(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20220413BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20220413BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/30 338
G02F1/1343
G02F1/1335 500
(21)【出願番号】P 2018161637
(22)【出願日】2018-08-30
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 宏宜
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-032760(JP,A)
【文献】特開2014-153483(JP,A)
【文献】特開2008-233606(JP,A)
【文献】特表2018-523840(JP,A)
【文献】特開2003-167271(JP,A)
【文献】国際公開第2015/029704(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0288003(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H01L 27/32
51/50
H05B 33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を備える第1基板と、
平面視において前記表示領域の内側にある透明領域と、
平面視において前記透明領域の外縁に沿って前記透明領域を囲み、前記表示領域と前記透明領域との間にある額縁領域と、
前記表示領域において前記第1基板上の第1導電層で形成され、第1方向に延びる複数の走査信号線と、
前記表示領域において前記第1基板上の第2導電層で形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の映像信号線と、
を有し、
前記複数の映像信号線の一部は、前記表示領域に配置され、前記第2方向に延びる複数の延在配線と、前記額縁領域に配置され、両端が前記複数の延在配線に接続される複数の迂回配線と、を備え、
前記複数の映像信号線の前記複数の迂回配線は、前記第2導電層に配置される複数の第2層迂回配線と、前記第1導電層および前記第2導電層とは異なる第3導電層に配置される複数の第3層迂回配線と、を含み、
前記複数の第2層迂回配線の配置ピッチ、および前記複数の第3層迂回配線の配置ピッチのそれぞれは、前記表示領域における前記複数の映像信号線の配置ピッチよりも小さい、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記額縁領域は、
前記第1方向において、前記透明領域の隣に配置され、前記複数の第2層迂回配線および前記複数の第3層迂回配線のそれぞれの一部が配置される第1領域と、
前記第1方向において、前記透明領域を挟んで前記第1領域の反対側に配置され、前記複数の第2層迂回配線および前記複数の第3層迂回配線のそれぞれの他の一部が配置される第2領域と、
を含む、表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1領域に配置される前記複数の第2層迂回配線の本数と、前記第2領域に配置される前記複数の第2層迂回配線の本数とは互いに等しく、
前記第1領域に配置される前記複数の第3層迂回配線の本数と、前記第2領域に配置される前記複数の第3層迂回配線の本数とは互いに等しい、表示装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記第1領域に配置される前記複数の第2層迂回配線および前記複数の第3層迂回配線のそれぞれは、前記透明領域の外縁に沿って円弧状に延び、
前記第1領域の幅は、前記第2方向における位置に対応して変化し、かつ、前記透明領域の中心から前記第1方向に延ばした第1仮想線と重なる位置において最も大きい、表示装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
前記複数の走査信号線の一部は、前記表示領域に配置され、前記第1方向に延びる複数の走査信号用延在配線と、前記第1導電層の前記額縁領域に配置され、両端が前記複数の走査信号用延在配線に接続される複数の第1層迂回配線と、を備え、
前記複数の第1層迂回配線の配置ピッチは、前記表示領域における前記複数の走査信号線の配置ピッチよりも小さい、表示装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記額縁領域は、
前記第2方向において、前記透明領域の隣に配置され、前記複数の第1層迂回配線の一部が配置される第3領域と、
前記第2方向において、前記透明領域を挟んで前記第3領域の反対側に配置され、前記複数の第1層迂回配線の他の一部が配置される第4領域と、
を含む、表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第3領域に配置される前記複数の第1層迂回配線の本数と、前記第4領域に配置される前記複数の第1層迂回配線の本数とは互いに等しい、表示装置。
【請求項8】
請求項6または7において、
前記第3領域に配置される前記複数の第1層迂回配線のそれぞれは、前記透明領域の外縁に沿って円弧状に延び、
前記第3領域の幅は、前記透明領域の中心から前記第2方向に延ばした第2仮想線と重なる位置において最も大きい、表示装置。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか1項において、
前記複数の映像信号線は、第1色用の映像信号が伝送される複数の第1映像信号線と、第2色用の映像信号が伝送される複数の第2映像信号線と、第3色用の映像信号が伝送される複数の第3映像信号線と、を含み、
前記複数の第1映像信号線、および前記複数の第2映像信号線は、前記額縁領域において前記複数の第2層迂回配線に接続され、
前記複数の第3映像信号線は、前記額縁領域において前記複数の第3層迂回配線に接続される、表示装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記額縁領域において、対を成す前記第1映像信号線と前記第2映像信号線とが互いに隣り合うように配置され、平面視において、前記対を成す前記第1映像信号線と前記第2映像信号線との間に前記第3映像信号線が配置され、
平面視において、互いに隣り合う前記複数の第3層迂回配線の配置ピッチは、互いに隣り合う前記複数の第2層迂回配線の配置ピッチより大きい、表示装置。
【請求項11】
請求項9または10において、
前記額縁領域において、対を成す前記第1映像信号線と前記第2映像信号線とが互いに隣り合うように配置され、平面視において、前記対を成す前記第1映像信号線と前記第2映像信号線との間に前記走査信号線が配置され、
平面視において、互いに隣り合う前記複数の第1層迂回配線の配置ピッチは、互いに隣り合う前記複数の第2層迂回配線の配置ピッチより大きい、表示装置。
【請求項12】
請求項11において、
平面視において、前記走査信号線の前記複数の第1層迂回配線と、前記第3映像信号線の前記複数の第3層迂回配線とは重なり、
平面視において、互いに隣り合う前記対の間には、前記走査信号線の前記複数の第1層迂回配線および前記第3映像信号線の前記複数の第3層迂回配線が配置されず、かつ、前記複数の第2層迂回配線の延在方向に沿って延びる光透過性の領域が存在する、表示装置。
【請求項13】
請求項6において、
前記表示領域および前記額縁領域を備え、前記第1基板と対向配置される第2基板と、
平面視において、前記透明領域を囲むように前記額縁領域に配置され、前記第1基板と前記第2基板とを接着固定するシール材と、
を更に備え、
前記第2導電層は、第1絶縁膜に覆われ、
前記第3導電層は、前記第1絶縁膜上に形成され、かつ、第2絶縁膜に覆われ、
前記額縁領域には、前記第2導電層と前記第3導電層とを電気的に接続する複数のコンタクトホールが前記第1方向に沿って配列されるコンタクト領域があり、
前記コンタクト領域と前記表示領域との間には、前記第1絶縁膜上に前記第3導電層および前記第2絶縁膜が形成されていない段差部がある、表示装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項において、
前記額縁領域には、前記第2導電層と前記第3導電層とを電気的に接続する複数のコンタクトホールが配置され、
平面視において、前記複数のコンタクトホールのそれぞれの底面は、前記複数の走査信号線と重ならない位置に形成される、表示装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項において、
平面視において、前記複数の映像信号線と前記複数の走査信号線とは互いに交差し、
前記複数の映像信号線のそれぞれが備える延在配線の幅は、前記複数の第2層迂回配線の幅より大きい、表示装置。
【請求項16】
請求項5~13のいずれか1項において、
平面視において、前記複数の映像信号線と前記複数の走査信号線とは互いに交差し、
前記額縁領域において、前記複数の映像信号線と前記複数の第1層迂回配線とが交差する複数の交差部のそれぞれに形成される鋭角は、45度以上の角度の鋭角の数の方が、45度未満の角度の鋭角の数より多い、表示装置。
【請求項17】
請求項5において、
前記複数の映像信号線は、第1色用の映像信号が伝送される複数の第1映像信号線と、第2色用の映像信号が伝送される複数の第2映像信号線と、第3色用の映像信号が伝送される複数の第3映像信号線と、を含み、
平面視において、隣り合う第1層迂回配線の間には、前記第1映像信号線、および前記第2映像信号線がそれぞれ1本ずつ配置され、
前記複数の第3層迂回配線は、前記複数の第1層迂回配線と重なり、かつ、前記複数の第3映像信号線に接続される、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の技術に関し、表示領域内に画素と重ならない非表示領域がある表示装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2006-343728号公報)には、映像表示部と透明表示部との間に遮光部が配置された表示装置が記載されている。また、特許文献2(米国特許出願公開第2017/0123452号明細書)には、カメラと重なる位置に透明領域が設けられた表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-343728号公報
【文献】米国特許出願公開第2017/0123452号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示装置に対して、表示領域内の非表示領域の面積を出来る限り小さくして、有効表示領域の占有率を増大させる要求がある。本願発明者は、この要求に対する取組の一環として、例えばカメラなどの部品を配置する領域の周囲を囲む位置まで表示領域の面積を拡大させる技術について検討した。平面視において、表示領域の内側にカメラなどの部品を配置する領域が存在する場合、表示領域に配置される多数の信号配線のレイアウトが課題になる。例えば、表示領域の内側に可視光透過性の透明領域を配置する場合、複数の信号配線が、透明領域と重ならないように、透明領域の周辺を迂回する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、表示装置の性能を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様である表示装置は、表示領域と、平面視において前記表示領域の内側にある透明領域と、平面視において前記透明領域の外縁に沿って前記透明領域を囲み、前記表示領域と前記透明領域との間にある額縁領域と、を備える第1基板と、前記表示領域において前記第1基板上の第1導電層に形成され、第1方向に延びる複数の走査信号線と、前記表示領域において前記第1基板上の第2導電層に形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の映像信号線と、を有する。前記複数の映像信号線の一部は、前記表示領域に配置され、前記第2方向に延びる複数の延在配線部と、前記額縁領域に配置され、両端が前記複数の延在配線部に接続される複数の迂回配線部と、を備える。前記複数の映像信号線の前記複数の迂回配線部は、前記第2導電層に配置される複数の第2層迂回配線部と、前記第1導電層および前記第2導電層とは異なる第3導電層に配置される複数の第3層迂回配線部と、を含む。前記複数の第2層迂回配線部の配置ピッチ、および前記複数の第3層迂回配線部の配置ピッチのそれぞれは、前記表示領域における前記複数の映像信号線の配置ピッチよりも小さい。
【0007】
本発明の他の一態様である表示装置は、表示領域と、平面視において前記表示領域の内側にある透明領域と、平面視において前記透明領域の外縁に沿って前記透明領域を囲み、前記表示領域と前記透明領域との間にある額縁領域と、前記表示領域および前記額縁領域を備える第1基板と、前記表示領域において前記第1基板上の第1導電層に形成され、第1方向に延びる複数の走査信号線と、前記表示領域において前記第1基板上の第2導電層に形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の映像信号線と、を有する。前記複数の走査信号線の一部は、前記表示領域に配置され、前記第1方向に延びる複数の第1延在配線部と、前記額縁領域に配置され、両端が前記複数の第1延在配線部に接続される複数の第1迂回配線部と、を備える。前記複数の映像信号線の一部は、前記表示領域に配置され、前記第2方向に延びる複数の第2延在配線部と、前記額縁領域に配置され、両端が前記複数の第2延在配線部に接続される複数の第2迂回配線部と、を備える。前記複数の第1迂回配線部の配置ピッチは、前記複数の第1延在配線部の配置ピッチより大きい。前記複数の第2迂回配線部の配置ピッチは、前記複数の第2延在配線部の配置ピッチより小さい。前記額縁領域は、前記第1方向において、前記透明領域の隣に配置され、前記複数の第2迂回配線部のそれぞれの一部が配置される第1領域と、前記第1方向において、前記透明領域を挟んで前記第1領域の反対側に配置され、前記複数の第2迂回配線部のそれぞれの他の一部が配置される第2領域と、前記第2方向において、前記透明領域の隣に配置され、前記複数の第1迂回配線部のそれぞれの一部が配置される第3領域と、前記第2方向において、前記透明領域を挟んで前記第3領域の反対側に配置され、前記複数の第1迂回配線部のそれぞれの他の一部が配置される第4領域と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施の形態である表示装置の一例を示す表示面側の平面図である。
【
図3】
図1に示す表示装置が備える画素周辺の回路構成例を示す回路図である。
【
図4】
図2に示す表示装置の表示領域の拡大断面図である。
【
図5】
図1に示す透明領域周辺の第1導電層の拡大平面図である。
【
図6】
図1に示す透明領域周辺の第2導電層の拡大平面図である。
【
図7】
図1に示す透明領域周辺の第3導電層の拡大平面図である。
【
図8】
図6および
図7に示す複数の迂回配線部が配置される領域を模式的に示す拡大平面図である。
【
図9】
図5に示す複数の迂回配線部が配置される領域を模式的に示す拡大平面図である。
【
図10】
図7に示すB部において、
図6および
図7に示す迂回配線を重ねあわせた状態を示す拡大平面図である。
【
図11】
図10と同じ位置において、
図5および
図6に示す迂回配線を重ねあわせた状態を示す拡大平面図である。
【
図13】
図6に示す第2導電層と
図7に示す第3導電層とを接続する部分周辺の拡大平面図である。
【
図16】
図1に示す透明領域の周囲の額縁領域に配置されるシール材の平面形状を示す拡大平面図である。
【
図18】
図6に対する変形例である表示装置が有する透明領域周辺の第2導電層の拡大平面図である。
【
図19】
図18に示す複数の迂回配線部が配置される領域を模式的に示す拡大平面図である。
【
図20】
図18に示す表示装置の第1導電層の複数の迂回配線部が配置される領域を模式的に示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
また、以下の実施の形態では、表示装置の例として、電気光学層である液晶層を備えた液晶表示装置を取り上げて説明する。ただし、以下で説明する技術は、液晶表示装置の他、種々の変形例に適用できる。例えば、電気光学層は、液晶層の他、有機発光素子層、マイクロLEDを含む無機発光素子層、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッター、あるいは、電気泳動素子層など、電気的なエネルギーを印加することにより、光学特性が変化する素子を含んだ層であれば良い。
【0011】
本願では、平面視において、互いに隣り合うように配列される複数の配線(後述する走査信号線や映像信号線)の配線幅、配置ピッチ、あるいは、配置密度などの用語をもちいる場合がある。上記の用語は、以下のように定義される。配線幅とは、配線の延在方向(長手方向)に対して直交する方向の配線の長さである。配置ピッチとは、互いに隣り合う配線間の中心間距離である。配線密度とは、単位面積当たりに配線を構成する導体パターンが占める割合である。配線密度は、配線幅と配置ピッチ(中心間距離)との関係により規定される。すなわち、配線幅を定数とすると、配線密度は、配置ピッチと反比例する。また、配置ピッチを定数とすると、配線密度は配線幅に比例する。また、配線の離間距離とは、互いに隣り合う配線の間の距離である。なお、複数の配線のそれぞれは、幅方向の断面において、台形の断面形状を有する。この場合、隣り合う配線の離間距離とは、隣り合う配線それぞれが有する台形の底辺間の距離を意味する。また、配線幅とは、配線が有する台形の底辺の長さを意味する。また、本明細書において、ラインアンドスペースという用語を用いる場合があるが、このラインアンドスペースのラインとは、配線幅の意味であり、スペースとは離間距離の意味である。
【0012】
また、液晶表示装置は、液晶層の液晶分子の配向を変化させるための電界の印加方向により、大きくは以下の2通りに分類される。すなわち、第1の分類として、表示装置の厚さ方向(あるいは面外方向)に電界が印加される、所謂、縦電界モードがある。縦電界モードには、例えばTN(Twisted Nematic)モードや、VA(Vertical Alignment)モードなどがある。また、第2の分類として、表示装置の平面方向(あるいは面内方向)に電界が印加される、所謂、横電界モードがある。横電界モードには、例えばIPS(In-Plane Switching)モードや、IPSモードの一つであるFFS(Fringe Field Switching)モードなどがある。以下で説明する技術は、縦電界モードおよび横電界モードのいずれにも適用できるが、以下で説明する実施の形態では、一例として、横電界モードの表示装置を取り上げて説明する。
【0013】
(実施の形態1)
<表示装置の構成>
まず、表示装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態の表示装置の一例を示す表示面側の平面図である。
図1では、表示領域DAと周辺領域PFAの境界、表示領域DAと額縁領域FRAとの境界、および額縁領域FRAと透明領域TRAとの境界のそれぞれを二点鎖線で示している。また、
図1では、シール材SLMが配置される領域をドットパターンで示している。
図2は、
図1のA-A線に沿った断面図である。後述する
図4に示すように、基板10と基板20との間には、液晶層LQの他、複数の導電層や絶縁層があるが、
図2では図示を省略している。
図3は、
図1に示す表示装置が備える画素周辺の回路構成例を示す回路図である。
図4は、
図2に示す表示装置の表示領域の拡大断面図である。
図4では、基板10の厚さ方向(
図4に示すZ方向)における走査信号線GLと映像信号線SLとの位置関係の例を示すため、
図4とは異なる断面に設けられた走査信号線GLを点線で示している。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態の表示装置DSP1は、表示領域DAを有する。表示領域DAには、外部から供給される入力信号に応じて画像が形成される。表示領域DAは、表示面を視た平面視において、表示装置DSP1が画像を表示する有効領域である。また、表示装置DSP1は、平面視において、表示領域DAの周囲にある周辺領域(非表示領域)PFAを有する。なお、表示装置DSP1は、表示領域DAの周囲に周辺領域PFAを備えているが、変形例として、周縁部まで表示領域DAになっている表示装置もある。以下で説明する技術は、表示領域DAが、表示装置の周縁部まで広がっているタイプの表示装置にも適用できる。また、
図1に示す表示装置DSP1の表示領域DAは四角形であるが、表示領域が多角形や円形など、四角形以外の形状であってもよい。例えば、表示領域DAの4つの角部のそれぞれが、ラウンド形状になっている場合がある。
【0015】
また、表示装置DSP1は、平面視において、表示領域DAの内側にある透明領域TRAと、額縁領域FRAと、を有する。額縁領域FRAは、平面視において透明領域TRAの外縁に沿って透明領域TRAを囲み、表示領域DAと透明領域TRAとの間にある。また、額縁領域FRAは後述する遮光膜BMにより遮光されており、額縁領域FRAは、「遮光領域」と言い換えることもできる。透明領域TRAは、表示装置DSP1に取り付けられるカメラなどの部品が配置される領域である。透明領域TRAは、カメラなどの部材に可視光を照射するため、可視光を透過するように形成されている。例えば、表示装置を構成する基板や偏光板には、透明領域TRAに開口部が設けられている。あるいは、透明領域TRAには、可視光透過性の部材が設けられ、金属配線などの遮光性部材が配置されていない。なお、透明領域TRAや額縁領域FRAには、カメラの他、マイク、あるいはスピーカなどの部品が配置される場合もある。
【0016】
図2に示すように、表示装置DSP1は、液晶層LQを介して対向するように貼り合せられた基板10および基板20を有している。基板10と基板20とは、表示装置DSP1の厚さ方向(Z方向)において互いに対向する。基板10は、液晶層LQ(および基板20)と対向する前面(主面、面)10fを有する。また基板20は、基板10の前面10f(および液晶層LQ)と対向する背面(主面、面)20bを有する。基板10は、スイッチング素子(能動素子)としての複数のトランジスタ(トランジスタ素子)Tr1(
図3参照)がアレイ状に配置されたアレイ基板である。また、基板20は、表示面側に設けられた基板である。基板20は、アレイ基板に対向配置された基板という意味で、対向基板と言い換えることができる。
【0017】
また、液晶層LQは、基板10の前面10fと基板20の背面20bとの間にある。液晶層LQは、可視光の透過状態を制御する電気光学層である。スイッチング素子を介して液晶層LQの周辺に形成される電界の状態を制御することにより、そこを通過する光を変調する機能を備えている。基板10および基板20にある表示領域DAは、
図2に示すように液晶層LQと重畳する。
【0018】
また、基板10と基板20とは、シール材(接着材)SLMを介して接着される。
図1に示すように、シール材SLMは、表示領域DAの周囲を囲むように、周辺領域PFAに配置される。
図2に示すように、シール材SLMの内側には、液晶層LQがある。シール材SLMは、基板10と基板20との間に液晶を封入するシールとしての役割を果たす。また、シール材SLMは、基板10と基板20とを接着する、接着材としての役割を果たす。
【0019】
また、表示装置DSP1は、光学素子OD1と、光学素子OD2と、を有する。光学素子OD1は、基板10とバックライトユニットBLとの間に配置される。光学素子OD2は、基板20の表示面側、すなわち基板20を挟んで基板10の反対側に配置される。光学素子OD1および光学素子OD2は、それぞれ少なくとも偏光板を含んでおり、必要に応じて位相差板を含んでいてもよい。また上述のように透明領域TRAには透明性の阻害要因となり得る光学素子OD1、OD2は形成されていない。より具体的には光学素子OD1、OD2は透明領域TRAの形状に沿って開口部が設けられることになる。
【0020】
また、表示装置DSP1は、基板20の表示面側を覆う、カバー部材CVM(
図2参照)を備えている。カバー部材CVMは、基板20の背面(面)20bの反対側の前面(面)10fに対向する。言い換えれば、カバー部材CVMは、基板20の背面(面)20bの反対側の前面(面)20fに対向する。基板20は、Z方向において、カバー部材CVMと基板10の間にある。カバー部材CVMは、基板10、20や光学素子OD2を保護する保護部材であって、表示装置DSP1の表示面側に配置されている。ただし、本実施の形態に対する変形例としては、カバー部材CVMが無い場合もある。
【0021】
基板10および基板20のそれぞれは、可視光透過性(可視光が透過する特性)を備える透明な板材である。透明な板材である基板として、ガラス基板を例示することができる。また、基板10や基板20の構成材料として、ポリイミドやポリアミド、ポリカルボナート、あるいは、ポリエステルなどのポリマーを含む樹脂材料(可視光透過性の樹脂材料)を用いることもできる。また、ポリイミドなどの樹脂材料から成る基板の場合、基板が可撓性を備える。基板10が可撓性を備える場合、基板10の一部分(例えば周辺領域PFA)を湾曲させる、あるいは折り曲げることができる。基板10や基板20が可撓性を備えている場合、平面視における周辺領域PFAの面積を低減できる。この場合、平面視における有効表示領域の占有率を増大させることができる。
【0022】
図3に示すように、表示領域DAには、複数の画素(ピクセル)PXが配置される。
図3に示す例では、複数の画素PXのそれぞれは、複数の副画素(サブピクセル)PXsを有する。複数の副画素PXsには、例えば、赤色用、青色用、および緑色用の副画素PXsが含まれ、複数の副画素PXsの色調を制御することにより、カラー画像を表示することができる。一つの画素PXを構成する副画素PXsの種類の数は、
図3に例示する3種類の他、種々の変形例が適用できる。
【0023】
複数の副画素PXsのそれぞれは、液晶層LQに印加する電界のオン-オフを制御するスイッチング素子であるトランジスタTr1を備える。トランジスタTr1は、副画素PXsの動作を制御する。トランジスタTr1は、後述するように、基板10上に形成された薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)である。
【0024】
また、
図3に示すように、表示装置DSP1は、表示領域DAにおいて、X方向に延びる複数の走査信号線GLと、表示領域DAにおいて、X方向に交差する(
図3では直交する)Y方向に延びる複数の映像信号線SLと、を有する。走査信号線GLは、トランジスタTr1のゲートに接続される、ゲート線である。また、映像信号線SLは、トランジスタTr1のソースに接続される、ソース線である。複数の走査信号線GLのそれぞれは、X方向に延び、かつ、Y方向において、例えば等間隔で配列されている。複数の映像信号線SLのそれぞれは、Y方向に延び、かつ、X方向において、例えば等間隔で配列されている。
【0025】
複数の走査信号線GLのそれぞれは、走査駆動回路(ゲート駆動回路)GDに接続される。走査駆動回路GDから出力された走査信号Gsiは、走査信号線GLを介してトランジスタTr1のゲートに入力される。また、複数の映像信号線SLのそれぞれは、映像信号駆動回路SDに接続される。映像信号駆動回路SDから出力された映像信号Spicは、映像信号線SLを介してトランジスタTr1のソースに入力される。
【0026】
複数の映像信号線SLのそれぞれは、トランジスタTr1を介して画素電極PEに接続される。詳しくは、映像信号線SLは、トランジスタTr1のソースに接続され、画素電極PEは、トランジスタTr1のドレインに接続される。トランジスタTr1がオンになっている時、画素電極PEには、映像信号線SLから映像信号Spicが供給される。また、画素電極PEは、誘電層(
図3に示す容量素子CS)を介して共通電極CEに接続されている。共通電極CEには、共通電位供給回路CDから固定電位が供給される。共通電極CEに供給される固定電位は、複数の副画素PXsに対して共通の電位である。表示期間において、共通電極CEに供給される電位と、画素電極PEに供給される電位との電位差に応じて各副画素PXsには電界が形成され、この電界により、液晶層LQに含まれる液晶分子が駆動される。
【0027】
図3に示す走査駆動回路GD、映像信号駆動回路SD、および共通電位供給回路CDのそれぞれは、
図1に示す周辺領域PFA、または、周辺領域PFAに接続される配線基板FWB1に形成された駆動ICチップ(CB1)に搭載された回路であってもよく、基板10に内蔵回路として形成されたものであってもよい。また、詳述はしないが配線基板FWB1は基板10に形成された複数の端子TM1に接続される。
【0028】
図4に示すように、基板10と液晶層LQとの間には、複数の導電層CL1~CL5、複数の絶縁膜11~16、および配向膜AL1がある。複数の導電層CL1~CL5、複数の絶縁膜11~16、および配向膜AL1は基板10の前面10f上に形成される。また、基板20と液晶層LQとの間には、遮光膜BMと、カラーフィルタCFR、CFGおよびCFBと、絶縁膜OC1と、配向膜AL2と、がある。遮光膜BM、カラーフィルタCFR、CFG、CFB、絶縁膜OC1、および配向膜AL2は、基板20の背面20b上に形成される。
【0029】
図4に示す導電層CL1、CL2およびCL3のそれぞれには、金属の導体パターン(金属配線)が形成される。導電層CL1および導電層CL3は、例えばモリブデン(Mo)やタングステン(W)等の金属またはそれらの合金から成る金属膜を含んでいる。導電層CL2の導体パターンは、例えばアルミニウム(Al)膜がチタン(Ti)膜や窒化チタン(TiN)膜などに挟まれた積層膜など、多層構造の金属膜を含んでいる。また、導電層CL4および導電層CL5は、主に、ITO(Indium tin oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)などの導電性の酸化物材料(透明導電材料)を含む。
【0030】
導電層CL1~CL5の間には、絶縁膜が介在する。導電層CL1と基板10との間には、絶縁膜11、および絶縁膜12が介在する。導電層CL1と導電層CL2との間には、絶縁膜13が介在する。導電層CL3と導電層CL4との間には、絶縁膜14が介在する。導電層CL4と導電層CL5との間には、絶縁膜15が介在する。導電層CL5と液晶層LQとの間には、配向膜AL1が介在する。絶縁膜11、12、13、および16のそれぞれは、無機絶縁膜である。無機絶縁膜としては、例えば窒化珪素(SiN)膜、酸化珪素(SiO)膜、酸化アルミニウム(AlOx)膜あるいはこれらの積層膜を例示できる。また、絶縁膜14および絶縁膜15は、有機絶縁膜である。有機材料から成る絶縁膜は、無機材料から成る絶縁膜よりも厚く形成することにより、上面(前面)を平坦化することができる。絶縁膜14および絶縁膜15は、下地層に形成された導体パターンの凹凸を平坦化する平坦化膜として用いられる。このため、絶縁膜14の厚さおよび絶縁膜15の厚さは、無機絶縁膜である絶縁膜11、12、および13のそれぞれの厚さより厚い。有機絶縁膜の例としては、アクリル系の感光性樹脂などが例示できる。
【0031】
複数の走査信号線GLのそれぞれは、基板10上の導電層CL1に形成される。基板10上には絶縁膜11および絶縁膜12が積層され、走査信号線GLは絶縁膜12上に形成される。複数の映像信号線SLのそれぞれは、基板10上の導電層CL2に形成される。基板10上には絶縁膜11、12および13が積層され、映像信号線SLは絶縁膜13上に形成される。
【0032】
絶縁膜11と絶縁膜12の間には、
図3に示すトランジスタ(トランジスタ素子)Tr1の半導体層が形成される。半導体層は、
図4とは異なる断面にあるため、
図4には半導体層を示していない。半導体層のソース領域は、導体層CL2に形成される映像信号線SLと電気的に接続される。半導体層のドレイン領域は、導体層CL5の画素電極PEと電気的に接続される。平面視において、走査信号線GLは、半導体層のソース領域とドレイン領域との間に延びる。また、走査信号線GLは、半導体層のチャネル領域と重なり、トランジスタTr1のゲート電極として機能する。チャネル領域と走査信号線GLとの間に介在する絶縁膜12は、ゲート絶縁膜として機能する。上記した例のように、トランジスタTr1のチャネル領域の上側にゲート電極が配置される構造のTFTは、トップゲート方式と呼ばれる。ただし、TFTの方式には種々の変形例があり、例えば、チャネル領域の下側にゲート電極が配置されるボトムゲート方式を用いても良い。あるいは、チャネル領域の上側および下側の両方にゲート電極が配置される方式もある。
【0033】
導電層CL3には、配線MW3が配置される。配線MW3は、走査信号線GLや映像信号線SLと同様に金属から成る金属配線である。配線MW3は、厚さ方向(Z方向)において映像信号線SLと重なる位置に配置されている。配線MW3は、導電層CL4に形成される共通電極CEと電気的に接続される。この場合、配線MW3は、共通電極CEに電位を供給する配線として利用することができる。あるいは、配線MW3は、表示装置DSP1がタッチパネル機能を備えている場合に、タッチ位置の検出に利用される駆動信号や検出信号を伝送する信号伝送経路として利用される。
【0034】
導電層CL4には、共通電極CEが形成される。共通電極CEは、平坦化膜である絶縁膜15上に形成される。
図4では、一つの共通電極CEを示しているが、
図1に示す表示領域DAにおいて、複数の共通電極CEが互いに離間して配置されていても良い。また、上記したように、共通電極CEには、複数の副画素PXsに対して共通する電位が供給される。このため、
図4に示すように共通電極CEは、複数の副画素PXsに亘って配置されていても良い。
【0035】
導電層CL5には、複数の画素電極PEが形成される。画素電極PEが形成される導電層CL5と共通電極CEが形成される導電層CL4との間には、無機絶縁膜である絶縁膜16が介在する。この絶縁膜16が誘電層として機能して、
図3に示す容量素子CSが形成される。
【0036】
複数の画素電極PEは、配向膜AL1に覆われる。配向膜AL1は液晶層LQに含まれる液晶分子の初期配向を揃える機能を備える有機絶縁膜であって、例えばポリイミド樹脂から成る。また、配向膜AL1は、液晶層LQに接する。
【0037】
また、
図4に示すように、基板20の背面(主面、面)20b上には、遮光膜BM、カラーフィルタCFR、CFG、CFB、絶縁膜OC1、および配向膜AL2が形成されている。
【0038】
カラーフィルタCFR、CFGおよびCFBは、基板10と対向する背面20b側に形成される。
図3に示す例では、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のカラーフィルタCFR、CFG、CFBが周期的に配列される。カラー表示装置では、例えばこの赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の画素を1組として、カラー画像を表示する。基板20の複数のカラーフィルタCFR、CFG、CFBは、基板10に形成される画素電極PEを有するそれぞれの画素PX(
図1参照)と、互いに対向する位置に配置される。なお、カラーフィルタの種類は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に限定されるものではない。
【0039】
また、各色のカラーフィルタCFR、CFG、CFBのそれぞれの境界には、遮光膜BMが配置される。遮光膜BMはブラックマトリクスと呼ばれ、例えば黒色の樹脂や、低反射性の金属から成る。遮光膜BMは、平面視において、例えば格子状に形成される。言い換えれば、遮光膜BMは、X方向およびY方向に延在している。詳しくは、遮光膜BMは、Y方向に延びる複数の部分と、Y方向に交差するX方向に延びる複数の部分を有している。各画素PXをブラックマトリクスで区画することにより、光漏れや混色を抑制することができる。
【0040】
遮光膜BMは、表示領域DAにおいて、金属配線である走査信号線GL、映像信号線SL、および配線MW3と重畳する。遮光性を有する金属配線が遮光膜BMと重なる位置に配置されていることにより、表示画面において、金属配線が視認され難くなる。一方、共通電極CEおよび画素電極PEの少なくとも一部分は、遮光膜BMと重ならない位置に配置されている。共通電極CEおよび画素電極PEは、可視光透過性の導電性材料により形成されている。このため、共通電極CEおよび画素電極PEは遮光膜BMと重ならない位置に配置されているが、各副画素PXsにおいて、可視光は、共通電極CEや画素電極PEにより遮光されない。
【0041】
また、遮光膜BMは、基板20の周辺領域PFA(
図1参照)にも形成される。周辺領域PFAは、遮光膜BMと重畳する。表示領域DAは、周辺領域PFAよりも内側の領域として規定される。また、周辺領域PFAは、
図2に示すバックライトユニット(光源)BLから照射された光を遮光する遮光膜BMと重畳する領域である。遮光膜BMは表示領域DA内にも形成されるが、表示領域DAには、遮光膜BMに複数の開口部が形成される。一般的に、遮光膜BMに形成され、カラーフィルタが露出する開口部のうち、最も周縁部側に形成された開口部の端部が、表示領域DAと周辺領域PFAの境界として規定される。
【0042】
図4に示す絶縁膜OC1は、カラーフィルタCFR、CFG、CFBを覆っている。絶縁膜OC1は、カラーフィルタから液晶層に対して不純物が拡散するのを防止する保護膜として機能する。絶縁膜OC1は、例えばアクリル系の感光性樹脂等から成る、有機絶縁膜である。
【0043】
絶縁膜OC1は、配向膜AL2に覆われる。配向膜AL2は液晶層LQに含まれる液晶分子の初期配向を揃える機能を備える有機絶縁膜であって、例えばポリイミド樹脂から成る。また、配向膜AL2は、液晶層LQに接する。
【0044】
<透明領域TRA周辺の詳細>
次に、
図1に示す透明領域TRAの周辺について詳細に説明する。
図5は、
図1に示す透明領域周辺の第1導電層の拡大平面図である。
図6は、
図1に示す透明領域周辺の第2導電層の拡大平面図である。
図7は、
図1に示す透明領域周辺の第3導電層の拡大平面図である。
【0045】
図5に示すように、複数の走査信号線GLのそれぞれは、表示領域DA内において、X方向に延びる。また、
図6に示すように複数の映像信号線SLのそれぞれは、表示領域DA内において、Y方向に延びる。
図3に示すように、走査信号線GLと映像信号線SLとが交差する一つの交差部に、一つの副画素PXsが形成される。
【0046】
ここで、
図5に示すように、表示領域DA内に透明領域TRAが配置される場合、X方向に沿って直線的に延びる複数の走査信号線GLのうちの一部は、走査信号線GLの延在配線部(走査信号用延在配線部)GLrの延長線上に透明領域TRAが配置される。同様に、
図6に示すように、表示領域DA内に透明領域TRAが配置される場合、Y方向に沿って直線的に延びる複数の映像信号線SLのうちの一部は、映像信号線SLの延在配線部(映像信号用延在配線部)SLrの延長線上に透明領域TRAが配置される。しかし、透明領域TRAにおける可視光透過性を向上させるためには、金属配線である走査信号線GLや映像信号線SLが、透明領域TRAと重ならないことが好ましい。本明細書では、走査信号線GLや映像信号線SLの一部分において、一方向に沿って延びる部分を延在配線部、透明領域TRAを避けるように迂回している部分を迂回配線部と呼ぶ。ただし、「配線部」という呼称については単に「配線」と称しても良い。例えば、「延在配線部」を単に「延在配線」、「迂回配線部」を「迂回配線」、と呼称した場合でも、その意味は同じである。
【0047】
一方、透明領域TRAの周囲の領域を表示領域として利用するためには、走査信号線GLや映像信号線SLが透明領域TRAの近傍で寸断されないようにする必要がある。
【0048】
本実施の形態の表示装置DSP1の場合、
図5に示すように、複数の走査信号線GLの一部は、表示領域DAに配置され、X方向に延びる複数の延在配線部(走査信号用延在配線部)GLrと、導電層CL1の額縁領域FRAに配置され、両端が複数の延在配線部GLrに接続される複数の迂回配線部GLcと、を備える。迂回配線部GLcは、透明領域TRAの外縁に沿って走査信号の伝送経路を迂回させる配線である。走査信号の伝送経路を構成する迂回配線部GLcは、本願明細書において、走査信号用迂回配線部と呼ぶ場合がある。また、迂回配線部GLcは、第1導電層である導電層CL1に形成されるので、本願明細書において、第1層迂回配線部と呼ぶ場合がある。迂回配線部GLcは延在配線部GLrの延在方向であるX方向と異なる方向に延びている。
図5に示す例では、複数の迂回配線部GLcのそれぞれは、円形を成す透明領域TRAの外縁に沿って円弧状に延びる。また、複数の迂回配線部GLcのそれぞれは、二つの端部GLeを有し、二つの端部GLeのそれぞれに、延在配線部GLrが接続されている。
【0049】
また、表示装置DSP1の場合、
図6に示すように、複数の映像信号線SLの一部は、表示領域DAに配置され、Y方向に延びる複数の延在配線部(映像信号用延在配線部)SLrと、導電層CL2の額縁領域FRAに配置され、両端が複数の延在配線部SLrに接続される複数の迂回配線部SLc2と、を備える。迂回配線部SLc2は、透明領域TRAの外縁に沿って映像信号の伝送経路を迂回させる配線である。映像信号の伝送経路を構成する迂回配線部SLc2は、本願明細書において、映像信号用迂回配線部と呼ぶ場合がある。また、迂回配線部SLc2は、第2導電層である導電層CL2に形成されるので、本願明細書において、第2層迂回配線部と呼ぶ場合がある。迂回配線部SLc2は、延在配線部SLrの延在方向であるY方向と異なる方向に延びている。
図6に示す例では、複数の迂回配線部SLc2のそれぞれは、円形を成す透明領域TRAの外縁に沿って円弧状に延びる。また、複数の迂回配線部SLc2のそれぞれは、二つの端部SLeを有し、二つの端部SLeのそれぞれに、延在配線部SLrが接続されている。
【0050】
ここで、
図5に示す迂回配線部GLcおよび
図6に示す迂回配線部SLc2が配置される額縁領域FRAでは、走査信号線GLと映像信号線SLとの交差部の配置が、表示領域DAとは異なる。このため、額縁領域FRAを有効表示領域として利用することが難しい。このため、平面視における有効表示領域の占有率を大きくするためには、額縁領域FRAの面積を小さくすることが好ましい。そこで、本願発明者は、透明領域TRAの周囲を囲む額縁領域FRAの面積を小さくする技術について検討した。
【0051】
額縁領域FRAに配置される配線(走査信号線GLまたは映像信号線SL)の本数の下限値は、透明領域TRAの面積と、表示領域DAにおける配線の配置ピッチとの関係により規定される。例えば、
図5に示す透明領域TRAの平面形状は円形であるが、この円の半径が1080~4050μm、表示領域DAにおいて互いに隣り合う走査信号線GLの配置ピッチ(中心間距離)が54μmである場合、少なくとも40~150本の走査信号線GLが額縁領域FRAに配置される。また、例えば
図6に示す透明領域TRAの平面形状は円形であるが、この円の半径が1080~4050μm、表示領域DAにおいて互いに隣り合う映像信号線SLの配置ピッチ(中心間距離)が18μmである場合、少なくとも120~450本の映像信号線SLが額縁領域FRAに配置される。
【0052】
カラー表示装置の場合、複数種類の色用の映像信号線SLが必要になる。本実施の形態の場合、
図6に示す複数の映像信号線SLは、第1色用(例えば赤色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLRと、第2色用(例えば青色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLBと、第3色用(例えば緑色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLGとを含む。この場合、一つの画素に3本の映像信号線SLが配置されるので、映像信号線SLの配置ピッチは、走査信号線GLの配置ピッチより小さい。このため、額縁領域FRAに配置される映像信号線SLの本数は、額縁領域FRAに配置される走査信号線GLの本数より多い。したがって、額縁領域FRAの面積の下限値を規定する要素としては、映像信号線SLの本数の方が、走査信号線GLの本数よりも支配的である。なお、変形例として後述するように、
図5に対する変形例として、額縁領域FRAに迂回配線部GLcを配置しない場合もある。
【0053】
額縁領域FRAの面積を低減させるためには、
図6に示す額縁領域FRAに配置される映像信号線SLの配置ピッチを低減させることが重要である。表示装置DSP1の場合、額縁領域FRAに配置される映像信号線SLの迂回配線部の配置ピッチは、表示領域DAにおける映像信号線SLの配置ピッチより小さい。例えば、
図6に示す例では、表示領域DAにおける映像信号線SLの配置ピッチSLp1は、18μmである。一方、額縁領域FRAにおける迂回配線部SLc2の配置ピッチSLp2は、4.5μmである。表示装置DSP1の場合、迂回配線部SLc2の配置ピッチSLp2は、表示領域DAにおける映像信号線SLの配置ピッチSLp1より小さいので、額縁領域FRAの面積を低減することができる。
【0054】
また、表示装置DSP1の場合、映像信号線SLの迂回配線部は、複数の導電層に形成されている。すなわち、複数の映像信号線SLの複数の迂回配線部は、
図6に示す導電層CL2に配置される複数の迂回配線部(第2層迂回配線部)SLc2と、
図7に示す導電層(第3導電層)CL3に配置される複数の迂回配線部(第3層迂回配線部)SLc3と、を含む。また、迂回配線部SLc3の配置ピッチSLp3は、
図6に示す導電層CL2の、表示領域DAにおける映像信号線SLの配置ピッチSLp1より小さい。例えば、迂回配線部SLc3の配置ピッチSLp3は、9μmである。
【0055】
なお、変形例として後述する
図18に示す表示装置DSP2の場合、複数の映像信号線SLの全ての迂回配線部SLc2は、導電層CL2に接続され、
図7に示す導電層CL3に相当する導電層には、迂回配線部は配置されていない。この場合でも、迂回配線部SLc2の配置ピッチSLp2を小さくすることにより、額縁領域FRAの増大を抑制することはできる。ただし、表示装置DSP1の場合、表示装置DSP2と比較して、さらに額縁領域FRAの面積を低減できる。
【0056】
図8は、
図6および
図7に示す複数の迂回配線部が配置される領域を模式的に示す拡大平面図である。
図6に示すように、表示装置DSP1の場合、複数の迂回配線部SLc2は、X方向において、透明領域TRAの両隣に配置されている。同様に、
図7に示す複数の迂回配線部SLc3は、X方向において、透明領域TRAの両隣に配置されている。言い換えれば、
図8に示すように、額縁領域FRAは、X方向において、透明領域TRAの隣に配置され、複数の迂回配線部SLc2(
図6参照)および複数の迂回配線部SLc3(
図7参照)のそれぞれの一部が配置される領域(第1領域)FRA1を含む。また、額縁領域FRAは、X方向において、透明領域TRAを挟んで領域FRA1の反対側に配置され、複数の迂回配線部SLc2および複数の迂回配線部SLc3のそれぞれの他の一部が配置される領域(第2領域)FRA2を含む。
【0057】
図8に示すように、X方向において、透明領域TRAの両隣に迂回配線部SLc2(
図6参照)、およびSLc3(
図7参照)が配置されている場合、X方向において、透明領域TRAのいずれか一方の隣のみに、迂回配線が配置されている場合と比較して、額縁領域FRAの面積を低減できる。
【0058】
また、表示装置DSP1の場合、
図8に示す領域FRA1に配置される迂回配線部SLc2(
図6参照)の本数と、領域FRA2に配置される迂回配線部SLc2の本数とが互いに等しい。また、領域FRA1に配置される迂回配線部SLc3(
図7参照)の本数と、領域FRA2に配置される迂回配線部SLc3の本数とが互いに等しい。言い換えれば、迂回配線部SLc2およびSLc3は、X方向において、透明領域TRAの両隣に、同数ずつ、バランス良く配列されている。例えば、
図6に示す例では、領域FRA1(
図8参照)に配列される迂回配線部SLc2の本数、および領域FRA2(
図8参照)に配列される迂回配線部SLc2の本数は、それぞれ18本ずつである。また、
図7に示す例では、領域FRA1(
図8参照)に配列される迂回配線部SLc3の本数、および領域FRA2(
図8参照)に配列される迂回配線部SLc3の本数は、それぞれ9本ずつである。なお、
図6および
図7に示す例では、図面の見易さを考慮して映像信号線SLの本数が少ない場合の一例を示している。したがって、映像信号線SLの本数や、迂回配線部SLc2、SLc3の総本数は、
図6および
図7に示す例の他、種々の変形例があることは言うまでもない。例えば、上記したように、合計で120~450本の映像信号線SLが額縁領域FRAに配置される場合には、領域FRA1に配列される迂回配線部SLc2の本数、および領域FRA2に配列される迂回配線部SLc2の本数は、それぞれ40~150本ずつの場合がある。また、この場合、領域FRA1に配列される迂回配線部SLc3の本数、および領域FRA3に配列される迂回配線部SLc3の本数は、それぞれ20~75本ずつである。
【0059】
迂回配線部SLc2およびSLc3をバランスよく配列することにより、領域FRA1と領域FRA2との形状が透明領域TRAの中心をY方向に通過する中心線に対して線対称な形状になる。この場合、透明領域TRAの周辺の領域を、迂回配線部の配置領域として効率的に使用することができるので、領域FRA1および領域FRA2に配置される迂回配線部の本数が大きく異なる場合と比較して額縁領域FRAの面積を低減できる。なお、迂回配線部の総本数が偶数である場合には、表示装置DSP1のように、領域FRA1および領域FRA2に配置される迂回配線部の本数が同数になるように配置できる。しかし、迂回配線部の総本数が奇数である場合には、領域FRA1および領域FRA2のうち、いずれか一方に配置される迂回配線部の本数が1本多くても良い。
【0060】
また、
図8に示す領域FRA1に配置される複数の迂回配線部SLc2(
図6参照)および複数の迂回配線部SLc3(
図7参照)のそれぞれは、透明領域TRAの外縁に沿って円弧状に延びる。領域FRA1の平面形状は、三日月形である。領域FRA1の幅FRw1は、Y方向における位置に対応して変化し、かつ、透明領域TRAの中心からX方向に延ばした第1仮想線VL1と重なる位置において最も大きい。同様に、領域FRA2に配置される複数の迂回配線部SLc2および複数の迂回配線部SLc3のそれぞれは、透明領域TRAの外縁に沿って円弧状に延びる。領域FRA2の平面形状は、三日月形である。領域FRA2の幅FRw2は、Y方向における位置に対応して変化し、かつ、透明領域TRAの中心からX方向に延ばした第1仮想線VL1と重なる位置において最も大きい。なお、領域FRA1、FRA2の幅とは、各領域の最内周に配置される迂回配線部の接線方向に対して直交する方向の長さとして定義される。幅FRw1およびFRw2は、仮想線VL1からの距離が遠くなるにしたがって、徐々に小さくなる。
【0061】
また、
図5に示すように、表示装置DSP1の場合、複数の走査信号線GLにも迂回配線部GLcが設けられている。複数の走査信号線GLの一部は、表示領域DAに配置され、X方向に延びる複数の延在配線部(走査信号用延在配線部)GLrと、導電層CL1の額縁領域FRAに配置され、両端が複数の延在配線部GLrに接続される複数の迂回配線部GLcと、を備える。
【0062】
上記したように、一つの画素PX(
図3参照)に対応する走査信号線GLの本数は、映像信号線SLの本数より少ない。このため、額縁領域FRAの形状が環状である場合、複数の迂回配線部GLcの配置ピッチGLp2は、
図6に示す複数の迂回配線部SLc2の配置ピッチSLp2と比較すると余裕がある。ただし、額縁領域FRAに複数の迂回配線部GLcが配置される場合には、配置ピッチGLp2を小さくすることが好ましい。
図5に示す例の場合、複数の迂回配線部GLcの配置ピッチGLp2は、表示領域DAにおける複数の走査信号線GLの配置ピッチGLp1よりも小さい。
図5に示す例では、Y方向における走査信号線GLの配置ピッチGLp1は、54μmである。一方、Y方向における走査信号線GLの迂回配線部GLcの配置ピッチGLp2は、9μmである。この場合、Y方向における額縁領域FRAの幅を低減できるので、結果的に額縁領域FRAの面積を小さくできる。
【0063】
図9は、
図5に示す複数の迂回配線部が配置される領域を模式的に示す拡大平面図である。
図5に示すように、表示装置DSP1の場合、複数の迂回配線部GLcは、Y方向において、透明領域TRAの両隣に配置されている。言い換えれば、
図9に示すように、額縁領域FRAは、Y方向において、透明領域TRAの隣に配置され、複数の迂回配線部GLc(
図5参照)のそれぞれの一部が配置される領域(第3領域)FRA3を含む。また、額縁領域FRAは、Y方向において、透明領域TRAを挟んで領域FRA3の反対側に配置され、複数の迂回配線部GLcのそれぞれの他の一部が配置される領域(第4領域)FRA4を含む。
【0064】
また、表示装置DSP1の場合、
図9に示す領域FRA3に配置される迂回配線部GLc(
図5参照)の本数と、領域FRA4に配置される迂回配線部GLcの本数とが互いに等しい。言い換えれば、迂回配線部GLcは、Y方向において、透明領域TRAの両隣に、同数ずつ、バランス良く配列されている。例えば、
図5に示す例では、領域FRA3(
図9参照)に配列される迂回配線部GLcの本数、および領域FRA4(
図9参照)に配列される迂回配線部GLcの本数は、それぞれ9本ずつである。なお、
図5に示す例では、図面の見易さを考慮して走査信号線GLの本数が少ない場合の一例を示している。したがって、走査信号線GLの本数や、迂回配線部GLcの総本数は、
図5に示す例の他、種々の変形例があることは言うまでもない。例えば、上記したように、合計で40~150本の走査信号線GLが額縁領域FRAに配置される場合には、領域FRA3に配列される迂回配線部GLcの本数、および領域FRA4に配列される迂回配線部GLcの本数は、それぞれ20~75本ずつの場合がある。また、迂回配線部GLcの総本数が奇数である場合には、領域FRA3および領域FRA4のうち、いずれか一方に配置される迂回配線部の本数が1本多くても良い。
【0065】
また、
図9に示す領域FRA3に配置される複数の迂回配線部GLc(
図5参照)のそれぞれは、透明領域TRAの外縁に沿って円弧状に延びる。領域FRA3の平面形状は、三日月形である。領域FRA3の幅FRw3は、X方向における位置に対応して変化し、かつ、透明領域TRAの中心からY方向に延ばした第2仮想線VL2と重なる位置において最も大きい。同様に、領域FRA4に配置される複数の迂回配線部GLcのそれぞれは、透明領域TRAの外縁に沿って円弧状に延びる。領域FRA4の平面形状は、三日月形である。領域FRA4の幅FRw4は、X方向における位置に対応して変化し、かつ、透明領域TRAの中心からY方向に延ばした第2仮想線VL2と重なる位置において最も大きい。なお、領域FRA3、FRA4の幅とは、各領域の最内周に配置される迂回配線部の接線方向に対して直交する方向の長さとして定義される。幅FRw3およびFRw4は、仮想線VL2からの距離が遠くなるにしたがって、徐々に小さくなる。
【0066】
図6を用いて説明したように、複数の映像信号線SLは、第1色用(例えば赤色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLRと、第2色用(例えば青色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLBと、第3色用(例えば緑色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLGとを含む。表示装置DSP1の場合、
図6に示す複数の映像信号線SLR、および複数の映像信号線SLBは、額縁領域FRAにおいて複数の迂回配線部SLc2に接続され、複数の映像信号線SLGは、
図7に示す額縁領域FRAにおいて複数の迂回配線部SLc3に接続される。表示装置DSP1のように、複数の映像信号線SLのうちの一部が、
図7に示す導電層CL3の迂回配線部SLc3に接続される場合、迂回配線部SLc3に接続される映像信号線SLは、複数種類の映像信号線SLのうち、同じ種類の映像信号線SLに統一されることが好ましい。迂回配線部SLc2と迂回配線部SLc3とでは、配線抵抗や容量負荷などの値が異なる。したがって、迂回配線部SLc3に特定の色用の映像信号線SLが接続されている場合、画素毎に色の濃度を設定して画像を表示するラスタ形式で表示を行う際に、映像信号線SLの一部が迂回配線部SLc3に接続されることに伴うムラを低減することができる。例えば、特定の色用の映像信号線SLのみが迂回配線部SLc3に接続されている場合、迂回配線部SLc3に供給される映像信号の信号強度を調整することができる。
【0067】
図10は、
図7に示すB部において、
図6および
図7に示す迂回配線を重ねあわせた状態を示す拡大平面図である。
図11は、
図10と同じ位置において、
図5および
図6に示す迂回配線を重ねあわせた状態を示す拡大平面図である。
図12は、
図10および
図11に示すA-A線に沿った拡大断面図である。
図10および
図11は平面図であるが、各導電層に配置された迂回配線部の平面視における位置関係を見やすくするため、ドットパターンまたはハッチングを付している。詳しくは、
図12に示す導電層CL2に形成された配線には、ドットパターンを付し、導電層CL1および導電層CL3に形成された配線にはハッチングを付している。また、迂回配線部SLc2と迂回配線部SLc3とが重なる領域において、迂回配線部SLc2の輪郭を点線で示している。
【0068】
図10に示すように、額縁領域FRAにおいて、対を成す映像信号線SLRと映像信号線SLBとが互いに隣り合うように配置され、平面視において、対を成す映像信号線SLRと映像信号線SLBとの間に映像信号線SLGが配置されている。また、平面視において、互いに隣り合う複数の迂回配線部SLc3の配置ピッチSLp3は、互いに隣り合う複数の迂回配線部SLc2の配置ピッチSLp2より大きい。例えば、迂回配線部SLc3の配置ピッチSLp3は、9μmであり、額縁領域FRAにおける迂回配線部SLc2の配置ピッチSLp2は、4.5μmである。
【0069】
図10に示すように、平面視において、互いに隣り合う迂回配線部SLc2の間に迂回配線部SLc3が配置されることにより、複数の迂回配線部SLc2のそれぞれに印加される容量負荷のバラつきを低減できる。また、上記のレイアウトにより、複数の迂回配線部SLc3のそれぞれに印加される容量負荷のバラつきを低減できる。
【0070】
図11に示すように、額縁領域FRAにおいて、対を成す映像信号線SLRと映像信号線SLBとが互いに隣り合うように配置され、平面視において、対を成す映像信号線SLRと映像信号線SLBとの間に走査信号線GLが配置される。また、平面視において、互いに隣り合う複数の迂回配線部GLcの配置ピッチGLp2は、互いに隣り合う複数の迂回配線部SLc2の配置ピッチSLp2より大きい。
【0071】
図11に示すように、平面視において、互いに隣り合う迂回配線部SLc2の間に迂回配線部GLcが配置されることにより、複数の迂回配線部SLc2のそれぞれに印加される容量負荷のバラつきを低減できる。また、上記のレイアウトにより、複数の迂回配線部GLcのそれぞれに印加される容量負荷のバラつきを低減できる。
【0072】
図12に示すように、平面視において、走査信号線GLの複数の迂回配線部GLcと、映像信号線SLGの複数の迂回配線部SLc3とは重なる。
図12は断面図であるが、
図10と
図11とに記載されるA-A線を重ねあわせることにより、平面視において、複数の迂回配線部GLcと複数の迂回配線部SLc3とが互いに重なっていることは明らかである。また、
図10または
図11に示すように、平面視において、互いに隣り合う対の間には、走査信号線GLの複数の迂回配線部GLcおよび映像信号線SLGの複数の迂回配線部SLc3が配置されない。このため、
図10および
図11に示すように、互いに隣り合う対の間(例えば、互いに隣り合う迂回配線部SLc3の間、または互いに隣り合う走査信号線GLの間)には、複数の迂回配線部SLc2の延在方向に沿って延びる光透過性の領域TLAが存在する。
【0073】
図12に示すように、額縁領域FRAには、遮光性の金属配線(導電層CL1、導電層CL2、および導電層CL3)が高密度で配置される。また、
図16を用いて後述するように、額縁領域FRAでは、遮光性の金属配線に重なるようにシール材SLMが配置されることがある。この際、シール材SLMは紫外線硬化性樹脂が含まれる。シール材SLMに紫外線を照射することにより、シール材SLMが硬化し、基板10と基板20とが接着される。また、基板10と基板20との間に配置されたシール材SLMを硬化させることにより、透明領域TRAに表示領域DAから液晶が侵入することを防止できる。この場合、透明領域TRAの透明性が液晶により阻害されることを防止できる。額縁領域FRAの紫外線硬化性樹脂であるシール材SLMを硬化させる際には、シール材SLMに紫外線を照射する必要がある。額縁領域FRAには、遮光性の金属配線が高密度で配置されているが、
図10および
図11に示すように、額縁領域FRAには、光透過性の領域TLAが配置されている。このため、領域TLAでは紫外線が透過し、シール材SLMに照射されるので、シール材SLMを硬化させることができる。また、
図10や
図11に示すように、複数の領域TLAが連続的に設けられていることにより、紫外線がシール材SLMに照射され易い。
【0074】
図10~
図12に示す構成は、以下のように表現することもできる。
図12に示すように、複数の映像信号線SLは、第1色用(例えば赤色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLRと、第2色用(例えば青色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLBと、第3色用(例えば緑色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLGとを含む。
図10に示すように、平面視において、隣り合う迂回配線部GLcの間には、映像信号線SLR、および映像信号線SLBがそれぞれ1本ずつ配置される。また、
図12に示すように、複数の迂回配線部SLc3は、複数の迂回配線部GLcと重なり、かつ、複数の映像信号線SLGに接続される。
【0075】
なお、上記では
図16に示すシール材SLMを紫外線で硬化させる例について説明した。ただし、
図12に示す絶縁膜14や絶縁膜15に紫外線硬化性樹脂が含まれていても良い。額縁領域FRAが、
図4に示す遮光膜BMと重なっている場合もある。
図10や
図11に示すように、複数の領域TLAが設けられている場合、基板10側から紫外線を照射して、
図16に示すシール材SLMに到達させることができるので、基板20側において、額縁領域FRAの全体が
図4に示す遮光膜BMと重なっていても良い。
【0076】
次に、
図6に示す映像信号線SLの延在配線部SLrと、
図7に示す迂回配線部SLc3との接続構造について説明する。
図13は、
図6に示す第2導電層と
図7に示す第3導電層とを接続する部分周辺の拡大平面図である。
図14は、
図13のA部の拡大平面図である。
図15は
図14のA-A線に沿った拡大断面図である。
図13および
図14は平面図であるが、
図15に示す導電層CL2に形成された配線には、ドットパターンを付し、導電層CL3に形成された配線にはハッチングを付している。
図13および
図14では、
図15に示す導電層CL1に形成された走査信号線GLの輪郭、およびコンタクトホールCH1の底面CHbの輪郭を二点鎖線で示している。
図13では、複数のコンタクトホールCH1が配列されるコンタクト領域CTAにハッチングを付している。
図14では、迂回配線部SLc2と迂回配線部SLc3とが重なる領域において、迂回配線部SLc2の輪郭を点線で示している。また、迂回配線部GLcを二点鎖線で示している。
【0077】
図13~
図15に示すように、額縁領域FRAには、導電層CL2(
図15参照)と導電層CL3(
図15参照)とを電気的に接続するコンタクトホールCH1が配置されている。
図15に示すように、コンタクトホールCH1は、絶縁膜14を貫通するように形成された開口部である。コンタクトホールCH1の底面CHbにおいて、映像信号線SLの延在配線部SLrの一部分が絶縁膜14から露出している。延在配線部SLrの絶縁膜14からの露出部分は、金属パターンが形成され、この金属パターンは、導電層CL3に形成される迂回配線部SLc3に向かって延びる。導電層CL2に形成される延在配線部SLrと、導電層CL3に形成される迂回配線部SLc3とは、コンタクトホールCH1を介して電気的に接続される。
図13に示すように、額縁領域FRAには、導電層CL2と導電層CL3とを電気的に接続する複数のコンタクトホールCH1がX方向に沿って配列されるコンタクト領域CTAがある。
【0078】
図14に示すように、映像信号線SLGの延在配線部SLrの先端には、延在配線部SLrより幅(Y方向の長さ)が太いコンタクト部SLCPが接続される。コンタクト部SLCPには、コンタクトホールCH1の底面CHbが配置される。導電層CL2(
図15参照)と導電層CL3(
図15参照)との接続信頼性を向上させる観点から、コンタクトホールCH1の底面CHbの面積は広い事が好ましい。このため、コンタクト部SLCPは延在配線部SLrより広い幅を備える。ただし、導電層CL2に形成される導体パターンの面積が大きい箇所では、この導体パターンに起因する容量負荷が大きくなる。したがって、
図14に示すように、平面視において、複数のコンタクトホールCH1のそれぞれの底面CHbは、複数の走査信号線GLと重ならない位置に形成されることが好ましい。これにより、コンタクト部SLCPと複数の走査信号線GLとの間の相互の容量負荷を低減することができる。
【0079】
コンタクト部SLCPと複数の走査信号線GLとの間の相互の容量負荷を低減するためには、
図14に示すように、映像信号線SLGのコンタクト部SLCPの全体が走査信号線GLと重ならないことが特に好ましい。ただし、コンタクト部SLCPは、走査信号線GLの迂回配線部GLcが高密度で配置される額縁領域に形成される。このため、映像信号線SLGのコンタクト部SLCPの全体が走査信号線GLと重ならないように配置することが困難な場合もある。この場合でも、少なくとも、複数のコンタクトホールCH1のそれぞれの底面CHbが、複数の走査信号線GLと重ならない位置に形成されていれば、コンタクト部SLCPと複数の走査信号線GLとの間の相互の容量負荷を低減することができる。
【0080】
また、
図14に示す例では、隣り合う走査信号線GLの迂回配線部GLcの離間距離GLs1は、隣り合う映像信号線SLの迂回配線部SLc2の離間距離SLs1より大きい。このように、隣り合う走査信号線GLの迂回配線部GLcの離間距離GLs1を大きくすることにより、複数のコンタクトホールCH1のそれぞれの底面CHbが、複数の走査信号線GLと重ならない位置に形成されるレイアウトを実現し易くなる。また、
図5および
図6を用いて説明したように、額縁領域FRAに配置される走査信号線GLの本数は、額縁領域FRAに配置される映像信号線SLの本数より少ない。したがって、額縁領域の形状が環状である場合には、額縁領域FRAの面積を規定する要因としては、映像信号線SLの迂回配線部SLc2の配置ピッチが支配的であるので、迂回配線部GLcの離間距離GLs1が大きい場合でも、額縁領域FRAの面積の増大を抑制できる。
【0081】
図16は、
図1に示す透明領域TRAの周囲の額縁領域に配置されるシール材の平面形状を示す拡大平面図である。
図17は、
図16のA-A線に沿った拡大断面図である。
図16に示すように、表示装置DSP1は、平面視において、透明領域TRAを囲むように額縁領域FRAに配置され、基板10(
図17参照)と基板20(
図17参照)とを接着固定するシール材SLMを備える。シール材SLMは、
図1および
図2に示す周辺領域PFAに配置されるシール材SLMと同じ材料から成り、液晶層LQ(
図17参照)が表示領域DAの外側に漏れ出すことを抑制する機能を備える。
図17に示す例では、透明領域TRAには、基板10や基板20が存在するが、額縁領域FRAの全周に亘って、シール材SLMが配置されている場合、透明領域TRAにおいて、基板10(または基板10および基板20)を貫通する開口部が形成されていても良い。また、シール材SLMの紫外線硬化に関しては上述する通りである。
【0082】
図16に示すように、額縁領域FRAにシール材SLMを配置する場合、額縁領域FRAの任意の一点(開始点)からシール材SLMの塗布を開始する。シール材SLMの塗布処理は、透明領域TRAの外周に沿って円を描くように連続的に実施され、シール材SLMの塗布の開始点に戻った時点で終了する。上記したシール材SLMの塗布方法の場合、塗布処理の開始点と終点とが重なる位置では、シール材SLMの塗布量が多くなる。この結果、塗布処理の開始点におけるシール材SLMの幅WSL1は、開始点および終点とは異なる位置のシール材SLMの幅WSL2より太くなる。シール材SLMが表示領域DAに漏れると、表示不良の原因になり、シール材SLMが透明領域TRAに漏れると、光透過特性不良の原因となる。したがって、シール材SLMの塗布処理の開始位置においても、シール材SLMが額縁領域FRAから漏れ出ないようにする必要がある。
【0083】
表示装置DSP1の場合、
図4に示すように、導電層CL2は、絶縁膜14に覆われ、導電層CL3は、絶縁膜14上に形成され、かつ、絶縁膜15に覆われる。また、
図13に示すように、額縁領域FRAには、導電層CL2(
図15参照)と導電層(
図15参照)とを電気的に接続する複数のコンタクトホールCH1がX方向に沿って配列されるコンタクト領域CTAがある。そして、
図17に示すように、コンタクト領域CTAと表示領域DAとの間には、絶縁膜14上に導電層CL3(
図15参照)および絶縁膜15が形成されていない段差部STP1がある。段差部STP1では、絶縁膜15が取り除かれた凹形状になっている。シール材SLMの塗布量が局所的に多くなった場合、段差部STP1に、シール材SLMが流れ込む場合がある。しかし、段差部STP1では、表示領域DAと比較して配向膜AL1と配向膜AL2との離間距離が大きくなっている。このため、例えシール材SLMが段差部STP1内に広がったとしても、その端部は、表示領域DAまでは広がらない。すなわち、段差部STP1を形成することにより、シール材SLMが表示領域DAあるいは、透明領域TRAに漏れ出すことを抑制できる。
【0084】
段差部STP1は、絶縁膜15の一部分を除去することにより形成される。表示装置DSP1の場合、
図15に示すように額縁領域FRA内に導電層CL3の導体パターンが形成されるので、額縁領域FRA内に絶縁膜15を形成する必要がある。ただし、
図17に示すように、コンタクト領域CTAの位置を透明領域TRA側に寄せることにより、段差部STP1を形成することが可能になる。
【0085】
また、
図13に示すように、額縁領域FRAにおいて、複数の映像信号線SLと複数の走査信号線GLの迂回配線部GLcとは互いに交差する。
図15に示す導電層CL1および導電層CL2を形成する工程では、導電層CL2を形成する前に導電層CL1および絶縁膜13が形成されている。また、絶縁膜13は無機絶縁膜である、絶縁膜14より厚さが薄いので、絶縁膜13の表面の平坦性は絶縁膜14の平坦性より低い。このため、複数の映像信号線SLと複数の走査信号線GLの迂回配線部GLcとが交差する交差部において、映像信号線SLの配線幅が細く成り易い。
【0086】
そこで、表示装置DSP1の場合、走査信号線GLとの交差部において、映像信号線SLが細くなり、信号伝送特性が低下することを抑制する対策を行っている。すなわち、
図6に示す複数の映像信号線SLのそれぞれが備える延在配線部SLrの幅SLw1は、複数の迂回配線部SLc2の幅SLw2より大きい。上記したように、額縁領域FRAの面積を低減するため、迂回配線部SLc2の配置ピッチSLp2は、出来る限り小さいことが好ましい。迂回配線部SLc2の幅SLw2を小さくすることにより、配置ピッチSLp2を小さくすることができる。
図6に示す例では、迂回配線部SLc2の幅SLw2は2.1μmであり、配置ピッチSLp2は、4.5μmである。一方、複数の映像信号線SLのそれぞれが備える延在配線部SLrの幅SLw1は、2.7μmである。これにより、走査信号線GLとの交差部において、映像信号線SLが細くなり、信号伝送信頼性が低下することを抑制できる。
【0087】
なお、
図7に示す迂回配線部SLc3の幅SLw3は、3.5μmである。導電層CL3(
図15参照)に形成される導体パターンは、導電層CL2(
図15参照)に形成される導体パターンと比較して、抵抗が大きい金属により形成されている。このため、導電層CL3では、迂回配線部SLc3の幅SLw3を
図6に示す幅SLw2よりも大きくすることにより、迂回配線部SLc3と迂回配線部SLc2との間での、配線インピーダンスの差を低減することができる。また、
図5に示す走査信号線GLの迂回配線部GLcの幅GLw2は、表示領域DAにおける走査信号線GLの幅GLw1と同じである。例えば、
図5に示す例では、幅GLw1および幅GLw2はそれぞれ3μmである。
【0088】
また、
図13に示すように、複数の映像信号線SLと複数の走査信号線GLの迂回配線部GLcとは互いに交差する交差部において、交差することによる容量負荷を低減する観点からは、映像信号線SLと走査信号線GLとが重なる部分の面積は小さい方が良い。映像信号線SLと走査信号線GLとが重なる部分の面積を低減させる観点からは、映像信号線SLと走査信号線GLとが交差する角度が直角に近い程好ましい。本実施の形態の場合、
図13に示すように、額縁領域FRAにおいて、複数の映像信号線SLと複数の迂回配線部GLcとが交差する複数の交差部のそれぞれに形成される鋭角は、45度以上の角度の鋭角θ1の数の方が、45度未満の角度の鋭角の数より多い。なお、
図13に示す例では、映像信号線SLと迂回配線部GLcとが交差する交差部に形成される鋭角が45度未満になるものは無い。上記した、「45度以上の角度の鋭角θ1の数の方が、45度未満の角度の鋭角の数より多い」という表現には、45度未満の角度の鋭角が存在しない場合も含む。また、上記表現には、45度未満の角度の鋭角が存在する場合も含まれることは言うまでもない。
【0089】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、映像信号線SLの迂回配線部が、複数の導電層に形成されていることにより、
図6に示す額縁領域FRAの面積を低減する実施態様について説明した。本実施の形態2では、映像信号線SLの迂回配線部を一つの導電層で引き回す場合の実施態様について説明する。
図18は、
図6に対する変形例である表示装置が有する透明領域周辺の第2導電層の拡大平面図である。
【0090】
図18に示す表示装置DSP2は、映像信号線SLの全ての迂回配線部SLc2が第2導電層である導電層CL2に配置され、
図7に示す導電層CL3には配線が形成されていない点で、
図6に示す表示装置DSP1と相違する。表示領域DAにおける映像信号線SLの配置ピッチSLp1は
図6に示す例と同様で、18μmである。また、額縁領域FRAにおける迂回配線部SLc2の配置ピッチSLp2も、
図6に示す例と同様で4.5μmである。表示装置DSP2の場合、迂回配線部SLc2の配置ピッチSLp2は、表示領域DAにおける映像信号線SLの配置ピッチSLp1より小さいので、額縁領域FRAの面積を低減することができる。
【0091】
図19は、
図18に示す複数の迂回配線部が配置される領域を模式的に示す拡大平面図である。
図19に示すように、表示装置DSP2の場合、複数の迂回配線部SLc2は、X方向において、透明領域TRAの両隣に配置されている。言い換えれば、
図19に示すように、額縁領域FRAは、X方向において、透明領域TRAの隣に配置され、複数の迂回配線部SLc2(
図18参照)のそれぞれの一部が配置される領域(第1領域)FRA1を含む。また、額縁領域FRAは、X方向において、透明領域TRAを挟んで領域FRA1の反対側に配置され、複数の迂回配線部SLc2のそれぞれの他の一部が配置される領域(第2領域)FRA2を含む。
【0092】
図19に示すように、X方向において、透明領域TRAの両隣に迂回配線部SLc2(
図18参照)が配置されている場合、X方向において、透明領域TRAのいずれか一方の隣のみに、迂回配線が配置されている場合と比較して、額縁領域FRAの面積を低減できる。
【0093】
また、
図19に示す領域FRA1に配置される複数の迂回配線部SLc2(
図18参照)のそれぞれは、透明領域TRAの外縁に沿って円弧状に延びる。領域FRA1の平面形状は、三日月形である。領域FRA1の幅FRw1は、Y方向における位置に対応して変化し、かつ、透明領域TRAの中心からX方向に延ばした第1仮想線VL1と重なる位置において最も大きい。同様に、領域FRA2に配置される複数の迂回配線部SLc2のそれぞれは、透明領域TRAの外縁に沿って円弧状に延びる。領域FRA2の平面形状は、三日月形である。領域FRA2の幅FRw2は、Y方向における位置に対応して変化し、かつ、透明領域TRAの中心からX方向に延ばした第1仮想線VL1と重なる位置において最も大きい。なお、領域FRA1、FRA2の幅とは、各領域の最内周に配置される迂回配線部の接線方向に対して直交する方向の長さとして定義される。幅FRw1およびFRw2は、仮想線VL1からの距離が遠くなるにしたがって、徐々に小さくなる。
【0094】
図20は、
図18に示す表示装置DSP2の第1導電層の複数の迂回配線部が配置される領域を模式的に示す拡大平面図である。
図9に示す表示装置DSP1と同様に、
図20に示す表示装置DSP2が備える額縁領域FRAは、Y方向において、透明領域TRAの隣に配置され、複数の迂回配線部GLc(
図5参照)のそれぞれの一部が配置される領域(第3領域)FRA3を含む。また、額縁領域FRAは、Y方向において、透明領域TRAを挟んで領域FRA3の反対側に配置され、複数の迂回配線部GLcのそれぞれの他の一部が配置される領域(第4領域)FRA4を含む。
【0095】
また、
図19に示すように、平面視において、額縁領域FRAの領域FRA1および領域FRA2の外縁(表示領域DA側の周縁部)は、X方向に沿って二つの焦点を持つ第1楕円ELP1に沿って配置される。また
図20に示すように、平面視において、額縁領域FRAの領域FRA3および領域FRA4の外縁(表示領域DA側の周縁部)は、Y方向に沿って二つの焦点を持つ第2楕円ELP2に沿って配置される。
【0096】
また、
図19および
図20に示すように、平面視において、透明領域TRAは円形である。平面視において、
図19に示す額縁領域FRAの領域FRA1および領域FRA2の内縁(透明領域TRA側の周縁部)は、透明領域TRAの中心と同心円である円に沿って配置される。また、
図20に示すように、平面視において、額縁領域FRAの領域FRA3および領域FRA4の内縁(透明領域TRA側の周縁部)は、透明領域TRAの中心と同心円である円に沿って配置される。
【0097】
図21は、
図12に対する変形例を示す拡大断面図である。表示装置DSP2の場合、上記したように導電層CL3には迂回配線部が配置されない。このため、映像信号線SLのレイアウトが
図12を用いて説明した表示装置DSP1とは異なる。すなわち、
図21に示すように、複数の映像信号線SLは、第1色用(例えば赤色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLRと、第2色用(例えば青色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLBと、第3色用(例えば緑色用)の映像信号が伝送される複数の映像信号線SLGとを含む。平面視において、隣り合う迂回配線部GLcの間には、映像信号線SLR、映像信号線SLG、および映像信号線SLBがそれぞれ1本ずつ配置される。
【0098】
また、映像信号線SLR、映像信号線SLG、および映像信号線SLBの配列順序は規則的になっていることが好ましい。すなわち、
図21に示す例の場合、映像信号線SLGと一方の迂回配線部GLcとの間に映像信号線SLRの迂回配線部SLc2が配置され、映像信号線SLGと他方の迂回配線部GLcとの間に映像信号線SLBの迂回配線部SLc2が配置される。この場合、映像信号線SLR、映像信号線SLG、および映像信号線SLBのそれぞれの配線に対する容量負荷が、色毎に均一化することができる。この結果、画素毎に色の濃度を設定して画像を表示するラスタ形式で表示を行う際に、映像信号線SLに対する容量負荷の差に起因する表示ムラを低減することができる。
【0099】
表示装置DSP2は、上記した相違点を除き、
図1に示す表示装置DSP1と同様である。したがって重複する説明は省略する。ただし、
図1~
図17を用いて説明した表示装置DSP1が備える複数の技術的特徴のうちの一部を表示装置DSP2に適用しても良い。
【0100】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0101】
また上記した実施の形態の説明には、以下の技術的思想が含まれる。
【0102】
〔付記1〕
表示領域と、
平面視において前記表示領域の内側にある透明領域と、
平面視において前記透明領域の外縁に沿って前記透明領域を囲み、前記表示領域と前記透明領域との間にある額縁領域と、
を備える第1基板と、
前記表示領域において前記第1基板上の第1導電層に形成され、第1方向に延びる複数の走査信号線と、
前記表示領域において前記第1基板上の第2導電層に形成され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の映像信号線と、
を有し、
前記複数の走査信号線の一部は、前記表示領域に配置され、前記第1方向に延びる複数の第1延在配線と、前記額縁領域に配置され、両端が前記複数の第1延在配線に接続される複数の第1迂回配線と、を備え、
前記複数の映像信号線の一部は、前記表示領域に配置され、前記第2方向に延びる複数の第2延在配線と、前記額縁領域に配置され、両端が前記複数の第2延在配線に接続される複数の第2迂回配線と、を備え、
前記複数の第1迂回配線の配置ピッチは、前記複数の第1延在配線の配置ピッチより小さく、
前記複数の第2迂回配線の配置ピッチは、前記複数の第2延在配線の配置ピッチより小さく、
前記額縁領域は、
前記第1方向において、前記透明領域の隣に配置され、前記複数の第2迂回配線のそれぞれの一部が配置される第1領域と、
前記第1方向において、前記透明領域を挟んで前記第1領域の反対側に配置され、前記複数の第2迂回配線のそれぞれの他の一部が配置される第2領域と、
前記第2方向において、前記透明領域の隣に配置され、前記複数の第1迂回配線のそれぞれの一部が配置される第3領域と、
前記第2方向において、前記透明領域を挟んで前記第3領域の反対側に配置され、前記複数の第1迂回配線のそれぞれの他の一部が配置される第4領域と、
を含む、表示装置。
【0103】
〔付記2〕
付記1において、
平面視において、前記額縁領域の前記第1領域および前記第2領域の外縁(表示領域側の周縁部)は、前記第1方向に沿って二つの焦点を持つ第1楕円に沿って配置され、
平面視において、前記額縁領域の前記第3領域および前記第4領域の外縁(表示領域側の周縁部)は、前記第2方向に沿って二つの焦点を持つ第2楕円に沿って配置される、表示装置。
【0104】
〔付記3〕
付記2において、
平面視において、前記透明領域は円形であり、
平面視において、前記額縁領域の前記第1領域および前記第2領域の内縁(透明領域側の周縁部)は、前記透明領域の中心と同心円である第1円に沿って配置され、
平面視において、前記額縁領域の前記第3領域および前記第4領域の内縁(透明領域側の周縁部)は、前記透明領域の中心と同心円である第2円に沿って配置される、表示装置。
【0105】
〔付記4〕
付記1において、
前記複数の映像信号線は、第1色用の映像信号が伝送される複数の第1映像信号線と、第2色用の映像信号が伝送される複数の第2映像信号線と、第3色用の映像信号が伝送される複数の第3映像信号線とを含み、
平面視において、隣り合う前記第1迂回配線の間には、前記第1映像信号線、前記第2映像信号線、および前記第3映像信号線がそれぞれ1本ずつ配置される、表示装置。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、表示装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0107】
10,20 基板
10f,20f 前面(面、主面)
20b 背面(面、主面)
11-16 絶縁膜
AL1,AL2 配向膜
CH1 コンタクトホール
CHb 底面
CL1,CL2,CL3,CL4,CL5 導電層
CTA コンタクト領域
DA 表示領域
DSP1,DSP2 表示装置
FRA 額縁領域
GL 走査信号線
GLc,SLc2,SLc3 迂回配線部(迂回配線)
GLr,SLr 延在配線部(延在配線)
GLs1,SLs1 離間距離
GLp1,GLp2,SLp1,SLp2,SLp3 配置ピッチ
GLw1,GLw2,SLw1,SLw2,SLw3 幅
LQ 液晶層
SL,SLB,SLG,SLR 映像信号線
SLCP コンタクト部
SLM シール材(接着材)
STP1 段差部
TRA 透明領域