクローラ式走行装置のA-A断面図である。
【
図4】
図2に示すクローラ式走行装置のB-B断面図である。
【
図5】本実施形態に係るクローラ式走行装置の作用効果を説明するための模式図である。
【
図6】クローラ式走行装置の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係るクローラ式走行装置を適用した作業車両1の側面図である。作業車両1は、本実施形態においてはトラクタとしているが、本発明のクローラ式走行装置が適用可能な作業車両であれば特に限定されず、トラクタの他、田植機、コンバイン、土木・建築作業装置、除雪車等の乗用型作業車両でもよい。なお、以下の説明では、作業車両1の前進方向に向かって左側を単に「左」又は「左側」と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に「右」又は「右側」と称する。
【0019】
作業車両1は、長手方向を前後方向とした車体フレーム10aを備えている。車体フレーム10aの前部にて、フロントアクスルケース10bが支持されており、フロントアクスルケース10bにて、左右一対のクローラ式走行装置10c,10cが支持されている。
【0020】
車体フレーム10aの前部上方には、ボンネット10dが搭載されており、該ボンネット10d内にエンジン10eが配置されている。
図1に示すように、ボンネット10dの後方にて、車体フレーム10aの後部上方にはキャビン10fが搭載されている。キャビン10f内には、不図示の座席、ステアリングハンドル等が配置される。
【0021】
図1に示すように、キャビン10fの下方にて、車体フレーム10aの後端部が、ミッションケース10gに接続されている。ミッションケース10gの左右両側には、リアアクスルケース10h,10hが固設されており、リアアクスルケース10h,10hにて、左右一対のクローラ式走行装置10i,10iが支持されている。
【0022】
エンジン10eの動力がミッションケース10gで変速された後、フロントアクスルケース10bを経て左右一対のクローラ式走行装置10c,10cに伝達されるとともに、リアアクスルケース10h,10hを経て左右一対のクローラ式走行装置10i,10iに伝達される。エンジン10eの動力が伝達されることで、前後のクローラ式走行装置10c,10c及びクローラ式走行装置10i,10iが駆動され、作業車両1の走行が行われる。さらに、エンジン10eの動力がミッションケース10gで変速された後、車体フレーム10aに装着された不図示の耕耘装置等の作業機にも伝達される。エンジン10eの動力が伝達されることで、当該作業機が駆動される。
【0023】
次に、前側のクローラ式走行装置10c,10cの構成について説明する。
図2は、左側のクローラ式走行装置10cの正面図である。
図3は、
図2のクローラ式走行装置10cのA-A断面図であり、
図4は、
図2のクローラ式走行装置10cのB-B断面図である。
【0024】
クローラ式走行装置10cは、回転駆動される前車軸(駆動軸に相当する)21と、前車軸21を回転可能に支持する駆動軸外側ケース22と、前車軸21に取り付けられた駆動輪23と、駆動輪23の下方に配置される複数のトラックローラ24と、トラックローラ24の前後にそれぞれ配置される一対の遊転ローラ25,26と、駆動輪23とトラックローラ24と遊転ローラ25,26とに張設される走行クローラ27とを備えている。なお、
図2では、駆動輪23を2点鎖線で示している。
【0025】
前車軸21は、フロントアクスルケース10bから外方へ駆動軸外側ケース22を貫通するように配置され、その先端部21aに駆動輪23が固設されている。前車軸21の基端部21bにはベベルギヤ211が連結される。ベベルギヤ211は、フロントアクスルケース10b内の不図示のベベルギヤに噛合される。
【0026】
駆動軸外側ケース22は、フロントアクスルケース10bとともに前車軸21を回転可能に支持する。駆動軸外側ケース22は、前車軸21の軸方向から見ると、ベベルギヤ211を覆う円形部22aと、円形部22aから下方に延設されたテーパ部22bとで構成されている。円形部22aには、前車軸21が回転可能に支持され、テーパ部22bには後述するトラックフレームシャフト242が突設されている。
【0027】
駆動輪23は、前車軸21の駆動力により回転駆動される。駆動輪23の回転駆動力を走行クローラ27に伝達して走行クローラ27を回転させる。
【0028】
複数のトラックローラ24は、トラックフレーム241に回転自在に支持されている。本実施形態では、2個のトラックローラ24がトラックフレーム241の前後部にそれぞれ支持されている。トラックフレーム241は、駆動輪23の下方に配置される。トラックフレーム241には、駆動軸外側ケース22側に向かって左右方向に延びる規制シャフト241aが設けられている。
【0029】
トラックフレーム241は、トラックフレームシャフト242(揺動軸に相当する)によって、左右方向に沿う軸心回りで揺動自在に支持されている。そのため、凹凸のある圃場であっても、トラックローラ24,24の下方領域の走行クローラ27が自在に接地することができる。
【0030】
トラックフレームシャフト242は、前車軸21と平行となるように配置されている。トラックフレームシャフト242の基端部242aは、駆動軸外側ケース22に固設されている。また、トラックフレームシャフト242の基端部242aは、駆動軸外側ケース22を貫通して突出しており、その突出部242bには、規制プレート243(第2規制部材に相当する)が固設されている。規制プレート243は、
図2に示すように下部に凹部243aが形成された板状部材である。凹部243a内には、トラックフレーム241の規制シャフト241aが配置され、これにより、トラックフレーム241が一定以上に揺動するときには規制シャフト241aを凹部243aに当接させて、トラックフレーム241の揺動を一定範囲内に規制する。
【0031】
また、トラックフレームシャフト242の先端部242cには、補助部材244が連結されている。補助部材244の下端部244aは、トラックフレームシャフト242の先端部242cを固定支持し、補助部材244の上端部244bは、前車軸21の先端部21aを回転可能に支持している。
【0032】
遊転ローラ25は、トラックフレーム241の前方に配置されている。クローラ式走行装置10cは、遊転ローラ25を回転可能に支持する第1ブラケット251を備えている。第1ブラケット251は、断面が下方側を開放したアーチ状となっており、そのアーチ状部分にて遊転ローラ25を支持する。
【0033】
遊転ローラ26は、トラックフレーム241の後方に配置されている。遊転ローラ26は、第2ブラケット261によって回転可能に支持されている。第2ブラケット261は、断面が下方側を開放したアーチ状となっており、そのアーチ状部分にて遊転ローラ26を支持する。
【0034】
遊転ローラ25,26は、支持部材28によって前車軸21の周りに揺動自在に支持される。遊転ローラ25,26は、前車軸21の周りを揺動することで、遊転ローラ25,26の下方領域の走行クローラ27が接地して作業車両1の荷重を支持する支持姿勢と、遊転ローラ25,26の下方領域の走行クローラ27が接地しない非支持姿勢とに姿勢変更可能である。支持部材28は、駆動軸外側ケース22に回転自在に支持される円筒部281と、円筒部281の外周に突設されたフランジ部282と、フランジ部282の周囲に間隔をあけて固定された前アーム部283及び後アーム部284とで構成されている。
【0035】
円筒部281は、前車軸21を支持する駆動軸外側ケース22の外周にブッシュを介して回転可能に固定されている。フランジ部282は、
図2に示すように、前車軸21の軸方向から見ると、略逆三角形状をしている。ただし、フランジ部282の下端部には、切り欠き部282dが形成されている。
【0036】
フランジ部282の上面282aには、2本の高さ調整ボルト285,285が突設されている。高さ調整ボルト285,285は、円筒部281の前後にそれぞれ配置されている。高さ調整ボルト285,285は、回転させることでボルト頭部の高さを変更することができる。
【0037】
前アーム部283は、フランジ部282の前方面282bに固定されている。前アーム部283は、複数枚の板状部材にて構成されている。前アーム部283の先端部は、第1ブラケット251を走行クローラ27の緊張方向に移動自在に支持する。前アーム部283と第1ブラケット251との間には、走行クローラ27の緊張方向に遊転ローラ25を付勢する皿バネ252が設けられている。
【0038】
後アーム部284は、フランジ部282の後方面282cに固定されている。後アーム部284は、複数枚の板状部材にて構成されている。後アーム部284の先端部は、第2ブラケット261を支持する。
【0039】
駆動軸外側ケース22の円形部22aの上部には、支持部材28を揺動方向に付勢する板バネ29(付勢手段に相当する)が設けられている。板バネ29は、支持部材28の上方に配置されている。板バネ29は、前後方向に長尺な形状を有しており、前後方向中央部が取付部材291を介して駆動軸外側ケース22に固定されている。取付部材291は、駆動軸外側ケース22の円形部22aの外径よりも小径、かつ支持部材28の円筒部281の外径よりも大径の円弧状をしており、取付部材291の上端部に板バネ29が固定されている。
【0040】
板バネ29の前端部及び後端部の下面に、支持部材28の高さ調整ボルト285,285のボルト頭部が当接する。これにより、板バネ29は、支持部材28を揺動方向に付勢することができる。また、高さ調整ボルト285,285の高さを変更することで付勢力を調整することができる。
図2に示す定置状態において、支持部材28は、遊転ローラ25,26の下端がトラックローラ24の下端よりも上方に位置するように、板バネ29により付勢されている。すなわち、クローラ式走行装置10cにおいて、定置状態では、遊転ローラ25,26の下方領域の走行クローラ27は接地せず、トラックローラ24のみが作業車両1の荷重を支持している。
【0041】
また、駆動軸外側ケース22の円形部22aの下部には、支持部材28の揺動を規制する規制突起221(第1規制部材に相当する)が設けられている。規制突起221は、駆動軸外側ケース22の外側に突出している。規制突起221は、支持部材28の切り欠き部282d内に配置され、これにより、支持部材28が一定以上に揺動するときには切り欠き部282dを規制突起221に当接させて、支持部材28の揺動を一定範囲内に規制する。
【0042】
図5は、本実施形態のクローラ式走行装置10cの作用効果を説明するための模式図である。前側のクローラ式走行装置10cを上記のように構成することにより、以下のような作用効果を奏する。
【0043】
定置状態又は牽引力が小さい状態では、
図5(a)に示すようにトラックローラ24,24の下方領域の走行クローラ27のみが接地する。そのため、走行クローラ27の接地長さが短く、操舵が可能である。
【0044】
一方、前進の牽引力が大きい状態では、
図5(b)に示すように遊転ローラ25,26が前方に揺動することで、前側の遊転ローラ25は上昇して、走行クローラ27の前方の迎角が大きくなり、かつ後側の遊転ローラ26は下降して、後側の遊転ローラ26の下方領域の走行クローラ27も接地するようになる。これにより、走行クローラ27の前方の迎角が大きくなるとともに、接地長さが長くなって接地面積が増えるため、走破性が良くなる。
【0045】
同様に、後進の牽引力が大きい状態では、
図5(c)に示すように遊転ローラ25,26が後方に揺動することで、後側の遊転ローラ26は上昇して、走行クローラ27の後方の迎角が大きくなり、かつ前側の遊転ローラ25は下降して、前側の遊転ローラ25の下方領域の走行クローラ27も接地するようになる。これにより、走行クローラ27の後方の迎角が大きくなるとともに、接地長さが長くなって接地面積が増えるため、走破性が良くなる。
【0046】
次に、後側のクローラ式走行装置10i,10iの構成について説明する。
図6は、左側のクローラ式走行装置10iの正面図である。
【0047】
クローラ式走行装置10iは、回転駆動される後車軸(駆動軸に相当する)31と、後車軸31を回転可能に支持する駆動軸外側ケース32と、後車軸31に取り付けられた駆動輪33と、駆動輪33の下方に配置される複数のトラックローラ34と、トラックローラ34の前後にそれぞれ配置される一対の遊転ローラ35,36と、駆動輪33とトラックローラ34と遊転ローラ35,36とに張設される走行クローラ37とを備えている。
【0048】
後側のクローラ式走行装置10iの構成は、前側のクローラ式走行装置10cの構成と略同様であり、異なる構成を中心に説明する。複数のトラックローラ34は、トラックフレーム341に回転自在に支持されている。本実施形態では、4個のトラックローラ34がトラックフレーム341の前後部にそれぞれ2個ずつ支持されている。前方の大小2個のトラックローラ34,34は、第1揺動軸3411によりトラックフレーム341の前部に揺動自在に支持されている。また、後方の大小2個のトラックローラ34,34は、第2揺動軸3412によりトラックフレーム341の後部に揺動自在に支持されている。これにより、凹凸のある圃場であっても、4個のトラックローラ34の下方領域の走行クローラ27が自在に接地することができる。
【0049】
[他の実施形態]
前述の実施形態では、機体の前部及び後部にクローラ式走行装置を備えているが、後部のみにクローラ式走行装置を備え、前部に通常の車輪を備えるようにしてもよい。
【0050】
前述の実施形態では、トラックローラ24を2個、トラックローラ34を4個設けているが、トラックローラは、3個又は5個以上設けるようにしてもよい。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 作業車両
10b フロントアクスルケース
10c クローラ式走行装置
10i クローラ式走行装置
21 前車軸
22 駆動軸外側ケース
23 駆動輪
24 トラックローラ
25 遊転ローラ
26 遊転ローラ
27 走行クローラ
28 支持部材
29 板バネ
31 後車軸
32 駆動軸外側ケース
33 駆動輪
34 トラックローラ
35 遊転ローラ
36 遊転ローラ
37 走行クローラ
221 規制突起
241 トラックフレーム
242 トラックフレームシャフト
243 規制プレート